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発明の名称 感熱平版印刷原版及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−180138(P2001−180138A)
公開日 平成13年7月3日(2001.7.3)
出願番号 特願平11−364829
出願日 平成11年12月22日(1999.12.22)
代理人
発明者 栗原 正明 / 高橋 源昭
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 画像形成要素と非画像形成要素を有する記録層と、支持体とを備える感熱平版印刷原版であって、前記非画像形成要素が親水性バインダーポリマーと、少なくともアルミニウム原子を含む架橋材を有することを特徴とする感熱平版印刷原版。
【請求項2】 前記架橋材が、塗布乾燥のみで前記親水性バインダーポリマーを硬化できる架橋材であることを特徴とする請求項1記載の感熱平版印刷原版。
【請求項3】 前記親水性バインダーポリマーが、炭素−炭素結合から形成されるポリマー、または酸素、窒素、硫黄、リンからなるヘテロ原子の少なくとも一種以上で結合された炭素原子もしくは炭素−炭素結合から構成されるポリマー、即ち、ポリ(メタ)アクリレート系、ポリオキシアルキレン系、ポリウレタン系、エポキシ開環付加重合系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリビニル系、多糖類系もしくはそれらの複合系のポリマーであって、構造中にカルボキシル基を含有するポリマーであることを特徴とする請求項1または2記載の感熱平版印刷原版。
【請求項4】 前記親水性バインダーポリマーが構造中にリン酸基、スルホン酸基から選ばれる1種以上の官能基を含有することを特徴とする請求項1乃至3記載の感熱平版印刷原版。
【請求項5】 前記架橋材が一種以上のアルカリ土類金属原子を含有することを特徴とする請求項1乃至4記載の感熱平版印刷原版。
【請求項6】 前記画像形成要素が熱により画像部に転換する親油性微粒子を有することを特徴とする請求項1乃至5記載の感熱平版印刷原版。
【請求項7】 前記親油性微粒子がマイクロカプセルであることを特徴とする請求項6記載の感熱平版印刷原版。
【請求項8】 前記マイクロカプセルが水中油滴型エマルションを経て形成されることを特徴とする請求項7記載の感熱平版印刷原版。
【請求項9】 前記支持体が印刷機の版胴または版胴上に予め設置された支持体であることを特徴とする請求項1乃至8記載の感熱平版印刷原版。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は現像不要で耐刷性に優れたオフセット印刷用ダイレクト感熱平版印刷原版およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータの普及につれ、版材構成とともに種々の平版の製版方法が提案されている。実用面からは、版下からポジ若しくはネガフィルムを作製して平版印刷原版に焼き付ける方法が一般に行われているが、該フィルムを介することなく版下から直接製版する電子写真版や銀塩写真版、あるいは、電子組版、DTP(デスクトップ・パブリッシュメント)で編集・作製された印刷画像情報を、可視画像化することなく、直接版材にレーザー若しくはサーマルヘッドで印字し製版できる、所謂コンピュータ・ツー・プレート(CTP)タイプの平版材が登場するにいたっている。特にCTPタイプの版材は製版工程の合理化と短縮化、材料費節減が可能となることから、CTS化が完了した新聞製作、プリプレス工程がデジタル化された商業印刷等の分野で大いに期待されている。
【0003】かかるCTP版材としては、感光性タイプ、感熱性タイプあるいは電気エネルギーで製版するタイプの版材が知られている。感光性タイプあるいは電気エネルギーで製版する版材は、版価格が従来のPS版に比べ割高となるばかりでなく、その製造装置も大型かつ高価であるため、これらの版材および製版工程は実用化には至っていない。さらに、これらは現像液の廃棄処理の問題も有する。感熱性タイプの版材は、社内印刷を始めとする軽印刷用途に幾つか開発されている。特開昭63−64747号公報、特開平1−113290号公報等には、支持体上に設けられた感熱層に分散させた熱溶融樹脂および熱可塑性樹脂を熱印字により溶融し、加熱部を親水性から親油性に変化させる版材が開示され、米国特許第4034183号、同4063949号明細書には、支持体上に設けられた親水性ポリマーをレーザー照射し親水性基を無くし親油性に転換させる版材が開示されている。しかしながら、これらの版材は、版表面に存在する熱溶融物質によるインキの受容により非画像部が汚れたり、耐刷性が不十分であったり、また、版材設計の自由度が低いという問題があった。
【0004】特開平3−108588号公報、特開平5−8575号公報には、マイクロカプセル化された熱溶融物質と結着性樹脂とからなる感熱記録層を支持体に設け、加熱部を親油性に変化させる版材が開示されている。しかし、これらの版材ではマイクロカプセル化された熱溶融物質から形成される画像が脆弱であって、耐刷性において満足のいくものではなかった。一方、特開昭62−164596号公報、同62−164049号公報には、親水性表面を有する支持体上に活性水素含有バインダーポリマーと共にブロックイソシアネートとからなる記録層を設けた平版印刷原版及びその方法が開示されている。しかし、この版材は、印字後、非印字部分を除去する現像工程が必要である。
【0005】さらに、ダイレクト型平版印刷材料の一つに、親水層の表面に画像部をインキジェットやトナー転写等の外的手段で形成する直描型平版印刷材料がある。特開昭62−1587号公報には、マイクロカプセル化した非反応性の熱溶融性物質を塗布し、加熱印字によりトナー受理層を形成する版材が開示されている。しかし、形成されたトナー受理層に親油性のトナー等を固着して初めて印刷版となるものであり、印字後、画像部が形成されるものではない。このように従来の感熱性平版印刷用の版材は、耐刷力に乏しいか親油性に乏しいため、軽印刷などの用途に限られていた。また、その製版工程において現像工程を要するものもあった。
【0006】そこで特開平07−01849号公報、特開平07−01850号公報、特願平08−161840号、特願平08−272023号には熱により画像に転換する反応性マイクロカプセルを三次元架橋した親水性バインダー中に分散した形の版材が記載されている。これらの版材は熱モードのダイレクト版材であって、印加エネルギーとして近赤外線レーザーを用いるために通常の室内での取り扱いが可能であり、また現像が不要であるために製版工程を大きく簡略化できる利点がある。しかしながら、これらに記載の版材では数万部の印刷を行った場合に、画像部および非画像部の耐刷性が低い場合がある。かかる問題点を解決する手段として国際公開WO98-29258では親水性バインダーに結合させたルイス塩基部分と金属イオンとの相互作用を利用する方法が提案されているが、エッチング処理を施さない印刷用途では刷りだし時の汚れを回避するため記録層の最表面に薄膜層を設けることが必要であったり、架橋工程(硬化処理工程)を塗布、乾燥後に別工程で行う必要な場合があるなど製造のプロセスが煩雑であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上の通り、先行する技術は、版性能、製版装置、製版作業性、あるいは版材や製版、装置のコストの点で商業レベルでの実施に問題があった。