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発明の名称 難燃性ポリエステル繊維及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−172823(P2001−172823A)
公開日 平成13年6月26日(2001.6.26)
出願番号 特願平11−353589
出願日 平成11年12月13日(1999.12.13)
代理人
発明者 佐藤 万紀 / 形舞 祥一 / 吉田 文和 / 奥原 宗和
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 エチレンテレフタレートを主たる構成単位とし、リン化合物を共重合または配合したポリエステルもしくはこれを含むポリエステルからなる繊維であって、ハンター型色差計で測定したL値が67以上、b値が10.00以下であり、下記(式1)を満足する高白度難燃ポリエステル繊維。
%B.B.<0.5 (式1)(但し、%B.B.は130℃の純水中密閉系に6時間浸漬した時のエステル結合の切れる度合いを示し、浸漬前の固有粘度を[η]i、浸漬後を[η]fとしたとき下記式2で求められる。なお、固有粘度はフェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタンの混合溶媒(重量比3/2)中、30℃で測定した値を用いる。)
%B.B. = 0.244 × [ [η]f-1.471 - [η]i-1.471] (式2)【請求項2】 前記リン化合物を、リン原子としてポリエステルに対して500〜15000ppm含有すると共に、有機蛍光増白剤0.01〜1重量%を含有し、さらに重縮合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、コバルト化合物を下記式(a)〜(c)を同時に満足する量含有することを特徴とする請求項1記載の高白度難燃ポリエステル繊維。
30≦S≦40010≦G≦1005≦C≦40200≦S+2G+C≦400(但し、S,G及びCはそれぞれアンチモン原子、ゲルマニウム原子、コバルト原子のポリエステルに対する含有量(ppm)を表す。)【請求項3】 前記リン化合物が、一般式(1):【化1】

(式中、R及びRは有機基又はハロゲン原子を示し、m及びnは0〜4の整数を示し、mが2〜4の整数の場合に複数存在するRは同一又は異なっていてもよく、nが2〜4の整数の場合に複数存在するRは同一又は異なっていてもよい。また、AはR及びRと同一又は異なる水素原子を含む有機基を示す。)で表されることを特徴とする請求項1または2記載の高白度難燃ポリエステル繊維。
【請求項4】 前記リン化合物の含有量が、ポリエステルに対してリン原子として3000〜10000ppmである請求項1〜3記載の高白度難燃ポリエステル繊維。
【請求項5】 前記リン化合物の含有量が、ポリエステルに対してリン原子として3000〜5000ppmである請求項1〜4記載の高白度難燃ポリエステル繊維。
【請求項6】 重縮合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、コバルト化合物を下記式(a)〜(c)を同時に満足する量使用することを特徴とする請求項1〜6記載の高白度難燃ポリエステル繊維の製造方法。
30≦S≦40010≦G≦1005≦C≦40200≦S+2G+C≦400(但し、S,G及びCはそれぞれアンチモン原子、ゲルマニウム原子、コバルト原子のポリエステルに対する含有量(ppm)を表す。)
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は難燃性ポリエステル繊維及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、高度な難燃性と良好な白度を兼ね備えた難燃性ポリエステル繊維、及びこを生産性良く製造する方法に関する。さらに、本発明は、高度な難燃性と良好な白度及び耐加水分解性を兼ね備えた難燃性ポリエステル繊維、及びこを生産性良く製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエステル、特に、ポリエチレンテレフタレートの優れた化学的、物理的性質を利用し、繊維として衣料用途、インテリア、詰め綿、不織布、産業資材用などに広く利用されている。しかしながら、ポリエチレンテレフタレート繊維は難燃性の面では不充分であり、この点の改良について、いろいろ努力が払われてきた。例えば、ポリマー製造時に難燃剤を添加し、共重合またはブレンドする方法、紡糸時に難燃剤を練り込む方法、さらにはポリエステル繊維を後加工し、繊維の表面あるいは内部まで難燃剤を付着あるいはしみこませる方法などが提案されている。
