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発明の名称 裾三ツ巻縫製ミシン
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−137582(P2001−137582A)
公開日 平成13年5月22日(2001.5.22)
出願番号 特願平11−325616
出願日 平成11年11月16日(1999.11.16)
代理人 【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭 (外2名)
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150 BA03 BA11 CE09 CE27 DE03 DE07 EC01 EC07 GD03 JA07 JA08 LA02 LA10 LA15 LA42 LA85 LA89 NA72 NA76 NA80 NB03 NB18 NC06 NC07 QA04 QA06 QA07 QA08 
発明者 篠塚 寿信 / 石橋 次郎 / 鎌倉 新治
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】三ツ巻にされたズボンの裾回りに縫製を施す裾三ツ巻縫製ミシンであり、裾を挟持するように配置された少なくとも一対の布送りローラと、前記一対の布送りローラのそれぞれに設けられる少なくとも2つの駆動モータと、ミシンを駆動するためにミシン駆動モータに接続される主軸と、前記主軸の回転数を検出する回転検出手段とを備え、該回転検出手段によって検出される主軸の回転数に基づいて前記各駆動モータを独立的に制御して裾に差動送りを付与する裾三ツ巻縫製ミシンにおいて、前記各駆動モータをパルスモータで構成し、前記回転検出手段の検出結果により決定される主軸1回転あたりの時間と、縫い目ピッチの長さと送りの分解能により決定される縫い目ピッチの長さあたりのパルス数とに基づいて、前記パルスモータを駆動するための駆動パルスの第1の出力パルスレートを決定し、該第1の出力パルスレートにて一方の駆動モータを駆動すると共に、前記第1の出力パルスレートに基づいて決定される、第1の出力パルスレートとは異なる第2の出力パルスレートにて他方の駆動モータを駆動するように制御する制御部を備えることを特徴とする裾三ツ巻縫製ミシン。
【請求項2】三ツ巻にされたズボンの裾回りに縫製を施す裾三ツ巻縫製ミシンであり、裾を挟持するように配置された少なくとも一対の布送りローラと、前記一対の布送りローラのそれぞれに設けられる少なくとも2つの駆動モータと、ミシンを駆動するためにミシン駆動モータに接続される主軸と、前記主軸の回転数を検出する回転検出手段とを備え、該回転検出手段によって検出される主軸の回転数に基づいて前記各駆動モータを独立的に制御して裾に差動送りを付与する裾三ツ巻縫製ミシンにおいて、前記各駆動モータをパルスモータで構成し、前記回転検出手段の検出結果により決定される主軸1回転あたりの時間と、縫い目ピッチの長さと送りの分解能により決定される縫い目ピッチの長さあたりのパルス数とに基づいて、前記パルスモータを駆動するための駆動パルスの第1の出力パルスレートを決定する第1の決定手段と、該第1の決定手段とは別に、主軸1回転あたりの時間と縫い目ピッチの長さあたりのパルス数とに基づいて、第1の出力パルスレートとは異なる第2の出力パルスレートを決定する第2の決定手段と、前記第1の決定手段によって決定された第1の出力パルスレートにて一方の駆動モータを駆動し、前記第2の決定手段によって決定された第2の出力パルスレートにて他方の駆動モータを駆動する制御部と、を備えることを特徴とする裾三ツ巻縫製ミシン。
【請求項3】請求項1又は2に記載の裾三ツ巻縫製ミシンにおいて、前記第1及び第2の出力パルスレートのうち、少なくとも一方の出力パルスレートをプラス又はマイナスに変更可能な操作パネルを備えることを特徴とする裾三ツ巻縫製ミシン。
【請求項4】請求項1又は2に記載の裾三ツ巻縫製ミシンにおいて、前記第1及び第2の出力パルスレートのうち、少なくとも一方の出力パルスレートが、第1及び第2の出力パルスレートと所望の係数とに基づいて決定され、該所望の係数をプラス又はマイナスに変更可能な操作パネルを備えることを特徴とする裾三ツ巻縫製ミシン。
【請求項5】請求項1から4のいずれか1項に記載の裾三ツ巻縫製ミシンにおいて、前記一対の布送りローラが、針近傍の布送り方向上流側及び下流側の少なくとも一方に配置されることを特徴とする裾三ツ巻縫製ミシン。
【請求項6】ズボンの裾を挟持するように配置された少なくとも一対の布送りローラと、該一対の布送りローラのそれぞれに設けられる少なくとも2つの駆動モータと、前記一対の布送りローラにより裾を送ると共にミシンを駆動して、三ツ巻にされたズボンの裾回りに縫製を施す裾三ツ巻縫製ミシンにおいて、縫製開始位置まで空送りする空送り区間及び縫製を行う縫製区間に対する2つの駆動モータの駆動差動量を異ならせたことを特徴とする裾三ツ巻縫製ミシン。
【請求項7】請求項6に記載の裾三ツ巻縫製ミシンにおいて、前記両区間での前記2つの駆動モータの駆動差動量をそれぞれプラス又はマイナスに変更可能な操作パネルを備えたことを特徴とする裾三ツ巻縫製ミシン。
【請求項8】三ツ巻にされたズボンの裾回りに縫製を施す裾三ツ巻縫製ミシンであり、針の布送り方向下流側且つ裾を挟持するように配置された一対の布引張り送りローラと、針の布送り方向上流側且つ裾を挟持するように配置された一対の布押込み送りローラと、前記布送りローラのそれぞれに設けられる4つの駆動モータと、ミシンを駆動するためにミシン駆動モータに接続される主軸と、該主軸の回転数を検出する回転検出手段とを備えた裾三ツ巻縫製ミシンであって、前記4つの駆動モータをパルスモータで構成し、前記回転検出手段の検出結果に基づいて決定される主軸1回転あたりの時間と、縫い目ピッチの長さと送りの分解能により決定される縫い目ピッチの長さあたりのパルス数とにより駆動パルスの主出力パルスレートを決定し、該主出力パルスレートに基づいて決定される出力パルスレートにて、三ツ巻部が形成されていない反三ツ巻側に配置される2つの駆動モータを同一速度で駆動制御する制御部を備えることを特徴とする裾三ツ巻縫製ミシン。
【請求項9】請求項8に記載の裾三ツ巻縫製ミシンにおいて、三ツ巻部が形成されている三ツ巻側に配置される駆動モータの速度を、前記反三ツ巻側に配置される駆動モータの速度より速くすることを特徴とする裾三ツ巻縫製ミシン。
