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発明の名称 硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−19844(P2001−19844A)
公開日 平成13年1月23日(2001.1.23)
出願番号 特願平11−196074
出願日 平成11年7月9日(1999.7.9)
代理人
発明者 加藤 明宏 / 木下 昌三
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 (a)ポリフェニレンエーテル樹脂、(b)3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物、又は該化合物とその開環重合物との混合物、及び(c)3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステルを有し、(a)成分と(b)成分の和100重量部を基準として(a)成分が98〜20重量部、(b)成分が2〜80重量部、(c)成分が1〜50重量部であることを特徴とする硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項2】 3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステル(c)が、下記一般式(i)で示される3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステルであることを特徴とする請求項1記載の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【化1】

(式中、a+b+c=3、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数、cは0〜2の整数であり、R1は、無置換もしくは置換フェニル基、メチル基又はシクロヘキシル基であり、R2、R3、R4、R5、R6 は各々独立に水素又はアルキル基である。)
【請求項3】 請求項1又は2記載の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を硬化して得られる硬化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項4】 請求項1又は2記載の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物からなる硬化性フィルム。
【請求項5】 (a)ポリフェニレンエーテル樹脂、(b)3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物、又は該化合物とその開環重合物との混合物、(c)3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステル、及び(d)基材を有し、(a)成分と(b)成分の和100重量部を基準として(a)成分が98〜20重量部、(b)成分が2〜80重量部、(c)成分が1〜50重量部であり(d)成分が(a)〜(d)成分の和100重量部を基準として5〜90重量部であることを特徴とする硬化性複合材料。
【請求項6】 3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステル(c)が、下記一般式(i)で示される3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステルであることを特徴とする請求項5記載の硬化性複合材料。
【化2】

(式中、a+b+c=3、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数、cは0〜2の整数であり、R1は、無置換もしくは置換フェニル基、メチル基又はシクロヘキシル基であり、R2、R3、R4、R5、R6 は各々独立に水素又はアルキル基である。)
【請求項7】 請求項5又は6記載の硬化性複合材料を硬化して得られた硬化複合材料。
【請求項8】 請求項7の硬化複合材料と金属箔とを積層してなる硬化複合材料積層体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物およびこれを硬化して得られる硬化体に関する。さらに本発明は、該硬化性樹脂組成物と基材とからなる硬化性複合材料、その硬化体、硬化体と金属箔からなる積層体に関する。本発明の樹脂組成物は、硬化後において優れた耐薬品性、誘電特性、耐熱性、難燃性を示し、電気産業、電子産業、宇宙・航空機産業等の分野において誘電材料、絶縁材料、耐熱材料等に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】近年、通信用、民生用、産業用等の電子機器の分野における実装方法の小型化、高密度化への傾向は著しいものがあり、それに伴って材料の面でもより優れた耐熱性、難燃性、寸法安定性、電気特性が要求されつつある。例えば、プリント配線基板としては、従来からフェノール樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を材料とする銅張り積層板が用いられてきた。これらは、各種の性能をバランスよく有するものの、電気特性、特に高周波領域での誘電特性が悪いという欠点を持っている。この問題を解決する新しい材料としてポリフェニレンエーテル樹脂が近年注目をあび、銅張り積層板への応用が試みられている。
【0003】ポリフェニレンエーテル樹脂を利用する方法に、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂やトリアリルイソシアネート及び/又はトリアリルシアヌレートなどの架橋剤を配合して用いる方法があるが、このような硬化性樹脂や架橋剤を組み合わせることによってポリフェニレンエーテル樹脂の耐薬品性を改善し、かつ該樹脂の優れた誘電特性を生かした材料を得ることができる。しかしながら、これらの材料からなる積層板をプリント配線板として用いるには難燃性能の点で問題があり、難燃性能向上のために塩素系、臭素系、リン系の難燃剤やSb23、Sb25等の難燃助剤を併用しなければならなかった。その際、難燃剤の添加量によっては、誘電特性を低下させたり、組成物の熱膨張率が高くなるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、ポリフェニレンエーテルの優れた誘電特性と機械特性を損なうことなく、硬化後において熱膨張率が低く、優れた難燃性と耐熱性を有する硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、(a)ポリフェニレンエーテル樹脂、及び(b)3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物又は該化合物とその開環重合物との混合物に、(c)3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステルを添加することにより、硬化後において優れた誘電特性、耐薬品性、難燃性に加えて、耐熱性に優れ、低い熱膨張率を示す硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、1.(a)ポリフェニレンエーテル樹脂(b)3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物、又は該化合物とその開環重合物との混合物、(c)3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステルを有し、(a)成分と(b)成分の和100重量部を基準として(a)成分が98〜20重量部、(b)成分が2〜80重量部、(c)成分が1〜50重量部であることを特徴とする硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物、2. 3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステル(c)が下記一般式(i)で示される3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステルであることを特徴とする上記1の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物、【0007】
【化3】

