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発明の名称 ポリトリメチレンテレフタレートW断面糸
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−316943(P2001−316943A)
公開日 平成13年11月16日(2001.11.16)
出願番号 特願2000−139454(P2000−139454)
出願日 平成12年5月12日(2000.5.12)
代理人 【識別番号】100103436
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 英夫 (外3名)
【テーマコード(参考)】
4L035
4L045
【Fターム(参考)】
4L035 AA09 BB33 BB36 BB56 BB59 BB91 DD02 EE20 FF08 FF10 HH10 JJ05 
4L045 AA05 BA03 BA14 DA23
発明者 阿部 孝雄 / 小柳 正
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位から構成され、その極限粘度が0.8〜1.3のポリトリメチレンテレフタレートからなり、単糸の断面形状がW字状であり、以下に示す(1)〜(3)を満足することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレートW断面糸。
(1)W字状断面の開口角が100〜150度で且つ扁平度が2〜4(2)破断伸度=36〜60%(3)繊度変動値U%が2.0以下(但し、扁平度は単糸断面形状の外接長方形の長辺と短辺の比である。)
【請求項2】 ポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメントを製造するに際し、孔配列を冷却風方向に対し平行にすると共にW字の側面より冷却風が当たるよう穿孔した紡口を用いるポリトリメチレンテレフタレートW断面マルチフィラメントの製造法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリトリメチレンテレフタレートW字状断面糸及びその製造方法に関する。詳しくは、織物の緯糸に使用して、優れたストレッチ性能と良好な品位を発現することが可能なポリトリメチレンテレフタレートW字状断面糸及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート繊維(以下「PET繊維」と称す)は衣料用途に最も適した合成繊維として世界中で大量に生産されており、一大産業となっている。一方、ポリトリメチレンテレフタレート繊維(以下「PTT繊維」と称する)は古くから研究歴はあるが、従来は原料の一つであるトリメチレングリコールの価格が高く、未だ本格的工業生産に至っていない。ところが、近年このトリメチレングリコールの安価な製法が開発され、工業化の可能性が出てきた。PTT繊維はポリエステル繊維の良い点と、ナイロン繊維の良い点を併せ持つ画期的な繊維であるという期待が寄せられて、その特徴を生かして、衣料及びカーペットなどへの応用が検討されている。
【0003】PTT繊維は、(A)J.Polymer Science:PolymerPhisics Edition Vol.14 P263ー274(1976)及び、(B)Chemical Fibers International Vol.45,April(1995)110ー111、(C)特開昭52−5320号公報、(D)同58−104216号公報、(E)同52−8123号公報、(F)同52−8124号公報、(G)韓国特許第98051331号、(H)WO99/27168号公開パンフレット、等の先行文献に開示に知られている。
【0004】先行文献(A)及び(B)には、PTT繊維の応力ー伸長特性についての基本特性が開示され、PTT繊維が初期モジュラスが小さく且つ弾性回復性に優れており、衣料用途やカーペット用途などに適していることが示唆されている。また、先行技術(C)〜(H)には、PTT繊維のかかる特徴を更に改良すべく、熱に対する寸法安定性を良好にし、弾性回復性を一層向上させる方法が提案されている。これらの先行文献においては、そのほとんどがPTT繊維を得る製造方法として、2段階法で製造されている。その中でも、技術的には本発明に近似している(G)には以下の技術が開示されている。
