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発明の名称 木質部材の接合部及び接合用木質部材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−107473(P2001−107473A)
公開日 平成13年4月17日(2001.4.17)
出願番号 特願平11−323114
出願日 平成11年10月7日(1999.10.7)
代理人 【識別番号】100094732
【弁理士】
【氏名又は名称】小宮 雄造
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125 AA03 AA13 AA52 AB12 AC23 AC24 AE13 AG03 AG12 AG23 AG58 BB02 BB08 BB18 BB22 BB36 BB37 BD01 BD03 BE02 BE07 BE08 BF04 CA05 CA13 CA89 EA14 
発明者 楠 寿博 / 葛原 ▲あつし▼ / 八嶋 寛治 / 小塚 裕一 / 鶴巻 均
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】1対の木質部材がその一方の端面と他方の端面とを近接させて配され、両方の木質部材の互いに近接させた端部分に形成された差込縦溝中に接合板が差し込まれ、木質部材及び接合板に穿たれた多数のボルト孔にボルト又はドリフトピンが差し込まれて、1対の木質部材が接合されている木質部材の接合部において、接合板が鋼材で構成され、接合板を差し込む差込縦溝の接合板の両方の側面と接する部分が、接合板の鋼材と木質部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質部材に接着され、前記差込縦溝がある部分に対応する木質部材、補強部材及び接合板にそれぞれ中心を略一致させて多数のボルト孔が穿設され、これらのボルト孔にそれぞれボルト又はドリフトピンが差し込まれて1対の木質部材が接合板を介して接合されていることを特徴とする木質部材の接合部。
【請求項2】1対の木質部材がその一方の端部分の端面を他方の端部分の側面に近接させて配され、両方の木質部材の端部分中に形成された差込縦溝中に接合板が差し込まれ、木質部材及び接合板に穿たれた多数のボルト孔にボルト又はドリフトピンが差し込まれて、1対の木質部材が接合されている木質部材の接合部において、接合板が鋼材で構成され、接合板を差し込む差込縦溝の接合板の両方の側面と接する部分が、接合板の鋼材と木質部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質部材に接着され、前記差込縦溝がある部分に対応する木質部材、補強部材及び接合板にそれぞれ中心を略一致させて多数のボルト孔が穿設され、これらのボルト孔にそれぞれボルト又はドリフトピンが差し込まれて1対の木質部材が接合板を介して接合されていることを特徴とする木質部材の接合部。
【請求項3】1対の木質部材がその一方の端面と他方の端面とを近接させて配され、両方の木質部材の互いに近接した端部分の両方の側面にそれぞれ添えて接合板が配され、木質部材及び接合板に穿たれた多数のボルト孔にボルト又はドリフトピンが差し込まれて、1対の木質部材が接合されている木質部材の接合部において、接合板が鋼材で構成され、両方の木質部材の近接した端部分の両側の接合板が添えられる部分が、接合板の鋼材と木質部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質部材に接着され、前記接合板、該接合板に対応する補強部材及び木質部材にそれぞれ中心を略一致させて多数のボルト孔が穿設され、これらのボルト孔にそれぞれボルト又はドリフトピンが差し込まれて1対の木質部分が接合板を介して接合されていることを特徴とする木質部材の接合部。
【請求項4】木質柱部材に取付けた接合板にて少なくとも1本の木質梁部材が接合されている木質柱部材の接合部において、接合板が鋼材で構成され、木質梁部材の取付位置の木質柱部材の中途に差込横溝が形成され、該差込横溝に接合板が差し込まれ、該接合板が接する差込横溝の両方の側面が、接合板の鋼材と木質柱部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質柱部材に接着され、前記差込横溝がある部分に対応する木質部材、補強部材及び接合板にそれぞれ中心を略一致させて多数のボルト孔が穿設され、これらのボルト孔にそれぞれボルト又はドリフトピンが差し込まれて、接合板がその少なくとも一方の端部分を木質柱部材から突出させて接合され、木質梁部材の端部分に接合板の突出した部分を差し込む差込縦溝が形成され、該差込縦溝の接合板の両方の側面と接する部分が、接合板の鋼材と木質梁部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質梁部材に接着され、前記縦溝がある部分に対応する木質梁部材、補強部材及び接合板にそれぞれ中心を略一致させて多数のボルト孔が穿設され、これらのボルト孔にそれぞれボルト又はドリフトピンが差し込まれて、木質梁部分と木質柱部材とが接合板を介して接合されていることを特徴とする木質柱部材の接合部。
【請求項5】下側及び上側の木質柱部材と少なくしも1本の木質梁部材とが仕口金物を介して接合されている建造物の接合部において、前記仕口金物は短い鋼管又は角鋼管の下端及び上端にこれと一体化した下柱取付板及び上柱取付板を備えかつ前記短い鋼管又は角鋼管の外周部にこれと一体化した鋼材からなる少なくとも一つの梁取付板を備えており、下側及び上側の木質柱部材がその長さを階高寸法から仕口金物の成を減じた長さに造られ、下側の木質柱部材の上端に仕口金物の下柱取付板が固着され、仕口金物の上柱取付板に上側の木質柱部材の下端が固着され、木質梁部材の端部分に梁取付板が差し込まれる差込縦溝が形成され、該差込縦溝の梁取付板の両方の側面と接する部分が、接合板の鋼材と木質梁部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質梁部材に接着され、前記差込縦溝がある部分に対応する木質部材、補強部材及び接合板にそれぞれ中心を略一致させて複数のボルト孔が設けられ、これらのボルト孔にそれぞれボルト又はドリフトピンが差し込まれて、木質柱部材と木質梁部分とが仕口金物を介して接合されていることを特徴とする構造物の接合部。
