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発明の名称 ゴムとの接着性に優れるスチールワイヤおよびゴム物品補強用スチールコード
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−131885(P2001−131885A)
公開日 平成13年5月15日(2001.5.15)
出願番号 特願平11−302422
出願日 平成11年10月25日(1999.10.25)
代理人 【識別番号】100059258
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
【テーマコード(参考)】
3B153
【Fターム(参考)】
3B153 AA02 BB20 CC52 CC74 FF12 FF16 GG13 
発明者 大谷 光司 / 中村 いずみ / 金田 一則
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 周面に銅合金めっきを施したスチールワイヤであって、めっき表面から径方向内側に3nmの深さまでの表層域に含有される銅の50%以上が金属銅であることを特徴とするゴムとの接着性に優れるスチールワイヤ。
【請求項2】 請求項1において、金属銅が均一に分散していることを特徴とするゴムとの接着性に優れるスチールワイヤ。
【請求項3】 請求項1または2において、銅合金めっきが銅−亜鉛めっきであることを特徴とするゴムとの接着性に優れるスチールワイヤ。
【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかにおいて、めっき中の銅含有率が60〜70wt%であることを特徴とするゴムとの接着性に優れるスチールワイヤ。
【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかにおいて、めっきの厚みが0. 1〜0.4 μmであることを特徴とするゴムとの接着性に優れるスチールワイヤ。
【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかにおいて、径が0. 1〜0.4mm であることを特徴とするゴムとの接着性に優れるスチールワイヤ。
【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載のスチールワイヤの複数本を撚り合わせて成ることを特徴とするゴム物品補強用スチールコード。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、空気入りタイヤや工業用ベルト等のゴム物品の補強材として使用される、ゴムとの接着性に優れるスチールワイヤおよびこのワイヤを撚り合わせたスチールコードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゴム物品の典型例である空気入りタイヤを補強するスチールワイヤ並びにスチールコードには、特にゴムとの接着性に優れることが求められる。このゴムとの接着性を確保するために、スチールワイヤの表面には、銅合金めっき、中でもブラスめっきが施されるのが、通例である。すなわち、めっき中のCuとゴム中のSとが結合する結果、ゴムとの接着が確保されるのである。
【0003】ゴム物品の中でも空気入りタイヤは、過酷な条件下で使用されるために、製品仕上がり時のゴム接着性が良好であることは勿論、その後の使用時においても優れたゴム接着性が発揮されなくてはならない。なぜなら、タイヤの使用中は、タイヤの温度が上昇し、また外傷などから水分が内部に浸入する等、スチールワイヤとゴムとの接着を阻害する要因が数多く存在するからである。さらには、近年のタイヤの長寿命化に伴い、スチールワイヤとゴムとの接着性が長期にわたって保証されることも必要である。
【0004】かような市場での要求を満足するために、ブラスめっきにおける銅および亜鉛の比率を適正化、具体的には銅の比率を高めることによって、ゴム接着性を改善することが知られている。しかし、銅の比率を高めることは、ゴム物品製造時のゴムとスチールワイヤとの接着性(初期接着性)に有利であっても、例えば走行中のタイヤのように、ゴムが熱を有する場合に、ゴム中の水分やゴム物品の外傷から浸入した水分に、ゴムとスチールワイヤとの界面が晒された際の該界面での接着性(湿熱接着性)に対しては不利に働くから、銅:60〜65wt%および亜鉛:35〜40wt%の折衷的な成分組成が広く適用されている。
【0005】一方、ゴム組成物について、有機酸金属塩を配合することにより、スチールワイヤとの接着性を改善することが提案されているが、原材料費の上昇につながるから実際的でない。
【0006】また、特開平6−49783 号公報には、ワイヤの表面粗さやP含有率を規制してゴム接着性を改善することが提案されている。このPによる接着性の改善は、Pを含む被膜が、初期接着性に寄与するCux Sを主とする接着層の過剰成長を抑制する防護壁となる結果、腐食に起因した湿熱接着性の低下が抑制されるのである。つまり、Cux Sを主とする接着層は、特に湿熱環境下での強度が比較的に低いために、この接着層が過剰であれば湿熱接着性を阻害することになるから、この接着層の過剰成長を抑制することによって、湿熱接着性の低下は回避されるのである。しかしながら、このPの添加は湿熱接着性の改善には有利であるが、初期接着性には不利に働くため、両接着性を同時に改善することは難しいものであった。
