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発明の名称 家屋増築方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−98769(P2001−98769A)
公開日 平成13年4月10日(2001.4.10)
出願番号 特願平11−276682
出願日 平成11年9月29日(1999.9.29)
代理人 【識別番号】100082968
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 正 (外1名)
【テーマコード(参考)】
2E176
【Fターム(参考)】
2E176 AA07 BB28 BB34 BB36 
発明者 岡田 聖治
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】壁パネルを用いて外壁が形成されかつ棟端から両側の屋根軒先の出隅端にのびる下り棟間に形成される三角状の流れ屋根部を有する屋根により覆われるパネル工法の家屋本体の、前記流れ屋根部の下側の外壁側に、流れ屋根部を延長した屋根延長部分を有する増築部分を形成する家屋増築方法であって、前記家屋本体は、棟方向にのびかつ棟に沿う矩形状のトラス基部に、前記棟端から前記下側の外壁の上端保持位置までのびる流れ勾配の斜材を有する三角トラス部を設けた棟方向主トラスを具えるとともに、前記増築部分は、前記屋根延長部分を前記上端保持位置と増築部分の外側増築外壁とを継ぎ前記棟方向にのびる棟方向サブトラスにより保持させるとともに、前記三角トラス部と、前記棟方向サブトラスとは、その各端部に互いに嵌着する嵌合部を具えることを特徴とする家屋増築方法。
【請求項2】前記家屋本体は、前記棟端で前記棟方向主トラスに直交する三角状の軒方向主トラスを両側に具え、かつ少なくとも該軒方向主トラスよりも増築部分とは反対の屋根を形成する屋根パネルは増築に際して取り外すことなく保持されることを特徴とする請求項1又は2記載の家屋増築方法。
【請求項3】屋根パネル及び壁パネルは、大型パネルを含むことを特徴とする請求項1、2又は3記載の家屋増築方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆる寄せ棟屋根を有する家屋本体の棟方向の外壁側に、増築部分を外観を損ねることなく能率よく形成しうる家屋増築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば鉄骨枠組みに面材を添設した高強度かつ大型の壁パネルを用いて外壁を形成したパネル工法の家屋が普及している。また、このような家屋においては、図10に示すように、寄せ棟屋根A、すなわち棟端Be(棟B0の端部)から両側の屋根A1、A1の各軒先の出隅端Ceにのびる下り棟B1、B1間に三角状の流れ屋根部A2を形成した屋根がときに採用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そして、このようなパネル工法の家屋H1においては、棟方向の外壁側に、すなわち前記流れ屋根部A2の下側の外壁側に、家屋H1の全巾に亘って増築部分H2を形成する場合があり、この時家屋全体の見映えをバランス良く保つために、この増築部分H2に、前記流れ屋根部A2を棟方向に延長させた屋根延長部分Kを用いることが望まれる。
【0004】しかしながら、既築の家屋本体H1に、前記屋根延長部分Kを有する増築部分H2を能率よく施工する増築方法が未だ確立されておらず、その開発が強く要請されていた。
