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発明の名称 ポリヘキサメチレンアジパミド繊維及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−279525(P2001−279525A)
公開日 平成13年10月10日(2001.10.10)
出願番号 特願2000−87236(P2000−87236)
出願日 平成12年3月27日(2000.3.27)
代理人 【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬 (外2名)
【テーマコード(参考)】
4L035
4L036
【Fターム(参考)】
4L035 BB33 BB36 BB91 CC02 EE08 EE20 FF01 HH10 
4L036 MA06 UA07
発明者 榎 政人
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 蟻酸相対粘度が50〜150であり、かつ、初期モジュラスが22〜34cN/dtex、伸度4%時の強度が0.9〜2.6cN/dtexの物性を有するポリヘキサメチレンアジパミド繊維。
【請求項2】 ポリヘキサメチレンアジパミドを溶融紡出し、冷却固化した後、糸条をロール温度60℃以上、速度3000m/分以上で引き取り、直接3.0倍以下の延伸倍率で熱延伸し、直ちに熱セットしながら巻き取りを行う事を特徴とする請求項1記載のポリヘキサメチレンアジパミド繊維の製造方法。
【請求項3】 蟻酸相対粘度が50〜150のポリヘキサメチレンアジパミドからなり、かつ、ゴム加硫後に、強度が3.5cN/dtex以上、6.6cN/dtex未満、初期モジュラスが21〜35cN/dtexの物性を有するゴム補強用コード。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム補強用繊維として用いた場合、加硫成形品の製品歪みを抑制すると同時に、使用変形時の製品歪み抑制に対し有用なポリヘキサメチレンアジパミド繊維とその製造方法、およびゴム補強用コードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、強度、耐熱性、柔軟性、接着性等に優れているため、各種産業資材用用途、例えば、タイヤコード、タイミングベルト等のゴム補強用繊維、さらには、エアバッグ用基布、漁網、スポーツウェアー、縫糸等に広く使用されている。
【0003】ゴム補強用繊維として用いられる場合は、加硫成型加工工程において、ゴム、ゴム補強用繊維、およびその他の素材を用い、成形金型に圧力と温度を加え、製品形状を成形する。その際、補強用繊維の剛性が高いと、設計した通りの製品形状が得られ難い。そのため補強用繊維の柔軟性、つまり初期モジュラスの低い繊維が要求されている。一方、使用時においては、補強用繊維の剛性が低いと、応力や発熱による熱膨張により製品歪みが発生し、製品機能が低下する。そのため使用時の補強用繊維の剛性向上が要求されている。つまり、加工時には初期モジュラスが低く、使用時、つまり加硫後には初期モジュラスが高い糸が要求されている。
【0004】これまで、繊維の柔軟性を向上させる方法として、例えば、特開昭53−90420号公報、特開昭53−134922号公報に、単糸フィラメントの繊度を細くする事により柔軟性を向上させる方法が開示されている。ところが、このような繊度の変更では、耐摩耗性、耐疲労性等の製品性能の変化、および毛羽等による加工効率の低下という問題があった。
【0005】このため、ポリマー改質により、繊維自体の柔軟性向上および熱収縮率向上の検討がなされてきた。例えば、特開平7−189029号公報には、ポリヘキサメチレンアジパミドにε−カプロラクタムを配合し重合する事により、ポリヘキサメチレンアジパミド繊維の柔軟性および熱収縮性を向上させる方法が開示されている。しかしながら、充分な柔軟性および収縮性を得るためには、かなりのポリマー改質が必要であり、そのため、ポリヘキサメチレンアジパミドの特徴である耐熱性、耐疲労性等の低下が激しくなる問題が生じる。
【0006】一方、使用時の繊維モジュラスを上げるため、通常、製糸段階での延伸比を上げることにより分子配向を上げる方法が一般的に知られているが、この方法では初期モジュラスも高くなってしまうという問題が生じる。上記のような問題を解決するために、これまで数多くの提案がなされてきたが、未だ、加硫成型工程における製品歪みを抑制する為の十分な柔軟性と、使用時の製品歪みを抑制するための剛性とを同時に満足する繊維は得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、加工成型時には柔軟性が高く、使用時には剛性が高いポリヘキサメチレンアジパミド繊維、及びゴム補強用コードを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討の結果、本発明をなすに至った。即ち、本発明は下記の通りである。
(1)蟻酸相対粘度が50〜150であり、かつ、初期モジュラスが22〜34cN/dtex、伸度4%時の強度が0.9〜2.6cN/dtexの物性を有するポリヘキサメチレンアジパミド繊維。
