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発明の名称 磁性流体シール装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−124216(P2001−124216A)
公開日 平成13年5月11日(2001.5.11)
出願番号 特願平11−302552
出願日 平成11年10月25日(1999.10.25)
代理人 【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信 (外1名)
【テーマコード(参考)】
3J042
【Fターム(参考)】
3J042 AA03 BA04 CA17 DA20 
発明者 今本 善美 / 安斉 博
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】互いに相対回転自在に組付けられる2部材間の環状隙間をシールするもので、2部材の内、どちらか一方の部材の前記環状隙間側に設けられた第1磁極部と、他方の部材の前記環状隙間側に設けられた第2磁極部と、前記環状隙間を通過する磁界を形成する磁力発生手段と、該磁力発生手段の磁界によって、前記環状隙間を介して対向する前記第1磁極部と前記第2磁極部との間に保持され、前記環状隙間を密封する磁性流体と、を備えた磁性流体シール装置において、前記第1磁極部及び前記第2磁極部に、他方の磁極部に対して突出する複数の環状凸部を、それぞれ互い違いに交互に突出させて設けたことを特徴とする磁性流体シール装置。
【請求項2】前記第1磁極部及び前記第2磁極部のいずれか一方の磁極部の環状凸部と、該一方の環状凸部の隣に配置された他方の磁極部の環状凸部と、の隙間が、前記一方の磁極部の環状凸部と、前記一方の磁極部の環状凸部に対向して前記他方の磁極部の環状凸部間に形成される凹部と、の隙間よりも狭く設けられたことを特徴とする請求項1に記載の磁性流体シール装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性流体シール装置に関するものであり、特に、軸振動の大きな回転機械に使用されるものや、各部材の加工精度や位置決め精度が不十分であったり、使用環境下の温度変化に起因する各部材の熱膨張・収縮が大きい場合に使用されるものに適用される。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の磁性流体シール装置としては、例えば図3、図4に示すものがある。
【0003】図3は、磁性流体シール装置の断面図であり、磁性流体シール装置は、圧力差のある高圧側H及び低圧側Lの2領域間にまたがり、ハウジング4とシャフト3間の環状隙間に備えられている。
【0004】ハウジング4は、回転機械等に設けられたもので、非磁性体である。また、ハウジング4の内側には、軸方向に磁化されている環状のマグネット1が備えられている。
【0005】マグネット1の軸方向両端部には、1対の環状ポールピース2が設けられており、マグネット1及びポールピース2によって、ハウジング4に設けられたシール体が構成される。
【0006】一方、シャフト3は、ハウジング4内に不図示の軸受けを介して回転自在に支持されたもので、磁性体である。また、シャフト3の周面には、複数の環状凸部3aが形成されている。
【0007】ここで、ポールピース2とシャフト3は、ポールピース2の内周面が環状凸部3aと所定の隙間5を介して対向するように配置される。
【0008】このとき、マグネット1及びポールピース2とシャフト3は、磁気回路を形成して隙間5に集中した磁束を与え、隙間5に磁性流体6をOリング状に保持することによって、シール機能を発揮せしめている。
【0009】なお、個々の環状凸部3aに保持された磁性流体6は、累加によって耐圧を増すように作用する。
【0010】また、従来から図4に示される磁性流体シール装置も提案されている。図4において、ハウジング4の内側には、マグネット1と1対の環状ポールピース2とで構成されるシール体が配置されている。
【0011】一方、シャフト3には、両端面に径方向に同心的に配列された環状凸部7aを有する磁性ディスク7が、ポールピース2に挟まれた状態で、シャフト3と一体或いは別体に形成されている。
