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発明の名称 パルプモールド成形体の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−355200(P2001−355200A)
公開日 平成13年12月26日(2001.12.26)
出願番号 特願2001−108454(P2001−108454)
出願日 平成13年4月6日(2001.4.6)
代理人 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修 (外1名)
【テーマコード(参考)】
3E033
4L055
【Fターム(参考)】
3E033 AA01 BA10 BB08 DB01 DD01 FA10 
4L055 AA02 AC06 AC09 BF08 EA03 FA22 FA23 GA05
発明者 津浦 徳雄 / 小林 洋昭 / 大谷 憲一 / 大崎 雅之 / 小田嶋 信吾
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 吸引路を備えた割型を組み付けて抄紙型とし、該抄紙型のキャビティ内に所定の設定供給濃度のパルプスラリーの供給を開始した後に、該吸引路を通じて該パルプスラリーを吸引して該抄紙型の内面にパルプ層を形成する抄紙工程を備えたパルプモールド成形体の製造方法において、前記抄紙工程における前記パルプ層の形成初期又は/及び終期の前記キャビティ内のパルプスラリーの濃度を供給される前記パルプスラリーの前記設定供給濃度よりも低くするパルプモールド成形体の製造方法。
【請求項2】 少なくとも前記キャビティ内への前記パルプスラリーの供給開始前又は/及び供給終了後に該キャビティ内へ該パルプスラリー希釈用の流体を供給する請求項1記載のパルプモールド成形体の製造方法。
【請求項3】 前記キャビティ内へ供給される前記パルプスラリーが、配合組成の異なる2種以上のパルプスラリーであって、一のパルプスラリーの供給開始後に他のパルプスラリーを供給する請求項1又は2記載のパルプモールド成形体の製造方法。
【請求項4】 吸引路を備えた割型を組み付けて抄紙型とし、該抄紙型のキャビティ内に所定の設定供給濃度のパルプスラリーの供給を開始した後に、該吸引路を通じて該パルプスラリーを吸引して該抄紙型の内面にパルプ層を形成する抄紙工程を備えたパルプモールド成形体の製造方法において、前記キャビティ内へ供給される前記パルプスラリーが、配合組成の異なる2種以上のパルプスラリーであって、一のパルプスラリーの供給開始後に他のパルプスラリーを供給し、且つ少なくとも前記キャビティ内への最後のパルプスラリーの供給終了後に該キャビティ内へ該最後のパルプスラリー希釈・撹拌用の流体を供給するパルプモールド成形体の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パルプモールド成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】吸引路を備えた割型を組み付けて抄紙型とし、該抄紙型のキャビティ内にパルプスラリーの供給を開始した後に、該吸引路を通じて該パルプスラリーを吸引して該抄紙型の内面にパルプ層を形成する抄紙工程を備えたパルプモールド成形体の製造方法がある。この製造方法の前記抄紙工程では、パルプスラリーのキャビティへの供給開始初期や供給完了後のキャビティ内のスラリー量が少ないときには、キャビティ内に十分にパルプスラリーが満たされて吸引路を通じて抄紙が行われているときに比べて、パルプスラリーの撹拌効果が不十分なため、当該パルプスラリー中のパルプ等の固形成分が自然沈降し易くなる。また、沈降時には、水分のほうが吸引されやすいため、スラリーの濃度が高くなる。このため、成形体の下方部の肉厚が上方部に比べて厚くなる傾向あり、特に、底面部から急に上方に立ち上がる胴部を有するボトル状や、カートン型等の中空成形体を形成する場合にはこの傾向が大きく、斯かる中空成形体を成形する際の一つの課題となっていた。
【0003】従って、本発明の目的は、上下方向の肉厚ムラを抑えたパルプモールド成形体を効率よく製造し得るパルプモールド成形体の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、抄紙工程におけるパルプ層の形成初期又は/及び終期におけるキャビティ内のパルプスラリーの濃度を供給されるパルプスラリーの設定供給濃度より低くすることで、成形体の上下方向の肉厚ムラを抑え得ることを知見した。