【0009】(2)ポリヘキサメチレンアジパミドを溶融紡出し、冷却固化した後、糸条をロール温度60℃以上、速度3000m/分以上で引き取り、直接3.0倍以下の延伸倍率で熱延伸し、直ちに熱セットしながら巻き取りを行う事を特徴とする上記1記載のポリヘキサメチレンアジパミド繊維の製造方法。
(3)蟻酸相対粘度が50〜150のポリヘキサメチレンアジパミドからなり、かつ、ゴム加硫後に、強度が3.5cN/dtex以上、6.6cN/dtex未満、初期モジュラスが21〜35cN/dtexの物性を有するゴム補強用コード。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いられるポリヘキサメチレンアジパミドは、下記の繰り返し単位を主体とするものである。
[ −(CO(CH2 4 CO)(NH(CH2 6 NH)−]ポリヘキサメチレンアジパミド繊維の耐熱性、耐疲労性能を低下させない範囲で、ポリヘキサメチレンアジパミドに、他のアミド形成単位を5wt%以下添加して変性したポリヘキサメチレンアジパミドも用いる事ができる。このようなアミド形成単位としては、セバシン酸、ドデカン酸等の脂肪酸ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;デカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;メタキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン;ε−カプロン酸等のω−アミノ酸;カプロラクタム、ラウリンラクタム等のラクタム類などが挙げられる。また、上記ポリヘキサメチレンアジパミドに10wt%以下の範囲でポリカプラミド、ポリヘキサメチレンセバカミド等、他種のポリアミドを配合したものを用いることもできる。
【0011】更に、上記のポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、ポリアミドに対して通常用いられる添加剤、たとえば、酢酸銅、塩化銅、よう化銅、メルカプトベンズイミダゾール等の熱安定剤、乳酸マンガン、次亜リン酸マンガン等の光安定剤、リン酸、フェニルフォスフォン酸、ピロリン酸ナトリウム等の増粘剤、二酸化チタン、二酸化ケイ素、カオリン等の艶消剤、エチレンビスステアリルアミド、ステアリン酸カルシウム等の滑剤、可塑剤等を含んでいても良い。
【0012】本発明に用いられるポリヘキサメチレンアジパミドは、蟻酸相対粘度が50〜150である。蟻酸相対粘度が50未満の場合は、強度の高い原糸を製造するためには、それだけ高延伸を行う必要があり、高延伸による毛羽が発生しやすくなり、加工工程での性能が低下するのみならず、さらには初期モジュラスが増大する。蟻酸相対粘度を上げると、吐出ポリマーの溶解粘度が上昇し、その結果ポリマー吐出の均一性が低下する傾向があり、そのため、溶融温度を高くしたり、加熱筒を付けたりして溶融粘度を抑制する必要がある。従って、蟻酸相対粘度が150を越えると、適性な吐出溶融粘度を得るためにはさらに溶融温度を高くする必要があり、その結果、吐出ポリマーの劣化による生産収率の低下が生じるという現象がみられる。
【0013】なお、ここでいう蟻酸相対粘度とは、90%蟻酸のポリマー濃度8.4wt%溶液の25℃における溶液相対粘度である。本発明のポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、初期モジュラスが22〜34cN/dtexの範囲である。初期モジュラスが34cN/dtexより大きくても製品成形は可能であるが、加工成形時の製品欠点発生の主因の一つになると考えられている。また、初期モジュラスが22cN/dtex未満の場合は、補強材としての機能に影響を与え、商品性能自体の低下を生じる。
【0014】また、伸度4%時の強度は0.9〜2.6cN/dtexの範囲である。ゴム補強用コードとして用いる場合、通常、ゴム加硫成型時の圧力により補強材は1〜5%程度伸張される。そのため、加硫後または使用後の補強材の剛性は、伸度4%時の強度に依存している。伸度4%時の強度が0.9cN/dtex未満では、使用時の製品形状の寸法安定性に問題が発生する。また、伸度4%時の強度が2.6cN/dtexを越えると、初期モジュラスが高くなりすぎ、加硫成型時の製品歪みという問題が発生する。
【0015】次に、本発明のポリヘキサメチレンアジパミド繊維を製造する方法について説明する。装置としては、例えば図1に示すような紡糸装置を用いることができる。引き取りロール(1ゴデットロール)にて走行糸条を引き取り、続いて、直接延伸ロール(2,3,4ゴデットロール)にて延伸熱処理を行う。引き取り速度は3000m/分以上である。ポリヘキサメチレンアジパミドは、配向による結晶化が進みやすく、この結晶性が伸度4%時の繊維の強度物性に関与している。引き取り速度が3000m/分未満の場合は、引き取りロール前の配向度が低くなり、繊維の分子配向による結晶化が不充分となり、目標とする伸度4%時の強度が得られない。なお、引き取り速度の上限は、紡糸装置の性能により自ずから決まる。
