米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 繊維;紙;印刷 -> 三菱レイヨン株式会社

発明の名称 炭素繊維チョップドストランド及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−271230(P2001−271230A)
公開日 平成13年10月2日(2001.10.2)
出願番号 特願2000−81882(P2000−81882)
出願日 平成12年3月23日(2000.3.23)
代理人
発明者 築樋 英俊
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 チョップドストランド断面の長径/短径が3以上の偏平な炭素繊維チョップドストランドであって、該チョップドストランドは0.1〜10.0重量%のサイズ剤で集束されていて、1. 05以下の集束性を具備しており、且つ下記の式(1)によって求められる緻密度が0.004〜0.400であることを特徴とする炭素繊維チョップドストランド。
緻密度=Nr2 /R2 ・・・・・・・・式(1)
(式中Rは、炭素繊維チョップドストランド断面の(長径+短径)/2、rは炭素繊維チョップドストランドを形成している単繊維の直径、Nは炭素繊維チョップドストランドを構成している単繊維の本数である。)
【請求項2】 サイジング工程を終えてある偏平な炭素繊維束を乾燥する前に切断することにより、請求項1に記載の炭素繊維チョップドストランドを得ることを特徴とする炭素繊維チョップドストランドの製造方法。
【請求項3】 炭素繊維束の偏平化後にサイジング工程に付すことを特徴とする請求項2に記載の炭素繊維チョップドストランドの製造方法。
【請求項4】 炭素繊維束のサイジング工程後に偏平化を行なうことを特徴とする請求項2に記載の炭素繊維チョップドストランドの製造方法。
【請求項5】 炭素繊維束を拡幅しながらサイジング工程に付すことを特徴とする請求項2に記載の炭素繊維チョップドストランドの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化複合材料に供するのに好適な炭素繊維チョップドストランドであって、サイズ剤の付着率が低く、しかも集束性に優れた炭素繊維チョップドストランド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維と各種マトリックス樹脂との混合物を成形してなる繊維強化複合材料は、高強度、高弾性率、高電気伝導性、高耐摩耗性、低比重等による優れた性質により、各種の工業材料として注目されている。
【0003】マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を使用する繊維強化複合材料は、炭素繊維束を1mm〜数10mmに切断した炭素繊維チョップドストランドと熱可塑性樹脂のペレット或いはパウダーとを押し出し機に投入し、これを溶融混練して炭素繊維と熱可塑性樹脂との混合ペレットに成形した後、この混合ペレットを成形材料とする所定の成形を行なうことによって成形されている。
【0004】上記の混合ペレットを成形するに当たっての重要なことは、炭素繊維チョップドストランドを定量的に押し出し機内に供給することである。炭素繊維チョップドストランドの供給が定量的に行なわれないと、吐出斑になり、一定の押し出し速度が得られず、ストランド切れが発生するために、混合ペレットの生産性が大幅に低下する。
【0005】炭素繊維チョップドストランドの定量的な供給に大きな悪影響を及ぼす要因は、押し出し機のホッパー部における炭素繊維チョップドストランドの食い込み性であり、これは使用する炭素繊維チョップドストランドの集束性と密接な関係にある。すなわち、炭素繊維チョップドストランドの集束性が低いときには、押し出し機のホッパー下部のスクリューと接する部分で炭素繊維チョップドストランドが開繊して毛玉塊になるために、炭素繊維チョップドストランドの定量的な供給が阻害される。
