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発明の名称 電子千鳥ミシン
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−187287(P2001−187287A)
公開日 平成13年7月10日(2001.7.10)
出願番号 特願2000−312795(P2000−312795)
出願日 平成12年10月13日(2000.10.13)
代理人 【識別番号】100075292
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150 AA07 CB04 CE07 CE23 JA07 JA08 LA06 LA07 LA67 LA76 NA07 NA62 NB02 NB03 NC06 NC07 QA02 QA06 QA07 QA08 
発明者 横溝 保久 / 服部 好克
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 主モータにより回転される主軸に連動して上下動される針と、針板上に出没して布を送る布送り歯を備えた布送り装置と、前記針を布送り方向との交叉方向に針振りさせる針振り機構との協働により布に縫目を形成する電子千鳥ミシンにおいて、複数の針振りパターンに各別に対応する複数の針振りデータを記憶する記憶手段と、針振りパターンの基線基準又は基線位置の少なくとも一方を各針振りパターンに対応して記憶する手段と、複数の針振りパターンから所定の針振りパターンを選択する手段と、選択された針振りパターンに対応する針振りデータと選択された針振りパターンに関連して記憶された基線基準又は基線位置とを読み出し、該針振りデータ及び、基線基準又は基線位置に応じて前記針振り機構を制御し針振りパターンの縫目を形成する制御手段、とを備えたことを特徴とする電子千鳥ミシン。
【請求項2】 主モータにより回転される主軸に連動して上下動される針と、針板上に出没して布を送る布送り歯を備えた布送り装置と、前記針を布送り方向との交叉方向に針振りさせる針振り機構との協働により布に縫目を形成する電子千鳥ミシンにおいて、針振りパターンに対応する針振りデータを記憶する記憶手段と、針振りパターンの基線基準又は基線位置の少なくとも一方を入力する手段と、前記針振り機構を作動して前記入力された基線基準又は基線位置に針を移動してから、前記針振りデータに基づいて針振りパターンの縫目を形成する制御手段とを備えたことを特徴とする電子千鳥ミシン。
【請求項3】 上下動される針が針板よりも上方にあるときに針を前記入力された基線基準又は基線位置に移動させることを特徴とする請求項2に記載の電子千鳥ミシン。
【請求項4】 上下動される針が針板よりも上方にあってかつ停止しているときに針を前記入力された基線基準又は基線位置に移動させることを特徴とする請求項2に記載の電子千鳥ミシン。
【請求項5】 主モータにより回転される主軸に連動して上下動される針と、針板上に出没して布を送る布送り歯を備えた布送り装置と、前記針を布送り方向との交叉方向に針振りさせる針振り機構との協働により布に縫目を形成する電子千鳥ミシンにおいて、針振りパターンに対応する針振りデータを記憶する記憶手段と、針振りパターンの基線基準を中央基準、右基準、左基準から選択する手段と、記憶された針振りパターンのデータを読み出して選択された基線基準に従って針振りパターンの縫目を形成する手段とを備えたことを特徴とする電子千鳥ミシン。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、針板上に出没して布を送る布送り歯を備えた布送り装置と、主モータにより回転されるミシン主軸に連動して上下動される針と、この針を布送り方向との交叉方向に針振りさせる針振り機構とにより布に千鳥縫目を形成する電子千鳥ミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の千鳥ミシンにおいてはミシン主軸に連動して回転する針振りカムを用いて前記針振り機構を動作し、所定の針振りパターンを発生するようにしていたが、針振りパターンが多くなるとそれに応じて針振りカムを作成しなければならず、カムの交換作業が面倒となり、またカムの製造コストがかさむ等の問題が生じた。
