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発明の名称 溝掘削機、溝掘削機における溝壁形状表示方法および溝壁形状修正方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−348906(P2001−348906A)
公開日 平成13年12月21日(2001.12.21)
出願番号 特願2000−173324(P2000−173324)
出願日 平成12年6月9日(2000.6.9)
代理人 【識別番号】100105692
【弁理士】
【氏名又は名称】明田 莞
発明者 水谷 元彦 / 中山 忠雄
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 掘削刃を有する無端状の掘削チェーンを駆動しながら、傾斜角を検出する少なくとも一つ以上の傾斜計が埋設されてなる溝掘削体を地中で横方向に移動させ、その横移動方向に溝を掘削する溝掘削機において、前記傾斜計から出力されるアナログ傾斜信号をデジタル傾斜信号に変換するA/D変換器と、溝掘削機本体の横移動距離を計測する走行距離計と、前記A/D変換器から出力されるデジタル傾斜信号および前記走行距離計から出力される前記移動距離信号とを受け取って前記溝掘削体の横移動経過を3次元処理した傾斜データを横方向に累積する演算器と、この演算器から出力される累積された傾斜データを溝壁形状としてリアルタイムで表示するモニタとからなる溝壁形状表示装置とを備えてなることを特徴とする溝掘削機。
【請求項2】 前記傾斜計の何れもが、溝壁と平行な横方向および溝壁と直交する方向の前記溝掘削体の傾斜角を同時に計測し得る機能を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の溝掘削機。
【請求項3】 前記走行距離計が、地面を転動する車輪の回転により溝掘削機本体の横移動距離を計測するエンコーダを備えてなることを特徴とする請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の溝掘削機。
【請求項4】 掘削刃を有する無端状の掘削チェーンを駆動しながら溝掘削体を地中で横方向に移動させ、その横移動方向に溝を掘削するに際して、前記溝掘削体の地中部分の溝の深度方向の傾斜を、溝掘削体に設けた少なくとも一つ以上の傾斜計で計測し、計測により得られたアナログ傾斜信号をデジタル変換し、変換されたデジタル傾斜信号を演算器に入力すると共に、このデジタル傾斜信号の入力と並行して溝掘削機本体の横移動距離信号を入力し、演算器により予め設定したサンプリングタイムに対応した横移動距離毎の前記デジタル傾斜信号を3次元処理して得られる溝壁の傾斜データを横方向に累積し、累積した傾斜データを溝壁形状としてモニタにリアルタイムで表示することを特徴とする溝掘削機における溝壁形状表示方法。
【請求項5】 前記傾斜データを、演算器の記憶装置に記憶させ、記憶した傾斜データを、モニタにより溝壁形状として任意の時間に再表示するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の溝掘削機における溝壁形状表示方法。
【請求項6】 前記傾斜計の設置位置に対応する深度以外の深度の溝壁形状を、溝掘削体の剛性、撓み曲線から推定演算し、任意の深度における溝壁形状を導出し得るようにしたことを特徴とする請求項4または5のうちの何れか一つの項に記載の溝掘削機における溝壁形状表示方法。
【請求項7】 前記傾斜データを演算器で処理し、処理により得られた溝壁形状をプリンタにより印字出力するようにしたことを特徴とする請求項4,5または6のうちの何れか一つの項に記載の溝掘削機における溝壁形状表示方法。