【0005】本発明は、上記知見に基づきなされたものでり、吸引路を備えた割型を組み付けて抄紙型とし、該抄紙型のキャビティ内に所定の設定供給濃度のパルプスラリーの供給を開始した後に、該吸引路を通じて該パルプスラリーを吸引して該抄紙型の内面にパルプ層を形成する抄紙工程を備えたパルプモールド成形体の製造方法において、前記抄紙工程における前記パルプ層の形成初期又は/及び終期の前記キャビティ内のパルプスラリーの濃度を供給される前記パルプスラリーの前記設定供給濃度より低くするパルプモールド成形体の製造方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0006】また、本発明は、吸引路を備えた割型を組み付けて抄紙型とし、該抄紙型のキャビティ内に所定の設定供給濃度のパルプスラリーの供給を開始した後に、該吸引路を通じて該パルプスラリーを吸引して該抄紙型の内面にパルプ層を形成する抄紙工程を備えたパルプモールド成形体の製造方法において、前記キャビティ内へ供給される前記パルプスラリーが、配合組成の異なる2種以上のパルプスラリーであって、一のパルプスラリーの供給開始後に他のパルプスラリーを供給し、且つ少なくとも前記キャビティ内への最後のパルプスラリーの供給終了後に該キャビティ内へ該最後のパルプスラリー希釈・撹拌用の流体を供給するパルプモールド成形体の製造方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明のパルプモールド成形体(以下、単に成形体ともいう)の製造方法を、その好ましい実施形態に基づいて、図面を参照しながら説明する。
【0008】図1は、本発明の成形体の製造方法の一実施形態における抄紙工程に用いられる抄紙型及びパルプスラリーの供給系統の概略を示したものである。なお、図において、抄紙型は一つの割型で示している。
【0009】本実施形態では、後述のように配合成分の異なる2種類のパルプスラリーを用いて成形体を製造する。このため、同図に示すように、パルプスラリーの供給系統は2系統A,Bに配管され、また、後述のパルプスラリー希釈用の流体(以下、希釈用流体ともいう。)を供給するための系統Cも配管されている。そして、これら3種類の流体を抄紙型の開口部から1つの系統Dから供給できるようになっている。なお、同図に示したV1〜V4は弁である。また、系統Eは、脱水時にキャビティ内に空気又は水蒸気を供給する系統である。割型11には、複数の吸引路14がそれぞれ設けられている。また、各割型11の内面は、所定の大きさの網目を有する抄紙ネット(図示せず)によってそれぞれ被覆されている。
【0010】図2(a)〜(g)は、本実施形態による成形体の製造方法の概略工程を示したものであり、(a)は希釈用流体の注入工程、(b)は第1のパルプスラリーの注入及び脱水工程、(c)は第1のパルプスラリーの脱水及び第2のパルプスラリーの注入工程、(d)は第2のパルプスラリーの脱水及び第2のパルプスラリーの注入後の水の注入工程、(e)は中子挿入工程、(f)は加圧・脱水工程、(g)は脱型工程である。
【0011】先ず、抄紙工程におけるパルプ層の形成初期のキャビティC内のパルプスラリーの濃度を第1のパルプスラリーの設定供給濃度より低くする。特に、本実施形態では、パルプ層の形成初期における上下方向の肉厚ムラを効果的に抑えて肉厚を均一にする点からキャビティC内の水位上昇時におけるキャビティC内のパルプスラリーの濃度を第1のパルプスラリーの設定供給濃度より低くする。
【0012】本実施形態では、図1の系統Cから希釈用流体のみを供給できるように弁V1〜V4を操作する。そして、図2(a)に示すように、一対の割型11,12を突き合わせることにより、成形すべき成形体の外形に対応した形状のキャビティ13が内部に形成される抄紙型10の上部開口部からキャビティ13内に希釈用流体Wを加圧注入する。希釈用流体Wの加圧注入には例えばポンプが用いられる。希釈用流体の加圧注入の圧力は、好ましくは0.01〜5MPa、更に好ましくは0.01〜3MPaとする。
【0013】希釈用流体としては、成形体の外表面の外観性、配管の洗浄性の観点から、水を用いることが好ましいが、脱水効率を高める観点から温水を用いることもできる。温水を用いる場合には、35〜90℃、特に45〜80℃の温水を用いることが好ましい。また、水の使用量及び排水量を低減出来る点からは、例えば、すでに供給したパルプスラリーの白水を用いることが好ましい。また、希釈用流体として、例えば、予め低濃度に設定したパルプスラリーを用いることができる。この場合、パルプスラリーの希釈用流体としてのパルプスラリーの濃度は、供給されるパルプスラリーの濃度(設定供給濃度)の50%以下、但し、1重量%以下とすることがより好ましい。供給されるパルプスラリーの濃度が高くなれば、希釈用流体としてのパルプスラリー濃度は低くすることが好ましい。さらに、パルプスラリーの希釈用流体として、洗剤や機能性付加のための各種添加剤を含んだ流体を用いることもできる。