【0005】即ち、固有粘度が0.55〜0.75であるPTTを紡糸速度4000m/分以下、冷却風温度20℃以下の条件に於いて紡糸した後、延伸する方法が記載されている。該文献では、固有粘度が低いPTTは100℃以上の延伸や仮撚加工時の熱に対して弱いことから、冷却風の温度を低温にして未延伸糸の結晶化をすすめることにより、延伸時の糸切れを改善する方法が開示されている。しかし、該文献はじめ(A)〜(H)の先行文献には、本発明の対象とするW字状断面糸や、それを織物の緯糸に使用した際の品質については、全く記載されておらず、示唆もされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、織物の緯糸に使用して、優れたストレッチ性能と良好な品位を発現することが可能なポリトリメチレンテレフタレートW字状断面糸及びその製造方法を提供することを課題とする。織物にストレッチ性を付与する方法として、PET繊維を撚りまたは仮撚加工して、これを緯糸に使用する方法が採用されている。PTTにも同様な加工を施すことが考えられるが、これらの方法により得られる織物は、表面の風合いにザラツキ感が生じ、衣服の裏地の重要な要求性能である平滑性を損なうという欠点を有していた。更に、撚糸または仮撚加工糸を製造するのに経費が掛かり経済的にも不利である。従って、撚りまたは仮撚加工を施すことなく、織物の緯糸に使用してストレッチ性を発現する繊維の出現が求められていた。
【0007】一方、PTT繊維は先に挙げた文献等の記載より、伸長回復性に優る性質からみて織物の緯糸に使用することが考えられる。しかし、単にPTT繊維を緯糸に使用しても、ストレッチ性がほとんど発現しない。その理由は明らかではないが、PTT繊維の表面平滑性が低いために織物組織中で繊維が拘束される故と推定される。しかも、織物の緯糸はヒケや斑などの品位欠点が生じ易く、公知のPTT繊維では工業的な水準で織物の緯糸に使用できないという問題があった。従って、撚りや仮撚などの加工を施すことなく、織物の緯糸に使用して、優れたストレッチ性能と良好な品位を発現することが可能なPTT繊維の出現が強く求められていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、PTT繊維のの断面を特殊なW字状断面とすることにより、上記課題が解決できることを見出し本発明を完成するに至った。即ち本発明は、95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位から構成され、その極限粘度が0.8〜1.3のポリトリメチレンテレフタレートからなり、単糸の断面形状がW字状であり、以下に示す(1)〜(3)を満足することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレートW断面糸、である。
(1)W字状断面の開口角が100〜150度で且つ扁平度が2〜4(2)破断伸度=36〜60%(3)繊度変動値U%が2.0以下(但し、扁平度は単糸断面形状の外接長方形の長辺と短辺の比である。)
【0009】本発明に用いるポリトリメチレンテレフタレートは、95モル%以上がトリメチレンテレフタレートの繰り返し単位からなることが必要である。好ましくは97モル%以上であり、最も好ましくは、100%のポリトリメチレンテレフタレートが用いられる。本発明のPTTマルチフィラメントは、各フィラメントの断面形状が開口角が100〜150度かつ扁平度2〜4のW字状断面であることが必要である。開口角度とは、図1に示す様にW字状断面の下部凹部に接線を引き、その間の角度をいう。また、扁平度とは、図1に示す様にW字状断面フィラメントを外接する長方形を描き、その長辺Hを短辺Lで割った値である。
【0010】本発明では、W字状断面の扁平度がこの極めて限られた範囲を有する場合にのみ、当該PTTマルチフィラメントを製織すると、織物組織中の経糸を構成する各フィラメントが一定方向に規則的に並ぶことを見出した。この様子を模式的に第2図に示す。即ち、マルチフィラメントのほとんどがW字状断面の凹凸にうまく重なりあって、最密充填されあたかも“レンガ積み形態”となっている。織物のこうした“レンガ積み形態”は、その後の精練や染色仕上げ加工工程を経てもその形態が崩れることはなく、最終製品まで保持されている。この特徴的な組織形態によって、織物組織の交錯点のフィラメントが最密充填され、ソフトな風合いを発現するものと推測される。また、この形態によりマルチフィラメントの曲げ応力が低下しクリンプが大きくなるため、ストレッチ性が発現すると考えられる。
