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発明の名称 潜像刷版およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−180145(P2001−180145A)
公開日 平成13年7月3日(2001.7.3)
出願番号 特願平11−374884
出願日 平成11年12月28日(1999.12.28)
代理人
発明者 横田 昌久 / 中林 亮 / 石村 秀一
要約 目的
光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光の照射により疎水性を呈する膜を有する潜像刷版を提供することを目的とする。

構成
光触媒と親水性化合物及びシリコーン化合物を含む膜を有する刷版であって、該被膜に光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーを含む光を照射することにより、照射された部分の20℃における水との接触角が光照射前より10°以上増加することを特徴とする潜像刷版。
特許請求の範囲
【請求項1】光触媒と親水性化合物及びシリコーン系化合物を含む膜を有し、該膜の一部で光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーを含む光を照射した部分の、20℃における該被膜と水との接触角が光照射前より10°以上増加する潜像刷版。
【請求項2】請求項1に記載の潜像刷版の膜に、光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーを含む光の照射部分又は、非照射部分からなる潜像を有する潜像刷版。
【請求項3】請求項1に記載の潜像刷版の膜の一部に、光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーを含む光を照射することにより、請求項2記載の潜像を形成する潜像刷版の製造方法。
【請求項4】請求項2に記載の潜像を親水性又は、疎水性インキにより可視像とし、該親水性又は、疎水性インキを用紙に転写する印刷装置。
【請求項5】親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物で変性された光触媒からなることを特徴とする請求項1〜4に記載の潜像刷版、潜像刷版の製造方法、および印刷装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は印刷装置に用いられる刷版に関するものであり、さらに詳しくは光触媒膜を有し、光により該膜上に形成された潜像が刷版を構成する潜像刷版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、刷版は写真技術を利用して制作されていた。例えば、ポジフィルムを作成し、PS版に焼き付け後現像することにより制作されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】写真技術を利用した刷版の制作には、複数の工程が必要であり、刷版の制作に時間が必要であり、コストも高いという問題点があり、特に少量印刷の場合、この影響が甚大であり、刷版作成の革新が求められていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明の第1は、光触媒と親水性化合物及びシリコーン系化合物を含む膜を有し、該膜の一部で光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーを含む光を照射した部分の、20℃における該被膜と水との接触角が光照射前より10°以上増加する潜像刷版である。
【0005】発明の第2は、発明の第1記載の潜像刷版の膜に、光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーを含む光の照射部分又は、非照射部分からなる潜像を有する潜像刷版である。発明の第3は発明の1に記載の潜像刷版の膜の一部に、光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーを含む光を照射することにより、発明の第2記載の潜像を形成する潜像刷版の製造方法である。
【0006】発明の第4は発明の第2に記載の潜像を親水性又は、疎水性インキにより可視像とし、該親水性又は、疎水性インキを用紙に転写する印刷装置である。発明の第5は親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物で変性された光触媒からなることを特徴とする発明の第1〜4記載の潜像刷版、潜像刷版の製造方法、および印刷装置である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】本発明において使用される光触媒としては、TiO2、ZnO、SrTiO3、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO3、BaTiO4、K2NbO3、Fe23、Ta25、WO3、SnO2、Bi23、NiO、Cu2O、SiC、SiO2、MoS2、InPb、RuO2、CeO2等、及びこれらにPt、Rh、Ru、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属及び/又は金属の酸化物を添加あるいは固定化したものを使用することができる。これらの光触媒の中で、TiO2(酸化チタン)は無害であり、化学的安定性にも優れるため好ましい。酸化チタンとしては、アナターゼ、ルチル、ブルッカイトのいずれも使用できる。
