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クッション性および耐ヘタリ性に優れる弾性織編物およびクッション材 - 東洋紡績株式会社
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発明の名称 クッション性および耐ヘタリ性に優れる弾性織編物およびクッション材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−159052(P2001−159052A)
公開日 平成13年6月12日(2001.6.12)
出願番号 特願平11−338296
出願日 平成11年11月29日(1999.11.29)
代理人
発明者 岡 哲史 / 大田 康雄 / 小田 勝二
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】少なくとも経緯いずれか一方向の10%伸長時の応力が150N/5cm〜600N/5cmで、且つ当該方向における繰り返し変形後の残留歪みRが1%以下であることを特徴とする弾性織編物。
但し、繰り返し変形は以下の条件である。
荷重:織編物1cm巾当たり15±8N繰り返し変形の回数:30万回繰り返し変形の振動数:120Hz(残留歪みの算出法)繰り返し変形後、以下の式で残留歪み(R)を算出する。
R=(L1−L0)/L0×100L0:繰り返し変形前のサンプル長、L1:繰り返し変形後のサンプル長【請求項2】融点の異なる2種以上のポリエーテルエステル系エラストマーからなる弾性糸を配した織編物を熱処理してなる下記物性を具備することを特徴とする請求項1記載の弾性織編物。
(1)織物の経方向および緯方向の破断強度が250N/5cm幅以上。
(2)織物の弾性糸の滑脱抵抗力が2N以上。
【請求項3】熱処理により低融点ポリエーテルエステル系エラストマー樹脂が織編物の糸の交点部分で融着固化していることを特徴とする請求項1、2記載の弾性織編物。
【請求項4】融点の異なる2種以上のポリエーテルエステル系エラストマーからなる弾性糸の織編物における含有率が25wt%以上であることを特徴とする請求項1〜3記載の弾性織編物。
【請求項5】融点の異なる2種以上のポリエーテルエステル系エラストマーからなる弾性糸がモノフィラメントであることを特徴とする請求項1〜4記載の弾性織物。
【請求項6】経糸又は緯糸のいずれか一方に融点の異なる2種以上のポリエーテルエステル系エラストマーからなる弾性糸、他方にポリエステル糸を配してなる請求項1〜5記載の弾性織編物。
【請求項7】融点の異なる2種以上のポリエーテルエステル系エラストマーからなる弾性糸が芯鞘構造であり、芯成分のポリエーテルエステル系エラストマーの融点が鞘成分ポリエーテルエステル系エラストマーの融点より30℃以上高いことを特徴とする請求項1〜6記載の弾性織編物。
【請求項8】芯成分と鞘成分の重量比が95:5〜30:70であることを特徴とする請求項1〜7記載の弾性織編物。
【請求項9】請求項1〜8記載の弾性織編物を用いてなることを特徴とするクッション材。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クッション性および繰り返し変形を受ける際の耐へたり性に優れ、特に家具や事務用椅子などに適した弾性織編物およびクッション材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】家具およびベッドなどのクッション材には、従来、ウレタンフォーム、ポリエステル繊維詰綿やポリエステル繊維を接着した樹脂綿や固綿などが使用されている。クッションとしての快適な性能を得るために、クッション性の異なるものを複合したり、クッション成形時に二重構造にするなど工夫されたものが多く用いられている。これらのクッション材はいずれも嵩張ったり、小容積でのクッション性の良いものを得ることができないという問題があった。
【0003】このような観点より省スペースでクッション性に優れる材料の開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、弾性織編物、特にクッション性および耐ヘタリ性に優れ、かつ省スペースでクッション材として用いることのできるシート用弾性織編物を提供しようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする手段】すなわち、本発明は、少なくとも経緯いずれか一方向の10%伸長時の応力が150N/5cm以上600N/5cm以下で、かつ当該方向に以下の条件で繰り返し変形を与えた後の残留歪みRが1%以下であることを特徴とする弾性織編物およびクッション材である。
(条件)