【0006】又、ホッパー投入前に熱可塑性樹脂ペレットと炭素繊維チョップドストランドとを予め混合する場合であっても、炭素繊維チョップドストランドの集束性が低いときには、この混合工程において、上記と同様に炭素繊維チョップドストランドに毛羽が発生してしまい、押し出し機への定量的な供給が行なわれなくなる。
【0007】従って、炭素繊維チョップドストランドの集束性は、繊維強化複合材料の成形材料である炭素繊維と熱可塑性樹脂との混合ペレットを成形するときの重要な要素である。
【0008】繊維強化複合材料に供される炭素繊維チョップドストランドは、一般的には、炭素繊維束をサイジング液に浸漬して含浸させ、続く乾燥工程で水等の溶媒を除去して集束させ、更に連続的に或いは非連続的にロービングカッターやギロチンカッター等により所定の長さに切断したものである。
【0009】ところで、炭素繊維束をサイジング液に浸漬して含浸させ、続いて乾燥機に通して乾燥させた後、カッターで所定の長さに切断する上記の工程中、最も時間を要する工程は乾燥工程であり、その処理速度は数m/min〜10数m/minである。
【0010】このために、炭素繊維チョップドストランドの生産性を上げるには、サイジング工程後の乾燥機に通す炭素繊維量を多くするか、或いは乾燥機の乾燥距離を長くしたり、又は乾燥機の乾燥温度を上げるなどして乾燥能力を高めることが考えられる。しかしながらこれらの何れの方法であっても、大掛かりな設備又は改造が必要になり、経済的に不利である。
【0011】又、乾燥後の炭素繊維束は、サイジング液に使用したサイズ剤(バインダー成分)のみで集束されている。このために、炭素繊維束を切断してチョップドストランドにするときに、該炭素繊維束に衝撃性のせん断力が掛かるとチョップ割れが生じ、この欠点が修復されないままで毛羽の発生原因となり、炭素繊維チョップドストランドと熱可塑性樹脂との混合ペレットを成形するときの炭素繊維の押し出し機への定量的な供給を難しくする。
【0012】このことから、従来の炭素繊維チョップドストランドの製造方法においては、集束性を良好なレベルに維持しようとするためにサイズ剤の付着率を上げようとする傾向にある。しかしながら、サイズ剤の付着率を高くすることは、ロールへのガムアップによる巻き付き増加等に繋がるために、好ましくない。
【0013】上記の課題を解決するために、炭素繊維束をサイジング工程に付した後、これを乾燥する前にロービングカッターで切断する炭素繊維チョップドストランドの製造方法が提案された(特開平5−261729号公報)。この方法は、使用する水又はサイジング液の表面張力による炭素繊維の集束効果と、切断時の衝撃性のせん断力を乾燥しない柔らかい状態で吸収してチョップ割れを防ぐ効果とを利用するものである。
【0014】しかしながら上記の方法によると、炭素繊維束の厚み斑のために、サイジング工程でのサイズ剤の付着斑が発生したり、又カット工程でカット長不良(カットミス)が発生したり、更には乾燥工程で乾燥斑が発生したりして、品質の良好な炭素繊維チョップドストランドを得るという目的を充分には達成することができない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明が解決しようとする課題は、サイズ剤の付着率が低く、かつサイズ剤の付着斑が無く、しかも集束性に優れており、繊維強化複合材料に供されるのに好適な高品質の炭素繊維チョップドストランドを提供することにある。
【0016】又本発明が解決しようとする別の課題は、繊維強化複合材料に供されるのに好適な上記の特性を具備する高品質の炭素繊維チョップドストランドを、効率良く的確に製造する方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題は、以下に説明する本発明の炭素繊維チョップドストランド及びその製造方法によって解決される。すなわち本発明の炭素繊維チョップドストランドは、チョップドストランド断面の長径/短径が3以上の偏平な炭素繊維チョップドストランドであって、該チョップドストランドは0.1〜10.0重量%のサイズ剤で集束されていて、1. 05以下の集束性を具備しており、且つ下記の式(1)によって求められる緻密度が0.004〜0.400の範囲内にあるものである。