【0003】上記の方法のうち、後加工により難燃性を付与する方法は、風合いが粗雑になったり、洗濯、摩擦により難燃剤が脱落して性能が低下したりする欠点がある。また難燃剤を練り込む方法では、繊維の製造工程において難燃剤のしみだしが起こり、トラブルを引き起こす原因となる。それに対してポリマー製造時に難燃剤を共重合させる方法は、上述したような欠点を克服でき、最も工業的価値の高いものである。この難燃剤を共重合する方法としては、これまでにも多くの方法が提案されており、例えば特公昭49ー22958号公報にはリン化合物としてリン酸エステルをポリエステルに共重合することが開示されているが、目的とする難燃性を付与させる量までリン化合物を配合すると、3次元化によりポリエステルのゲル化が生じるため、繊維にしたときの物性が著しく低下する。また、特公昭36ー21050号、特公昭38ー9447号公報に記載の方法では、リン化合物としてホスホン酸またはホスホン酸エステル類を用いているが、ポリマー製造時にリン化合物の飛散が多く、目的とするリン量を配合できない。
【0004】こうした問題点を解決する方法として特公昭53ー13479号、特公昭55ー41610号公報記載の方法でカルボキシホスフィン酸を共重合する方法が開示されている。しかし、リン化合物による重合速度の低下、アンチモン触媒の還元による黒ずみと紡糸操業性の悪化、及びモノマー自体の黄色味による色相の悪さが問題であった。
【0005】そこで、特開平6−16796では、特定の重縮合触媒を組み合わせることによって、重合速度、ポリマーの色相を改善する方法が開示されている。しかし、この方法では、重合速度は改善できるものの、チタン触媒を使用することにより、ポリマーの熱安定性が悪化し、特に紡糸後、ポリマーの黄色着色が増加する。その結果、ポリマーの色相はある程度改善できるものの、白度自体を向上させるには至らず、高度な白度を必要とする用途には使用できないという問題があった。さらには、リン原子がポリマー主鎖に組み込まれているため、ポリエステルの耐加水分解性が悪く、後工程で繊維の強度が低下するという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、高度な難燃性と極めて良好な白度とを兼ね備えた難燃性ポリエステル、及びこを生産性良く製造する方法を提供する事を目的とする。また、本発明は高度な難燃性と良好な白度及び耐加水分解性を兼ね備えた難燃性ポリエステル、及びこを生産性良く製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために種々の検討を行った結果、ついに本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)エチレンテレフタレートを主たる構成単位とし、リン化合物を共重合または配合したポリエステルもしくはこれを含むポリエステルからなる繊維であって、ハンター型色差計で測定したL値が67以上、b値が10.00以下であり、下記(式1)を満足する高白度難燃ポリエステル繊維。
%B.B.<0.5 (式1)(但し、%B.B.は130℃の純水中密閉系に6時間浸漬した時のエステル結合の切れる度合いを示し、浸漬前の固有粘度を[η]i、浸漬後を[η]fとしたとき下記式2で求められる。なお、固有粘度はフェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタンの混合溶媒(重量比3/2)中、30℃で測定した値を用いる。)
%B.B. = 0.244 × [ [η]f-1.471 - [η]i-1.471] (式2)(2)前記リン化合物を、リン原子としてポリエステルに対して500〜15000ppm含有すると共に、有機蛍光増白剤0.01〜1重量%を含有し、さらに重縮合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、コバルト化合物を下記式(a)〜(c)を同時に満足する量含有することを特徴とする(1)の高白度難燃ポリエステル繊維。
30≦S≦40010≦G≦1005≦C≦40200≦S+2G+C≦400(但し、S,G及びCはそれぞれアンチモン原子、ゲルマニウム原子、コバルト原子のポリエステルに対する含有量(ppm)を表す。)(3)前記リン化合物が、一般式(1):【化2】

(式中、R及びRは有機基又はハロゲン原子を示し、m及びnは0〜4の整数を示し、mが2〜4の整数の場合に複数存在するRは同一又は異なっていてもよく、nが2〜4の整数の場合に複数存在するRは同一又は異なっていてもよい。また、AはR及びRと同一又は異なる水素原子を含む有機基を示す。)で表されることを特徴とする(1)または(2)記載の高白度難燃ポリエステル繊維。
(4)前記リン化合物の含有量が、ポリエステルに対してリン原子として3000〜10000ppmである(1)〜(3)記載の高白度難燃ポリエステル繊維。
(5)前記リン化合物の含有量が、ポリエステルに対してリン原子として3000〜5000ppmである(1)〜(4)記載の高白度難燃ポリエステル繊維。
