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発明の名称 インク吸収剤
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−253162(P2001−253162A)
公開日 平成13年9月18日(2001.9.18)
出願番号 特願2000−66739(P2000−66739)
出願日 平成12年3月10日(2000.3.10)
代理人
発明者 宮本 郁也 / 佐藤 静司 / 清水 正
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 水溶性インクであるアシッドレッド18の10重量%D2O溶液とインク吸収剤を2:1の重量比で混合して得られる混合物のプロトンNMRのスピン-スピン緩和時間を30℃でCPMG法によって測定し、得られた磁化MtとCPMGパルスシーケンスにおける90゜パルス照射直後からの経過時間待ち時間tの相関を、(1)式により最適化計算して得られる拘束度パラメーターχが0.1以上であることを特徴とするインク吸収剤。
t=M0[χexp(−t/T2short)+(1-χ)exp(−t/T2long)] (1)
(ここで、T2short、T2long、χはそれぞれ、最適化計算によって得られるスピンスピン緩和時間の短い成分、スピンスピン緩和時間の長い成分(T2short <T2long)、及び拘束度パラメーター(2成分中のT2shortを有するプロトン成分のモル分率)である。)
【請求項2】 酸強度函数H0=+4.0までの酸量(A4)が0.05mmol/g以下であり、かつ酸強度函数H0=+4.8までの酸量(A4.8)が、0.1mmol/g以下であることを特徴とする請求項1記載のインク吸収剤。
【請求項3】 請求項1または2記載のインク吸収剤がメソポーラスシリカであることを特徴とする請求項1または2記載のインク吸収剤。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のインク吸収剤とバインダーを含有することを特徴とするインク受容体。
【請求項5】 請求項4に記載のインク受容体と溶剤とを含有することを特徴とするインク受容体スラリー。
【請求項6】 請求項5に記載のインク受容体スラリーから得られることを特徴とする記録シート。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット用記録シート等に用いられるインク吸収剤、インク受容体、インク受容体スラリー、及びその記録シートに関する。
【0002】
【従来の技術】インターネットやデジタルカメラの普及により、高品位なフルカラー画像を紙等に出力する機会が増えてきた。インクジェット方式によるプリンターは、フルカラー化が容易であり、低コストで騒音が少ないなどの特長を持つことから、これらの画像の出力機器として、急速に普及しつつある。インクジェット方式は、ノズルからインク液滴を高速で射出し、被記録材に付着させて記録する方式である。インク中に多量の溶媒をふくみ、インク液滴が連続的に射出されるため、記録シート上でインク液滴同士が互いに融合し、ドットが広がる、色が混ざるなどの不具合が生じやすい。このため、インクジェット記録シートは、速やかにインクを吸収し、ドットが重なってもインクが混ざらず、ドット滲みがないこと、高い光学濃度等が要求される。また同時に得られた記録画像の耐光性、耐水性も要求される。
【0003】このような観点から、インクジェットの記録シートとして、種々の有機物や無機物を、必要に応じバインダーとともに基材に塗布あるいは内填することが提案されている。例えば、紙、プラスチックフィルムなどの上に、ポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂からなるインク受容層を設けた記録シート、あるいはシリカゲル等の充填材を含有したインク受容層を設けた記録シートが知られている。例えば、特開昭62−158084号公報には合成微粒シリカを用い、光沢感があり、高いインク色濃度を有するインクジェット用記録媒体が開示されている。