緻密度=Nr2 /R2 ・・・・・・・・式(1)
(式中Rは、炭素繊維チョップドストランド断面の(長径+短径)/2、rは炭素繊維チョップドストランドを形成している単繊維の直径、Nは炭素繊維チョップドストランドを構成している単繊維の本数である。)
なお、上記の炭素繊維チョップドストランドの集束性は、ミキサーによって400rpm、3分間攪拌した後の嵩密度をx1 とし、攪拌処理する前の炭素繊維チョップドストランドの嵩密度をx0 とするときのx1 /x0 である。
【0018】又、本発明の炭素繊維チョップドストランドの製造方法は、上記構成を具備してなる炭素繊維チョップドストランドを得るものであり、サイジング工程を終えてある偏平な炭素繊維束を乾燥する前に切断する方法からなる。
【0019】上記の構成による本発明の炭素繊維チョップドストランドの製造方法においては、炭素繊維束の偏平化後にサイジング工程に付すことができる。
【0020】又上記の構成による本発明の炭素繊維チョップドストランドの製造方法においては、炭素繊維束のサイジング工程後に偏平化を行なうことができる。
【0021】更に上記の構成による本発明の炭素繊維チョップドストランドの製造方法においては、炭素繊維束を拡幅しながらサイジング工程に付すことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の炭素繊維チョップドストランドは、チョップドストランド断面の長径/短径が3以上の偏平な炭素繊維チョップドストランドであって、0.1〜10.0重量%のサイズ剤で集束されていて、1. 05以下の集束性を具備しており、且つ下記の式(1)によって求められる緻密度が0.004〜0.400の範囲内にあるものである。
緻密度=Nr2 /R2 ・・・・・・・・式(1)
(式中Rは、炭素繊維チョップドストランド断面の(長径+短径)/2、rは炭素繊維チョップドストランドを形成している単繊維の直径、Nは炭素繊維チョップドストランドを構成している単繊維の本数である。)
【0023】サイジング処理に付された炭素繊維チョップドストランドは、そのサイズ剤の付着率が高いと炭素繊維チョップドストランドの嵩密度、見掛け密度が増加し、集束性が向上する。しかしながらサイズ剤の付着率の上昇は、ロールへのガムアップによる巻き付き増加等の原因になるだけでなく、最終目的製品である繊維強化複合材料の特性を低下させる原因になることもある。
【0024】これに対して本発明の炭素繊維チョップドストランドは、上記の通り0.1〜10.0重量%のサイズ剤で集束されている、つまりサイズ剤の付着率が0.1〜10.0重量%のものであるので、上記のロールへのガムアップによる巻き付き増加等がなくなるだけでなく、最終目的製品である繊維強化複合材料の特性を低下させる原因を生じることもない。
【0025】なお、サイズ剤の付着率が0.1重量%未満になると、炭素繊維チョップドストランドが開繊して毛羽や毛羽塊を生じ易くなり、押し出し機内への定量的な供給が難しくなって、吐出斑になり、ストランド切れが発生し、炭素繊維と熱可塑性樹脂との混合ペレットの生産性が低下するようになる。又、サイズ剤の付着率が10.0重量%を超えると、ロールへのガムアップによる巻き付き増加等が発生し易くなるだけでなく、炭素繊維と熱可塑性樹脂との混合ペレットを成形して得られる繊維強化複合材料の特性を低下させる原因になることもある。
【0026】又本発明の炭素繊維チョップドストランドは、炭素繊維チョップドストランドをミキサーによって400rpm、3分間攪拌した後の嵩密度をx1 とし、攪拌処理する前の炭素繊維チョップドストランドの嵩密度をx0 とするときのx1 /x0 で表示される集束性が1. 05以下である。