(6)重縮合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、コバルト化合物を下記式(a)〜(c)を同時に満足する量使用することを特徴とする(1)〜(6)記載の高白度難燃ポリエステル繊維の製造方法。
30≦S≦40010≦G≦1005≦C≦40200≦S+2G+C≦400(但し、S,G及びCはそれぞれアンチモン原子、ゲルマニウム原子、コバルト原子のポリエステルに対する含有量(ppm)を表す。)【0008】このように、リン化合物を含有する難燃ポリエステルの製造に当たり、特定のリン化合物と特定の重縮合触媒を特定量組み合わせて用いることにより、高度な難燃性と白度と耐加水分解性を兼ね備えた高白度難燃ポリエステル繊維を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。本発明でいう難燃成分としては、一般にリンを含有する化合物であれば限定されないが、好ましく用いられる具体例としては、一般式(1):【化3】

(式中、R及びRは有機基又はハロゲン原子を示し、m及びnは0〜4の整数を示し、mが2〜4の整数の場合に複数存在するRは同一又は異なっていてもよく、nが2〜4の整数の場合に複数存在するRは同一又は異なっていてもよい。また、AはR及びRと同一又は異なる水素原子を含む有機基を示す。)で表わされるリン化合物が挙げられる。
【0010】かかる有機基(A)としては、各種のものを例示できるが、有機基のなかでも、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基等のエステル形成性官能基を含有する有機基を有するものはポリエステル共重合成分として使用され、好ましい。かかる一般式(1)で表される有機リン系化合物として、好ましく用いられる具体例としては、下記化学式(a)〜(z)、(α)〜(δ)で表されるものを例示できる。
【0011】
【化4】

【0012】
【化5】

【0013】
【化6】

【0014】
【化7】

【0015】
【化8】

【0016】
【化9】

【0017】これら化合物のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、プロピオングリコールエステル、ブタンジオールとのエステルなどのアルキルエステル、シクロアルキルエステル、アリールエステル、または、エチレングリコールエステルなどのアルキレングリコールエステル、またはこれらの環状酸無水物など、その誘導体が挙げられるがこれに限定されるものではない。さらに、これらの混合物をもちいることも可能である。
【0018】本発明において、前記一般式(1)で示されるリン化合物はリン原子が環員子になっているためか、通常使用されるリン化合物を用いる場合に比較して極めて熱的に安定である。従って、特に色調が良く、また従来の耐炎性ポリエステルより優れた物性を有している。そのため、このポリエステルは優れた性質を有する難燃性成形品を製造することが可能である。しかしながら、前記リン化合物は他のリン化合物に比して、特に還元力が強いため、アンチモン触媒が失活されやすく、生産工程での問題を起こしやすかった。前記一般式(1)で示されるリン化合物を用いる場合に、本発明の効果が、最も顕著に表れる。
【0019】なお、本発明の実施に際して用いる前記一般式(1)で示されるリン化合物のエステル形成性官能基が1個の場合には上記リン化合物は末端停止剤として作用することもあるので、公知の多官能性化合物、例えば、ペンタエリスリトール、3官能性カルボン酸などを併用するのが好ましい。
【0020】前記リン化合物は、本発明の難燃性ポリエステルを製造する際にメタノール、エタノールなどの1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの2価アルコールに溶解もしくは分散させて反応系に添加するのが好ましい。
【0021】また、これらのリン化合物はポリマー中のリン元素量が500〜15000ppmとなるように添加される。好ましくは3000〜10000ppmである。リン化合物の量がこの範囲より少ない場合には十分な難燃性能を発現せず、また逆に多い場合には、ポリエステル本来が持つ物理的性質を損なうだけでなく、ポリエステル繊維を製造する際の、操業性も低下するので好ましくない。しかしながら、特に一般式(1)で示されるリン化合物は環構造を有しているためか、難燃化能力が高く、3000〜5000ppmのリン含有量で、十分な難燃性を発揮する。
【0022】かかるポリエステルを得る方法としては、特別な重合条件を採用する必要はなく、ジカルボン酸及び/またはそのエステル形成性誘導体とグリコールとの反応生成物を重縮合して、ポリエステルにする際に採用される任意の方法で合成することができる。また、前記リン化合物はポリエステルの製造時に添加されるが、その添加時期は、エステル化工程初期から、初期縮合後期までの任意の段階で添加できる。副反応の抑制、反応機台の腐食の問題などから、エステル化工程の後期から初期縮合初期に添加するのが好ましい。