【0007】さらに、タイヤの扁平化の世界的な流れに加えて、国内では道路交通法の改訂に伴う重量規制の強化によってタイヤの長寿命化が進められ、またより高速運行される等、タイヤの使用環境が大きく変化している中、ゴム接着部に求められる接着性も高度化しており、従来の技術では十分な接着性を確保できなくなっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明は、初期接着性は勿論、湿熱接着性にも優れたスチールワイヤ並びにスチールコードについて提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らが、実際の走行タイヤにおいてゴムとスチールコードとの間の接着界面を解析した結果、実走行における界面変化は熱劣化と水分劣化の複合であり、従って湿熱接着性の優れたスチールコードがタイヤの長寿命化に不可欠であることが判明した。
【0010】また、この湿熱接着性に劣るスチールコードを構成するワイヤとゴムとの界面について剥離が発生した部分の分析を行ったところ、銅の化合物が存在していること、そして化合物化した銅はゴムとの反応性が著しく低下すること、を見出した。
【0011】さらに、化合物化した銅が接着性に劣るのは、ゴム分子との間に十分な架橋反応が生じないためであり、ゴム分子との間で十分な架橋反応を得るには、活性された状態にある、金属銅の存在がゴムとの接着性を向上するのに不可欠であることを、新たに知見した。この発明は、上記の知見に由来するものであり、その要旨構成は、次の(1) 〜(7) に示す通りである。
【0012】(1) 周面に銅合金めっきを施したスチールワイヤであって、めっき表面から径方向内側に3nmの深さまでの表層域に含有される銅の50%以上が金属銅であることを特徴とするゴムとの接着性に優れるスチールワイヤ。
【0013】ここで、金属銅とは、ESCAによる表面分析において、CuのピークのうちCu0 のスペクトル線を示すものを意味する。例えば、Cu−Zn合金のCuはCu0 を示し、酸化銅や有機物と化合した銅はCu0 を示すことはない。
【0014】(2) 上記(1) において、金属銅が均一に分散していることを特徴とするゴムとの接着性に優れるスチールワイヤ。
【0015】(3) 上記(1) または(2) において、銅合金めっきが銅−亜鉛めっきであることを特徴とするゴムとの接着性に優れるスチールワイヤ。
【0016】(4) 上記(1) ないし(3) のいずれかにおいて、めっき中の銅含有率が60〜70wt%であることを特徴とするゴムとの接着性に優れるスチールワイヤ。
【0017】(5) 上記(1) ないし(4) のいずれかにおいて、めっきの厚みが0. 1〜0.4 μmであることを特徴とするゴムとの接着性に優れるスチールワイヤ。
【0018】(6) 上記(1) ないし(5) のいずれかにおいて、径が0. 1〜0.4mm であることを特徴とするゴムとの接着性に優れるスチールワイヤ。
【0019】(7) 上記(1) ないし(6) のいずれかに記載のスチールワイヤの複数本を撚り合わせて成ることを特徴とするゴム物品補強用スチールコード。
【0020】
【発明の実施の形態】この発明では、周面に銅合金めっきを施したスチールワイヤにおいて、めっき表面から径方向内側に3nmの深さまでの表層域に含有される銅の50%以上を金属銅とすることが、肝要である。
【0021】すなわち、めっき表面から径方向内側に3nmの深さまでの表層域における銅中の金属銅の比率と初期接着性との関係を図1に、そして同比率と湿熱接着性との関係を図2に、それぞれ示すように、初期接着性は金属銅の比率にほとんど影響を受けないが、湿熱接着性は金属銅の比率に応じて変化することがわかる。とりわけ、表層域における銅中の金属銅の比率を50%以上にすることによって、初期接着性は勿論、湿熱接着性が大幅に改善されるのである。
【0022】なお、図1に示した初期接着性に関するゴム付着率は、ブラスめっきを施した鋼線材を伸線して得られた、表層域での金属銅の含有比を種々に異ならせたスチールワイヤのそれぞれに、ゴムを被覆して加硫成形した後、直ちに室温での剥離試験を行って得た結果である。
【0023】また、湿熱接着性に関するゴム付着率は、同様にブラスめっきを施した鋼線材を伸線して得られた、表層域での金属銅の含有比を種々に異ならせたスチールワイヤのそれぞれに、ゴムを被覆して加硫成形し、次いで高温環境下で一定の張力を与えて放置したのち、室温での剥離試験を行って得た結果である。
【0024】ここで、めっき表面から径方向内側に3nmの深さまでの表層域において金属銅の比率を規定したのは、表面から3nmの深さまでに存在する金属銅が、初期に強固な接着層を形成し、その後の湿熱環境においても接着層が安定して維持されるため、換言すると、表面からの深さが3nmより深い場所でのめっき組成は接着性に影響を与えることがないからである。
