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発明の名称 歯車装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−116114(P2001−116114A)
公開日 平成13年4月27日(2001.4.27)
出願番号 特願平11−293285
出願日 平成11年10月15日(1999.10.15)
代理人 【識別番号】100071205
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 陽一
【テーマコード(参考)】
3J030
【Fターム(参考)】
3J030 AA11 AB04 BB03 BB17 BC01 BD04 
発明者 関 一成
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 周方向相対変位可能に組み合わされた複数の歯車(2)(5)を位相がずれた状態となるように弾性復帰させる弾性手段を備えた歯車装置(1)において、前記弾性手段が、一の歯車(5)に連結された環状のゴム状弾性体(6)よりなり、前記一の歯車(5)が前記ゴム状弾性体(6)を介して他の歯車(2)に連結されていることを特徴とする歯車装置。
【請求項2】 ボス部(13)の外周側に位相を合わせた状態で設けられた第一および第二歯車(12)(14)と、前記両歯車(12)(14)の間に位相をずらした状態で周方向相対変位可能に組み合わされた第三歯車(15)と、前記第三歯車(15)に連結された環状のゴム状弾性体(16)とを有し、前記第三歯車(15)が前記ゴム状弾性体(16)を介して前記ボス部(13)または他の歯車(12)(14)に連結されていることを特徴とする歯車装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伝動装置の一種である歯車装置に係り、特にバックラッシュの低減機能ないし解消機能を備えた歯車装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、図4および図5に示す歯車装置51が知られており、以下のように構成されている。
【0003】すなわち先ず、内周にボス部52aを一体成形した第一歯車52が設けられており、この第一歯車52のボス部52aの外周側に第二歯車53が歯52b,53aの位相をずらした状態で周方向相対変位可能に組み合わされており、この第二歯車53が第一歯車52から外れることがないように、皿バネ54が第二歯車53を第一歯車52に押し付けており、皿バネ54が同じく第一歯車52から外れることがないように、第一歯車52のボス部52aの内周側に圧入されたブッシュ55がそのフランジ部55aにおいて皿バネ54を支持している。もしくは、ボス部52aの外周側にC形止め輪溝を設けて皿バネ54をC形止め輪で支持している(図示せず)。
【0004】また、両歯車52,53の間に、これらの歯車52,53によって囲まれるようにして弾性体装着空間である装着溝56が所要数等配状に設けられており(図では四等配)、この装着溝56にそれぞれコイル状を呈する金属製のスプリング57が各歯車52,53における周方向に向けて装着されている。
【0005】上記構成の歯車装置51は、その第一および第二歯車52,53に対して相手歯車(図示せず)を噛み合わせたときに、両歯車52,53の歯52b,53aがスプリング57の弾性により相手歯車の歯を挟み込むことによってバックラッシュを低減ないし解消するように構成されているが、以下のような不都合を有している。
【0006】すなわち先ず第一に、相手歯車の歯を挟み込むべく第一および第二歯車52,53を周方向に弾性復帰させる弾性手段が金属製のスプリング57によって構成されているために、このスプリング57を装着する装着溝56におけるスプリング57との干渉部56aや座部56bが剛材接触により摩耗することがあり、このように干渉部56aや座部56bが摩耗すると、スプリング57のバネ特性が変わってしまうことになる。また、スプリング57が装着溝56内でガタつくことになり、摩耗の進行過程ではスプリング57と座部56bとが擦れて大きな異音が発生することもある。