【0014】希釈用流体の注入量は、成形する成形体の寸法形状(キャビティ容量)、第1のパルプスラリーの設定供給濃度により適宜設定することができるが、特に、第1のパルプスラリーの設定供給濃度が1重量%以上である場合には、希釈用流体の注入量Vwは、(1/4)ρs・Vc<Vw<8Vcとすることが好ましい。ここで、この数値範囲は、図1におけるような供給経路に三つのバルブを備えた希釈用流体の供給経路における配管長さ、キャビティ容量により算出されるものである。希釈用流体の注入量Vwが(1/4)ρs・Vc以下であると、成形体の最大肉厚と最小肉厚との比(最大肉厚/最小肉厚)が好ましい範囲である1.0〜3.0を超えてしまい、成形体の肉厚ムラがひどくなって乾燥時に焦げが生じたり乾燥効率が低下したりするほか、得られた成形体の圧縮強度が低下する。また、希釈用流体の注入量Vwがキャビティ容量Vcの8倍以上になると、抄紙工程に要する時間が長くなる。ここで、ρsは供給されるパルプスラリーの設定供給濃度(重量%)、Vcはキャビティの容積、Vwは希釈用流体の注入量である。具体的には、例えば、希釈用流体として水を注入する前のキャビティ内のパルプスラリー濃度ρsが2重量%、キャビティの容積Vcが1リットルである場合には、水の注入量Vwは、0.5<Vw<8リットルであることが好ましい。
【0015】所定量の希釈用流体Wを注入した後、図1の系統Aから第1のパルプスラリーIのみを供給できるように弁V1,V2を操作する。そして、図2(b)に示すように、キャビティ13の所定量まで第1のパルプスラリーIを加圧注入する。本実施形態では、第1のパルプスラリーIは、その注入前に希釈用流体が注入されているため、キャビティ13内のスラリーは希釈されたものとなる。第1のパルプスラリーIの加圧注入には例えばポンプが用いられる。第1のパルプスラリーIの加圧注入の圧力は好ましくは0.01〜5MPa、更に好ましくは0.01〜3MPaとする。なお、第1パルプスラリーIの注入は、希釈用流体Wの注入後に行うことが好ましいが、弁V1の設定により、希釈用流体の注入中、希釈用流体の注入と同時、あるいは希釈用流体の注入前に行うこともできる。希釈用流体と第1のパルプスラリーの注入を並行して行う場合には、希釈に加えて撹拌効果も得られるため、当該希釈用流体が希釈・撹拌用流体として作用する。
【0016】上記第1のパルプスラリーの設定供給濃度は、0.1〜6重量%とすることが好ましく、0.5〜3重量%とすることがより好ましい。0.1重量%未満では均等な肉厚が得られずに成形不良となる場合があり、6重量%を超えるとキャビティ内のパルプスラリーの希釈効果を得るためには希釈用流体の注入量を多くしなくてはならず、その分注入時間を要する。特に、設定供給濃度を0.5重量%以上とすることで成形性を安定させるのに効果的であり、3重量%以下とすることで高さ方向の肉厚分布を良好にすることができる。
【0017】上記第1のパルプスラリーに用いられるパルプ繊維は、この種のパルプモールド成形体に用いられる通常のものを用いることができる。また、後述するパルプ繊維を用いることにより、得られる成形体を後述のような特徴あるものとすることができる。また、第1のパルプスラリーは、パルプ繊維と水に加えてタルクやカオリナイト等の無機物、ガラス繊維やカーボン繊維等の無機繊維、ポリオレフィン等の熱可塑性合成樹脂の粉末又は繊維、非木材又は植物質繊維、多糖類等の成分を含有していてもよい。これらの成分の配合量は、パルプ繊維及び該成分の合計量に対して1〜70重量%、特に5〜50重量%であることが好ましい。
【0018】本実施形態のパルプモールド成形体の製造方法においては、このように抄紙工程におけるパルプ層の形成初期の前記キャビティ内のパルプスラリー濃度を第1のパルプスラリーの設定供給濃度より低くする。抄紙工程におけるパルプ層の形成初期とは、キャビティ内に供給されたパルプがパルプモールド成形体の成形に必要となるパルプ全体の0〜30%、好ましくは0〜20%にある状態をいう。
【0019】本実施形態のパルプモールド成形体の製造方法においては、抄紙工程におけるパルプ層の形成初期のキャビティ内のパルプスラリー濃度を第1のパルプスラリーの設定供給濃度よりも低くする。特に、第1のパルプスラリーの設定供給濃度が1重量%以上である場合には、抄造工程におけるパルプ層の形成初期のキャビティ内のパルプスラリー濃度ρc{=キャビティ内のパルプ量/(キャビティ内のスラリー中の水の量+希釈用流体中の水の量)}は、第1のパルプスラリーの設定供給濃度に対し、16〜{2500/(25+6ρs)}%とすることが好ましい。ここで、パルプスラリー濃度ρcの上限値の式における希釈用流体の前記注入量Vwには、前述の{(1/4)ρs・Vc}が用いられる。前記キャビティ内のパルプスラリー濃度ρcが16未満であると、成形体の最大肉厚と最小肉厚との比(最大肉厚/最小肉厚)が好ましい範囲である1.0〜3.0を超えてしまい、成形体の肉厚ムラがひどくなって乾燥時に焦げが生じたり乾燥効率が低下したりするほか、得られた成形体の圧縮強度が低下する。また、ρcが{2500/(25+6ρs)}%を超えると希釈用流体の注入量Vwがキャビティ容量Vcの8倍以上となり、抄紙工程に要する時間が長くなる。
