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発明の名称 磁性流体シール装置の性能安定化方法及び磁性流体シール装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−159468(P2001−159468A)
公開日 平成13年6月12日(2001.6.12)
出願番号 特願平11−342594
出願日 平成11年12月1日(1999.12.1)
代理人 【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信 (外1名)
【テーマコード(参考)】
3J042
【Fターム(参考)】
3J042 AA03 BA04 CA10 CA17 CA18 DA20 
発明者 今本 善美 / 武石 淑之 / 山本 祥 / 安斉 博
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 相対回転する2部材間に形成される環状隙間に磁性流体を磁気吸着してなるシール部を複数配列すると共に各シール部の間に密封領域を形成し、該環状隙間により隔てられる2領域に対し与えられる圧力差を各シール部の耐圧能力に応じて前記密封領域で段階的に分圧化させて保持する磁性流体シール装置に対し、前記磁性流体シール装置の前記密封領域の分圧化を、定常運転中の2部材の第1の相対回転速度よりも高速に設定した第2の相対回転速度で行い、その後前記第1の相対回転速度による定常運転を行うことを特徴とする磁性流体シール装置の性能安定化方法。
【請求項2】 前記第2の相対回転速度で行われる分圧化を、前記2領域の圧力差が低い状態から定常運転中の前記2領域に対し与えられる圧力差まで到達する間に行うことを特徴とする請求項1に記載の磁性流体シール装置の性能安定化方法。
【請求項3】 前記磁性流体として、25℃における粘度が1Pa・s以上のものを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性流体シール装置の性能安定化方法。
【請求項4】 相対回転する2部材間に形成される環状隙間に磁性流体を磁気吸着してなるシール部を複数配列すると共に各シール部の間に密封領域を形成し、該環状隙間により隔てられる2領域に対し与えられる圧力差を各シール部の耐圧能力に応じて前記密封領域で段階的に分圧化させて保持する磁性流体シール装置において、前記2領域の圧力差よりも各シール部の耐圧能力を加算した全耐圧能力が大きくなるように前記シール部の列数を設定し、前記磁性流体シール装置の前記密封領域の分圧化を、前記定常運転中の2部材の第1の相対回転速度よりも高速に設定した第2の相対回転速度で行い、前記定常運転中の前記シール部の耐圧能力を隣接する密封領域の圧力差よりも大きくしたことを特徴とする磁性流体シール装置。
【請求項5】 前記磁性流体として、25℃における粘度が1Pa・s以上のものを用いることを特徴とする請求項4に記載の磁性流体シール装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性流体シール装置の性能安定化方法及び磁性流体シール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】長寿命かつクリーンな高性能シール装置として、磁性流体シール装置が知られている。この磁性流体シール装置は、省メンテナンスで清浄な雰囲気が得られる軸封機構が必要とされる半導体の製造工程や、各種コーティング・エッチング工程において、真空中へ回転導入を行うための真空シール、軸受からのオイルミスト等がクリーンなエリアへ侵入するのを防止するための防塵シール、あるいはガスシール等に広く使用されている。
【0003】一般的な磁性流体シール装置としては、図9に例示する複数配列型(多段型)の磁性流体シール装置100を挙げることができる。同図において、101は環状でその軸方向(図における左右方向)に磁化されたマグネットであり、マグネット101の両端面には、磁性体からなる1対の環状ポールピース102が同心状に重ね合わされている。
【0004】また、103は非磁性体からなる回転機械のハウジング、104は該ハウジング103内に軸受(不図示)を介して回転自在に支持された、磁性体からなるシャフトであって、シャフト104の周面には複数個の環状凸部105が形成されており、環状凸部105はポールピース102の内周面と所定の隙間g106を介して対向するように配置されている。
【0005】このとき、マグネット101、ポールピース102、およびシャフト104は磁気回路を形成して前記の隙間g106に集中した磁束を与え、そこに磁性流体107をOリング状の膜となるように、複数列保持することによってシール機能を発揮している。