【0003】このため、近年、針振りパターンをデータとして記憶し、読み出された該針振りパターンデータに基づいて、針振り量を制御するパルスモータ等を駆動する電子千鳥縫いミシンが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のこの種の電子千鳥縫いミシンにおいては、針振りパターンを変更したり新たに作成することはミシンにおいて行なえず、座標入力装置やパーソナルコンピュータ等を用いたデータ作成装置により作成したり変更したりする必要があり、データ作成装置を別途用意しなければならず、即応性に劣ることになる。
【0005】また、針振りパターンの針振り基線位置を最適な位置に設定したり、基線基準、すなわち、基線から右方へ針振りを行なう左基準、あるいは基線から左方へ針振りを行なう右基準、あるいは基線を中心に左右へ均等に針振りを行なう中央基準を設定する必要があるが、その設定作業が複雑且つ困難で高品質のパターン縫いができない、という問題があった。
【0006】本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、最適な基線基準ないし基線位置に応じた針振りパターンの縫目を形成することが可能な電子千鳥ミシンを提供することをその課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、主モータにより回転される主軸に連動して上下動される針と、針板上に出没して布を送る布送り歯を備えた布送り装置と、前記針を布送り方向との交叉方向に針振りさせる針振り機構との協働により布に縫目を形成する電子千鳥ミシンにおいて、複数の針振りパターンに各別に対応する複数の針振りデータを記憶する記憶手段と、針振りパターンの基線基準又は基線位置の少なくとも一方を各針振りパターンに対応して記憶する手段と、複数の針振りパターンから所定の針振りパターンを選択する手段と、選択された針振りパターンの針振りデータと選択された針振りパターンに関連して記憶された基線基準又は基線位置とを読み出し、該針振りデータ及び、基線基準又は基線位置に応じて前記針振り機構を制御し針振りパターンの縫目を形成する制御手段、とを備えたことを特徴とする。
【0008】このような構成では、各針振りパターンに対してそれぞれ最適な基線の基線基準及び/又は基線位置が記憶されるので、選択された針振りパターンに対して最適な基線の基線基準及び/又は基線位置が自動設定され、容易に最適な縫製条件に設定を行うことができる。
【0009】また、本発明は、主モータにより回転される主軸に連動して上下動される針と、 針板上に出没して布を送る布送り歯を備えた布送り装置と、前記針を布送り方向との交叉方向に針振りさせる針振り機構との協働により布に縫目を形成する電子千鳥ミシンにおいて、針振りパターンに対応する針振りデータを記憶する記憶手段と、針振りパターンの基線基準又は基線位置の少なくとも一方を入力する手段と、前記針振り機構を作動し前記入力された基線基準又は基線位置に針を移動してから、前記針振りデータに基づいて針振りパターンの縫目を形成する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】また、本発明は、主モータにより回転される主軸に連動して上下動される針と、針板上に出没して布を送る布送り歯を備えた布送り装置と、前記針を布送り方向との交叉方向に針振りさせる針振り機構との協働により布に縫目を形成する電子千鳥ミシンにおいて、針振りパターンに対応する針振りデータを記憶する記憶手段と、針振りパターンの基線基準を中央基準、右基準、左基準から選択する手段と、記憶された針振りパターンのデータを読み出して選択された基線基準に従って針振りパターンの縫目を形成する手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下図面に示す実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0012】[全体構成]図1には、本発明に係わる電子千鳥ミシンの概観が図示されており、同図において、主軸を回転させる主モータ1により針棒2に支持された針3が上下動される。