【0004】また、特開平1−259982号公報には、白色顔料としてカルシウム、マグネシウムで表面処理した微粒子シリカを用いることを特徴とするインクジェット記録用紙が、特開平2−276670号公報には主として疑ベーマイトをインク受容層として用いるインクジェット記録用紙が開示されている。しかし、光学濃度、耐水性、耐光性全てを同時に十分満足できるものは得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光学濃度が高く、耐水性、耐光性に優れた記録シート用のインク吸収剤、インク受容体、インク受容体スラリーを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、インク吸収剤のインク色素分子を拘束する程度を示す拘束度パラメーターに着目し、その拘束度パラメーターが一定の範囲に存在するインク吸収剤を含有する記録シートは、印字の際の光学濃度が高く、かつ耐水性、耐光性に優れることを見出した。さらにインク吸収剤がシリカなどの固体酸である場合、その酸強度、及び酸量を一定の範囲に限定することによって上記物性が著しく向上することを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は、以下の通りである。
1,水溶性インクであるアシッドレッド18の10重量%D2O溶液とインク吸収剤を2:1の重量比で混合して得られる混合物のプロトンNMRのスピン-スピン緩和時間を30℃でCPMG法によって測定し、得られた磁化MtとCPMGパルスシーケンスにおける90゜パルス照射直後からの経過時間待ち時間tの相関を、(1)式により最適化計算して得られる拘束度パラメーターχが0.1以上であることを特徴とするインク吸収剤。
t=M0[χexp(−t/T2short)+(1-χ)exp(−t/T2long)] (1)
(ここで、T2short、T2long、χはそれぞれ、最適化計算によって得られるスピンスピン緩和時間の短い成分、スピンスピン緩和時間の長い成分(T2short <T2long)、及び拘束度パラメーター(2成分中のT2shortを有するプロトン成分のモル分率)である。)
【0007】2,酸強度函数H0=+4.0までの酸量(A4)が0.05mmol/g以下であり、かつ酸強度函数H0=+4.8までの酸量(A4.8)が、0.1mmol/g以下であることを特徴とする1記載のインク吸収剤。
3,1または2記載のインク吸収剤がメソポーラスシリカであることを特徴とする1または2記載のインク吸収剤。
4,1〜3のいずれかに記載のインク吸収剤とバインダーを含有することを特徴とするインク受容体。
5,4に記載のインク受容体と溶剤とを含有することを特徴とするインク受容体スラリー。
6,5記載のインク受容体スラリーから得られることを特徴とする記録シートに関する。
【0008】以下に本発明を詳細に説明する。本発明のインク吸収剤は、核磁気共鳴スペクトル(NMR)緩和時間測定によって得られる拘束度パラメーターχが0.1以上を示すことを特徴とする。即ち、インク吸収剤の拘束度パラメーターχが0.1以上の場合に光学濃度が高く、耐水性、耐光性を同時に満足する優れたインク吸収剤となる。拘束度パラメーターは好ましくは、0.1〜0.3の範囲が良い。さらに好ましくは0.12〜0.18の範囲が良い。本発明のインク吸収剤は上記条件を満足すれば特に限定されるものではなく、ホワイトカーボンなどの有機物、無機物或いはその混合物など、あらゆるものを用いることができる。好ましくは、非晶質シリカ、メソポーラスシリカ、アルミナなどの無機多孔体及びその混合物が良い。
【0009】本発明のインク吸収剤の拘束度パラメーターは以下に示す通りの方法で算出する。本発明において、水溶性インクのアシッドレッド18は市販のものを使う。固体のアシッドレッド18を重水(D2O)に溶解する。その際のインク濃度は10wt%である。次にこのアシッドレッド18溶液が乾燥したインク吸収剤に対して重量比で2/1の割合で良く攪拌した後、密閉し、2時間放置後核磁気共鳴スペクトル(NMR)で測定する。インク吸収剤はその種類によって異なるが、含まれる水分が90%以上除去されていることが必要である。
【0010】インク中のプロトンのスピンスピン緩和時間は、30℃、Curr−Purr−Meiboom−Gill(CPMG)法 (Meiboom and Gill,Rev.Sci.Instrum.1958)を用い、JNM−Mu25 Pulse NMR spectrometer(JEOL Co.Ltd) で無回転、ロックをかけない状態で測定した。最適化計算は、磁化の緩和曲線、すなわち各々の待ち時間tに対応する磁化の実測値Mtobsと、下式Mt=M0[χexp(− t / T2short )+(1-χ)exp(−t/ T2long)]から求めた各々のtに対応する磁化Mtの計算値Mtcalの間の相関係数Rを評価関数として用い、R>0.999となるまで最適化計算を繰り返して3つの変数T2short、T2long、χの最適化計算する。ここで、M0 、Mt 2short、T2long、χはそれぞれ、時間t=0における磁化、CPMG法のパルスシーケンス中で90パルスを当ててから時間t経過した際の磁化、スピンスピン緩和時間の短い成分、スピンスピン緩和時間の長い成分、及び拘束度パラメーター(2成分中のT2shortを有するプロトン成分のモル分率)を表す。