また、反応性マイクロカプセルと親水性バインダーポリマーを利用した現像レスダイレクト平版に於いても、大印刷部数での画像部および非画像部の耐刷性が十分でない場合があり、また、製造のプロセスが煩雑であるという問題点を有している。本発明は、従来のダイレクト型オフセット版材のこれらの問題点を解決することを目的とするものである。即ち、本発明の目的は、高耐刷性、高寸法精度の平版印刷版が得られ、かつ、地汚れのない鮮明な画像の印刷物が得られる平版印刷原版をプロセスを簡略化することにより低価格で安定して供給することである。さらに、製版工程において、現像液などの廃棄物処理の必要な現像工程がなく、専用の大掛りかつ高価な製版装置を用いなくとも製版できる平版印刷原版およびその製版方法を提供することも本発明の目的であり、更には、印刷機上で感材層を形成する新しい現像不要型の感熱平版印刷原版を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、非画像形成要素が親水性バインダーポリマーと、少なくともアルミニウム原子を含む架橋材を有する場合に、エッチング処理を施さない印刷用途においても薄膜層の設置の必要が無い感熱平版印刷原版が得られることを見いだし、本発明に至った。すなわち本発明は以下の通りである。
【0009】請求項1に係る感熱平版印刷原版は、画像形成要素と非画像形成要素を有する記録層と、支持体とを備える感熱平版印刷原版であって、前記非画像形成要素が親水性バインダーポリマーと、少なくともアルミニウム原子を含む架橋材を有することを特徴とする。請求項2に係る感熱平版印刷原版は、請求項1記載の感熱平版印刷原版であって、前記架橋材が塗布乾燥のみで前記親水性バインダーポリマーを硬化できる架橋材であることを特徴とする。
【0010】請求項3に係る感熱平版印刷原版は、請求項1または2記載の感熱平版印刷原版であって、前記親水性バインダーポリマーが、炭素−炭素結合から形成されるポリマー、または酸素、窒素、硫黄、リンからなるヘテロ原子の少なくとも一種以上で結合された炭素原子もしくは炭素−炭素結合から構成されるポリマー、即ち、ポリ(メタ)アクリレート系、ポリオキシアルキレン系、ポリウレタン系、エポキシ開環付加重合系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリビニル系、多糖類系もしくはそれらの複合系のポリマーであって、構造中にカルボキシル基を含有するポリマーであることを特徴とする。
【0011】請求項4に係る感熱平版印刷原版は、請求項1乃至3記載の感熱平版印刷原版であって、前記親水性バインダーポリマーが構造中にリン酸基、スルホン酸基から選ばれる1種以上の官能基を含有することを特徴とする。請求項5に係る感熱平版印刷原版は、請求項1乃至4記載の感熱平版印刷原版であって、前記架橋材が一種以上のアルカリ土類金属原子を含有することを特徴とする。
【0012】請求項6に係る感熱平版印刷原版は、請求項1乃至5記載の感熱平版印刷原版であって、前記画像形成要素が熱により画像部に転換する親油性微粒子を有することを特徴とする。請求項7に係る感熱平版印刷原版は、請求項6記載の感熱平版印刷原版であって、前記親油性微粒子がマイクロカプセルであることを特徴とする。請求項8に係る感熱平版印刷原版は、請求項7記載の感熱平版印刷原版であって、前記マイクロカプセルが水中油滴型エマルションを経て形成されることを特徴とする。
【0013】請求項9に係る感熱平版印刷原版は、請求項1乃至8記載の感熱平版印刷原版であって、前記支持体が印刷機の版胴または版胴上に予め設置された支持体であることを特徴とする。請求項9に係る感熱平版印刷原版の製造方法は、請求項1乃至8記載の感熱平版印刷原版が塗布液調合後、塗布、乾燥工程のみで形成されることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本発明の感熱平版印刷原版は大きく分けて記録層、支持体に分けることができるが、まず最初に記録層について説明する。本発明の記録層は、画像形成要素と非画像形成要素によって構成される。本発明において、非画像形成要素は親水性バインダーポリマーと、少なくともアルミニウム原子を含む架橋材とを有していなければならない。
【0015】アルミニウム原子を含んでなる架橋材は、親水性バインダーポリマーを架橋する機能を有するが、その架橋機構はアルミニウムイオンによるイオン架橋であっても、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物による架橋であっても構わない。アルミニウム原子の親水性バインダーポリマーとの構成比は、特に限定されないがアルミニウム原子/親水性バインダーポリマー重量比で1/100〜5の範囲が好ましく、更に好ましくは、1/50〜2の範囲である。即ち、アルミニウム原子の割合が少なすぎると架橋強度が十分でない場合があり、多すぎると塩の構造を取って析出する場合があり画像の形成の妨げとなる場合があるからである。
【0016】本発明の少なくともアルミニウム原子を含む架橋材は、塗布、乾燥のみでバインダーポリマーを硬化する機能を有していることが、版を製造するプロセスが簡略化されるため好ましい。アルミニウム原子を記録層に導入する方法としては、予め画像形成要素と親水性バインダーポリマーを含む溶液中にアルミニウム供給源を混合しておく方法、親水性バインダーポリマー、画像形成要素を支持体上にコーティングしてから後処理によって供給する方法がある。これらの中で、予め混合しておく方法が、記録層を塗布などの方法で形成した後に処理する必要が無くプロセスが簡便になり好ましい。また、後処理によって供給する場合は、塗布などの方法によって画像形成要素と親水性バインダーポリマーを含む層を形成した後、主として水溶液などの溶液を介して、版の溶液に対する浸漬法、溶液の版上への塗布、噴霧などの方法によって供給される。
【0017】本発明における、アルミニウム原子供給源は、その簡便性から一般には塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどの無機アルミニウム塩の溶液が使用されるが、特に限定される必要はなく、例えば、アルミニウムエトキシドに代表されるアルミニウムアルコキシドを使用する方法、予めパラトルエンスルホン酸のアルミニウム塩のような有機アルミニウム塩の構造として使用する方法、水酸化アルミニウムの微粒子から供給する方法などが使用できる。
【0018】本発明における親水性バインダーポリマーとは、炭素−炭素結合から形成されるポリマー、または酸素、窒素、硫黄、リンからなるヘテロ原子の少なくとも一種以上で結合された炭素原子もしくは炭素−炭素結合から構成されるポリマー、即ち、ポリ(メタ)アクリレート系、ポリオキシアルキレン系、ポリウレタン系、エポキシ開環付加重合系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリビニル系、多糖類系等もしくはそれらの複合系のポリマーを基本骨格とし、該構造中に親水性官能基少なくとも一種類以上含有するポリマーである。
