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4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノール及び4,6−ジアミノレゾルシノールの製造法 - 日産化学工業株式会社
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発明の名称 4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノール及び4,6−ジアミノレゾルシノールの製造法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−131134(P2001−131134A)
公開日 平成13年5月15日(2001.5.15)
出願番号 特願2000−255391(P2000−255391)
出願日 平成12年8月25日(2000.8.25)
代理人
発明者 福江 靖夫 / 白鳥 元人 / 橋場 功 / 鈴木 秀雄
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 式[1]
【化1】

(式中、置換基Rはハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、ヒドロキシカルボニル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基を表し、置換基Rの数nは零又は1〜5のいずれかの整数を表し、2個以上のRは互いに同一又は異なっていてもよく、そしてXはCl、Br、OSO3H又はOPO32を表す。)で表される(置換)ベンゼンジアゾニウム塩の溶液とアルカリ金属又はアルカリ土類の水酸化物の溶液又は懸濁液とを混合し、アルカリ性とした混合液を得、続いてこの混合液とレゾルシノール及び/又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩の水溶液及を混合し反応させ、次いで得られた反応液を酸性液と混合して酸性化し、式[2]
【化2】

(式中置換基R及び置換基Rの数nは上式[1]中と同じ意味に定義される。)で表される4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを晶析させて製造する方法において、前記アルカリ性とした混合液とレゾルシノール及び/又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩の水溶液を混合して得られる反応液の酸性化は、該反応液を前記酸性液中に添加して混合することにより行うことを特徴とする4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの製造法。
【請求項2】 酸性液中の酸が塩酸、硫酸及び/又は燐酸である請求項1に記載の4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの製造法。
【請求項3】 酸性液中の酸が塩酸である請求項1又は2に記載の4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの製造法。
【請求項4】 反応液の、酸性液中への添加温度が20〜80℃である請求項1乃至3のいずれかの請求項に記載の4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの製造法。
【請求項5】 反応液の、酸性液中への添加時間が20分から3時間である請求項1乃至4のいずれかの請求項に記載の4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの製造法。
【請求項6】 (置換)ベンゼンジアゾニウム塩の溶液及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の溶液又は懸濁液の溶媒が水である請求項1乃至5のいずれかの請求項に記載の4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの製造法。
【請求項7】 (置換)ベンゼンジアゾニウム塩の溶液とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の溶液又は懸濁液とを混合する際の該水酸化物の量は、前記(置換)ベンゼンジアゾニウム塩溶液中の酸を中和した後、更にアルカリ性にするための過剰量として、(置換)ベンゼンジアゾニウム塩に対して1.1倍当量から20倍当量である請求項1乃至6のいずれかの請求項に記載の4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの製造法。
【請求項8】 (置換)ベンゼンジアゾニウム塩とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の混合液と、レゾルシノール又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩の水溶液との混合における(置換)ジアゾニウム塩の量が、レゾルシノール及び/又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩の合計量に対して2.05〜2.20倍モルである請求項1乃至7のいずれかの請求項に記載の4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの製造法。