【0007】また、上記したように弾性手段がスプリング57によって構成されている場合には、周方向に作用する弾性負荷により装着溝56の内壁角部56cに応力集中が発生し易く、このように応力集中が発生すると、その発生部分において歯車52,53が破損することがある。
【0008】また、上記歯車装置51には、回転トルクの伝達作用に直接寄与しない皿バネ54やブッシュ55等の付属部品が備えられているために、部品仕様に無駄があると言わざるを得ず、その製造や組立てに多くの手間や時間がかかるとともにコスト的にも不利である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の点に鑑み、歯車がスプリングとの干渉や擦れ合い等によって摩耗したり破損したりすることがなく、もってその耐久性を向上させることが可能な歯車装置を提供することを目的とし、またこれに加えて、部品仕様に無駄のない歯車装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の請求項1による歯車装置は、周方向相対変位可能に組み合わされた複数の歯車を位相がずれた状態となるように弾性復帰させる弾性手段を備えた歯車装置において、前記弾性手段が、一の歯車に連結された環状のゴム状弾性体よりなり、前記一の歯車が前記ゴム状弾性体を介して他の歯車に連結されていることを特徴とするものである。
【0011】また、本発明の請求項2による歯車装置は、ボス部の外周側に位相を合わせた状態で設けられた第一および第二歯車と、前記両歯車の間に位相をずらした状態で周方向相対変位可能に組み合わされた第三歯車と、前記第三歯車に連結された環状のゴム状弾性体とを有し、前記第三歯車が前記ゴム状弾性体を介して前記ボス部または他の歯車に連結されていることを特徴とするものである。
【0012】上記構成を備えた本発明の請求項1による歯車装置は、バックラッシュを低減ないし解消すべく歯の位相を異ならせるとともに相対変位可能に組み合わされた複数の歯車を周方向に弾性付勢してなる歯車装置において、弾性手段を一の歯車に連結された環状のゴム状弾性体によって構成したものであって、このように弾性手段が一の歯車に連結された環状のゴム状弾性体によって構成されると、その比較的柔らかな材質特性によって、金属または樹脂製の歯車が摩耗もしくは破損したり、大きな異音が発生したりするのを防止することが可能となる。本発明において、並設される歯車の設置数は複数であって、二枚の場合が含まれ、また三枚以上の場合が含まれる。また歯車装置には、平歯、ハス歯またはウオームホイル等、各種の歯車が含まれる。
【0013】またこれに加えて、上記構成を備えた本発明の請求項2による歯車装置によれば、ボス部の外周に第一および第二歯車が設けられ、両歯車の間に第三歯車が設けられ、更に環状のゴム状弾性体が設けられるだけの部品構成とすることができるために、上記従来技術における皿バネやブッシュ等の付属部品を不要とすることが可能となる。ボス部は各歯車に対して別体成形されるが、これを第一および第二歯車の何れか一方に一体成形するようにしても良い。
【0014】
【発明の実施の形態】つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0015】第一実施例・・・図1は、本発明の第一実施例に係る歯車装置1の正面を示しており、そのC−O−C線断面が図2に示されている。
【0016】当該実施例に係る歯車装置1は、各種のトルク伝達部に平歯歯車として用いられるものであって、以下のように構成されている。
【0017】すなわち先ず、駆動力伝達歯車として第一歯車2が設けられており、この第一歯車2の内周側に円筒状のボス部3が嵌合または圧入等の手段によって固定されている。この第一歯車2とボス部3とは互いに別体に成形されているが、両者を一体に成形することにしても良い。
【0018】ボス部3の外周側に、第一歯車2と並んで、位相歯車としての第二歯車5が設けられており、この第二歯車5の内周側に環状のゴム状弾性体6が接着等の手段によって連結されている。また、このゴム状弾性体6の内周側に環状の連結部材7が接着等の手段によって連結されており、この連結部材7がボス部3の外周側に嵌合または圧入等の手段によって固定されている。ゴム状弾性体6は、その加硫成形と同時に第二歯車5の内周面および連結部材7の外周面に加硫接着されていて、これによりこの三部品よりなる一体の加硫成形品が成形されており、この一体の成形品が纏めてボス部3の外周に装着されている。
