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発明の名称 柱梁接合構造及び接合方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−3448(P2001−3448A)
公開日 平成13年1月9日(2001.1.9)
出願番号 特願平11−179068
出願日 平成11年6月24日(1999.6.24)
代理人 【識別番号】100090114
【弁理士】
【氏名又は名称】山名 正彦
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125 AA04 AA05 AB01 AB17 AC16 AC29 AG03 AG04 AG12 AG25 AG43 AG49 AG57 BA02 BA33 BB09 BB18 BB22 BB28 BC07 BD01 BE08 CA82 DA03 DA04 
発明者 樋口 満 / 金子 洋文 / 平出 亨 / 小林 道和 / 小野 喜信
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】上下の鋼管柱同士を柱梁継手により接合して成る柱梁接合構造において、下位柱の上端に、底部ダイヤフラムを介して上向き容器状の柱梁継手が接合されており、前記柱梁継手の内部に、下端にエンドプレートを有する上位柱の下端部が挿入され、当該上位柱と前記柱梁継手との間の空隙にモルタル又はコンクリート等の充填材が充填されて上下の鋼管柱が一体に接合されており、前記柱梁継手に鉄骨梁が接合されることを特徴とする、柱梁接合構造。
【請求項2】上向き容器状の柱梁継手の水平断面の内側面形状は上位柱の外形と相似形状とされ、上位柱との空隙が均等に構成されていることを特徴とする、請求項1記載の柱梁接合構造。
【請求項3】上向き容器状の柱梁継手の垂直断面の内側面形状は、高さ方向の中間部の内径が最大で上下方向へ内径が縮小され、相対的に上下方向に板厚が厚くなるテーパー状に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の柱梁接合構造。
【請求項4】上位柱の下端部外周にシアープレートが設けられていることを特徴とする、請求項1記載の柱梁接合構造。
【請求項5】上位柱のエンドプレートに充填材充填用の孔が設けられ、上位柱の内部にも充填材が充填されていることを特徴とする、請求項1記載の柱梁接合構造。
【請求項6】上位柱のエンドプレートと底部ダイヤフラムにコンクリート充填用の孔がそれぞれ設けられ、上位柱及び下位柱の内部にコンクリートが充填されていることを特徴とする、請求項1記載の柱梁接合構造。
【請求項7】上下の鋼管柱同士を柱梁継手により接合する柱梁接合方法において、下位柱の上端に、底部ダイヤフラムを介して上向き容器状の柱梁継手を接合し、前記柱梁継手の内部に、下端にエンドプレートを有する上位柱の下端部を挿入し、当該上位柱と前記柱梁継手との間の空隙にモルタル又はコンクリート等の充填材を充填して上下の鋼管柱を一体に接合して、前記柱梁継手に鉄骨梁を接合することを特徴とする、柱梁接合方法。
【請求項8】柱梁継手と上位柱とのそれぞれに位置決め用ピースを取り付け、柱梁継手の内部に上位柱の下端部を挿入し、前記位置決め用ピース同士をスプライスプレートを介してボルトで緊結し固定する仮止めをした後に、前記柱梁継手と前記上位柱との間の空隙に充填材を充填することを特徴とする、請求項7記載の柱梁接合方法。
【請求項9】柱梁継手と上位柱とのそれぞれに取り付けた位置決め用ピースのうち少なくとも一方のボルト孔を、同位置決め用ピースを締結するボルトの外径より少し大きく設け、前記ボルトを緩めて建方時の誤差調整を行うことを特徴とする、請求項8記載の柱梁接合方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、上下の鋼管柱を梁の接合を兼ねて一連に接合する技術の分野に属し、更に云えば、上下の鋼管柱同士を梁接合位置において機械的柱梁継手により接合(機械式接合)して成る柱梁接合構造及びその接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄骨造建築物の柱には、角形鋼管又は円形鋼管などの閉断面部材が多く用いられている。