【請求項8】 掘削刃を有する無端状の掘削チェーンを駆動しながら溝掘削体を地中で横方向に移動させ、その横移動方向に溝を掘削するに際して、前記溝掘削体の地中部分の溝の深度方向の傾斜を、溝掘削体に設けた少なくとも一つ以上の傾斜計で計測し、計測により得られたアナログ傾斜信号をデジタル変換し、変換されたデジタル傾斜信号を演算器に入力すると共に、このデジタル傾斜信号の入力と並行して溝掘削機本体の横移動距離信号を入力し、演算器により予め設定したサンプリングタイムに対応した横移動距離毎の前記デジタル傾斜信号を3次元処理して得られる溝壁の傾斜データを横方向に累積し、累積した傾斜データを溝壁形状としてモニタにリアルタイムで表示し、表示された溝壁形状に基づいて溝掘削体を溝掘削機本体の中心方向または外方向に傾斜させ、溝掘削体を溝壁に押付けながら横方向に移動させて溝壁の傾斜面を削り取ることを特徴とする溝掘削機における溝壁形状修正方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地中に溝を掘削する溝掘削機、溝掘削機における溝壁形状表示方法および溝壁形状修正方法に関し、より詳しくは、地中により平坦度が優れた高精度の溝壁を有する溝を掘削することを可能ならしめるようにした溝掘削機、溝掘削機における溝壁形状表示方法および溝壁形状修正方法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】周知のとおり、基礎土木工事分野には、地中に溝を掘削する作業分野がある。このような溝は、新規に建造物を建設するに際して、土圧や地下水から建設作業現場を守る上において必要不可欠なものであるが、これら以外に、例えば単純に止水、軟弱地盤の改良ならびに構造物の基礎を構築するためにも利用されている。ところで、地中に溝を掘削するに際しては、従来から、溝の溝壁の平坦度等が問題になっていた。そこで、溝の溝壁の平坦度を向上させるために、種々の溝掘削機が提案されている。
【0003】地中に掘削する溝の溝壁の平坦度の向上を可能ならしめるようにした溝掘削機としては、例えば、特開平11−93202号公報に開示されてなるものが公知である。以下、この従来例に係る溝掘削機の構成を、その模式的正面図の図5と、傾斜計である地中傾斜計を連結ロッドでつないだ状態を示す図の図6(a)と、溝掘削体を構成するカッタポストの断面平面図の図6(b)と、各傾斜計およびデータ処理手段のブロック図の図7と、データ処理手段で表示される画面の一例を示す図の図8とを順次参照しながら、地中に鉛直な溝を掘削する場合を例として説明する。
【0004】図5に示す符号1は溝掘削機である。この溝掘削機1は、地上面を走行する走行体2aと、この走行体2aの上に配設された旋回体2bとからなる掘削装置本体2を備えている。この掘削装置本体2を旋回体2bには図示しないステイシリンダにより溝掘削機本体2の移動方向と平行な支点を回動支点として回動される門型フレーム3が設置されている。この門型フレーム3には、スライドシリンダ4aにより略水平方向(地面と平行な横方向)にスライドするリーダ4が支持されている。このリーダ4には、図示しない油圧シリンダによって昇降される回転駆動装置7が取り付けられている。そして、この回転駆動装置7には原動スプロケット6bが設けられ、この原動スプロケット6bは回転駆動装置7により正逆駆動されるようになっている。
【0005】前記回転駆動装置7のハウジングの下端には、下方に延びるカッタポスト6aが連結されている。このカッタポスト6aは、多数のエレメントが上下に連結されたもので、その下端には自由回転する従動スプロケット6cが取り付けられている。また、前記原動スプロケット6bと従動スプロケット6cとの間に無端状の掘削チェーン6dが掛装されることにより溝掘削体6が構成されており、前記カッタポスト6aおよび回転駆動装置7のハウジングにより、原動・従動スプロケット6b,6cを回転可能に支持する溝掘削体フレームが構成されている。前記掘削チェーン6dの表面には、多数の掘削刃6eが設けられており、この掘削チェーン6dを原動・従動スプロケット6b,6cと共に駆動しながら地中で溝掘削体6を横方向に移動させることにより、その進行方向に溝100を掘削することができるように構成されている。
【0006】さらに、前記カッタポスト6aには、上下方向に並ぶ複数個(本例では4個である。)の地中傾斜計11,12,13,14が配設され、そして走行体2aには地上傾斜計15が配置されている。これら傾斜計11乃至15は、走行体2aが走行する地面の傾き角度をそれぞれ検出するものとなっている。これら傾斜計11乃至15には従来から知られている傾斜角センサ、例えばひずみゲージ式センサ、ポテンショメータ式センサ、静電容量式センサ等を用いることができる。なお、各傾斜計11乃至15は、溝掘削体6の進行方向と平行な方向(図5では左右方向;以下「面内方向という。)の傾斜角を検出するものであっても良いし、また溝掘削体6の進行方向に対して直交する方向(図1では奥行き方向;以下「面外方向」という。)の傾斜角を検出するものであっても良い。この従来例では両方向の傾斜角を同時に検出する傾斜角センサが用いられている。