この針3の上下動に関連して針板4上に布送り装置の送り歯(不図示)が出没し、それにより押さえ板5に押さえられた布が送られ、布送り装置との協働により布に縫目が形成される。布の縫い送り量は送り目盛ダイヤル6で設定することができ、また縫い始めあるいは終わりのときに行われる止め縫いは、コンデンス目盛ダイヤル7でコンデンス送り量を設定して、その設定された送り量で送り装置を駆動することにより行われる。コンデンス送り量は、正送り量と同量の逆送り量からゼロに設定可能であり、通常の設定量としては、微小送り又は千鳥縫目送り量とされる。その場合、返し縫いレバー8を操作することにより、または止め縫い時に図示しない返し縫いソレノイドを駆動して送り量を切り換えて返し縫いを行うことができる。なお、9は電源スイッチであり、10は後述するように各種の設定を行う操作パネルである。
【0013】本発明の電子千鳥ミシンには、図2に図示されたような針振り機構が設けられ、針3を支持する針棒2は、針振りモータ(例えば、ステッピングモータ又はサーボモータ)11で駆動されるリンク機構12により、布送り装置の布送り作用と同期させながら布送り方向に対して直交する方向(図2の矢印の方向)に往復移動され、それにより所定の針振りパターンの縫目を形成することができる。針振り機構には、針振りモータ11の回転とともに回転する遮蔽板11aを検知する原点センサ13が設けられ、針振り位置の原点が検出される。
【0014】図3には、電子千鳥ミシンの制御システムがブロック図として示されており、ペダル指令20によりミシン回転制御回路21、ミシン主軸駆動回路22を介して主モータ1が駆動され、それよりミシンの主軸が駆動されて送り歯が、いわゆる4送り運動して、送り目盛ダイヤル6で設定した送り量で布送りをするとともに、針3が上下動して縫目が形成される。シンクロナイザ23は、主軸位置を検出し、1針縫目を検出するとともに、上位置、下位置を検出し、その信号がミシン回転制御回路21並びに針振り制御回路24に入力される。針振り制御回路24は、針振り駆動回路25を介して針振りモータ11を駆動し、原点センサ13の信号を受けて針振り機構を制御する。止め縫い時は返し縫いソレノイド27が作動してコンデンス目盛ダイヤル7で設定した送り量となる。操作パネル10により、以下に説明するように、ミシンの制御に必要な種々のデータを設定することができ、これらのデータは必要に応じて一旦メモリ26に格納され、これらの設定されたデータに基づき、また送り目盛ダイヤル6並びにコンデンス目盛ダイヤル7などで設定されたデータに基づきミシンの主軸の回転が制御され、また針振り機構が制御される。
【0015】[操作パネル]次に、図4を参照して表示パネル10に配置された各種スイッチ並びに表示器について説明する。
【0016】41は設定スイッチ(SW)で、設定モードの切替え等の各種設定を行うためのスイッチである。スイッチ42は、始め止め縫いをする/しないの設定を行う始め止め縫いスイッチで、このスイッチを操作すると、始め止め縫い表示LED(発光ダイオード)42aが点灯/消灯する。又、スイッチ43は、終わり止め縫いをする/しないの設定を行う終わり止め縫いスイッチで、このスイッチを操作すると、終わり止め縫い表示LED43aが点灯/消灯する。
【0017】44は、半針(又は1針)スイッチで、ミシンを半針(又は1針)動作させるスイッチであり、45は、糸切り禁止スイッチで、ペダル後ろ踏みで止め縫いは行うが糸切りは行わないことを指示するスイッチである。このスイッチを操作すると、糸切り禁止表示LED45aが点灯し、糸切り禁止が有効であることを示す。