【0003】前記鋼管柱は、運搬上の制約等によって通例2〜3階程度の長さを1節とした柱材を、現場で接合して構築される。
【0004】前記鋼管柱同士の接合は、一般的に溶接によって行われている。しかし、現場溶接には次のような問題がある。
【0005】a) 溶接部が熱影響を受け、柱の全周に亘り母材の機械的性質が変質する可能性がある。
b) 雨の日は溶接ができないので、工程を予定通り消化できるとは限らない。
c) 接合部の溶接作業及びその後の溶接部の検査に多大な時間が必要である。
d) 溶接欠陥の生じる可能性がかなりある。
e) 建方精度や溶接縮み等に対して高度な管理が必要とされる。
【0006】一方、機械的継手によって鋼管柱同士を接合する技術がある。同技術に分類されるものとして、例えば以下の■〜■等が挙げられる。
【0007】■ 特開平9−291598号公報に記載された充填鋼管コンクリート構造体の継手構造は、上下の鋼管柱におけるそれぞれの端部の内周面に、複数の棒状鉄筋が先端部を外部に突出して固着され、前記各鉄筋の先端が接合すべき相手側の鋼管柱に相互に差し込まれ、鋼管柱の内部で前記鉄筋同士が軸線方向にラップされ、その状態で同鋼管柱内にコンクリートが充填されている。
【0008】■ 特開平9−317003号公報に記載された鋼管柱は、上下の鋼管柱のいずれか一方の端部を開口端として内部が支圧板によって仕切られた所要高さの受入れ端部が形成され、他方の鋼管柱の端部は、内側に周縁支圧板を設けて閉塞されていると共に、当該鋼管柱と同形で一端を芯部支圧板により閉鎖され、かつその側面の上下所要箇所にガイドピースを突設した継手部材としての管状体を、前記周縁支圧板に閉鎖端を外側に向けて同心に取り付け、当該管状体が前記受入れ端部に挿入され、前記鋼管柱と前記管状体との空隙にモルタルが充填されて上下の鋼管柱が一体的に接合されている。
【0009】■ 特開平9−317008号公報に記載された充填コンクリート柱の接合構造は、内径及び外径が異なる上下の鋼管柱において、一方の鋼管柱の内部に他方の鋼管柱の端部を所要長さ挿入し、前記両鋼管柱の内部、及び両鋼管柱同士の僅かな空隙にコンクリートが充填され、上下の鋼管柱が接合されている。
【0010】■ 特開平9−317009号公報に記載された充填鋼管コンクリート柱と梁の接合構造は、円形の充填鋼管コンクリート柱同士の突き合わせ部に柱梁継手として角形鋼管が設けられ、当該角形鋼管と前記円形充填鋼管コンクリート柱との間にコンクリートが充填されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術■の充填鋼管コンクリート構造体の継手構造は、上下の鋼管柱それぞれの端部の内周面に複数の棒状鉄筋を固着させる手段として溶接接合を用いると、当該溶接部分が熱影響を受け、機械的性質が変質する可能性がある。また、鋼管柱内部で鉄筋同士を軸線方向にラップさせるので、接合鉄筋の位置決め、建方精度等に高度な管理が必要とされ、一定の品質を確保することは難しい。さらに、柱に引張力が作用した場合には、鋼管柱全断面の引張強度を殆ど伝達できない。理論的には、多くの接合鉄筋を用いれば良いと考えられるが、施工性等に難点があり、現実的ではない。
【0012】上記従来技術■の鋼管柱は、上下の鋼管柱の双方に受け用の支圧板を溶接接合するので、溶接部分が熱影響を受け、機械的性質が変質する可能性がある。また、一方の鋼管柱の側面の上下所要箇所にガイドピースを突設した継手部材としての管状体を接合しなければならず、当該継手部材の精度を確保する製作が煩雑である。また、同公報の図面に示された前記ガイドピースの形状では、鋼管柱に引張力が作用した場合には、鋼管柱全断面の引張強度を殆ど伝達できない。さらに、その構造的な特徴からして、充填鋼管コンクリート柱への応用は考慮されていないと推認される。