【0007】前記地中傾斜計11乃至14のうち、最下段の地中傾斜計11は、カッタポスト6aの下端近傍位置に配設されており、この最下段の地中傾斜計11から適当な間隔をおいて順に地中傾斜計12,13,14が配設されている。これら地中傾斜計11乃至14は、図6(a)に示すように、上下に延びる連結ロッド16を介して上下に連結されて単一の傾斜計結合体をなしており、各連結ロッド16の長さ寸法が地中傾斜計同志の離間寸法となっている。そして、地中傾斜計同志を電気的に接続する電線17が前記連結ロッド16に沿って配線されている。
【0008】一方、図6(b)に示すように、カッタポスト6aには、上下方向(図では奥行き方向)に延びるエア等の供給孔18の他、これと平行に傾斜計挿入孔19が設けられており、この傾斜計挿入孔19内に、前記図6(a)に示した傾斜計結合体が上から挿入されることにより、全ての地中傾斜計11乃至14がカッタポスト6a内に収納され、かつ所定の高さ位置に配設された状態となっている。
【0009】前記旋回体2bに搭載された運転室2cには、図7に示すようなデータ処理手段40が配設されている。このデータ処理手段40は、データロガー41とパーソナルコンピュータ42とからなっている。前記データロガー41には、電線17を介して各地中傾斜計11乃至14が接続されると共に、地上傾斜計15も接続され、所定のサンプリング時間が経過する度に各傾斜計11乃至15の出力アナログ信号を取り込み、これら信号をパーソナルコンピュータ42に入力可能な信号(傾斜角に相当するデジタル信号)に変換して記録するようになっている。前記パーソナルコンピュータ42は、データロガー41に記録されたデータを整理し、整理したデータからカッタポスト6aの傾斜状態や撓み状態を割り出してモニタ画面に時々刻々表示し、オペレータに認識させるものである。
【0010】前記パーソナルコンピュータ42による表示画面の一例を、図8を参照しながら説明すると、モニタの表示画面には、深度数値(地面からの上下方向の距離)51、内面方向におけるカッタポスト6aの撓み曲線52、所定深度における面内方向および面外方向の傾斜角(地面に対する相対的な傾斜角)53A,53B、面内方向および面外方向へのカッタポスト6aの撓み量54A,54Bの他、適時、運転操作の指示55や警告が表示されるようになっている。従って、オペレータは、この表示画面により、現在のカッタポスト6aの傾斜状態や撓み状態を一目で把握することができ、そして現状に則した適切な運転操作を行うことにより、地中に壁の平坦度が優れた高精度の溝を掘削することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例に係る溝掘削機によれば、地中に鉛直度が優れた高精度の溝壁を掘削することができるので、極めて有用であると考えられる。ところで、地中への溝の掘削工事において、鉛直度がより高精度の溝壁を掘削するためには、溝壁の地中における位置を明らかにする必要がある。しかしながら、上記従来例に係る溝掘削機では掘削位置における壁の形状を認識し得るものの、全体の溝壁形状を認識することができない。
【0012】つまり、溝壁の傾斜や変位については溝壁全体ではなく、穴単位でしか計測することができない。勿論、穴一つ分の傾斜データを連続して溝壁全体の傾斜として処理することも可能であるが、溝壁全体の傾斜データをリアルタイムに処理し得る機能を備えていない。地中に鉛直度がより優れた高精度の溝壁を有する溝を掘削するためには、溝掘削体の現在位置における溝壁の傾斜だけでなく、溝壁の全体形状(傾斜の経歴)が必要であるにもかかわらず、全体の溝壁形状を把握することができないため、高精度の溝壁を有する溝の掘削が困難であるという解決すべき課題があった。