荷重:織物1cm巾当たり15±8N繰り返し変形の回数:30万回繰り返し変形の振動数:120Hz(残留歪みの算出法)繰り返し変形後、以下の式で残留歪み(R)を算出する。
R=(L1−L0)/L0×100L0:繰り返し変形前のサンプル長、L1:繰り返し変形後のサンプル長【0006】ここでいうクッション材とは、クッション性能を利用する各種用途に用いる部品であり、その利用方法は、特に限定されない。例えば、事務椅子の座席および/または背部へ用い、それ単独でクッション機能を持たせることもできるし、クッション材をウレタンフォーム、ポリエステル繊維詰綿、ポリエステル繊維を接着した樹脂綿や固綿、スプリング等と組み合わせて、椅子構造体の一部として用いることもできる。また、その表層に意匠性を持たせた別の布帛を組み合わせて用いることもできる。
【0007】弾性織編物およびクッション材の具体的な用途として、例えば、事務椅子、リビング用椅子や自動車・電車等の輸送機器用座席への利用が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0008】本発明で用いられるポリエーテルエステル系エラストマーは、特に制限されないが、シート用織編物として必要な強度、伸長後の回復性などを得るため、芳香族ジカルボン酸とグリコールとを主原料として用いられる芳香族ポリエステルが好ましい。さらにポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールを共重合させたポリエステル弾性糸は、伸長後の回復性が良いためより好ましい。
【0009】本発明に係わる織編物の経緯方向の少なくとも一方にポリエーテルエステル系弾性糸を使用する必要がある。ポリエーテルエステル系弾性糸を用いることで伸長後の回復性が良好に保たれる。
【0010】本発明に係わる弾性糸として、融点の異なる2種以上のポリエーテルエステル系エラストマーからなる弾性糸を用いるが、これは熱処理を行なうことにより、融点の高いポリエーテルエステル系エラストマーの有する弾性率を保持したまま、融点の低いポリエーテルエステル系エラストマーが溶融、再固化し、織編物交点の目止めを行なうことが可能となるからである。また、融点の異なるポリエーテルエステル系エラストマーからなる弾性糸を熱処理した場合、柔軟で弾性回復性に優れる低融点のポリエーテルエステル系エラストマーが織物の経糸および緯糸の交点もしくは編物を構成する糸同士の交点に融着するため、織編物の強度、弾性回復率等を低下させることなく、かつ強固な目止め性を得ることができる。
【0011】融点の低いポリエーテルエステル系エラストマーの融点は、紡糸性、製編織性より100℃以上、この弾性糸の使用目的より、融点の高いポリエーテルエステル系エラストマーの融点より30℃低い温度以下とする糸を使用することができる。また、融点の高いポリエーテルエステル系エラストマーとそれより融点の低いポリエーテルエステル系エラストマーの使用比率は、任意に取ることができるが、実用上、重量比で95:5から30:70 が好ましい。より好ましくは90:10から60:40である。さらに、熱処理は融点の高い弾性糸の融点より10℃低い温度と融点のより低い弾性糸の融点より10℃高い温度との間の温度で行なうことが好ましい。この織編物を熱処理することにより、織編物組織内で接する他の糸と十分に接着させることが可能である。言うまでもなく、この織編物に用いるポリエステル糸の融点は、融点の高いポリエーテルエステル系弾性糸の融点と同じかそれ以上でなければならない。
【0012】本発明において、織編物を構成する弾性糸は、経緯どちらの方向に用いても構わないが、製編織性、織編物品位の点から緯糸に用いる方が好ましい。
【0013】本発明に係わる弾性糸は、モノフィラメントであるとなお好ましい。マルチフィラメントであっても、伸長後の回復性などの機械的性質は問題がないが、摩擦に対する抵抗性が少ないため耐久性に劣る可能性がある。好ましいモノフィラメントの繊度は100 dtex以上6000 dtex以下である。100dtex未満では摩擦に対する抵抗性が少なく、耐久性が十分に得られない可能性があり、6000 dtexを超えると織編物製造上の取扱いが難しくなる。より好ましい繊度の範囲は300dtex以上3000dtex以下である。また、単糸100dtex以上のマルチフィラメントが使用できる。
【0014】本発明に係わる織物において用いられるポリエステル糸は、無加工のものを使用しても、ループ加工糸や仮撚加工糸を使用しても、また、両者を混合して使用してもかまわない。糸は原着糸や先染糸を用いることができる。ポリエステル糸を使用することは、織編物を構成する糸がすべてポリエステル系となり、リサイクルが容易となることから好ましい。