【0018】46は、セグメント表示器48a、48b、48cを備えた針振り表示器48の二桁目を表示する表示器48aの表示数値を+−させるスイッチで、LED42a下に「A」と表示された始め止め縫いスイッチ42を操作した場合は、始め止め縫いの止め縫い回数の設定を変更することができる。又、47は、針振り表示器48の一桁目を表示する表示器48bの表示数値を+−させるスイッチで、LED43a下に「B」と表示された終わり止め縫いスイッチ43を操作した場合終わり止め縫いの止め縫い回数の設定を変更することができる。またこの一桁目及び二桁目の表示器48a,48bは、LED50a乃至56a及び60aの各下に「C」と表示された各スイッチを操作した場合針振り幅または針数の設定変更することができる。その他、表示器48a,48b,48cは、LED61a下に「D」と表示された基線スイッチ61の操作により設定される三桁の基線位置を表示する。
【0019】49は、針振りパターン直線縫い選択スイッチで、これを選択すると、直線縫い表示LED49aが点灯し、針振りパターンとして直線縫いが選択されたことが示される。2点千鳥スイッチ50は、針振りパターン2点千鳥縫いを選択するスイッチで、このスイッチを操作し、針振りパターンとして2点千鳥縫いを選択すると、2点千鳥表示LED50aが点灯する。又、3点千鳥スイッチ51は、針振りパターン3点千鳥縫いを選択するスイッチで、このスイッチを操作し、針振りパターンとして3点千鳥縫いを選択すると、3点千鳥表示LED51aが点灯する。又、4点千鳥スイッチ52は、針振りパターン4点千鳥縫いを選択するスイッチで、このスイッチを操作し、針振りパターンとして4点千鳥縫いを選択すると、4点千鳥表示LED52aが点灯する。
【0020】左スカラップスイッチ53は、針振りパターン左スカラップ縫いを選択するスイッチで、針振りパターンとして左スカラップ縫いを選択すると、左スカラップ表示LED53aが点灯する。又、右スカラップスイッチ54は、針振りパターン右スカラップ縫いを選択するスイッチで、針振りパターンとして右スカラップ縫いを選択すると、右スカラップ表示LED54aが点灯する。一方、左ブラインドステッチスイッチ55は、針振りパターン左ブラインドステッチ縫いを選択するスイッチで、針振りパターンとして左ブラインドステッチ縫いを選択すると、左ブラインドステッチ表示LED55aが点灯する。又、右ブラインドステッチスイッチ56は、針振りパターン右ブラインドステッチ縫いを選択するスイッチで、針振りパターンとして右ブラインドステッチ縫いを選択すると、右ブラインドステッチ表示LED56aが点灯する。又、カスタムパターンスイッチ57は、針振りパターンカスタムパターン縫いを選択するスイッチで、針振りパターンとしてカスタムパターン縫いを選択すると、カスタムパターン表示LED57aが点灯する。
【0021】停止位置指示スイッチ58は、ペダル中立にて針停止位置指定を行うスイッチで、左停止の場合は、左停止指示表示LED58aが点灯し、右停止の場合は、右停止指示表示LED58bが点灯し、任意停止の場合は両LED58a、58bが消灯する。
【0022】詳細設定スイッチ59は、設定スイッチ41と組み合わせて使用され、設定スイッチ41より詳細な設定を行う。このスイッチを操作すると、詳細設定表示LED59aが点灯する。針数設定スイッチ60は、スカラップ・ブラインドステッチの針数を設定する時に使用され、針数設定時には針数設定表示LED60aが点灯する。
【0023】又、基準スイッチ61は、基線基準を選択する時に使用され、操作時に基線基準表示LED61aが点灯する。この基準スイッチ61を操作するごとに、中央基準、右基準、左基準に順次切替えられて選択される。
【0024】62は、下糸カウンタリセットスイッチで、ミシンの下糸(針数)カウンタをリセットするために使用される。下糸カウンタ「+」「−」スイッチ63は、カウンタにカウント値をセットするスイッチである。このカウンタの値は、4セグメント64a〜64dを備えた下糸カウンタ表示器64に表示される。