【0019】本発明に於いて、親水性バインダーポリマーの主鎖骨格は、前述の化学結合を複数種含んでいも構わない。即ち、ビニル基を含有する化合物と(メタ)アクリロイル基を含有する化合物の共重合ポリマーやアミド基とウレタン基を含有するポリマーなどが含まれる。また、本発明に於いて親水性バインダーポリマーは1種類のポリマーで構成されても良いし複数種のポリマーで構成されても良い。
【0020】本発明に言う親水性官能基とは、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基およびこれらの塩、アミド基、水酸基、ポリオキシアルキレン基を指す。親水性官能基の親水性バインダーポリマー中の割合は、前述の基本骨格の種類と使用する親水性官能基の種類により、それぞれの試料について次に記載するいずれかの方法で実験的に適宜求めていけばよい。すなわち、本発明の親水性バインダーポリマーの親水性は、支持体上に親水性バインダーポリマーを含んでなる感熱平版印刷原版を形成し、実施例に記載する方法で印刷版の作成と印刷試験を行い、印刷用紙へのインキの付着の有無、あるいは、印刷前後の非画像部の用紙の反射濃度差(例えば、大日本スクリーン製造(株)製、反射濃度計DM400)で評価する、又は水−ケロシンを用いた水中油滴法接触角測定法(例えば、協和界面科学製接触角計、型式CA−A)でケロシンが試料に付着するか否かで評価する。
【0021】前者の方法で評価する場合、肉眼で観察し、インキ汚れが認められなければ可、認められれば不可とするか、印刷前後の非画像部の用紙の反射濃度差が0.01未満を可、0.01以上を不可とする。後者の方法で評価する場合、新聞印刷のように低粘度インキを使用する印刷版向けには、試料の上記接触角が約150度より大きいことが必要であり、さらには160度以上が好ましい。印刷前に練ってから使用する高粘度インキを使用する印刷版向けには、約135度より大きいことが必要である。
【0022】これらの中で、(メタ)アクリル酸、そのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸、そのアルカリ金属塩およびアミン塩、3−ビニルプロピオン酸、そのアルカリ金属塩およびアミン塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、そのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、そのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、そのアルカリ金属塩及びアミン塩の少なくとも一種を用いて合成された、ホモまたはコポリマー等やアルギン酸及びその塩に代表されるカルボキシル基含有天然高分子化合物のように、親水性バインダーポリマーの構造中にカルボキシル基が存在する場合、親水性結合材の強度が向上し好ましく用いられる。
【0023】更に、ビニルスルホン酸、そのアルカリ金属塩およびアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アッシドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートの少なくとも一種を用いて合成された、ホモまたはコポリマー等のように、親水性バインダーポリマーの構造中にリン酸基、スルホン酸基から選ばれる1種以上の官能基を含む場合、親水性向上、記録層形成用のドープの安定化に寄与するため好ましい。
【0024】また、親水性バインダーポリマーの架橋前の数平均分子量は特に限定されないが、1000〜200万が好ましく、5000〜100万がより好ましい。分子量が低すぎると硬化が十分でない場合があり、分子量が高すぎると支持体上への膜形成及び乾燥速度のバランスを取るのが困難になる場合がある。本発明の親水性バインダーポリマーには本発明の目的を損なわない範囲で上述の親水性基部分以外の官能基が結合されてもよい。特に後述する画像形成要素と化学結合しうる官能基を親水性バインダーポリマーが有していると、画像耐刷性の観点から好ましい。具体的には、特開平7−01849号公報、特開平7−01850号公報に開示している方法を例示できる。
【0025】本発明において、非画像形成要素には、本発明の目的を損なわない範囲で、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、ポリシロキサン系、フッ素系などの各種界面活性剤類、シリカ、アルミナ、ジルコニア、珪藻土、炭酸カルシウム、クレイ、タルク、酸化亜鉛、酸化チタン、カオリン、焼成カオリン、加水ハロイサイトなどの無機添加剤類、更にはステアリン酸、ミリスチン酸、ジラウリルチオジプロピオネート、ステアリン酸アミド、ステアリン酸亜鉛等の常温固体の滑剤等を混合することが出きる。これら、界面活性剤類、無機添加剤類、滑剤類は単体で用いても良いし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】これらの中でポリシロキンサン系の界面活性剤類が好ましく用いられる。ポリシロキサン系の界面活性剤類は塗料添加剤等の名称で市販されており、例示するならば、共栄社化学(株)製のグラノール100、グラノール400、グラノール440、ポリフローKL245、ポリフローKL250、ポリフローKL260、信越化学工業(株)製のKP316、KP360、KP361、KP341などがある。
【0027】更に、本発明の親水性バインダーポリマーは、例えばバインダーポリマーに導入されたエチレン付加重合性不飽和基の光又は熱による付加重合、活性水素とイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物あるいはグリシジル基含有化合物との反応、エポキシの開環反応などの三次元架橋構造を1種類以上含んでいてもよい。本発明において、架橋材はアルミニウム原子と共に一種以上のアルカリ土類金属原子を含有することが親水性の向上、膜強度の向上の観点で好ましい。機構は、未だ解明されていないが、アルミニウム原子とアルカリ土類金属原子はこれらを含んでなる複合金属酸化物を形成されることが報告されており、この複合金属酸化物が親水性の向上や膜強度向上に有効な作用を及ぼしていると推察される。アルカリ土類金属原子とアルミニウム原子の比は、特に限定されないがアルカリ土類金属原子/アルミニウム原子のモル比で1/100〜6の範囲が好ましい。
【0028】アルカリ土類金属原子を供給する方法は、アルミニウム原子を供給する場合と同様、予め画像形成要素と親水性バインダーポリマーを含む溶液中にアルミニウム供給源と共に混合しておく方法、親水性バインダーポリマー、画像形成要素を支持体上にコーティングしてから後処理によって供給する方法がある。これらの中で、予め混合しておく方法が、記録層を塗布などの方法で形成した後に処理する必要が無くプロセスが簡便になり好ましいが、前述の如くアルミニウム原子とアルカリ土類金属原子はこれらを含んでなる複合金属酸化物を形成する場合があるので、アルカリ土類金属原子のみを後処理によって供給する方法も好ましい方法である。