【0025】また、上記表層域での金属銅の銅に対する比率を50%以上にするに当り、金属銅が均一に分散していることが好ましい。なぜなら、金属銅の分布が偏ると、表層に金属銅を含まない部分および金属銅の含有率が少ない部分が大きくなる結果、これらの部分が接着破壊の起点となる可能性が高まるからである。
【0026】かように金属銅を均一に分散することによって、接着部分が均一かつ密に形成され、ゴム物品の製造時の初期段階にて強固な接着層が得られ、その後の使用時にも接着性が維持される。換言すると、銅とゴム分子との架橋は可能な限り小さく、均一かつ密に生成させることが、初期接着性および湿熱接着性を両立するのに有利である。
【0027】以上、めっき表層域での金属銅の比率を50%以上にすることがゴム接着性の向上に有利であることは明らかであるが、めっき表層域で金属銅が減少するのは、ブラスめっきを施した鋼線材を伸線する際に使用する、湿式潤滑剤に起因していることが新たに判明した。すなわち、伸線時に線材表面のめっき中の銅が湿式潤滑剤中の有機物と反応して化合物を形成する結果、めっき中の金属銅の比率が減少するのである。
【0028】従って、めっき表層域での金属銅の比率を高めるには、表層の有機被膜を研削などによって機械的に除去する手法、伸線後に希アルカリ溶液等で表層の有機被膜を科学的に除去する手法などが有効であるが、これらの手法はいずれも製造コストの増大をまねくから、実用化が難しい。
【0029】そこで、めっきの表層状態に影響を与える因子について詳しく調査したところ、めっきの組成および状態、めっき方法、潤滑剤の成分組成、伸線温度、伸線ダイス数、減面率、ダイス形状、ダイス内周面状態、ダイス材質、スリップ式多段伸線において線材を巻き付けるコーンの表面状態および材質、伸線速度、スリップ率、そしてスリップ速度などの多種にわたることが判明した。すなわち、これらの諸因子のいずれか1種または2種以上について、めっきの表層が所望の状態とする条件を見つけることによって、めっき表層域での金属銅の比率を50%以上にすることが可能である。
【0030】なお、スチールワイヤに施す銅合金めっきには、銅−亜鉛めっき、特にめっき中の銅含有率が60〜70wt%である、銅−亜鉛めっきが有利に適合する。すなわち、銅含有率が60wt%未満では、十分なCux Sが形成されないために初期接着性が劣化し、またβブラス槽の増加により伸線性が著しく阻害される。一方、70wt%をこえると、Cux Sが過剰に形成される結果、湿熱接着性の劣化をまねくことになる。
【0031】また、めっきの厚みは0. 1〜0.4 μmであることが有利である。なぜなら、めっきの厚みが0. 1μm未満では、伸線加工性が低下して断線が増加し、作業性の悪化および製造コストの増加をまねくことになるからである。一方、0.4 μmをこえると、めっきのコスト増をまねく上、やはり伸線加工性が阻害される。
【0032】次に、スチールワイヤの径は0. 1〜0.4 mmであることが好ましい。すなわち、スチールワイヤの径は0. 1mm未満では、ワイヤの生産性に劣るためにコストの上昇に繋がり、一方0.4 mmをこえると、撚り線にてスチールコードとすることが難しくなり、強いて撚り線を行って得られるコードは曲げ剛性が高く、ゴム物品の補強材としては耐疲労性に劣るものとなる。
【0033】上記したスチールワイヤは、単体で或いはその複数本を撚り合わせたコードとして、ゴム中に埋設して各種ゴム物品の補強に供する。
【0034】
【実施例】径が1.24mmの鋼線材に、銅:62wt%および亜鉛:38wt%の組成のブラスめっきを施し、市販の水溶性エマルジョン系の湿式潤滑剤を、その指定濃度で溶解した溶液中にて湿式伸線を行って、0. 175〜0.360 mmの径のスチールワイヤを製造した。次いで、このスチールワイヤの5本を撚り合わせてスチールコードを製造した。
【0035】その際、めっき表層域の金属銅の比率を、上記した種々の手法から選択した手法を適宜の条件にて実施することによって、種々に変化した。
【0036】かくして得られたスチールコードに下記組成のゴムを被覆し、次いで145 ℃で30分間の加圧下での加硫成形を行ったのち、初期接着性および湿熱接着性を評価した。これらの調査結果を、めっき表層域での金属銅の比率と併せて表1に示す。
記天然ゴム:100 重量部カーボンブラック:50重量部亜鉛華:5重量部ステアリン酸:2重量部老化防止剤:1重量部ナフテン酸コバルト:2重量部加硫促進剤:1.5 重量部硫黄4重量部【0037】すなわち、初期接着性は、加硫成形後のコードに対して、直ちに室温にてASTM D2229のH試験に準拠した剥離試験を行って、ゴム付着率および接着力を測定した。また、湿熱耐久性は、加硫成形後のコードを、120 ℃、98%RHの雰囲気で157kPaの張力を負荷した状態において60時間放置したのち、室温にて上記と同様の剥離試験を行って、ゴム付着率および接着力を測定した。
【0038】
【表1】

【0039】
【発明の効果】この発明によれば、スチールワイヤ並びにスチールコードのゴムに対する接着性を、初期接着性は勿論湿熱接着性についても改善することができ、ゴム物品の中でも使用条件の過酷なタイヤに好適の補強材を提供し得る。




 

 


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