【0025】[針振りパターン]本発明による電子千鳥ミシンでは、針振りパターンとして、直線縫い、2点千鳥、3点千鳥、4点千鳥、スカラップ、ブラインドステッチ、カスタムパターンが用意されている。直線縫いは、図5(A)に示したように、針振りを行わず、基線位置で直線縫いを行うパターンであり、針振り巾(NW)は0である。2点千鳥は、図5(D)に示したように、基線に準じて1針振り巾が針振り巾(NW)で左、右2点に針落ちする縫い方であり、3点千鳥は、図5(E)に示したように、基線に準じて1針振り巾が針振り巾(NW)の2分の1で左、中心、右の3点に針落ちする縫い方であり、4点千鳥は、図5(F)に示したように、基線に準じて1針振り巾が針振り巾(NW)の3分の1で左、中2点、右の4点に針落ちする縫い方である。
【0026】一方、スカラップは、図5(B)に示したように、2つの円弧の中を12針又は24針で縫う三日月型の模様縫いで、運針の種類で、「標準・三日月・均等」の3種類がある。又、円弧の向きで左右のスカラップがあって、左右の規定は、ミシンの懐側を右とし円弧の頂上側が懐側にある場合、右スカラップといい、その逆の場合を左スカラップという。ブラインドステッチは、図5(C)に示したように、縫い始めは、直線縫いを行い運針針数の最終針−2針で針振り巾(NW)で針振りを行ない、最終針−1針で再び元の位置に戻るパターンの繰り返し動作を行う縫い方である。この場合も、針振り方向により左、右ブラインドステッチがあり、右(左)ブラインドステッチは、直線縫いから右側(左側)に針振りするパターンである。又、カスタムパターンは任意に作成されるオリジナルパターンである。
【0027】[固有データ]上述した各針振りパターンには、振り巾(NW)、基線位置(NP)、基線基準位置(NPs)、縫い始め位置データ(NS)、縫い終わり位置データ(NE)、針数データ(NC)の各固有データがある。
【0028】針振り巾(NW)は、各針振りパターンにおける針振り巾を示すもので、例えば、図6(A)に示すような、4点千鳥の場合1針巾(NWs)は、振り巾(NW)を3分割値とする。すなわち、NWs=NW/3である。このとき、分割値に余りが出た場合は、針振り巾中心位置を基準とし左右に均等となるようにする。振り幅NWが5.0の場合、NWs=1.6余り0.2となる。従って、最初の1針は1.7、2針目は1.6、3針目は1.7となり、折り返して1.7、1.6、1.7となる。又、例えば、スカラップの場合の針振り巾は、模様巾であり、針振りには、針振りデータを用い、針振りデータは、中心振り分けで規定する。パターンにより、24針、12針のデータを持ち、運針位置NDpを求める計算は、NDnを運針データとして、NDp=NP+(NW×NDn/8.2)の式に従って行う。
【0029】基線位置(NP)は、ミシン針振り機構の針振り許容範囲(最大針振り幅)の中心を「0」とし、その中心からミシン懐側(右側)を「+」、その反対側(左側)を「−」とした針振りの振り基点位置をいい、最大針振り巾(WPx)を越えない範囲(−5.0〜0〜+5.0)で0.1mm単位で設定される。たとえば、中央基準に設定されている図6(B)において、NP=0としたときは、ミシン針振り機構の針振り許容範囲の中心である0位置を基線位置としてパターンを左右均等に針振りし、NP=−2.0としたときは、0位置から左側に2.0mm移動した位置を基線位置とし、また、NP=+2.0としたときは、0位置から右側に2.0mm移動した位置を基線位置としてそれぞれその基線を中心に左右均等に針振りする。
【0030】基線基準位置(NPs)は、「中央基準S」あるいは「右基準R」あるいは「左基準L」に設定した場合の各基線基準における基線位置を指示するもので、初期設定は、図6(B)に図示したように、中央基準Sに設定される。また、例えば、2点千鳥において、基線位置(NP)=0.0、針振り巾(NW)=3.0で左基準L並びに右基準Rに設定したときの針振りパターンの例が、図6(C)に図示されている。
【0031】縫い始め位置(NS)は、図7(A)に示したように、糸切り後の次の縫い始め位置を「右・左」に設定するもので、初期設定は、左縫い始めである。なお、スカラップ、ブラインドステッチにおいて、左右があるが、右スカラップ、右ブラインドステッチの場合、左縫い始めが縫い始め位置となる。
【0032】針数(NC)は、スカラップ、ブラインドステッチの針数で、スカラップの場合、標準は24針、三日月も24針、均等で12針と24針であり、ブラインドステッチは、3〜250針の間で設定される。初期設定は、スカラップの場合、標準・三日月・均等ともに24針で、ブラインドステッチは4針である。