【0029】後処理によって供給する場合に関しても、アルミニウム原子の導入法と同様、塗布などの方法によって画像形成要素と親水性バインダーポリマーを含む層を形成した後、主として水溶液などの溶液を介して、版の溶液に対する浸漬法、溶液の版上への塗布、噴霧などの方法によって供給される。これらの供給法は、アルミニウム原子供給源、アルカリ土類金属原子供給源、バインダーポリマー及び添加剤の組み合わせによってプロセス適性、印刷性能を鑑み適宜供給法の組み合わせを決定すればよい。アルカリ土類金属原子供給源は、その簡便性から一般には塩化カルシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウムなどの無機塩の溶液が使用されるが、特に限定される必要はなく、例えば予めパラトルエンスルホン酸のアルカリ土類金属塩のような有機塩の構造として混合されても良いし、炭酸カルシウムの微粒子や、予めアルミニウム原子とからなる複合金属酸化物を合成してから供給されても良い。
【0030】次に、画像形成要素について説明する。本発明において、画像形成要素は、熱により非画像形成要素の親水性を低下させ、印刷時にインキが付着する成分であれば特に限定されない。例えば、熱により膨張、融解、昇華、または分解する親油性微粒子、熱により分解または融解する壁構造を有するマイクロカプセル、熱により内包物の透過性が変化する壁構造を有するマイクロカプセル、熱によりコンフォメーションの変化を伴って表面側に親油性基を向ける高分子化合物類、熱により表面にマイグレーションして親油性部を形成する非画像形成要素中に均一に分散された物質、非画像形成要素の破壊に伴い表面に存在することになる親油性の層などである。
【0031】これらの中で、画像形成要素が親油性微粒子を有している場合、より鮮明な画像が得られること、より保存性の高い版が得られること等の観点から好ましい。更に、微粒子がマイクロカプセルである場合には、熱かぶりの発生が更に抑制され、より鮮明な画像が得られるため好ましい。本発明の親油性微粒子は、特に限定されるものではないが、熱により膨張、融解、昇華、または分解などの変化を伴う物質であることが好ましい。また、画像情報の書き込みの際にレーザー光を使用する場合には、用いるレーザーの発光波長領域に吸収帯を有する光−熱変換物質を親油性微粒子中に含有させて用いる。かかる物質としては、例えば、松岡賢著「JOEM ハンドブック2 アブソープション スペクトル オブ ダイズ フォー ダイオード レイザーズ」ぶんしん出版(1990)、シーエムシー編集部「90年代 機能性色素の開発と市場動向」シーエムシー(1990)第2章2.3に記載されているポリメチン系色素(シアニン色素)、フタロシアニン系色素、ジチオール金属錯塩系色素、ナフトキノン、アントラキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、アミニウム、ジインモニウム系色素、アゾ系分散染料、インドアニリン金属錯体色素、分子間型CT色素等の染料、顔料および色素がある。
【0032】具体的には、N−[4−[5−(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−2,4−ペンタジエニリデン]−3−メチル−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]−N,N−ジメチルアンモニウムアセテート、N−[4−[5−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−フェニル−2−ペンテン−4−イン−1−イリデン]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]−N,N−ジメチルアンモニウム パークロレート、N,N−ビス(4−ジブチルアミノフェニル)−N−[4−[N,N−ビス(4−ジブチルアミノフェニル)アミノ]フェニル]−アミニウム ヘキサフルオロアンチモネート、5−アミノ−2,3−ジシアノ−8−(4−エトキシフェニルアミノ)−1,4−ナフトキノン、N′−シアノ−N−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−1,4−ナフトキノンジイミン、4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシブチル)−1−オキソ−3−チオキソピロロ[3,4−b]アントラセン−5,10−ジオン、5,16(5H,16H)−ジアザ−2−ブチルアミノ−10,11−ジチアジナフト[2,3−a:2′3′−c]−ナフタレン−1,4−ジオン、ビス(ジクロロベンゼン−1,2−ジチオール)ニッケル(2:1)テトラブチルアンモニウム、テトラクロロフタロシアニン アルミニウムクロライド、ポリビニルカルバゾール−2,3−ジシアノ−5−ニトロ−1,4−ナフトキノン錯体等が例示出来る。また、これらの色素を単独で使用することもできる。
【0033】親油性微粒子のサイズは特に限定されないが、平均10μm以下、高解像力の用途には平均5μm以下が好ましい。下限に関しては、熱かぶりなどの観点から平均0.01μm以上であることが好ましい。さらに、本発明の親油性微粒子がマイクロカプセルである場合、前述の如く熱かぶりの発生が更に抑制され、より鮮明な画像が得られるため好ましい。マイクロカプセルは、例えば経営開発センター経営教育部編「マイクロカプセル化の新技術とその用途開発・応用実例」経営開発センター出版部刊(1978)などに記載される公知の方法に従って合成されたものであり、例えば、互いに溶解しあわない二つの液体の界面で、予め各々の液体に添加してあるリアクタントを重縮合させ、両溶媒に不要なポリマー膜を形成させ、カプセル膜を作る界面重合法、芯物質の内側または外側のどちらか一方のみからリアクタントを供給し、芯物質の周囲にポリマー壁を形成させるin−situ法、親水性ポリマー溶液中に分散させた疎水性物質の表面に、親水性ポリマーを相分離させ、カプセル膜を作るコンプレックスコアセルベート法、有機溶液系からの相分離法等により合成される。中でも、界面重合法、in−situ法が比較的多くの芯物質のカプセル化が容易に行えるため好ましい。生成したカプセル中の親油性成分の形態は、原料状態と異なるものであってもよく、例えば、原料状態が液体であったものが、合成途中で印字による熱で流動しうる程度のゲル状、あるいは高粘稠性体、あるいは固体になったり、逆に固体であったものが合成途中で液体になってもよい。
【0034】マイクロカプセルの合成過程は、一般に乳化工程と合成工程より構成されるが、乳化時に、水中油滴型(O/W型)エマルションを形成している場合、親水性のバインダーポリマー中に分散しやすいマイクロカプセルが比較的容易に得られるため本発明においては好ましく用いられる。マイクロカプセルの外殻は、前述の如くの合成方法により任意に設計できるが、マイクロカプセルが親水層に含有された状態で印刷した際に、非画像部の地汚れが発生しないことが必要であり、親水性を有していることが好ましい。代表的なものを例示すれば、ポリウレタン/ウレア膜及びその変性体、付加重合性モノマーの重合体もしくは共重合体からなるポリマー膜、メラミン−ホルマリン樹脂類、アラビアゴム、アルギン酸類などの天然高分子類及びその架橋体や変性体などが挙げられる。