【0006】なお、個々の環状凸部105に保持された磁性流体7の膜は、累加(複数配列:多段)によって耐圧を増すように作用する。
【0007】例えば、図9に示す磁性流体シール装置100の磁性流体107の膜1列当たりの耐圧能力が0.2atmであるとすると、膜が8列あることから磁性流体シール装置100全体の耐圧能力は3.2atmとなるが、この場合、隣り合う磁性流体107の膜の間に形成される密封領域108の圧力は、磁性流体シール装置100全体に作用する圧力差に応じて次のように変化する。
【0008】すなわち、図10は、磁性流体シール装置100の真空シールへの適用を想定し、図9に示す磁性流体シール装置100に対して真空排気を行った様子を示す部分断面図であるが、同図において、(a)は真空排気を行う前の状態、(b)は真空排気の途中で真空側領域の圧力が0.5atmとなった状態、(c)は真空排気が完了した状態をそれぞれ表している。真空側に位置する磁性流体107の膜は、真空排気中に耐圧能力限界の圧力差(この場合0.2atm)を保持しつつ、破壊と修復とを繰り返すことによって、大気側に位置する磁性流体107膜への分圧を順次行い、全体の圧力差との平衡を保つように作用する。
【0009】例えば、真空側領域の圧力が0.5atmである場合、図10(b)に示すように、各磁性流体107膜の間に形成される密封領域108の圧力が真空側から順に0.7,0.9,1,〜1atmとなって平衡に達し、真空排気が完了して真空側領域の圧力が0atmになると、図10(c)に示すように、上記密封領域108の圧力が真空側から順に0.2,0.4,0.6,0.8,1〜1atmになるのは、この作用によるものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の磁性流体シール装置100においては、磁性流体シール装置100全体の耐圧能力(この場合3.2atm)が磁性流体シール装置100に作用する圧力差(同1atm)よりも十分に高い場合においても、真空側に位置する数個(同5個)の磁性流体107の膜が各々の耐圧能力の限界(同0.2atm)ずつ分圧して上記の圧力差を保持するため、これら以外の磁性流体107の膜は圧力差の保持に直接関与していないことになる。
【0011】したがって、真空排気が完了して真空維持運転を行っている途中に、シャフト104の回転振れ等によって磁性流体107の膜の耐圧能力がわずかでも低下したり、あるいはシャフト回転時の摩擦熱等によって密封領域108の圧力がわずかでも変化するような事態が発生すると、圧力バランスの乱れにより磁性流体107の膜に耐圧能力以上の差圧が作用して、磁性流体107の膜が破断する。
【0012】なお、この磁性流体107の膜の破断は一時的なものであり、圧力バランスは瞬時に回復されるが、その際に真空領域へ流出する微量な空気は、真空領域の真空度を低下させる原因となる。
【0013】本発明は、上記した従来技術の問題を解決するものであり、その目的とするところは、圧力差の発生する2領域間に介在する磁性流体の膜の破断を抑制し、例えば上記のように真空維持運転中に発生する真空領域の一時的な真空度の低下を防止可能とする磁性流体シール装置の性能安定化方法及び磁性流体シール装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明の磁性流体シール装置の性能安定化方法にあっては、相対回転する2部材間に形成される環状隙間に磁性流体を磁気吸着してなるシール部を複数配列すると共に各シール部の間に密封領域を形成し、該環状隙間により隔てられる2領域に対し与えられる圧力差を各シール部の耐圧能力に応じて前記密封領域で段階的に分圧化させて保持する磁性流体シール装置に対し、前記磁性流体シール装置の前記密封領域の分圧化を、定常運転中の2部材の第1の相対回転速度よりも高速に設定した第2の相対回転速度で行い、その後前記第1の相対回転速度による定常運転を行うことを特徴とする。
【0015】また、前記第2の相対回転速度で行われる分圧化を、前記2領域の圧力差が低い状態から定常運転中の前記2領域に対し与えられる圧力差まで到達する間に行うことも好適である。
【0016】また、前記磁性流体として、25℃における粘度が1Pa・s以上のものを用いることも好適である。
【0017】本発明の磁性流体シール装置にあっては、相対回転する2部材間に形成される環状隙間に磁性流体を磁気吸着してなるシール部を複数配列すると共に各シール部の間に密封領域を形成し、該環状隙間により隔てられる2領域に対し与えられる圧力差を各シール部の耐圧能力に応じて前記密封領域で段階的に分圧化させて保持する磁性流体シール装置において、前記2領域の圧力差よりも各シール部の耐圧能力を加算した全耐圧能力が大きくなるように前記シール部の列数を設定し、前記磁性流体シール装置の前記密封領域の分圧化を、前記定常運転中の2部材の第1の相対回転速度よりも高速に設定した第2の相対回転速度で行い、前記定常運転中の前記シール部の耐圧能力を隣接する密封領域の圧力差よりも大きくしたことを特徴とする。