【0020】キャビティ13内のスラリー量が所定量に達するまで第1のパルプスラリーIを注入すると、前記吸引路14を通じたパルプスラリーの吸引・脱水を開始する。これにより、低濃度の第1のパルプスラリー中の水分が抄紙型10の外へ排出されると共に、図2(b)に示すようにパルプ繊維がキャビティ13の内面(抄紙ネットの内面)に堆積されて、キャビティ13の内面に最外層としての第1のパルプ層15が形成される。上述のように低濃度の第1のパルプスラリーIがキャビティ13内において所定圧力に加圧されることで、吸引路14を通じた脱水がスムーズに行われ、また、パルプ繊維の自然沈降が抑えられてキャビティ13内面にパルプ繊維が上下方向においてムラなく均一に堆積される。斯かる吸引路14を通じたスラリーの吸引中においても、第1のパルプスラリーIの注入は引き続き行われるため、成形体の成形開始当初に比べてキャビティ13内のスラリー濃度は次第に高くなる。
【0021】次いで、所定量の第1のパルプスラリーIの注入が完了した後に、図1の系統Bから第2のスラリーのみを供給できるように弁V1,V2を操作する。そして、図2(c)に示すように、抄紙型10の上部開口部からキャビティ13内に、第1のパルプスラリーIと配合組成の異なる第2のパルプスラリーIIを加圧注入する。これによって、キャビティ13内には、第1のパルプスラリーと第2のパルプスラリーとの混合スラリーが存在することになる。第2のパルプスラリーIIの加圧注入の圧力は、第1のパルプスラリーIの加圧注入の圧力と同程度とすることができる。第2のパルプスラリーIIの加圧注入によって、キャビティ13内の加圧状態は維持される。
【0022】上記第2のパルプスラリーの設定供給濃度は、上記第1のパルプスラリーと配合組成が異なればその配合に特に制限はないが、第1のパルプスラリー同様に、0.1〜6重量%、特に、0.5〜3重量%とすることが好ましい。0.1重量%未満では均等な肉厚が得られずに成形不良となり、また、6重量%を超えるとキャビティ内のパルプスラリーの希釈効果を得るためには希釈用流体の注入量を多くしなくてはならず、その分注入時間を要する。上記第2のパルプスラリーに用いられるパルプ繊維は、この種のパルプモールド成形体に用いられる通常のものを用いることができる。また、後述するパルプ繊維を用いることにより、得られる成形体を後述のような特徴あるものとすることができる。また、第2のパルプスラリーは、パルプ繊維と水に加えてタルクやカオリナイト等の無機物、ガラス繊維やカーボン繊維等の無機繊維、ポリオレフィン等の熱可塑性合成樹脂の粉末又は繊維、非木材又は植物質繊維、多糖類等の成分を含有していてもよい。これらの成分の配合量は、パルプ繊維及び該成分の合計量に対して1〜70重量%、特に5〜50重量%であることが好ましい。
【0023】第2のパルプスラリーの加圧注入と共に吸引路14を通じたキャビティ13内の吸引・脱水を引き続き行うと、上記混合スラリーの成分からなるパルプの混合層(図示せず)が、第1のパルプ層15上に形成される。この場合、上記混合スラリーにおいては、経時的且つ連続的に第2のパルプスラリーの割合を第1のパルプスラリーの割合に比して多くすることができるので、第1のパルプ層15上に形成される混合層においては、第1のパルプスラリーの配合組成から第2のパルプスラリーの配合組成へと組成が連続的に変化していくことになる。キャビティ13内は加圧状態下にあるので、混合層は均一な厚みで形成される。詳細には、各パルプスラリーをキャビティ13内に加圧注入することで、本実施形態のような底面部から急な立ち上がりを有する立体的な中空成形体を成形する場合でも、パルプスラリーがキャビティ13内で対流してパルプスラリーの撹拌作用が発現する。そのため、パルプスラリー濃度はキャビティ13内の上下方向で均一化され、第1のパルプ層15、混合層16、第2のパルプ層17の各肉厚が均一化される。
【0024】次に、前記抄紙工程における前記第2のパルプ層17の形成終期の前記キャビティ13内のパルプスラリーの濃度を供給される前記第2のパルプスラリーの前記設定供給濃度より低くする。特に、本実施形態では、第2のパルプ層の形成終期における上下方向の肉厚ムラを効果的に抑えて肉厚を均一にする点からキャビティC内の水位降下時におけるキャビティC内のパルプスラリーの濃度を第2のパルプスラリーの設定供給濃度より低くする。