【0035】マイクロカプセルの内包物は、特に限定されるものではないが、 フェニルイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリデンジイソシアネート、ポリメチレン−ポリフェニルイソシアネート、ポリメリック−ポリイソシアネート等のイソシアネート;トリメチロールプロパンと1,6−ヘキサンジイソシアネートあるいは2,4−トリレンジイソシアネートといった上記ジイソシアネートとの1対3モル付加体等のポリイソシアネート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートのオリゴマーおよびポリマーなどのイソシアネート化合物、【0036】及びそれらのウレタン、ウレア、アミド変性体;N,N′−メチレンビスアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルピリジン、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N′−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N′−ジメチルアミノネオペンチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2ピロリドン、ダイアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルミド、パラスチレンスルホン酸およびその塩、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量400)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量1000)、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量400)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量600)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量1000)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(PPG数平均分子量400)、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパンおよびそのアクリレート体、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ポリエチレンおよびポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェートおよびそのメタクリル体、グリセリンモノおよびジ(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートおよびそのメタクリル体、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリルモノマー類、これらと単官能(メタ)アクリレートとの組合せ、【0037】さらには前述の親水性基を含有する(メタ)アクリレートモノマーとの組合せ;N−フェニルマレイミド、N−(メタ)アクリルオキシコハク酸イミド、N−ビニルカルバゾール、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリル化合物、これらと単官能アリル化合物との組合せ;さらには、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ビニル基、チオール基、エポキシ基等の反応性基をポリマー分子両末端に含有する1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、水添加1,2−ポリブタジエン、イソプレン等の液状ゴム;ウレタン(メタ)アクリレート等の各種テレキーリック性ポリマー;炭素−炭素不飽和基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基含有反応性ワックス;プロピレングリコール−ジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコール−ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール−ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール−ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン−トリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル等の多官能エポキシ化合物等が使用できる。さらには、既存のPS版の画像成分として使用されている架橋前の公知の、(メタ)アクリルコポリマーやウレタンアクリレート、ジアゾ樹脂も使用出来る。また、合成・天然樹脂として、ポリアミド系、ポリエステル系、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系、アクリロニトリル系、ポリウレタン系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリフルオロエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリスチレン系、ポリブタジエン系、天然ゴム系の他、シリコーン、シリコーンアクリル、シリコーンエポキシ、シリコーンアルキッド、シリコーンウレタンのようなシリコーン系ポリマー等が挙げられ、必要に応じて複数種類を用いてもよい。
【0038】親油性成分は、室温で固体状、液体状何れでもよい。親油性成分中に含まれるエチレン付加重合性モノマーやオリゴマーの付加重合性官能基の反応を利用して、親油性成分と親水性バインダーポリマーとを化学反応させるか、あるいは親油性成分自身を反応させる場合は、公知の光又は熱重合開始剤使用できる。本発明において親油性微粒子の使用量は、印刷用途毎の必要とされる耐刷性に応じて決めればよい。通常は、親油性微粒子/親水性バインダーポリマー重量比率が1/20〜200/1の範囲、さらには感度、耐刷性の観点からは、1/15〜100/1の範囲で使用するのが好ましい。
【0039】本発明の記録層には、以下に述べるような増感剤、光-熱変換物質、熱破壊剤、発色剤、反応性物質、親水性調整剤、溶融物吸収剤、滑剤や、その他の添加物を本発明の目的を損なわない範囲で含有することができる。これらの添加剤は、ドープ調合時に添加する方法、画像形成要素に包含させる方法、あるいは支持体と非画像形成要素の中間にバインダー樹脂と一緒に設ける方法がある。その使用量は用いる添加剤の効果、非画像部の耐刷性、といった観点から決めればよい。
【0040】また、熱による画像形成を促進する目的や画像形成要素と親水性バインダーポリマーとの反応促進を目的として、増感剤を添加することが出来る。添加により、印字感度の高感度化、耐刷性の向上および高速製版が可能となる。かかる増感剤として、例えばニトロセルロース等の自己分解性物質、置換されたシクロプロパン、キュバン等高歪み化合物、画像形成要素同士又は画像形成要素と親水性バインダーポリマーの反応触媒がある。
【0041】更に、記録層と支持体の接着強度を高める目的として公知のシラン系、チタン系などのカップリング剤類やキレート剤などを記録層に混合して使用することもできる。印字部のみが発色する公知の感熱色素を親油性成分と併用し、印字部の可視化を計ると検版を行ないやすいので好ましい。例えば、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランとビスフェノールAなどのロイコ染料および粉砕した顕色剤の組合せ等がある。大河原信他編「色素ハンドブック」講談社刊(1986)等の成書に開示されている感熱色素が使用できる。