【請求項9】 (置換)ベンゼンジアゾニウム塩がベンゼンジアゾニウム塩である請求項1乃至8のいずれかの請求項に記載の4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの製造法。
【請求項10】 水酸化物が水酸化ナトリウムである請求項1乃至9のいずれかの請求項に記載の4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの製造法。
【請求項11】 (置換)ベンゼンジアゾニウム塩の溶液とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の溶液又は懸濁液の混合を、該混合液とレゾルシノール及び/又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩の水溶液との反応を行う反応容器へのラインの中で行う請求項1乃至10のいずれかの請求項に記載の4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの製造法。
【請求項12】 請求項1〜請求項11のいずれかの方法で得た4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを触媒の存在下、水素ガスで還元することを特徴とする4,6−ジアミノレゾルシノールの製造法。
【請求項13】 触媒が白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム及びイリジウムから選ばれる少なくとも1種の貴金属触媒である請求項12記載の4,6−ジアミノレゾルシノールの製造法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は(置換)ベンゼンジアゾニウム塩溶液にアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の溶液又は懸濁液を混合してアルカリ性の混合液を得、このアルカリ性の混合液にレゾルシノール及び/又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩の水溶液を混合して反応させることによって得られた反応液を塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸に添加、混合することを特徴とする4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの製造法に関する。また得られた4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを水素還元する4,6−ジアミノレゾルシノールの製造法に関する。
【0002】
【化3】

【0003】4,6−ジアミノレゾルシノール[DAR]は、テレフタル酸と縮合させると、種々の優れた特徴を持つポリベンズビスオキサゾール[PBO]となるので、その原料として重要である。
【0004】PBOは強度、弾性率、耐熱性、耐薬品性等の諸点に於いて、従来のスーパー繊維より優れており、超スーパー繊維として開発が待望されている(特表昭61−501452号公報)。
【0005】
【従来の技術】4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを、還元することにより4,6−ジアミノレゾルシノールが得られる事が知られている(参照:Advanced Organic Chemistry,4th Edition,John Wiley and Sons,(1992) page 1224)。
【0006】一方、上記4,6−ジアミノレゾルシノールの原料となる4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールは通常、レゾルシノールと、(置換)フェニルアミンから得られる(置換)ベンゼンジアゾニウム塩とのジアゾカップリングにより得られることが知られている。
【0007】例えば、Helv.Chim.Acta.,41,1816(1958)においては、上記方法においてpH9以上の緩衝溶液中で選択的に4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを得ている。しかしながら、この場合、使用するレゾルシノールの濃度は0.1重量%であるので、生産効率が極めて悪いという問題がある。
【0008】また、特開平7−242604号公報では、pH10〜12の条件下、レゾルシノールと塩化(置換)ベンゼンジアゾニウムとをカップリング反応させ、4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを比較的収率よく合成している。しかしながら、この方法においても稀薄溶液を用いており、生産効率が悪く工業的には実施困難である。
【0009】上記従来技術に対し、本発明者らは、(置換)ベンゼンジアゾニウム塩の溶液をアルカリ性にした後、レゾルシノール及び/又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩とカップリング反応させることにより、工業的に実施可能な濃度で収率よく4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールが得られることを見出した(特開平9−157239号公報)。