【0027】上記の炭素繊維チョップドストランドの集束性が1.05を超えていると、サイズ剤の付着率が0.1重量%以上になっていても、炭素繊維チョップドストランドが開繊して毛羽や毛羽塊を生じ易くなり、押し出し機内への定量的な供給が難しくなって、吐出斑になり、ストランド切れが発生する等して、炭素繊維と熱可塑性樹脂との混合ペレットの生産性が低下する。
【0028】更に本発明の炭素繊維チョップドストランドは、チョップドストランド断面の長径/短径が3以上の偏平であり、しかも下記の式(1)によって求められる緻密度が0.004〜0.400の範囲内にあるものである。
緻密度=Nr2 /R2 ・・・・・・・・式(1)
(式中Rは、炭素繊維チョップドストランド断面の(長径+短径)/2、rは炭素繊維チョップドストランドを形成している単繊維の直径、Nは炭素繊維チョップドストランドを構成している単繊維の本数である。)
【0029】炭素繊維チョップドストランド断面の長径/短径が3以上の偏平になっていないと、サイズ剤の付着斑が大きくなり易い。又、炭素繊維チョップドストランドの上記の緻密度が0.004未満になっていると、炭素繊維チョップドストランドにストランド割れが発生し易く、しかもサイズ剤の付着斑が大きくなり易い。更に、炭素繊維チョップドストランドの緻密度が0.400を超えているようであると、チョップドストランド断面の長径/短径が3以上の偏平になっていても、工程上での炭素繊維チョップドストランドの厚みが大きくなるのが避けられず、カット工程でカット長不良(ミスカット)が発生したり、又乾燥速度を上げて処理量を増やそうとすると乾燥不足になり易く、しかも乾燥斑が発生し易くなる。
【0030】これによって本発明の炭素繊維チョップドストランドは、チョップドストランド断面の長径/短径が3以上の偏平になっており、かつ緻密度が0.004〜0.400の範囲内、より好ましくは0.002〜0.380の範囲内にあるものである。
【0031】上記の構成を備えてなる本発明の炭素繊維チョップドストランドは、サイジング工程を終えてある偏平な炭素繊維束を乾燥する前に切断することにより、つまりサイジング工程によって又はサイジング処理後の水処理によって湿状態にある偏平な炭素繊維束を乾燥する前に切断することによって、製造することができる。
【0032】炭素繊維束を偏平にする偏平化工程は、サイジング工程の前、サイジング工程の後、或いはサイジング工程と同時の何れでもよく、或いはこれらの中の複数の箇所で行なってもよい。
【0033】炭素繊維束を偏平にする偏平化工程は、例えば■炭素繊維束をロールに通すことにより拡幅する方法、■炭素繊維束を固定ガイドに当てることにより拡幅する方法、■炭素繊維束に細孔又はスリットからエアーを当てることにより拡幅する方法等を利用して行なえる。
【0034】炭素繊維束の切断時の保液量、すなわち湿状態にある偏平な炭素繊維束を切断して炭素繊維チョップドストランドにするときの炭素繊維束の保液量は、水又はサイジング液のピックアップ量で通常30〜60重量%、好ましくは40〜50重量%である。水又はサイジング液のピックアップ量が30重量%未満になると切断時に炭素繊維チョップドストランドのチョップ割れや毛羽の発生が多くなり、炭素繊維と熱可塑性樹脂との混合ペレットを成形するときの押し出し機内への定量的な供給を行ない得なくなる。又60重量%を超えるとロービングカッターによる切断の場合には、炭素繊維チョップドストランドが各ロールに付着してしまい、刃の目詰まりやミスカットが発生するようになる。又ギロチンカッターによる切断の場合には、炭素繊維束が滑り易く、カット時にミスカットが誘発され、炭素繊維チョップドストランドの生産性が低下する。