【0008】一般に微細な粒子からなる粉体は、複数の一次粒子が強力に凝集した二次粒子を形成するため、無駄にする表面特性が多い上、これら二次粒子を再度一次粒子にまで分散させるのは非常に困難である。これに対し、光触媒ゾルの場合、光触媒粒子は一次粒子に近い形で存在しているため表面特性を有効に利用でき、透明な被膜の形成が容易であるため好ましく使用することができる。特に好ましくは、一次粒子と二次粒子との混合物の体積平均分散粒子径が300nm以下の光触媒ゾルが変性後の光触媒の表面特性を有効に利用できるために望ましい。より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは100nm以下1nm以上、さらに好ましくは80nm以下5nm以上のものが好適に選択される。
【0009】該光触媒ゾルとして酸化チタンのゾルを例にとると 、例えば水を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が解膠された酸化チタンヒドロゾル等を挙げることができる。例えば、硫酸チタンや塩化チタンの水溶液を加熱加水分解して生成したメタチタン酸をアンモニア水で中和し、析出した水を含む酸化チタンを濾別、洗浄、脱水させると酸化チタン粒子の凝集物が得られる。この凝集物を、硝酸、塩酸、又はアンモニア等の作用の下に解膠させると酸化チタンヒドロゾルが得られる。また、酸化チタンヒドロゾルとしては、酸化チタン粒子を酸やアルカリの作用の下で解膠させたり、酸やアルカリを使用せず必要に応じ分散安定剤を使用し、強力なずり応力の下で水中に分散させたゾルも用い得る。なお、酸化チタンヒドロゾルはチタニアゾルとして市販されている。
【0010】このようなヒドロゾルの粘度(20℃)は比較的低いことが望ましく、例えば、2000cPa・s〜0.5cPa・s程度の範囲にあればよい。好ましくは1000cPa・s〜1cPa・s、さらに好ましくは500cPa・s〜1cPa・sである。本発明において使用される親水性化合物としては、下記構造単位(a)及び/又は(b)を有する数平均分子量100〜1000000の化合物を挙げることができる。
【0011】
【化1】

(式中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子あるいは置換基を有しても有さなくても良い炭素数が1〜20個の炭化水素基を表す。Yは、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基、あるいは該親水性基を有する1価の有機基を表す。)
【0012】上記親水性化合物の例としては、例えばポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、アクリル酸重合体(共重合物を含む)、メタクリル酸重合体(共重合物を含む)、アクリルアミド重合体(共重合物を含む)、スチレンスルホン酸重合体(共重合物を含む)、ビニルピロリドン重合体(共重合物を含む)、ポリアリルアミン、ポリエチレングリコール類、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコール共重合体、カルボキシルメチル化セルロース、カルボキシルメチル化ニトロセルロース等を挙げることができる。
【0013】本発明のコーティング組成物において、上述した光触媒(A)と親水性化合物(B)は固形分重量比(A)/(B)=0.001〜1000の割合で含む系が好ましい。本発明における光触媒は、シリコーン系化合物(C)を含んでいても良い。シリコーン系化合物を含むことによって、形成する被膜と水との接触角の光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーを含む光を照射することによる増加率がより顕著になる。
【0014】本発明において使用されるシリコーン系化合物(C)としては、例えば下記平均組成式(1)で示される化合物を含む樹脂等を挙げることができる。該樹脂中には該平均組成式(1)で示される化合物以外にコロイダルシリカやアクリル系、エポキシ系、ウレタン系等他の樹脂を含むことができる(例えばアクリル−シリコーン樹脂、エポキシ−シリコーン樹脂、ウレタン−シリコーン樹脂等)。この場合の該樹脂中の平均組成式(1)で示される化合物量は1〜80重量%が好ましい。
【0015】
qrSiO(4-q-r)/2 (1)
(式中、Rは、水素原子あるいは一価の有機基の1種もしくは2種以上からなる官能基を表す。Qは、アルコキシ基、ヒドロキシ基、またはハロゲン原子を表す。0≦q<4、0≦r<4であり、0<(q+r)≦4である。)
