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発明の名称 パルプモールド成形体の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−146699(P2001−146699A)
公開日 平成13年5月29日(2001.5.29)
出願番号 特願平11−327371
出願日 平成11年11月17日(1999.11.17)
代理人 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修 (外1名)
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055 BF07 BF08 EA23 EA24 FA14 FA22 
発明者 野々村 著 / 山田 泰司 / 佐藤 久夫 / 津浦 徳雄 / 小林 洋昭
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 所定形状のキャビティが形成される抄紙型の前記キャビティ内にパルプスラリーを供給し、前記キャビティ内を前記抄紙型の外部へ向けて吸引して前記キャビティの内面に湿潤状態のパルプモールド成形体を形成した後、前記キャビティ内を気密にした状態下に、前記キャビティ内の圧力が98kPa〔gage〕以上となるように過熱蒸気を吹き込むか、又は196kPa〔gage〕以上となるように、加熱されていないか若しくは加熱された圧搾空気を吹き込み、前記パルプモールド成形体を脱水する、パルプモールド成形体の製造方法。
【請求項2】 前記吹き込み後0.1〜10秒間で脱水を行う請求項1記載のパルプモールド成形体の製造方法。
【請求項3】 前記キャビティ内へ過熱蒸気又は加熱されていないか若しくは加熱された圧搾空気を吹き込み前記パルプモールド成形体を脱水した後、過熱蒸気若しくは加熱された圧搾空気の該吹き込みを継続するか又は加熱されていない圧搾空気と切り替えて加熱された圧搾空気を吹き込むことで前記パルプモールド成形体を加熱乾燥させる請求項1記載のパルプモールド成形体の製造方法。
【請求項4】 前記キャビティ内へ過熱蒸気又は加熱されていないか若しくは加熱された圧搾空気を吹き込み前記パルプモールド成形体を脱水した後、過熱蒸気若しくは加熱された圧搾空気の該吹き込みを継続しながら又は加熱されていない圧搾空気と切り替えて加熱された圧搾空気を吹き込みながら、吹き込まれた過熱蒸気又は加熱された圧搾空気の一部又は全てを、該吹き込みの吹き込み口から排気して前記パルプモールド成形体を加熱乾燥させる請求項1記載のパルプモールド成形体の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱水・乾燥効率の向上したパルプモールド成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】パルプモールド成形体の製造工程においては、取り扱い性の向上及び乾燥時間の短縮化等の点から、抄紙により得られた湿潤状態の成形体を脱水する工程がある。脱水には、弾性体を用いてプレス脱水する方法や、可撓膜を用いて加圧脱水する方法が知られている。
【0003】しかし、前記の方法においては、成形体の含水率を低下させようとすると加圧力を高める必要があることから、パルプが抄紙ネットに食い込み成形体の表面にネットの跡が残って外観が悪くなる。また加圧力を高めるために装置が大型化してしまう。更に機械的な脱水には自ずと限界があり、満足すべき含水率まで脱水するには長時間を要し、脱水効率が良くない。
【0004】一方、特開昭53−18056号公報、特開昭60−4320号公報及び特開平9−316800号公報に記載のように、蒸気によって湿潤状態の成形体を加熱して乾燥を行う方法が知られている。しかし、この方法は、蒸気の有する熱エネルギーを利用して、熱交換によって成形体を乾燥させようとするものであるから、エネルギー的に有利とはいえない。
【0005】従って、本発明は、湿潤状態の成形体を効率よく脱水・乾燥させ得るパルプモールド成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、過熱蒸気又は圧搾空気を特定の圧力以上で吹き込むことで、熱交換による加熱乾燥を主としない物理的なメカニズムによって、湿潤状態の成形体から水分を瞬時に除去し得ること、特に過熱蒸気を用いる場合は、高い脱水効率が達成されることを知見した。