【0013】従って、本発明の目的は、溝壁の全体形状を把握することにより、より平坦度が優れた高精度の溝壁を有する溝の掘削を可能ならしめる溝掘削機、溝掘削機における溝壁形状表示方法および溝壁形状修正方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、従って、上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る溝掘削機が採用した手段の特徴とするところは、掘削刃を有する無端状の掘削チェーンを駆動しながら、傾斜角を検出する少なくとも一つ以上の傾斜計が埋設されてなる溝掘削体を地中で横方向に移動させ、その横移動方向に溝を掘削する溝掘削機において、前記傾斜計から出力されるアナログ傾斜信号をデジタル傾斜信号に変換するA/D変換器と、溝掘削機本体の横移動距離を計測する走行距離計と、前記A/D変換器から出力されるデジタル傾斜信号および前記走行距離計から出力される前記移動距離信号とを受け取って前記溝掘削体の横移動経過を3次元処理した傾斜データを横方向に累積する演算器と、この演算器から出力される累積された傾斜データを溝壁形状としてリアルタイムで表示するモニタとからなる溝壁形状表示装置とを備えてなるところにある。
【0015】本発明の請求項2に係る溝掘削機が採用した手段の特徴とするところは、請求項1に記載の溝掘削機において、前記傾斜計の何れもが、溝壁と平行な横方向および溝壁と直交する方向の前記溝掘削体の傾斜角を同時に計測し得る機能を備えてなるところにある。
【0016】本発明の請求項3に係る溝掘削機が採用した手段の特徴とするところは、請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の溝掘削機において、前記走行距離計が、地面を転動する車輪の回転により溝掘削機本体の横移動距離を計測するエンコーダを備えてなるところにある。
【0017】本発明の請求項4に係る溝掘削機における溝壁形状表示方法の要旨は、掘削刃を有する無端状の掘削チェーンを駆動しながら溝掘削体を地中で横方向に移動させ、その横移動方向に溝を掘削するに際して、前記溝掘削体の地中部分の溝の深度方向の傾斜を、溝掘削体に設けた少なくとも一つ以上の傾斜計で計測し、計測により得られたアナログ傾斜信号をデジタル変換し、変換されたデジタル傾斜信号を演算器に入力すると共に、このデジタル傾斜信号の入力と並行して溝掘削機本体の横移動距離信号を入力し、演算器により予め設定したサンプリングタイムに対応した横移動距離毎の前記デジタル傾斜信号を3次元処理して得られる溝壁の傾斜データを横方向に累積し、累積した傾斜データを溝壁形状としてモニタにリアルタイムで表示することを特徴とするものである。
【0018】本発明の請求項5に係る溝掘削機における溝壁形状表示方法の要旨は、請求項4に記載の溝掘削機における溝壁形状表示方法において、前記傾斜データを、演算器の記憶装置に記憶させ、記憶した傾斜データを、モニタにより溝壁形状として任意の時間に再表示するようにしたことを特徴とするものである。
【0019】本発明の請求項6に係る溝掘削機における溝壁形状表示方法の要旨は、請求項4または5のうちの何れか一つの項に記載の溝掘削機における溝壁形状表示方法において、前記傾斜計の設置位置に対応する深度以外の深度の溝壁形状を、溝掘削体の剛性、撓み曲線から推定演算し、任意の深度における溝壁形状を導出し得るようにしたことを特徴とするものである。
【0020】本発明の請求項7に係る溝掘削機における溝壁形状表示方法の要旨は、請求項4,5または6のうちの何れか一つの項に記載の溝掘削機における溝壁形状表示方法において、前記傾斜データを演算器で処理し、処理により得られた溝壁形状をプリンタにより印字出力するようにしたことを特徴とするものである。
【0021】本発明の請求項8に係る溝掘削機における溝壁形状修正方法の要旨は、掘削刃を有する無端状の掘削チェーンを駆動しながら溝掘削体を地中で横方向に移動させ、その横移動方向に溝を掘削するに際して、前記溝掘削体の地中部分の溝の深度方向の傾斜を、溝掘削体に設けた少なくとも一つ以上の傾斜計で計測し、計測により得られたアナログ傾斜信号をデジタル変換し、変換されたデジタル傾斜信号を演算器に入力すると共に、このデジタル傾斜信号の入力と並行して溝掘削機本体の横移動距離信号を入力し、演算器により予め設定したサンプリングタイムに対応した横移動距離毎の前記デジタル傾斜信号を3次元処理して得られる溝壁の傾斜データを横方向に累積し、累積した傾斜データを溝壁形状としてモニタにリアルタイムで表示し、表示された溝壁形状に基づいて溝掘削体を溝掘削機本体の中心方向または外方向に傾斜させ、溝掘削体を溝壁に押付けながら横方向に移動させて溝壁の傾斜面を削り取ることを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係る溝掘削機の概要を、その模式的正面図の図1と、図1のA矢視図の図2と、溝壁形状表示装置のブロック図の図3と、溝壁表示イメージ図の図4とを参照しながら、地中に鉛直な溝を掘削する場合を例として説明する。但し、本実施の形態に係る溝掘削機自体の主要構成については従来例に係る溝掘削機と同構成であるから、同一のものならびに同一機能を有するものには同一符号を付し、かつ同一名称を以て説明する。