【0042】親水性の調整、画像形成材料の固定や架橋剤の安定化を目的として、使用する親水性バインダーポリマー以外の反応性、非反応性のポリマーを親水性ポリマーを耐刷性を損なわない範囲で記録層に添加してもよい。本発明に使用される支持体は、印刷分野に要求される性能とコストを勘案して公知の材料から選択すればよい。多色刷りといった高寸法精度が要求される場合、版胴への装着方式が金属支持体に合わせて出来上がっている印刷機で用いる場合には、アルミニウム、鉄、ステンレス製等の金属支持体が好ましい。多色印刷せず高耐刷性が要求される場合はポリエステル、ポリカーボネート等のプラスチック支持体、さらに低コストが要求される分野には紙、合成紙、防水樹脂ラミネート或いはコート紙支持体が使用できる。また、金属支持体の場合は前述のカップリング剤類やキレート剤類を予め設置して使用することもでき、紙やプラスチックシート上にアルミ表面を蒸着したり、高分子、低分子の有機物を接着剤層としてラミネート、塗布などの手段で設けた複合支持体なども使用することができる。接着剤は親水層成分と使用する支持体に合わせ選択・設計する必要がある。
【0043】山田章三郎監「接着・粘着の事典」朝倉書店刊(1986)、日本接着協会編「接着ハンドブック」日本工業新聞社刊(1980)等に記載のアクリル系、ウレタン系、セルロース系、エポキシ系等接着剤が使用できる。支持体と接触する材料との接着性向上のために支持体自身の表面処理を施したものを使用してもよい。プラスチックシートの場合は、コロナ放電処理、ブラスト処理等を好ましい方法として挙げることができる。アルミニウムの場合は、小久保定次郎著「アルミニウムの表面処理」(1975年内田老鶴圃新社)、大門淑男著「PS版の製版印刷技術」(1976年日本印刷)、米沢輝彦著「PS版概論」(1993年印刷学会出版部)等の公知文献に記載の方法を用いて、脱脂・表面粗面化処理や、脱脂・電解研磨・陽極酸化処理等を施したものを使用することが好ましい。
【0044】更に、印刷機上で塗布、製版を行う用途に関しては、印刷機の版胴上に上記の支持体を予めセットしてから塗布したり印刷機の版胴そのものに塗布することもできる。本発明に於いて記録層は、支持体上にバーコータやブレードコータなどで塗布、あるいはスプレーで噴霧して設ける方法、あるいは支持体を溶液又は分散液に浸漬したのち不要部分を掻き取る方法などで設けることができる。本発明において、記録層の厚みは特に限定されずコストや耐刷性などの観点から適宜設定できる。通常は0.1〜100μmであり、0.5〜10μmが好ましい。
【0045】本発明に於いて記録層の乾燥条件は特に限定されず、乾燥速度や印刷時の実用性能とのバランスをみて適宜設定される。通常は、常温から200℃の範囲で実施される。また、乾燥は冷風、温風、熱風を吹き付ける方式でも行われても良いし実質的に風のないところで加熱して行われても良い。また、本発明の感熱平版印刷原版は本発明の目的を損なわない範囲で上述の記録層表面に薄膜層を設けることもできる。記録層表面に薄膜層を設けると、外部から飛来する汚れ原因物質の受容を抑制したり、親水性を付与することによって印刷初期の汚れを更に減少させることができる場合がある。具体的には、前述の親水性バインダーポリマーのところで例示した物質やそれらと前述の界面活性剤、添加剤類とを組み合わせたものが使用できる。
【0046】薄膜層は、記録層と同様に薄膜層形成材料の溶液又は、分散液を記録層表面にバーコータやブレードコータなどで塗布、あるいはスプレーで噴霧して設ける方法、あるいは版を薄膜層形成材料の溶液又は分散液に浸漬する方法などで設けることができる。その厚みは、0.01〜10μmであり、0.1〜1μmが好ましい。また、乾燥条件も記録層と同様に、乾燥速度や印刷時の実用性能とのバランスをみて適宜設定されるが、通常は、常温から200℃の範囲で実施される。
【0047】更に、本発明に於いては必要に応じ、塗布、乾燥後や薄膜層設置後に版面付着物を除去する水洗や薬洗、版面のpHをコントロールする水洗や薬洗等を行うことができる。水洗や薬洗を行う温度は、その薬品や水の状態を勘案して適宜決定される。また、必要に応じ乾燥を行うこともでき、乾燥温度は、工業生産性並びに版の性能を勘案して適宜設定される。本発明の感熱平版印刷原版を製版するには、電子組版機、DTP、ワードプロセッサー、パーソナルコンピュータ等で作製・編集された文書・画像をサーマルヘッド、熱モードのレーザーを用いて熱モード描画・印字するだけで現像工程は一切行なわず完了する。
【0048】本発明における熱モード描画・印字とは熱を直接与える印字や活性光線を吸収させて熱に変換する印字など、熱で画像を形成する描画・印字方式を言う。印字後、非画像部の画像形成要素が表面に析出しない温度で加温(ポストキュアー)もしくは、版全面に活性光線照射することにより画像部の架橋度を高めることが出来る。後者の方法を実行する場合、記録層中に前述の光重合開始剤や光カチオン重合開始剤とそれによって反応が進む官能基を有する化合物とを併用するか画像形成要素に該官能基を導入することが必要である。該開始剤、官能基を有する化合物は前述のほか、例えば、加藤清視著「紫外線硬化システム」総合技術センター刊(1989)、加藤清視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」高分子刊行会(1985)等の成書に記載の公知のものも使用しうる。
【0049】以上のようにして得られた平版印刷版は、市販のオフセット印刷機にセットし通常の方法で印刷することができる。また、印刷機上に熱モードのレーザーのような製版機構を有する場合は、本発明の原版を印刷機にセットし、製版、印刷を連続した操作で行うことができる。更には、印刷機上に塗布装置のような記録層を設ける機構と製版機構を有している場合は、本発明の塗布ドープを印刷機上で塗布し、必要に応じ乾燥し、続いて製版、印刷を連続した操作で行うことができる。印刷する際、必要ならば平版印刷版に通常のエッチング処理を施してから印刷することが出来る。
【0050】また、本発明の非画像形成要素は優れた親水性を有しているため、感熱タイプのみならず平版印刷の幅広い分野において使用することが可能である。即ち、画像形成要素の種類に応じて、光モードでレーザー光を用いる平版印刷原版の非画像形成要素として使用することができ、更には、外部よりインクジェット方式や電子写真方式で画像形成要素を供給する平版印刷版や構成刷り用の印刷版などの非画像形成要素としても使用できる。以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0051】
【実施例1】(1)画像形成要素(マイクロカプセル[M−1])の合成トリレンジイソシアネート3モル/トリメチロールプロパン1モル付加物(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製、25重量%酢酸エチル含有物)14.4重量部、近赤外線吸収色素(日本化薬(株)製 KayasorbIR−820B)3重量部をグリシジルメタクリレート70重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート3重量部中に均一に溶解させて油性成分を調製した。次いで、別途調製した3重量%のアルギン酸プロピレングリコールエステル(ダックロイドLF、紀文フードケミファ(株)製、数平均分子量:2×105)水溶液1200重量部にポリエチレングリコール(PEG 400、三洋化成(株)製)9.8重量部を混合した水相を調製した。続いて、上記油性成分と水相をホモジナイザーを用いて10000rpmで室温下混合乳化した後、60℃で3時間反応させて平均粒径1.5μmのマイクロカプセル[M−1]を得た。