【0019】第二歯車5は、第一歯車2に対してその歯2a,5aの位相をずらした状態となるように設定されており、かつ第一歯車2に対して周方向相対変位可能に組み合わされている。また、この第二歯車5は、上記構成により、その内周面に連結されたゴム状弾性体6を介して、更に連結部材7を介してボス部3に連結されている。
【0020】上記構成を備えた歯車装置1の第一および第二歯車2,5に対して相手歯車(図示せず)を噛み合わせると、両歯車2,5の歯2a,5aの間に相手歯車の歯を挟むべく第二歯車5が第一歯車2に対して周方向一方に相対変位するが、このように第二歯車5が第一歯車2に対して周方向に相対変位すると、環状のゴム状弾性体6が捩り変形して、第二歯車5を元の周方向位置に復帰させようとする。したがって、その結果として、両歯車2,5の歯2a,5aがその間に相手歯車の歯を挟み込む状態が実現され、これによりバックラッシュが低減ないし解消される。
【0021】上記歯車装置1は、以下の作用効果を奏するものである。
【0022】すなわち先ず第一に、周方向相対変位可能に組み合わされた第一および第二歯車2,5を歯2a,5aの位相が互いにずれた状態となるよう弾性復帰させる弾性手段が、従来のように金属製のスプリングではなく、第二歯車5の内周に接着された環状のゴム状弾性体6によって構成されているために、このゴム状弾性体6の比較的柔らかな材質特性によって、金属または樹脂製の各歯車2,5が摩耗もしくは破損したり、大きな異音が発生したりするのを防止することができる。したがって、各歯車2,5の耐久性を向上させることができ、また、異音の発生を抑えて静粛性に優れた歯車装置1を提供することができる。
【0023】また、第一歯車2およびボス部3に対して、上記したように第二歯車5、ゴム状弾性体6および連結部材7よりなる一体成形品を加えるだけの部品構成とされているために、上記従来技術における皿バネやブッシュ等の付属部品を一切不要とすることができる。したがって、部品仕様に無駄がなく、製造や組立てが容易で、コスト的にも有利な歯車装置1を提供することができる。
【0024】第二実施例・・・図3(A)は、本発明の第二実施例に係る歯車装置11の半裁断面を示しており、この歯車装置11は各種のトルク伝達部にハス歯歯車として用いられるものであって、以下のように構成されている。
【0025】すなわち先ず、第一駆動力伝達歯車として第一歯車12が設けられており、この第一歯車12の内周側に円筒状のボス部13が嵌合または圧入等の手段によって固定されている。この第一歯車12とボス部13とは互いに別体に成形されているが、両者を一体に成形することにしても良い。
【0026】ボス部13の外周側に、第一歯車12と並んで、第二駆動力伝達歯車として第二歯車14が嵌合または圧入等の手段によって固定されており、この両歯車12,14の間に位相歯車として第三歯車15が設けられている。
【0027】また、この第三歯車15の内周側に、環状のゴム状弾性体16が接着等の手段によって連結されており、このゴム状弾性体16の内周側に環状の連結部材17が接着等の手段によって連結されており、この連結部材17がボス部13の外周側に嵌合または圧入等の手段によって固定されている。ゴム状弾性体16は、その加硫成形と同時に第三歯車15の内周面および連結部材17の外周面に対して加硫接着されていて、これによりこの三部品よりなる一体の加硫成形品が成形されており、この一体の成形品が纏めてボス部13の外周に装着されている。
【0028】第一および第二歯車12,14は、その歯12a,14aの位相を互いに合致させるよう設定されており、これに対して第三歯車15は、第一および第二歯車12,14に対してその歯15aの位相をずらした状態となるように設定され、かつ第一および第二歯車12,14に対して周方向相対変位可能に組み合わされている。また、この第二歯車15は、上記構成により、その内周面に連結されたゴム状弾性体16を介して、更に連結部材17を介してボス部13に連結されている。
【0029】上記構成を備えた歯車装置11における第一ないし第三歯車12,14,15に対して相手歯車(図示せず)を噛み合わせると、第一および第二歯車12,14の歯12a,14aと第三歯車15の歯15aとの間に相手歯車の歯を挟むべく第三歯車15が第一および第二歯車12,14に対して周方向一方に相対変位するが、このように第三歯車15が第一および第二歯車12,14に対して周方向に相対変位すると、環状のゴム状弾性体16が捩り変形して、第三歯車15を元の周方向位置に復帰させようとする。したがって、その結果として、第一および第二歯車12,14の歯12a,14aと第三歯車15の歯15aとがその間に相手歯車の歯を挟み込む状態が実現され、これによりバックラッシュが低減ないし解消される。