【0023】本発明においては、上記リン化合物を添加したポリエステルを製造する際に、重縮合触媒としてアンチモン化合物、コバルト化合物、及びゲルマニウム化合物を特定割合で併用する点に最大の特徴を有する。すなわち、下記(a)〜(d)式を満足する割合で用いることが肝要である。
30≦S≦400 (a)10≦G≦100 (b)5≦C≦40 (c)200≦S+2G+C≦400 (d)(但し、S,G及びCはそれぞれアンチモン原子、ゲルマニウム原子、コバルト原子のポリエステルに対する含有量(ppm)を表す。)【0024】アンチモン化合物の添加量が前記範囲未満の場合には重縮合反応が遅くなり、一方上記範囲を越える場合には得られるポリマーのハンター型色差計によるL値が低下するので好ましくない。さらに、一般的にリン化合物を多量に添加するとアンチモン化合物はリン化合物によって還元されるため、その還元物が異物となり、紡糸時のパック圧上昇、糸切れ、ノズル面汚れなどを引き起こし、紡糸操業性が極めて悪影響を及ぼすため好ましくない。触媒アンチモン量を削減する本発明の大きな効果の1つとして、生産性の向上が挙げられる。
【0025】また、ゲルマニウム化合物の添加量が上記範囲未満の場合には重縮合反応速度が遅くなり、一方上記を越える場合には、ゲルマニウムが非常に高価であるため、製造コストが高くなるだけでなく、ポリマーのb値が増大し好ましくない。
【0026】コバルト化合物の添加量が前記範囲未満の場合には、得られるポリマーの色調についてb値が高くなり、逆に越える場合にはb値が低くなりすぎるとともにL値も低下する傾向にあるので好ましくない。
【0027】さらに、G,S及びCが前記(d)式を満足せずS+2G+Cが上記範囲未満の場合には重縮合反応速度が不充分となり、一方上記範囲を越える場合には得られるポリマーの色調、安定性が悪化するので好ましくない。
【0028】本発明においては、上記重縮合触媒の添加時期についても、重縮合反応開始前であれば特に限定されず、従来公知の方法に準じて行なえばよい。例えば、エステル交換法、直接重合法、連続重合法などが挙げられる。
【0029】なお、本発明にかかる難燃性ポリエステルの製造方法では、一般的に使用されている添加物、例えばエーテル結合抑制剤であるテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、有機アミン、有機カルボン酸アミド、また、酢酸ナトリウム、酢酸リチウムなどの塩基性塩など、つや消剤である二酸化チタン、その他難燃助剤、カーボンブラックなどの顔料、可塑剤、安定剤、静電剤、整色剤などを併用添加する事も可能である。
【0030】本発明においては、ポリマーの白度を向上させる目的で有機系蛍光増白剤を用いることができる。具体的には、ベンゾオキサゾール系化合物が好ましく、HostaluxKS(クラリアント社製)、が特に好ましい。添加量は、0.01〜1重量%であり、0.01重量%未満であれば、十分な白度改善効果が見られないため、好ましくない。また、1重量%以上添加しても、効果は向上しないため、1重量%以上の添加は必要ない。さらに好ましくは、0.02〜0.1重量%である。なお、前記有機蛍光増白剤は色相の改善を目的とした青み染料を含むものでも構わない。
【0031】本発明において主たる構成単位がエチレンテレフタレートであるポリエステルとは、反復構成単位の70mol%以上がエチレンテレフタレートであり、原料成分としてはテレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールまたはエチレンオキサイドである。共重合成分としては、前記一般式化1で示したリン化合物を用いるが、その他にも、本発明の効果を損なわない範囲において、イソフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、4,4'-ジフェニルジカルボン酸、ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-カルボキシフェニル)スルホン、1,2-ビス(4-カルボキシフェノキシ)エタン、2,5-ジブロムテレフタル酸、テトラブロムテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸およびそれらの誘導体、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂肪族、脂環族ジカルボン酸およびそれらの誘導体、あるいはこれらの混合物をもちいることも可能である。一方、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキンジオール、1,4-シクロヘキンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール、p-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシエトキシ安息香酸、オキシピバリン酸などのオキシカルボン酸およびその誘導体、またはこれらの混合物をもちいることも可能である。