【0025】本実施形態では、先ず、第2のパルプスラリーIIの所定量の加圧注入が終了する前に、図1の系統Cからも希釈用流体(希釈・撹拌用流体)を供給できるようにV1を操作し、希釈用流体を第2のパルプスラリーIIと共に加圧注入し、抄紙工程における第2のパルプ層の形成終期のキャビティ13内のパルプスラリー濃度を第2のパルプスラリーの設定供給濃度よりも低くする。第2のパルプスラリーIIの所定量の加圧注入が終了すると系統Cから希釈用流体のみを供給できるようにV1を操作し、図2(d)に示すように、キャビティ13内に希釈用流体のみを引き続き加圧注入し、抄紙工程における第2のパルプ層の形成終期のキャビティ13内のパルプスラリー濃度を第2のパルプスラリーの設定供給濃度よりも低くする。この希釈用流体の供給により、キャビティ13内に残存する第2のパルプスラリーが希釈・撹拌され、吸引路14を通じた脱水を引き続き行うと、混合層上に、第2のパルプスラリーの成分が堆積された最内層としての第2のパルプ層17が均一に形成される。この場合にも、キャビティ13内のパルプスラリーは加圧注入した希釈用流体によって希釈・撹拌されているので、第2のパルプ層17は均一な厚みで形成される。また、希釈用流体を加圧注入するので、吸引路14を通じた脱水も良好に行われ、内面の仕上がりも良好となる。本実施形態では、特に、この希釈用流体として水や温水等を加圧注入することにより、配管内に残存する第2のパルプスラリーの洗浄も行われるため、新たな抄紙を開始した際に、第1のパルプスラリーのみを供給することができ、第2のパルプが成形体の外面に抄紙されることを防止することができる。なお、希釈用流体の加圧注入は第2のパルプスラリーIIの注入終了後であって第2のパルプスラリーがキャビティ内に残存する間に行うこともできる。
【0026】本実施形態のパルプモールド成形体の製造方法においては、このように抄紙工程におけるパルプ層の形成終期にキャビティ内のパルプスラリー濃度を第2のパルプスラリーの設定供給濃度よりも低くする。抄紙工程におけるパルプ層の形成終期とは、キャビティ内に供給されたパルプがパルプモールド成形体の成形に必要となるパルプ全体の70〜100%、好ましくは80〜100%にある状態をいう。
【0027】本実施形態のパルプモールド成形体の製造方法においては、抄造工程におけるパルプ層の形成終期のキャビティ内のパルプスラリー濃度は、第2のパルプスラリーの設定供給濃度に対し、16〜18%とすることが好ましい。
【0028】パルプ層の形成終期における上記希釈用流体の注入量は、成形する成形体の寸法形状(キャビティ容量)、第2のパルプスラリーの設定供給濃度により適宜設定することができるが、特に、第2のパルプスラリーの設定供給濃度が1重量%以上の場合には、希釈用流体の注入量Vwは、(1/4)ρs・Vc<Vw<8Vcとすることが好ましい。希釈用流体の注入量Vwが(1/4)ρs・Vc以下であると、成形体の最大肉厚と最小肉厚との比(最大肉厚/最小肉厚)が好ましい範囲である1.0〜3.0を超えてしまい、成形体の肉厚ムラがひどくなって乾燥時に焦げが生じたり乾燥効率が低下したりするほか、得られた成形体の圧縮強度が低下する。また、希釈用流体の注入量Vwがキャビティ容量Vcの8倍以上になると、抄紙工程に要する時間が長くなる。
【0029】所定のパルプ層が抄紙形成された後に、希釈用流体の圧入を停止して脱水を行う。脱水工程では、先ず、図2(e)に示すように、キャビティ13内を吸引・減圧すると共に、弾性を有し伸縮自在で且つ中空状をなす中子18をキャビティ13内に挿入させる。中子18は、キャビティ13内において風船のように膨らませて、第1のパルプ層15、混合層16及び第2のパルプ層17からなる積層体(以下、パルプ積層体という)をキャビティ13の内面に押圧させることにより、キャビティ13の内面形状を付与するのに使用される。従って、中子18は引張強度、反発弾性及び伸縮性等に優れたウレタン、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム又はエラストマー等によって形成されている。
【0030】次に、図2(f)に示すように、中子18内に加圧流体を供給して中子18を膨張させ、膨張した中子18により上記パルプ積層体をキャビティ13の内面に押圧させる。すると、上記パルプ積層体は、膨張した中子18によってキャビティ13の内面に押し付けられ、上記パルプ積層体にキャビティ13の内面形状が転写されると共に脱水が更に進行する。このように、キャビティ13の内部から上記パルプ積層体がキャビティ13の内面に押し付けられるために、キャビティ13の内面の形状が複雑であっても、精度良くキャビティ13の内面の形状が上記パルプ積層体に転写されることになる。その上、従来のパルプモールドの製造方法と異なり、貼り合わせ工程を用いる必要が無いので、得られる成形体には貼り合わせによるつなぎ目及び肉厚部は存在しない。その結果、得られる成形体の強度が高まると共に外観の印象が良好となる。中子18を膨張させるために用いられる加圧流体としては、例えば圧縮空気(加熱空気)、油(加熱油)、その他各種の液が使用される。また、加圧流体を供給する圧力は、0.01〜5MPa、特に0.1〜3MPaとなすことが好ましい。
【0031】パルプ積層体にキャビティ13の内面の形状が十分に転写され且つパルプ積層体を所定の含水率まで脱水できたら、図2(g)に示すように、中子18内の加圧流体を抜く。すると、中子18が自動的に縮んで元の大きさに戻る。次いで、縮んだ中子18をキャビティ13内より取出し、更に抄紙型10を開いて所定の含水率を有する湿潤した状態のパルプ積層体19を取り出す。