【0012】そして、マグネット1及びポールピース2と磁性ディスク7とで形成される磁気回路によって、ポールピース2と磁性ディスク7の環状凸部7aとの隙間5に、磁性流体6を保持し、シール機能を発揮せしめている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の図3、図4に示されるような従来技術の磁性流体シール装置の場合には、下記のような問題が生じていた。
【0014】図3の構成によれば、1つの隙間5に磁性流体6が保持された磁性流体シール1個当たりの耐圧向上を図る上で、シャフト3周面の環状凸部3aとポールピース2内周面との隙間5を狭く設定するのが望ましい。
【0015】しかし、図3の磁性流体シール装置をシャフト3の振動が大きな回転機械に適用する場合には、シャフト3周面の環状凸部3aとポールピース2内周面とが接触しないように、隙間5をシャフト3の振れ幅よりも広く設定せざるを得ないため、磁性流体シール1個当たりの耐圧が大幅に低下してしまう。
【0016】その結果、所望の耐圧を得るために必要な磁性流体シールの個数が増加し、装置の軸方向寸法が長くなるといった装置大型化の問題があった。
【0017】一方、図4の構成によれば、磁性流体シール1個当たりの耐圧向上を図る上で、磁性ディスク7の環状凸部7aとポールピース2との隙間5を狭く設定するのが好ましい。
【0018】しかし、図4の装置において各部材の加工精度や位置決め精度が不十分であったり、使用環境下の温度熱変化に起因する各部材の熱膨張・収縮が大きい場合には、磁性ディスク7の環状凸部7aとポールピース2とが接触しないように隙間5を広く設定せざるを得ないため、磁性流体シール1個当たりの耐圧が大幅に低下してしまう。
【0019】その結果、所望の耐圧を得るために必要な磁性流体シールの個数が増加し、装置が径方向に長くなるといった装置大型化の問題があった。
【0020】本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、安定したシール性を維持して装置の小型化を図る高性能な磁性流体シール装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明にあっては、互いに相対回転自在に組付けられる2部材間の環状隙間をシールするもので、2部材の内、どちらか一方の部材の前記環状隙間側に設けられた第1磁極部と、他方の部材の前記環状隙間側に設けられた第2磁極部と、前記環状隙間を通過する磁界を形成する磁力発生手段と、該磁力発生手段の磁界によって、前記環状隙間を介して対向する前記第1磁極部と前記第2磁極部との間に保持され、前記環状隙間を密封する磁性流体と、を備えた磁性流体シール装置において、前記第1磁極部及び前記第2磁極部に、他方の磁極部に対して突出する複数の環状凸部を、それぞれ互い違いに交互に突出させて設けたことを特徴とする。
【0022】したがって、磁性流体を、一方の磁極部の環状凸部とその隣の他方の磁極部の環状凸部との間の隙間に保持することができ、両磁極部の相対位置が遠近方向に変化しても、磁性流体を保持した隙間の変化量を小さく抑えることができる。このため、従来の装置に比べて磁性流体シール1個当たりの耐圧が向上し、安定したシール性を維持することができる。その結果、所望の耐圧を得るために必要な磁性流体シールの個数を従来よりも減少させて、装置の小型化が図れる。
【0023】前記第1磁極部及び前記第2磁極部のいずれか一方の磁極部の環状凸部と、該一方の環状凸部の隣に配置された他方の磁極部の環状凸部と、の隙間が、前記一方の磁極部の環状凸部と、前記一方の磁極部の環状凸部に対向して前記他方の磁極部の環状凸部間に形成される凹部と、の隙間よりも狭く設けられたことが好ましい。
【0024】これにより、磁性流体を、一方の磁極部の環状凸部とその隣の他方の磁極部の環状凸部との間の隙間に確実に保持することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0026】(第1の実施の形態)図1を参照して、第1の実施の形態について説明する。
【0027】図1は、磁性流体シール装置の断面構成図であり、磁性流体シール装置は、圧力差のある高圧側H及び低圧側Lの2領域間にまたがり、2部材としてのハウジング4とシャフト3間の環状隙間に備えられている。
【0028】ハウジング4は、回転機械等に設けられたもので、非磁性体である。また、ハウジング4の内側には、軸方向に磁化されている環状の磁力発生手段としてのマグネット1が備えられている。