【0016】引き取りロール温度は60℃以上である。上述したように、本発明においては、引き取りロール前に配向による結晶化を促進させているため、このまま熱延伸すると毛羽が発生し生産効率が低下する。そのため、延伸前に、配向を緩和させる必要がある。引き取りロール温度が60℃未満では、延伸工程において均一な延伸ができず、均一糸条の製造および生産収率が満足に達成できないという問題が生じる。ロール温度の上限は、延伸性及び得られる繊維の物性を考慮すると、80℃以下が好ましい。
【0017】延伸工程における延伸倍率は3.0倍以下である。延伸倍率が3.0倍より大きいと、繊維の非晶および結晶部トータルの配向度が上がり、目標とする初期モジュラスより大きくなる。本発明では、熱延伸後、直ちに熱セットしながら巻き取りを行う。熱セット温度は、200℃以上、ポリマー融点以下であることが好ましい。熱セットロール温度が、200℃未満の場合、巻き取り時に繊維の放縮により糸条巻取時に締まりが発生し、生産安定性が低下する傾向がある。
【0018】本発明のポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、ゴム製品、例えば自動車タイヤ等に埋め込んで補強するためのゴム補強用コードとして有用である。コードとは、ポリヘキサメチレンアジパミド繊維1本ずつに下撚りを加え、さらに、それを2または3本合わせて上撚りを施したものである。撚数とは、コード1m当たりの撚りの回数であり、本発明においては特に限定されるものではない。なお、撚り方向は、S方向でもZ方向でもよい。
【0019】ゴム加硫とは、コードをレゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス液に含浸させ、張力を加えながら熱処理をおこなった後、該熱処理コードをゴム中に埋め込み、圧力と温度を加えてゴムを加硫する工程である。加硫後のコードの初期モジュラスは21〜35cN/dtexの範囲である。21cN/dtex未満では、製品の補強材機能が低下する。また、35cN/dtexを越えると、加工成形時の製品欠点発生の主因の一つとなる。
【0020】加硫後のコードの強度は3.5cN/dtex以上、6.6cN/dtex未満の範囲である。3.5cN/dtexより小さいと、補強材機能に影響を与え製品性能自体の低下を生じる。また、6.6cN/dtex以上では、初期モジュラスが大きくなり、加硫成型工程における製品歪みを抑制する為の柔軟性が低下する。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、物性値は下記の方法により測定した。また、測定に供する試料の調製は次のように行った。ポリヘキサメチレンアジパミド繊維の原糸1本ずつに撚を加え、下撚りコードを作製する。続いて該下撚りコード2本を合わせて上撚りを加え生コードを作った。この生コードを、3オーブンホットストレッチ装置にてレゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス液の処理を実施し、処理コードを得た。この処理コードをゴム中に埋め込み140℃×40分の加硫条件で加硫し、グッドイヤーチューブ試験に使われるチューブ(JIS L−10173に準じた) を作成した。
【0022】(1) 強度、伸度、初期モジュラス、伸度4%時の強度島津製作所製オートグラフS−100Cを用い、80回/mの撚りを加えた糸長25cmの糸条に対し、降下速度30cm/分にて測定した。
(2) 加硫後のコードの強度、初期モジュラス上記の加硫されたチューブからコードを取り出し、該コードの強伸度物性を上記方法にて測定した。
【0023】(3) 曲げ変形量上記により作成された加硫チューブを、130℃のオーブン中で水平に設置し、チューブの端から10mmの箇所に500gの荷重をかけ、そのときのチューブの曲げ変形量(mm)を測定した。曲げ変形量は使用時の形状安定性の尺度とみなせる。
【0024】(4)加硫成形性上記のチューブを加硫する際、生チューブ外形より1.2倍大きい金型にて、チューブ内部より所定の空気圧を加えて成形し、成形後のチューブの形状を観察して評価した。評価結果は、きわめて良好:◎、良好:○、不良:×、で表した。
【0025】〔実施例1〜3、比較例1〜4〕常法の重合方法にて、蟻酸相対粘度80のポリヘキサメチレンアジパミドを得た後、図1に示すエクストルーダー型紡糸機で紡出し、直ちに表1に示す条件で延伸、巻き取りを行った。得られた繊維および加硫後のコードの物性を表2に示し、ゴム製品を補強した場合の曲げ変形量、加硫成形性を表3に示す。
【0026】表3に示すように、本発明のポリヘキサメチレンアジパミド繊維のゴム補強用コードを用いた場合は、加硫成形時の形状安定性がよく、高温時の製品形状安定性が良い(曲げ変形量が少ない)。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
【表3】

【0030】
【発明の効果】本発明のポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、初期モジュラスが低く、伸度4%時の強度が高いので、タイヤ、ベルト等のゴム補強用コードとして用いた場合、加工成型時における優れた加工容易性を有し、かつ使用変形時の優れた形状安定性を有する製品となる。




 

 


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