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発明の名称 免震構造物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−115680(P2001−115680A)
公開日 平成13年4月24日(2001.4.24)
出願番号 特願平11−298717
出願日 平成11年10月20日(1999.10.20)
代理人 【識別番号】100090114
【弁理士】
【氏名又は名称】山名 正彦
【テーマコード(参考)】
2E001
3J048
【Fターム(参考)】
2E001 DG02 DH37 EA02 FA01 FA02 FA03 FA11 FA71 GA24 GA55 GA58 GA73 HA04 HE01 
3J048 AA01 AC05 BA11 BD08 EA38
発明者 岩下 敬三 / 木村 秀樹 / 春日 康博 / 木谷 宗一 / 相模 友行 / 結城 大作
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】鉄筋コンクリート造であり、地震時に発生する浮き上がりを許容して地震力を低減させ、構造物の転倒、落下衝撃に対する安全性を確保する免震構造物において、構造物の柱及び壁と下階の柱及び梁との縁が切られ、浮き上がり境界面が形成されていること、下階の床及び梁の浮き上がり境界面に、下階の柱及び梁と一体化した水平剪断力伝達用突起が立ち上げられ、構造物の柱及び壁の下端部に、前記水平剪断力伝達用突起が嵌まる下向きの凹部を有する突起カバーが設置され、前記水平剪断力伝達用突起と突起カバーの凹部とが嵌め合わされ、両者の嵌め合わせ間隙に浮き上がり時のエネルギー吸収装置が設置されていること、をそれぞれ特徴とする、免震構造物。
【請求項2】下階の柱及び梁の浮き上がり境界面と、構造物の柱及び壁の下端部に設置した突起カバーとは直接の面接触とされ、又はゴムシートなどの衝撃吸収材を挟んだ緩衝構造とされ、突起カバーは構造物の柱及び壁の下端部にアンカーで固着されていることを特徴とする、請求項1に記載した免震構造物。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アスペクト比が大きい建物に多く見られる、地震時に発生する浮き上がりを許容して地震力を低減させ、転倒、落下衝撃に対する安全性を確保する免震構造物の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来一般の免震建物1’は、図1Aのように、免震層において水平方向に大きく変位することを許容する考えに立脚している。しかし、建物の高さと幅の比(アスペクト比)が大きい免震建物1は、図1Bに例示したように、上下方向の変位を含むロッキング振動が支配的となり、免震装置2に大きな引張り軸力が作用する。そのため前記の大きい引張り軸力に耐える免震装置及び基礎が必要とされている。
【0003】従来、地震時に発生する浮き上がりを許容し、構造物の転倒、落下衝撃に対する安全性を確保し、同構造物に作用する地震力を低減させる免震構造物は、例えば特開平10−195890号公報、及び本出願人の特願平11−42759号明細書及び図面に提案されている。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】しかしながら、建物と基礎の縁が切られて、地震時に大きな浮き上がりを生ずる場合に、浮き上がり時のエネルギー吸収を行い、更に建物の落下時に緩衝作用まで備えて安全な免震構造物、とりわけ鉄筋コンクリート造の免震構造物は未だ見聞しない。
【0005】本発明の目的は、地震時に構造物に発生する浮き上がりを許容して地震エネルギーを低減する鉄筋コンクリート造(以下、RC造と略す場合がある。)の免震構造物を提供することである。
【0006】本発明の目的は、地震時に発生する浮き上がりを許容することによって地震力の低減を図ると共に、浮き上がり量を制限して転倒の防止を図り、しかも構造物の落下衝撃を緩衝することによって安全性も確保する構成のRC造免震構造物を提供することである。
【0007】本発明の更なる目的は、既存建物の建て替えに際して、浮き上がり境界面より以下の既存基礎、既存躯体を残し、その上に新築のRC造構造物を建築する際に免震化しやすい構造のRC造免震構造物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る免震構造物は、鉄筋コンクリート造であり、地震時に発生する浮き上がりを許容して地震力を低減させ、構造物の転倒、落下衝撃に対する安全性を確保する免震構造物において、構造物の柱及び壁と下階の柱及び梁との縁が切られ、浮き上がり境界面が形成されていること、下階の床及び梁の浮き上がり境界面に、下階の柱及び梁と一体化した水平剪断力伝達用突起が立ち上げられ、構造物の柱及び壁の下端部に、前記水平剪断力伝達用突起が嵌まる下向きの凹部を有する突起カバーが設置され、前記水平剪断力伝達用突起と突起カバーの凹部とが嵌め合わされ、両者の嵌め合わせ間隙に浮き上がり時のエネルギー吸収装置が設置されていること、をそれぞれ特徴とする。