【0029】マグネット1の軸方向両端部には、第1磁極部としての1対の環状ポールピース2が設けられており、マグネット1及びポールピース2によって、ハウジング4に設けられたシール体が構成される。
【0030】一方、シャフト3は、ハウジング5内に不図示の軸受けを介して回転自在に支持されたもので、磁性体であり、第2磁極部ともなっている。また、シャフト3の周面には、複数の環状凸部3aが形成されている。
【0031】また、シャフト3周面に対向したシール体のポールピース2内周面には、複数の環状凸部2aが形成されている。シャフト3周面の環状凸部3aとポールピース2内周面の環状凸部2aとは、それぞれ軸方向に互い違いに交互に突出している。
【0032】即ち、シャフト3周面の環状凸部3aにはポールピース2内周面の環状凸部2a間の凹部が対向し、ポールピース2内周面の環状凸部2aにはシャフト3周面の環状凸部3a間の凹部が対向する配置となっている。
【0033】そして、隣り合う、シャフト3周面の環状凸部3aとポールピース2内周面の環状凸部2aとの距離は、それぞれの環状凸部2a,3aとそれぞれに対向する凹部との距離よりも狭くなっている。
【0034】また、マグネット1及びポールピース2とシャフト3は、磁気回路を形成する。本実施の形態の磁性流体シール装置では、ポールピース2及びシャフト3に環状凸部2a,3aが形成されており、磁気回路の磁束はこれらの環状凸部2a,3aに集中し、環状凸部2a,3aにおける磁性流体の吸着力が増大する。
【0035】したがって、磁性流体6を充填すると、磁性流体6は環状凸部2a,3a間の隙間5を橋渡しするように保持され、シール機能を発揮する。
【0036】上記の構成によれば、磁性流体6を保持する隙間5が環状凸部2a,3a間であるため、それぞれの環状凸部2a,3aとそれぞれに対向する凹部との距離であるポールピース2とシャフト3との径方向距離は、隙間5の距離によらず任意に設定することができる。
【0037】このため、シャフト3の振動が大きい場合には、それぞれの環状凸部2a,3aとそれぞれに対向する凹部との距離をシャフト3の振れ幅よりも広く設定すれば、磁性流体6が保持される隙間5の距離を変更することなく、ポールピース2とシャフト3との接触を回避することができる。
【0038】よって、本実施の形態の磁性流体シール装置においては、磁性流体6が保持される隙間5をシャフト3の振れ幅よりも狭く設定することができ、さらに、シャフト3の振れに起因する隙間5の変化量をシャフト3の振れ幅よりも小さく抑えられることから、従来の装置に比べて隙間5に磁性流体6を保持した磁性流体シール1個当たりの耐圧が向上し、安定したシール性を維持することができる。
【0039】その結果、所望の耐圧を得るために必要な磁性流体シールの個数を従来よりも減少させて、装置の軸方向寸法を短くすることができ、装置の小型化が図れる。
【0040】また、上記したように、磁性流体6が保持される隙間5を、それぞれの環状凸部2a,3aとそれぞれに対向する凹部との距離よりも狭く設定したので、磁性流体6は隙間5に確実に保持され、磁性流体6の移動もないことから安定したシール性を維持することができる。
【0041】なお、本発明はこの実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、その趣旨を損ねない範囲で適宜変更・改良が可能であり、例えば環状凸部2a,3aの個数等を任意に変更してよい。
【0042】(第2の実施の形態)図2には、第2の実施の形態が示されている。上記第1の実施の形態では、磁性流体シール装置をシャフト3の振動が大きな回転機械に適用する場合について説明したが、本第2の実施の形態では、各部材の加工精度や位置決め精度が不十分であったり、使用環境下の温度熱変化に起因する各部材の熱膨張・収縮が大きい場合に適用したものについて説明する。
【0043】ここで、第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様にシャフト3の振動が大きな回転機械に適用する場合であってもよく、これらの実施の形態を適用するための要因はどのようなものであってもよい。
【0044】図2に第2の実施の形態を示す。図2は、磁性流体シールの断面図であり、磁性流体シール装置は、圧力差のある高圧側H及び低圧側Lの2領域間にまたがり、ハウジング4とシャフト3間の環状隙間に備えられている。
【0045】ハウジング4は、回転機械等に設けられたもので、非磁性体である。また、ハウジング4の内側には、磁力発生手段としてのマグネット1と第1磁極部としての1対の環状ポールピース2とで構成されるシール体が配置されている。