【0032】本発明で製造されたポリエステルチップは、ハンター型色差計で測定したL値が67以上であることが必要である。ここで言うチップとは、通常一般に使われている範囲の形状、品質のものであり、酸化チタンなどのつや消し剤などを添加しても構わない。ポリエステルチップのL値が67以下であると、衣料、インテリア用途など非常に高い白度の要求される分野には使うことができないため好ましくない。
【0033】なお、本発明難燃性ポリエステル繊維は耐加水分解性が前記式1で示される範囲であることが必要である。耐加水分解性が式1の範囲より大きいと、染色等の後工程通過時に繊維あるいは布帛としての強度が低下し、工程通過性が悪くなったり、製品の特性を損なうので好ましくない。
【0034】上記ポリエステルを用いて繊維を製造する方法としては従来公知の方法を採用することができ、紡糸速度は一般的に用いられる700〜2000m/minあるいはPOY領域と言われる2000〜4000m/min、高速領域である4000〜8000m/minでもよい。糸の太さは特に限定されず、1dpf以下の極細から100dpf以上の極太まで自由である。用途により仮撚り、倦縮を施してよく、繊維の断面形状も丸、三角、中空等自由である。また、他のポリエステル、ポリエチレン等との複合紡糸も可能である。
【0035】さらに公知の難燃剤と組み合わせて、難燃性能の一層の向上をはかることも自由である。ここで言う組み合わせとは、例えば、ポリマー製造時に難燃剤を添加し、共重合またはブレンドする方法、紡糸時に難燃剤を練り込む方法、さらにはポリエステル繊維を後加工し、繊維の表面あるいは内部まで難燃剤を付着あるいはしみこませる方法などが含まれる。ブレンド型の難燃剤としては例えば、テトラブロモビスフェノール(TBA)、デカブロモジフェニルオキサイド(DBDPO)、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、オクタブロモジフェニルオキサイド、ビストリブロモフェノキシエタン(BTBPE)、トリブロモフェノール(TBP)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、TBAポリカーボネートオリゴマー、臭素化ポリスチレン、TBAエポキシオリゴマーポリマー、デカブロモジフェニルエタン、ポリジブロモフェニルオキサイド、ヘキサブロモベンゼンなどの臭素化合物、塩素化パラフィン、パークロロシクロペンタデカンなどの塩素化合物などのハロゲン系難燃剤が挙げられる。または、リン酸エステル系、含ハロゲンリン酸エステル系、ポリリン酸塩、赤リンなどのリン系難燃剤、シリコーンポリマー粉末などのシリコーン系難燃剤、トリアジン化合物、メラニンシアヌレート、グアニジン化合物などの有機系難燃剤が挙げられる。さらに、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、窒素化グアニジン、五酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ほう酸亜鉛、ジルコニウム化合物、アルミン酸カルシウム、リン酸アンモン、炭酸アンモン、モリブデン化合物、錫酸亜鉛などの無機系難燃剤が挙げられる。上記の難燃剤は、記載のものに限定されず、その誘導体、類似体を含む。また、これら難燃剤は単一で使用しても、複数で使用しても構わない。
【0036】
【発明の効果】従来、高度な難燃性と機械的特性とを同時に満足させるために、二官能のエステル形成性リン化合物をポリエチレンテレフタレートに共重合する方法が提案されている。しかし、ここで用いられているリン化合物は、触媒アンチモンを還元し失活、黒色化させるため、ポリエチレンテレフタレートを重縮合させる際に通常用いられているアンチモン重縮合触媒単独では重縮合反応時間が長くなり、充分高重合度のポリエステルを得ようとすると、ポリマーの色調が悪化する(ハンター色差計によるL値が低くなる)といった問題があった。
【0037】これに対して、本発明の製造法においては、ゲルマニウム、アンチモン及びコバルトの化合物を特定の割合で用いることにより、重縮合反応速度が改善され、重縮合反応時間を短縮できるといった作用とあいまって、得られるポリマーの色調、紡糸操業性は著しく改善される。また、特定のリン化合物を使用することで、少ないリン含有量で、ポリマー物性を維持しながら、十分な難燃性が得られる。
【0038】したがって、本発明による難燃性ポリエステルからは、例えば耐加水分解性などの機械的特性、物理的特性に優れ、且つ白度も良好で高度な難燃性を有するポリエステル繊維を容易に得ることができ、その工業的価値は極めて大である。