本発明の膜は、上述した光触媒(A)とシリコーン系化合物(C)を固形分重量比(A)/(C)=0.001〜1000の割合で含む系が好ましい。本発明における、光触媒と親水性化合物及びシリコーン系化合物(C)を含む膜の好ましい例としては、例えば下記平均組成式(2)で示される親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物で変性された親水性化合物を有する変性光触媒からなる膜が挙げられる。
pqrtSiO(4-p-q-r-t)/2 (2)
(式中、Yは親水性基を含む一価の有機基の1種もしくは2種以上からなる官能基を表す。Rは一価の有機基の1種もしくは2種以上からなる官能基を表す。Qは、アルコキシ基、ヒドロキシ基、またはハロゲン原子を表す。0<p<4、0≦q<4、0≦r<4、0<t<4であり、(p+q+r+t)≦4である。)
平均組成式(2)で表される化合物の例としては、例えば下記式(3)で表される化合物を挙げることができる。
【0016】
(RHSiO)a(RSiO)b(RSiO)c (RZSiO)d(RSiO1/2 (3)
(式中、R、Rはそれぞれ独立に置換基を有しても有さなくても良い炭素数が1〜30個の炭化水素基を表す。Yは、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、リン酸基あるいはその塩を含む1価の基、スルホン基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基を表す。Zは、エポキシ基を含む1価の基、アクリロイル基を含む1価の基、メタアクリロイル基を含む1価の基、環状酸無水物を含む1価の基、ケト基を含む1価の基、ヒドロキシル基を含む1価の基、アミノ基を含む1価の基、カルボキシル基を含む1価の基、ヒドラジド基を含む1価の基、イソシアネート基を含む1価の基、イソチオシアネート基を含む1価の基、環状カーボネート基を含む1価の基、エステル基を含む1価の基から選ばれる反応性基を有する1価の基からなる群、及び炭素数1〜30のフルオロアルキル基を含む1価の基、及び置換基を有しても有さなくても良い炭素数が1〜30個の炭化水素基を含む1価の基から選ばれた少なくとも1つの有機基を表す。
【0017】a及びcは1以上の整数であり、b、dは0又は1以上の整数である。eは0又は2である。また、(a+b+c+d)≦10000である。また、上記シリコーン化合物は、ランダム共重合体でも、ブロック共重合体でもよい。)
上記式(3)で表される化合物において、e=0の場合は環状シリコーン化合物を表し、e=2の場合は鎖状シリコーン化合物を表わす。ここで、上記平均組成式(3)で示される親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物における親水性基を含む一価の有機基(Y)の好ましい具体例として、例えば式(4)で表されるポリオキシエチレン基や式(5)で表されるスルホン基あるいはその塩を含む1価の基、さらには式(7)で表されるカルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基等を挙げることができる。
−CH2CH2CH2O(CH2CH2O)m (4)
(式中、mは1〜1000の整数を表す。Rは、置換基を有しても有さなくても良い炭素数が1〜30個の炭化水素基を表す。)
【0018】
【化2】

(式中、nは1〜100の整数を表す。Rは、置換基を有しても有さなくても良い炭素数が1〜30個の炭化水素基を表す。Bは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は式(6)で表される置換アンモニウムを表す。
HNR1011 (6)
(R、R10、R11は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていないか或いはヒドロキシル基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
【0019】
【化3】

(式中、Bは各々独立して、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は上記式(6)で表される置換アンモニウムを表す。)
上記式(3)で示されるヒドロシリル基含有シリコーン化合物は、例えば下記式(8)で表されるヒドロシリル基含有化合物と、親水性基(Y)を有する炭素−炭素不飽和結合化合物、及び必要に応じ他の置換基Zを有する炭素−炭素不飽和結合化合物とのヒドロシリル化反応によって得ることができる。
【0020】
(RHSiO)a+c+d(RSiO)b(RSiO1/2e (8)
(式中、R、Rはそれぞれ独立に置換基を有しても有さなくても良い炭素数が1〜30個の炭化水素基を表す。aおよびcは1以上の整数であり、bおよびdは0又は1以上の整数である。eは0又は2である。また、(a+b+c+d+e)≦10000である。また、上記ヒドロシリル基含有化合物(8)は、ランダム共重合体でも、ブロック共重合体でもよい。)
上記式(8)で表されるヒドロシリル基含有化合物に親水性基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基、環状酸無水物からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