【0011】本発明に特定するW字状断面の扁平度と単糸デニールがこの極めて限られた範囲を有する場合にのみ、製織織物組織中の経糸が“レンガ積み形態”を構成する理由は明らかではないが、おそらく製織中の経糸張力と織機のおさの上下運動力がマルチフィラメント中のフィラメントの再配列を可能にするのに偶然合致していたためと推定される。扁平度が2未満では、フィラメントの重なりが“レンガ積み形態”とならず、風合いが従来の丸断面に近くなり、本発明の目的が達成されない。扁平度が4を越えると、製糸の段階で紡糸の安定性が不良となる。好ましい扁平度は、2〜3の範囲である。
【0012】本発明では、W字状断面の各凹部の開口角度が100〜150度であることが必要である。好ましくは110〜140度である。開き角度は、断面形状の鋭利さを意味し、角度が小さい程断面が鋭利であり、角度が大きい程鈍である。開口角度が100度未満、150度を超えると“レンガ積み形態”を形成しにくくなり、本発明の目的が達成されない。本発明では破断伸度が36〜60%であることが必要である。伸度が36%未満では糸切れ、毛羽が多発し工業的な生産は困難である。また、伸度が60%超えると延伸斑による染め斑が発生しやすくなると共に強度が低下するため布帛の用途が制限される。よって、好ましい破断伸度は40〜55%の範囲である。
【0013】本発明のW字状断面マルチフィラメントの繊度変動値U%は、2%以下であることが必要である。また、好ましい範囲は1.5%以下である。衣料用に用いられる公知の丸断面や三角断面の場合の繊度変動値U%は、通常は1.5%以下と小さい値を示すのが普通である。しかし、本発明の如きW字状断面形状のマルチフィラメントになると、繊度変動値U%を小さくすることが極めて困難となる。繊度変動値U%が約2%以上と大きくなると、布帛にした際の染め斑欠点や布帛を加工する際のフィラメント切れなどの欠点を生じる。
【0014】これに対し、本発明のW字状断面マルチフィラメントの繊度変動値U%は、2%以下と小さく、染めの均一性やフィラメント切れが少ないなど、極めて均一性に優れているのが特徴である。このU%を得るためには図3に示すように、紡口の孔配列を冷却風方向に対し平行にすると共にW字型孔の真横から冷却風が当たるよう穿孔した紡口を使用することが必要である。孔配列が冷却風方向にランダムであったり、W字型孔の真横以外に冷却風が当たるよう穿孔された紡口では均一なW形状が得られず繊度変動値U%が悪化する。
【0015】本発明のポリトリメチレンテレフタレート異型断面マルチフィラメントは、発明の目的を損なわない範囲で仮撚加工やタスラン(登録商標)加工などを施して使用しても良い。本発明のポリトリメチレンテレフタレート異型断面マルチフィラメントを、織物に使用する際は無撚のままでも良いし、本発明の目的を損なわない範囲で撚りを加えても良い。好ましくは、約300T/m以下の撚りを加えて使用するのが良い。また、他のマルチフィラメントと混繊して用いることも可能である。織物の経糸のみに使用しても効果がえられるが、経糸緯糸両方に用いれば一層優れた効果が得られる。布帛の組織は、特に限定されないが、タフタ,サテン,カルゼなどの組織が好ましい。
【0016】
【実施例】以下に、本発明のポリトリメチレンテレフタレート異型断面マルチフィラメントを製造する方法を述べる。本発明のポリトリメチレンテレフタレート異型断面マルチフィラメントは、公知の溶融紡糸装置を用い、使用するポリトリメチレンテレフタレートの重合度を高める方法や、紡口直下を急冷する方法、または紡糸ドラフトを大きくする方法などが採用される。本発明のポリトリメチレンテレフタレート異型断面マルチフィラメントの製造は、これらのいずれかか、もしくはその組み合わせを採用しても良い。具体的には、ポリトリメチレンテレフタレートの重合度は、固有粘度[η]が0.8〜1.3のポリマーを用いる。また、冷却方法は断面の形状を適性範囲に保つため紡口下70〜120mmの位置を層流の冷却風で円周または、片側から糸条に当てて冷却する。冷却されたマルチフィラメントは、一旦未延伸糸として巻き取った後、通常の延伸を行っても良く、または、一旦巻き取ることなく連続して延伸を行う、すなわちスピンドロー法を採用しても良い。
【0017】例えば、極限粘度[η]=1.0とし、紡口直下100mmの位置を層流の冷却風で0.5m/秒の速度で糸条を冷却し、引き取り速度1500m/分で紡糸する。紡糸した未延伸糸を一旦巻き取り、次の工程で約2.2倍の延伸を行って本発明のマルチフィラメントを得る。以下、実施例をもって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例における物性値及び織物の評価は以下の方法によって行った。