【0023】図1,2に示す符号1は溝掘削機である。この溝掘削機1は、地上面を走行する走行体2aと、この走行体2aの上に配設された旋回体2bとからなる掘削装置本体2を備えている。この掘削装置本体2を旋回体2bにはステイシリンダ4により溝掘削機本体2の移動方向と平行な回動支点ピン3bを回動支点として回動される門型フレーム3が設置されている。この門型フレーム3にはスライドシリンダ6により略水平方向(地面と平行な横方向)にスライドして往復動するリーダ5が支持されている。
【0024】このリーダ5には、図示しない油圧シリンダにより昇降される回転駆動装置7が取り付けられている。そして、この回転駆動装置7には原動スプロケット8bが設けられ、この原動スプロケット8bは回転駆動装置7により正逆駆動されるようになっている。勿論、従来例と同様に、前記スライドシリンダ6のロッドのストローク長がストローク計(図3参照)22により計測され、後述する溝壁形状表示装置に入力されるようになっている。
【0025】前記回転駆動装置7のハウジングの下端には、上方に延びるカッタポスト8aが連結されている。このカッタポスト8aは、多数のエレメントが上下に連結されたもので、その下端には自由回転する従動スプロケット8cが取り付けられている。また、前記原動スプロケット8bと従動スプロケット8cとの間に無端状の掘削チェーン8dが掛装されることにより溝掘削体8が構成されており、前記カッタポスト8aおよび回転駆動装置7のハウジングにより、原動・従動スプロケット8b,8cを回転可能に支持する溝掘削体フレームが構成されている。前記掘削チェーン8dの表面には、多数の掘削刃8eが設けられており、この掘削チェーン8dを原動・従動スプロケット8b,8cと共に駆動しながら地中で溝掘削体8を横方向に移動させることにより、その進行方向に溝を掘削することができるように構成されている。
【0026】さらに、前記カッタポスト8aには、上下方向に並ぶ複数個(本例の場合は4個である。)の地中傾斜計11,12,13および14が配設されると共に、走行体2aには地上傾斜計15が配置されている。これら傾斜計11乃至15は、走行体2aが走行する地面の傾き角度をそれぞれ検出するものとなっている。これら傾斜計11乃至15としては、従来例と同様に、従来から知られている傾斜角センサ、例えばひずみゲージ式センサ、ポテンショメータ式センサ、静電容量式センサ等を用いることができる。以上の説明から良く理解されるように、溝掘削機1それ自体および傾斜計11乃至15の配設状態は従来例と全く同じである。そして、これら傾斜計11乃至15は、溝掘削体8の進行方向と平行な横方向の面内方向と、溝掘削体8の進行方向に対して直交する方向の面外方向との傾斜角を同時に検出する機能を有しており、これら傾斜計11乃至15により計測された溝壁のアナログ傾斜信号は、後述する溝壁形状表示装置に入力されるようになっている。
【0027】ところで、これら傾斜計11乃至15によって溝掘削体8の面内方向と面外方向とを同時に計測することによって、下記のような効果を得ることができる。即ち、これら傾斜計11乃至15による面内方向の計測結果は、掘削中の溝壁の切羽断面のより硬い地盤にカッタポスト8aが押付けられているということを知ることにより、より効率の良い掘削方法を選択することができるということや、スライドシリンダ6の水平方向の推力よって発生するカッタポスト8aの水平方向のたわみを定量的に知ることに役立ち、そして面外方向の計測結果は、溝壁の形状を精度良く管理するために必要な情報となるが、これらを同時に得ることができるから、より平坦度が優れた高精度の溝壁を有する溝を能率良く掘削することを可能にするという効果が生じることとなる。
【0028】従来例と同構成になる溝掘削機1には、後述する構成になる走行距離計21が取り付けられている。この走行距離計21は、地面を転動する車輪と、この車輪の回転により前記溝掘削機本体2の横移動距離を計測する周知のエンコーダと、このエンコーダに前記車輪の回転を伝達するチェーンと、前記エンコーダが取り付けられると共に、前記車輪を回転可能に支持するケース状ブラケットと、このケース状ブラケットに突設され、前記溝掘削機本体2に取り付けられた取付ブラケットに回動可能に取り付けられて、前記車輪を地面に転接させ、かつ地面から離反させる回動アームとから構成されている。そして、この走行距離計21により計測された溝掘削機本体2の横移動距離信号は、後述する構成になる溝壁形状表示装置に入力されるようになっている。