【0021】上記親水性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の好ましい具体例として、例えば式(9)で表されるポリオキシエチレン基含有アリルエーテルや式(10)で表されるスルホン基あるいはその塩を含む1価の基を有するアリルエーテル、さらには5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物等を挙げることができる。
CH2=CHCH2O(CH2CH2O)m (9)
(式中、mは1〜1000の整数を表す。Rは、置換基を有しても有さなくても良い炭素数が1〜30個の炭化水素基を表す。)
【0022】
【化4】

(式中、nは1〜100の整数を表す。Rは、置換基を有しても有さなくても良い炭素数が1〜30個の炭化水素基を表す。Bは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は上記式(6)で表される置換アンモニウムを表す。)
上記式(8)で表されるヒドロシリル基含有化合物に他の置換基Zを導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、例えば式(11)で表されるパーフルオロアルキル基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、ビニルエーテル類、(メタ)アクリル酸エステル類等を用いることができる。
【0023】−(CF2)gCF3 (11)
(式中、gは0〜29の整数を表す。)
また、置換基Zとして、置換基を有しても有さなくても良い炭素数が1〜30個の炭化水素基を含む1価の基を導入する場合に用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としてプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、イソブテン、5−メチル−1−ブテン、2−ヘキセン、シクロヘキセン、5−ノルボルネンの如きオレフィン類、酢酸アリル、プロピオン酸アリル、2−エチルヘキサン酸アリル、安息香酸 アリル等のアリルエステル類、アリルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、アリル−n−ヘキシルエーテル、アリルシクロヘキシルエーテル、アリル−2−エチルヘキシルエーテル、アリルフェニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のアリルエーテル類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、クロトン酸エステル類等の他の炭素−炭素不飽和結合化合物等が挙げられる。これらのうち、1−ヘキセン、1−オクテン等の末端オレフィン類、アリルエステル類、アリルエーテル類が反応性の面で好ましい。
【0024】また、置換基Zとして、反応性基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、環状酸無水物基、ケト基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、ヒドラジド基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、環状カーボネート基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
【0025】上記反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の好ましい具体例として、例えばアリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリル、ジアリルエーテル、ジアリルフタレート、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、5−ヘキセン−2−オン、アリルイソシアネート、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、アリルアミン等を挙げることができる。
【0026】上記炭素−炭素不飽和結合化合物と式(8)で表されるヒドロシリル基含有化合物のヒドロシリル化反応は、好ましくは触媒の存在下、有機溶媒の存在下あるいは非存在下において0〜200℃で炭素−炭素不飽和結合化合物と式(8)で表されるヒドロシリル基含有化合物を接触させることにより行うことができる。ヒドロシリル化反応の触媒としては、白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の化合物が適しているが、特に白金の化合物とパラジウムの化合物が好適である。白金の化合物としては、例えば塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金酸(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)カリウム、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、ジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体や白金の単体、アルミナやシリカや活性炭に固体白金を担持させたものが挙げられる。パラジウムの化合物としては、例えば塩化パラジウム(II)、塩化テトラアンミンパラジウム(II)酸アンモニウム、酸化パラジウム(II)等が挙げられる。