【0008】(式中、a+b+c=3、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数、cは0〜2の整数であり、R1は、無置換もしくは置換フェニル基、メチル基又はシクロヘキシル基であり、R2、R3、R4、R5、R6 は各々独立に水素又はアルキル基である。)
3. 上記1又は2の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を硬化して得られる硬化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物、4. 上記1又は2の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物からなる硬化性フィルム、5. (a)ポリフェニレンエーテル樹脂、(b)3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物、又は該化合物とその開環重合物との混合物、(c)3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステル、及び(d)基材からなり、(a)成分と(b)成分の和100重量部を基準として(a)成分が98〜20重量部、(b)成分が2〜80重量部、(c)成分が1〜50重量部であり(d)成分が(a)〜(d)成分の和100重量部を基準として5〜90重量部であることを特徴とする硬化性複合材料、6. 3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステル(c)が、下記一般式(i)で示される3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステルであることを特徴とする上記5の硬化性複合材料、【0009】
【化4】

【0010】(式中、a+b+c=3、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数、cは0〜2の整数であり、R1は、無置換もしくは置換フェニル基、メチル基又はシクロヘキシル基であり、R2、R3、R4、R5、R6 は各々独立に水素又はアルキル基である。)
7. 上記5又は6の硬化性複合材料を硬化して得られた硬化複合材料、8. 上記7の硬化複合材料と金属箔とを積層してなる硬化複合材料積層体、である。
【0011】以下、本発明について、詳細に説明する。本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の(a)成分として用いられるポリフェニレンエーテル樹脂とは、次の一般式(I)で表されるものである。
【0012】
【化5】

【0013】(式中、mは1〜6の整数であり、Jは下記一般式(II)で表される単位から実質的に構成されるポリフェニレンエーテル鎖である。Qはmが1のとき水素を表わし、mが2以上のときは、一分子中に2〜6個のフェノール性水酸基を有し、フェノール性水酸基のオルト位およびパラ位に重合不活性な置換基を有する多官能性フェノール化合物の残基を表わす。)
【0014】
【化6】

【0015】(ここに、R7、R8、R9及びR10は各々独立に炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、アリール基、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のハロアルキル基、ハロゲン、又は水素を表わす。)
一般式(II)におけるR7、R8、R9、R10のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。アリール基の例としては、フェニル基等が挙げられる。ハロアルキル基の例としては、ブロモメチル基、クロロメチル基等が挙げられる。ハロゲンの例としては、臭素、塩素等が挙げられる。一般式(I)のQの代表的な例としては、下記化7に示される4種の一般式で表される化合物が挙げられる。
【0016】
【化7】

【0017】(式中、A1 、A2 は同一又は異なる炭素数1〜4の直鎖状アルキル基を表わし、Xは、各々独立に無置換又はアリール基もしくはハロゲン原子などにより置換された炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5の2価の脂肪族炭化水素基、酸素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表わし、Yは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5の無置換又はアリール基もしくはハロゲン原子などにより置換されたs価の脂肪族炭化水素残基、無置換又は炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基もしくはハロゲン原子などにより置換されたs価の芳香族炭化水素残基を表わし、Zは各々独立に酸素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表わし、rは0〜4の整数、sは2〜6の整数を表し、A2、置換フェノキシ基に他の置換フェノキシ基のフェニル部分が直接結合した場合の該フェニル部分、X、Y及びZはいずれも式中に示された酸素のオルト位又はパラ位に結合する。)
このような化合物の具体例として、下記化8及び化9に示される化合物等が挙げられる。
【0018】
【化8】

【0019】(式中、Xは各々独立に−CH2−、−C(CH32−、−O−、−S−、−SO2−又は−CO−を表す。)
【0020】
【化9】

【0021】一般式(I)の中のJで表されるポリフェニレンエーテル鎖中には、一般式(II)で表される単位の他、該ポリフェニレンエーテル樹脂の耐熱性、熱安定性を低下させない限りにおいて下記一般式(III)で表される単位が含まれていてもよい。
【0022】
【化10】

【0023】(式中、R11、R12、R13、R14及びR15は、各々独立に水素、ハロゲン、炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキル基、アリール基又は炭素数1〜10、好ましくは1〜5のハロアルキル基を表わし、R16、R17は各々独立に水素、無置換又はアリール基もしくはハロゲンなどにより置換された炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、又は無置換又は炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基もしくはハロゲンなどにより置換されたアリール基を表わし、R16、R17が同時に水素であることはない。)
一般式(III)で表される単位の具体例としては、下記の化合物等が挙げられる。
【0024】
【化11】