【0007】本発明は前記知見に基づきなされたもので、所定形状のキャビティが形成される抄紙型の前記キャビティ内にパルプスラリーを供給し、前記キャビティ内を前記抄紙型の外部へ向けて吸引して前記キャビティの内面に湿潤状態のパルプモールド成形体を形成した後、前記キャビティ内を気密にした状態下に、前記キャビティ内の圧力が98kPa〔gage〕以上となるように過熱蒸気を吹き込むか、又は196kPa〔gage〕以上となるように、加熱されていないか若しくは加熱された圧搾空気を吹き込み、前記パルプモールド成形体を脱水する、パルプモールド成形体の製造方法を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明のパルプモールド成形体(以下、単に成形体ともいう)の製造方法の一実施形態に用いられる抄紙・脱水装置が示されている。この抄紙・脱水装置1は、ボトル状の成形体の製造に用いられるものであり、スラリー供給部2、抄紙部3、加熱流体供給部4及び排出部5に大別される。
【0009】スラリー供給部2は、パルプスラリー(以下、単にスラリーともいう)21を貯蔵し且つスラリー21の攪拌機22を備えたスラリー貯蔵タンク23、スラリー貯蔵タンク23からスラリー21を吸引し後述する抄紙型33内にスラリー21を供給するポンプ24、スラリー21の流量を計量する流量計25、及びバルブ26を備えている。ポンプ24、流量計25及びバルブ26は管路27によってこの順に接続されている。管路27の一端はスラリー21中に浸漬されており、他端は後述する抄紙型33のキャビティ34内に接続されている。
【0010】抄紙部3は、二つの割型31,32で一組が構成される抄紙型33を備えている。この二つの割型31,32の分割面同士を当接させることで、抄紙型33の内部には所定形状のキャビティ34が形成される。キャビティ34の内面には、多数の溝(図示せず)が凹設されており、この溝は抄紙型33の外部に連通している。これによって、後述する流体(過熱蒸気又は圧搾空気若しくは加熱圧搾空気)の十分な流通及び凝縮水(流体として過熱蒸気を用いた場合)の速やかな排出が確保される。また、キャビティ34は、所定の大きさの網目を有するネット35によって被覆されている。キャビティ34は、抄紙型33の外部に向けて開口している。この開口は封鎖板39によって封鎖されている。前述したスラリー21及び後述する加圧流体は、この封鎖板39に穿設された孔を通じてキャビティ34内に供給される。
【0011】各割型31,32の内部には中空のマニホールド室36が形成されている。キャビティ34の内面には、マニホールド室36に連通する複数の連通孔37が穿設されている。また、抄紙型33の外面には、マニホールド室35に通じる貫通孔38が穿設されている。これによって、抄紙型33には、キャビティ34、連通孔37、マニホールド室36及び貫通孔38が連通して、抄紙型33の内部から外部へ連通した連通路が形成される。
【0012】加熱流体供給部4は、流体の供給源41、供給源41からの流体をキャビティ34内に供給する管路42、及び管路42の途中に介在し且つ流体を加熱する熱交換器43を備えている。供給源41と熱交換器43との間には、加熱流体の圧力調整弁(図示せず)が介在しており、キャビティ34内に吹き込む加熱流体の圧力を調整し得るようになっている。また、管路42は、保温又は加熱されており、加熱流体の温度低下を防止している。但し、流体として加熱されていない圧搾空気を用いる場合には、熱交換器43は不要である。
【0013】排出部5は、排気ライン51及び排水ライン52を備えている。各ラインは抄紙型33の貫通孔38に連通している。排気ライン51の途中にはバルブ51aが介在している。排水ライン52の途中にもバルブ52aが介在している。また、排水ライン52の末端は吸引ポンプ53に接続されている。ポンプ53とバルブ52aとの間には気水分離器が介在している。また、抄紙型33における上部開口を封鎖する封鎖板39には、第2の排気ライン55が接続されている。第2の排気ライン55の途中にはバルブ55aが介在している。