【0010】ところで、この方法においては、カップリング反応後にアルカリ溶液を酸性化して中和する際に、本発明者らは実施のしやすさから酸をカップリング反応後の反応溶液に添加していた。しかしながらこの方法で得られた4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールはそれを収集するための濾過に比較的長い時間を要した。濾過時間が長いと濾過工程が律速となり生産効率が悪くなる。このため、この方法における濾過性能の迅速化が望まれていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、上記特開平9−157239号公報に開示する方法において、置換ベンゼンジアゾニウム塩の溶液をアルカリ性にした後、レゾルシノール及び/又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩と反応させて得られる反応液を酸性化することにより得られる4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの収集時の濾過性能を改善する(即ち濾過速度を向上させる)ことにあり、更に続く4,6−ジアミノレゾルシノールの製造法の効率化にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる目的を達成すべく誠意研究を行った結果、特開平9−157239号公報に開示する製造法において、特定の条件でカップリング反応後の反応液を酸性化することによって、該従来の方法に比べて4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの濾過時間を短縮できることを見いだし、また本発明方法で得られた4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを触媒の存在下、水素ガスで還元すると、該従来の方法で得られた4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを還元する場合と比較して、4,6−ジアミノレゾルシノールの収率が向上することを見いだし本発明を完成した。
【0013】すなわち、本発明は式[1]【0014】
【化4】

【0015】(式中、置換基Rはハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、ヒドロキシカルボニル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基を表し、置換基Rの数nは零又は1〜5のいずれかの整数を表し、2個以上のRは互いに同一又は異なっていてもよく、そしてXはCl、Br、OSO3H又はOPO32を表す。)で表される(置換)ベンゼンジアゾニウム塩の溶液とアルカリ金属又はアルカリ土類の水酸化物の溶液又は懸濁液とを混合し、アルカリ性とした混合液を得、続いてこの混合液とレゾルシノール及び/又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩の水溶液を混合し反応させ、次いで得られた反応液を酸性液と混合して酸性化し、式[2]
【0016】
【化5】

【0017】(式中、置換基R及び置換基Rの数nは上式[1]中と同じ意味に定義される。)で表される4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを晶析させて製造する方法において、前記アルカリ性とした混合液とレゾルシノール及び/又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩の水溶液を混合して得られる反応液の酸性化は、該反応液を前記酸性液中に添加して混合することにより行うことを特徴とする4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの製造法に関する。
【0018】また、本発明は、上記の方法で得られた4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを触媒の存在下、水素ガスで還元することを特徴とする4,6−ジアミノレゾルシノールの製造法に関する。
【0019】
【発明実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明は(置換)ベンゼンジアゾニウム塩の溶液とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の溶液又は懸濁液を混合して得られたアルカリ性の混合液を、レゾルシノール及び/又そのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩の水溶液と混合することにより得られた4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸中に添加して酸性化することにより、濾過性能の良い4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを晶出させる4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを製造する方法である。この方法により、特開平9−157239号公報に開示する従来の製造法における場合よりも短時間で晶出した生成物の濾別収集を行うことが可能となった。更に次の還元反応を安定的に円滑に進行させる事が出来、4,6−ジアミノレゾルシノールの収率を向上させることが出来るようになった。本発明の製造法の反応は、下記のスキームで進行する:【0020】
【化6】