【請求項6】下側及び上側の木質柱部材の上部又は下部に多数のボルトが所定の間隔をおいてその上端面及び下端面から鉛直方向に突出させて取り付けられ、下側の木質柱部材の上端から突出する各ボルトに仕口金物の下柱取付板の各ボルト孔が嵌められ、各ボルトのねじ部にナットがねじ込まれて、下側の木質柱部材の上端に仕口金物の下柱取付板が固着され、上側の木質柱部材の下端から突出する各ボルトが仕口金物の上柱取付板の各ボルト孔に差し込まれ、各ボルトのねじ部にナットがねじ込まれて、上側の木質柱部材の下端が仕口金物の上柱取付板に固着されていることを特徴とする請求項5記載の構造物の接合部。
【請求項7】補強部材としてFRP板が用いられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つの項記載の接合部。
【請求項8】木質部材の端部分に差込縦溝が形成され、該差込縦溝中に鋼材からなる接合板又は取付板が差し込まれ、木質部材が前記接合板又は取付板を介して他の木質部材又は金属部材に取り付けられるようになっている接合用木質部材において、接合板又は取付板が差し込まれる差込縦溝の接合板又は取付板の両方の側面と接する部分が、接合板又は取付板の鋼材と木質部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質部材に接着され、前記差込縦溝がある部分に対応する木質部材及び補強部材に、接合板又は取付板に穿たれた多数のボルト孔の中心と略一致させて多数のボルト孔が穿設されていることを特徴とする接合用木質部材。
【請求項9】木質部材の端部分の両方の側面に鋼材からなる接合板又は取付板が添えられ、木質部材が前記接合板又は取付板を介して他の木質部材又は金属部材に取り付けられるようになっている接合用木質部材において、接合板又は取付板が添えられる木質部材の端部分の両方の側面の部分が、接合板又は取付板の鋼材と木質部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の厚さの補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質部材に接着され、前記補強部材及び該補強部材に対応する木質部材に、接合板又は取付板に穿設され多数のボルト孔の中心と略一致させて多数のボルト孔が穿設されていることを特徴とする接合用木質部材。
【請求項10】補強部材が硬化したFRP板を木質部材に貼り付けもの又は未硬化のFRP材を木質部材に貼り付けて硬化させたものであることを特徴とする請求項8又は9記載の接合用木質部材。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、木質部材の接合部及び接合用木質部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の木質部材の接合方法には、例えば、次ぎの(1)〜(4)のものがある。(1)図18〜図20に示すように、1対の木質部材1,2の端よりの部分の中央に金属板製の接合板3の厚さと同じ幅の縦溝1a,2aを設け、縦溝1b,2bのある部分に接合板3のボルト孔3aに対応する位置にボルト孔1b,2bを設け、1対の木質部材1,2の端部を対向させて両縦溝1a,2a内に接合板3を差し込み、木質部材1,2のボルト孔1b,2b及び接合板3のボルト孔3aにそれぞれ座金wを嵌めたボルトbを通し、それぞれボルトbの先に座金wを嵌め、ボルトbの先のねじ部にそれぞれナットnをねじ込み、各ナットnを締め付けて1対の木質部材1,2を接続する。
(2)図21〜図23に示すように、1対の木質部材4,5の端よりの部分に金属板製の接合板6のボルト孔6aに対応する位置にボルト孔4a,5aを設け、1対の木質部材4,5の端部を互いに当接させて、木質部材4,5の端よりの部分の両側にそれぞれ接合板6を添えて、木質部材4,5のボルト孔4a,5a及び接合板6のボルト孔6aにそれぞれ座金wを嵌めたボルトbを通し、それぞれボルトbの先に座金を嵌め、ボルトbの先のねじ部にナットnをねじ込み、各ナットnを締め付けて1対の木質部材4,5を接続する。
【0003】(3)木質材からなる梁材の下面の中央にその長手方向に延びる縦溝部を設け、この縦溝部内に樹脂を流し込んで硬化させ、木質材と一体の高強度材層を形成し、柱側面に固着した凹字型の支持金具に前記梁材の端部を挿入し、梁材の下面の木質材の面及び樹脂材層の下面を支持金具の底面に当接させ、支持金具の底面の両側から立ち上がった連結板のボルト孔、梁材の木質材のボルト孔及び高強度材層のボルト孔にボルトを通し、ボルトの先のねじ部にナットをねじ込んで、梁材を支持金具を介して柱に固定する接合方法(例えば、特許第2813149号公報参照)。
(4)単板積層材又は集成材よりなる柱用部材及び梁用部材の端部に、それぞれ鋼板製の接合板を接着剤により接着固定し、柱用部材の端部に接着した接合板と、梁用部材の端部に接着した接合板との間に鋼板製のジョイント板を配し、ジョイント板の一方の部分と柱用部材の端部に接着した接合板とをボルト・ナットにて直接結合し、ジョイント板の他方の部分を梁用部材の端部に接着した接合板にボルト・ナットにて直接結合する木質系軸組構造用の接合方法(例えば、特開平11−50532号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、木そのものが持つ素材の良さが見直され、集成材という優れた特性をもつ建築構造材料が国内でも多く生産され、スポーツ施設、集会施設、展示施設等の大規模な建築物に加えて、店舗や住宅まで集成材による木構造(集成材構造)で建築されるようになっている。建築構造形式の一つとしてラーメン架構があるが、木構造では高い剛性と強度という要求性能を満足する柱と梁の仕口部の構成が困難であるため、これまで木構造によるラーメン架構の実現は困難とされてきた。しかしながら、我が国では数年前から集成材とボルト等の接合具との組み合わせで、大規模木造建築を対象とした高い剛性と強度を有する柱と梁との仕口部を構成する技術の開発研究が行われており、この分野の開発研究が進むことで、今後木構造による事務所ビル等の中高層建築が出現する可能性がある。