【0025】この他、上記式(II)(III)の単位に対してスチレン、メタクリル酸メチルなどの不飽和結合を持つ重合性モノマーをグラフト重合させて得られる単位や酸無水物、又は不飽和カルボン酸と反応させ、これらに起因する重合性の二重結合を実質的に含まない単位が含まれていてもよい。
【0026】上記酸無水物、および不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、無水グルタゴン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。反応はポリフェニレンエーテル樹脂と不飽和カルボン酸、又は酸無水物を100℃〜390℃、より好ましくは260〜360℃の温度範囲で加熱することによって行われる。この際ラジカル開始剤を共存させてもよい。溶液法と溶融混合法の両方が使用できるが、押出機等を用いる溶融混合法の方が簡便に行うことができ、本発明の目的に適している。不飽和カルボン酸、又は酸無水物の割合は、ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対し、0.01〜5.0重量部、好ましくは0.1〜3.0重量部である。
【0027】本発明に用いられる一般式(I)で表されるポリフェニレンエーテル樹脂(a)の好ましい例としては、2,6−ジメチルフェノールの単独重合で得られるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、そのスチレングラフト共重合体及び無水マレイン酸との反応物、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールの共重合体及びその無水マレイン酸との反応物、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジメチル−3−フェニルフェノールの共重合体及びその無水マレイン酸との反応物、2,6−ジメチルフェノールを多官能性フェノール化合物Q−(H)m(mは2〜6の整数)の存在下で重合して得られた多官能性ポリフェニレンエーテル樹脂、例えば、特開昭63−301222号、特開平1−297428号各公報に開示されているような一般式(II)および(III)の単位を含む共重合体等が挙げられる。ポリフェニレンエーテル樹脂の分子量については、30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/Cが0.1〜1.0の範囲にあるものが良好に使用できる。
【0028】本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の(b)成分としては、3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物、又は該化合物とその開環重合物との混合物が用いられる。3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有する化合物は、フェノール、アミン及びホルムアルデヒドから合成することができる。フェノールとしては、フェノール、クレゾール、ナフトール、アントロール等の一価フェノールであっても、トリヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシアントラセン、ノボラック樹脂、レゾール樹脂等の多価フェノールであっても用いることができるが、好ましくは、下記化12に示されるフェノールが用いられる。
【0029】
【化12】

【0030】(式中、Rは水素、無置換もしくは置換フェニル基、メチル基又はシクロヘキシル基を表す。Rは同一であっても、異なっていても良い。Lは、2価の無置換もしくは置換脂肪族炭化水素原子団、2価の無置換もしくは置換芳香族炭化水素原子団、2価の無置換もしくは置換複素環化合物原子団、酸素、硫黄、スルホニル基又はカルボニル基等の官能基を表す。また、nは0もしくは1である。)
アミンとしてはアニリン、メチルアミン等の一価アミンであっても、トリアミノナフタリン、トリアミノアントラセン等の多価アミンであっても用いることができるが、好ましくは下記化13に示されるアミンが用いられる。
【0031】
【化13】

【0032】(式中、Rは水素、無置換もしくは置換フェニル基、メチル基又はシクロヘキシル基を表す。Rは同一であっても、異なっていても良い。Lは、2価の無置換もしくは置換脂肪族炭化水素原子団、2価の無置換もしくは置換芳香族炭化水素原子団、2価の無置換もしくは置換複素環化合物原子団、酸素、硫黄、スルホニル基又はカルボニル基等の官能基を表す。また、nは0もしくは1である。)
【0033】本発明の3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物の合成に用いられるフェノールの具体例としては、一価フェノールとしてフェノール、クレゾール、エチルフェノール及びナフトールなどであり、多価フェノールとしては、二価フェノールとしてカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン、ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン、ジヒドロキシビフェニルなどがあげられる。また、アミンの具体例として、一価アミンとしてアニリン、トルイジン、メチルアミン、シクロヘキシルアミンなどであり、多価アミンとしては、二価アミンとしてパラフェニレンジアミンなどがあげられる。
【0034】これらのフェノールとアミン及びホルマリンの組み合わせは、用途により任意に選択することが可能であるが、架橋密度を向上させるために構造単位中にベンゾオキサジン環を複数個有する構造が得られることが好ましく、一価フェノールと二価アミンとホルムアルデヒド、二価フェノールと一価アミンとホルムアルデヒドの組み合わせが好ましい。また、アミンの種類として難燃性を向上させるために芳香族アミンを用いることが好ましい。下記に二価フェノールと一価アミンとホルムアルデヒドの組み合わせの場合の反応式の一例をあげる。
【0035】
【化14】