【0030】上記歯車装置11は、以下の作用効果を奏するものである。
【0031】すなわち先ず第一に、周方向相対変位可能に組み合わされた第一および第二歯車12,14と第三歯車15とを歯12a,14a,15aの位相が互いにずれた状態となるように弾性復帰させる弾性手段が、従来のように金属製のスプリングではなく、第三歯車15の内周に接着された環状のゴム状弾性体16によって構成されているために、このゴム状弾性体16の比較的柔らかな材質特性によって、金属または樹脂製の各歯車12,14,15が摩耗もしくは破損したり、大きな異音が発生したりするのを防止することができる。したがって、各歯車12,14,15の耐久性を向上させることができ、また、異音の発生を抑えて静粛性に優れた歯車装置11を提供することができる。
【0032】また、第一および第二歯車12,14ならびにボス部13に対して、上記したように第三歯車15、ゴム状弾性体16および連結部材17よりなる一体成形品を加えるだけの部品構成とされているために、上記従来技術における皿バネやブッシュ等の付属部品を一切不要とすることができる。したがって、部品仕様に無駄がなく、製造や組立てが容易で、コスト的にも有利な歯車装置11を提供することができる。
【0033】また、第一および第二歯車12,14に対して歯15aの位相をずらせた第三歯車15が両歯車12,14の間であって軸方向中央に配置されているために、伝達トルクが第一および第二歯車12,14の各歯12a,14aの歯面に均一に伝えられる。したがって、歯面12a,14aに偏摩耗が発生するのを抑えることができ、また歯打ち音を低減させることができる。
【0034】更にまた、第一歯車12と第三歯車15の間および第二歯車14と第三歯車15の間にそれぞれ軸方向間隙による空間18が設定されれば、この空間18にオイルが溜まることによって潤滑効果を大きくすることができる。したがって、各歯12a,14a,15aの歯面に摩耗が発生するのを一層抑えることができる。
【0035】尚、この第二実施例に係る歯車装置11は、図3(B)に示すように、ウオームホイル等とすることも可能である。
【0036】
【発明の効果】本発明は、以下の効果を奏する。
【0037】すなわち先ず、上記構成を備えた本発明の請求項1による歯車装置においては、周方向相対変位可能に組み合わされた複数の歯車を位相がずれた状態となるように弾性復帰させる弾性手段が、従来のように金属製のスプリングではなく、一の歯車に連結された環状のゴム状弾性体によって構成されているために、このゴム状弾性体の比較的柔らかな材質特性によって、各歯車が摩耗もしくは破損したり、大きな異音が発生したりするのを防止することができる。したがって、耐久性に優れ、また異音の発生を抑えて静粛性に優れた歯車装置を提供することができる。
【0038】またこれに加えて、上記構成を備えた本発明の請求項2による歯車装置においては、ボス部の外周に第一および第二歯車が設けられ、両歯車の間に第三歯車が設けられ、更に環状のゴム状弾性体が加えられるだけの部品構成とすることができるために、上記従来技術における皿バネやブッシュ等の付属部品を不要とすることができる。したがって、部品仕様に無駄がなく、製造や組立てが容易で、コスト的にも有利な歯車装置を提供することができる。
【0039】また、第一および第二歯車に対して位相をずらせた第三歯車が第一および第二歯車の間であって軸方向中央に配置されているために、伝達トルクが各歯の歯面に対して均一に伝えられる。したがって、歯面に偏摩耗が発生するのを抑えることができ、また歯打ち音を低減させることができる。
【0040】更にまた、第一歯車と第三歯車の間および第二歯車と第三歯車の間にそれぞれ軸方向間隙による空間を設定すれば、この空間にオイルが溜まることによって潤滑効果を大きくすることができる。したがって、各歯の歯面に摩耗が発生するのをより良く抑えることができる。




 

 


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