【0021】(スキーム中の置換基の定義は、式[1]中と同じ意味である。)。本発明で用いる(置換)ベンゼンジアゾニウム塩の溶液をアルカリ性とした混合液は,例えば、アニリン類を塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸と混合して混合溶液を得た後、亜硝酸ナトリウム水溶液を加えて(置換)ベンゼンジアゾニウム塩を生成させ、この(置換)ベンゼンジアゾニウム塩を含む溶液とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の溶液又は懸濁液とを混合することにより得られる。ここで、好ましいのは前記(置換)ベンゼンジアゾニウム塩を含む溶液を前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物を含む溶液又は懸濁液に添加するか、あるいは前記(置換)ベンゼンジアゾニウム塩を含む溶液と前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物を含む溶液又は懸濁液とを、例えばライン上で同時的に混合することである。
【0022】より具体的には、(置換)ベンゼンジアゾニウム塩の溶液は以下の反応により得られる。式[3]
【0023】
【化7】

【0024】(式中、置換基Rと置換基Rの数nは式[1]と同じ意味に定義される。)で表される(置換)アニリンとその(置換)アニリンに対し5〜10倍重量の水との混合物中に、(置換)アニリンに対し2.5〜10倍当量の無機酸を冷却下添加し、次いでこの混合液中へ、(置換)アニリンに対し2〜3倍重量の水に溶解した(置換)アニリンに対し1〜1.5倍当量の亜硝酸アルカリ塩例えば亜硝酸ナトリウム又は亜硝酸カリウムを10℃以下で添加することにより、(置換)ベンゼンジアゾニウム塩を生成させる。無機酸としては塩酸、臭化水素酸、硫酸及び燐酸の中から選ばれた少なくとも1種の無機酸が用いられる。これらの無機酸の中では塩酸が工業経済的に好ましい。
【0025】本反応で用いる(置換)アニリンは、具体的に例えばアニリン、2−クロルアニリン、4−クロルアニリン、2,6−ジクロルアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、アントラニル酸、o−アニシジン、m−アニシジン及びp−アニシジン等を挙げることができる。経済性、化合物の安定性などを考慮するとアニリンが最も好ましい。
【0026】上記ジアゾニウム塩生成後、過剰使用した亜硝酸ナトリウムにより生成した亜硝酸を、尿素やスルファミン酸で処理しても良い。この処理によりジアゾニウム塩の分解が抑えられる。
【0027】このようにして得た(置換)ベンゼンジアゾニウム塩の溶液と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の溶液又は懸濁液を混合し、混合液をアルカリ性とする。
【0028】本反応に用いるアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物としては、NaOH、KOH、LiOH、Ca(OH)2、Mg(OH)2 及びBa(OH)2等が用いられるが、その経済性及び扱いやすさからNaOHが好ましい。
【0029】アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の量は、(置換)ベンゼンジアゾニウム塩溶液中の酸を中和し、更にアルカリ性にするための過剰量として、(置換)ベンゼンジアゾニウム塩の1.1〜20倍当量、好ましくは1.5〜10倍当量の範囲である。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の過剰量が1.1倍当量未満であると目的物の4,6−ジ体の収率が向上しない。また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の過剰量を20倍当量越えて多くしてもアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物を多くした効果は得られない。
【0030】これらの水酸化物の溶液又は懸濁液の溶媒としては水又は水と均一に混合する有機溶媒を使用できる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、t−ブタノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホオキシド(DMSO)及びジメチルイミダゾリジノン(DMI)等が使用できるが、DMF、DMSO及びアセトン等の強アルカリ性に対して不安定なものは好ましくない。しかしながら、溶媒としては水が最も好ましい。というのは、有機溶媒回収の必要がないので後述の廃液処理が容易であり、収率が最も高いからである。
【0031】(置換)ベンゼンジアゾニウム塩の溶液とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の溶液又は懸濁液を混合し、反応させる際の温度は−50〜50℃、好ましくは−50〜15℃である。但し使用される溶媒が水のみの場合は、反応体が固化するので−5〜10℃が好ましい。−50〜10℃の範囲内では、原料の(置換)ベンゼンジアゾニウム塩と生成する反応中間体(水酸化(置換)ベンゼンジアゾニウムと推定される)が安定に存在し得るからである。−50℃より低い温度に冷却する事は、困難であり、15℃を越えての温度では、前記反応中間体が安定に存在し得ない。
【0032】この(置換)ベンゼンジアゾニウム塩の溶液とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の溶液又は懸濁液との混合は、普通、反応容器内で行われる。そして、その反応容器が混合液の貯蔵槽として機能する場合もある。しかし、この混合は、これに続く該混合液とレゾルシノール及び/又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩の水溶液との反応を行う反応容器に連結しているライン(管路)の中で行っても良い。これにより、反応容器の数を節約することができる。又、生成した反応中間体の経時変化の時間を短くできる。
