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発明の名称 粉体接着剤および接着芯地
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−98467(P2001−98467A)
公開日 平成13年4月10日(2001.4.10)
出願番号 特願平11−274462
出願日 平成11年9月28日(1999.9.28)
代理人
発明者 勝部 寅市
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 芯地用接着剤として使用される粉体接着剤であって、その成分が、それぞれ下記の特性を有するポリエチレン粉末(A)と無機微粉末(B)からなり、かつ、ポリエチレン粉末(A)を構成する粒子の表面に無機微粉末(B)が分散しており、その比率が、ポリエチレン粉末(A)の100重量部に対して無機微粉末(B)が0.03〜3重量部の範囲であって、かつ、該粉体の充填速度の値が1.2g/sec以上の特性値を有することを特徴とする粉体接着剤。上記のポリエチレン粉末(A)は、エチレン単独重合体または/およびエチレンーαオレフィン共重合体であって、そのメルトインデックス値が1〜30g/10min、融点が125〜140℃、粉末の粒度が40〜180ミクロンの範囲に90重量%以上あり、その平均粒度が50〜150ミクロンのものである。上記の無機微粉末(B)は、嵩密度は0.01〜0.5g/cc、平均粒度は10ミクロン以下の無機化合物の微粉末である。
【請求項2】 接着芯地に使用されている芯地用接着剤が、請求項1に記載の粉体接着剤を用いたものであって、接着芯地の製造方法がパウダードット方式であり、かつその接着芯地の塗工面の光沢度が8〜30%であることを特徴とする接着芯地。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシャツやブラウスの襟や袖口、前立などに使用される接着芯地の接着剤およびその接着剤を用いた接着芯地に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シャツやブラウスの襟や袖口、前立などに使用される接着芯地に使用されている接着剤のひとつに、ポリエチレン粉末がある。この接着芯地用の接着剤に用いられるポリエチレンや接着芯地に関する文献としては、1988年9月20日、日本ハイモ工業株式会社発行、[接着芯地ハンドブック]ペーター・スロカ著、鈴木仁子翻訳がある。また、接着芯地に関する用語の意味についても、特に断りのない限り、該文献に記載されているので、本文でもそれを用いる。
【0003】この他の文献の例としては、特開昭57−21408、特開昭58−169503、特開平2−307982などにも記載されている。それらによれば、ポリエチレンとしては、融点が100〜120℃の低密度ポリエチレンに比較して、融点(溶融範囲)も125〜140℃と比較的高く、そのぶん、染み出しや逆染み出しが少なく、耐ドライクリーニング性や耐水洗い性に優れた中〜高密度ポリエチレンが好ましく使用されている。この接着芯地用の接着剤に適した50〜200ミクロンの粒度のポリエチレン粉末の製造方法としては、機械粉砕による方法の他に、直接に懸濁重合によって製造する方法が知られている。
【0004】ポリエチレン粉末は、パウダー散布方式、パウダードット方式、スクリーンプリント方式、ペーストドット方式等によって芯地基布上に塗布され、樹脂粉末の焼結処理を施し、接着芯地として既述の用途に使用されている。なかでも凹版印刷の技術を応用したパウダードット方式は最も多く用いられている接着芯地の製造方法である。パウダードット方式には、カラチシステムとサラディンシステム、およびその組合せがある。パウダードット方式は、加熱したスチールロールに巻き付けて熱せられた芯地基布にプレスロールをあてて加圧する。