【0018】[極限粘度]極限粘度[η]は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/CC→0定義中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒に溶解したPTTポリマーの稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで現されるポリマー濃度である。
【0019】[ストレッチ性]経糸に56dtex/24fのPET長繊維丸断面糸を用い、緯糸に実施例及び比較例の糸を用い、経糸密度120本/インチ、緯糸密度100本/インチ、製織後の織物幅136cmの平織物を製織した。上記で得られた生機織物をピンテンター型熱処理機で製織後の織物幅に対し24%の幅入れ率で180℃×30秒の熱処理を行い、引き続きオープンソーパー型の連続精錬機によって精錬乾燥をおこなう。次に液流型染色機を用いて110℃で30分間染色をおこない引き続き液流染色機で80℃×10分間の還元洗浄を実施した。次に還元洗浄後の染色布を仕上げ乾燥−仕上げセットに供し製品とし、製品の織物幅を105cmとした。得られた織物の緯方向ストレッチ率はカトーテック(株)製;KES−FB1機を用いて500g/cm応力で測定した。
【0020】[ソフト性:B値]標準状態(温度±2℃、相対湿度65%±2%)の試験室中で布帛の風合い評価に関する力学特性試験法(KES法)に基づく、曲げ特性B値をソフト性を示す値とした。試験機は、純曲げ試験機(KESーFB2;カトーテック(株)製)を用いた。B値は単位長さ当たりの曲げ弾性(cN・cm/cm)を経方向と緯方向の平均値で表す。本実施例では、この値が0.05(cN・cm/cm)以下であることが好ましい。0.04(cN・cm/cm)以下であれば、優れたソフト性を示すといえる。
[総合評価]ベテランの加工技術者3名で、布帛の風合いと染めの均一性の評価を行った。最もソフト性と染めの均一性に優れているものを◎、優れているものを○、やや劣るものを△、劣るものを×とした。
【0021】
【実施例1〜3、比較例1〜3】酸化チタンを0.5重量%含有する極限粘度[η]=1.0(オルソクロロフェノール中、1重量%で測定)のポリトリメチレンテレフタレートを、W型に穿孔された紡糸孔を第1表に示す孔数を有する紡口より、紡糸温度265℃で押し出した。紡口面下方100mmの位置から温度20℃、湿度65%の冷却風を0.5m/秒の速さで水平方向より吹き出し、冷却を行った。油剤を付与した後、紡糸速度1500m/分で引き取り未延伸とした。この未延伸糸を、一旦巻き取り、次工程で2.0倍〜2.3倍に延伸し、第1表に示すような総デニールとフィラメント数を有するマルチフィラメントを得た。各実施例の扁平度,開口角度および単糸繊度を第1表に示す。
【0022】得られたマルチフィラメントの扁平度および開口角度はフィラメントをパラフィンで包埋し、ミクロトームでフィラメントの断面切片を切り出し、当該切片を光学顕微鏡にて倍率200倍で観察し、フィラメント断面写真を撮影し、3倍に引き延ばして測定した。扁平度については、前述の通りフィラメントのW字状断面を外接する長方形を描き、この長方形の長辺Lを短辺Hで割った値とし、また開口角度については、前述の通り、W字状断面の下部凹部の両端から引き出し線を出し、その角度を分度器で測定し、それぞれ5点について測定した平均値で示した。
【0023】これらのマルチフィラメントを、経糸のみ250回/mの甘撚りをかけ、経緯100%の平織物とした。得られた織物の性能を第1表に示す。なお、比較例1にはW字状断面であるが形状がクレームの範囲と異なる場合、比較例2には断面が丸の場合、比較例3には実施例1と同様のW字状断面でポリマーがポリエチレンテレフタレートの例を示す。本実施例から明らかなように、本発明のPTTW断面糸において、優れたストレッチ性、またソフトな風合いを示す。
【0024】
【表1】

【0025】
【発明の効果】本発明の特殊なW字状断面のポリトリメチレンテレフタレート異型断面マルチフィラメントを用いた編織物は、ストレッチ性に優れかつソフトな風合いを同時に満足することが可能となる。また、単糸繊度の変動率を2%以下とすることにより染めの均一性を得ることができる。




 

 


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