【0014】前述の抄紙・脱水装置1を用いた成形体の製造方法について説明すると、先ず注入ポンプ24を起動させ、スラリー貯蔵タンク23からスラリー21を吸い上げて、流量計25及びバルブ26を経由して、金型33のキャビティ34内にスラリー21を加圧注入する。その際、スラリー21の流量が流量計25によってインラインで計測される。スラリー21の加圧注入と共に吸引ポンプ53を起動させ、前述した連通路を通じてキャビティ34内を抄紙型33の外部に向けて減圧吸引して、スラリー21中の水分を吸引し、キャビティ34の内面を被覆するネット35上にパルプ繊維を堆積させる。その結果、ネット35上には、パルプ繊維が堆積されてなる湿潤状態の成形体10が形成される。
【0015】所定量のスラリー21がキャビティ34内に供給されたら、注入ポンプ24を停止させ、バルブ26を閉鎖する。次に、流体の供給源41から所定の流体を、吹き込み口である抄紙型33の上部開口から、気密状態のキャビティ34内に吹き込む。ここで、気密状態とは、キャビティ34内が完全に気密となった状態を意味するものではなく、流体の吹き込みによってキャビティ34内が後述する圧力以上となる程度に気密であることをいう。吹き込みの際には排気ライン51のバルブ51aは開いた状態となっている。一方、第2の排気ライン55のバルブ55aは閉じた状態となっている。またバルブ52aは閉じた状態となっている。吹き込まれた流体は、成形体10を通過し、連通孔37、マニホールド室36及び貫通孔38を通じて排気ライン51から排気される。流体として後述する過熱蒸気が用いられる場合には、キャビティ34の表面に凝縮水が付着することがあるが、この凝縮水は前述した溝を通じて抄紙型33外に速やかに排出される。この凝縮水は必要に応じて設けられた気水分離器54によって分離される。
【0016】流体としては、過熱蒸気、又は加熱されていないか若しくは加熱された圧搾空気(以下、両者を総称して単に圧搾空気という)が用いられる。流体として過熱蒸気を用いる場合には、キャビティ内の圧力が98kPa〔gage〕以上、好ましくは196kPa〔gage〕以上、更に好ましくは294kPa〔gage〕以上となるように吹き込みを行う。一方、流体として圧搾空気を用いる場合には、キャビティ内の圧力が196kPa〔gage〕以上、好ましくは294kPa〔gage〕以上となるように吹き込みを行う。このような吹き込みを行うことにより、熱交換による加熱乾燥を主としない物理的なメカニズムによって、湿潤状態の成形体10から水分が瞬時に脱水(除去)される。特に、過熱蒸気を用いた場合には、過熱蒸気による凝縮伝熱により、成形体の温度は、瞬時にほぼ飽和蒸気温度に達する。これにより、水の界面張力、粘度が低下して、成形体に保有されている水分は、非常に効率よく瞬間的に吹き飛ばされる。この脱水方法は熱交換を主としないことから、エネルギー的に極めて有利な方法である。また、脱水は瞬時に完了することから、脱水時間を短縮できる。脱水には、後述する加熱乾燥工程で用いられる弾性体からなる中子を使用しないので、該中子をキャビティ内に挿入する等の機械時間が不要となり、機械時間の短縮ができる。更に、プレス脱水の圧力に比して吹き込み圧力は低いので、得られる成形体の表面にネットの跡が付きにくく、外観の良好な成形体が得られるという利点もある。尚、キャビティ34内の圧力とは、過熱蒸気又は圧搾空気のキャビティ34内への入口圧と出口圧との差をいう。
【0017】吹き込みによるキャビティ34内の圧力は、前述の値以上であれば高いほど好ましいが、吹き込みの圧力の上昇に伴い水分の除去の程度が次第に飽和してくることから、経済的に見合う圧力の上限値は、過熱蒸気を用いる場合には980kPa程度、圧搾空気を用いる場合には1471kPa程度である。
【0018】過熱蒸気又は圧搾空気の吹き込みによる成形体10の瞬間脱水は、型内圧がほぼ一定値に到達した時点で完了する。ここで、型内圧は、元圧と吹き込み流量と成形体10の通気性とによって決まる。よって、成形体10の通気性が低く、吹き込み流量が大きい場合には、型内圧は瞬時に立ち上がり、脱水は瞬時に完了する。一方、パルプの通気性が高く、吹き込み流量が低い場合には、型内圧の立ち上がりは遅くなり、脱水完了時間は長くなる傾向にある。一般的には、脱水は、0.1秒〜10秒、特に1秒〜5秒程度の極めて短い時間で完了する。この脱水によって、例えば脱水前の含水率が75〜80重量%の成形体が、40〜60重量%程度まで脱水される。