【0032】取り出されたパルプ積層体19は次に加熱・乾燥工程に付される。加熱・乾燥工程では、抄紙・脱水を行わない以外は、図2に示す抄紙工程と同様の操作が行われる。即ち、先ず、一組の割型を突き合わせることにより成形すべき成形体の外形に対応した形状のキャビティが形成される乾燥型を所定温度に加熱し、該乾燥型内に湿潤した状態の上記パルプ積層体を装填する。
【0033】次に、上記抄紙工程で用いた中子18と同様の中子を上記パルプ積層体内に挿入させ、該中子内に加圧流体を供給して該中子を膨張させ、膨張した該中子により上記パルプ積層体を上記キャビティの内面に押圧させる。中子の材質及び加圧流体の供給圧力は、上記抄紙工程と同様とすることができる。この状態下に、上記パルプ積層体を加熱乾燥させる。上記パルプ積層体が、十分に乾燥したら、上記中子内の加圧流体を抜き、該中子を縮ませて取り出す。更に上記乾燥型を開いて、成形された成形体を取り出す。
【0034】このように、本実施形態においては、成形体の成形初期及び成形終期においてキャビティ内に希釈用流体を注入し、特に成形体の形成初期の水位上昇時及び終期の水位下降時におけるキャビティ内のパルプスラリーの濃度を第1又は第2のパルプスラリーの設定供給濃度より低くしたので、スラリー中の固形分の自然沈降を十分に抑えることができ、これにより、上下に厚さムラのない成形体を形成することができる。また、第1のパルプスラリーI及び第2のパルプスラリーIIを連続的にキャビティ13内に注入するので、厚さ方向に多層構造を有する成形体を効率的に製造することができる。特に、第2のパルプスラリーの注入終了後に希釈用流体として水を注入した場合には、新たに成形体の成形を開始する場合においても、図1に示す系統Dに第2のパルプスラリーが残存することがなく、抄紙工程を直ちに進めることができる。
【0035】また、このようにして製造された成形体1は、図2(h)に示すように、開口部2の直径が胴部3の直径よりも小さい円筒形状のボトル(中空容器)であり、粉状体や粒状体等の内容物の収容に特に好適に使用される。この成形体1には、開口部2、胴部3及び底部4の何れにもにつなぎ目が無く、且つ開口部2、胴部3及び底部4が一体的に形成されている。従って、成形体1の強度が高まると共に外観の印象が良好となる。
【0036】本実施形態により製造された成形体の多層構造は図3に示す通りであり、最外層としての第1のパルプ層15と最内層としての第2のパルプ層17との間に、第1のパルプ層の配合組成から第2のパルプ層の配合組成へと組成が連続的に変化した混合層16が形成されている。その結果、第1のパルプ層15と第2のパルプ層17との間の接合強度が高まり、両層間の層間剥離が効果的に防止される。尚、第1のパルプ層15と第2のパルプ層17との間に混合層16が形成されていることは、成形体の断面の顕微鏡観察により確認できる。
【0037】第1のパルプ層15、混合層16及び第2のパルプ層17それぞれの厚みは、成形体の用途等に応じて適宜決定することができる。特に、最外層の厚み(本実施形態では第1のパルプ層15の厚み)は、成形体全体の厚みの5〜90%、特に10〜70%、とりわけ10〜50%であることが、内層に白色度の低いパルプ繊維を用いた場合に、外部からみて十分な隠蔽性が発現し得る点、最外層が傷付いても内層が露出しにくい点、及び内層の被覆性の点から好ましい。各層の厚みは、成形体の製造時における第1及び第2のパルプスラリーの注入量及び濃度によって決定される。
【0038】本実施形態により製造された成形体は多層構造となっているので、各層に個別に機能を付与することが可能である。例えば、第1のパルプスラリーにのみ顔料又は染料等の着色剤や有色の和紙又は合成繊維を配合することで、最外層としての第1のパルプ層15のみを着色層とすることができる。第1のパルプスラリーにのみ着色剤を配合することは、同スラリーに白色度の比較的低いパルプ、例えば脱墨パルプ等の古紙を原料とするパルプを配合する場合(例えば白色度が60%以上、特に70%以上)に、その色調を容易に調整し得ることから有効である。着色剤の配合量は、パルプ繊維の配合量の0.1〜15重量%であることが好ましい。
【0039】また、第1又は第2のパルプスラリーに、長さ加重平均繊維長が0.8〜2.0mm、カナディアン・スタンダード・フリーネスが100〜600ccで、繊維長の度数分布において繊維長0.4mm以上1.4以下mmの範囲の繊維が全体の20〜90%を占め且つ1.4mm超30mm以下の範囲の繊維が全体の5〜50%を占めるパルプ繊維を配合させることで、第1のパルプ層15又は第2のパルプ層17の肉厚が極めて均一となる。特に、第1のパルプスラリーとして、広葉樹の漂白パルプ(LBKP)を含み、長さ加重平均繊維長が0.2〜1.0mm、カナディアン・スタンダード・フリーネスが50〜600ccで、繊維長の度数分布において繊維長0.4mm以上1.4mm以下の範囲の繊維が全体の50〜95%を占めるパルプ繊維を配合させたものを使用すると、得られた成形体の表面平滑性が良くなり、印刷やコーティングに適したものとなる。