【0013】上記従来技術■の充填コンクリート柱の接合構造は、上下の鋼管柱の外径が異なるため、柱接合部において納まり上の問題がある。また、両鋼管柱同士の間に僅かな空隙を設け、当該空隙にもコンクリートを充填するので、上下の鋼管柱を主とする部材の製作精度や建方精度等に高度なものが要求される。さらに柱に引張力が作用した場合には、鋼管柱全断面の引張強度を殆ど伝達できない。理論的には、上下の鋼管柱の重なり部分を相当に長く設ければ良いとも考えられるが、施工性等に難点があり、現実的ではない。
【0014】上記従来技術■の充填鋼管コンクリート柱と梁の接合構造は、溶接接合を一切用いず、機械的柱梁継手により上下の鋼管柱同士を接合する構造であるが、上下の円形鋼管柱と柱梁継手としての角形鋼管との位置決めや、充填材の漏れ止め等の処理については明示されておらず、施工性に難点があると推認される。また、柱に引張力が作用した場合には、鋼管柱全断面の引張強度を殆ど伝達できない。理論的には、柱梁継手としての角形鋼管の長さを長くすれば良いとも考えられるが、施工性等に難点があるだけでなく、納まりにも問題が生じることになる。
【0015】従って、本発明の目的は、溶接接合をできるだけ少なくして部材の機械的性質の変質を最小限度に止めることができ、また、特に柱に引張力が作用した場合にも、鋼管柱全断面の引張強度を相互に効率よく確実に伝達できるように、上下の鋼管柱の接合ができ、施工性にも優れ、ひいては工期短縮に寄与し、更に柱梁接合部の納まりのよい、柱梁接合構造及びその接合方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明に係る柱梁接合構造は、上下の鋼管柱同士を柱梁継手により接合して成る柱梁接合構造において、下位柱の上端に、底部ダイヤフラムを介して上向き容器状の柱梁継手が接合されており、前記柱梁継手の内部に、下端にエンドプレートを有する上位柱の下端部が挿入され、当該上位柱と前記柱梁継手との間の空隙にモルタル又はコンクリート等の充填材が充填されて上下の鋼管柱が一体に接合されており、前記柱梁継手に鉄骨梁が接合されることを特徴とする。
【0017】請求項2記載の発明は、請求項1記載の柱梁接合構造において、上向き容器状の柱梁継手の水平断面の内側面形状は上位柱の外形と相似形状とされ、上位柱との空隙が均等に構成されていることを特徴とする。
【0018】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の柱梁接合構造において、上向き容器状の柱梁継手の垂直断面の内側面形状は、高さ方向の中間部の内径が最大で上下方向へ内径が縮小され、相対的に上下方向に板厚が厚くなるテーパー状に形成されていることを特徴とする。
【0019】請求項4記載の発明は、請求項1記載の柱梁接合構造において、上位柱の下端部外周にシアープレートが設けられていることを特徴とする。
【0020】請求項5記載の発明は、請求項1記載の柱梁接合構造において、上位柱のエンドプレートに充填材充填用の孔が設けられ、上位柱の内部にも充填材が充填されていることを特徴とする。
【0021】請求項6記載の発明は、請求項1記載の柱梁接合構造において、上位柱のエンドプレートと底部ダイヤフラムにコンクリート充填用の孔がそれぞれ設けられ、上位柱及び下位柱の内部にコンクリートが充填されていることを特徴とする。
【0022】請求項7記載の発明に係る柱梁接合方法は、上下の鋼管柱同士を柱梁継手により接合する柱梁接合方法において、下位柱の上端に、底部ダイヤフラムを介して上向き容器状の柱梁継手を接合し、前記柱梁継手の内部に、下端にエンドプレートを有する上位柱の下端部を挿入し、当該上位柱と前記柱梁継手との間の空隙にモルタル又はコンクリート等の充填材を充填して上下の鋼管柱を一体に接合して、前記柱梁継手に鉄骨梁を接合することを特徴とする。
【0023】請求項8記載の発明は、請求項7記載の柱梁接合方法において、柱梁継手と上位柱とのそれぞれに位置決め用ピースを取り付け、柱梁継手の内部に上位柱の下端部を挿入し、前記位置決め用ピース同士をスプライスプレートを介してボルトで緊結し固定する仮止めをした後に、前記柱梁継手と前記上位柱との間の空隙に充填材を充填することを特徴とする。