【0018】また、前記磁性流体として、25℃における粘度が1Pa・s以上のものを用いることも好適である。
【0019】本発明者らは、磁性流体シール装置の耐圧能力に関する種々の実験を行った結果、2部材としてのハウジングとシャフト間の回転振れや、磁性流体に作用する遠心力が無視できるほど小さい条件下においても、磁性流体シールの耐圧能力が2部材の相対回転速度の増加に伴って低下することを新たに見出した。
【0020】その一例を図1に示すが、同図において、曲線C1が高粘度磁性流体を用いた磁性流体シールのシャフト回転速度とシール耐圧との関係を、曲線C2が低粘度磁性流体を用いたシールのそれをそれぞれ示している。
【0021】なお、このシャフト回転速度の増加に伴うシール耐圧の低下量は、磁性流体の粘度が高い場合ほど大きくなる。
【0022】本発明においては、例えば、曲線C1のような耐圧能力を有する磁性流体シール装置を真空シールへ適用する場合に、一旦シャフト回転速度VH(第2の相対回転速度)を、定常運転時である真空維持運転時のシャフト回転速度(第1の相対回転速度)の上限値VLよりも高速に設定する。
【0023】この操作により、磁性流体を有するシール部1列(段)当たりの耐圧能力は定常運転中である真空維持運転時のそれに比べて低くなるため、真空維持運転時にはその低下分に等しいだけの余力が個々の磁性流体を有するシール部に与えられることになる。
【0024】したがって、真空維持運転時に突発的なシール部(磁性流体膜)の耐圧能力低下や圧力バランスの変動が生じても、それらが上記の余力以内であれば磁性流体を有するシール部(磁性流体膜)が破断することはなく、真空領域の真空度を一定に保つことができる。
【0025】尚、真空維持運転時のシャフト回転速度の上限値VLよりも高速に設定されたシャフト回転速度VHを適用するタイミングは、圧力差が発生し始める真空排気時に行う場合が一般的であるが、密封領域の分圧化を再度設定し直す場合に圧力差が既に存在する定常運転中から行うことも可能である。
【0026】なお、上記の作用は、磁性流体の粘度が高い場合ほど効果的に発揮される。また、一般にシャフトを高速回転させた状態で真空排気を行うと、磁性流体の膜破断時の流体飛散量が低速回転の場合に比べて増加するが、粘度の高い磁性流体を使用すれば、その飛散量は少なく抑えられる。
【0027】したがって、磁性流体シール装置に使用する磁性流体としては粘度の高いもの、具体的には25℃における粘度が1Pa・s以上であるものを選定するのが好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づいてより具体的に説明する。図2は、上記のシャフト回転速度VH(第2の相対回転速度)における磁性流体を有するシール部1列当たりの耐圧能力を0.15atm、シャフト回転速度VL(第1の相対回転速度)におけるそれを0.2atmとそれぞれ仮定した場合の真空排気時の様子を示す磁性流体シール装置1の部分断面図である。
【0029】尚、磁性流体シール装置1としては、図9を参照して説明した磁性流体シール装置100と同じ構成を備えるものであり、図9におけるポールピース102,シャフト104,環状凸部105,隙間g106,磁性流体107,密封領域108が、それぞれ図2におけるポールピース2,シャフト4,環状凸部5,隙間g6,磁性流体7,密封領域8に対応している。
【0030】この実施の形態では、ポールピース2内周面とシャフト4外周面の間が環状隙間となり、環状凸部5とポールピース2内周面及びその間に配置された磁性流体7(複数)を複数配列されるシール部としてみなすことが可能である。
【0031】真空排気を行う前は、図2(a)に示すように、真空側領域の圧力は大気側と同じく1atmであり、各磁性流体7の膜(限定されるものではないが、シール部に存在する磁性流体7を膜状としてとらえた場合)間に形成される密封領域8の圧力も全て1atmでバランスされている。
【0032】次にシャフト4の回転数をVHに設定して真空排気を開始し、真空側領域の圧力が0.5atm(圧力差0.5atm)になるまで真空排気を行った段階では、図2(b)に示すように、密封領域8の圧力は真空側から順に0.15atmずつ増加して0.65,0.8,0.95,1,1,1,1atmと分圧化される。