【0005】プレスロールには目的に応じて形状や深さ、単位面積当たりの数が彫り込まれた窪み(点配列モレットグラビヤ)があり、グラビヤロール、ドットロール、窪みロールとも呼ばれている。窪みにはポリエチレン粉末が充填されており、この粉末はホッパーの先端にあるドクターから窪みに移されたものであるが、プレスロールが熱せられた芯地基布の上に押し当てられると、基布表面に熔着、凝集作用が起こり、このため粉末は窪みから基布に移る。この凝集作用に加えて、引き続き赤外線加熱等をして点状に並んだそれぞれの粉塊の粒子を焼結させて芯地に定着させ、冷却すれば接着芯地となる。
【0006】機械粉砕法や懸濁重合によっ直接製造されたポリエチレン粉末をパウダードット方式によって芯地基布上に塗布し、焼結処理を施す芯地の製造方法において、いくつかの問題点がある。そのひとつは、塗布ミスであり、粉末が塊になったり、ブリッジを起こしロールの窪みに充填されなかったり、充填不足になったり、あるいは充填した粉末が窪みから出てこなかったりして、接着芯地としての接着性や接着強力に欠陥を生じるという問題がある。これを少なくするために、装置上ではホッパー内に攪拌装置を取り付けたりしている。
【0007】また、原料上では粉末の形状を球状に近づけたり、粒度分布や平均粒度の制御を行い、粉体の見掛密度や、安息角の低い粉体を製造することが特開昭57−21408に提案されている。それによれば、粉体特性としては嵩密度(見掛密度)が0.3〜0.55、安息角が25〜45°、50%粒径(平均粒度)が53〜149ミクロンの球状〜楕円状のもので、メルトインデックスが1〜100g/10minのものが提案されている。そのような特徴や特性値を満たしたポリエチレン粉末であっても、パウダードット方式で接着芯地を製造しょうとすると、ロール温度や基布の送り速度、あるいはドクターの調整などの人為的な条件調整の不具合の他に、時として起こる原因不明のドット跳びや充填不足からくる接着強力の不足が出るという問題があった。
【0008】もうひとつは、出来上がった接着芯地において表裏(塗布有り・無し)の光沢度が殆ど同じである場合は、目視では判別しにくいという欠点がある。この目視判別を容易にするには塗布面の光沢度を上げることで可能である。従来は、芯地の基布にとっては過酷となるが、焼結処理時の温度を更に上げ、焼結後の樹脂が充分溶融している間に冷却ロールに掛けて表面の平滑化を強制的に行うことで可能である。しかし、その場合、樹脂が芯地の裏面に染み出したり、あるいは表地との接着時に染み出したりして、テカリが発生し易いという欠点がある。一般的なテカリ防止については、特開昭58−169503に、プレスロールのドットの大きさを小さくすることが提案されている。そのためには、プレスロールのドットに彫られた、より小さな窪みにも粉体接着剤が充填するように、粉体接着剤の充填特性を更に改良する必要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】これらの問題点や欠点あるいは粉体接着剤に対する要望に対して、本発明は、ポリエチレン粉末をパウダードット方式によって芯地基布上に塗布し、焼結処理を施す芯地の製造方法において、粉体接着剤の評価方法に新たな指標を見出し、その基に粉体の充填特性を改良することによって、プレスロールのドットのサイズの小さいものでも、ドット跳びや充填不足を改善し、焼結処理温度を上げることや強制的な平滑化処理を行わずとも、表裏の目視判別が容易な芯地用の粉体接着剤および接着芯地を提供することを目的とする。なお、本発明の表現において、粉末に対して粉体は、それよりやや広義の用語として用いている。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、本発明の下記の手段によって解決される。
[1] 芯地用接着剤として使用される粉体接着剤の成分が、それぞれ下記の特性を有するポリエチレン粉末(A)と無機微粉末(B)からなり、かつ、ポリエチレン粉末(A)を構成する粒子の表面に無機微粉末(B)が分散しており、その比率が、ポリエチレン粉末(A)の100重量部に対して無機微粉末(B)が0.03〜3重量部の範囲であって、かつ、該粉体の充填速度の値が1.2g/sec以上の特性値を有することを特徴とする。