【0005】従来、木構造の分野では、「接合部はモーメントが最小の部分に設ける」という鉄則であるが、木構造ラーメン架構は敢えてモーメントが最大の部分で柱と梁とを接合するものである。木構造国際会議等に於いても、このような接合方法を特にMoment Resisting Jointという用語で表現されており、我が国ではこれを直訳して「モーメント抵抗接合」と呼んでいる。我が国に於ける柱と梁の仕口部の開発研究もこのモーメント抵抗接合の実現のために他ならない。しかしながら、現在検討されているモーメント抵抗接合の技術は世界的にも未だ確立されたものではなく、多くは実験段階の域を出ないものである。このような現状において、この出願の発明は事務所等の中高層木造建築を対象とした木造ラーメン構造の実現を可能ならしめる木質部材の接合技術、すなわち、モーメント抵抗接合技術を提案するものである。
【0006】前記(1)及び(2)の接合方法では、ボルトの締め付け摩擦による接合効果は期待することができず、剪断力に対する抵抗は、ボルトの木質部材へのめり込みと、ボルトの曲げにより生ずる。この場合のボルト接合部の降伏モードが図24及び図25に示されている。前記(1)の接合方法のボルト接合部の降伏モードには、(A)図24の(a)に示すように、木質部材のボルト孔の部分が略均一に圧潰される場合、(B)図24の(b)に示すように、ボルトbが接合板3のボルト孔3aの両端で曲がり、木質部材のボルトの中央よりの部分が大きく圧潰される場合、(C)図24の(c)に示すように、ボルトbが接合板3のボルト孔3aの両端と接合板3の側面と木質部材の側面との中間の部分で曲がり、木質部材のボルト孔の中央部の近傍の部分が少々圧潰される場合とがある。
【0007】前記(2)の接合方法のボルト接合部の降伏モードには、(D)図25の(a)に示すように、木質部材のボルト孔の部分が略均一に圧潰される場合、(E)図25の(b)に示すように、ボルトbが両接合板6のボルト孔6aの部分とボルト孔の中央部からある程度離れた部分で曲がり、木質部材の両接合板6よりの部分が大きく圧潰される場合とがある。図24及び図25に示されているボルト接合部の降伏モードは、木質部材の厚さとボルトの径の比によって変化するが、いずれにせよ、ボルトが木質部材中にめり込むか又はボルトが曲がることで「滑り」が生じるため、接合の程度を「剛」に保つことが困難となる。また、その滑り量を評価できる手法は現在のところ確立されておらず、節点の多いトラスや曲げ応力の卓越する接合部にボルト接合部を用いる場合には入念なチェックが必要になる。
【0008】前記(3)の接合方法では、木質材からなる梁材の下面に設けた梁材の長手方向の縦溝部内に樹脂を流し込んで硬化させ、木質材と一体の高強度材層を形成して、木質材からなる梁材を強化するものであるが、梁材の連結板に隣接する部分は木質材であり、高強度材層に隣接する部分は梁材の木質材であるため、梁材に沿った長手方向の力が作用すると、ボルト及び梁材の木質材のボルト孔は、前記(2)の接合方法のボルト接合部の降伏モードと同様の降伏モードを示すことになる。すなわち、支持金具の底面の両側から立ち上がった連結板のボルト孔、梁材の木質材のボルト孔及び高強度材層のボルト孔に通したボルトは、両連結板のボルト孔の部分と中央に位置する高強度材層のボルト孔の両側の部分で曲がり、両連結板よりの木質材が大きく圧潰され、図25の(b)に示す降伏モードと同じ降伏モードを示すことになる。
【0009】前記(4)の接合方法では、柱用部材の端部に接着した接合鋼板と梁用部材の端部に接着した接合鋼板との間にジョイント鋼板を配し、ジョイント鋼板の一方の部分と柱用部材の端部に接着した接合鋼板とをボルト・ナットにて直接結合し、ジョイント鋼板の他方の部分を梁用部材の端部に接着した接合鋼板にボルト・ナットにて直接結合するものであり、単板積層材又は集成材よりなる柱用部材及び梁用部材の木質層をボルト・ナットにて締め付けないから、木質層の部分のボルト孔のところでボルトが曲がったり、ボルトによりボルト孔の木質層が圧潰されたりすることがない。しかし、柱用部材の端部に接着した接合鋼板がその接着部分で剥がれたり、又は梁用部材の端部に接着した接合鋼板がその接着部分で剥がれたりすると、柱用部材と梁用部材との結合を維持することが全くできない欠点がある。
【0010】この発明の解決しようとする課題は、上記の(1)〜(4)の従来技術が有していた欠点を有していない木質部材の接合部及び接合用木質部材を提供すること、換言すると、局部応力を木質部材に発生しにくくすることができ、ボルトの木質部材へのめり込みやボルトの曲げ降伏による滑りの発生を防止することができ、過大な力が作用した場合の急激な接合部の崩壊を防ぐことができる木質部材の接合部及び接合用木質部材を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明の木質部材の接合部は、1対の木質部材がその一方の端面と他方の端面とを近接させて配され、両方の木質部材の互いに近接させた端部分に形成された差込縦溝中に接合板が差し込まれ、木質部材及び接合板に穿たれた多数のボルト孔にボルト又はドリフトピンが差し込まれて、1対の木質部材が接合されている木質部材の接合部において、接合板が鋼材で構成され、接合板を差し込む差込縦溝の接合板の両方の側面と接する部分が、接合板の鋼材と木質部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質部材に接着され、前記差込縦溝がある部分に対応する木質部材、補強部材及び接合板にそれぞれ中心を略一致させて多数のボルト孔が穿設され、これらのボルト孔にそれぞれボルト又はドリフトピンが差し込まれて1対の木質部材が接合板を介して接合されていることを特徴とするものである。また、1対の木質部材がその一方の端部分の端面を他方の端部分の側面に近接させて配され、両方の木質部材の端部分中に形成された差込縦溝中に接合板が差し込まれ、木質部材及び接合板に穿たれた多数のボルト孔にボルト又はドリフトピンが差し込まれて、1対の木質部材が接合されている木質部材の接合部においても、上記と同様の構成を採用することができる。