【0046】一方、回転自在に支持されたシャフト3には、両端面に径方向に同心的に配列された環状凸部7aを有する第2磁極部としての磁性ディスク7が、ポールピース2に挟まれた状態で、シャフト3と一体或いは別体に形成されている。
【0047】また、磁性ディスク7を挟んだポールピース2の磁性ディスク7対向面には、径方向に同心的に配列された環状凸部2aが形成されている。磁性ディスク7の環状凸部7aとポールピース2の環状凸部2aとは、それぞれ径方向に互い違いに交互に突出している。
【0048】即ち、磁性ディスク7の環状凸部7aにはポールピース2の環状凸部2a間の凹部が対向し、ポールピース2の環状凸部2aには磁性ディスク7の環状凸部7a間の凹部が対向する配置となっている。
【0049】そして、隣り合う、磁性ディスク7の環状凸部7aとポールピース2の環状凸部2aとの距離は、それぞれの環状凸部2a,7aとそれぞれに対向する凹部との距離よりも狭くなっている。
【0050】また、マグネット1及びポールピース2と磁性ディスク7は、磁気回路を形成する。本実施の形態の磁性流体シール装置では、ポールピース2及び磁性ディスク7に環状凸部2a,7aが形成されており、磁気回路の磁束はこれらの環状凸部2a,7aに集中し、環状凸部2a,7aにおける磁性流体の吸着力が増大する。
【0051】したがって、磁性流体6を充填すると、磁性流体6は環状凸部2a,7a間の隙間5を橋渡しするように保持され、シール機能を発揮する。
【0052】上記の構成によれば、磁性流体6を保持する隙間5が環状凸部2a,7a間であるため、それぞれの環状凸部2a,7aとそれぞれに対向する凹部との距離であるポールピース2と磁性ディスク7との軸方向距離は、隙間5の距離によらず任意に設定することができる。
【0053】このため、各部材の加工精度や位置決め精度が不十分であったり、使用環境下の温度変化に起因する各部材の熱膨張・収縮が大きい場合においても、それに応じてそれぞれの環状凸部2a,7aとそれぞれに対向する凹部との距離を設定すれば、磁性流体6が保持される隙間5の距離を変更することなく、ポールピース2と磁性ディスク7との接触を回避することができる。
【0054】よって、本実施の形態の磁性流体シール装置においては、ポールピース2を基準とした磁性ディスク7の相対位置がある程度軸方向に変化しても、磁性流体6が保持される隙間5の変化量を、ポールピース2を基準とした磁性ディスク7の相対位置の軸方向変化量よりも小さく抑えることから、従来の装置に比べて磁性流体シール1個当たりの耐圧が向上し、安定したシール性を維持することができる。
【0055】その結果、所望の耐圧を得るために必要な磁性流体シールの個数を従来よりも減少させて、装置の径方向寸法を短くすることができ、装置の小型化が図れる。
【0056】また、上記したように、磁性流体6が保持される隙間5を、それぞれの環状凸部2a,7aとそれぞれに対向する凹部との距離よりも狭く設定したので、磁性流体6は隙間5に確実に保持され、磁性流体6の移動もないことから安定したシール性を維持することができる。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、第1磁極部及び第2磁極部に、他方の磁極部に対して突出する複数の環状凸部を、それぞれ互い違いに交互に突出させて設けたことで、磁性流体を、一方の磁極部の環状凸部とその隣の他方の磁極部の環状凸部との間の隙間に保持することができ、両磁極部の相対位置が遠近方向に変化しても、磁性流体を保持した隙間の変化量を小さく抑えることができる。このため、従来の装置に比べて磁性流体シール1個当たりの耐圧が向上し、安定したシール性を維持することができる。その結果、所望の耐圧を得るために必要な磁性流体シールの個数を従来よりも減少させて、装置の小型化が図れる。
【0058】第1磁極部及び第2磁極部のいずれか一方の磁極部の環状凸部と、一方の環状凸部の隣に配置された他方の磁極部の環状凸部と、の隙間が、一方の磁極部の環状凸部と、一方の磁極部の環状凸部に対向して他方の磁極部の環状凸部間に形成される凹部と、の隙間よりも狭く設けられたことで、磁性流体を、一方の磁極部の環状凸部とその隣の他方の磁極部の環状凸部との間の隙間に確実に保持することができる。




 

 


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