【0033】また、針振りパターンの始め、又は終わりに形成される止め縫いパターン(コンデンスパターンともいう)は、直線縫い、2点千鳥、3点千鳥、4点千鳥、並びにカスタムパターンの各パターンに対して有効とされる。コンデンスの回数は、縫い始めから折り返しまでを1パターンとしてパターン単位で行われ、針数19針以内で設定可能である。また、コンデンス時のコンデンス送り量はコンデンス送り量設定ダイヤル7によって設定される。例えば、4点千鳥の場合は、図7(B)に示したように、6パターン可能であり、1パターンに3針あるので、針数は18となる。
【0034】また、止め縫い(コンデンス)のオプション設定として、第一に針振りパターンとは別のパターンで止め縫いを行う方法と、第二に止め縫いのカスタム設定として、針振り巾(NW)以内で針振り巾を狭くし、針数を設定でき、針振り巾(NW)内の運針中は同一方向に針振りをする方法と第三に止め縫いカスタムパターン(オリジナルパターン)とがある。
【0035】第一の針振りパターンとは別の止め縫いパターンで止め縫いを行う方法は、針振りパターンとは別に、始め止め縫い、終わり止め縫いごとに、止め縫いパターン(PC)、針振り巾(CW)、コンデンス回数(CC)を設定するもので、基線位置(NP)、基線基準位置(NPs)、縫い始め位置(NS)は針振りパターンと同一とするものである。例えば、図7(C)に示したように、始め止め縫いパターンを4点千鳥、針振りパターンを2点千鳥、終わり止め縫いパターンを3点千鳥とする例で説明すると、始め止め縫いパターンは4点千鳥であり、針振り巾はCW1であり、コンデンス回数は3回となっている。この止め縫いに続く針振りパターンは2点千鳥であり、この場合、始め止め縫い終了後の、針振りパターンで2−4点千鳥縫いのように必ず開始位置の決まっていない場合には、止め縫い終了位置の近い針振り開始点より針振りを行う。また、始め止め縫いパターンの終了位置と、針振りパターンの開始が一致しない場合、止め縫い終了後、1針の間スピード制限を加える。また、終わり止め縫いパターンは3点千鳥で、針振り巾はCW2、コンデンス回数は4回となっている。この終わり止め縫いでは針振りパターンから終わり止め縫いパターンに移行するのに、1針必要であるためコンデンス回数+1針をコンデンス針数とする。
【0036】第二の止め縫いのカスタム設定として、針振り巾(NW)以内で針振り巾を狭くし、針数を設定でき、針振り巾(NW)内の運針中は同一方向に針振りをする方法を以下に説明する。このカスタム設定では、始め止め縫い、終わり止め縫いごとに、始めコンデンス詰めピッチ巾(CPs)、始めコンデンス詰めピッチ針数(CNs)、終わりコンデンス詰めピッチ巾(CPe)、終わりコンデンス詰めピッチ針数(CNe)が設定可能で、詰めピッチ×詰めピッチ針数>針振り巾の場合は、設定不可とする。
【0037】止め縫いパターンが2点千鳥の場合、針振り巾から詰めピッチ動作針振り量を引いたものを、通常針振りとつめピッチ針振りとの、移行針振り巾(NI)とする。移行針振り巾(NI)=針振り巾(NW)−詰めピッチ(CP*)×詰めピッチ針数(CN*)となる。3点千鳥の場合は、針振り巾から詰めピッチ動作針振り量を引いたものが、1針針振り巾(NTs)より小さい場合、移行針振り巾(NTe)とする。3点千鳥の場合、針振り巾から詰めピッチ動作針振り量を引いたものが、1針針振り巾(NWs)より大きい場合、1針針振り巾分を差し引いた針振り巾を移行針振り巾(NI)とし、詰めピッチ制御、移行針振り、1針針振りの順に制御する。4点千鳥の場合も同様に、詰めピッチ巾を差し引いた残り(NN)が1針針振り巾より大きい場合、NNを1針針振り巾で割り余りを移行針巾(NI)とし、商を1針針振り巾針数(NCn)とする。コンデンス針数は、「詰めピッチ針数と移行針数と残りパターン針数」を引き残りの針数で、針振りパターンはこの針数にて可能な回数とする。詰めピッチを行ったパターンも1パターンと数える。