【0040】長さ加重平均繊維長とは、パルプ繊維の繊維長の度数分布を測定し、その長さ加重平均から求められる値をいう。測定にはKAJAANI FS-200繊維長測定器〔バルメットオートメーション(株)社製〕を用い、測定条件は、ファイバーカウント2万以上とした。
【0041】また、第1のパルプスラリーに耐水剤、撥水剤、防湿剤、定着剤、防黴剤、帯電防止剤等の添加剤を配合させておくことで、第1のパルプ層15に各添加剤の機能に応じた機能を付与することができる。これらの添加剤が配合された最外層としての第1のパルプ層15は、その表面張力が10dyn/cm以下であることが好ましく、また撥水度(JIS P 8137)がR10であることが好ましい。更に、第1のパルプスラリーに熱可塑性合成樹脂の粉末又は繊維を配合させておくことで、第1のパルプ層15に耐摩耗性を付与し、毛羽立ち等を抑えることができる。この耐摩耗性の程度は、鉛筆引掻強度(JIS K 5400)で表して3H以上であることが好ましい。
【0042】このように、本実施形態においては、所定の添加剤又はパルプ繊維を用いて所望の特性を発現させたい場合に、当該特性が最も効率的に発現する特定の層にのみ当該添加剤等を配合させればよいので、単層のパルプモールド成形体に比して添加剤等の配合量を低減し得るという利点がある。
【0043】本発明は上述した実施形態に制限されない。例えば、上記実施形態では、図1に示すような系統でパルプスラリー及び希釈用流体をキャビティ内に供給するようにしたが、各パルプスラリー及び希釈用流体をそれぞれ独立した系統でキャビティ内に供給することもできる。
【0044】また、本発明は、前記抄紙工程における前記パルプ層の形成初期又は終期における前記キャビティ内のパルプスラリーの濃度を低くする手段は問わない、例えば、パルプ層の形成初期には低濃度のパルプスラリーを供給しておき、所定の供給量に達した時点で正規濃度(設定供給濃度)のパルプスラリーに切り替えるようにすることもできる。また、パルプ層の形成終期には正規濃度(設定供給濃度)のパルプスラリーから低濃度のパルプスラリーに切り替えるようにすることもできる。
【0045】また、本発明において、パルプスラリーには、吸引・脱水効率を高める点で温水を用いることもできる。温水を用いる場合には、35〜90℃、特に45〜80℃の温水を用いることが好ましい。
【0046】また、本発明のパルプモールド成形体の製造方法では、単層あるいは3層以上の層構造を有する成形体の製造にも適用することができる。例えば、図3に示す層構造の成形体の製造にも適用でき、図4(a)に示すように、図3に示す第2のパルプ層17側に、第1のパルプ層15’をもう一層形成し、更に第2のパルプ層17と第1のパルプ層15’との間に、第2のパルプ層17の配合組成から第1のパルプ層15’の配合組成へと組成が連続的に変化した混合層16’を形成して、最内層と最外層とが同じ配合組成となった全部で5層の層構造を有する成形体の製造にも適用することができる。この場合、第1のパルプ層15,15’を白色度の高いパルプから構成し、第2のパルプ層17を古紙等の白色度の低いパルプから構成することで、外観上の白色度が高く、しかも低価格の成形体が得られる。或いは、図4(b)に示すように、図3に示す第2のパルプ層17側に、第2のパルプ層17及び第1のパルプ層15の配合組成の何れとも配合組成の異なる第3のパルプ層21を形成し、更に第2のパルプ層17と第3のパルプ層21との間に、第2のパルプ層17の配合組成から第3のパルプ層21の配合組成へと組成が連続的に変化した混合層20を形成して、全部で5層の層構造となしてもよい。この場合には多種の原料を用いた多層の成形体が得られる。単層又は3層以上の層構造の成形体を製造する場合にも、キャビティ内に供給するパルプスラリーの設定供給濃度は、0.1〜6重量%、特に、0.5〜3重量%とすることが好ましい。また、成形体の抄紙後、外面及び/又は内面にプラスチック層や塗工層等を設け、成形体の強度を一層高めたり、内容物の漏れ出し等を効果的に防止したり、或いは加飾を施してもよい。
【0047】また、成形体の使用に際して負荷がかかる部分、例えば開口部や底部にプラスチック等からなる補強部材を配して、成形体の耐久性を向上させるようにしてもよい。また、これらの部分の一部をプラスチック等から形成してもよい。
【0048】また、本発明は、開口部の横断面形状と胴部の横断面形状とがほぼ同様な略直方体状のカートン型容器の製造にも適用することができる。また、本発明は、内容物の収容に用いられる中空容器以外に、置物等のオブジェ等の成形体の製造にも適用することができる。
【0049】また、配合組成の異なる2種以上のパルプスラリーを、順次抄紙型のキャビティ内に注入し、該抄紙型の吸引路を通じて吸引・脱水することにより、混合層を形成せずに各パルプスラリーの固形成分からなるパルプ層を順次形成することができる。また、パルプスラリー注入時は、排水用バルブを開くことによる排水のみを行い、パルプスラリー注入完了後に吸引・脱水を行うようにすることもできる。また、前記中子を用いた脱水の代わりに、成形体の内部から空気や水蒸気等を供給することにより、通気脱水することもできる。