【0011】最適化の数学的手法は特に制限はないが、例えばSimplex法(P.K.MacKeon and D.J.Newman、“ ComputationalTechniqes in Physics”,p124, IOP, Bristol,1987)などを用いる。アシッドレッド18を用いるNMR緩和時間測定から得られる拘束度パラメーターχが0.1以上を示すインク吸収剤は、市販のあらゆるインクを用いた印字試験において、光学濃度が高く、耐水性、耐光性に優れる。印字試験に用いるインク自体は公知のもので良く、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素などの水溶性染料などあらゆるものを用いることができる。例えば直接染料としてはC.I.Direct Black 17、19、32、51、71、108、146、C.I.Direct Blue 6、22、25、71、86、90、106、199C.I.Direct Red 1、4、17、28、83C.I.Direct Yellow 12、24、26、86、98、142C.I.Direct Orange 34、39、44、46、60C.I.Direct Violet 47,48C.I.Direct Brown 109C.I.Direct Green 59酸性染料としてはC.I.Acid Black 2、7、24、26、31、52、63、112、118C.I.Acid Blue 9、22、40、59、93、102、104、113、117、120、167、229、234C.I.Acid Red 1、6、18、32、37、51、52、80、85、87、92、94、115、180、256、315、317、C.I.Acid Yellow 11,17,23,25,29,42,61,71C.I.Acid Orange 7,19C.I.Acid Violet 49その他にはC.I.Basic Blue 1、3、5、7、9、24、25、26、28、29C.I.Basic Red 1、2、9、12、13、14、27C.I.Basic Black 1,2などである。
【0012】本発明において、酸強度函数H0=+4.0までの酸量(A4)が0.05mmol以下で、かつ酸強度函数H0=+4.8までの酸量(A4.8)が0.1mmol以下のインク吸収剤は、著しく光学濃度、耐水性、耐光性に優れる。上記酸強度関数H0=+4.0までの酸量(A4)、及び酸強度関数H0=+4.8までの酸量(A4.8)は、n-ブチルアミン滴定法(別名Johnson法)(参考文献:例えば「触媒」Vol.11,No.6,p.210−216(1969))に基づき決定する。
【0013】拘束度パラメーターが0.1以上の条件を満たし、酸強度函数H0=+4.0までの酸量(A4)が0.05mmol以下で、かつ酸強度函数H0=+4.8までの酸量(A4.8)が0.1mmol以下のインク吸収剤は光学濃度、耐水性、耐光性に優れるが、特に耐光性は従来のものに比べて飛躍的に向上する。ここで、酸強度函数H0=+4.8までの酸量が0.1mmol以下であっても、酸強度函数H0=+4.0までの酸量(A4)が0.05mmol以下でなければ上記性能は向上しない。また、酸強度函数H0=+4.0までの酸量(A4)が0.05mmol以下であっても、酸強度函数H0=+4.8までの酸量(A4.8)が0.1mmol以下でなければ上記性能は向上しない。
【0014】本発明では上記のごとくインク吸収剤の拘束度パラメーター、酸強度函数が一定条件にある場合に光学濃度、耐水性、耐光性に効果を示すことを特徴とするものであるが、メソポーラスシリカをインク吸収剤に用いた場合により効果を奏する。以下にメソポーラスシリカをインク吸収剤に用いた場合についてより具体的に説明する。
【0015】本発明におけるメソポーラスシリカとは、メソポア領域である1.5〜30nmに均一な平均孔径を有する無機多孔体であり、粉末X線回折で明らかに結晶性が認められるものである。メソポーラスシリカは、例えば、特表平5−503499号公報等に記載されているように、アモルファスシリカ粉末やアルカリシリケート水溶液をシリカ源とし、長鎖のアルキル基を有する4級アンモニウム塩、あるいはホスニウム塩をテンプレートとして用い、水熱合成により合成する方法することができる。別法としては、P.T.Tanevらの報文(Chem.Mater.Vol.8 P.2068−2079(1996))に記載されているように、シリカ源としてテトラエトキシシランなどのアルコキシドを用い、テンプレートとしてアルキルアミン等を用いる方法、あるいはD.Zhaoらの報文(J.Am.Chem.Soc.vol.120 P.6024(1998))に示されるように、酸性媒体中で非イオン性界面活性剤をテンプレートに用い、常温近傍でシリカ縮合反応を行わせた後、80℃で放置するという2段階反応による製法がある。