【0038】始め止め縫いを3パターンについて例示したものが図8に図示されている。
【0039】[基線基準、基線位置の設定]本発明では、複数の針振りパターン、例えば、2点千鳥、3点千鳥、4点千鳥の各針振りパターンに対して、図9に図示したように、各針振りパターンに対して基線位置あるいは基線基準からなる基線データがテーブルの形で記憶される。これは、2点千鳥スイッチ50、3点千鳥スイッチ51、4点千鳥スイッチ52の各針振りパターン選択スイッチを操作し、そのとき選択された針振りパターンに対して基線スイッチ61を順次オンしていずれかの基線基準(中央基準S、右基準R、左基準L)を選択し、またスイッチ46、47で表示器48に表示されている基線位置を+−して所定の基線位置を入力することにより行われる。このように入力されたデータは、図9のようなテーブルの形でメモリ26に記憶される。
【0040】針振りパターンによる縫いを行うときには、針振りパターン選択スイッチ50〜57をオンし所望の針振りパターンを選択する。このとき、この針振りパターンに対応する針振りデータがメモリ26に格納されているので、この針振りデータが読み出されるとともに、図9のようなテーブルからその針振りパターンに関連する基線位置並びに基線基準が読み出される。ミシン回転制御回路21並びに針振り制御回路24は、これらのデータに基づいてミシンの主モータ1並びに針振りモータ11を制御し、基線基準と基線位置に応じた針振りパターンの縫目を形成する。
【0041】図9のテーブルの場合に、形成されるパターンが図10に図示されている。各パターンの針振り巾をWとして、2点千鳥の場合は、針振りデータ(針落ちデータ)が基線位置を「0」とし、基線基準を中央位置Sとしたデータに変換され、このデータに基づいて針振り機構が制御され、図10(A)に示したような基線位置並びに基線基準に応じたパターン縫いが形成される。また3点千鳥の場合は、針落ちデータが基線位置を「+1.0」とし、基線基準を右基準Rとしたデータに変換されるので、図10(B)に示したようなパターン縫いが形成される。また、4点千鳥の場合は、針落ちデータが基線位置を「−1.0」とし、基線基準を左基準Lとしたデータに変換されるので、図10(C)に示したようなパターン縫いが形成される。
【0042】また、この実施形態では、最大振り幅が−5.0〜+5.0となっているので、例えば振り幅が5mmで中央基準に設定されているとき、基線位置を+3.0または−3.0のように設定すると、左端針振り位置または右端針振り位置がミシンの最大振り幅を超えてしまうためこのような設定は拒否される。
【0043】なお、テーブルには、基線位置と基線基準の両方を各針振りパターンに関連して記憶するようにしているが、基線位置と基線基準のいずれか一方であってもよい。
【0044】このように、各針振りパターンに対してそれぞれ最適な基線の基線基準及び/又は基線位置が記憶され、選択された針振りパターンに対してこれらの基線データが自動的に設定されるので、基線データの設定を誤ることなく、高品質の針振りパターン縫いが可能になる。
【0045】なお、基線位置あるいは基線基準のような基線データを変更するとき、それと同期して針を移動させると、基線合わせが容易になるので、基線位置ないし基線基準の入力に同期して針振りモータを制御し、針を入力された基線基準ないし基線位置に移動する。
【0046】図11において、設定スイッチ41と基線スイッチ61がオンであると(ステップS1、S2)、表示器48に基線位置が表示される(ステップS4)。A+−スイッチ46ないしB+−スイッチ47でデータを変更した場合(ステップS5)、ステップS6でミシンの針が上位置停止中であるかが判断される。これはシンクロナイザ23により検出することができる。上位置停止中である場合は、ステップS7で針振りモータ11を制御して針棒2ないし針3を基線変更分移動させる。移動が意図したものであるときは、ステップS8で設定スイッチ41をオフにし処理を終了する。また意図したものでないときは、ステップS5に戻って上記処理を繰り返す。