【0033】真空排気が完了して真空側領域の圧力が0atm(圧力差1atm)になると、図2(c)に示すように、上記密封領域8の圧力は真空側から順に0.15,0.3,0.45,0.6,0.75,0.9,1atmと分圧化され、平衡に達する。
【0034】そして、真空側領域で種々の作業を行う真空維持運転時(定常運転)には、図2(d)に示すように、各磁性流体7の膜が0.15atmずつ差圧を保持した状態で、シャフト4の回転数がVHからVL(VH>VL)へ減速され、各磁性流体7の膜の1個当たりの耐圧能力が0.2atmまで上昇する。
【0035】換言すると、定常運転中の各シール部の耐圧能力は0.2atmとなり、隣接する密封領域8の圧力差0.15atmよりも0.05atmだけ大きく設定されている。
【0036】すなわち、この状態においては各磁性流体7の膜に作用する圧力差と耐圧能力との間に0.05atmの差が生じ、これが真空維持運転中に発生する圧力バランスの乱れを吸収する役割を果たすため、磁性流体7の膜の破断が防止される。
【0037】尚、この実施の形態では、定常運転中の各シール部の耐圧能力は0.2atmであるので、各シール部の耐圧能力を加算した全耐圧能力が1atm(2領域の圧力差)を超えるようにシール部を8段備えることで、1.6atmの全耐圧能力となっている。
【0038】また、回転数がVHの状態で各シール部の耐圧能力は0.15atmとなるが、シール部を8段備えることで全耐圧能力は1.2atmとなり、1atm(2領域の圧力差)を超えている。
【0039】
【実施例】(実施例1)図2とほぼ同様の部分構造を有する磁性流体シール装置1(シャフト4の直径:60mm、環状凸部5−ポールピース2内周面間の隙間g6の距離:0.1mm)に、25℃における粘度が3.0Pa・sである磁性流体7(飽和磁化:45mT)を適量充填した。
【0040】次に、上記磁性流体シール装置1の真空維持運転時(定常運転時)におけるシャフト回転速度の上限値200rpm(想定値)に対して、真空排気時のシャフト回転速度を500rpmと設定し、実際に真空排気を実施した。
【0041】そして、真空排気が完了した後、シャフト回転速度を0〜200rpmの範囲で任意に変化させながら真空維持運転を1時間行ったが、その間に真空側領域の真空度は一度も乱れることはなかった。
【0042】なお、本実施例に示した磁性流体シール装置の磁性流体膜1個当たりの耐圧能力は、シャフト回転数が200rpmの場合0.17atm、500rpmの場合0.13atmであった。
【0043】(比較例1)上記の磁性流体シール装置のシャフトを停止させた状態で真空排気を行った。そして、真空排気が完了した後にシャフトを回転させたところ、真空側領域の真空度が大きく低下し、その後もしばらくの間、真空度の低下が断続的に発生した。
【0044】(比較例2)上記の磁性流体シール装置に使用する磁性流体を、25℃における粘度が0.5Pa・sである磁性流体(飽和磁化:45mT)に変更し、シャフト回転速度を500rpmに設定した状態で真空排気を実施した。そして、真空排気が完了した後に、シャフト回転速度を0〜200rpmの範囲で任意に変化させながら真空維持運転を行ったところ、真空度の低下が1時間あたり2回発生した。
【0045】なお、本発明は上記実施の形態及び実施例に限定して解釈されるべきではなく、その趣旨を損ねない範囲で適宜変更・改良が可能である。また、上記実施例では、本発明による磁性流体シール装置を真空シールへ適用した場合について説明したが、高圧ガスシールへの適用も可能である。
【0046】(実験例)次に、磁性流体シール装置の耐圧能力に影響を及ぼす磁性流体の粘度の影響を実験例として説明する。
【0047】図3に実験装置10の概略を示す。実験装置10は、不図示の可変速DCモータにより駆動される回転軸11とシール部12、および圧力チャンバ13とを備えた構成となっている。
【0048】シール部12は、複数個の円柱状MA磁石21を1対のポールピース22(SUS630製)で挟み、回転軸11(SUS304製)の周りのハウジング14に配置されている。
【0049】圧力チャンバ13は、ハウジング14の開口端部14aを封止する皿状の容器15の内側領域であり、プラグ16を介してコンプレッサー17により加圧される。18は圧力チャンバ13内の圧力を検出可能とする圧力センサである。
【0050】一方、回転軸11には磁性スリーブ23(SUS630製)が装着され、その外周にはシール隙間の磁場強度を高めるための突起23aを設けた。
【0051】その突起23aの形状を図4に示す。突起23aは、先端部がポールピース22の内周面(内向きフランジ部)に対向しており、ポールピース22の内周面との対向面の間に磁性流体7を保持している。
【0052】シール隙間gは0.06,0.1,0.2,0.3mmの4種類に設定した。また、供試された磁性流体7には、図5に示す3種類の流体を使用した。