【0035】サイジング処理に使用するサイジング液は、サイズ剤を乳化剤によって水中でエマルジョン化したもの、或いはサイズ剤を直接溶媒に溶かして分散させたもの等であり、サイズ剤濃度が0.8〜17.0重量%、好ましくは1.7〜11.0重量%程度のサイジング液を利用する。サイジング液中のサイズ剤濃度が0.8重量%未満になるとサイジング効果が得られ難くなり、又17.0重量%を超えると、上記の炭素繊維束の切断工程時での好適なサイジング液のピックアップ量を得るのが困難になる。
【0036】サイジング液に使用するサイズ剤は特に限定されるものではなく、公知の各種のサイズ剤の中から用途に適したものが適宜用いられる。例えば炭素繊維チョップドストランドに強い集束性を与えたい場合には、高分子量成分と低分子量成分との混合系のサイズ剤が適している。
【0037】又サイズ剤としての高分子量成分と低分子量成分との比率を変えることにより、最適の条件のサイズ剤にすることができる。すなわち、サイズ剤としての高分子量成分は炭素繊維チョップドストランドに剛性を与え、又低分子量成分は炭素繊維チョップドストランドに粘着性及び集束性を炭素繊維チョップドストランドに与えるので、目的とする炭素繊維チョップドストランドの集束性、チョップ化工程通過性、ガムアップ性、成形する繊維強化複合材料に備えさせる特性等を考慮して、サイジング液に使用するサイズ剤を特定することができる。
【0038】炭素繊維束のサイジング処理は、サイジング液のピックアップ量を随意に制御し得る方法であれば何れの方法でもよく、サイジング液のピックアップ量を制御することにより、切断時の炭素繊維束の保液量を適正な範囲内に調整することができる。
【0039】更に、サイジング工程での炭素繊維束に掛かる張力を0.1kg/糸条未満にすると水又はサイジング液のピックアップ量を一定し難くなり、又2kg/糸条を超えるとサイジング工程中での炭素繊維束に毛羽が発生し易くなる。このためにサイジング工程では、炭素繊維束に掛かる張力を0.1〜2kg/糸条程度にするのがよく、0.3〜1kg/糸条にするのがより好ましい。
【0040】炭素繊維束を切断する工程と、それに続く乾燥、選別及び金属除去等の工程は連続的に運転することが可能であり、これによって炭素繊維チョップドストランドの生産性を高めることができる。
【0041】炭素繊維束を切断する工程に続く炭素繊維チョップドストランドの乾燥工程では、この乾燥過程中にて炭素繊維チョップドストランド同士が接着することのないようにする。又、乾燥を連続化することにより生産性を高めることができる。更に乾燥工程での乾燥温度及び乾燥速度は、チョップドストランド化速度やサイズ剤の種類等によって、その適正値を求めることができる。なお、炭素繊維束を切断する工程と、それに続く乾燥工程後の選別及び金属除去の工程は、炭素繊維チョップドストランドに要求される品質を維持するために、適切な装置を用いて行なう。
【0042】上記の工程による本発明の炭素繊維チョップドストランドの製造方法においては、炭素繊維束のサイジング工程の前に水噴霧処理を施すことが可能であり、例えば炭素繊維束を巻き出し中のボビンに直接水を噴霧すると、炭素繊維束の集束性が良くなり、工程通過性及び作業性が向上する。なお、この時の水噴霧量が、水付着量で以て炭素繊維の0.1重量%未満では水噴霧処理の効果がなく、又5.0重量%を超えるとサイジング工程でのサイズ剤との置換が充分に行なわ難くなり、炭素繊維チョップドストランドの集束性が低下する。このために水噴霧処理は、水付着量が炭素繊維束の0.1〜5.0重量%、好ましくは0.3〜3.0重量%になるようにするのがよい。
【0043】本発明の炭素繊維チョップドストランド及びその製造方法においては、使用する炭素繊維束の炭素繊維の種類に制限がなく、公知の各種の炭素繊維による炭素繊維束を使用することができる。
【0044】
【実施例】以下、本発明の炭素繊維チョップドストランド及びその製造方法の具体的な構成を、製造実施例に基づいて説明する。
【0045】なお、本例中の各種の評価は下記の通りにして行なった。