【請求項10】ズボンの裾を挟持するように配置された一対の布送りローラと、該布送りローラのそれぞれに設けられる2つの駆動モータとを備え、前記一対の布送りローラにより裾を送ると共にミシンを駆動して、三ツ巻にされたズボンの裾回りに縫製を施す裾三ツ巻縫製ミシンにおいて、前記2つの駆動モータをパルスモータで構成し、該パルスモータを駆動するための駆動パルスの出力命令情報を、空送り経過時間と対応させた空送り出力パルスレートテーブルとして記憶する記憶手段と、空送り時、前記空送り出力パルスレートテーブルに基づいて決定される出力パルスレートにて一方の駆動モータを駆動すると共に、前記出力パルスレートとは異なる出力パルスレートにて他方の駆動モータを駆動するように制御する制御部を備えることを特徴とする裾三ツ巻縫製ミシン。
【請求項11】請求項10に記載の裾三ツ巻縫製ミシンにおいて、前記他方の駆動モータを駆動するための駆動パルスの出力パルスレートをプラス又はマイナスに変更可能な操作パネルを備えることを特徴とする裾三ツ巻縫製ミシン。
【請求項12】請求項10に記載の裾三ツ巻縫製ミシンにおいて、前記記憶手段が、複数の空送り出力パルスレートテーブルを記憶しており、これを変更可能としたことを特徴とする裾三ツ巻縫製ミシン。
【請求項13】三ツ巻バインダの裾送り方向手前側且つ裾の内側あるいは外側のうち、三ツ巻部が形成される三ツ巻側に、駆動モータによって駆動される布押込み送りローラを配置したことを特徴とする裾三ツ巻縫製ミシン。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、裾三ツ巻縫製ミシン、特に希望通りの条件でズボンの裾を三ツ巻きに縫う際に適用して好適な、生地の差動送りを安定して行うことが可能な工業用の裾三ツ巻縫製ミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】裾三ツ巻縫製とは、図13に裾の一部を切り欠いたズボンを示すように、裾にほつれが生じないようにするために、裾布を内側に折り曲げて二重にした後、更に折り曲げて三重にして周囲全体を縫い合わせることを意味する。
【0003】一般に、ズボンは、前側の布Fと後側の布Bとを、ほぼ中央で縫い合わせて筒状にしているため、内側と外側のそれぞれ1箇所に布をつなぎ合わせて厚くなった段部G、G´が形成されている。通常、例えばジーンズ等では、裾三ツ巻縫製する場合、その縫い始めや縫い終わりの糸の位置を目立たなくするために、内側段部Gの近傍から縫い始め、1周して同段部近傍で縫い終わるようにし、しかも糸のほつれを防止するために、図14に内側段部Gを中心にして裾部分を拡大して示すように、縫い終わり位置Eが縫い始め位置Sを越えるように重ね縫いをWの範囲で行うようにしている。
【0004】このような裾三ツ巻縫製に用いられるミシンとしては、例えば特公平3−78号公報に開示されているものがある。このミシンは、概ね図15のブロック図に示すような装置構成になっている。
【0005】このミシンは、各種縫製データ等の情報が格納されているROMやRAM等のメモリ(図示せず)と、これらメモリから入力される情報を基に制御演算を実行するCPU(中央演算処理装置)を備えたCPUユニット10から出力される制御信号に基づいて、後述する針位置検出器22からの検出信号を基準に駆動モータコントローラ12を介して駆動モータ14の回転を制御することにより、該駆動モータ14の回転がVベルト16を介してミシン頭部18の後部のミシン上軸(主軸と称する)18Aに伝達され、縫製動作が行われるようになっている。
【0006】又、上記ミシン頭部18の下部には糸切りユニット20が装備されている。この糸切りユニット20では、上記主軸18Aの後端部に設置された針位置検出器22から入力される針下位置や針上位置の検出信号を基に、前記CPUユニット10により演算され、出力される制御信号に基づいてアクチュエータドライバ24を介して糸切り駆動用エアシリンダ(糸切りシリンダ)26の駆動タイミングを制御することにより、糸切り動作が制御されるようになっている。
【0007】又、上記ミシン頭部18の先端部には針と天秤(いずれもここには図示せず)の中間位置に糸手繰り装置28が設置され、同じく前記アクチュエータドライバ24からの駆動信号に基づいて、糸切り時に糸道経路を変更することにより、糸切り後に針先に残る上糸長さを調節し、切断後の上糸の針穴からの抜けを防止できるようになっている。又、糸切り時に糸にかかっている張力を解除する糸緩め装置29も設置されている。
【0008】同じくミシン頭部18の下部には、後述する裾三ツ巻ユニット30と、裾三ツ巻縫製時に布を引張って送る上下一対の布送りローラ32とが装備されている。そして、ミシン頭部18の主軸18Aは、前記コントローラ12により駆動モータ14を制御することにより回転され、布送りローラ32は、前記CPUユニット10から入力される制御信号に基づいてモータドライバ34により、サーボモータからなる布送り駆動モータ36を制御することにより、布送りの動作が行われるようになっている。又、設定パネル38が設置され、前記CPUユニット10に各種情報を入力し、必要に応じてそれを表示することができるようにもなっている。
【0009】又、このミシンには、ここでは図示を省略するが、裾布を二つ折りにして挟み込んでセットした後、前記布送りローラ32で送ることにより、該布を自動的に三ツ巻の状態に折り込む折り曲げガイドの働きをするバインダと、布の段部を検出する段部センサ(いずれも上記ユニット30に含まれている)とが、針に対して送り方向の上流(手前)に配設されている。そして、上記裾三ツ巻ユニット30に対して所定位置に裾布をセットした後、前記布送りローラ32によりそれを送り、上記段部センサにより内側の段部Gが検知された後、前記図14に裾部分の内側を示したように、所定寸法進んだところを縫い始め位置Sとして縫い動作を開始すると共に、該布を送ることにより、自動的に裾三ツ巻縫製を行うことができる。その後、縫い始め位置に近付いたタイミングを見計らって上記バインダを外し(解放し)、更に所定長さ縫製することにより、裾周囲全体を三ツ巻に縫製することができるようになっている。
【0010】又、このミシンでは、前記布送りローラ32による布送りが、後述する縫い始め位置まで布を送る空送りの場合と、縫い動作開始後の縫製送りの場合とで駆動源が異なっている。即ち、図16に動力伝達機構のみを抽出し、拡大して示したように、布Cを紙面に垂直な方向に送るための布送り上ローラ32Aと布送り下ローラ32Bがそれぞれ軸42A、42Bに軸支され、これら軸42A、42Bの反対側にはそれぞれギヤ44A、44Bが軸挿され、互いに噛合されている。又、上側の軸42Aには、スプロケット46が軸挿され、その端部にギヤ48が固定されている。そして、上記スプロケット46には、前記布送り駆動モータ36の回転軸に固定されたスプロケット36Cとの間にチェーン50が巻回され、該チェーン50を介して軸42Aにモータ36の駆動力が伝達されるようになっている。