【0016】メソポーラスシリカの合成の際、反応温度、時間などを変化させることで拘束度パラメーターを0.1〜0.3の範囲に収めることができる。例えば、上記の酸性媒体で、テンプレートとして非イオン性界面活性剤を用いる製法の場合、2段階目の反応温度を高くすると拘束度パラメーターを上昇させることができる。好ましくは95℃以上が良い。80℃程度で反応させる場合でも、反応時間を48時間より長くすることで、拘束度パラメーターを0.1以上にすることができる。
【0017】またテンプレートのミセル形成補助剤の種類、量を変えることでも拘束度パラメーターを制御することができる。例えば、従来報告されているミセル形成補助剤よりも構造がバルキーな1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,3,5−トリブチルベンゼンなどを用いると拘束度パラメーターを0.1以上にすることができるが、使用できるミセル形成補助剤はこれらに限定されるものではない。1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,3,5−トリブチルベンゼンを用いる場合はミセル形成補助剤の量はテンプレートに対して重量比で1.0倍〜3.0倍程度であることが好まく、より好ましくは2.5〜3.0倍が良い。
【0018】また上記の好適な反応条件を組み合わせることで、拘束度パラメーターを0.12〜0.18というさらに好ましい範囲に制御することができる。これらの好適な反応条件はその他のメソポーラスシリカ合成方法にも適用可能である。別法として、得られたメソポーラスシリカにアミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基などのカチオン性の官能基を一部導入することによっても、拘束度パラメーターを制御することができる。導入の方法としては上記のカチオン性官能基を含む化合物をメソポーラスシリカに吸着させる方法、あるいはシランカップリング剤を用いてメソポーラスシリカのシラノール基に反応させることによって導入するなどの方法がある。
【0019】本発明のインク吸収剤はメソポーラス以外の物であっても温度条件、反応時間などの合成法の制御、あるいはカチオン性官能基の導入などによって拘束度パラメータを制御することが可能である。インク吸収剤にメソポーラスシリカを用いた場合、酸強度函数H0=+4.0までの酸量(A4)を0.05mmol以下、かつ酸強度函数H0=+4.8までの酸量(A4.8)を0.1mmol以下に制限するためには、メソポーラスシリカを合成する際に、アルカリ土類金属の金属塩等を添加して含有させる方法を取ることができる。
【0020】アルカリ土類金属の金属原子としては、カルシウム、マグネシウム、亜鉛が好ましい。アルカリ土類金属の金属原子の含有量は、酸化物基準でメソポーラスシリカ100重量部に対し、0.5〜20重量部、含有することが好ましく、より好ましくは1〜10重量部である。また、表面シラノール基密度を制限する方法、あるいはアルカリ金属、アルカリ土類金属で被覆処理するような方法が可能である。また拘束度パラメーター同様アミノ基やアミド基、4級アンモニウム塩基の適度な導入は、酸強度函数の制御にも有効である。
【0021】本発明のインク吸収剤はメソポーラスシリカ以外であってもアルカリ土類金属原子を含むことで酸強度函数の制御が可能である。アルカリ土類金属原子を含むインク吸収剤の調製方法は、特に限定されるものではない。例えば、インク吸収剤のスラリーと金属原子を含む溶液あるいはスラリーを混合し、沈着あるいは反応させる方法によって得ることができる。また、インク吸収剤のスラリーに金属塩等を直接添加し、沈着あるいは反応させる方法をとることもできる。
【0022】本発明におけるインク受容体とは、インク吸収剤とバインダーを含有することを特徴とする。本発明におけるバインダーは特に限定されるものではないが、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉、カルボキシメチル澱粉、シアノエチル化澱粉、カゼイン、アラビアゴム、トラガントゴム、デキストリン、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル/マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、水溶性アクリル樹脂などの水溶性バインダー、スチレン/ブタジエン共重合体ラテックスなどの水性ラテックス系バインダー、自己乳化型アクリル樹脂などの自己乳化型バインダー等であるがこれらに限定されるものではない。