【0011】上記のポリエチレン粉末(A)は、エチレン単独重合体または/およびエチレンーαオレフィン共重合体であって、そのメルトインデックス値が1〜30g/10min、融点が125〜140℃、粉末の粒度が40〜180ミクロンの範囲に90重量%以上あり、その平均粒度が50〜150ミクロンのものである。上記の無機微粉末(B)は、嵩密度は0.01〜0.5g/cc、平均粒度は10ミクロン以下の無機化合物の微粉末である。
【0012】[2] 接着芯地に使用されている芯地用接着剤が、上記[1]に記載の粉体接着剤を用いたものであって、接着芯地の製造方法がパウダードット方式であり、かつその接着芯地の塗工面の光沢度が8〜30%であることを特徴とする接着芯地。以下に、本発明を構成する接着剤成分の必要特性とその作用、またそれを用いた接着芯地について更に具体的に記述する。
【0013】接着芯地に用いられている基布については、本発明では特に制限はなく、いずれのものでも使用できる。例えば平織の、綿100%の織物、T/C(ポリエステル/綿の縦糸と横糸の混紡)織物、ポリエステル100%織物などがあげられ、なかでもT/C織物は風合いと収縮のバランスが良いため、接着芯地の基布として多く用いられており、本発明の効果の確認の標準生地としても用いている。このT/C基布の光沢度は、通常4〜6%の範疇であり、すくなくとも塗布面の光沢度を2%以上あげることで、通常条件下では目視判別は容易となる。
【0014】この塗布面の光沢度を上げるには、従来は焼結処理温度を上げ、焼結後の樹脂が充分溶融している間に冷却ロールに掛けて表面の平滑化を強制的に行うことは既述した。もう一方では、ブラウスやワンピースなどの表生地が薄いものに対しては、接着芯地の光沢が高すぎると、それがテカリとして、透けて見えるので、光沢度は30%程度が上限とされる。 本発明に用いるポリエチレンの特性値として限定したメルトインデックス値の範囲は、1〜30g/10min、融点は125〜140℃の範囲であり、このポリエチレン粉末を単独で焼結したときの光沢度は、10〜30%程度の値となるものである。
【0015】つまり、このポリエチレン自体の光沢度を保持しながら、時として起こる原因不明のドット跳びや充填不足からくる接着強力の欠点を解決できる手段を講じれば良いことになる。この様な観点から、本発明では特にパウダードット方式に用いるポリエチレン粉体のプレスロールへの充填特性を改良でき、かつその粉体をを焼結したとき製品としての光沢度を低下させず、接着芯地としての性能を保持できる、粉体特性の改良剤の探索と組合せ等について研究した。
【0016】本発明の芯地用接着剤を構成するポリエチレン粉末(A)は、エチレン単独重合体または/およびエチレンと炭素数が3〜10のαオレフィンとの共重合体である。αオレフィンとの共重合体は、既に知られているように樹脂の融点を下げ、また接着芯地としたときの柔軟性や風合いを持たせるのに効果的であり、耐洗濯堅牢性を向上させる効果がある。次に、JIS K7120法による190℃、2.16kg荷重によるメルトインデックス値が1〜30g/10min、特に好ましくは5〜25のものである。樹脂の融点は、JIS K7121法による10℃/miinの速度で昇温したときの主ピークの温度(以下、融点という)が125〜140℃のもの、更に好ましくは125〜135℃のものである。
【0017】この特性値は、芯地基布上で樹脂が溶けたときに適度な溶融粘度となる指標値である。例えば、通常の木綿糸/ポリエステル糸からなるT/C65/35基布に対しては、上記の範囲においてメルトインデックス値が低めのものを用い、形態安定加工が施された芯地基布に対しては、メルトインデックス値が高めのものを用いる。そうすることによって形態安定加工を施された難接着表地に対しても適度に樹脂が染み込み、そのアンカー効果によって接着強力を保持し、また必要以上に樹脂樹脂の溶融粘度が下がることによる芯地の裏面への染み出し、表地との接着時の染み出しによるテカリの発生を防ぐ。なお、樹脂の密度(JIS K7112測定法による)については、その値が低い方が、焼結完了時の光沢度は高くなる。