【0005】そこで本発明は、既築の家屋本体においては、増築前の流れ屋根部を受ける三角トラス部を有する棟方向主トラスを用いて寄せ棟屋根を支持させるとともに、増築時には、前記三角トラス部の端部に一端が嵌着できかつ他端が増築部分の外側増築外壁に固定される棟方向サブトラスを増設して、増築部分の前記屋根延長部分を保持させることを基本として、家屋本体の増築時の改造を最小限に止め、かつ家屋全体の見映えや強度をバランス良く保ちながら増築部分を能率良く形成できる家屋増築方法の提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、壁パネルを用いて外壁が形成されかつ棟端から両側の屋根軒先の出隅端にのびる下り棟間に形成される三角状の流れ屋根部を有する屋根により覆われるパネル工法の家屋本体の、前記流れ屋根部の下側の外壁側に、流れ屋根部を延長した屋根延長部分を有する増築部分を形成する家屋増築方法であって、前記家屋本体は、棟方向にのびかつ棟に沿う矩形状のトラス基部に、前記棟端から前記下側の外壁の上端保持位置までのびる流れ勾配の斜材を有する三角トラス部を設けた棟方向主トラスを具えるとともに、前記増築部分は、前記屋根延長部分を前記上端保持位置と増築部分の外側増築外壁とを継ぎ前記棟方向にのびる棟方向サブトラスにより保持させるとともに、前記三角トラス部と、前記棟方向サブトラスとは、その各端部に互いに嵌着する嵌合部を具えることを特徴としている。
【0007】また請求項2の発明では、前記家屋本体は、前記棟端で前記棟方向主トラスに直交する三角状の軒方向主トラスを両側に具え、かつ少なくとも該軒方向主トラスよりも増築部分とは反対の屋根を形成する屋根パネルは増築に際して取り外すことなく保持されることを特徴としている。
【0008】また請求項3の発明では、屋根パネル及び壁パネルは、大型パネルを含むことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。図1は増築後の家屋の概要を示す斜視図であり、図2は増築前の家屋本体の概要を示す斜視図である。
【0010】図において、本発明の家屋増築方法は、棟方向に流れ屋根部A2を設けた寄せ棟屋根Aを有するパネル工法の家屋本体H1において、この家屋本体H1の棟方向の外壁側に、前記流れ屋根部A2を棟方向に延長した屋根延長部分Kを有する増築部分H2を形成する増築方法である。
【0011】そして前記家屋本体H1においては、増築前の流れ屋根部A2を受ける三角トラス部2を有する棟方向主トラス3を用いて寄せ棟屋根Aを支持させるとともに、増築時には、前記三角トラス部2の端部2Eに一端部4E1が嵌着できかつ他端部4E2が増築部分H2の外側増築外壁W0に固定される棟方向サブトラス4を増設して、増築部分H2の前記屋根延長部分Kを保持させることに一つの特徴を有している。
【0012】詳しく説明すると、図2に略示する如く、増築前の家屋本体H1は、壁パネルQAを用いて外壁Wを形成したパネル工法の家屋であって、該壁パネルQA(図5(A)に示す)は、例えば溝形鋼などの鋼材5を接合してなる鉄骨枠組み6の表裏に、面材7を添設した強固なパネル体によって形成される。このパネル工法は、家屋を面により箱状に構成するため、垂直・水平・ねじれに対して優れた剛性や強度を発揮でき、また工期の短縮を実現しうるとともに、柱などの本数を著減して広い居室空間を確保しうるという利点がある。
【0013】また増築前の家屋本体H1は、寄せ棟屋根Aによって覆われる。この寄せ棟屋根Aは、図3に略示する如く、棟B0と、その棟端Beから両側の屋根A1、A1の各軒先の出隅端Ceにのびる下り棟B1、B1とを有し、この下り棟B1、B1間に三角状の流れ屋根部A2を形成している。
【0014】なお本例では、この流れ屋根部A2は、前記棟端Beからその軒先に直角にのびる接合線L1で連結される三角状の一対の屋根パネルPA、PAによって形成される。また前記両側の屋根A1、A1は、夫々前記棟端Beからその軒先に直角にのびる接合線L2で連結される三角状の端の屋根パネルPBと、この端の屋根パネルPB、PB間に配される矩形状の中の屋根パネルPCとによって形成される。各屋根パネルPは、前記接合線L1、L2、棟B0、下り棟B1、或いは軒先縁に沿って鋼材を枠組みしてなる鉄骨枠組みの一面に、野路板状の面材を添設することによって高強度に形成される。