【0027】また、ヒドロシリル化反応に使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。また、本発明において、式(2)で表される平均組成式を有する他の例として、分子中に下記平均組成式(c)で表される繰り返し単位および/または下記平均組成式(d)で表される繰り返し単位を有するシリコーン化合物も挙げることができる。
【0028】
【化5】

(式(c)および式(d)において、R12は下記(ア)から(ウ)の置換基から選ばれたものである。また、R16は下記(イ)である。Aは、水素原子、炭素数1〜30個の炭化水素基、−SiR131415(R13、R14、R15は同じであっても異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜30個の炭化水素基を表す。)から選ばれた少なくとも1つの基を表す。
(ア)水素原子。
(イ)カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、リン酸基あるいはその塩を含む1価の基、スルホン基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基を含む有機基。
(ウ)エポキシ基を含む1価の基、アクリロイル基を含む1価の基、メタアクリロイル基を含む1価の基、環状酸無水物を含む1価の基、ケト基を含む1価の基、カルボニル基を含む1価の基、ヒドロキシル基を含む1価の基、アミノ基を含む1価の基、アルコキシ基、ヒドロキシル基からなる群、及び置換基を有しても有さなくても良い炭素数が1〜30個の炭化水素基を含む1価の基、及び炭素数1〜30個のフルオロアルキル基を含む1価の基から選ばれた少なくとも1つの有機基。
【0029】また、0<ic<1、0<jc<1、0≦kc<1、ic+jc+kc=1であり、0<id<1、0<jd<1、0≦kd<1、id+jd+kd=1である)。本発明において、上記平均組成式(2)で表される親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物による光触媒の変性は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、光触媒(A)と該親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物(C')を固形分重量比(A)/(C')=0.001〜1000の割合で0〜150℃にて混合することにより実施できる。
【0030】この変性の操作により混合液からは水素ガスが発生する。また、例えば光触媒として酸化チタンを用いた場合、上記変性の操作により、Ti−OH基の減少がIRスペクトルにおける3630〜3640cm−1の吸収の減少として観測される。これらのことより上記変性光触媒は、上記平均組成式(2)で表される親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物と光触媒との単なる混合物ではなく、光触媒がヒドロシリル基含有化合物との間に化学結合等の何らかの相互作用をもったものであることが予測できる。
【0031】ここで上記変性を行う場合、使用できる有機溶媒としては、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、アセトン、メチルエチルケトン、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、エタノール、メタノール等の親水性有機溶媒、及びトルエン、キシレン、ヘキサン等の疎水性有機溶媒が挙げられる。本発明のコーティング組成物には、必要により樹脂塗料を混合して使用することもできる。該樹脂塗料としては特に制限はなく、例えば油性塗料、ラッカー、溶剤系合成樹脂塗料(アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、フッ素樹脂系、シリコーン−アクリル樹脂系、アルキド樹脂系、アミノアルキド樹脂系、ビニル樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系、塩化ゴム系等)、水系合成樹脂塗料(エマルジョン系、水性樹脂系等)、無溶剤合成樹脂塗料(粉体塗料等)、無機質塗料、電気絶縁塗料等を例示することができる。