【0018】接着芯地用の接着剤としては、本発明においても、粒度が40〜180ミクロンのポリエチレン粉末が用いるが、このポリエチレン粉末の好ましい形状は球状である。樹脂ペレットを機械的に粉砕したものは、樹脂の融点よりほんの少し低い温度で攪拌・摩砕処理して丸い形状に仕上げたものが良い。懸濁重合によっ直接製造されたポリエチレン粉末は、ほぼ球状をしているので、そのまま利用できる。これらの粉末の粒度はJIS K6069法による篩分級試験において、粒度分布を測定し、その累積分布の50重量%の粒度を平均粒度と称する。
【0019】塗工方法がパウダードット方式では、粉末に微粉が多いと、粒子同志の摩擦が大きくなり、プレスロールの窪みへの充填性が損なわれ易く、また芯地基布に塗布したときに目地から裏面へ抜け出す。粒度が大きすぎると、粉末の見掛密度が小さくなり、プレスロールの窪みへの充填量が少なくなることによる接着強力の低下を招く。これらの欠点を防ぐためには、粉末の最低限の条件として、その粒度が40〜180ミクロンの範囲に90重量%以上で、その平均粒度が50〜150ミクロンの範囲にあること、更に好ましくは粒度が50〜150ミクロンの範囲に90重量%以上あり、平均粒度が70〜120ミクロンの範囲ものである。
【0020】特開昭57−21408に提案されているポリエチレン粉末の特性としてとして示された、嵩密度(見掛密度)、安息角、50%粒径(平均粒度)、形状、メルトインデックス範囲、およびその値は本発明をなすにあたっても大いに参考となるものであった。しかしながら、上記の特性を満足する球状のポリエチレン粉末であっても、プレスロールの窪みへの充填性などにおいては充分ではなかった。
【0021】つまり、現実にはプレスロールは、およそ20〜30m/minといった速い速度で回転しており、その間にホッパー下部の開口部からプレスロールに彫られた多くの小さな窪みへ粉体が迅速に充填されねばならないということに対しては、必ずしも十分な特性ではなかったためであると思われる。特に平均粒度が小さい粉末ほど粒子同志の接触点が増え、摩擦も大きいために、粉体の流動性が低下することによるプレスロールの窪みへの充填不足が生じ易かった。
【0022】これを改善するために本発明においては、ポリエチレン粉末(A)を構成する粒子の表面に、無機微粉末(B)を分散させることで、ポリエチレン粉末の粒子同志の摩擦を低減し、プレスロールの窪みへの充填性を大きく向上出来る粉体が得られることを見出し、本発明に至った。
【0023】本発明における、無機微粉末(B)の、嵩密度は0.01〜0.5g/cc、平均粒度は10ミクロン以下の無機化合物の微粉末である。上記の特性を満たす無機微粉末であれば、殆どのものは目的を達成可能であり、具体的には天然の鉱物微粉末、あるいは合成の微粉末であり、例えばクレー、珪藻土、ハイドロタルサイト、タルクなどの天然の鉱物微粉末、、天然または合成シリカ微粉末、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物の微粉末、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛などの炭酸金属塩の微粉末等があげられる。
【0024】中でも好ましくは、少なくとも、炭酸カルシウム、シリカ、珪藻土、アルミナ、タルク、ハイドロタルサイト、酸化チタンの1種、またはそれを主成分とした微粉末である。これらの選別の理由として、例えばアエロジルタイプのシリカやアルミナ、酸化チタンなどは、高価ではあるが極少量で粉体の充填速度を改良する。またアエロジルタイプのアルミナは更なる特徴として、粉体の静電気を中和する作用が見とめられ、製造現場での取扱い作業によい環境をもたらす。
【0025】また、タルクは単体では粉体の充填速度の改良効果は他に比べて少ないが、ポリエチレンの結晶サイズを微細にする作用(造核剤効果)がシリカや炭酸カルシウム等に比較して大きいため、低光沢度のポリエチレン粉末をベースとして用いても、接着芯地としたときの光沢度を向上させる働きがある。一例として、タルクに充填速度を改良する効果の大きいアエロジルタイプのアルミナとを併用することによって、それぞれの特徴をを持った、より高度の付加価値のある粉体接着剤が得られる。