【0011】又、前記駆動モータ14によりVベルト16を介して回転される前記ミシン主軸18Aには、ギヤ52が軸挿され、該ギヤ52に噛合されたギヤ52Aと、該ギヤ52Aと同軸に軸支されたギヤ52Bが前記ギヤ48と噛合され、前記駆動モータ14からの回転駆動力が、前記軸42Aに伝達されるようになっている。
【0012】そして、上記布送り駆動モータ36で回転されるスプロケット36Cにはワンウェイクラッチ36Dが設置され、一方向にのみ該モータ36の駆動力が伝達されるようになっており、前記空送りのときには布送り駆動モータ36により布送り上ローラ32A、同下ローラ32Bを回転させ、縫い始め位置に達した後は該モータ36を停止させ、駆動モータ14を起動させ、該モータ14によりミシン主軸18Aと共に回転できるようになっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、縫製中においては、生地の条件(伸び、滑り、硬さ、厚さ等)、三ツ巻の条件(深さ、位置等)、縫い条件(ピッチ、速度等)に加え、裾の形状からくる裾の内側と外側の径の違いにより、内側の布地の移送量(寸法)が外側の布地の移送量より相対的に少なくなって、内側の布地に弛みが生じ、疵や皺が発生する可能性があった。
【0014】又、バインダの構造上、布送りにおいて三ツ巻時に下布が遅れる傾向にあり、その場合、三ツ巻の一部が開いてしまうパンクの主要因の1つとなっていた。
【0015】一方、特公平5−18597号公報には、上下の布送りローラに対して独立にパルスモータを設け、差動縫いスイッチがオンのときは信号発生回路から発生するパルス数を独立に設定できるようにして、上側と下側のローラの回転数を変えることが記載されているが、パルスモータの具体的な制御方法に関しては記載されていなかった。
【0016】又、特開平11−146990号公報にも、ミシン上軸の回転に対し、上下一対の上送りローラと下送りローラの回転を、パルスモータ又はサーボモータにより各々独自に回転させることが記載されているが、パルスモータの具体的な制御方法は、やはり記載されていなかった。
【0017】更に、従来の三ツ巻縫製ミシンは、空送り時と縫製時とで布送り上下ローラの差動量が同一であったために、三ツ巻が安定しなかった。即ち、裾に対し、空送り時は三ツ巻のみが行われ、縫製時は縫製と三ツ巻が行われることからもわかるように、裾に対しての送り条件が異なっているにも拘らず、空送り時と縫製時とで差動量を同一にすると、例えば、空送り時に合わせて差動量を設定すれば縫製時には該差動量では適さず、三ツ巻が安定しなくなり、又、縫製時に合わせて差動量を設定すれば空送り時には該差動量では適さず、三ツ巻が安定しなかった。
【0018】本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、特にパルスモータによる生地の差動送りを安定して行うことが可能な裾三ツ巻縫製ミシンを提供することを第1の課題とする。
【0019】本発明は、又、安定した布送りが行われる裾三ツ巻縫製ミシンを提供することを第2の課題とする。
【0020】本発明は、更に、三ツ巻を安定して形成できる裾三ツ巻縫製ミシンを提供することを第3の課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、三ツ巻にされたズボンの裾回りに縫製を施す裾三ツ巻縫製ミシンであり、裾を挟持するように配置された少なくとも一対の布送りローラと、前記一対の布送りローラのそれぞれに設けられる少なくとも2つの駆動モータと、ミシンを駆動するためにミシン駆動モータに接続される主軸と、前記主軸の回転数を検出する回転検出手段とを備え、該回転検出手段によって検出される主軸の回転数に基づいて前記各駆動モータを独立的に制御して裾に差動送りを付与する裾三ツ巻縫製ミシンにおいて、前記各駆動モータをパルスモータで構成し、前記回転検出手段の検出結果により決定される主軸1回転あたりの時間と、縫い目ピッチの長さと送りの分解能により決定される縫い目ピッチの長さあたりのパルス数とに基づいて、前記パルスモータを駆動するための駆動パルスの第1の出力パルスレートを決定し、該第1の出力パルスレートにて一方の駆動モータを駆動すると共に、前記第1の出力パルスレートに基づいて決定される第1の出力パルスレートとは異なる第2の出力パルスレートにて他方の駆動モータを駆動するように制御する制御部を備えることにより、前記第1の課題を解決したものである。
【0022】本発明は、又、同様の裾三ツ巻縫製ミシンにおいて、前記各駆動モータをパルスモータで構成し、前記回転検出手段の検出結果により決定される主軸1回転あたりの時間と、縫い目ピッチの長さと送りの分解能により決定される縫い目ピッチの長さあたりのパルス数とに基づいて、前記パルスモータを駆動するための駆動パルスの第1の出力パルスレートを決定する第1の決定手段と、該第1の決定手段とは別に、主軸1回転あたりの時間と縫い目ピッチの長さあたりのパルス数とに基づいて、第1の出力パルスレートとは異なる第2の出力パルスレートを決定する第2の決定手段と、前記第1の決定手段によって決定された第1の出力パルスレートにて一方の駆動モータを駆動し、前記第2の決定手段によって決定された第2の出力パルスレートにて他方の駆動モータを駆動する制御部とを備えることにより、同じく前記第1の課題を解決したものである。
【0023】又、前記第1及び第2の出力パルスレートのうち、少なくとも一方の出力パルスレートを、例えば基準値100%に対して90〜110%というように、プラス又はマイナスに変更可能な操作パネルを備えることにより、出力パルスレートの設定を容易としたものである。
【0024】又、前記第1及び第2の出力パルスレートのうち、少なくとも一方の出力パルスレートが、第1及び第2の出力パルスレートと所望の係数とに基づいて決定され、該所望の係数をプラス又はマイナスに変更可能な操作パネルを備えることにより、同じく出力パルスレートの設定を容易としたものである。
【0025】又、前記一対の布送りローラを、針近傍の布送り方向上流側及び下流側の少なくとも一方に配置したものである。