【0019】瞬間脱水の手段として過熱蒸気を用いる場合には、該過熱蒸気は型内圧が前述の値以上となり且つ蒸気が型内に吹き込まれる手前まで凝縮しない程度に過熱されていれば良い。蒸気は十分に過熱されていても良いが、脱水効果は大きく変わらない。一方、瞬間脱水の手段として圧搾空気を用いる場合には、型内圧が前述の値以上となれば、その圧力(元圧)に特に制限は無い。また、圧搾空気の加熱の有無にも特に制限は無く、加熱されていても脱水効果は大きく変わらない。
【0020】過熱蒸気又は加熱された圧搾空気を用いる場合には該圧搾空気の吹き込みによる成形体10の脱水後、引き続き該吹き込みを継続しながら、第2の排気ライン55のバルブ55aを開く。そして、キャビティ34内に吹き込まれた過熱蒸気又は加熱された圧搾空気の一部又は全部を、該吹き込みの吹き込み口である抄紙型33の上部開口に通ずる第2の排気ライン55から排気する。また、加熱されていない圧搾空気を瞬間脱水に用いる場合には、脱水完了後、該圧搾空気の供給停止と同時に流路を切り替えて、図示しない加熱圧搾空気の供給源から、加熱された圧搾空気をキャビティ内に吹き込み、その一部又は全部を第2の排気ライン55から排気する。成形体10の含水率が高いと通気性が低くなり、過熱蒸気や加熱された圧搾空気を吹き込んでも熱交換が充分に行えない場合があるが、瞬間脱水後、過熱蒸気又は加熱された圧搾空気を吹き込みながらその一部又は全部を排気することで、過熱蒸気又は加熱された圧搾空気がキャビティ34内に流入・循環し、成形体10の内表面との間で熱交換が起こり、該内表面が加熱乾燥される。その結果、乾燥の効率が向上する。また、成形体10の厚さ方向に関して含水率の勾配が生じる。具体的には成形体10の内表面から外表面に向かって含水率が漸増する。即ち、成形体10は、その内表面が含水率が最も低く、外表面が最も高くなる。成形体10が、斯かる含水率勾配を有することは、後述する加熱乾燥の本工程において、加熱型のキャビティ形状が成形体10に忠実に転写し易くなる、即ち転写の精度が向上することから好ましい。
【0021】瞬間脱水後、過熱蒸気又は加熱された圧搾空気の吹き込みを続けるか、或いはそれらの一部又は全部の排気を行う時間は、成形体10の表面性及び転写性並びに次工程である加熱乾燥の本工程の効率を考慮して決めれば良い。脱水工程で含水率を低くすれば、加熱乾燥の本工程の時間は短くなる。しかし、外表面の含水率も低くなるため、加熱乾燥の本工程における表面性、転写性が低下する。
【0022】瞬間脱水後、加熱乾燥するために過熱蒸気を用いる場合の流量と温度は、乾燥効率及びパルプの変色等を考慮して適宜設定すれば良い。加熱圧搾空気を用いる場合も同様である。
【0023】次に、成形体10は加熱乾燥の本工程に付される。図2には加熱乾燥の本工程の模式図が示されており、(a)は成形体の加熱型への装填工程、(b)は中子挿入工程、(c)は加圧工程、(d)は加熱型を開く工程である。
【0024】先ず、一組の割型61,62を組み合わせることにより成形すべきパルプモールド成形体の外形に対応した形状のキャビティ64が形成される加熱型63を別途用意し、該加熱型63を所定温度に加熱しておく。本実施形態においては、加熱型63のキャビティ形状と抄紙型33のキャビティ形状とは同じになされている。各割型61,62には、その内部(即ちキャビティ64の内面)から外部へ連通する複数の連通孔37が形成されている。各連通孔37は、吸引ポンプ等の吸引手段(図示せず)に接続されている。抄紙型33を型開して取り出された成形体10は、図2(a)に示すように、加熱された状態の加熱型63のキャビティ64内に装填される。
【0025】次に、図2(b)に示すように、加熱型63を内部から外部へ向けて吸引した状態下に、拡縮可能な中空状の中子65を、その収縮状態下に成形体10内に挿入する。本発明において拡縮とは、中子65が伸縮してその体積が変化する場合と、中子65自体は伸縮しないが、その内部へ流体を供給又はその内部から流体を除去することにより、その体積が変化する場合の双方を包含する。前者の例としてはウレタン、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム又はエラストマー等の弾性材から構成された中子が挙げられ、後者の例としてはポリエチレンやポリプロピレン等のプラスチック材料、これらのプラスチック材料のフィルムにアルミニウムやシリカが蒸着されたフィルム、これらのプラスチック材料のフィルムにアルミニウム箔がラミネートされたフィルム、紙類、布類等の可撓性材料から構成された中子が挙げられる。本実施形態では、中子65として伸縮可能な弾性材から構成された袋状(風船状)のものを用いている。