【0026】これらを限定したもうひとつの重要な理由は、接着芯地の製造方法が、パウダードット方式である場合に、出来上がりの接着芯地の塗工面の光沢度をJISK7105による測定方法において60°鏡面光沢度を8〜30%となるようにして、塗工面と非塗工面の目視判定を容易にするためである。すなわち、上記の無機化合物の微粉末であり、かつ特定の嵩密度と平均粒度を満たすものが、出来上がりの接着芯地の塗工面の光沢度を低下させない組合せとなることを見出した。
【0027】本発明に用いる無機微粉末(B)であれば、ポリエチレン粉末(A)の摩擦低減や充填速度の向上、光沢の維持、向上等に効果が発現する。ポリエチレン粉末(A)の100重量部に対する無機微粉末(B)の添加量は0.03重量部以上、特に好ましくは0.05重量部以上である。この下限の添加量はポリエチレン粉末の粒径、つまりポリエチレン粉体全体の表面積によって決まる。用いるポリエチレン粉末の粒度が40〜180ミクロンの範囲に95重量%以上あり、その平均粒度が50〜150ミクロンの範囲にあるのものに対する無機微粉末の最低の添加量は、0.03重量部以上であり、最大の添加量は3重量部、通常は1重量部あれば充分である。添加量の過剰は接着性や接着強力を損なう。
【0028】次に本発明において重要なことは、ポリエチレン粉末(A)を構成する粒子の表面に無機微粉末(B)が分散している(まぶされている)ことである。これを均等かつ効果的に分散させるには、無機微粉末の平均粒度は10ミクロン以下のなるだけ微粉末が好ましい。より好ましくは0.01〜5ミクロン程度のものである。この平均粒度の測定方法は、Coulter cunter Methodまたは電子顕微鏡観察による。
【0029】ポリエチレン粉末(A)を構成する粒子の表面への無機微粉末(B)の分散方法としては一般的なブレンダーやミキサーと呼ばれる機械を用いて、二次凝集を起こさない程度に攪拌混合すれば良い。場合によっては双方を更に簡易な容器や袋に入れて、人力で振り混ぜて分散させたものであっても良い。これらの混合・分散方法においては、、無機微粉末の嵩密度は0.5g/cc以下のなるだけ嵩だかい物の方が、ポリエチレン粉末(A)を構成する粒子の表面に無機微粉末(B)が分散している(まぶされている)状態に、少量で均一分散出来ることから粉体特性改良効果が高い。ただし、余りにも嵩密度が低いと飛散・浮遊しやすくなり取扱いは不便となる。この無機微粉末の嵩密度の測定方法は、JIS K5101、20による。
【0030】次に、本発明ではこうして得られたポリエチレン粉体の充填速度の値は、1.2g/sec以上でなければならない。この充填速度は、JIS K6721法で測定した見掛密度の値(単位:g/cc)と、該測定装置の規定の漏斗から100ccの粉体が流出する速度をストップウォッチ等で計測し、その測定値を粉体の流動速度(単位:sec/100cc)としたとき、充填速度(単位:g/sec)={見掛密度(g/cc)÷流動速度(sec/100cc)}×100として計算した値である。尚、見掛密度や流動速度の測定は、測定試料の粉体が帯電している場合は、除電して行うこととする。
【0031】芯地用接着剤として適した粉体は、この充填速度の値が1.2g/sec以上、更に好ましくは、1.5g/sec、以上である。このような特性値を満たすことによって、パウダードット方式で、嵩密度や安息角といった指標では判らなかった、粉末の流動し易さ(単位時間当たりの流動量、すなわち、充填速度)が不足したことによるドット跳びや充填不足を改善し、それによる接着強力の不足や低下が改善される。また、粉末の充填速度が大きく改良されることによって、基布の送り速度を速くすることが可能で、生産性を向上できる。また、ドットのサイズの小さいプレスロールにも、充分適用可能なものとなる。