【0039】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中、部とあるのは重量部を、%とあるのは重量パーセントを意味する。各種特性は下記の方法により評価した。
【0040】(1)固有粘度[IV]
フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン混合溶媒中(重量比3:2)30℃で測定し、その相対粘度から常法により求めた。
【0041】(2)色調(L値、b値)
重合体の色調を表わすL値及びb値はハンター型色差計を用いて測定した値であり、L値が大きい程白度が向上していることを示し、b値が大きい程黄色味の強いことを示している。即ち、L値が大きく、b値が小さいほど色調が良好であることを示す。
【0042】(3)リン含有量得られた重合体のリン原子に由来する螢光X線を測定し、その発光強度より算出した。
【0043】(4)難燃性限界酸素指数(LOI値)を常法に従って測定評価した。
【0044】(5)耐加水分解性延伸糸を130℃純水中密閉系で60分間処理し、処理前後の固有粘度の変化から前記式2に従って算出した。なおサンプルは、常法により溶融紡糸した低配向未延伸糸を最大延伸倍率×0.7の延伸倍率で延伸、セットして得られた50デニール24フィラメントのマルチフィラメントで行われる。固有粘度は(1)より求めたものである。
【0045】(実施例1)撹拌機、蒸留塔、圧力調整器を備えたステンレス製オートクレーブにテレフタル酸1242部、リン化合物(x)117部(50%のエチレングリコール溶液として)と850部のエチレングリコールを仕込み、さらに三酸化アンチモンを24.1部(14g/Lのエチレングリコール溶液として)、二酸化ゲルマニウム15部(8g/Lのエチレングリコール溶液として)、トリエチルアミン5.2部、二酸化チタン22部(23.5%のエチレングリコール溶液として)を加えて230度、ゲージ圧2.5kg/cm2でエステル化に生成する水を逐次除去しながら2時間エステル化反応を行った。続いて、酢酸コバルト4水和物9.6部(20g/Lのエチレングリコール溶液として)を添加し、1時間で系の温度を275度まで昇温して、この間に系の圧力を徐徐に減じて0.1mmHgとし、この条件下で1時間重縮合反応を行った。得られたポリマーの固有粘度は0.65でリン含有量3500ppmであった。このポリマーを常法により、紡糸、延伸して得た50デニール24フィラメントのメリヤス編みサンプルを作成した。紡糸操業製は良好であった。難燃性、耐加水分解性を表わす尺度である%B.B.及び色相を測定した。結果を表1に示す。
【0046】(実施例2)実施例1において、触媒添加量を表1のように変更し、及び蛍光増白剤(HostaluxKS:クラリアント社製)16.5部(2重量%エチレングリコール溶液として)をエステル化後に添加したこと以外、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。なお、紡糸操業製は良好であった。
【0047】(実施例3)実施例1において、リン含有量がリン原子として6000ppmになるように変更し、蛍光増白剤(HostaluxKS:クラリアント社製)16.5部(2重量%エチレングリコール溶液として)をエステル化後に添加したこと以外、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。なお、紡糸操業製は良好であった。
【0048】(実施例4)実施例1において、リンの種類、リン含有量、触媒量を表1のように変更し、蛍光増白剤(HostaluxKS:クラリアント社製)16.5部(2重量%エチレングリコール溶液として)をエステル化後に添加したこと以外、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。なお、紡糸操業製は良好であった。
【0049】(比較例1〜3)実施例1において、リン化合物の種類、リン含有量、触媒添加量、蛍光増白剤添加量を表1に示すように変更し、ポリマーを重合した。その結果を表1に示す。比較例1では、アンチモン単独重合触媒のため添加量が多くなり、ポリマーL値が低下しただけでなく、紡糸時のノズル面汚れ、パック圧上昇が見られた。また、比較例2では、ゲルマニウム単独重合触媒であり、L値は顕著に上昇するものの、b値が異常に高く、高白度用途では使えない。なお、紡糸操業製は良好であった。また、比較例3では、リン酸エステル部位がポリマー主鎖に導入されるため、耐加水分解性が不良であった。表1の結果から、本発明により、高度な難燃性と極めて良好な白度とを兼ね備え、かつ耐加水分解性に優れた難燃性ポリエステル繊維を生産性良く製造しうることが認められる。
【0050】
【表1】

【0051】
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