(1)炭素繊維チョップドストランドの嵩密度70gの炭素繊維チョップドストランドを投入した500mlメスシリンダーに、60回/分の上下振動を1分間に亙って施した後、該炭素繊維チョップドストランドの体積v0 (cc)を計量し、嵩密度=v0 /70によって求めた。
【0046】(2)炭素繊維チョップドストランドの集束性炭素繊維チョップドストランドをミキサーによって400rpm、3分間攪拌した後の嵩密度をx1 とし、この攪拌処理を行なう前の炭素繊維チョップドストランドの嵩密度をx0 とするときのx1 /x0 によって集束性を求めた。集束性の数値が1のときに炭素繊維チョップドストランドの集束性は最良であり、その数値が大きくなるに従って集束性は悪くなる。
【0047】実施例1ポリアクリロニトリルを原料とする炭素繊維12,000本からなる炭素繊維束に、水付着量が2〜3重量%になるようにして水噴霧処理を施しながら、該炭素繊維束を60m/minの速度で巻き出し、テンションロールとゴデットロールとの合計7本のロールを経てサイジング槽の直前のトウ巾が2〜3mmになるように炭素繊維束に掛かる張力を0.7〜1.0kg/糸条に調整し、炭素繊維束の扁平化を行なった後、続いてタッチロール方式でのサイジング工程に付した。
【0048】なおサイジング工程では、分子量470のビスフェノールA型エポキシ樹脂と分子量2900のビスフェノールA型エポキシ樹脂との混合系のサイズ剤の7.4重量%水系エマルジョンからなるサイジング液を使用し、サイジング液のピックアップ量が炭素繊維束の33〜37重量%になるようにロールの回転数を調整した。
【0049】次いで前記の未乾燥状態にある炭素繊維束を、連続的にロービングカッターで6mm長さに切断し、更に振動フィードの熱風式乾燥機を用いて連続的に乾燥して炭素繊維チョップドストランドを得た。
【0050】上記炭素繊維チョップドストランドの製造工程中のチョップドストランドに切断する工程でのミスカットの有,無、得られた炭素繊維チョップドストランドのサイズ剤の付着率(対炭素繊維束)、チョップドストランド断面の長径/短径、緻密度及び集束性を併せて[表1]に示す。
【0051】比較例1実施例1で使用したものと同じポリアクリロニトリルを原料とする炭素繊維12,000本からなる炭素繊維束を、分子量470のビスフェノールA型エポキシ樹脂と分子量2900のビスフェノールA型エポキシ樹脂との混合系のサイズ剤の7.0重量%水系エマルジョンからなるサイジング液中に浸漬して含浸させ、サイジング液のピックアップ量を82〜86重量%にしてサイジングした後、熱風式乾燥機を用いて処理速度2.6m/minで乾燥し、更にこれをカセ取りした。
【0052】しかる後に、ギロチンカッターを用いて6mm長さに切断速度1.6m/minで切断し、比較のための炭素繊維チョップドストランドを得た。
【0053】上記炭素繊維チョップドストランドの製造工程中のチョップドストランドに切断する工程でのミスカットの有,無、得られた炭素繊維チョップドストランドのサイズ剤の付着率(対炭素繊維束)、チョップドストランド断面の長径/短径、緻密度及び集束性を併せて[表1]に示す。
【0054】比較例2実施例1で使用したものと同じポリアクリロニトリルを原料とする炭素繊維12,000本からなる炭素繊維束に、水付着量が2〜3重量%になるようにして水噴霧処理を施しながら、該炭素繊維束を60m/minの速度で巻き出し、テンションロールとゴデットロールとの合計3本のロールを経て炭素繊維束に掛かる張力を0.2〜0.5kg/糸条に調整し、炭素繊維束の扁平化を行なった後、続いてタッチロール方式でのサイジング処理を行なった。
【0055】なおサイジング工程では、分子量470のビスフェノールA型エポキシ樹脂と分子量2900のビスフェノールA型エポキシ樹脂との混合系のサイズ剤の7.4重量%水系エマルジョンからなるサイジング液を使用し、サイジング液のピックアップ量が炭素繊維束の53〜57重量%となるようにロールの回転数を調整した。