【0052】(2)親水性バインダーポリマー[P−1]の合成セパラブルフラスコ中にアクリル酸5重量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸5重量部、水90重量部を計量し、攪拌混合しながら60℃に昇温した。次いで、別途作製した2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド(和光純薬工業(株)製VA−044)の1重量%水溶液5重量部を添加し、60℃を維持して3時間反応させて親水性バインダーポリマー[P−1]を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法を用いて数平均分子量を求めたところ分子量は3×105であった。
【0053】(3)感熱平版印刷原版Aの作成陽極酸化を施したアルミニウム板(厚さ0.24mm、310mm×458mm)上に、[P−1]の10重量%水溶液:10.0重量部、[M−1]分散液:10.0重量部、塩化アルミニウム六水和物の10重量%水溶液:6重量部の割合で配合し調製したドープをバーコーター(ロッド16番)で塗布し、100℃で乾燥して感熱平版印刷原版Aを得た。
【0054】(4)平版印刷版の作成及び印刷感熱平版印刷原版Aに、電子組版装置と接続した、1W半導体レーザー素子搭載の印字装置で印刷画像を熱印字し、オフセット印刷機(ハマダ印刷機械株式会社製、HAMADA611XL)に装着し上質紙に対しエッチング処理を行わずに印刷した(用いたインキは大日本インキ工業(株)製のGEOS−Gで、湿し水は富士写真フィルム(株)製のEU−3を100倍希釈したもの)。その結果、刷りだしより鮮明な印刷物が得られ、1万部を過ぎても地汚れがなく、画像部も鮮明に印刷できた。印刷前の用紙と1万部印刷後非画像部の用紙反射濃度を反射濃度計(DM400、大日本スクリーン製造(株)製)にて測定したところ、両者の差(ΔOD)は、0.00で目視でも汚れは認められなかった。また、ベタ画像部の反射濃度(OD)は1.20であった。また、記録層の剥離は観測されなかった。
【0055】
【実施例2】(1)感熱平版印刷原版Bの作成陽極酸化を施したアルミニウム板(厚さ0.24mm、310mm×458mm)上に、ポリアクリル酸(ジュリマーAC10MP、日本純薬(株)製、数平均分子量:8×104)の10重量%水溶液:10.0重量部、[M−1]分散液:10.0重量部の割合で配合し調製したドープをバーコーター(ロッド16番)で塗布し、100℃で乾燥して感熱平版印刷材料を得た。次に、この版を塩化アルミニウム六水和物の10重量%水溶液1.5リットル中に3分間浸漬後、精製水(和光純薬(株)製)1リットルを用いて1分間水洗し、100℃で3分間乾燥して感熱平版印刷原版Bを作成した。
【0056】(2)平版印刷版の作成及び印刷感熱平版印刷原版Bを実施例1と同様の方法で製版し印刷評価したところ、刷りだしより鮮明な印刷物が得られ1万部を過ぎても地汚れがなく、画像部も鮮明に印刷できた。印刷前の用紙と1万部印刷後非画像部の用紙反射濃度を反射濃度計(DM400、大日本スクリーン製造(株)製)にて測定したところ、両者の差(ΔOD)は、0.00で目視でも汚れは認められなかった。また、ベタ画像部の反射濃度(OD)は1.20であった。また、記録層の剥離は観測されなかった。
【0057】
【実施例3】(1)親水性バインダーポリマー[P−2]の合成アクリル酸を2−ヒドロキシエチルアクリレートに変更した以外はP−1と同様にして親水性バインダーポリマー[P−2]を合成した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法を用いて数平均分子量を求めたところ分子量は2×105であった。
【0058】(2)感熱平版印刷原版Cの作成陽極酸化を施したアルミニウム板(厚さ0.24mm、310mm×458mm)上に、[P−2]の10重量%水溶液:10.0重量部、[M−1]分散液:10.0重量部、塩化アルミニウム六水和物の10重量%水溶液:4重量部、硝酸カルシウム四水和物の10重量%水溶液4重量部の割合で配合し調製したドープをバーコーター(ロッド16番)で塗布し、100℃で乾燥して感熱平版印刷原版Cを得た。
【0059】(3)平版印刷版の作成及び印刷感熱平版印刷原版Cを実施例1と同様の方法で製版し印刷評価したところ、刷りだしより鮮明な印刷物が得られ1万5千部を過ぎても地汚れがなく、画像部も鮮明に印刷できた。印刷前の用紙と1万5千部印刷後非画像部の用紙反射濃度を反射濃度計(DM400、大日本スクリーン製造(株)製)にて測定したところ、両者の差(ΔOD)は、0.00で目視でも汚れは認められなかった。また、ベタ画像部の反射濃度(OD)は1.20であった。また、記録層の剥離は観測されなかった。
【0060】
【実施例4】(1)画像形成要素(親油性微粒子[M−2])の製造3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート13.2重量部,2−ヒドロキシエチルアクリレート5.9重量部と触媒のジブチルチンジラウレート0.05重量部とを酢酸エチル80重量部に溶解し、50℃、15分間撹拌した後70℃、2時間反応しアクリル基とイソシアネート基とを同一分子中に有する化合物を合成した。次いで、近赤外線吸収色素(日本化薬(株)製KayasorbIR−820B)1重量部と2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.38重量部を溶解したアセトン50重量部を添加、混合した後溶剤を留去し、さらに真空乾燥した。得られた固化物を乳鉢で粉砕し、この中に該固化物とほぼ同量の水/エタノール(5.5/2.5重量比)溶液とアルミナボールと加え、ペイントシェーカーで1時間振とう、粉砕し親油性微粒子[M−2]を調製した。一次分散粒子の平均サイズは1.8μmであった。
【0061】(2)感熱平版印刷原版Dの作成[M−1]の分散液10重量部の変わりに[M−2]の分散液4重量部とした以外は実施例1と同様にして感熱平版印刷原版Dを得た。
(3)平版印刷版の作成及び印刷感熱平版印刷原版Dを実施例1と同様の方法で製版し印刷評価したところ、刷りだしより鮮明な印刷物が得られ1万5千部を過ぎても地汚れがなく、画像部も鮮明に印刷できた。印刷前の用紙と1万5千部印刷後非画像部の用紙反射濃度を反射濃度計(DM400、大日本スクリーン製造(株)製)にて測定したところ、両者の差(ΔOD)は、0.00で目視でも汚れは認められなかった。また、ベタ画像部の反射濃度(OD)は1.20であった。また、記録層の剥離は観測されなかった。
【0062】
【実施例5】(1)親水性バインダーポリマー[P−3]の合成2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸をモノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェートに変更した以外はP−1と同様にして親水性バインダーポリマー[P−3]を合成した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法を用いて数平均分子量を求めたところ分子量は8×104であった。