【0050】また、本発明は、上記実施形態におけるように、吸引路を備えた割型を組み付けて抄紙型とし、該抄紙型のキャビティ内にパルプスラリーを上方から注入して供給する製造方法に好適であるが、パルプスラリーを湛えたプール内に該抄紙型を浸漬して該抄紙型のキャビティ内にパルプスラリーを供給する製造方法にも適用することができる。また、吸引路を備えた割型状の抄紙型をその抄紙面を上方に向けて配置するとともに、少なくとも抄紙面を囲繞する外枠を該抄紙型に液密に配設し、該抄紙面と該外枠とでパルプスラリーを充填するプールを形成した後に、該プール内に所定量のパルプスラリーを充填して該吸引路を通じてパルプスラリーを吸引して抄紙面に成形体を形成する製造方法にも適用することができる。
【0051】
【実施例】図1に示す抄紙型及び供給系統を用い、下記の実施例1〜4並びに比較例1及び2のように成形体を作製し、作製した成形体から試験片を切り出して、この試験片の平均厚さ、最大厚さ、最小厚さ及びこれらの比、並びに圧縮強度(最大強度)を調べた。それらの結果を表1に示す。なお、表1には、各実施例及び比較例における希釈用流体(水)の注入量及び注入時間も併せて示した。
【0052】〔実施例1〕下記配合組成のパルプスラリーを用い、図5に示すタイムチャートに従って、抄紙工程におけるパルプ層の形成初期及び終期に水を注入してキャビティ内のパルプスラリーを希釈して成形体を製造した。成形体の製造に際しては、先ず、パルプスラリーの注入前に、希釈用流体として常温水(5〜20℃の水道水。以下同じ)1リットル(0.25リットル/秒)をキャビティ(容量1リットル)内に注入した後、パルプスラリーを圧力0.1MPaで加圧注入した。次に、吸引路を通じてキャビティ内を吸引・脱水し、抄紙面にパルプを堆積させた。そして、4.5リットルのパルプスラリーを注入後、希釈用流体として常温水1リットル(0.25リットル/秒)をキャビティに注入した。このようにして得られたパルプ積層体内に弾性体からなる中子を挿入し、中子内に空気を圧力0.3MPaで圧入してパルプ積層体をキャビティ内面に押しつけて更に脱水を行った。次いで、抄紙型を開きパルプ積層体を取り出し、これを乾燥型内に装填した。乾燥型は抄紙型と同様の形状のキャビティを有するものである。そして、乾燥型内に装填されたパルプ積層体内に弾性体からなる中子を挿入し、中子内に空気を圧力1MPaで圧入してパルプ積層体をキャビティ内面に押しつけた状態下に乾燥型を220℃に加熱してパルプ積層体を乾燥させた。パルプ積層体が十分に乾燥したところで乾燥型を開き、ボトル状の成形体を取り出した。
<パルプスラリーの組成>液体成分:水固形成分:重量比7:3の脱墨故紙(DIP)及びNBKPの混合パルプパルプスラリーの設定供給濃度:1重量%【0053】〔実施例2〜4〕抄紙工程における希釈用流体としての水の注入量及び注入時間を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして2層成形体を作製した。
【0054】〔比較例1〕水を注入せず、パルプスラリーを希釈しなかった以外は、実施例1と同様にして成形体を作製した。
【0055】〔比較例2〕抄紙工程における希釈用流体としての水の注入量及び注入時間を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして成形体を作製した。
【0056】〔厚さムラの評価〕正立した成形体の周壁部(ネジ山部分を除く)高さ方向の所定の8箇所の肉厚をマイクロメータで測定し、最大厚さ、最小厚さ及びこれらの比並びに平均肉厚で評価した。
【0057】〔圧縮強度の測定〕得られたボトル状の成形体の口部に、外周面にネジ山を有する筒状の部品を打ち込んだ後、粉末(花王(株)製、商品名「粉末ワイドハイター」)79gを充填した状態で該部品にキャップを螺着させたものを、圧縮強度測定機((株)オリエンテック製、RTA−500)に装填し、クロスヘッドスピードを20mm/minに設定して測定を行った。
【0058】
【表1】

【0059】表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜4により作製した成形体(本発明品)は、比較例1,2の成形体に比べて、上下方向の肉厚のムラが小さく、また、圧縮強度にも優れていることが確認された。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、上下方向の肉厚ムラを抑えたパルプモールド成形体を効率よく製造することができる。




 

 


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