【0015】本発明に係わる織編物におけるポリエーテルエステル系弾性糸の滑脱抵抗力は、シート用クッション材として重要な物性である。この値は2N以上であることが望ましい。滑脱抵抗力が2N未満であると目ずれやほつれを起こし、好ましくない。より好ましい滑脱抵抗力は、5N以上、さらにより好ましくは、10N以上である。
【0016】本発明に係わる織編物の経方向および緯方向の破断強度もシート用クッション材として重要な物性である。この値は、250N/5cm幅以上であることが望ましい。破断強度が250N/5cm幅未満であると、クッション材としての使用時に面が受ける荷重により織編物が破断する可能性があり、好ましくない。より好ましくは350N/5cm幅以上である。
【0017】本発明に係わる織編物の少なくとも一方向の10%伸長時の応力は、150N/5cm以上600N/5cm以下、好ましくは200〜400なければならない。150N/5cm未満であるとクッション材として使用時の沈み込み量が大きく、特に座席として着座した際に不快感が生じる。また、600N/5cmより大きい場合は、逆に座席としての沈み込み量が少なくなりすぎ、着座時に痛みが生じるため、長時間の使用に耐えない。また、10%伸長時の応力が、200N/5cm以上500N/5cm以下である方向に以下の条件で繰り返し変形を与えた後の残留歪みRが1%以下、好ましくは、0.7%以下でなければならない。
(条件)
荷重:織物1cm巾当たり15±8N繰り返し変形の回数:30万回繰り返し変形の振動数:120Hz(残留歪みの算出法)繰り返し変形後、以下の式で残留歪み(R)を算出する。
R=(L1−L0)/L0×100L0:繰り返し変形前のサンプル長、L1:繰り返し変形後のサンプル長残留歪みが1%以上であると、クッション材として使用する際、使用とともに織編物にへたりが生じ、初期のクッション性、着座感が消失してしまうからである。
【0018】また、弾性糸使用方向における伸長後の回復率は、90%以上であることが望ましい。ここでいう伸長後の回復率は次の通り測定する。まず、織編物の上端を固定し、下端に織編物が弛まない程度の初荷重を与え、50cmの間隔で印をつける。織物の長さが55cmになるような荷重をこの織編物の下端に与え、そのまま24時間放置する。24時間放置後の織物の印の間の長さを測定し、これをL1とする。つぎに荷重を除き、3時間放置した後、再び初荷重を与えて、伸長後負荷解放後の織物の印の間の長さを測定し、これをL2とする。このようにして求めた数値を用い、((L1-L2)/(L1-50))*100(%)を伸長後の回復率とする。伸長後の回復率が90%に満たないと、この織編物を座席の臀部を支えるクッション材として使用する場合、一度着席したのち立席すると織編物が弛んだままの状態になるので好ましくない。
【0019】本発明に係わる織編物には、難燃性および耐光性を付与する必要があるならば、難燃剤および耐光剤を含有させた糸を用いたり、あるいは、難燃剤および耐光剤を織編物に付与することができる。弾性糸については原料樹脂に混合するものとして、難燃剤として、メラミンシアヌレートを添加したり、燐化合物を付与する方法が知られているが、特にこれに限定されるものではない。また、耐光剤も、カーボンブラックなどの添加による耐光処方が用いられているが、特にこれに限定されるものではない。
【0020】本発明に係わる織編物に使用する弾性糸に、色彩を付与する必要があるならば、染料や顔料を含有させても良い。顔料としては、フタロシアニン系有機顔料やカーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛など無機顔料を添加する方法が知られているが、特にこれに限定されるものではない。顔料を含む原着糸を使用することにより、染色の手間を省くことができる。
【0021】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて説明する。本発明は実施例によって特に制限されるものではない。なお、実施例において用いた測定方法は下記のとおりである。
【0022】(原糸強伸度) JIS L 1013に基づき、定速伸長型試験機を用い、つかみ間隔100mm、引張速度100mm/分で測定した。
【0023】(織物強伸度および10%伸長時の応力) JIS L 1096に基づき、定速伸長型試験機を用い、つかみ間隔200mm、試験片の幅50mm、引張速度100mm/分で測定した。
【0024】(残留歪み(織物の耐ヘタリ性))サーボパルサー(島津製)を用い、以下の条件にて、織物に繰り返し変形を与えた後の残留歪みRを算出した。
[測定条件]サンプルサイズ:4cm巾つかみ間隔:30cm荷重:織物巾1cm当たり15±8N繰り返し変形の回数:30万回変形速度:120Hz[残留歪みの算出法]繰り返し変形後、以下の式で残留歪み(R)を算出する。