【0032】また、本発明のコーティング組成物には、通常塗料等に添加配合される成分、例えば顔料、充填剤、分散剤、光安定剤、湿潤剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、消泡剤、可塑剤、成膜助剤、防錆剤、染料、防腐剤等がそれぞれの目的に応じて選択、組み合わせて配合することができる。本発明の光触媒と親水性化合物及びシリコーン系化合物(C)を含む膜を有する潜像刷版の基体は寸法的に安定なものが好ましく、紙、金属(例えばアルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、鉄、銅など)の板、プラスチック(例えば酢酸セルロース、硝酸セルロースなどのセルロース誘導体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなど)のフィルム・板が挙げられる。これら基体の厚みは印刷機械に合わせて任意に設定して良い。これらの基体には必要に応じて、表面処理を施しても良く、例えば紙やプラスチックへの金属蒸着処理、アルミニウム等の金属への陽極酸化処理や砂目立て処理、ボール研磨等の粗面化処理、アルカリエッチング処理、中和処理などが挙げられる。
【0033】上記基体に光触媒と親水性化合物及びシリコーン系化合物(C)を含む膜を形成させる方法はいかなる方法でも良いが、光触媒と親水性化合物及びシリコーン系化合物(C)を含むコーティング液を塗布する方法が刷版の製造方法として簡便であり、好ましい方法である。上記のコーティング液の基材への塗布方法としては、例えばスプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等を挙げることができる。
【0034】塗布の際、必要に応じて光触媒と親水性化合物及びシリコーン系化合物(C)等の成分を適当な溶媒、例えば水、アルコール類、炭化水素類、エーテル類、エステル類、アミド類等、で希釈しても良い。この被膜の厚みは特に制限はないが、通常、0.05〜1000μの範囲になるように塗布される。また、上記光触媒と親水性化合物及びシリコーン系化合物(C)等を基材に塗布する前に、中間層としてポリマー層を設けても良い。その際用いるポリマーは、印刷特性に重要な欠点をもたらさなければ特に制限はないが、例えば(メタ)アクリル系のモノマーやエチレン、プロピレン、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等の不飽和化合物からなる重合体、シリコーン重合体、含フッ素ポリマー、セルロース誘導体、等が例示できる。この中間層の厚みは特に制限はないが、通常、0.05〜1000μの範囲になるように塗布される。
【0035】この様にして形成された刷版を用いて、該被膜に含まれる光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーを含む光を該被膜の一部に照射することにより、その部分の20℃における水との接触角が光照射前より10°以上増加した部分疎水性膜を形成することにより潜像刷版が得られる。例えば印刷に油性のインキを用いる場合、光照射された部分はインキとなじみが良く、湿し水を同時に用いると、光照射されない部分には水が拡がり、版面上にインキ保持部分と水保持部分ができ、紙などと接触することによりその被印刷面にインキが転写される。水性のインキを用いるときには、光を照射された部分はインキをはじき、照射されない部分にインキが保持され、同様に紙などに転写される。
【0036】上記潜像刷版の製造に関してより具体的に説明する。潜像刷版の製造には、従来から行われているリスフィルムを使用し、露光する方法の他、デジタルデータから直接刷版上に記録するCTPの技術を用いる方法等も使用できる。照射する光源は光触媒吸収光を含むものなら特に制限はないが、特にCTPで用いる場合には、レーザー光が好ましい。例えば水銀灯、タングステンハロゲンランプ、その他メタルハライドランプ、キセノンランプ、ヘリウムカドミウムレーザー、水冷アルゴンレーザー、窒素ガリウムレーザー等が例示できる。
【0037】本発明の刷版は,照射光量に応じて,酸化チタン等の光触媒が光を吸収励起し,表面の水の接触角(つまり親水性・疎水性)を変化させるが、一定以上の光量を越えると変化はしなくなる。本発明においては,特にこの変化がなくなる光量まで光を照射する必要はなく,水の接触角が照射以前よりも10度以上変化すればよい。該変化に必要な照射光量は,光触媒を有する画像形成層の性質によって異なるが、好ましくは0.05〜100joule/cm,より好ましくは0.05〜10joule/cmである。
【0038】また、光照射においては相反則が概ね成立しており、例えば10mW/cmで100秒の露光を行っても、1W/cmで1秒の露光を行っても同じ効果が得られるので,活性光を有する限り光源の選択は自由に選択できるし、照射時間も光源に応じて選択される。上記の方法で露光された刷版は、所望により、水性水、界面活性剤などを含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液により後処理される。この様にして得られた原版は印刷装置に装着され、印刷に供せられる。例えば親油性(疎水性)インキを用いたオフセット印刷装置の場合、版胴に原版が巻き付けられ、インキ・湿し水が供給され、親水性の非潜像領域に水が、親油性の潜像領域にインキが保持され、オフセット印刷等が行われる。