【0023】インク受容体におけるバインダーの含有量はその種類によって変化するので特に限定されるものでは無いが、インク吸収剤100重量部に対して通常5〜300重量部の範囲で用いられる。また、本発明のインク受容体には顔料として、シリカゲル、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、カオリン、ゼオライト、アルミナなどを添加しても構わない。
【0024】本発明におけるインク受容体スラリーとは上記インク受容体と溶剤を含有することを特徴とする。インク受容体スラリーに用いる溶剤は、特に限定されるものではないが、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等の公知の各種有機溶剤や水が使用できる。インク受容体スラリー中のインク吸収剤の含有量は、コーティング方法や使用形態によって変動し、特に限定されるものではないが、5重量%以上の含有量が好ましく、より好ましくは10重量%以上を含有することが好ましい。
【0025】本発明における記録シートとは上記インク受容体スラリーを合成樹脂フィルムまたは紙などの基材の上にコーティングするか、あるいは内填することによって得る。合成樹脂フィルムとしては例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリ塩化ビニルなどを使用することができる。さらにこれらの共重合体、ブレンド物、架橋物、あるいは顔料を練りこんで不透明化したフィルム、発砲フィルム、光沢フィルムなどを用いることができる。上記基材の中でもポリエステル、好ましくはポリエチレンテレフタレートが機械的特性、作業性などの点から好ましい。
【0026】また、紙としては、例えば、上質紙、中質紙、アート紙、キャストコート紙、塗工紙、合成紙、樹脂被覆紙などが使用できる。合成樹脂フィルム、紙以外にも木綿、レーヨン、アクリルなどの布、ガラス板、金属なども用途に応じて使用できる。基材の厚みもとくに制限はないが、通常10〜200μmのものが多く使用される。
【0027】インク受容体スラリーを基材表面にコーティングする手段は、例えば、スラリーをダイコーター、ロールコーター、ロッドコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター等の各種公知の方法を用いて塗布し、乾燥する方法を用いることができる。また、基材をスラリーに浸漬するディップコート法やスラリーを基材に吹きつけるスプレイ法、成形面にスラリーをコーティングし、基材に転写する方法などを用いることもできる。
【0028】基材は、必要に応じて、コーティング前に空気中あるいはその他の雰囲気中でコロナ放電処理やプライマー処理などの公知の表面処理をすることで、スラリーのコーティング性や接着性などを改善することもできる。また、多層にコーティングする、基材の両面にコーティングする、あるいは保護層や光沢層、接着層など物性の異なる層を積層するなどしてもよい。コーティングの厚みは、1〜100μm、好ましくは5〜50μm、より好ましくは5〜30μmが適当である。コーティング層中のインク吸収剤の含有量は0.5〜30g/m2が好ましく、より好ましくは0.5〜15g/m2である。インク吸収剤の含有量が0.5g/m2未満になるとインクの吸収性が不足する可能性がある。
【0029】インク吸収剤は基材に内填することも可能であり、その手段は、例えば、紙の場合は、抄紙用スラリーに本発明におけるスラリーを添加して抄紙する方法を用いることができる。また、インク吸収剤を合成樹脂等と混ぜ、キャスティング法、押出法、カレンダー法などによりフィルム状あるいはシート状に成形する方法も用いることができる。合成樹脂としては、特に制限はないが、ビニルアルコール系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミノ酸系樹脂等で、透水性の高いものが好ましい。シート全体を基準としたインク吸収剤の含有量は、0.5〜30重量%が好ましい。本発明における記録シートは、前記したような染料を含むインクをインクジェット様式で印字することでより効果を奏する。印字の形態はバブルジェット方式やピエゾ方式など特に種類を問わない。