【0032】この他に、ポリエチレン粉末には一般的に配合される熱安定剤や滑剤、あるいは目的によっては、粉体顔料などの粉末が添加されることもあるが、無機微粉末(B)が50重量%以上、好ましくは60重量%以上を占めるものであれば、本発明に対する悪影響は出ないか、または少ない。これまでに述べたことにおいて、本発明の芯地用接着剤として、特に重要なことは、ポリエチレン粉末(A)を構成する粒子の表面に無機微粉末(B)が分散している(まぶされている)ことであり、かつ、該粉体の充填速度の値が、少なくとも1.2g/sec以上の特性値を有することである。
【0033】本発明の芯地用接着剤を、パウダードット方式の接着芯地製造用の接着剤原料として用いれば、従来の原料や製造条件に起因した問題点の多くを改善できるものとなる。従って、パウダードット方式の接着芯地の製造においても、焼結処理温度を更に上げて、焼結後の樹脂が充分溶融している間に冷却ロールに掛けて表面の平滑化を強制的に行うといったことも必要でなくなるし、ドットの小さいプレスロールに対しても適用可能である。つまり、特別な装置や製造条件を変更せずとも表裏(塗布あり、塗布無し)の目視判別が容易で、接着強力を保持し、テカリの少ない接着芯地が得られる。また、充填速度が大きければ芯地基布の送り速度を上げることが可能となり、生産速度を上げられる。
【0034】この他に、本発明のポリエチレン粉体には一般的に配合される熱安定剤や滑剤、脂肪酸亜鉛微粉末、あるいは目的によっては、粉体顔料や造核剤(例えば、ベンジリデンソルビトール系、有機燐酸塩系、芳香族カルボン酸金属塩)などの粉末を添加することが可能であり、その場合でもそれらに対して無機微粉末(B)が50重量%以上、好ましくは60重量%以上を占めるものであれば、本発明に対する悪影響は出ないか、または少なかった。
【0035】以上に述べたように、本発明の効果としては、ポリエチレン粉末をパウダードット方式によって芯地基布上に塗布し、焼結処理を施す芯地の製造方法において、原料粉末ポリエチレンの粉体特性について新たな指標を見出し、その基に粉体の充填特性を改良することによって、それに起因するドット跳びや充填不足を改善し、焼結処理温度を上げることや強制的な平滑化処理を行わずとも、表裏の目視判別が容易な芯地用接着剤および接着芯地を提供することを可能とした。
【0036】
【発明の実施の形態】以下に、更に具体的な実施例のいくつかを上げて、本発明を説明する。ここで用いるポリエチレン粉末として、直接に懸濁重合によって製造された無添加品の、ほぼ球状をしたポリエチレンの粉末を2種類(これを、A−1とA−2として表示する)用意した。A−1は、メルトインデックスが20g/10min、密度が0.965g/cc、融点が135℃のコポリマーである。この粉体の粒度分布は、250μ全通で、〜175μオンが0.5%、〜150μオンが2%、〜100μオンが20%、〜75μオンが22.5%、〜50μオンが34%、〜43μオンが13%、43μパスが3%(合計100%)であり、平均粒度は85ミクロンである。
【0037】A−2は、メルトインデックスが8g/10min、密度(JIS K7112測定法による)が0.95g/cc、融点が128℃のエチレンとブテンー1のコポリマーである。この粉体の粒度分布は、250μ全通で、〜175μオンが3%、〜150μオンが8%、〜100μオンが52%、〜75μオンが25%、〜50μオンが8%、〜43μオンが2%、43μパスが2%(合計100%)であり、平均粒度は112ミクロンである。
【0038】
【実施例1】、【比較例1〜8】ポリエチレン粉末として、A−1、A−2を用いた。また、見掛密度や平均粒度の異なる各種の無機微粉末、■;アエロジルタイプのシリカ超微粉末(嵩密度;0.05g/cc、平均粒度;0.013μ)、■;シリカ微粉末(嵩密度;0.14g/cc、平均粒度;1.8μ)、■;半粒化加工シリカ(嵩密度;0.26g/cc、解砕時の平均粒度;1.8μ)、■;炭酸カルシウム微粉末(嵩密度;0.17g/cc、平均粒度;0.15μ)を準備した。この無機微粉末をポリエチレン粉末に対して、表1に記載した重量部加え、ミキサーで混合・分散させた。得られたポリエチレン粉体の見掛密度、流動速度、およびその値から算出された充填速度を実施例1〜6として表1に記載した。