【0026】本発明は、又、ズボンの裾を挟持するように配置された少なくとも一対の布送りローラと、該一対の布送りローラのそれぞれに設けられる少なくとも2つの駆動モータと、前記一対の布送りローラにより裾を送ると共にミシンを駆動して、三ツ巻にされたズボンの裾回りに縫製を施す裾三ツ巻縫製ミシンにおいて、縫製開始位置まで空送りする空送り区間及び縫製を行う縫製区間に対する2つの駆動モータの駆動差動量を異ならせることにより、前記第3の課題を解決したものである。
【0027】又、前記両区間での前記2つの駆動モータの駆動差動量をそれぞれプラス又はマイナスに変更可能な操作パネルを備えることにより、差動量の設定を容易としたものである。
【0028】本発明は、又、三ツ巻にされたズボンの裾回りに縫製を施す裾三ツ巻縫製ミシンであり、針の布送り方向下流側且つ裾を挟持するように配置された一対の布引張り送りローラと、針の布送り方向上流側且つ裾を挟持するように配置された一対の布押込み送りローラと、前記布送りローラのそれぞれに設けられる4つの駆動モータと、ミシンを駆動するためにミシン駆動モータに接続される主軸と、該主軸の回転数を検出する回転検出手段とを備えた裾三ツ巻縫製ミシンであって、前記4つの駆動モータをパルスモータで構成し、前記回転検出手段の検出結果に基づいて決定される主軸1回転あたりの時間と、縫い目ピッチの長さと送りの分解能により決定される縫い目ピッチの長さあたりのパルス数とにより駆動パルスの主出力パルスレートを決定し、該主出力パルスレートに基づいて決定される出力パルスレートにて、三ツ巻部が形成されていない反三ツ巻側に配置される2つの駆動モータを同一速度で駆動制御する制御部を備えることにより、前記第1及び第2の課題を解決したものである。
【0029】又、三ツ巻部が形成されている三ツ巻側に配置される駆動モータの速度を、前記反三ツ巻側に配置される駆動モータの速度よりも速くして、内側が余らないようにしたものである。
【0030】本発明は、又、ズボンの裾を挟持するように配置された一対の布送りローラと、該布送りローラのそれぞれに設けられる2つの駆動モータとを備え、前記一対の布送りローラにより裾を送ると共にミシンを駆動して、三ツ巻にされたズボンの裾回りに縫製を施す裾三ツ巻縫製ミシンにおいて、前記2つの駆動モータをパルスモータで構成し、該パルスモータを駆動するための駆動パルスの出力命令情報を、空送り経過時間と対応させた空送り出力パルスレートテーブルとして記憶する記憶手段と、空送り時、前記空送り出力パルスレートテーブルに基づいて決定される出力パルスレートにて一方の駆動モータを駆動すると共に、前記出力パルスレートとは異なる出力パルスレートにて他方の駆動モータを駆動するように制御する制御部を備えることにより、前記第1の課題を解決したものである。
【0031】又、前記他方の駆動モータを駆動する駆動パルスの出力パルスレートをプラス又はマイナスに変更可能な操作パネルを備えることにより、出力パルスレートの変更を容易としたものである。
【0032】又、前記記憶手段に、例えば素材や三ツ巻深さ等に応じて複数の空送り出力パルスレートテーブルを記憶し、これを変更可能とすることにより、出力パルスレートの変更を容易としたものである。
【0033】本発明は、又、三ツ巻バインダの裾送り方向手前側且つ裾の内側あるいは外側のうち、三ツ巻部が形成される三ツ巻側に、駆動モータによって駆動される布押込み送りローラを配置することにより、前記第2の課題を解決したものである。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0035】図1は、本発明に係る一実施形態の裾三ツ巻縫製ミシンの概略構成を示す、前記図15に相当するブロック図である。但し、アクチュエータドライバ24は省略してある。
【0036】本実施形態の裾三ツ巻縫製ミシンでは、ミシン頭部18にミシン駆動用のサーボモータ54が取付けられ、該サーボモータ54とミシン主軸18Aとはタイミングベルト56により接続され、両者間の回転の同期が正確に取れるようになっている。又、このサーボモータ54が、CPUユニット10から入力される制御信号に基づいて、モータドライバ34により制御されるようになっている。この制御信号は、上軸原点検出器57から入力される、ミシン主軸18Aの回転角度0°に当る原点検出信号を基準にして、上記CPUユニット10で生成されるようになっている。
【0037】本実施形態においては、更に、図2に詳細に示す如く、裾三ツ巻縫製時に、針68の前方から布を引張って送る、従来と同様の、上下の布引張り送りローラ(先引ローラ、又は、単に布送りローラとも称する)32A、32Bに加えて、針68の後方から布を押して送り込む、上下の布押込み送りローラ(送込みローラ、又は、単に布送りローラとも称する)33A、33Bが設けられ、CPUユニット10により、前記モータドライバ34を介して、前記先引ローラ32A、32Bを駆動するための、パルスモータからなる布引張り送り駆動モータ(先引駆動モータと称する)36A、36Bだけでなく、前記送込みローラ33A、33Bを駆動するための、同じくパルスモータからなる布押込み送り駆動モータ(送込み駆動モータと称する)37A、37Bも制御されるようになっている。布送りローラ32A、32B及び33A、33Bは、常に駆動モータ36A、36B及び37A、37Bにより回転されるようになっており、布送り機構は、ミシン主軸18Aとは完全に独立した構造となっている。
【0038】前記CPUユニット10は、CPUとROM、RAMからなるメモリによって構成されている。
【0039】前記布送り駆動モータ36A、36B及び37A、37Bは、図3(a)に示す如く、ミシン主軸の1回転を等分割(図では40分割)した角度(ここでは9度)毎のタイミングで生成される、例えば糸切り駆動制御用の上軸1/40回転信号(TG1/40信号と称するパルス信号)により駆動される。図において、LS1/360は、1回転に360パルス出力される回転信号、(b)は、0〜179度の時「H」、180〜359度の時「L」となる上軸半回転信号、(c)は、例えば40〜70度の時「L」となる針上信号、(d)は、例えば210〜250度の時「L」となる針下信号、(e)は、例えば125〜155度の時「L」となる送りタイミング信号、(f)は、例えば5〜35度の時「L」となる天秤最上停止信号である。
【0040】前記一対の送込みローラ33A、33Bは、図2に詳細に示した如く、針68の上流側で、三ツ巻バインダ62と段部検知センサ60との間に配置されている。この布押込み送りローラ33A、33Bは、三ツ巻バインダ62より上流側である必要があるが、段部検知センサ60より上流側にあっても構わない。又、裾をセットする際には、布押え72と共に上下する先引上ローラ32Aと同様に、送込み上ローラ33Aも同期して上下する構造となっている(図面が複雑化するのを避けるため上下機構は図示省略)。