【0012】また、この発明の木質部材の接合部は、1対の木質部材がその一方の端面と他方の端面とを近接させて配され、両方の木質部材の互いに近接した端部分の両方の側面にそれぞれ添えて接合板が配され、木質部材及び接合板に穿たれた多数のボルト孔にボルト又はドリフトピンが差し込まれて、1対の木質部材が接合されている木質部材の接合部において、接合板が鋼材で構成され、両方の木質部材の近接した端部分の両側の接合板が添えられる部分が、接合板の鋼材と木質部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質部材に接着され、前記接合板、該接合板に対応する補強部材及び木質部材にそれぞれ中心を略一致させて多数のボルト孔が穿設され、これらのボルト孔にそれぞれボルト又はドリフトピンが差し込まれて1対の木質部分が接合板を介して接合されていることを特徴とするものである。
【0013】さらに、この発明の木質柱部材の接合部は、木質柱部材に取付けた接合板にて少なくとも1本の木質梁部材が接合されている木質柱部材の接合部において、接合板が鋼材で構成され、木質梁部材の取付位置の木質柱部材の中途に差込横溝が形成され、該差込横溝に接合板が差し込まれ、該接合板が接する差込横溝の両方の側面が、接合板の鋼材と木質柱部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質部材に接着され、前記差込横溝がある部分に対応する木質部材、補強部材及び接合板にそれぞれ中心を略一致させて多数のボルト孔が穿設され、これらのボルト孔にそれぞれボルト又はドリフトピンが差し込まれて、接合板がその少なくとも一方の端部分を木質柱部材から突出させて接合され、木質梁部材の端部分に接合板の突出した部分を差し込む差込縦溝が形成され、該差込縦溝の接合板の両方の側面と接する部分が、接合板の鋼材と木質梁部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質梁部材に接着され、前記縦溝がある部分に対応する木質梁部材、補強部材及び接合板にそれぞれ中心を略一致させて多数のボルト孔が穿設され、これらのボルト孔にそれぞれボルト又はドリフトピンが差し込まれて、木質梁部分と木質柱部材とが接合板を介して接合されていることを特徴とするものである。
【0014】この発明の上記接合部は、木質柱部材と木質梁部材とからなる建造物の接合部に採用することができる。この発明の建造物の接合部は、下側及び上側の木質柱部材と少なくしも1本の木質梁部材とが仕口金物を介して接合されている建造物の接合部において、前記仕口金物は短い鋼管又は角鋼管の下端及び上端にこれと一体化した下柱取付板及び上柱取付板を備えかつ前記短い鋼管又は角鋼管の外周部にこれと一体化した鋼材からなる少なくとも一つの梁取付板を備えており、下側及び上側の木質柱部材がその長さを階高寸法から仕口金物の成を減じた長さに造られ、下側の木質柱部材の上端に仕口金物の下柱取付板が固着され、仕口金物の上柱取付板に上側の木質柱部材の下端が固着され、木質梁部材の端部分に梁取付板が差し込まれる差込縦溝が形成され、該差込縦溝の梁取付板の両方の側面と接する部分が、接合板の鋼材と木質梁部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質梁部材に接着され、前記差込縦溝がある部分に対応する木質部材、補強部材及び接合板にそれぞれ中心を略一致させて複数のボルト孔が設けられ、これらのボルト孔にそれぞれボルト又はドリフトピンが差し込まれて、木質柱部材と木質梁部分とが仕口金物を介して接合されていることを特徴とするものである。木質柱部材と仕口金物との固着は、例えば、下側及び上側の木質柱部材の上部又は下部に多数のボルトを所定の間隔をおいてその上端面及び下端面から鉛直方向に突出させて取り付け、下側の木質柱部材の上端から突出する各ボルトに仕口金物の下柱取付板の各ボルト孔を嵌め、各ボルトのねじ部にナットをねじ込んで、下側の木質柱部材の上端に仕口金物の下柱取付板を固着し、上側の木質柱部材の下端から突出する各ボルトを仕口金物の上柱取付板の各ボルト孔に差し込み、各ボルトのねじ部にナットをねじ込んで、上側の木質柱部材の下端を仕口金物の上柱取付板に固着するようにする。
【0015】この発明は接合用木質部材は、木質部材の端部分に差込縦溝が形成され、該差込縦溝中に鋼材からなる接合板又は取付板が差し込まれ、木質部材が前記接合板又は取付板を介して他の木質部材又は金属部材に取り付けられるようになっている接合用木質部材において、接合板又は取付板が差し込まれる差込縦溝の接合板又は取付板の両方の側面と接する部分が、接合板又は取付板の鋼材と木質部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質部材に接着され、前記差込縦溝がある部分に対応する木質部材及び補強部材に、接合板又は取付板に穿たれた多数のボルト孔の中心と略一致させて多数のボルト孔が穿設されていることを特徴とするものである。
【0016】また、この発明は接合用木質部材は、木質部材の端部分の両方の側面に鋼材からなる接合板又は取付板が添えられ、木質部材が前記接合板又は取付板を介して他の木質部材又は金属部材に取り付けられるようになっている接合用木質部材において、接合板又は取付板が添えられる木質部材の端部分の両方の側面の部分が、接合板又は取付板の鋼材と木質部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質部材に接着され、前記補強部材及び該補強部材に対応する木質部材に、接合板又は取付板に穿設され多数のボルト孔の中心と略一致させて多数のボルト孔が穿設されていることを特徴とするものである。
【0017】この発明における補強部材としては、通常はFRP(繊維強化プラスチック)板を用いるが、FRP板以外のもの、例えば、アルミ合金等の金属板や、OSB(Oriented Strand Board、すなわち、木材の小片を樹脂で固めて作った板材)や合板等の木質材料も用いることもできる。FRPからなる補強部材は硬化したものを木質部材に貼り付けてもよいし、又は未硬化な状態のものを木質部材に貼り付けて硬化させてもよい。補強部材をFRP製にすると、FRPの樹脂や繊維を選択することにより、補強部材の強度及び弾性率を接合板の鋼材と木質部材と木質材との中間に設定することができるとともに、補強部材と木質部材との接着上の相性を良くすることができる。この発明における「木質部材」、「木質柱部材」及び「木質梁部材」は、木材又は集成材等の木質材料製のものを意味している。
【0018】