【0029】このような構成になる走行距離計21を使用すると、溝掘削機1の外方位置に特別な付帯設備を設けるまでもなく、溝掘削機本体2の横移動距離を計測することができるので、溝掘削機1の移動距離計測の準備作業の容易化効果がある。但し、この走行距離計21の場合には、溝掘削機本体2の横移動距離の計測の継続により累積誤差が生じてしまうので、毎日補正する必要がある。なお、この走行距離計21の車輪を地面に転接させ、かつ地面から離反させる撥ね上げ式にしたのは、工事現場内をただ移動する場合には、溝掘削機本体2の横移動距離を計測する必要がないからである。
【0030】ところで、本実施の形態1に係る溝掘削機1では、車輪と、この車輪の回転から横移動距離を計測するエンコーダとを備えた走行距離計21を採用しているが、これ以外に、例えば溝掘削機本体2にプリズムターゲットを設け、溝掘削機1の外方位置に自動追尾測距儀を配置して、自動追尾測距儀によりプリズムターゲットまでの距離と角度とからプリズムターゲットの3次元位置を計測するという自動追尾システムを採用することができる。また、溝掘削機本体2にGPSアンテナを設け、溝掘削機1の外方位置にGPSアンテナ(基準局)を配置すると共に、このGPSアンテナ(基準局)によりGPS衛星から信号を受けて、前記GPSアンテナの位置を計測することにより溝掘削機本体2の3次元運動を高精度に計測するGPS位置計測システムを採用することができる。このような自動追尾システムやGPS位置計測システムを採用することにより、溝掘削機本体2の横移動距離を極めて高精度で計測することができるという効果がある。
【0031】前記旋回体2bに搭載されてなる運転室2cには、前記各傾斜計11乃至15のそれぞれにより計測された溝壁のアナログ傾斜信号、ストローク計22により計測されたスライドシリンダ6のロッドのストローク長、および走行距離計21により計測された溝掘削機本体2の横移動距離信号が入力される溝壁形状表示装置30が配設されている。この溝壁形状表示装置30は、A/D変換器31と、モニタ32aを備えた演算器であるパーソナルコンピュータ(以下、コンピュータという。)32とから構成されている。
【0032】前記A/D変換器31には、地中傾斜計11乃至14が電線17を介して接続され、地上傾斜計15が電線17′を介して接続されている。そして、これら傾斜計11乃至15から入力される溝壁のアナログ傾斜信号はA/D変換器31によりデジタル傾斜信号に変換されてコンピュータ32に入力されるようになっている。また、このコンピュータ32には、前記デジタル傾斜信号の入力と並行して、走行距離計21により計測された溝掘削機本体2のアナログ走行距離信号およびストローク計22により計測されたスライドシリンダ6の伸縮ロッドのアナログストローク長信号のそれぞれが、距離信号変換器(A/D変換器である。)23によりデジタル変換されてデジタルストローク長信号として入力されるようになっている。
【0033】前記コンピュータ32は、予め設定されたサンプリングタイムに対応した溝掘削体8の横移動距離毎に、前記デジタル傾斜信号を溝壁の傾斜データとして3次元処理すると共に、3次元処理により得られた傾斜データを横方向に累積する。そして、横方向に累積された傾斜データは掘削された溝の横壁形状としてモニタ32aにリアルタイムで表示されるように構成されている。さらに、横方向に累積された傾斜データはデータ記憶装置40に記憶されると共に、必要に応じてコンピュータ32に取り込んで、モニタ32aに再表示させることができるように構成されている。これにより、オペレータは時々刻々変化する全体の溝壁形状を認識することができ、また溝掘削終了後に全体の溝壁形状の良否を確認することができる。なお、この実施の形態では、モニタ32aがコンピュータ32と一体的に構成されているが、独立した構成であっても良い。