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1に記載した免震構造物において、下階の柱及び梁の浮き上がり境界面と、構造物の柱及び壁の下端部に設置した突起カバーとは直接の面接触とされ、又はゴムシートなどの衝撃吸収材を挟んだ緩衝構造とされ、突起カバーは構造物の柱及び壁の下端部にアンカーで固着されていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】請求項1、2に記載した発明に係るRC造免震構造物の実施形態を、図2と図3に示した。本発明に係る免震構造物は、図1Bに例示した建物1と同様にロッキング振動する構造物であって「浮き上がり境界面」が形成されており、地震時に発生する構造物の浮き上がり(ロッキング振動)を許容して地震力を低減させ、同構造物の転倒、落下衝撃に対する安全性を確保する免震構造物として好適に実施される。
【0011】即ち、図2に示したように、構造物の柱5及び壁6における中間階または地下階部分の下部と、その下の柱5’または梁6との縁が切られて、両者の間に「浮き上がり境界面K」が形成されている。
【0012】前記下の柱5’または梁7へアンカー8により一体化して前記浮き上がり境界面Kの面上へ立ち上げた水平剪断力伝達用突起9、10が設置されている。一方、前記構造物の柱5及び壁6の下部には、前記した水平剪断力伝達用突起9、10がそれぞれ嵌まる下向きの凹部11を有する突起カバー12が、アンカー13により一体的に固着して設置されている。
【0013】下の柱5’または梁7に設けた水平剪断力伝達用突起9、10へ、構造物の柱5及び壁6の下部の突起カバー12に形成した向きの凹部11が嵌め合わされていると共に、両者の嵌め合せ間隙に、浮き上がり時のエネルギー吸収装置14が設置されている。
【0014】但し、免震化の具体的な方法としては、先ず下の柱5’または梁7の構築に際して、その上面(浮き上がり境界面K)の面上に立ち上がる水平剪断力伝達用突起9、10を先行して設置する。そして、浮き上がり境界面Kより上方の構造物の柱5及び壁6を構築する作業に先行して、前記浮き上がり境界面Kの面上に前記突起カバー12を、各々の凹部11を該当する水平剪断力伝達用突起9、10へエネルギー吸収装置14と共に嵌めて敷設する。その場合、突起カバー12は、下の柱5’または梁7の浮き上がり境界面Kの面上へ直接載置して面接触状態とするか、又はゴムシートなどの衝撃吸収材を一定厚さ敷いてその上に設置した緩衝構造として実施する(請求項2記載の発明)。
【0015】しかる後に、前記突起カバー12の外周及び上方に、浮き上がり境界面Kより上方の構造物の柱5及び壁6を構築する型枠及び鉄筋を組立て、コンクリートを打設して突起カバー12を一体化する構築を行う。
【0016】図示例のエネルギー装置14としては、上下方向の剪断変形でエネルギーを吸収する、ゲル状で高粘性の粘弾性体を使用している。したがって、構造物の柱5及び壁6が浮き上がるとき、又は逆に落下する時の上下方向剪断変形を利用してエネルギー吸収を行い、もって地震力の低減と浮き上がり量の制限、転倒の防止、落下衝撃の緩和等々の作用効果を奏する。もっとも、エネルギー吸収装置14の構成は、同様な作用効果を期待できればよく、図示例の粘弾性体に限らない。
【0017】前記構造物の柱5及び壁6の下端に設置した突起カバー12の凹部11と、下の柱5’又は梁7に設けた水平剪断力伝達用突起9、10との嵌め合わせ部分は、地震時の水平方向の剪断力及び上下方向の圧縮力を伝達する。よって前記凹部11と水平剪断力伝達用突起9、10の高さ及び平面形状の大きさは、前記の作用効果に必要十分に設計される。
【0018】なお、既存建物の建て替えに際して免震化する場合には、既存基礎ないし既存躯体を、上記下の柱5’又は梁7の代用となるように浮き上がり境界面Kまで残し、その上に、上述したように浮き上がり境界面Kより上方の構造物の柱5及び壁6を構築する。かくすることにより、免震構造物を建築できるし、基礎部設計及び施工の大幅な合理化、省力化を達成できる。
【0019】
【本発明が奏する効果】請求項1、2に記載した発明に係る免震構造物は、鉄筋コンクリート造の特質を活用して、地震時に構造物に発生する浮き上がりを許容して地震力の低減を図る免震化構造を実現できる。
【0020】しかも、前記の浮き上がり量を制限して転倒の防止を図り、しかも構造物の落下衝撃を緩衝することによって安全性も確保できる。更に、新築建物のみならず、既存建物の建て替えにおいても、基礎部設計、施工の大幅な合理化を図りつつ免震構造物を実現できるのである。




 

 


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