【実施例】実施例1は、図1〜図3に示され、木質部材の中央の差込縦溝中に接合板を差し込んで1対の木質部材を接続する例である。木質部材11は、木材又は集成材製の横断面が縦長の矩形の長い部材からなり、その端よりの部分の中央に補強部材であるFRP板12の厚さtの2倍と接合板13の厚さtとの和に相当する幅の縦溝11aを形成して製作される。木質部材11の縦溝11aの内面の長手方向に延びる両方の側面に、補強部材である未硬化又は既硬化のFRP(すなわち、繊維強化プラスチック)板12を貼り付ける。末硬化のFRP板を貼り付ける場合には、貼り付け後に硬化させる。そうすると、木質部材11に縦溝11aの両方の側面に貼り付けたFRP板12,12間に接合板13の厚さtに相当する差込縦溝11aが形成される。図1〜図3に示す例では、補強部材であるFRP板12はその厚さがtであり、その縦横の寸法は木質部材11の縦溝11aの内面の長手方向に延びる両方の側面の縦横の寸法と一致させてあるが、FRP板12の縦方向の寸法を縦溝11aの側面の縦方向の寸法よりも少々小さくする場合もある。
【0019】図1〜図3に示すように、接合板13は、厚さtの鋼板で作られ、縦方向及び横方向に間隔をおいて多数のボルト孔13aが穿設してあり、接合板13の縦方向の寸法は、木質部材11の縦溝11aの側面の縦方向の寸法(すなわち、木質部材11の縦方向の寸法)と一致させてあるが、FRP板12の縦方向の寸法を縦溝11aの側面の縦方向の寸法よりも少々小さくした場合には、FRP板12の縦方向の寸法に合わせて、接合板13の縦方向の寸法を木質部材11の縦溝11aの側面の縦方向の寸法よりも少々小さくする。接合板13の横方向の寸法は、縦溝11aの側面の横方向の寸法の2倍よりも少々短くしてある。接合板13の横方向の寸法は、通常、FRP板12の縦方向の寸法の2倍よりも幾分か短くする。補強部材であるFRP板を貼り付けて硬化させた後に、木質部材11及びFRP板12の接合板13の各ボルト孔13aに対応する部分にそれぞれボルト孔11b,12aを軸心を一致させて穿設する。木質部材11への縦溝11aの形成、縦溝11aの内側面へのFRP板12の貼付、及び木質部材11及びFRP板12へのボルト孔11b,12aの穿設は、工場で行う。
【0020】図1〜図3に示すように、1対の木質部材11,11の端部を互いに対向させて位置させ、木質部材11,11の差込縦溝11a内に接合板3を差し込み、木質部材11及びFRP板(補強部材)12のボルト孔11b,12a及び接合板13のボルト孔13aにそれぞれ座金wを嵌めたボルトbを通し、それらのボルトbの先に座金wを嵌め、ボルトbの先のねじ部にそれぞれナットnをねじ込み、各ナットnを締め付けると、1対の木質部材11,11を接合した接合部10になる。
【0021】木質部材11を、例えば、略同じ厚さの3枚の木材又は集成材製の素板11A,11B,11Cを重ねて接着して製作する場合には、図4(a)に示すように、素板11A,11Cの端部分の一側面に未硬化のFRP材12を貼り付け、この貼り付けた未硬化のFRP材を硬化させて、略一定の厚さのFRP板(補強部材)12が接着されている素板11A,11Cを製作する。そして、図4(b)に示すように、素板11Aの上に素板11Bを配し、この素板11Bの上に素板11Cを配し、かつ各板間に接着剤を施して、3枚の素板11A,11B,11Cを加圧して一体化する。そうすると、端部分のFRP板12間に接合板13の厚さtに相当する差込縦溝11aのある接合用木質部材11ができる。
【0022】なお、図5及び図6に示すように、1対の木質部材11,11の端部をそれらの中心軸線が直角になるように位置させ、木質部材11,11の差込縦溝11a,11a内に接合板3を差し込み、木質部材11及びFRP板(補強部材)12のボルト孔11b,12a及び接合板13のボルト孔13aにそれぞれ座金wを嵌めたボルトbを通し、それらのボルトbの先に座金wを嵌め、ボルトbの先のねじ部にそれぞれナットnをねじ込み、各ナットnを締め付けるようにすることもできる。図5及び図6に示す場合は、接合板3を長辺が短辺の2倍の矩形の鋼板で構成して、前記矩形の半分(正方形)の鋼板の部分にそれぞれ縦方向及び横方向に同じ間隔でボルト孔13aを穿設すると、差込縦溝11a,11a内へ接合板3を差し込む際に、接合板3の向きを考慮する必要がなくなる。
【0023】実施例2は、図7〜図9に示され、1対の木質部材の両側に接合板を添えてそれらの木質部材を接合する例である。木質部材21は、木材又は集成材製の横断面が縦長の矩形の長い部材から製作されている。木質部材21の端部よりの部分の外側の長手方向に延びる両方の側面に、補強部材である未硬化又は既硬化のFRP板22を貼り付ける。未硬化のFRP板を貼り付ける場合には、貼り付け後に硬化させる。図7〜図9に示す例では、補強部材であるFRP板22はその厚さがtであり、その縦方向の寸法は木質部材21の側面の縦方向の寸法と一致させてあるが、FRP板22の縦方向の寸法を木質部材11の側面の縦方向の寸法よりも少々小さくする場合もある。FRP板22の横方向の寸法は、接合板23の横方向の寸法の半分よりも少々大きくしてある。
【0024】図7〜図9に示すように、接合板23は、厚さtの鋼板で作られ、縦方向及び横方向に間隔をおいて多数のボルト孔23aが穿設されてあり、接合板23の縦方向の寸法は、木質部材21の側面の縦方向の寸法と一致させてあるが、FRP板22の縦方向の寸法を木質部材11の側面の縦方向の寸法よりも小さくした場合には、それに合わせて、木質部材21の縦方向の寸法よりも小さくする。補強部材であるFRP板22の縦横の寸法及び厚さt並びに接合板13の縦横の寸法及び厚さtは、1対の木質部材21,21の接合部に作用する荷重に応じて定める。補強部材であるFRP板を貼り付けて硬化した後に、木質部材21及びFRP板22の接合板23の各ボルト孔23aに対応する部分にそれぞれボルト孔21a,22aを軸心を一致させて穿設する。木質部材21の両側面へのFRP板(補強部材)22の貼付、及び木質部材21及びFRP板22へのボルト孔21a,22aの穿設は工場で行う。
【0025】図7〜図9に示すように、1対の木質部材21,21をそれらの端部を互いに当接させて位置させ、木質部材21,21の両側面にそれぞれ接合板23を添えて、木質部材21及びFRP板22のボルト孔21a,22a及び接合板23のボルト孔23aにそれぞれ座金wを嵌めたボルトbを通し、それらのボルトbの先に座金wを嵌め、ボルトbの先のねじ部にそれぞれナットnをねじ込み、各ナットnを締め付けると、1対の木質部材21,21を接合した接合部20となる。