【0039】なお、比較例としてA−1、A−2の単独粉末、および粉体特性の改良剤として最も一般的に用いられているステアリン酸カルシウム微粉末を同様に分散させたポリエチレン粉体についても比較例1〜4として表1に記載した。。次にこの粉体の焼結品の光沢度を測定する試料を作成した。その方法としては、15cm*30cm*2mmtのアルミニウム板(試料台)上に、4cm*4cmの穴を開けた0.7mm厚みのボール紙(スペーサー)を置いて、そこにポリエチレン粉体を均等にドクターで充填し、ボール紙を取り除く。次に、9分30秒±15秒で槽内に入れた試料台が所定の温度に昇温するように制御された熱風循環乾燥機内に試料台を入れて、焼結を行わせる。この時の試料台の温度を焼結温度とする。
【0040】乾燥機内の試料台が、表1に記載した焼結温度になった時点で、試料台を室内に取り出し、室温(室温20〜30℃)で放冷する。上記の焼結温度は、実際の接着芯地製造における焼結温度に相当する温度である試料台が、150℃(乾燥機温度180℃)条件以外に、それより低い温度である試料台が140℃(乾燥機温度が168℃)、逆に高い温度である試料台が160℃(乾燥機温度が195℃)、過酷な(基布が変色する)温度である試料台が180℃(乾燥機温度が220℃)で行った。この時の乾燥機内温度および風速は、挿入時間が9分30秒±15秒で所定の試料台温度になるように制御されている。
【0041】次いで、焼結したシート状の試料を剥がし、光沢度測定に用いる。光沢度の測定面は、フリーになっている面(アルミニウム板に接していない面)で行う。上記の各種試料の光沢度を表1に記載した。この結果から無添加のポリエチレン粉末では、焼結品の光沢は問題無いが粉体の流動性が悪いため充填速度が不足している。また、ステアリン酸カルシウム添加品は、充填速度は問題無いが焼結品の光沢は低く、この光沢では実際の芯地に加工したときに表裏の目視判定が難しいことが予測される。また、焼結温度を180℃迄上げれば光沢は向上するが、この温度では実際の芯地加工では基布の熱変色が予測される。それに対して、本発明の無機微粉末添加系では、粉体の充填速度の向上効果が大きく、また焼結品の光沢の低下も殆ど無く、無添加品並みの光沢を保持している。
【0042】
【実施例7〜19】、【比較例5】ポリエチレン粉末として、A−1を用いた。このそれぞれの100重量部に対して、各種の無機微粉末、前記の■;アエロジルタイプのシリカ超微粉末(嵩密度;0.05g/cc、平均粒度;0.013μ)、■;シリカ微粉末(嵩密度;0.14g/cc、平均粒度;1.8μ)、■;炭酸カルシウム微粉末(嵩密度;0.17g/cc、平均粒度;0.15μ)、及び■;アエロジルタイプのアルミナ超微粉末(嵩密度;0.05g/cc、平均粒度;0.012μ)、■;タルク微粉末(嵩密度;0.14g/cc、平均粒度;4.2μ)を準備した。この無機微粉末をポリエチレン粉末に対して、表2に記載した重量部加え、ミキサーで混合・分散させた。得られたポリエチレン粉体の見掛密度、流動速度、およびその値から算出された充填速度を実施例7〜19として表2に記載した。
【0043】次に、このポリエチレン粉体の焼結品の光沢度を測定する試料を実施例1に記載した方法で作成した。上記の各種試料の光沢度を表2に記載した。比較例として、上記の比較例2のステアリン酸カルシウムの添加量を減じた場合の光沢度を観察したが、それほど改善は認められなかった。また、本発明の実施例において、表2に記載の添加量の範囲においては、充填速度および光沢度ともに良好であった。ただし、無機微粉末の添加量がある量を超えると粉体特性、光沢度とも低下傾向が認められた。また、タルク微粉末を併用した系は、ベースポリエチレンよりも明らかに焼結品の光沢が向上した。このことは、更に光沢度の低いポリエチレンでもベースとして使用できることをも示唆した。
【0044】