【0039】また、潜像露光、印刷を組み込んだ装置への応用も可能であり、その例として例えば、特開平10−250027号、11−123804号、123805号、123806号、123807号等が挙げられる。ホストコンピューターの指令により所定の吸収波長を含むレーザー(例えば紫外線レーザー)が本発明の刷版上を走査されてパタニングが付され、必要に応じて湿し水を付された後、インキをのせた後、通常の印刷で行われるように用紙に転写される方法が例示できる。
【0040】また、別の方式として、本発明の刷版を所定の吸収波長を含む光(例えば紫外線レーザー)により全面露光し親水化した後、サーマルヘッドを有する発熱体アレイを用い、刷版表面層と接触させることにより、パタニングを行う方法も例示できる。上記のパタニング及び印刷を一つに組み込んだ印刷装置も本発明の請求の範囲に含まれる。
【0041】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例、比較例、合成例中の部は重量部を意味する。実施例、比較例、合成例中に用いられる各種物性の測定方法は、下記の通りである。
【0042】■ 体積平均分散粒子径体積平均分散粒子径は、湿式粒度分析計(日機装(株)製 マイクロトラックUPA−9230)を使用して測定した。
■ 部材の水との接触角部材の水との接触角は、接触角計(協和界面科学(株)製 CA−X150)を使用し、20℃において水滴を滴下してから1分後の接触角を測定した。
■ 粘度光触媒ヒドロゾルの粘度はB型粘度計を用いて、ロータNo.2、回転数60rpm、20℃の条件で測定した。
【0043】
【合成例1】親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物(i)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたジオキサン91.7部にメチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(商品名:KF9901、信越化学(株)製、ヒドロシリル基7.14mmol/g(カタログ値)のもの)50部を添加し、撹拌下80℃に昇温した。これにポリオキシエチレンアリルメチルエーテル(商品名:ユニオックス MUS−8、日本油脂(株)製、重量平均分子量800(カタログ値)のもの)125部と塩化白金(IV)酸六水和物の5重量%イソプロパノール溶液0.5部をジオキサン83.3部に溶解した溶液を80℃にて約1時間かけて添加し、さらに80℃にて2時間撹拌を続けた後冷却することにより親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物(i)のジオキサン溶液を得た。
【0044】得られた親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物(i)のジオキサン溶液1.35部にブチルセロソルブ8部を添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると26℃において19.0mlの水素ガスが発生した。水素生成量から求めた親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物(i)のジオキサン溶液におけるヒドロシリル基量は0.55mmol/g(メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー当たりに換算したヒドロシリル基量は約3.9mmol/g)であった。
【0045】
【合成例2】親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物(i)で変性された光触媒の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれた数平均分散粒子径10nmのアナターゼ型酸化チタンゾル(商品名:タイノックA−6、多木化学(株)製、アンモニア解膠型、TiO2濃度6重量%、平均結晶子径10nm(カタログ値)のもの)500部に合成例1で合成した親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物(i)のジオキサン溶液23.3部を室温30℃にて約30分かけて添加し、さらに3時間撹拌を続けることにより非常に分散性の良好な、数平均分散粒子径15nmの変性酸化チタンゾルを得た。この時、親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物(i)の反応に伴い生成した水素ガス量は26℃において250mlであった。
【0046】
【合成例3】親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物(i)で変性された光触媒オルガノゾルの合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれた体積平均分散粒子径14nmのアナターゼ型酸化チタンゾル(商品名:STS−02、石原産業(株)製、塩酸解膠型、TiO2濃度30重量%、平均結晶子径7nm(カタログ値)のもの)300部に水150部を添加し、撹拌下30℃に保持した。これに合成例1で合成した親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物(i)のジオキサン溶液70部を30℃にて撹拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて3時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な、体積平均分散粒子径29nmの変性酸化チタンゾルを得た。この時、親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物(i)の反応に伴い生成した水素ガス量は24℃において610mlであった。