【0053】ここで、本実験におけるシール耐圧の測定方法を以下に記す。
【0054】(1)磁性流体7を圧力チャンバ13側の突起23a先端部に一定量(シール空間体積の6倍量)注入する。
【0055】(2)回転軸11をしばらくの間、低速回転させる(周速U:0.3m/s以下、運転時間:約1分)。
【0056】(3)回転軸11の周速Uを0〜9.4m/s(回転速度:0〜3000rpm)の範囲内に設定する。
【0057】(4)圧力チャンバ13内の圧力を一定の割合(約0.1kPa/s)で増加させる。
【0058】(5)圧力チャンバ13内の圧力を圧力センサ18でモニターし、シールが破壊する瞬間の圧力を測定する(この値をシール耐圧ΔPと定義する)。
【0059】尚、上記のΔP測定時における回転軸の振動値はTIR4〜6μmであった。また、シール破壊時の流体飛散によるΔPの低下は、いずれの場合もほとんど認められなかった(1.0kPa未満)。
【0060】次に、上記の実験により得られる、磁性流体の1.流体性状の影響、2.温度の影響、3.シール隙間の影響について説明する。
【0061】1.流体性状の影響図6は、3種類の磁性流体を用いて周速Uと耐圧ΔPとの関係を測定した結果である。ΔPは、いずれの流体を用いた場合においても、Uの増加に伴って低下し、その低下量はC>B>Aの順となる。
【0062】また、周速Uの増分に対するΔPの低下率は、周速Uの増加に伴って減少し、特に流体B,Cを用いた場合には、ある周速以上でほぼ0になる傾向が見られる。
【0063】尚、静的耐圧ΔP0に関しては、いずれの流体を用いた場合においても、シール部の磁場分布および磁性流体の磁化特性に基づく計算値とほぼ一致することが確認されている。
【0064】一般に、周速Uの増加に伴ってΔPが低下するのは磁性流体に作用する遠心力の影響であると言われているが、遠心力の影響だけで周速U<10(m/s)におけるΔPが最大17kPaも低下するとは考えにくい。
【0065】また、流体によるΔP低下量の相違に着目すると、各流体の周速U<1(m/s)におけるΔP低下量の比率は、流体密度の比率よりも、むしろ流体粘度の比率に近い値となっている。
【0066】2.温度の影響流体Bを用い、周速Uと耐圧ΔPとの関係に及ぼす温度の影響を調べた結果を図7に示す。なお、図7中の黒三角印はシール部の温度を周速U=9.4(m/s)で長時間運転した場合の温度(ポールピース温度:約60℃)に保った状態で測定したデータであり、白抜き三角印は図6に示したデータと同一のものである。
【0067】周速Uの増加に伴うΔPの低下原因として、遠心力の影響以外に考えられるのは、磁性流体の粘性発熱に起因する飽和磁化の低下である。しかしながら、上記の結果では、シール部を加熱した場合のΔP低下量は、加熱しなかった場合のそれと比較して逆に小さくなっていることが確認される。
【0068】また、U−ΔP曲線の形状は、温度の上昇に伴って流体Aを用いた場合のそれに漸近する傾向が見られる。
【0069】以上の結果より、磁性流体の粘度、すなわちシール部における磁性流体膜の粘性効果が、シールの動的耐圧に何らかの影響を及ぼしている可能性が示唆される。
【0070】3.シール隙間の影響図8は、流体Cを用い、隙間g(シール隙間)をパラメータとして周速Uと耐圧ΔPとの関係を測定した結果である。ΔPは、隙間gが小さい場合ほど高い値を示すが、いずれの場合もUの増加に伴って低下し、ある値以上でほぼ一定になることが確認される。また、ΔPがΔP0から一定になるまでの低下量、およびΔP0に対するΔP低下量の比率は、共に隙間gの小さい場合ほど大きくなっている。
【0071】シール部における磁性流体膜の粘性結果が隙間gが小さい場合ほど大きくなることを考慮すれば、図8の結果は前述の仮説と定性的に一致する。一方、ΔPがある周速Uの値以上で一定になる原因の解明に向けては、シール部に保持された磁性流体の流動状態の把握が必要である。
【0072】
【発明の効果】上記のように説明された本発明によると、各シール部の間に形成された密封領域の分圧化が、定常運転時において各シール部の耐圧能力よりも低く余裕のある圧力状態となり、換言すると、定常運転中の各シール部の耐圧能力は、隣接する密封領域の圧力差よりも大きく設定され、定常運転中に突発的な耐圧能力の低下や圧力バランスの変動が発生しても磁性流体膜が破断が抑制され、シール性能を安定に維持することが可能となる。
【0073】また、上記の作用は、磁性流体シール装置に使用する磁性流体の粘度が1Pa・s以上と高い場合により効果的に発揮される。




 

 


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