【実施例20〜21】、【比較例6〜8】ポリエチレン粉末として、A−1、A−2を準備した。このそれぞれの100重量部に対して、無添加、前記の■;炭酸カルシウム微粉末(嵩密度;0.17g/cc、平均粒度;0.15μ)を0.25重量部加え、ヘンシェルミキサーで混合・分散させた。 また、比較例として無添加品およびステアリン酸カルシウムを0.25重量部加え、ヘンシェルミキサーで混合・分散させたものについて、それぞれ得られたポリエチレン粉体の見掛密度、流動速度、およびその値から算出された充填速度および焼結品の光沢度を表3に記載した。
【0045】次に、参考として、この粉体を実際の接着芯地製造における散布方式に相当する方法で、芯地基布(T/C=65/35平織り#16、基布の光沢度は4.3%)上に、均等に30g/m2 となるよう散布し、熱風循環乾燥機内(180℃)に入れて、9分30秒間槽内に入れて焼結を行わせた。取り出した後は、室温25℃で放冷した。得られた接着芯地の塗布面の光沢度を測定した。
【0046】次に、一般の表地(T/C 65/35#40単糸)、及びT/=65/35の形態安定加工表地(難接着表地)を準備し、この夫々の表地と該接着芯地を重ねて、圧力2kg/cm2 ヒーター温度150℃で10秒間のプレス接着加工をした。そのものから、JIS L1089;5.10衣料用接着布試験方法(剥離強さ)に準じて、剥離試験用に1インチ幅の剥離試験片を切り出して、100mm/minの速度で引き剥がしたときの強度を接着強力とした。これらのデーターを合わせて表3に記載した。実施例のものは比較例に比べて、光沢度、接着強力ともに良好であった。
【0047】
【実施例22〜23】、【比較例9〜11】パウダードット方式のサラディンシステム芯地製造機を用いて接着芯地を製造した。接着芯地基布はT/C 65/35平織り#16、基布の光沢度は4.3%である。接着剤は、実施例22、23で得られた粉体であり、これを順に芯地接着剤試料(a−1)、(aー2)、比較例9〜11で得られた粉体を順に芯地接着剤試料(bー1)〜(b−3)とした。
【0048】先ず、比較例11の接着剤の散布量が32g/cm2 となるようにドクター角度などを調整して設定し、その他の試料は上記と同一条件で試験生産を実施した。このときの芯地製造における基布の送り速度は24m/min、グラビアロールに彫られたドット数は36*36/in2 、温度は97℃、バックアップロール温度は215℃、後加熱は赤外線ヒーターである。この試験生産のとき、原料ホッパーからのグラビアロールへの原料粉体の供給性と得られた接着芯地のドットの安定性を定性的に観察した。実施例のものは比較例に比べて、接着芯地製造時の安定性、得られた接着芯地の光沢度ともに良好であった。
【0049】また、得られた接着芯地とT/C 65/35のホルムアルデヒド加工された形態安定加工表地(難接着表地)との接着性を調べた。この時の接着加工条件は、圧力2kg/cm2 、ヒーター温度160℃で15秒間のプレス接着加工である。そのものから、1インチ幅の剥離試験片を切り出して、100/minの速度で引き剥がしたときの強度を接着強力を測定し、接着剤1g当たりの接着強力に換算して比較した。これらのデーターを合わせて表4に記載した。更に、JIS L1042による洗濯やドライクリーニング後の収縮率、 L1057によるアイロン収縮率を測定したが、従来品に比較して遜色は無かった。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
【発明の効果】本発明は、ポリエチレン粉末をパウダードット方式によって芯地基布上に塗布し、焼結処理を施す芯地の製造方法において、本発明のポリエチレン粉末と無機微粉末との組合せと配合処方によって、芯地用接着剤としてのポリエチレン粉体の充填特性を改良し、充填ミスによるドット跳びや充填不足を改善し、また焼結処理温度を上げることや強制的な平滑化処理を行わずとも、適度な光沢度を発現させられ、表裏の目視判別が容易な芯地用接着剤および接着芯地を提供することが出来る。また、形態安定加工を施された難接着表地に対しても接着強力を保持し、接着芯地としての性能も実用上十分な性能を保持した芯地用接着剤および接着芯地を提供できる。




 

 


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