【0024】請求項9記載の発明は、請求項8記載の柱梁接合方法において、柱梁継手と上位柱とのそれぞれに取り付けた位置決め用ピースのうち少なくとも一方のボルト孔を、同位置決め用ピースを締結するボルトの外径より少し大きく設け、前記ボルトを緩めて建方時の誤差調整を行うことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施形態及び実施例】請求項1〜9に記載した発明に係る柱梁接合構造及び柱梁接合方法は、上下の鋼管柱同士を梁の接合を兼ねて機械的柱梁継手により接合(機械式接合)するべく実施されるもので、図1〜図8にその実施形態を示している。
【0026】請求項1に記載した発明に係る柱梁接合構造は、図1に示したように、下位柱1の上端に、底部ダイヤフラム2を介して上向き容器状の柱梁継手3が接合されている。前記柱梁継手3の内部に、下端にエンドプレート4を有する上位柱5の下端部が挿入され、当該上位柱5と前記柱梁継手3との間の空隙にモルタル又はコンクリート等の充填材6が充填されて、上下の鋼管柱5と1が一体的に接合されている。前記柱梁継手3へ鉄骨梁7、7が接合されるのである。
【0027】なお、図2A〜Cに例示したように、前記上向き容器状の柱梁継手3の水平断面における内側面形状は、上位柱5の外形と相似形状とされ、上位柱5との空隙が均等に構成される(請求項2記載の発明)。これにより、水平二次元方向における応力伝達に偏りが無くなる。図2Aは柱梁継手3と上位柱5とを同心角形断面とした実施形態、図2Bは柱梁継手3と上位柱5とを同心円形断面とした実施形態、図2Cは柱梁継手3の外形が角形で、その内側面形状と上位柱5とを同心円形断面とした実施形態をそれぞれ示している。
【0028】また、図1から明らかなように、上向き容器状の柱梁継手3の垂直断面における内側面形状は、高さ方向の中間部の内径が最大(相対的に柱梁継手3の板厚が最小のt)で、上下方向へ内径が縮小されるテーパー状とされている。柱梁継手3の外径寸法は上下方向に均等とされ、よってその板厚は、相対的に上下端部で最大の厚さtとなる形態に形成されている(請求項3記載の発明)。なお、鉄骨梁7の上下のフランジ7a及び7bが接合される部位の柱梁継手3の板厚は同じtとなるが、この値tは後述する鉄骨梁7の応力に耐え得る耐力設計を行う時に必要とされる。前記テーパーの傾斜は、通常1/10〜1/5程度に設ければよい。これにより、前記上位柱5及び下位柱1に圧縮力又は引張力等の応力が作用した場合に、エンドプレート4又は後述するシアープレート8から充填材6を介して柱梁継手3の内側面に応力が上下方向へバランスよく伝達される。応力伝達機構に関する詳細については後述する。
【0029】図1に示した上位柱5の下端部の外周には、シアープレート8が設けられている(請求項4記載の発明)。当該シアープレート8は、前記エンドプレート4と略同様に支圧効果を発揮する働きをする。つまり、上位柱5に圧縮力又は引張力等の応力が作用した場合に充填材6を介して柱梁継手3の内側面に効率よく確実にその応力を伝達させるために設けられている。前記シアープレート8は、特により大きな引張力に対応するように設計する必要がある場合に設けられる。図1においてシアープレート8を柱梁継手3の板厚が最小のtとなる位置と同じ高さに設けたのは、前記した応力を上下方向へよりバランスよく伝達させるためである。
【0030】図1ではまた、前記エンドプレート4に、充填材充填用の孔9が設けられ、上位柱5の内部にも充填材6が充填されている(請求項5記載の発明)。これにより、上位柱5の下端部の外周面と内周面とに加わる応力の差が縮小され、より大きな耐力を有する柱梁接合構造となる。
【0031】さらに、図1中に点線で示したように、底部ダイヤフラム2にコンクリート充填用の孔10を設けた場合、前記上位柱5に設けた充填材充填用の孔9をやはりコンクリート充填用の孔とし、図示は省略したが、上位柱5及び下位柱1の内部にコンクリートを充填することにより、充填鋼管コンクリート柱への応用実施もできる(請求項6記載の発明)。