【0034】本実施の形態に係る溝掘削機1では、上記のとおり、掘削中の溝の溝壁形状や既設の溝の溝壁形状をモニタ32aに表示させることができるように構成されているが、前記コンピュータ32に周知のプリンタ(図示省略)を接続し、溝壁形状のモニタ25aによる表示と並行して、このプリンタにより印字出力する構成にすることもできる。また、本実施の形態にかかる溝掘削機1では、カッタポスト8aに4つの地中傾斜計11乃至14が埋設されているが、地中傾斜計は1つであっても良く、また5つ以上であっても良いので、地中傾斜計の埋設数に限定されるものではない。
【0035】ところで、溝掘削体8のカッタポスト8aにただ1つの地中傾斜計が埋設されてなる構成の場合は、コンピュータ32に対して溝掘削体8のカッタポスト8aの剛性、撓み曲線から前記地中傾斜計の設置位置に対応する溝の深度以外の深度の溝壁形状を推定演算し、任意の深度における溝壁形状を導出し得る機能を付与すれば良いものである。
【0036】このような構成になる溝掘削機1により地中に溝を掘削する場合は、従来例と同様に、先ず溝掘削機1を目的とする定位置に固定し、掘削チェーン8dを土砂等を掻上げる方向に駆動しながら溝掘削体8を地中に建込み、溝掘削体8が所定深さに到達すると、掘削チェーン8dを駆動したまま、例えばスライドシリンダ6をロッドを伸長させることにより溝掘削体8をリーダ5と共に地面と並行な横方向に水平移動させ、前記スライドシリンダ6のロッドのストローク長に対応する長さの溝を掘削する。次いで、スライドシリンダ6のロッドの縮小作動に合わせて溝掘削機本体2を溝掘削方向に移動させると共に所定位置に固定した後、掘削チェーン8dを土砂等を掻上げる方向に駆動しながら、例えばスライドシリンダ6のロッドを伸長作動させることにより溝掘削体8をリーダ5と共に地面と並行な横方向に水平移動させるという繰返しによって地中に長い溝を掘削する。
【0037】このような地中への溝の掘削作業において、溝掘削体8の地中部分の溝の深度方向の傾斜が、そのカッタポスト8aに埋設されたなる地中傾斜計11乃至14によって計測され、計測されたアナログ傾斜信号がA/D変換器31に入力され、そしてこのA/D変換器31によりデジタル傾斜信号に変換されてコンピュータ32に入力される。一方、このデジタル傾斜信号の入力と並行して、走行距離計21およびストローク計22により計測された溝掘削体8のアナログ横移動距離信号が距離信号変換器23により変換されてデジタル横移動距離信号として入力される。
【0038】なお、本実施の形態において、走行距離計21とストローク計22との2つの距離計を用いるようにしたのは、上記のとおり、スライドシリンダ6のロッドの伸長作動による溝掘削体8の横移動と、スライドシリンダ6がストロークエンドになった後の溝掘削機1の自走による横移動との繰返しによって溝を掘削するという掘削方法を採用しているからである。
【0039】前記コンピュータ32にA/D変換器31からデジタル傾斜信号が、また距離信号変換器23からデジタル横移動距離信号が入力されると、このコンピュータ32は、予め設定されたサンプリングタイムに対応した溝掘削体8の横移動距離毎の前記デジタル傾斜信号を3次元処理して得られる溝壁の傾斜データを横方向に累積する。
【0040】そして、このようにして累積された傾斜データが、図4において示すように、掘削開始から現在掘削中に至るまでの溝全体の予め設定されたサンプリングタイムに対応した横移動距離毎の溝壁の傾斜として、つまり掘削開始から現在掘削中に至るまでの溝全体の溝壁形状としてモニタ32aにリアルタイムで表示されるので、オペレータは時々刻々変化する全体の溝壁形状を認識しながら溝掘削機1を操作して地中に溝を掘削することができる。つまり、溝壁の平坦度が高精度になるように溝掘削機1を操作することができる。
【0041】一方、一連の溝掘削作業終了後に、データ記憶装置40から横方向に累積された溝壁の傾斜データをコンピュータ32に取り込むと共に、取り込んだ傾斜データを溝壁形状としてモニタ32aに表示させ、またはプリンタにより溝壁形状を印字出力させることにより、全体の溝壁形状の平坦度の良否をチェックする。そして、もし溝壁形状を修正する必要がある場合には、溝掘削機1を溝掘削開始位置に戻した後、モニタ32aに表示された溝壁形状、または印字出力された溝壁形状に基づいて、溝掘削体8を溝掘削機本体2の中心方向または外方向に傾斜させながら、また溝掘削体8を溝壁に押付けながら横方向に移動させて掘削済の溝の溝壁の傾斜面を削り取ることより、より平坦度が優れた溝壁を有する高精度の溝を掘削することができる。