R=(L1−L0)/L0×100L0:繰り返し変形前のサンプル長、L1:繰り返し変形後のサンプル長【0025】(沈み込み量、伸長後の回復量) 40cm角の鉄製フレームに織編物を水平面内に固定し、底面が20cm×10cmで各稜を半径5mmの面取りを行なった重量65kgのおもりを、弾性糸を含む織物の場合、長辺が弾性糸と平行になるように織編物の中央部に載せて、24時間放置した。荷重負荷前の織編物面の垂直方向の位置を基点とし、荷重を負荷して24時間放置時の織編物面の位置との差をその織編物の沈み込み量として求めた。沈み込み量測定後、織編物面に負荷していたおもりを取り除き、3時間放置した。24時間放置時の織編物面の垂直方向の位置を基点とし、おもり除去3時間放置後の織編物面の位置との差をその織編物の伸長後の回復量として求めた。
【0026】(ほつれ=目止め性) JIS L 1096に基づき、糸引抜き法 A法による滑脱抵抗力を測定した。定速伸長型試験機を用い、つかみ間隔30mm、試料片の幅20mm、引張速度30mm/分で測定した。
【0027】(着座感)40cm角の鉄製フレームに織編物を水平面内に固定し、その上部に着座することにより、そのフィーリングを調べた。
【0028】(実施例1)緯糸として融点222℃のポリエーテルエステル系エラストマーを芯成分、融点182℃のポリエーテルエステル系エラストマーを鞘成分とし、その重量比率が芯:鞘=80:20である2080dtexの弾性糸を20本/inch、経糸として830dtexポリエステルマルチフィラメント糸を28本/inchの密度とした図1に示す織組織の織物を作成した。この織物を200℃で1分間の乾熱処理を行なった。熱処理後の織物は、低融点ポリエーテルエステルエラストマーが織物の経糸および緯糸の交点部分に接着固化していることを確認した。また、熱処理後のサンプルの着座感は、非常に良好で事務椅子、リビング用椅子や自動車・電車等への座席用クッション材として充分に使えるものであった。表1に糸、織物の物性ならびに性能を示した。
【0029】(実施例2)織物の組織を図2とする以外は、実施例1と同様の試験を行った。
【0030】(比較例1)1110dtexポリエステル糸を経糸、緯糸ともに使用し、経密度、緯密度とも27本/inchの平織物を作成した。着座感は、非常に硬く、また、着座使用後に布帛にへたり(残留歪み)が残ることから、事務椅子、リビング用椅子や自動車・電車等への座席用クッション材としては不適であった。表1に糸、織物の物性ならびに性能を示した。
【0031】(比較例2)緯糸として融点200℃のポリエーテルエステル系エラストマーを芯成分、融点160℃のポリエーテルエステル系エラストマーを鞘成分とし、その重量比率が芯:鞘=80:20である2080dtexの弾性糸を用いる以外は、全て実施例1と同様の試験を行った。着座時の沈み込み量が非常に大きいことから、事務椅子、リビング用椅子や自動車・電車等への座席用クッション材としては不適であった。表1に糸、織物の物性ならびに性能を示した。
【0032】(比較例3)1110dtexポリエステル糸を経糸、緯糸ともに使用し、経密度を、27本/inch、緯密度を13本/inchとする以外は、比較例1と全く同様の試験を行った。初期の着座感は、良好であったが、着座使用後に布帛にへたり(残留歪み)が残ることから、事務椅子、リビング用椅子や自動車・電車等への座席用クッション材としては不適であった。表1に糸、織物の物性ならびに性能を示した。
【0033】
【表1】

【0034】実施例および比較例の結果より次のことが確認される。すなわち、実施例1〜2は、緯糸に融点の異なる2種類のポリエーテルエステル系エラストマーからなる弾性糸を、他方経糸にポリエステル糸を用い、乾熱処理を行なって目止めを行なった織物であり、伸長後の弾性回復量が良好であり、かつ優れた弾性があり、また、滑脱抵抗力があり、ほつれ・目ずれがなく、着座感も優れることからクッション材に必要な特性をすべて満足する織物であった。
【0035】比較例1は、ポリエーテルエステル系弾性糸を使用しない織物であり、伸長後の回復量がほとんどなく、弾性を示さなかった。比較例2は、ポリエーテルエステル系エラストマーを用いているため、伸長後の回復量が充分であるものの、着座時の沈み込み量が大きすぎるためクッション材としては適さないものであった。比較例3は、着座時の沈み込み量は適度であるものの、ポリエーテルエステル系弾性糸を使用しない織物であり、伸長後の回復量がほとんどなく、弾性を示さなかった。
【0036】比較例で作成したこれらの織物はいずれも、クッション材としては、好ましくないものであった。
【0037】
【発明の効果】本発明の要件を満たす織物において、目ずれをせずに優れた弾性と弾性回復性を示し、クッション材として好適な弾性織編物を得ることができる。




 

 


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