【0033】次に、得られた(置換)ベンゼンジアゾニウム塩の溶液とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の溶液又は懸濁液の混合液と、レゾルシノール及び/又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩の水溶液とを混合してカップリング反応で目的物を得る。通常は、レゾルシノール及び/又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩の水溶液に、攪拌下、上記混合液を添加又は流下する。攪拌により、局部的過剰反応進行を回避でき、トリ体の生成を少なくすることができる。
【0034】レゾルシノールの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩又はマグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩が使用できる。(置換)ベンゼンジアゾニウム塩と水酸化物の混合液がアルカリ性であるので、レゾルシノールのみでも反応系で塩を生成する。このためレゾルシノールの前記塩の製造のために、使用されるアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の量は、0〜20倍当量を使用できるが、好ましくは0〜5倍当量である。(置換)ベンゼンジアゾニウム塩と水酸化物の混合液中に水酸化物の過剰量が(置換)ベンゼンジアゾニウム塩に対して5〜20倍当量である場合は、通常レゾルシノールのみに、(置換)ベンゼンジアゾニウム塩とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の混合液とを反応させる。
【0035】(置換)ベンゼンジアゾニウム塩とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の混合液と、レゾルシノール又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩の水溶液との混合における(置換)ジアゾニウム塩の量は、レゾルシノール及び/又はその塩の合計量に対して2倍モル以上使用するのが目的物の収率の面で好ましいが、当然多過ぎるとトリ体が生成するので、好ましくは2.05〜2.20倍モルである。2.05モル以下であると、レゾルシノール及び/又はモノ体が残り易く、2.20倍モル以上であるとトリ体が生成し易くなるからである。
【0036】通常レゾルシノール及び/又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩は水溶液として、(置換)ベンゼンジアゾニウム塩とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の混合液と反応させるが、水以外の溶媒として水と均一に混合する有機溶媒も使用できる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、t−ブタノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホオキシド(DMSO)及びジメチルイミダゾリジノン(DMI)等が使用できるが、DMF、DMSO及びアセトン等の強アルカリ性に対して不安定なものは好ましくない。しかしながら、溶媒としては水が最も好ましい。というのは、有機溶媒回収の必要がないので後述の廃液処理が容易であり、収率が最も高いからである。
【0037】この(置換)ベンゼンジアゾニウム塩とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の混合液と、レゾルシノール及び/又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩の水溶液との反応は比較的速いが、反応に要する時間は、反応温度に依存する。反応温度は通常は、−50〜50℃である。反応温度上昇と共に、反応速度は高まる。原料の反応中間体(水酸化(置換)ベンゼンジアゾニウムと推定される)と生成したジ体の分解を回避するためには、−50〜20℃の温度が好ましい。但し、溶媒が水のみの場合は、反応体が固化するので−5〜20℃が好ましい。反応時間は−5〜20℃で通常0.1〜10時間である。
【0038】4,6−ジ体のアルカリ溶液中での分解を抑制するために、反応終了後、下記酸性化処理を直ぐ行うのが好ましい。
【0039】次に、前述のカップリング反応液から目的物である4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを単離する本発明の方法について述べる。
【0040】特開平9−157239号公報に開示する従来の製造法においては、これまでの作業で生成したアルカリ性のカップリング反応液中に酸を加えて酸性化する方法(以下、順添加法ともいう)を採用していたが、この中和工程で得られる結晶は、それを単離するための濾過時間が長いという問題があった。