【0026】次に、図2(c)に示すように、中子65内に所定の流体を供給して中子65を拡張させ、拡張した中子65により成形体10をキャビティ64の内面に向けて押圧する。これにより、成形体10の加熱乾燥が進行すると共に成形体10にキャビティ64の内面形状が転写される。この場合、前述の通り、成形体10は、その厚み方向の含水率の分布に勾配があり、外表面の含水率が最も高くなっている。即ち、成形体10の外表面及びその近傍のパルプの自由度は比較的大きい状態が保たれている。その結果、前記押圧によって、成形体10にキャビティ64の形状が忠実に転写し、転写の精度が向上する。また、成形体10の内表面及びその近傍は、前述した脱水工程において含水率が十分に低くなるまで脱水されているので、成形体10全体の乾燥効率が向上する。
【0027】中子65を拡張させるために用いられる流体としては、例えば空気(加圧空気)、熱風(加熱された加圧空気)、過熱蒸気、油(加熱油)、その他各種の液が使用される。特に、空気、熱風、過熱蒸気を用いることが、操作性等の点から好ましい。流体を供給する圧力は、0.01〜5MPa、特に0.1〜3MPaであることが好ましい。
【0028】成形体10が十分に乾燥し且つ成形体10にキャビティ64の内面の形状が十分に転写されたら、図2(d)に示すように、中子65内の流体を抜き、中子65を縮小させる。次いで、縮小した中子65を成形体10内より取り出し、更に加熱型63を開いて目的物であるパルプモールド成形体10を取り出す。
【0029】本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、前記実施形態においては、抄紙・脱水された湿潤状態の成形体10を抄紙型33から取り出し、加熱型63内に装填して中子65を用いて加熱乾燥させたが、これに代えて成形体10を抄紙型33から取り出さず、該型を加熱した状態下に中子65を用い該型内にて成形体10を加熱乾燥させてもよい。
【0030】また、瞬間脱水後、引き続き流体(過熱蒸気又は加熱された圧搾空気)による加熱乾燥を行う場合には、瞬間脱水時の流体と加熱乾燥時の流体の温度を必ずしも分ける必要はない。瞬間脱水時に、十分に過熱した蒸気を用いても良い。また、瞬間脱水時に過熱蒸気を用い、加熱乾燥時に加熱された圧搾空気を用いても良いし、瞬間脱水時に加熱されていないか又は加熱された圧搾空気を使い、加熱乾燥時に過熱蒸気を用いても良い。
【0031】また、図2に示す加熱乾燥の本工程を行わず、脱水工程において、加熱された流体(過熱蒸気又は加熱された圧搾空気)を用いて成形体10を最終段階まで加熱乾燥させてもよい。この場合、加熱された流体の一部又は全部の排気は、成形体20の乾燥が完了するまで行えばよい。
【0032】また、前記実施形態においては、抄紙型33を用いて抄紙及び脱水を行ったが、これに代えて抄紙後の成形体10を抄紙型33から取り出し、取り出された成形体を別途用意した脱水型内に装填して、該脱水型内で脱水を行ってもよい。
【0033】また、前記実施形態においては二個で一組の割型を用いたが、三個以上で一組をなす割型を用いてもよい。また、前記実施形態においては、ボトル状の成形体を製造したが、成形体の形状はこれに限られず、本発明によれば様々な形状の成形体を製造することができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。尚、特に断らない限り「%」は重量%を表す。
【0035】〔実施例1〕図1に示す抄紙型を用いてボトル状のパルプモールド成形体を抄紙・脱水した。脱水前の湿潤状態の成形体の含水率は77%であった。脱水に際しては、抄紙型のキャビティ内に該キャビティ内の圧力が294kPa〔gage〕となるように220℃の過熱蒸気を吹き込み、2秒間脱水した。この時点での成形体の含水率は50%まで低下した。引き続き過熱蒸気の吹き込みを行いながら、吹き込み口から吹き込まれた過熱蒸気の一部を排気し、熱交換による加熱乾燥を8秒間行った。最終的に成形体の含水率は41%となった。また、成形体の外側の含水率は45%、内側の含水率は32%であった。