【0041】このようにして、上下の先引ローラ32A、32Bには、それぞれを専用で駆動する上下の先引駆動モータ36A、36Bを設け、上下の送込みローラ33A、33Bにも、それぞれを専用で駆動する上下の送込み駆動モータ37A、37Bを設けているので、各モータ36A、36B、37A、37Bを独立に制御して、上下の布送りローラ32A、33Aと、32B、33B間との送り速度に差をつける、いわゆる差動送りや、針68の上流側と下流側の布送りローラ33A、33Bと、32A、32Bとで布送り速度に差をつけることが可能となる。
【0042】これにより、本実施形態では、標準的には、空送り時には先引上ローラ32Aによる布送り速度を先引下ローラ32Bによる布送り速度よりも遅くなるように設定すると同時に、送込み上ローラ33Aによる布送り速度を、送込み下ローラ33Bによる布送り速度よりも遅くなるように設定して、空送り時の三ツ巻の品質の安定化を図っている。又、針の上流及び下流における布送り速度の同期をとるため、先引ローラ32A、32Bと送込みローラ33A、33B間においては、差動送りの基準速度を上ローラ側にする場合には、先引上ローラ32Aと送込み上ローラ33Aを同一速度に設定し、基準速度を下ローラ側にする場合には、先引下ローラ32Bと送込み下ローラ33Bの速度を同一速度に設定することができる。
【0043】又、本実施形態では、縫製時には、先引上ローラ32Aによる布送り速度と先引下ローラ32Bによる布送り速度が同一となるように設定すると同時に、送込み上ローラ33Aの布送り速度は、先引ローラ32A、32Bの布送り速度と同一とするが、送込み下ローラ33Bの布送り速度は、それらよりわずかに速くなるように設定して、三ツ巻の品質の安定化及び縫製品質の安定化を図っている。なお、布送り速度の差は、これに限られず、空送り時に三ツ巻品質を安定、あるいは、縫製時に三ツ巻品質及び縫製品質を安定することができればよい。要するに、どちらの布送り速度を速くし、どの程度の布送り速度に差を付けるかというのは、縫製物の素材等により異なってくるので、縫製物の素材等によって、適宜、変更することが可能となっている。
【0044】又、布送り機構がミシン主軸18Aとは完全に独立した構造となっているので、布送り速度をミシン主軸の回転とは関係なく設定することができ、具体的には、空送り時に送る布の素材に合わせて、素材に合った最も速い布送り速度にて空送りを行うことができる。例えば、厚く硬い素材のものであれば、速い速度で送っても問題ないが、薄く柔らかい素材のものまで速い速度で送ろうとすると、素材が送り速度に適応できずに皺になってしまったりして適切な送りを行うことができないという問題があるので、薄く柔らかい素材の時には、送り速度を遅くすることができるようになっている。
【0045】又、本実施形態では、操作パネル58が付設されている。この操作パネル58については、後に図7を用いて詳述するが、表示部及び入力部が設けられ、裾三ツ巻縫製の条件を含む運転上の各種パラメータを入力し、表示することができると共に、そのパラメータを上記CPUユニット10に入力できるようになっている。
【0046】本実施形態のミシンは、以上の点を除き、機械的な構成は前記図15に示したものと実質的に同一であるので、その説明を省略する。
【0047】図4には、本実施形態に適用される前記裾三ツ巻ユニット30の要部を概念的に示した。このユニット30は、段部検知センサ60、前進後退シリンダで移動可能な三ツ巻バインダ62、裾セットレバー64、裾張りレバー66を含んでいる。これらの機械的な位置関係を示したのが図2である。
【0048】即ち、針68の上流(図中右方向)には、段部検知センサ60、上下の送込みローラ33A、33B、及び、三ツ巻バインダ62が配設され、更にその上流には裾セットレバー64と裾張りレバー66が配設され、又、針68の近傍の縫い台70の上方には、縫製時には下方に付勢され、非縫製時には前記上昇装置40により強制的に上昇される布押え72が配設され、該布押え72には、同じく縫製時には下方に付勢されて布Cを押え付けるとともに、上下方向に揺動可能な押え金72Aが軸支されている。又、針68の下流側には、上記布押え72に取付けられている先引上ローラ32Aと、その下側の先引下ローラ32Bが、更にその下流側には裾布を後方で支持しながら案内する後ローラガイド74が、それぞれ配設されている。
【0049】ここにセットされるズボンの裾布Cは、概ね図中二点鎖線で示す位置に仮セットされる。上記段部センサ60は、図5にその要部を抽出して示したように、前記図2に示した回動軸の一端に固定されたレバー60Aと、その他端に固定されたレバー60B及び近接スイッチ60Cとを備えた構成になっている。そして、このレバー60Aに布Cの段部が到達すると、該レバー60Aが矢印A方向に回動することになり、それに伴なってレバー60Bも同方向に回動することになるため、その段部が近接センサ60Cにより検知され、その検知信号がCPUユニット10に出力されるようになっている。
【0050】本実施形態のミシンで裾三ツ巻縫製する場合、前述したように、まずオペレータが裾布Cの端を二つ折りして、それを二点鎖線のように仮セットすると、裾セットレバー64がそのエアシリンダ64Aにより右方向(ミシン手前方向)に回動され、該布Cを張った状態にする。その後、オペレータが裾部分を正確にセットすると、裾張りレバー66がそのエアシリンダ66Aにより同方向に回動され、同じく布を張った状態にすると同時に、上記裾セットレバー64は逆方向に回動され、元の位置に戻る。このように先端にローラ66Bが回転可能に支持されている裾張りレバー66に布張りを変更することにより、布送りがスムースにできるようになっている。
【0051】このように、裾布Cのセットが完了すると、布押え72を下降させることにより先引上ローラ32A及び送込み上ローラ33Aを下降させて布Cを縫い台70との間で挟持し、その後上下の布送りローラ32A、32B、33A、33Bを回転させて該布Cを図中反時計方向に送り、全周囲にわたって縫製を行うことができるようになる。
【0052】なお、前記図2で符号76は、オペレータが裾布Cをセットしている場合に、その手で反射される光を検知して作業が終っていないことを確認するための手元検出センサであり、符号78は、裾張りレバー66による裾張り動作時に、該レバー66が所定寸法以上回動すると起動し、裾布Cが無いことを検知する裾張りスイッチである。
【0053】本実施形態では、前記裾三ツ巻ユニット30に、前記図1にも示したように、布送りローラ32A、32B、33A、33Bにより送られる布の送り量を実測する送り検出エンコーダ(布送り量測定手段)80が付設されている。