【0015】ここで前記壁パネルQAおよび屋根パネルPは、夫々少なくとも一つが大型パネルとして形成されることが好ましく、本例では、壁パネルQAおよび屋根パネルPの殆ど全てを大型パネルで形成した場合を例示している。なお前記「大型パネル」とは、最大辺の長さが、家屋の基準モジュールM(約900mm)の2倍以上のパネル体を意味する。
【0016】次に、前記寄せ棟屋根Aは、棟方向にのびる前記棟方向主トラス3によって支持される。この棟方向主トラス3は、図4に示すように、例えば溝形鋼等の鋼材5からなる鉄骨枠組み10であって、棟B0に沿う矩形状のトラス基部11と、このトラス基部11に連なりかつ前記棟端Beから前記流れ屋根部A2の下側の外壁W1の上端保持位置Jまでのびる流れ勾配の斜材12を有する三角トラス部2とを具える。
【0017】なお本例では、棟方向主トラス3は、棟B0に沿って棟端Be、Be間をのびる上弦材13の端部と、家屋本体H1の棟方向両側の外壁W1、W1間をのびる長尺な下弦材14の端部との間を、前記流れ屋根部A2に沿って(流れ勾配で)のびる斜材12によって接合した略等脚台形状の外枠15を有する場合を例示している。またこの外枠15は、垂直および斜めの継ぎ材16によって補強される。なお棟方向主トラス3としては、前記トラス基部11と三角トラス部2とを独立した鉄骨枠組みで形成した後、溶接或いはボルト・ナット金具等を用いて互いに一体に接続することもできる。なお図4中、符号17は上弦材13と斜材12とを連結する連結板であり、符号19は下弦材14と斜材12とを連結する連結板である。
【0018】また前記三角トラス部2の先端部2Eは、図5(A)に示すように、増築前にはジョイント金物20を介して、前記流れ屋根部A2の下側の外壁W1に固定される。従って、本例では、前記上端保持位置Jは、ジョイント金物20の取付け位置を意味している。
【0019】前記ジョイント金物20は、本例では、前記外壁W1をなす壁パネルQA、QAの上端間を跨りかつ各壁パネルQAに着脱自在にボルト止めされる連結板部21と、該連結板部21から立上がりかつ前記三角トラス部2の側面を受ける保持面22Sを有する例えばコ字状の保持板部22とを一体に具えている。また前記保持面22Sは、前記先端部2Eに着脱自在にボルト止めしても良く、また溶接によって一体固着しても良い。
【0020】また、家屋本体H1は、前記図2に略示する如く、前記棟端Beで前記棟方向主トラス3に直交する三角状の軒方向主トラス23を両側に具え、これによって寄せ棟屋根Aの前記両側の屋根A1を保持している。なお軒方向主トラス23も同様に、鋼材からなる鉄骨枠組みからなり、前記棟方向主トラス3とはボルト等によって連結している。
【0021】そして、このような家屋本体H1の増築に際しては、図5(B)に示すように、ジョイント金物20に固定される壁パネルQA、QAの少なくとも一つを撤去するとともに、この撤去部分に、出入り口を有する仕切壁状の内壁パネル24を取り付ける。この内壁パネル24は、前記壁パネルQAと同様、鉄骨枠組みの表裏に、面材を添設した強固なパネル体で形成することが好ましい。
【0022】なお例えば、双方の壁パネルQA、QAを撤去し、その一方又は双方の撤去部分に、内壁パネル24を取り付ずに開口させるのも良い。しかし係る場合、或いは前記内壁パネル24が鉄骨枠組みを有さない場合等には、この開口によって家屋の剛性強度が減じる恐れがあり、従って、補強のために、前記上端保持位置Jに補助柱25を立設することが好ましい。本例では、補助柱25は、例えば通し柱であってその上端は、前記ジョイント金物20の連結板部21の下面にボルト止めされる。
【0023】また前記増築部分H2では、前記家屋本体H1と同様、前記壁パネルQAと同構成の増設用の壁パネルQBを用いて、その外壁Wが形成される。
【0024】また前記寄せ棟屋根Aにおいては、図2の如く、前記軒方向主トラス23よりも増築部分側の屋根である、本例では、前記屋根パネルPA(流れ屋根部A2をなす)及び端の屋根パネルPB(屋根A1の一部をなす)を撤去する。すなわち、増築部分H2とは反対の屋根は、撤去せず、取外されることなくそのまま前記棟方向主トラス3及び軒方向主トラス23に保持される。