【0047】得られた変性酸化チタンゾル440部にブチルセロソルブ440部を室温(23℃)で撹拌下において約10分かけて添加した後、水をエバポレーターにて減圧除去し、ブチルセロソルブで固形分調整することにより固形分6重量%のブチルセロソルブを溶媒とする非常に分散性の良好な変性酸化チタンオルガノゾルを得た。
【0048】
【実施例1】厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質1050)を脱脂後砂目立てし、アルカリ洗浄、中和処理の後、陽極酸化処理を行った。合成例2で得られた親水性基を有するヒドロシリル基含有化合物によって変性された酸化チタンゾルを処理されたアルミ板上に膜厚が2μとなるようにスプレーコーティングした後、80℃30分乾燥し、透明で平滑なコーティング膜を有する刷版を得た。
【0049】この表面にポジ画像を有するリスフィルム原稿を置き、上から石英硝子で機械的に密着した。これに光源として、500W高圧水銀灯を用い、15分間露光を行った。接触角を測定したところ、照射前は27度であり、照射後は露光部96度、非露光部27度であった。この版を、サクライ社製オリバー52片面印刷機に装着し、湿し水として純水、インキとして大日本インキ化学製Newchampion Fグロス85墨を用いて、3千枚のオフセット印刷を行った。鮮明な印刷物が得られ、刷版の損傷も見られなかった。
【0050】
【実施例2】シリコン−アクリル系コーティング剤(商品名:ビストレーターL(NSC−200A)、日本曹達(株)製、固形分20重量%のもの。光触媒コーティング剤におけるアンダーコート成膜薬剤である。)100部に合成例3で得た変性酸化チタンオルガノゾル150部を室温(23℃)で撹拌下において約10分かけて添加し光触媒酸化チタン組成物を得た。得られた光触媒酸化チタンゾル組成物を処理されたアルミ板上に膜厚が10μとなるようにスプレーコーティングした後、80℃30分乾燥し、透明で平滑なコーティング膜を有する刷版を得た。この表面にポジ画像を有するリスフィルム原稿を置き、上から石英硝子で機械的に密着した。これに光源として、500W高圧水銀灯を用い、15分間露光を行った。
【0051】接触角を測定したところ、照射前は26度であり、照射後は露光部88度、非露光部26度であった。この版を、サクライ社製オリバー52片面印刷機に装着し、湿し水として純水、インキとして大日本インキ化学製Newchampion Fグロス85墨を用いて、3千枚のオフセット印刷を行った。鮮明な印刷物が得られ、刷版の損傷も見られなかった。
【0052】
【比較例1】アナターゼ型酸化チタンゾル(商品名:タイノックA−6、多木化学(株)製、アンモニア解膠型、TiO2濃度6重量%、平均結晶子径10nm(カタログ値)のもの)を処理されたアルミ板上に膜厚が10μとなるようにスプレーコーティングした後、80℃30分乾燥し、透明で平滑なコーティング膜を有する刷版を得た。この表面にポジ画像を有するリスフィルム原稿を置き、上から石英硝子で機械的に密着した。これに光源として、500W高圧水銀灯を用い、15分間露光を行った。接触角を測定したところ、照射前は28度であり、照射後は露光部31度、非露光部28度であった。この版は接触角の差が小さいため、印刷は不可能であった。
【0053】
【比較例2】シリコン−アクリル系コーティング剤(商品名:ビストレーターL(NSC−200A)、日本曹達(株)製、固形分20重量%のもの。光触媒コーティング剤におけるアンダーコート成膜薬剤である。)を処理されたアルミ板上に膜厚が10μとなるようにスプレーコーティングした後、80℃30分乾燥し、透明で平滑なコーティング膜を有する刷版を得た。この表面にポジ画像を有するリスフィルム原稿を置き、上から石英硝子で機械的に密着した。これに光源として、500W高圧水銀灯を用い、15分間露光を行った。接触角を測定したところ、照射前は28度であり、照射後は露光部32度、非露光部28度であった。この版は接触角の差が小さいため、印刷は不可能であった。
【0054】
【実施例3】実施例1で用いたと同様の照射前の刷版にArレーザーを円形に照射した。この刷版に親油性インキを乗せたところ、照射した通りに画像を形成し、印刷が可能となった。
【0055】
【発明の効果】本発明の光触媒と親水性化合物及びシリコーン系化合物を含む膜を有する刷版は、光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーを含む光を照射による潜像刷版の製造が可能で、該潜像刷版は後処理もいらず、鮮明な印刷が可能である。




 

 


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