【0063】(2)感熱平版印刷原版Eの作成親水性バインダーポリマー[P−1]の替わりに[P−3]を用いた以外は実施例1と同様にして感熱平版印刷原版Eを得た。
(3)平版印刷版の作成及び印刷感熱平版印刷原版Eを実施例1と同様の方法で製版し印刷評価したところ、刷りだしより鮮明な印刷物が得られ1万部を過ぎても地汚れがなく、画像部も鮮明に印刷できた。印刷前の用紙と1万部印刷後非画像部の用紙反射濃度を反射濃度計(DM400、大日本スクリーン製造(株)製)にて測定したところ、両者の差(ΔOD)は、0.00で目視でも汚れは認められなかった。また、ベタ画像部の反射濃度(OD)は1.20であった。また、記録層の剥離は観測されなかった。
【0064】
【実施例6】(1) 感熱平版印刷原版Fの作成基材を陽極酸化処理を施していないアルミニウム板に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱平版印刷原版Fを作製した。
(2)平版印刷版の作成及び印刷感熱平版印刷原版Fを実施例1と同様の方法で製版、印刷を行ったところ実施例1と同様の印刷結果であった。即ち、刷りだしより鮮明な印刷物が得られ、1万部を過ぎても地汚れがなく、画像部も鮮明に印刷できた。印刷前の用紙と1万部印刷後非画像部の用紙反射濃度を反射濃度計(DM400、大日本スクリーン製造(株)製)にて測定したところ、両者の差(ΔOD)は、0.00で目視でも汚れは認められなかった。また、ベタ画像部の反射濃度(OD)は1.20であった。また、記録層の剥離は観測されなかった。
【0065】
【実施例7】(1) 感熱平版印刷原版Gの作成塩化アルミニウム六水和物の10重量%水溶液6重量部を硝酸アルミニウム九水和物の10重量%水溶液9重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱平版印刷原版Gを作製した。
(2)平版印刷版の作成及び印刷感熱平版印刷原版Gを実施例1と同様の方法で製版、印刷を行ったところ実施例1と同様の印刷結果であった。即ち、刷りだしより鮮明な印刷物が得られ、1万部を過ぎても地汚れがなく、画像部も鮮明に印刷できた。印刷前の用紙と1万部印刷後非画像部の用紙反射濃度を反射濃度計(DM400、大日本スクリーン製造(株)製)にて測定したところ、両者の差(ΔOD)は、0.00で目視でも汚れは認められなかった。また、ベタ画像部の反射濃度(OD)は1.20であった。また、記録層の剥離は観測されなかった。
【0066】
【実施例8】(1)親水性バインダーポリマー[P−4]の合成セパラブルフラスコ中にアクリル酸3重量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸7重量部、水90重量部を計量し、攪拌混合しながら60℃に昇温した。次いで、別途作製した2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド(和光純薬工業(株)製VA−044)の1重量%水溶液5重量部を添加し、60℃を維持して3時間反応させて親水性バインダーポリマー[P−4]を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法を用いて数平均分子量を求めたところ分子量は3×105であった。
【0067】(2)感熱平版印刷原版Hの作成[P−1]の10重量%水溶液:10.0重量部に変えて[P−4]の10重量%水溶液:10.0重量部を使用し、塩化アルミニウム六水和物の10重量%水溶液:6重量部に変えて、アルミニウムエトキシド0.2重量部を使用した以外は実施例1と同様にして感熱平版印刷原版Hを作製した。
(3)平版印刷版の作成及び印刷感熱平版印刷原版Hを実施例1と同様の方法で製版、印刷を行ったところ、刷りだしより鮮明な印刷物が得られ、1万部を過ぎても地汚れがなく、画像部も鮮明に印刷できた。印刷前の用紙と1万部印刷後非画像部の用紙反射濃度を反射濃度計(DM400、大日本スクリーン製造(株)製)にて測定したところ、両者の差(ΔOD)は、0.00で目視でも汚れは認められなかった。また、ベタ画像部の反射濃度(OD)は1.20であった。また、記録層の剥離は観測されなかった。
【0068】
【実施例9】(1) 感熱平版印刷原版Iの作成塗布ドープにポリシロキサン系界面活性剤グラノール400(共栄社化学(株)製)を0.4部添加した以外は、実施例1と同様にして感熱平版印刷原版Iを作製した。
(2)平版印刷版の作成及び印刷感熱平版印刷原版Iを実施例1と同様の方法で製版、印刷を行ったところ、刷りだしより鮮明な印刷物が得られ、1万部を過ぎても地汚れがなく、画像部も鮮明に印刷できた。印刷前の用紙と1万部印刷後非画像部の用紙反射濃度を反射濃度計(DM400、大日本スクリーン製造(株)製)にて測定したところ、両者の差(ΔOD)は、0.00で目視でも汚れは認められなかった。また、ベタ画像部の反射濃度(OD)は1.20であった。また、記録層の剥離は観測されなかった。
【0069】
【実施例10】実施例1で使用した塗布液をオフセット印刷機(ハマダ印刷機械株式会社製、HAMADA611XL)に予め装着した陽極酸化処理を施していないアルミニウム板にスプレーで塗布し、ドライヤーを用いて熱風で乾燥し感熱平版印刷原版Jを得た。感熱平版印刷原版Jを取り外し、速やかに電子組版装置と接続した、1W半導体レーザー素子搭載の印字装置で印刷画像を熱印字して再びオフセット印刷機に装着して実施例1と同様にして印刷を行ったところ刷りだしより鮮明な印刷物が得られ、1万部を過ぎても地汚れがなく、画像部も鮮明に印刷できた。印刷前の用紙と1万部印刷後非画像部の用紙反射濃度を反射濃度計(DM400、大日本スクリーン製造(株)製)にて測定したところ、両者の差(ΔOD)は、0.00で目視でも汚れは認められなかった。また、ベタ画像部の反射濃度(OD)は1.20であった。また、記録層の剥離は観測されなかった。一方で、感熱平版印刷原版Jを印刷機から取り外さずそのまま印刷を行った場合も、地汚れの発生や記録層の剥離は観察されなかった。この結果より、印刷機上に製版装置を組み込まれた装置を使用すれば版胴上に設置された基材上で記録層の設置、製版、印刷が続けて実施できることが確認された。
【0070】
【比較例1】塩化アルミニウム六水和物を混合しなかった以外は実施例1と同様にして平版印刷原版を得、製版、印刷を行ったところ100部程度で記録層が剥離した。
【0071】
【比較例2】塩化アルミニウム六水和物10重量%水溶液の替わりに塩化第二錫五水和物の10重量%水溶液を使用して実施例1と同様に塗布液の調合を試みたところ沈殿が生成し、塗布が行えなかった。
【0072】
【比較例3】塩化アルミニウム六水和物10重量%水溶液の替わりに塩化第二錫五水和物の10重量%水溶液を使用して実施例2と同様にして平版印刷原版を得、製版、印刷を行ったところ刷りだし初期に部分的に地汚れが発生する場合があった。
【0073】
【発明の効果】本発明によって、地汚れが極めて少なくしかも画像耐刷性の高い平版印刷原版を低コストで安定して提供することができる。更に、記録層表面への薄膜層の設置の必要が無く、塗布、乾燥のみでも製造でき、プロセスの簡略化を図ることができる。




 

 


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