【0054】この送り検出エンコーダ80は、図6に前記裾張りレバー66と共に拡大して、その要部を斜視図で示すように、前記布送りローラにより送られる裾布Cに接触して回転するゴム製の裾張りローラ(回転体)66Bに、図示しない機構により圧接され、該裾張りローラ66Bの回転に従って回転するディスク82を有している。又、このディスク82の回転軸には第1タイミングプーリ84Aが軸支され、タイミングベルト86を介して、該ディスク82の回転が離設された第2タイミングプーリ84Bに正確に伝達されるようになっている。更に、この第2タイミングプーリ84Bの回転軸には、周囲に等間隔にセンサスリット(明示せず)が形成されたスリット円板88が軸支され、該スリット円板88のスリットの有無を検知できる位置に、フォトインターラプタからなる2つのスリットセンサ90A、90Bが設置されている。
【0055】従って、縫製時に前記裾張りレバー66により筒状の裾布Cに所定の張力を付与すると共に、該布Cの送りに伴って前記裾張りロール66Bが回転すると、その回転に同期してスリット円板88が回転することから、この回転に伴う光の透過と反射をスリットセンサ90A又は90Bで検知し、それぞれ対応するON、OFF信号を出力させることにより、エンコーダとして機能させることができ、しかも出力されるパルス信号から布Cの正確な送り量を実測することができるようになる。
【0056】なお、ここでは、前記2つのスリットセンサ90A、90Bが使用されているが、これらは一方がスリットを検知しているONの時には、必ず他方が反スリットのOFFになるように配置してあり、機械的な振動等が生じたとしても、センサによる二度読みが生じることをソフト的に防止できるようになっている。
【0057】本実施形態では、図7に前記操作パネル58を拡大して示したように、該操作パネル58により裾三ツ巻の縫製条件を自由に設定できるようになっている。
【0058】上記ミシンで縫製を開始する場合、裾三ツ巻の縫製を行うために布Cをセットする際には、内側段部(縫い合わせ部)Gが前記段部センサ60より上流側(手前)にくるようにし、セット完了後は予め決めてある縫い始め位置まで自動で空送りするようになっている。そこで、本実施形態では、主に内側の段部Gを基準に裾三ツ巻の縫製条件(パラメータ)が設定されるようになっている。又、段部検知センサ60により最初と最後に検出されるのはこの内側段部Gである。
【0059】図7の操作パネル58は、全体が液晶画面で構成され、図中右側のテンキーや矢印キーはパラメータを設定するための入力部であり、その左側の領域が設定パラメータ等の表示部である。この表示部の中央には、前記図14に示したと同様の裾部分が、上下を逆向きにして内側段部Gが中心にくるように表示されており、横方向の破線は縫製範囲を表わしている。
【0060】本実施形態では、縫製条件の中で、位置に関するパラメータは、前記のように段部Gを基準に設定されている。具体的には、(A)縫い始めスタート位置(図では10mm)、(B)1針当りのローラ送り量(ピッチ)(図では3.2mm)、(C)縫い終わり位置(図では10mm)、(D)バインダ解放タイミング(図では25mm)、(E)裾幅(段部検知区間)(図では250mm)が設定されるようになっている。又、図示は省略してあるが、これら以外に、縫製速度の変更位置である減速開始位置と加速開始位置等も設定できるようになっている。
【0061】又、操作パネル58の上記表示部の左側に示したNo.(ここでは1)は、パターン番号の設定スイッチであり、本実施形態は、上述した(A)〜(E)等のパラメータが、前記CPUユニット10のメモリに予め縫製パターン毎に記憶されており、希望する縫製パターンの縫製をする場合には、その番号をこのスイッチで入力するだけで、ワンタッチで該当する上記パラメータを読み出して設定し、画面上にも表示できるようになっている。
【0062】なお、その下に「1.2.3.」で表示される加算カウンタは、上の2つがそれぞれ縫製枚数を、一番下はボビンカウンタでボビン交換後の縫製針数を表わしている。又、表示部の下の領域は、任意の位置での「糸切り」や、「自動縫製(Auto)」、それに針穴への「糸通し」等を、その下のキーを使って選択できることを表わしている。又、入力部(テンキー)の右側に表示されているのは、上から順に、準備完了時に使用する確認キー、その下のRはリセットキー、その下は途中停止用キーである。
【0063】本実施形態における差動送りの設定状態は、操作パネル58の表示部の右側に表示される。図8にこの表示例を拡大して示す。ミシン頭部のアイコンが黒く表示されている最上段(A)及び上から3段目(C)は、縫製中であることを示し、ミシン頭部のアイコンが表示されていない上から2段目(B)及び最下段(D)は、空送り中であることを示す。又、上の2段(A)(B)は、先引ローラの速度設定値、下の2段(C)(D)は、送込みローラの速度設定値を、それぞれ上下に相対値で示している。即ち、図8の場合、上の2段(A)(B)は、上下の先引ローラ32A、32Bの速度設定値が、縫製中は共に基準値100%であり、空送り中は上ローラ32Aが100%、下ローラ32Bが120%であることを示している。又、下の2段(C)(D)は、送込みローラ33A、33Bに関して、上ローラ33Aは縫製中及び空送り中共に基準値100%であり、下ローラ33Bは縫製中が110%、空送り中が120%に速められることを示している。
【0064】本実施形態における縫製中の布送りは、ミシン主軸の回転数に同期して、時間基準で布送り用駆動パルスを出力することによって行う。
【0065】以下に第1の実施の形態としての駆動パルス出力タイミングの決定方法を示す。
【0066】わかり易いように、仮に上下一対の駆動ローラを駆動する場合について説明する。上下一対の駆動ローラの条件は、それぞれ、第1の駆動ローラの速度指定値を150%、第2の駆動ローラの速度設定値を100%とする。
【0067】まず始めに、速度設定値が速い方、即ち第1の駆動ローラを駆動する駆動モータへの駆動パルスの出力タイミングを決定する。
【0068】図9に示す如く、図3(a)に示したTGの入力信号に対して時間を計測し、計測された時間t(t1、t2、t3・・・t40:TG時間と称する)を40倍して主軸1回転あたりの時間に換算し、これを主軸1回転あたりのパルス数Nで割ることよって、出力パルスレートP(第1の出力パルスレートと称する)を算出している。即ち、第1の出力パルスレートPは、P=(t×40)÷N …(1)
で算出される。