【0032】次に、上記柱梁接合構造を実現する、請求項7〜9に記載した柱梁接合方法について説明する。
【0033】下位柱1の上端に、底部ダイヤフラム2を介して上向き容器状の柱梁継手3を接合するにあたっては、先ず、工場等において、底部ダイヤフラム2と上向き容器状の柱梁継手3とを一体化した製品を、図3Aのように鋳造法により、又は図3Bのように組立溶接により、若しくは図3Cのように鋼塊から削り出す方法により製造する。図3B中の符号aは溶接継手部分であり、図3C中の符号bは削り出し片である。
【0034】現場における柱建方作業をより効率的に行うと共に、現場溶接による弊害を避けるため、前記の底部ダイヤフラム2と上向き容器状の柱梁継手3とを一体としたものを、下位柱1に工場等で予め溶接等で接合しておく。
【0035】次に、図4A〜Cに示したように、現場では底部ダイヤフラム2を介して上向き容器状の柱梁継手3を接合された下位柱1を立て、同下位柱1に底部ダイヤフラム2を介して接合した柱梁継手3へ上位柱5の下端部を挿入する(図4A〜Cは、前記図2A〜Cの実施形態に対応したものを示した。)。
【0036】その際、図5A、Bに示したように、前記柱梁継手3の上端部と上位柱5の側面とのそれぞれに位置決め用ピース11、12を取り付けておく。図示例では、柱梁継手3側に位置決め用ピース11を高力ボルト17で取り付け、上位柱5側の位置決め用ピース12は溶接によって取り付けている。前記上位柱5の端部が所定の位置まで挿入された後、上位柱5と柱梁継手3にそれぞれ取り付けた位置決め用ピース11、12をスプライスプレート13、13を介して高力ボルト14…、15…にて緊結して上下の鋼管柱5、1の位置を固定する仮止め作業を行う(請求項8記載の発明)。
【0037】柱梁継手3側に取り付けた前記位置決め用ピース11(上位柱5側に取り付けた位置決め用ピース12でもよい。)のボルト孔16を、同位置決め用ピース11を締結するボルト14の外径よりも5〜10mm程度大きな径とすると、次に述べるように充填材6を上位柱5と柱梁継手3との間に充填した後でも、同充填材6が固化する前であれば、建方時の誤差調整を行うことができ、建方精度を高められる(請求項9記載の発明)。
【0038】なお、前記位置決め用ピース11、12は、大抵の場合は納まりの関係から、前記充填材6の養生後に取り除かれる。
【0039】次に、柱梁継手3と上位柱5との空隙に充填材6を充填する。ここで、充填材6は、モルタル又はコンクリート、若しくはこれらと同等かそれ以上の圧縮強度及び剪断強度並びに充填性を有する材料を用いる。
【0040】図1に点線で示したように、上位柱5のエンドプレート4と底部ダイヤフラム2にコンクリート充填用の孔9、10を設け、上下の鋼管柱5、1の内部にコンクリートを充填して充填鋼管コンクリート柱とする場合は、図示は省略したが、充填材6を上下の鋼管柱5、1の内部に充填されるコンクリートと同様なものを用いる。かくすれば、上述したように上位柱5と下位柱1とを仮止めした状態で一気に施工することができる。
【0041】図6は、3階分の長さを1節とした鋼管柱18…を、本発明により接合した場合の概要を示している。図6中の符号19がその柱梁接合構造の箇所を示している。
【0042】本発明に係る柱梁接合構造の耐力設計は、例えば、下記のように行えば必要な耐力を確保できる。
【0043】上位柱5の下端部に設けるエンドプレート4とシアープレート8は、大きな支圧効果を発揮するように、その外径をなるべく大きくする必要があるが、柱梁継手3内部への挿入を考慮し、両者とも同柱梁継手3の入り口の内径より10mm程度小さくしたものとする。
【0044】上向き容器状の柱梁継手3の板厚は、鉄骨梁7の取付け部位(鉄骨梁7の上フランジ7a外側面から下フランジ7bの外側面の間の部分)の板厚の平均値(図1の場合、(t+t/2)である。)が、通常、充填鋼管コンクリート柱の柱梁接合部において実施される、柱の柱梁接合部の板厚を増厚するノンダイヤフラム形式で設計する場合に必要となる板厚T以上とする。