【0041】そこで、種々の中和方法(酸性化方法)を検討したところ、アルカリ性のカップリング反応液を酸性液中に添加する方法(以下、逆添加法ともいう)を試みたところ、意外にも得られた結晶の濾過時間が短縮できることが判った。さらに、これらの結晶を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した結果、従来の順添加法(後述の比較例1)により製造された結晶においては、ひも状の結晶が絡み合っている(図2参照)のが観察されたのに対し、本発明の製造法である逆添加法(後述の実施例1)により製造された結晶では、ブロック状結晶が重なっている(図1参照)のが観察され、結晶形態が明らかに異なることが見出された。
【0042】この中和(酸性化)操作では温度が重要である。酸性化温度は高温ほど結晶の濾過時間を短縮する傾向があり20〜80℃が好ましい。特に40〜75℃で濾過速度が速く、かつ、目的物4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの収率が高い。20℃未満では濾過速度は従来法と大差がなく、一方、80℃を越えると4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が不安定となり、酸性液への添加時に分解を起こし、目的物の収率が低下する。
【0043】さらに、反応液を酸性液中に添加する添加時間も濾過時間に影響があることを見いだした。すなわち、添加速度を遅くした方が得られた結晶の濾過時間が短くなる傾向にある。通常は添加時間を20分から3時間程度にすることが好ましい。
【0044】酸性液に使用する酸の種類としては、例えば塩酸、硫酸及び燐酸等の無機酸を挙げることができる。これらの中で操作性が有利で経済的な塩酸が好ましい。
【0045】塩酸の濃度は濃い方がよく、通常10〜40%、特に30〜35%水溶液を用いるのが好ましい。
【0046】酸性液に使用する無機酸の量はカップリング反応液を中和するのに必要な量があれば十分である。
【0047】濾過温度は0〜100℃で行うのが好ましい。しかし、溶媒が水だけの場合、高温で行うと濾液に溶解する有機物の濃度が増加する。従って、濾液の廃液処理を考慮すると0〜40℃にする方が好ましい。0℃以下で濾過を行うと結晶の濾過性能が悪くなり、40℃以上では濾液中の有機物濃度が高くなるので、濾液は廃液処理を要し、中和処理だけでは廃棄できなくなる。
【0048】次に、上記本発明の製造法により得られた4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを還元することによる、本発明の4,6−ジアミノレゾルシノールの製造法について述べる。この製造法においては、上記方法で得られた4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを何等処理すること無くそのまま還元することが出来る。
【0049】なお、本発明の方法で晶析した4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールは、従来のアルカリ性のカップリング液に酸を加えて酸性化する方法(順添加法)で晶析した4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを還元する場合と比べて、還元反応を安定的に円滑に進行させることが出来るようになり、得られる目的物の4,6−ジアミノレゾルシノールの収率が向上することが見出された。これも本発明の有利な特徴である。
【0050】還元方法は、公知の方法で行えるが特開平10−168040号公報に記載の方法が好ましい。
【0051】即ち、通常還元は貴金属触媒を用い、水素によって行う。貴金属触媒としては白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム及びイリジウムから選ばれる少なくとも1種の貴金属触媒が用いられる。また、貴金属触媒の形態は活性炭、けいそう土、アルミナなどに担持した担持触媒が用いられる。好ましい貴金属触媒は、パラジウム及び/又は白金である。貴金属触媒の量は4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールに対して金属分として0.001〜0.5重量%である。好ましくは0.002〜0.3重量%である。
【0052】さらに、還元に使用する水素圧は常圧〜100kg/cm2(10000kPa)であるが、好ましくは常圧〜10kg/cm2(1000kPa)である。
【0053】通常、還元は溶媒中で行われる。溶媒としては、水、低級アルコール類、芳香族炭化水素、ハロ置換ベンゼン類、エーテル類が用いられる。低級アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどがあり、芳香族炭化水素としてはベンゼン、キシレン、トルエンなどがあり、ハロ置換ベンゼン類としては、クロルベンゼン、ジクロロベンゼンなどがあり、エーテル類としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライムなどがある。これら溶媒は単独、または二種類以上混合して使用しても良い。通常は、低級アルコールまたは低級アルコールと水の混合溶媒が使用される。
【0054】溶媒量としては、4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを基準とし1〜50重量倍、好ましくは2〜20重量倍を使用する。3種類の混合溶媒の場合、4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールに対して、0.5〜10重量部の芳香族炭化水素またはハロ置換ベンゼン類、2〜20重量部の水及び1〜5重量部の水溶性有機溶媒0.1〜50重量部の範囲で使用するのが好ましい。
【0055】
【実施例】以下、実施例によってさらに具体的に説明するが、これらによって本発明は何ら限定されるものではない。