【0042】勿論、このような溝壁形状の修正作業に際しては、地中に溝を掘削する場合と同様に、スライドシリンダ6のロッドの伸長作動による溝掘削体8の横移動と、スライドシリンダ6がストロークエンドになった後の溝掘削機1の自走による横移動とが繰返される。
【0043】上記のとおり、カッタポスト8aに1つの地中傾斜計が埋設されてなる構成の場合にはコンピュータ32に、溝掘削体8、つまりカッタポスト8aの剛性、撓み曲線から前記地中傾斜計の設置位置に対応する溝の深度以外の深度の溝壁形状を推定演算し、任意の深度における溝壁形状を導出し得る機能が付与されるが、溝の深さ10mの場合について、カッタポスト8aに4つの地中傾斜計が埋設されてなる本実施の形態に係る構成の場合と、1つの地中傾斜計が埋設されてなる構成の場合とについて比較試験を行った。その結果、溝壁の平坦度に係る両者の相違は2cm程度であり、カッタポスト8aに1つの地中傾斜計が埋設されてなる構成の場合にあっても十分実用に供し得ることを確認した。
【0044】以上では、上記のとおり、溝掘削機1により地中に鉛直な溝を掘削する場合を例として説明したが、この溝掘削機1ではステイシリンダ4のロッドを縮小作動させて溝掘削体8を所定の角度範囲内で傾斜させたまま横移動させることにより傾斜溝を掘削することができ、本発明の技術的思想は鉛直な溝の掘削だけに適用されるものではないので、上記実施の形態によって本発明の技術的思想の範囲が限定されるものではない。
【0045】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の請求項1乃至3に係る溝掘削機によれば、溝掘削体の地中部分の溝の深度方向の傾斜が、溝掘削体に設けた少なくとも一つ以上の傾斜計で計測され、計測されたアナログ傾斜信号がA/D変換器でデジタル傾斜信号に変換されて演算器に入力される。一方、これと並行して、走行距離計により計測された溝掘削体の横移動距離信号が演算器に入力される。すると、演算器により、予め設定されたサンプリングタイムに対応した溝掘削体の横移動距離毎の溝壁の傾斜データが横方向に累積され、この累積された傾斜データが溝壁形状としてモニタにリアルタイムで表示されるので、オペレータは時々刻々変化する全体の溝壁形状をモニタで認識しながら溝掘削機を操作して溝壁の平坦度が高精度の溝を掘削することができる。
【0046】本発明の請求項4に係る溝掘削機における溝壁形状表示方法によれば、前記溝掘削体の地中部分の溝の深度方向の傾斜を、溝掘削体に設けた少なくとも一つ以上の傾斜計で計測され、計測により得られたアナログ傾斜信号がデジタル傾斜信号に変換されて演算器に入力され、これと並行して溝掘削機本体の横移動距離信号が入力され、演算器により予め設定したサンプリングタイムに対応した横移動距離毎の溝壁の傾斜データが横方向に累積され、累積された傾斜データが溝壁形状としてモニタにリアルタイムで表示されるので、オペレータは時々刻々変化する全体の溝壁形状をモニタで認識しながら溝掘削機を操作して溝壁の平坦度が高精度の溝を掘削することができる。
【0047】本発明の請求項5に係る溝掘削機における溝壁形状表示方法によれば、溝の溝壁の傾斜データが、演算器の記憶装置に記憶され、記憶された傾斜データをモニタにより溝壁形状として任意の時間に再表示することができるので、掘削済の溝の溝壁の平坦度を何時でも確認することができ、また本発明の請求項7に係る溝掘削機における溝壁形状表示方法によれば、傾斜データを演算器により処理し、処理により得られた溝壁形状をプリンタにより印字出力することができるので、印字出力されたプリントにより掘削済の溝の溝壁の平坦度を何時でも確認することができる。
【0048】本発明の請求項6に係る溝掘削機における溝壁形状表示方法によれば、傾斜計の設置位置に対応する深度以外の深度の溝壁形状を、溝掘削体の剛性、撓み曲線から推定演算し、任意の深度における溝壁形状を導出し得るように構成されていて、傾斜計の配設数を少なくすることができるので、溝掘削機のコストを低減することができる。
【0049】本発明の請求項8に係る溝掘削機における溝壁形状修正方法によれば、モニタに表示された溝壁形状に基づいて溝掘削体を溝掘削機本体の中心方向または外方向に傾斜させ、溝掘削体を溝壁に押付けながら横方向に移動させて溝壁の傾斜面を削り取ることにより溝壁の平坦度が高精度になり、より溝壁の平坦度が優れた溝を掘削することができる。




 

 


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