【0026】実施例3は、図10〜図12に示され、木質柱部材の中途に取付けた接合板に1対の木質梁部材を1次元的に接続する例である。木質柱部材34は、木材又は集成材製の横断面が矩形の長い部材からなり、その中途部の前記矩形の短辺の中央部にこれを貫通する矩形の横溝34aを形成する。前記横溝34aの矩形の短辺の長さはFRP板35の厚さtの2倍と接合板33の厚さtとの和に相当する長さであり、その長辺の長さは、例えば、後記木質梁部材31の成に相当する長さである。前記横溝34a内の横(水平)方向に延びる両方の側面に補強部材である未硬化又は既硬化のFRP板35を貼り付ける。そうすると、木質柱部材34に横溝34aの両方の側面に貼り付けたFRP板35,35間に接合板33の厚さtに相当する差込横溝34aが形成される。そして、木質柱部材34及びFRP板35の接合板33の各ボルト孔33aに対応する部分に、軸心を一致させてボルト孔34a,35aを穿設して、木質柱部材34を完成する。
【0027】木質梁部材31は、木材又は集成材製の横断面が縦長の矩形の長い部材からなり、その端部よりの部分の中央に補強部材であるFRP板の厚さtの2倍と接合板13の厚さtとの和に相当する幅の縦溝31aを形成する。そして、前記縦溝31aの内面の長手方向に延びる両方の側面に、補強部材である未硬化又は既硬化のFRP板32を貼り付ける。木質部材31に縦溝31aの両方の側面に貼り付けたFRP板32,32間に接合板33の厚さtに相当する差込縦溝31aが形成される。そして、木質梁部材31のFRP板32の接合板33の各ボルト孔33aに対応する部分に、軸心を一致させてボルト孔31b,32aを穿設して、木質柱部材34を完成する。接合板33は、図10〜図12に示すように、厚さtの鋼板で作られ、接合板33の縦方向の寸法は、木質梁部材31の成の寸法及び木質柱部材34の横溝34aの縦方向の寸法と一致させてあり、接合板33の横方向の寸法は、木質梁部材31の縦溝31aの横方向の寸法の2倍と木質柱部材34の横溝34aの横方向の寸法との和よりも少々小さい寸法にしてあり、その縦方向及び横方向に間隔をおいて多数のボルト孔33aが穿設されている。
【0028】図10〜図12に示すように、木質柱部材34を所定位置の基礎等の上に鉛直に建て、木質柱部材34の中途の横溝34aの両方の側面に貼り付けたFRP板35間の差込横溝34aに接合板33を差し込んで、接合板33の長手方向の端よりの部分を木質柱部材34の側面から同じ長さ突出させる。それから、木質柱部材34のボルト孔34b、FRP板35のボルト孔35a及び接合板33のボルト孔33aにそれぞれ座金Wを嵌めたボルトBを通し、それらのボルトBの先に座金Wを嵌め、ボルトBの先のねじ部にそれぞれナットNをねじ込み、各ナットNを締め付けて、接合板33を木質柱部材34に固着する。次に、1対の木質梁部材31,31の縦溝31aの側面に貼り付けたFRP板32,32間の差込縦溝31aに接合板33の自由端よりの部分が差し込まれるように、1対の木質梁部材31,31を木質柱部材34に向けて移動させ、木質梁部材31,31の端面を木質柱部材31の両側面に当て、木質梁部材31及びFRP板32のボルト孔31a,32a及び接合板33のボルト孔33aにそれぞれ座金wを嵌めたボルトbを通し、それらのボルトbの先に座金wを嵌め、ボルトbの先のねじ部にナットnをねじ込み、各ナットnを締め付けると、木質柱部材34と1対の木質梁部材31,31とを接合した接合部30となる。
【0029】実施例4は、図13〜図17に示され、上下の木質柱部材と4本の木質梁部材とを仕口金物を用いて接合する例である。仕口金物45は、短い角鋼管45a、下柱取付板45b、上柱取付板45c及び4枚の梁取付板45dで構成される。短い角鋼管45aはその辺の長さが木質柱部材43の辺の長さよりも小さい角鋼管を木質梁部材41の成よりも幾分か長く切って作られ、下柱取付板45b及び上柱取付板45cはそり辺の長さが木質柱部材43の辺の長さよりも小さくかつ角鋼管45aの辺の長さよりも大きい4角形の鋼板で作られ、梁取付板45dはその成(鉛直方向の寸法)が木質梁部材43の成よりも少々小さい矩形の鋼板で作られている。前記下柱取付板45b及び上柱取付板45cを、短い角鋼管45aの下端及び上端に、それらの辺が互いに平行になりそれらの中心が一致するように溶接し、4枚の梁取付板45dを、下柱取付板45bと上柱取付板45cとの間の角鋼管45aの外周の4面の長手方向の中央にそれぞれ溶接して、仕口金物45が製作される。なお、下柱取付板45b及び上柱取付板45cには、その角鋼管45aから鍔状に突出した部分にそれらの辺に沿って間隔をおいて多数のボルト孔が穿設され、各梁取付板45dにも、縦方向及び横方向に間隔をおいて多数のボルト孔45dが穿設されている。
【0030】木質柱部材43は、木材又は集成材製であって、その横断面が4角形(正方形)になっており、その長さが階高寸法から仕口金物45の鉛直方向の寸法を減じた長さにしてあり、その下部及び上部の下柱取付板45b及び上柱取付板45cのボルト孔に対応するそれぞれの位置にボルトbが植設されている。木質柱部材43へのボルトbの植設は、木質柱部材43の両端の所定の多数の位置にその長手方向に平行な孔を穿設し、それらの孔に接着剤を注入してボルトbの軸部を差し込み、ボルトBの軸部を木質柱部材43に接着させることにより行うか、或いは、木質柱部材43の両端面の所定の多数の位置にその長手方向と平行な貫通孔を穿設し、その貫通孔にボルトbの長い軸部を差し込み、そのボルトbの両端のねじ部を木質柱部材43の下端面及び上端面から突出させることにより行う。木質梁部材41は、木材又は集成材製の横断面が縦長の矩形の長い部材からなり、その端よりの部分の中央に補強部材であるFRP板42の厚さtの2倍と梁取付板45dの厚さtとの和に相当する幅の縦溝41aが形成され、その縦溝41aの内面の長手方向に延びる両方の側面に、梁取付板45dの成と同じ成の補強部材である末硬化又は既硬化のFRP板42が貼り付けられ、木質梁部材41及びFRP板42の梁取付板45dの各ボルト孔45dに対応する部分にそれぞれボルト孔41a,42aが軸心を一致させて穿設されている。