【0036】次いで、抄紙型を開き湿潤状態の成形体を取り出し、これを200℃に加熱された加熱型内に装填した。加熱型は抄紙型と同様の形状のキャビティを有するものである。加熱型内に装填された成形体内に弾性体からなる中空状の中子を挿入し、中子内に空気を圧力1.5MPaで圧入して成形体をキャビティ内面に押しつけ加熱乾燥させた。成形体が十分に乾燥したところで加熱型を開き、ボトル状の成形体を取り出した。得られた成形体の絶乾重量は35g、高さは240mm、胴部径は80mmであった。
【0037】〔実施例2〜4〕実施例1で用いた過熱蒸気をキャビティ内の圧力が98kPa〔gage〕(実施例2)、196kPa〔gage〕(実施例3)となるように吹き込み、2秒間脱水した。この時点での成形体の含水率は61%(実施例2)、52%(実施例3)まで低下した。また、実施例1で用いた過熱蒸気に代えて、170℃の過熱蒸気を、キャビティ内の圧力が294kPa〔gage〕となるように吹き込み、2秒間脱水した(実施例4)。この時点での成形体の含水率は52%まで低下した。
【0038】〔実施例5〕実施例1で用いた過熱蒸気に代えて、220℃の加熱圧搾空気を、キャビティ内の圧力が294kPa〔gage〕となるように吹き込み、2秒間脱水した。この時点での成形体の含水率は59%まで低下した。引き続き加熱圧搾空気の吹き込みを行いながら、吹き込み口から吹き込まれた加熱圧搾空気の一部を排気し、熱交換による加熱乾燥を8秒間行った。最終的に成形体の含水率は45%となった。また、成形体の外側の含水率は52%、内側の含水率は36%であった。これ以外は実施例1と同様にしてボトル状の成形体を得た。
【0039】〔実施例6及び7〕実施例5で用いた加熱圧搾空気をキャビティ内の圧力が196kPa〔gage〕となるように吹き込み、2秒間脱水した(実施例6)。この時点での成形体の含水率は61%まで低下した。また、実施例5で用いた加熱圧搾空気に代えて、30℃の加熱されていない圧搾空気を、キャビティ内の圧力が196kPa〔gage〕となるように吹き込み、2秒間脱水した(実施例7)。この時点での成形体の含水率は62%まで低下した。
【0040】〔比較例1〕実施例1で用いた過熱蒸気をキャビティ内の圧力が49kPa〔gage〕となるように吹き込み、2秒間脱水した。この時点での成形体の含水率は67%まで低下した。
【0041】〔比較例2〕実施例1で用いた過熱蒸気に代えて、220℃の加熱圧搾空気を、キャビティ内の圧力が98kPa〔gage〕となるように吹き込み、2秒間脱水した。この時点での成形体の含水率は66%まで低下した。
【0042】〔比較例3〜5〕実施例1で用いた過熱蒸気に代えて、弾性体からなる袋状の中子を用いた。該中子を成形体内に挿入した後、該中子内に30℃の圧搾空気(490kPa)を供給し、該中子を膨張させ、膨張した該中子によって成形体を2秒間加圧脱水した(比較例3)。この時点での成形体の含水率は70〜75%まで低下した。また、比較例3において、加圧脱水時間を2秒に代えて10秒(比較例4)、及び30秒(比較例5)とした。この時点での成形体の含水率は63%(比較例4)及び60%(比較例5)までそれぞれ低下した。
【0043】
【発明の効果】本発明のパルプモールド成形体の製造方法によれば、湿潤状態の成形体を効率よく脱水・乾燥させることができる。脱水は熱交換を主としないことからエネルギー的に有利であり、また極めて短時間に行われることから製造時間を短縮できる。更に、吹き込む圧力が比較的低いことから、成形体の表面にネットの跡が残りにくくなり、その外観が良好となる。特に、キャビティ内へ過熱蒸気又は加熱された若しくは加熱されていない圧搾空気を吹き込みパルプモールド成形体を脱水した後、該吹き込みを継続しながら、吹き込まれた過熱蒸気若しくは加熱された圧搾空気を、該吹き込みの吹き込み口から排気するか、又は加熱されていない圧搾空気と切り替えて加熱された圧搾空気を吹き込みながら排気することで、成形体の内表面から外表面に向かって含水率が漸増し、成形体の転写性が一層良好となると共に熱交換が促進されて加熱乾燥効率が向上する。




 

 


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