【0069】第1の出力パルスレートPの算出は1パルス出力毎に行われ、この第1の出力パルスレートPのタイミングでパルスを出力して第1の駆動ローラの駆動モータを駆動している。
【0070】図9の例では、TG時間tにt1、t2、t3、t5、t6が順次入力されて、1パルス出力毎の出力パルスレートP1、P2、P3、P4、P5が順次算出されている。ここで、出力パルスレートの計算でTG時間tがt3の次にt5が適用されているが、これは、最新のTG時間tを適用しているからである。
【0071】上記式(1)中の主軸1回転あたりのパルス数Nは、第1の駆動ローラの速度設定値150%(係数とも言う)を100で割った値に基準の縫い目ピッチLを乗じて実送りピッチを求め、これを1パルスあたりの布送り駆動モータの送り量S(送りの分解能)で割ることによって算出される。即ち、主軸1回転あたりのパルス数は、N=(150÷100)×L÷S …(2)
で算出される。
【0072】なお、図9の例で、TG時間tを等間隔としているが、これは、説明をわかり易くするためであり、ミシンの運転速度に応じて変更されるものである。
【0073】次いで、速度設定値が遅い方、即ち第2の駆動ローラを駆動する駆動モータへの駆動パルスの出力タイミングを決定する。
【0074】第1の駆動ローラの速度設定値150%を第2の駆動ローラの速度設定値100%(係数とも言う)で割り、これを上記式(1)で算出された第1の出力パルスレートPに乗じることにより第2の駆動ローラを駆動するための出力パルスレートP′(第2の出力パルスレートと称する)を算出する。即ち、第2の出力パルスレートP′は、P′=(150÷100)×P …(3)
で算出される。
【0075】第2の出力パルスレートP′の算出も1パルス出力毎に行われ、この第2の出力パルスレートP′のタイミングでパルスを出力して第2の駆動ローラの駆動モータを駆動している。
【0076】図9の例では、第1の出力パルスレートPにP1、P2、P4が順次入力されて、1パルス出力毎の出力パルスレートP1′、P2′、P3′が順次算出されている。ここで、出力パルスレートの計算で第1の出力パルスレートPがP2の次にP4が適用されているが、これは、最新の出力パルスレートPを適用しているからである。
【0077】上記方法を本発明に適用すると、まず始めに速度設定値が速い、即ち、送込み下ローラ33Bを駆動する駆動モータ37Bへの駆動パルスの第1の出力パルスレートPaを、上記式(1)により決定する。
【0078】次に、先引上ローラ32A及び送込み上ローラ33Aを駆動する駆動モータ36A及び37Aへの駆動パルスの第2の出力パルスレートPbを、上記式(2)により決定する。
【0079】更に、先引下ローラ32Bを駆動する駆動モータ36Bへの駆動パルスの第3の出力パルスレートPcを、上記式(2)により決定する。
【0080】これにより、各ローラは決定された各出力パルスレートにて駆動されるから、所定の速度設定値にてそれぞれ正確に駆動される。
【0081】なお、前記各ローラの駆動制御は制御部としてのCPUユニット10によって行う。
【0082】次に、第2の実施の形態としての駆動パルス出力タイミングの決定方法を示す。
【0083】わかり易いように、仮に上下一対の駆動ローラを駆動する場合について説明する。上下一対の駆動ローラの条件は、それぞれ、第1の駆動ローラの速度設定値を150%、第2の駆動ローラの速度設定値を100%とする。
【0084】第1の駆動ローラを駆動する駆動モータへの出力パルスレートを第1の出力パルスレートp、第2の駆動ローラを駆動する駆動モータへの出力パルスレートを第2の出力パルスレートp′とすると、第2の実施の形態では、両出力パルス共に、上記式(1)により算出している。
【0085】即ち、第1の出力パルスレートpは、 p=(t×40)÷N =(t×40)÷[(150÷100)×L÷S] …(4)
で算出される。
【0086】又、第2の出力パルスレートp′は、 p′=(t×40)÷N =(t×40)÷[(100÷100)×L÷S] …(5)
で算出される。
【0087】なお、t、N、L及びSは、第1の実施の形態と同様、TG時間、主軸1回転あたりのパルス数、基準の縫い目ピッチ及び送りの分解能である。
【0088】各出力パルスレートの算出は1パルス出力毎に行われ、この出力パルスレートのタイミングでパルスを出力して各ローラの駆動モータを駆動している。1パルス出力毎の出力パルスレートの計算方法は第1の実施の形態と同様であり、各式(4)(5)中のtに最新のTG時間が順次入力されることにより行われる。
【0089】上記方法を本発明に適用すると、上記式(1)を用いて以下に示す出力パルスレートを算出する。
【0090】1)送り込み下ローラ33Bを駆動する駆動モータ37Bへと駆動パルスを出力するタイミングである第1の出力パルスレートPd2)先引上ローラ32A及び送込み上ローラ33Aを駆動する駆動モータ36A及び37Aへと駆動パルスを出力するタイミングである第2の出力パルスレートPe3)先引下ローラ32Bを駆動する駆動モータ36Bへと駆動パルスを出力するタイミングである第3の出力パルスレートPfこれにより、各ローラは決定された各出力パルスレートにて駆動されるから、所定の速度設定値にて、それぞれ正確に駆動される。
【0091】なお、前記各ローラの駆動制御は制御部としてのCPUユニット10によって行っている。即ち、CPUユニット10は、第1の出力パルスレートPdを決定するための第1の決定手段、第2の出力パルスレートPeを決定するための第2の決定手段及び第3の出力パルスレートPfを決定するための第3の決定手段を備えている。
【0092】又、第1及び第2の実施の形態において、速度設定値(係数)を操作パネル58上で変更することによって、各出力パルスレートを変更することができる。
【0093】又、縫製しないで生地だけ送る空送りに際しては、設定パネル58で設定された空送りレベルと空送り速度設定値を考慮して制御している。具体的には、図10に示すように、レベル(1〜10)毎に分割された複数の空送り出力パルスレートテーブルから、操作パネル58によって空送りレベル(1〜10)を設定することにより、所望の空送り出力パルスレートテーブルを選択し、このテーブルの各回転数に、空送り速度設定値を100で割った値を乗じることによって、空送り出力パルスレートを算出する。
【0094】図10の右欄には、空送りレベルを1に設定した場合の各ローラの回転数を示している。なお、各ローラの速度設定値は、上述したように先引上ローラ32A及び送込み上ローラ33Aが100%、先引下ローラ32B及び送込み下ローラ33Bが120%である。