【0045】柱梁継手3における鉄骨梁7の上フランジ7aの外側面からの出寸法Lについては、前記ノンダイヤフラム形式で設計する場合に必要となる寸法L以上で床レベル以下とする。
【0046】柱梁継手3における鉄骨梁7の下フランジ7bの外側面からの出寸法と前記底部ダイヤフラムの板厚を加えた寸法L’も、前記同様に、ノンダイヤフラム形式で設計する場合に必要となる寸法L以上とする。
【0047】但し、前記した板厚T及び寸法Lについては様々な算定方法があるため、具体的な数式やこれ以上の説明については省略した。
【0048】また、底部ダイヤフラム2の板厚は、図7に示したように、図1と同様に縦断面から見て、柱梁継手3の内側面と底部ダイヤフラム2との接点P1と、下位柱1の外周面と底部ダイヤフラム2との接点P2とを結んだ線が、底部ダイヤフラム2の上面とのなす角度θが45°〜180°の範囲に納まる厚さとする。図7の板厚では、接点P2がRの範囲内であればよい。つまり、応力が入力する角度45°以上は最低限設け、底部ダイヤフラム2の下位柱1の内側に位置する部分に余計な負担をかけないためである。
【0049】本発明に係る柱梁接合構造は、異径鋼管柱同士の接合も好適に行える。つまり、底部ダイヤフラム2の板厚を、前記の角度θを45°〜180°の範囲(接点P2がRの範囲)に納まる厚さとすれば、鋼管柱同士の外径の差は問題ない。
【0050】図1の実施形態における上位柱5と下位柱1の間の応力伝達は、次のように効率よく確実に伝達される(図8参照)。なお、鉄骨梁7、7の応力については、ノンダイヤフラム形式で設計する場合に対応させて設計したので、ノンダイヤフラム形式の場合と同様にして上下の鋼管柱5、1に伝達される。よって、その図示は省略した。
【0051】I) 上位柱5に圧縮力Pが作用した場合、(イ) 上位柱5より、エンドプレート4を介して支圧力として充填材6に伝達される。
(ロ) 充填材6より、支圧力として底部ダイヤフラム2に伝達される。
(ハ) 底部ダイヤフラム2より、圧縮力として下位柱1に伝達される。
(ニ) シアプレート8が存在する場合には、充填材6より支圧力及び摩擦力並びに付着力として柱梁継手3にも伝達される。
(ホ) 柱梁継手3より底部ダイヤフラム2を介して圧縮力として下位柱1に伝達される。
【0052】II) 上位柱5と下位柱1との間に引張力Sが作用した場合、(ヘ) 上位柱5より、エンドプレート4及びシアープレート8を介して支圧力として充填材6に伝達される。
(ト) 充填材6より、支圧力及び摩擦力並びに付着力として柱梁継手3に伝達される。
(チ) 柱梁継手3より底部ダイヤフラム2を介して引張力として下位柱1に伝達される。
【0053】III) 上下の鋼管柱5、1に曲げ応力Mが作用した場合、(リ) 上位柱5の曲げ応力は、充填材6を介して支圧力として柱梁継手3に伝達される。
(ヌ) 下位柱1の曲げ応力は、ノンダイヤフラム形式の場合と同様にして柱梁継手3に伝達される。
【0054】IV) 上下の鋼管柱5、1に剪断力Qが作用した場合、(ル) 上位柱5の剪断力は、充填材6を介して剪断力として柱梁継手3に伝達される。
(ヲ) 下位柱1の剪断力は、ノンダイヤフラム形式の場合と同様にして柱梁継手3に伝達される。
【0055】
【発明の奏する効果】請求項1〜9に記載した発明に係る柱梁接合構造及び接合方法によれば、鋼管柱における溶接接合をできるだけ少なくして、各部材の機械的性質の変質を最小限度に止めることができる。
【0056】また、上下の鋼管柱間の応力を効率よく確実に伝達することができ、特に柱に引張力が作用した場合にも、鋼管柱全断面の引張強度を伝達することができる。
【0057】その上、施工性にも優れているので、短期間で鋼管柱の接合作業が行え、ひいては工期短縮に寄与する。
【0058】さらに、構造的な特性の面からは、位置決め用ピースのボルト孔を少し大きく設けるなどの簡単な対応で、高度な管理を必要とせずに建方時の誤差調整が可能であり、建方精度を高くでき、柱梁接合部の納まりもよいので、極めて実用的な技術である。




 

 


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