【0056】次いで前記の未乾燥状態にある炭素繊維束を、連続的にロービングカッターで6mm長さに切断して比較のための炭素繊維チョップドストランドを得た。なお、この炭素繊維束の切断工程ではミスカットの発生が見られた。
【0057】実施例2実施例1で使用したものと同じポリアクリロニトリルを原料とする炭素繊維12,000本からなる炭素繊維束に、水付着量が2〜3重量%になるようにして水噴霧処理を施しながら、該炭素繊維束を60m/minの速度で巻き出し、テンションロールとゴデットロールとの合計7本のロールを経てサイジング槽の直前のトウ巾が4〜5mmになるように炭素繊維束に掛かる張力を1〜2kg/糸条に調整し、炭素繊維束の扁平化を行なった後、続いてタッチロール方式でのサイジング工程に付した。
【0058】なお、サイジング工程では、分子量470のビスフェノールA型エポキシ樹脂と分子量2900のビスフェノールA型エポキシ樹脂との混合系のサイズ剤の8.1重量%水系エマルジョンからなるサイジング液を使用し、サイジング液のピックアップ量が炭素繊維束の43〜47重量%となるようにロールの回転数を調整した。
【0059】次いで、前記の未乾燥状態にある炭素繊維束を連続的にロービングカッターで6mm長さに切断し、更に実施例1と同様の乾燥工程に付して炭素繊維チョップドストランドを得た。
【0060】実施例3実施例1で使用したものと同じポリアクリロニトリルを原料とする炭素繊維12,000本からなる炭素繊維束に、水付着量が2〜3重量%になるようにして水噴霧処理を施しながら、該炭素繊維束を60m/minの速度で巻き出し、テンションロールとゴデットロールとの合計9本のロールを経てサイジング槽の直前のトウ巾が6〜7mmになるように炭素繊維束に掛かる張力を3〜4kg/糸条に調整し、炭素繊維束の扁平化を行なった後、続いてタッチロール方式でのサイジングに付した。
【0061】なおサイジング工程では、分子量470のビスフェノールA型エポキシ樹脂と分子量2900のビスフェノールA型エポキシ樹脂との混合系のサイズ剤の9.8重量%水系エマルジョンからなるサイジング液を使用し、サイジング液のピックアップ量が炭素繊維束の43〜47重量%となるようにロールの回転数を調整した。
【0062】次いで、前記の未乾燥状態にある炭素繊維束を、連続的にロービングカッターで6mm長さに切断し、更に実施例1と同様の乾燥工程に付して炭素繊維チョップドストランドを得た。
【0063】更に、上記の各実施例及び比較例で得られた炭素繊維チョップドストランドと(具体名)熱可塑性樹脂との混合ペレットの押出し成形を行なうことにより、該成形工程中の押し出し機のホッパー部における炭素繊維チョップドストランドの食い込み性の有,無を観察した。その結果を[表1]に併記する。
【0064】
【表1】

【0065】
【発明の効果】本発明の炭素繊維チョップドストランドはサイズ剤の付着率が低く、このために該炭素繊維チョップドストランドを得る工程でのロールへのガムアップによる巻き付き増加等がなく、又繊維強化複合材料に使用したときに該複合材料の特性を低下させたりすることがない。
【0066】又本発明の炭素繊維チョップドストランドは、サイズ剤の付着斑が無く、しかも優れた集束性を備えているので、繊維強化複合材料の成形材料としての炭素繊維チョップドストランドと熱可塑性樹脂との混合ペレットを成形するときの押し出し機への定量的な供給が的確に行なえる。
【0067】又本発明の炭素繊維チョップドストランドの製造方法は、偏平な状態の炭素繊維束を未乾燥の状態で切断する工程を採るものであるので、この切断工程でのチョップ割れの発生が少なく、しかもサイズ剤の付着斑を発生させることがない。このために上記の諸特性を備えた炭素繊維チョップドストランドを、ミスカットを生じることなく、しかも高速度で製造することが可能である。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013