【0047】また、ステップS6で上位置停止中でないときは、ステップS9で変更データをメモリ26に格納して、設定スイッチ41がオンになっていること(ステップS10)並びに上位置を検出してから(ステップS11)、基線変更分針棒を移動し入力した基線位置に移動させる(ステップS12)。
【0048】このように、基線位置の変更を上位置停止中に行ったときは、その変更に同期して針棒も移動し(ステップS7)、一方それ以外のときは、次の上位置が検出されたときに(ステップS11)、針棒が移動する(ステップS12)。なお、ステップS2、ステップS5で判断が否定された場合は、設定スイッチ41がもう一度押されてオフになった場合は処理を終了し、また押されないでオンの場合は元に戻って処理が開始される(ステップS3)。
【0049】なお、上述は基線位置の変更であったが、基線基準を変更する場合も、入力ないし変更された基線基準に従って同様に変更分針棒が移動される。
【0050】このような基線位置ないし基線基準の変更は、縫製物との関係で、縫製物を案内するバインダー70(図2)を調整する場合に多く行われるので、基線変更と同期して針棒も移動することから、基線合わせが容易になる。例えば、基線位置をバインダー70の位置にし、基線基準を左基準に選択すると、各針振りパターンはバインダー70の位置を基点にしてすべて右側に振られるので、針振り巾が変更した場合でも基線位置を再調整することが不要になり、作業能率を向上させることができる。
【0051】また、基線基準には、中央基準、右基準、左基準があるが、基線基準として、中央基準を設定した場合は、バインダーに針振り位置を合わせることが困難になる。従って、基線基準を中央基準、右基準左基準から選択できるようにする。これは、基線スイッチ61をオンするごとに基線基準は、中央基準、右基準左基準になるので、オンする回数によりそのいずれかを選択することにより行われる。
【0052】図12のステップS20で基線基準が中央基準である場合は、ステップS21で針振り巾を基線位置を中心にして振り分け、針落ちデータとする。例えば、2点千鳥の場合、針振り巾がWで基線位置をNPとすると、右針落ち位置はNP+W/2となり、左針落ち位置はNP−W/2となる。
【0053】一方、基線基準がステップS22で右基準と判断された場合は、パターンの最大右針振り位置を基準(基線)としてその左側に針落ちデータを作成し(ステップS23)、左基準と判断された場合は、パターンの最大左針振り位置を基準(基線)としてその右側に針落ちデータを作成する(ステップS24)。例えば、ステップS23の例を示せば、針振りパターンをカスタムパターンとして針落ちデータがD1、D2、D3、.....Dnとした場合、その基線データがDrであったとすると、針落ちデータは(NP−Dr)+Dnとなる。
【0054】このように基線基準に従い針落ちデータが作成されるので、主モータ並びに針振りモータを作動して、選択された基線基準に応じた針振りパターンの縫目を形成する。
【0055】なお、上記実施形態では基線位置ないし基線基準の入力に同期して針を移動するようにしたが同期して移動しないようにしてもよい。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、各針振りパターンに対してそれぞれ最適な基線の基線基準と基線位置の少なくとも一方が記憶され、選択された針振りパターンに対してこれらの基線データが自動的に設定されるので、基線データの設定を誤ることなく、高品質の針振りパターン縫いが可能になる。
【0057】また、本発明では、基線位置ないし基線基準の変更は、縫製物との関係で、縫製物を案内するバインダーを調整する場合に多く行われ、その場合、基線変更に従って針棒も移動することから、基線合わせが容易になる。
【0058】更に、本発明では、基線基準を右基準ないし左基準に選択することができるので、各針振りパターンにおいて針を基線に対してすべて右側あるいは左側に振るようにできるので、針振り巾が変更した場合でも基線位置を再調整することが不要になり、作業能率を向上させることができる。




 

 


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