【0031】図13〜図15に示すように、木質柱部材43を所定位置の基礎等の上に鉛直に建て、この木質柱部材43の上端から突出する各ボルトbに仕口金物45の下柱取付板45bの各ボルト孔に差し込み、各ボルトbのねじ部にナットnをねじ込んで、下側の木質柱部材43の上端に仕口金物45の下柱取付板45bを取り付ける。上側の木質柱部材43の下端から突出する各ボルトbを仕口金物45の上柱取付板45cの各ボルト孔に差し込み、各ボルトbのねじ部にナットnをねじ込んで、上側の木質柱部材43の下端を仕口金物45の上柱取付板45cに取り付ける。仕口金物45の4枚の梁取付板45dに、それぞれの木質梁部材41の端部分の縦溝41aの両側面に貼り付けたFRP板(補強部材)42間の差込縦溝41aが嵌まるように、各木質梁部材41を仕口金物45の各梁取付板45dに向けて移動させ、木質梁部材41及びFRP板42のボルト孔41b,42a及び各梁取付板45dのボルト孔45dにそれぞれ座金wを嵌めたボルトbを通し、それらのボルトbの先に座金wを嵌め、ボルトbの先のねじ部にそれぞれナットnをねじ込み、各ナットnを締め付けて、各木質梁部材41を仕口金物45を介して各木質柱部材43に固着する。
【0032】図13〜図15に示されたものでは、梁取付板45dの成及びFRP板42の成が木質梁部材43の成よりも小さくなっているから、木質梁部材43の端部よりの部分の下側及び上側には浅い縦溝41aが存在し、梁取付板45d及びFRP板42の下側面及び上側面が露出している。また、下側の木質柱部材43の上端面と上側の木質柱部材43の下端面との間の仕口金物45の短い角鋼管45a、下柱取付板45b、上柱取付板45c及び各梁取付板45dの部分も露出している。そのため、図16及び図17に示すように、木質梁部材43の前記の浅い縦溝41aを、木材又は集成材製の埋木46で埋め、また下側の木質柱部材43の上端面と上側の木質柱部材43の下端面との間の仕口金物45の外側を木材又は集成材製の埋木47で覆い、下側及び上側の木質柱部材43の周囲の鉛直方向に延びる4面と面一になるようにする。そうすると、露出していた仕口金物45の部分やFRP板42の部分が埋木46,47で覆われ、所定の耐火性が付与され、4本の木質梁部材41と上側及び下側の木質柱部材43とが仕口金物45を介して結合された建造物の接合部40となる。
【0033】なお、上記実施例においては、補強部材を構成するFRP板が、樹脂がエポキシ樹脂で繊維が炭素繊維又はガラス繊維のFRP材で作られ、木質部材を構成する木質材同士の接着及び木質部材と補強部材(FRP材)の接着にはエポキシ樹脂接着剤を用いた。
【0034】
【発明の効果】この発明は、特許請求の範囲の各請求項に記載した構成を備えることにより、次の(イ)〜(ヌ)の効果を奏する。
(イ)請求項1に係る発明の木質部材の接合部は、1対の木質部材がその一方の端面と他方の端面とを近接させて配され、両方の木質部材の互いに近接させた端部分に形成された差込縦溝中に接合板が差し込まれ、木質部材及び接合板に穿たれた多数のボルト孔にボルト又はドリフトピンが差し込まれて、1対の木質部材が接合されている木質部材の接合部において、接合板が鋼材で構成され、接合板を差し込む差込縦溝の接合板の両方の側面と接する部分が、接合板の鋼材と木質部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質部材に接着され、前記差込縦溝がある部分に対応する木質部材、補強部材及び接合板にそれぞれ中心を略一致させて多数のボルト孔が穿設され、これらのボルト孔にそれぞれボルト又はドリフトピンが差し込まれて1対の木質部材が接合板を介して接合されているから、次の(1)〜(6)の作用効果を奏する。
(1)対の木質部材に力が作用した場合に、木質部材から直接ボルト又はドリフトピンに力が伝わらず、まず木質部材と補強部材との接着面を介して補強部材に伝わり、次に補強部材からボルト又はドリフトピンに力が流れる。そのため木質部に局部応力が発生しにくくなり、ボルトの木質部材へのめり込みによる滑りが生じなくなる。
(2)ボルト又はドリフトピンの荷重抵抗形態が曲げではなく剪断になるため、ボルトの曲げ降伏による滑りの発生がなくなる。
(3)上記の(1)及び(2)により、高い接合部強度及び接合部剛性が得られる。
(4)木質部材と補強部材との接合面を大きくとることで、高強度の接合が期待できる。
(5)接合部に大きな力が作用して、木質部材と補強部材との接着が万一切れても、木質部→ボルト→接合板(すなわち、鋼板)という力伝達の経路が保持されるから、急激な接合部の崩壊を防ぐことができる。
(6)ボルト又はドリフトピンの間隔は、木質構造の設計規準に定められているが、これは木材の低い剪断強度に立脚して定められたもので、上記のように木質部材から直接ボルトに力が伝わらない(木質部材から補強部材に力が伝わり、補強部材からボルトに力が伝わる)場合には必ずしもこの規準に従う必要がなく、ボルト間の間隔を規準値より短縮できると考えられる。このため、一般のボルト接合部に比べ、接合板の大きさを縮小でき、施工性とコストの面でのメリットが期待できる。
【0035】(ロ)請求項2に記載のようにすると、上記(イ)の(1)〜(6)の作用効果と同様のを作用効果を奏することができる。
(ハ)請求項3に係る発明の木質部材の接合部は、1対の木質部材がその一方の端面と他方の端面とを近接させて配され、両方の木質部材の互いに近接した端部分の両方の側面にそれぞれ添えて接合板が配され、木質部材及び接合板に穿たれた多数のボルト孔にボルト又はドリフトピンが差し込まれて、1対の木質部材が接合されている木質部材の接合部において、接合板が鋼材で構成され、両方の木質部材の近接した端部分の両側の接合板が添えられる部分が、接合板の鋼材と木質部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質部材に接着され、前記接合板、該接合板に対応する補強部材及び木質部材にそれぞれ中心を略一致させて多数のボルト孔が穿設され、これらのボルト孔にそれぞれボルト又はドリフトピンが差し込まれて1対の木質部分が接合板を介して接合されているから、上記(イ)の(1)〜(6)の作用効果を奏することができるだけでなく、両方の木質部材の近接した端部分の両側の接合板が添えられる部分が、接合板の鋼材と木質部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する略一定の厚さの補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質部材に接着されるようになっているため、木質部材への補強部材の接着が容易になる。