【0030】
【本発明の実施の形態】以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例により限定されるものではない。実施例において、酸強度函数H0=+4.0までの酸量(A4)及び酸強度函数H0=+4.8までの酸量(A4.8)は以下の方法で測定した。2つの50mlの共栓付三角フラスコにベンゼンを10mlとり、この中に0.3gの乾燥したインク吸収剤をそれぞれ投入する。この2つのフラスコに、それぞれ4―(フェニルアゾ)―1−ナフタレン、及びメチルレッド溶液を0.3mlずつ加えて試料を酸性色に着色した後、1mlマイクロビュレットを用いて0.1Nのn-ブチルアミン/ベンゼン溶液で試料が酸性色を失うまで2日間かけてそれぞれ滴定する。この際要したn-ブチルアミン溶液量からそれぞれの酸量A(A4及びA4.8)を下式を用いて算出した。
A(mmol/g)= NfV/W【0031】ここでN、fはそれぞれn-ブチルアミンの規定度、ファクターを、Vは滴定に要したn-ブチルアミン溶液量、Wは投入した試料の正確な重量を表す。fは以下に示す方法で求める。50ml三角フラスコに蒸留水20mlをとり、この中に0.1Nのn-ブチルアミン/ベンゼン溶液を5ml加える。水相中に溶出してくるn-ブチルアミンを、フェノールフタレイン指示薬を用いて0.1規定シュウ酸標準溶液で滴定し、fを求める。なお固体酸としてH0が+4.8よりも大きいすなわち、より弱い酸が若干存在する場合が考えられるが、現実には上記方法で求めた酸量は全酸量とみて殆ど差し支えない。
【0032】インク吸収剤の性能評価(光学濃度、耐光性、耐水性)は、特に指定のない限り以下の方法で行った。それぞれの試料を溶剤(水或いはアルコール)、市販のバインダー(カチオン変性ポリビニルアルコール及びシラノール変性ポリビニルアルコール)と混合してスラリーとした後、市販のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にコート、乾燥し、記録シートを得た。この記録シートに市販のインクジェットプリンター(セイコー・エプソン社製PM800)を用いて、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、グリーン、レッド、ブルーのベタ印字をした。評価項目は以下の通りである。
【0033】1) 光学濃度印字、乾燥直後のマゼンタの光学濃度を反射濃度計(グレタグマクベス製、RD−918)を用いて測定した。光学濃度のグレードを以下の4種類に分類した。
◎光学濃度極高 ○光学濃度高 △光学濃度普通 ×光学濃度低2) 耐光性印字した記録シートに、卓上型促進退候暴露装置サンテストCPS+(東洋精機製)を用い、ブラックパネル温度60℃、ウインドガラスフィルター使用、放射照度765W/m2の条件で照射した。60時間後のマゼンタの光学濃度を測定し、濃度の変化率を求めた。光学濃度は上記と同様に行った。耐光性は以下の4種類のグレードに分類した。
◎耐光性極良 ○耐光性良 △耐光性普通 ×耐光性悪3) 耐水性印字した記録シートを水中に2分間浸漬した後室温で乾燥し、インクの滲み、流失の程度を目視で判定した。グレードは同様に以下の4種類に分類した。
◎耐水性極良 ○耐水性良 △耐水性普通 ×耐水性悪【0034】
【実施例1】非イオン性高分子界面活性剤(Aldrich社製プルロニックP123、poly(ethylene glycol)−block−poly(propyleneglycol)―block−poly(ethylene glycol))50gを精製水1324gに常温で溶解した。ここに1、3、5−トリイソプロピルベンゼン100g、濃塩酸250mlを添加し、35℃に昇温した。ここにテトラエトキシシラン104.2gを添加し20時間35℃で攪拌した。その後80℃で48時間放置した。得られた複合体をろ過、水洗してシリカとテンプレートの複合体粉末を得た。得られた白色粉末を800mlのエタノールに分散させ、60℃で30分攪拌した。これをろ過し、上部から800mlのエタノールを入れ洗浄した。この操作を5回繰り返した。ついで70℃で23時間乾燥し、メソポーラスシリカを得た。これを試料1とする。