【0095】なお、図10において回転数の単位はPPS(Pulse Par Second)である。又、空送りの速度設定値も操作パネル58上で変更することによって、各出力パルスレートを変更することができる。
【0096】本実施形態においては、差動送りに関して、操作パネル58により、以下の内容が設定可能である。
【0097】(1)空送り部分と縫製部分を個別に設定。
(2)上先引駆動モータを基準に下先引駆動モータの出力基準を設定。
(3)下先引駆動モータを基準に上先引駆動モータの出力基準を設定。
(4)上送込み駆動モータを基準に下送込み駆動モータの出力基準を設定。
(5)下送込み駆動モータを基準に上送込み駆動モータの出力基準を設定。
【0098】図11、図12に、以上のようにして縫製条件の設定が行われた後に実行される、本実施形態による裾三ツ巻の縫製動作の処理手順を示す。
【0099】ステップ1で生地(裾布)を仮セットして、ミシンを起動するスタートスイッチをONにすると、前記裾セットレバー64が前進(回動)して布を張り、作業をし易くする。その後、人手により布を正確にセットすると、前記送り検出エンコーダ80が初期化される(ステップ2〜4)。その後、手元検出センサ76により、オペレータの手が危険範囲から離れたことが検知されると、裾張りレバー66が前進し、次いで上記裾セットレバー64は後退し、バインダ62が前進する(ステップ5〜8)。
【0100】その後、段部検出レバーがONになって段部検知センサ60による検知が開始されると共に、布押え(ミシン押え)72が降下される(ステップ9、10)。この段階で裾張りスイッチ78がONになっているときは(ステップ11でYES)、裾布Cがセットされていないことになるため、ステップ12で、前記ステップ2〜10の操作を全て初期化し、やり直しをする。
【0101】一方、裾布Cが正常にセットされていない(ステップ11でNO)ときは、前記布送り駆動モータにより布送りローラを回転させて段部Gが検出されるまで該布Cの空送りを行ない(ステップ13、14)、段部Gが検知された時点で、縫製開始位置までの送り量に相当するエンコーダパルス数をダウンカウンタにセットし(読み込み)、該布送り駆動モータを駆動して空送り動作を再開し、送り検出エンコーダ80から出力されるパルス数が上記空送り量に相当するパルス数に一致するまで、即ちカウンタ値が0になるまで布Cを送り、その位置に停止させる(ステップ15〜18)。
【0102】その後、ミシン押え72に揺動可能に支持されている押え金72Aを降下させ、フリー状態から下方への付勢状態にして布Cを押さえ付けた後、ミシンを起動し、外側段部G′が検出されるまで縫製を行う(ステップ19〜21)。このとき、上記送り検出エンコーダ80から出力されるパルス数が、該段部G′が検出されないのに裾幅寸法に相当するパルス数を超えている場合には、正常に裾布Cが送られていないとしてエラー表示をし、オペレータに知らせる(ステップ22、23)。
【0103】逆に、実質的に裾幅寸法分のカウント数で外側段部G′が検出されると(ステップ21でYES)、減速開始位置と加速開始位置に相当するパルス数を同様にダウンカウンタにセットし、布を送りながらパルスの減算を行ない、減速開始位置に到達したら減速を開始し、加速位置との差である減速パルス数の間、低速で縫製し(ステップ24〜26)、その後、加速して通常速度に戻し、前記内側段部Gが1周して再度最終段部として検出されるまで縫製を続ける(ステップ27、28)。
【0104】その際、前記ステップ21の場合と同様に、段部Gが検出されないのに前回段部検出位置からカウントしたパルス数が裾幅寸法分になった場合には、エラー表示し(ステップ29、30)、実質的に等しい場合には、バインダ後退位置と縫製終了位置に相当する送り量(パルス数)をセットし、前記エンコーダ80からのエンコーダパルス数が前者と一致した時点でバインダを後退させ、後者と一致した時点で糸切りを行い、ミシンを停止させる(ステップ31〜36)。
【0105】その後、前記押え金72Aを上昇させ、付勢力を解除して揺動フリーの状態、即ち布が押さえ付けられていない状態にした後、裾張りレバー66を後退させる(ステップ37、38)。次いで、三ツ巻縫製が終了した裾布Cを裾三ツ巻ユニット30から取り外し易くするために、前記エンコーダ80からのパルス数を基に布送りローラ32により更に50mm送り、ミシン押え72を上昇させて布送り上ローラ32A、33Aを上昇させた後、裾布Cの取り出しを行って縫製動作を終了する(ステップ39、40)。
【0106】本実施形態においては、従来例と同様の先引ローラに加えて、針の上流側にも送込みローラを設け、布の送り込みを行うようにしているので、三ツ巻が非常に安定する。なお、先引ローラ又は送込みローラの一方を省略して、いずれか一方のみとすることも可能である。
【0107】又、本実施形態においては、空送り部分と縫製部分の送り条件を個別に設定できるようにしたので、三ツ巻が特に安定する。なお、両者が連動して設定されるようにして、設定を簡略化することも可能である。
【0108】又、本実施形態においては、布送り制御における縫い始め位置や縫い終わり位置等を、従来のように縫製時の針数によって制御するのではなく、送り検出エンコーダにより布送り量を実測して行うようにしたので、操作パネルから縫製条件として設定した各種設定位置への位置決め制御を確実に行うことができる。なお、エンコーダを用いることなく、従来例と同様に、針数によって制御することも可能である。
【0109】以上、本発明について具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に示したものに限られるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変更可能である。
【0110】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、縫製中に、ミシン主軸の回転に基づいて、時間基準での正確な駆動パルスを布送り駆動モータに出力できるので、正確な布送りが実現できると共に、正確な差動送りも実施でき、三ツ巻が大幅に安定する。
【0111】又、空送り部分と縫製部分の布送り条件(差動量)を個別に設定できるようにした場合は、それぞれに適した条件を設定でき、三ツ巻が安定する。
【0112】更に、送込みローラで布の送込みを行う場合には、安定した布送りを行うことができ、三ツ巻が更に安定する。




 

 


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