(ニ)請求項4記載のようにすると、上記(イ)の(1)〜(6)の作用効果と同様のを作用効果を奏することができるだけでなく、一つの接合板を用いて木質梁部分と木質柱部材とを接合することができる。
【0036】(ホ)請求項5に係る発明の構造物の接合部は、下側及び上側の木質柱部材と少なくしも1本の木質梁部材とが仕口金物を介して接合されている建造物の接合部において、前記仕口金物は短い鋼管又は角鋼管の下端及び上端にこれと一体化した下柱取付板及び上柱取付板を備えかつ前記短い鋼管又は角鋼管の外周部にこれと一体化した鋼材からなる少なくとも一つの梁取付板を備えており、下側及び上側の木質柱部材がその長さを階高寸法から仕口金物の成を減じた長さに造られ、下側の木質柱部材の上端に仕口金物の下柱取付板が固着され、仕口金物の上柱取付板に上側の木質柱部材の下端が固着され、木質梁部材の端部分に梁取付板が差し込まれる差込縦溝が形成され、該差込縦溝の梁取付板の両方の側面と接する部分が、接合板の鋼材と木質梁部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質梁部材に接着され、前記差込縦溝がある部分に対応する木質部材、補強部材及び接合板にそれぞれ中心を略一致させて複数のボルト孔が設けられ、これらのボルト孔にそれぞれボルト又はドリフトピンが差し込まれて、木質柱部材と木質梁部分とが仕口金物を介して接合されているから、上記(イ)の(1)〜(6)の作用効果と同様の作用効果を奏することができるだけでなく、次の(7)〜(11)の作用効果を奏する。
(7)木質柱部材と木質梁部材との接合部(仕口部)に高い接合強度及び接合剛性を期待することができる。
(8)仕口金物の短い鋼管又は角鋼管の外周部にこれと一体化した鋼材からなる少なくとも一つの梁取付板を備えており、梁取付板の数を増やすことにより、木質柱部材への木質梁部材の多方向接合が容易に実現できる。
(9)上記の(7)及び(8)により、純然たる木構造ラーメン架構が実現できる。
(10)木質柱部材の長さは建造物の階高と仕口金物の成に応じて決められるので、建方は階毎に順次組み上げていくことになるから、確実にしかも安全に架構を組み上げることができる。
(11)木質柱部材の長さが階高寸法より短くなるから、従来の木造の建造物の柱に比して運搬が容易になる。
(ヘ)請求項6記載のようにすると、上記(ホ)の(7)〜(11)の作用効果を奏することができるだけでなく、下側又は上側の木質柱部材の上端又は下端の仕口金物の下柱取付板又は上柱取付板へのボルト・ナットによる取付作業の施工性が向上する。
【0037】(ト)請求項7に係る発明のように、補強部材としてFRP板を用いると、次の(12)及び(13)の作用効果を奏する。
(12)FRPは樹脂及び繊維の適切な選定により、FRPの強度及び弾性率を木質材と鋼材(鋼板)の中間に設定することができる。特にFRPは木質材に対して強度が高い割りに弾性率が木材に近いため、変形時の追随性が他の材料に比べて良く、接着部分に生じる応力の観点からも他の材料に比べて有利である。(13)木質材の接合に使用する接着剤はエポキシ樹脂接着剤が一般的であるが、FRPの樹脂も通常エポキシ樹脂が用いられるから、FRPを用いることにより両者の接着上の相性を良くすることができる。
【0038】(チ)請求項8に係る発明の接合用木質部材は、木質部材の端部分に差込縦溝が形成され、該差込縦溝中に鋼材からなる接合板又は取付板が差し込まれ、木質部材が前記接合板又は取付板を介して他の木質部材又は金属部材に取り付けられるようになっている接合用木質部材において、接合板又は取付板が差し込まれる差込縦溝の接合板又は取付板の両方の側面と接する部分が、接合板又は取付板の鋼材と木質部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質部材に接着され、前記差込縦溝がある部分に対応する木質部材及び補強部材に、接合板又は取付板に穿たれた多数のボルト孔の中心と略一致させて多数のボルト孔が穿設されているから、この接合用木質部材を接合板又は取付板を介して他の木質部材又は金属部材に取り付けて使用すると、上記(イ)の(1)〜(6)の作用効果と同様のを作用効果奏することができる。この接合用木質部材は工場生産が可能な構成になっているから、これを工場生産し、それを建築現場に搬入して接合する。現場では従来と全く同じ方法で組立て作業を行えばよく、特に新しい技術や構法を必要としない。
【0039】(リ)請求項9に係る発明の接合用木質部材は、木質部材の端部分の両方の側面に鋼材からなる接合板又は取付板が添えられ、木質部材が前記接合板又は取付板を介して他の木質部材又は金属部材に取り付けられるようになっている接合用木質部材において、接合板又は取付板が添えられる木質部材の端部分の両方の側面の部分が、接合板又は取付板の鋼材と木質部材の木質材との中間の強度及び弾性率を有する板状の補強部材で構成され、該補強部材がこれに接する木質部材に接着され、前記補強部材及び該補強部材に対応する木質部材に、接合板又は取付板に穿設され多数のボルト孔の中心と略一致させて多数のボルト孔が穿設されているから、この接合用木質部材を接合板又は取付板を介して他の木質部材又は金属部材に取り付けて使用すると、上記(ハ)の作用効果と同様の作用効果を奏することができる。この接合用木質部材は、接合板が添えられる木質部材の端部分の両方の側面の部分に略一定の厚さの前記補強部材を貼り付けるだけで製造できるから、工場生産に適している。工場生産した接合用木質部材を建築現場に搬入し、従来と全く同じ方法で組立て作業を行えばよく、特に新しい技術や構法を必要としない。
(ヌ)請求項10に発明の接合用木質部材は、前記補強部材が硬化したFRP板を木質部材に貼り付けたもの又は未硬化のFRP材を木質部材に貼り付けて硬化させたものであるから、上記(ト)の(12)及び(13)の作用効果を奏し得るだけでなく、その製造も容易である。




 

 


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