実施例1(逆添加法)35%塩酸14.2gに水14.4gを加えた後、アニリン5.91gを加えて調整したアニリン塩酸塩水溶液に、38%亜硝酸水溶液11.8gを0〜5℃でゆっくり添加することにより、塩化ベンゼンジアゾニウム水溶液を調整した。
【0056】この溶液を28%苛性ソーダ水溶液31.0gに0〜5℃でゆっくり添加した。さらに、この混合液をレゾルシノール3.41gを水17.1gに溶解させた溶液に反応液が0〜5℃になるようにゆっくり添加した。1時間攪拌後、この反応混合物を17.5%塩酸32.3gに40℃で30分かけて添加することにより酸性化し、4,6−ビスフェニルアゾレゾルシノールを含むスラリー液を得た。
【0057】これを20℃まで冷却した後、桐山ロート(60φ、濾紙No.5B(保留粒子4ミクロン))に充填して5分静置した後、圧力200mmHg(27kPa)にて減圧濾過すると濾過時間は56秒だった。なお、「濾過時間」は濾過開始時点から、ロート上の流体が全て濾過され、ガスがロート上の固体(残渣)を通って減圧側に抜ける最初の時点までの時間とした。
【0058】こうして得られた結晶を水で洗浄し、乾燥すると4,6−ビスフェニルアゾレゾルシノールが9.07g(収率92%)得られた。
【0059】実施例2〜9(逆添加法)実施例1において、添加温度、添加時間を表1のとおり適宜変更した点を除いて実施例1と同様に実験を行った。
【0060】比較例1(順添加法)35%塩酸14.2gに水14.4gを加えた後、アニリン5.91gを加えて調整したアニリン塩酸塩水溶液に、38%亜硝酸水溶液11.8gを0〜5℃でゆっくり添加することにより、塩化ベンゼンジアゾニウム水溶液を調整した。この溶液を28%苛性ソーダ水溶液31.0gに0〜5℃でゆっくり添加した。さらに、この混合液をレゾルシノール3.41gを水17.1gに溶解させた溶液に反応液が0〜5℃になるようにゆっくり添加した。1時間攪拌後、この反応混合物に17.5%塩酸32.3gを20℃で30分かけて添加することにより酸性化し、4,6−ビスフェニルアゾレゾルシノールを含むスラリー液を得た。
【0061】これを20℃まで冷却した後、桐山ロート(60φ、濾紙No.5B(保留粒子4ミクロン))に充填して5分静置した後、圧力200mmHg(27kPa)にて減圧濾過すると濾過時間は63秒だった。
【0062】こうして得られた結晶を水で洗浄し、乾燥すると4,6−ビスフェニルアゾレゾルシノールが8.97g(収率91%)得られた。
【0063】比較例2(順添加法)
比較例1において、添加時間を60分に変更した点以外は比較例1と同様に実験を行った。以下の表1に実施例1〜9および比較例1〜2の結果を示す。
【0064】
【表1】

【0065】また、実施例1及び比較例1により製造された4,6−ビスフェニルアゾレゾルシノールは走査型電子顕微鏡(SEM)でその結晶の形態を観察した。図2に示す順添加法(比較例1)により製造された結晶の写真では、ひも状の結晶が絡み合っているが、図1に示す逆添加法(実施例1)により製造された結晶の写真では、ブロック状結晶が重なっていることが判る。即ち、後者は前者より濾紙の目詰まりを起こしにくく濾過時間をより短くできる。
【0066】実施例10実施例4で得られた4,6−ビスフェニルアゾレゾルシノール正味6.36g、5%Pd/C(60%含水)0.16g、メタノール25.4gを100mlオートクレーブに仕込み、水素圧3kg/cm2G(300kPa)、20℃で攪拌し、反応させると、3時間で理論量の水素吸収が見られ反応が完結した。この反応液を取り出し、液体クロマトグラフィーにより定量分析を行うと4,6−ジアミノレゾルシノールの収率は91.8%であった。
【0067】比較例3比較例1で得られた4,6−ビスフェニルレゾルシノール正味6.36g、5%Pd/C(60%含水)0.16g、メタノール25.4gを100mlオートクレーブに仕込み、水素圧3kg/cm2G(300kPa)、20℃で攪拌し、反応させると、10時間かけても水素吸収は理論量の43%しかなかった。この反応液を取り出し、液体クロマトグラフィーにより定量分析を行うと原料の4,6−ビスフェニルアゾレゾルシノールの回収率は54.5%、4,6−ジアミノレゾルシノールの収率は41.1%であった。
【0068】
【発明の効果】ベンゼンジアゾニウム塩溶液にアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の溶液又は懸濁液を混合しアルカリ性とし、このアルカリ性の混合液にレゾルシノール及び/又はそのアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩の水溶液を混合して反応させることによって得られた反応液を、塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸中に添加して酸性化することにより、生成物を濾別収集する際に、従来より濾過性能の良い、換言すれば、濾過時間の短い4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールの製造が可能となった。
【0069】また、この方法で得られた4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを触媒の存在下、水素ガスで還元すると、従来の方法で得られた4,6−ビス(置換)フェニルアゾレゾルシノールを還元する場合と比較して、4,6−ジアミノレゾルシノールの収率が向上する。




 

 


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