【0025】次に、撤去された前記屋根には、図1(B)の如く、前記増築部分H2の増築長さに応じた巾の矩形状の屋根パネルPDからなる増設屋根部A3が連結され、これによって前記流れ屋根部A2を棟方向に延長した屋根延長部分Kを形成する。従って、本例では、前記撤去された屋根は、再利用されることとなる。
【0026】またこの屋根延長部分Kは、棟方向にのびる増設用の棟方向サブトラス4を用いて保持する。
【0027】ここで、該棟方向サブトラス4は、図6に示すように、例えば溝形鋼等の鋼材26からなる鉄骨枠組み27であって、前記上端保持位置Jと増築部分H2の外側増築外壁W0との間を継ぐ。詳しくは、前記屋根延長部分Kにおける増設屋根部A3の棟B0に沿う矩形状のサブトラス基部29と、このサブトラス基部29に連なりかつ前記屋根延長部分Kの流れ屋根部A2に沿ってのびる流れ勾配の斜材30を有するサブ三角トラス部31とを具える。
【0028】なお本例では、サブ三角トラス部31は、前記三角トラス部2と略同構成であり、図7の如く、その先端部4E2は、前記ジョイント金物20を用いて前記増築外壁W0をなす増設用の壁パネルQBの上端にボルト止めされる。
【0029】また前記サブトラス基部29の後端部4E1には、前記三角トラス部2の先端部2Eと互いに嵌着する嵌合部33を具える。この嵌合部33は、本例では、図8、9に示すように、下開放かつ後開放の凹部であって、前記三角トラス部2の先端部2Eに、上方から挿入されて嵌着される。
【0030】詳しくは、前記嵌合部33は、前記後端部4E1の両側面に溶着されるとともに前記後端部4E1の後面(家屋本体側に向く面)よりも後方にかつ後端部4E1の下面よりも下方に突出する突出部34Aを有する一対の嵌合用側板34と、この突出部34A、34A間に介在するとともに前記後端部4E1の後面から前記流れ勾配で後方にのびることによって前記三角トラス部2の斜材12上面を受ける嵌合用上板35とから構成される。なお図中符号41は、後端部4E1において下弦材36と継ぎ材37とを連結する連結板であり、また符号40は、補強用のブレース39(図1(B)に示す)を取り付ける取付け金具である。
【0031】このように、棟方向サブトラス4は、前記突出部34Aと嵌合用上板35とによって、三角トラス部2の先端部2Eに嵌着する嵌合部33を形成でき、強固かつ作業能率の良い連結を行いうる。なお突出部34A及び嵌合用上板35には、嵌着後に前記先端部2Eをボルト止めするボルト挿通孔を設けている。また嵌着に際し、前記突出部34Aの下端34Eは、前記ジョイント金物20の連結板部21上に載置でき、前記ボルト止めする際の仮置き、及び位置合わせを容易とするとともに、ボルト止め後においては、荷重を補助柱25に伝達でき剛性強度をさらに向上できる。
【0032】また、棟方向サブトラス4は、上方から落とし込んで先端部2Eに嵌合できるため、増築部分H2の壁パネルQBや床パネルR(図1(B)に示す)等の施工後に、棟方向サブトラス4を取付けることができ、従って、壁パネルQや床パネルR等の施工性を損ねることがない。
【0033】このように、本願の家屋増築方法は、増築に際し、家屋本体H1への改造を最小限に止めることができ、しかも既築の棟方向主トラス3に、増設用の棟方向サブトラス4を容易に連結できる。従って、増築工事の施工能率を大巾に向上できかつコストの削減を達成しうるとともに、家屋全体の強度をバランス良く維持できる。さらに、屋根を再利用できるため、一層のコストダウンを達成でき、しかも家屋本体H1と増築部分H2との見映えの調和を図ることができる。
【0034】
【発明の効果】本発明は叙上の如く構成しているため、家屋本体の増築時の改造を最小限に止めることができ、家屋全体の見映えや強度をバランス良く保ちながら増築部分を能率良く形成できる。




 

 


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