【0035】この試料1のχ、A4、A4.8を前記の方法にて算出し、表1に示した。また、試料1のインク吸収剤としての性能評価は以下の方法で行った。この試料1と水を混合し、試料1の濃度13.8重量%の分散液を調製した。これと、カチオン変性ポリビニルアルコール10重量%水溶液とシラノール変性ポリビニルアルコールの10重量%の水溶液を混合し、試料1の分散液とカチオン変性ポリビニルアルコール水溶液、シラノール変性ポリビニルアルコール水溶液の重量比が6:2:2で、固形分濃度が12重量%のインク吸収剤スラリーを調製した。引き続きポリエチレンテレフタレート製シート(厚さ100μm)にバーコーターでインク吸収剤スラリーを塗布した後乾燥し、厚さ30μmのインク吸収剤層を設けた記録シートを得た。この記録シートについて前記した評価項目について印字性能評価を行った。この評価結果も併せて表1に示す。
【0036】
【実施例2】1、3、5−トリイソプロピルベンゼンを150g用いること、放置温度が80℃の代わりに95℃であること以外は実施例1と同様の条件で合成したメソポーラスシリカを試料2とする。この試料2のχ、A4、A4.8を実施例1と同様の条件で算出し、表1に示した。またこの試料2から実施例1と同様の方法で記録シートを得た。この印字性能評価の結果も併せて表1に示す。
【0037】
【実施例3】実施例1におけるテトラエトキシシランのかわりにメチルトリエトキシシランを用いる以外は実施例1と同様の方法で調製したメソポーラスシリカを試料3とした。そのχ、A4、A4.8を上述の方法に従って求め、表1に示した。またこの試料3から実施例1と同様の方法で記録シートを得た。この印字性能評価の結果も併せて表1に示す。
【0038】
【実施例4】実施例1で得られた試料1を4g秤量し、ベンゼン70mlに分散した。ここに市販の3アミノプロピルエトキシシラン4mmolを添加し、48時間80℃で加熱還流した。反応物をソックスレー抽出機を用いて熱ベンゼン可溶部を24時間抽出除去し、減圧下80℃で乾燥した。この試料4gにベンゼン160ml、市販のケイ皮酸クロリド8mmol及びトリエチルアミン8mmolを加え24時間還流した。生成物をソックスレー抽出器に入れベンゼン可溶部を24時間抽出除去した後、さらにエタノールで洗浄し、80℃減圧乾燥した。このシンナムアミド化したメソポーラスシリカを試料4とする。この試料4のχ、A4、A4.8を実施例1と同様の条件で算出し、表1に示した。またこの試料4から実施例1と同様の方法で記録シートを得た。この印字性能評価の結果も併せて表1に示す。
【0039】
【実施例5】実施例2で得た試料2を10g秤量し水100gに分散させた。ここに市販の塩化亜鉛(ZnCl2)を2.5g加え2h常温で攪拌した。引き続き110℃で24h乾固して試料5を得た。試料5のχ、A4、A4.8を実施例1と同様の条件で算出し、表1に示した。また試料5を実施例1と同じ方法で処理して記録シートを得、同様に印字評価試験を行った。この結果を表1に併せて示す。
【0040】
【実施例6】実施例2で得た試料2を10g秤量し水100gに分散させた。ここに市販の塩化マグネシウム(MgCl2・6H2O(和光純薬製))を0.7g加え2h常温で攪拌した。引き続き110℃で24h乾固して試料6を得た。試料6のχ、A4、A4.8を実施例1と同様の条件で算出し、表1に示した。また試料6を実施例1と同じ方法で処理して記録シートを得、同様に印字評価試験を行った。この結果を表1に併せて示す。
【0041】
【比較例1】実施例1の試料1のかわりにシリカゲル(シオノギ製薬製、商品名カープレックス304N、平均粒子径9μm)を用い、他は同様にして記録シートを得た。この印字性能評価の結果を表1に示す。またこのシリカゲルのχ、A4、A4.8も表1に併せて示す。
【0042】
【比較例2】実施例1の試料1の代わりにシリカゲル(富士シリシア化学(株)製,商品名サイシリア350)を用い、他は同様にして記録シートを得た。この印字性能評価の結果を表1に示す。またこのシリカゲルのχ、A4、A4.8も表1に併せて示す。
【0043】
【比較例3】実施例1の試料1のかわりにシリカゲル(トクヤマ製、商品名X−37B)を用い、他は同様にして記録シートを得た。この印字性能評価の結果を表1に示す。またこのシリカゲルのχ、A4、A4.8も表1に併せて示す。
【0044】
【比較例4】実施例1において用いたトリメチルベンゼンを用いないこと、養生時間が12時間であること以外は実施例1と同じ条件でメソポーラスシリカを合成した。このχ、A4、A4.8を表1に示す。またこのメソポーラスシリカを用いて実施例1と同じ方法で記録シートを得た。この印字性能評価の結果も併せて表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
【発明の効果】本発明のインク吸収剤を含有する記録シートは、光学濃度が高く、耐水性、耐光性に優れた印字物を形成することができる。




 

 


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