【0036】(式中、R18は、無置換もしくは置換フェニル基、メチル基又はシクロヘキシル基であり、Lは2価の無置換もしくは置換脂肪族炭化水素原子団、2価の無置換もしくは置換芳香族炭化水素原子団、2価の無置換もしくは置換複素環化合物原子団、酸素、硫黄、スルホニル基又はカルボニル基等の官能基を表わす。また、nは0又は1である。)
また、米国特許第5152939号明細書に示されるように、これら3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物は熱硬化性を有し、適当な加熱による開環重合反応により架橋構造を形成し、硬化させることができる。
【0037】本発明の(b)成分である、3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物、又は該化合物とその開環重合物との混合物の分子量としては、数平均分子量で200〜20万の範囲にあることが好ましく、より好ましくは300〜15万、更に好ましくは400〜10万、特に好ましくは、500〜10万の範囲である。開環重合により数平均分子量が増大するにつれて粘度の向上がみられるが、数平均分子量が200未満であると、硬化反応に時間を要し生産性の面で不適であり、また、分子量が20万を越えると高粘度であるためにポリフェニレンエーテル樹脂との混練性が困難となり操作性が低下するために好ましくない。それゆえに、必要によっては、3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物を、予め50〜250℃、好ましくは、80〜180℃にてその一部を予備重合させ、上記の数平均分子量を保持するように調整しておくことが好ましい。
【0038】数平均分子量の測定方法については、公知の方法において測定することが可能であり、ゲルパーミエッションクロマトグラフィー法、光散乱法、浸透圧法などを挙げることができる。本発明の(b)成分である3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物又は該化合物とその開環重合物との混合物としての代表的な具体例として、下記化15に表される化合物、それらのダイマー、オリゴマー及びこれらの混合物等が挙げられる。本発明を実施する上においては、3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物は、それぞれ単独で用いられるだけでなく、数種の3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物を任意の割合で混合して使用することも可能である。
【0039】
【化15】

【0040】本発明において、3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物は、常温下において、固体もしくは高粘度の液体であり、常温から温度を上昇させていくと、いずれの場合も低粘度の液体の状態を経た後、約80〜300℃の範囲で硬化する。従って、温度を調整することにより、3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物の溶融粘度及び硬化のタイミングを任意に調節することができる。このため、本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の硬化処理において、3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物は、加熱開始から硬化前までの間は樹脂組成物の流動性を向上させる可塑剤として機能し、さらに硬化時においては硬化剤としてその効果を発揮する。したがって、プレスなどにより本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の硬化処理を行うと、硬化開始前に適度な樹脂流れが生じて、優れた成形性が得られる。また、本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の(c)成分として用いられる3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステルとしては、下記化16に表されるリン酸エステルである。
【0041】
【化16】

【0042】(式中、T1、T2、T3は、各々独立に無置換もしくは置換フェニル基、又は炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5の脂肪族炭化水素残基であるが、T1、T2、T3の少なくとも1つが3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有する無置換もしくは置換フェニル基である。)
本発明において、3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有する無置換もしくは置換フェニル基の好ましい例を、下記化17に示す。
【0043】
【化17】

【0044】(式中、aは1又は2、cは0又は1であり、かつa+c=2であり、R1は無置換もしくは置換のフェニル基、メチル基又はシクロヘキシル基を表し、R2、R3、R4、R5、R6は各々独立に水素又は炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキル基を表す。)
本発明において(c)成分として用いられる3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステル化合物の特に好ましい例を下記化18に示す。
【0045】
【化18】

【0046】(式中、a+b+c=3、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数、cは0〜2の整数であり、R1は、無置換もしくは置換のフェニル基、メチル基、又はシクロヘキシル基であり、R2、R3、R4、R5、R6 は各々独立に水素又は炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキル基である。)
(c)成分の3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステルの製造方法の一例を以下に示す。対応するフェノール性水酸基を有するリン酸エステル、アミン及びホルムアルデヒドから合成することができる。また、アミンとしては一価アミンを用いても、多価アミンを用いても良い。アミンの具体例として、一価アミンとしてアニリン、トルイジン、メチルアミン、シクロヘキシルアミンなどがあげられ、多価アミンとしては、二価アミンとしてパラフェニレンジアミンなどがあげられ、三価以上のアミンとしてはトリアミノナフタレンやトリアミノアントラセンなどがあげられる。
【0047】フェノール性水酸基を有するリン酸エステルとアミン及びホルムアルデヒドとの組み合わせは、用途により任意に選択することが可能であるが、生産性やコスト面からリン酸エステル構造単位中に3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を1個有する構造が得られることが好ましく、1個のフェノール性水酸基を有するリン酸エステルと一価アミンとホルムアルデヒドの組み合わせが好ましい。また、アミンの種類として難燃性を向上させるために芳香族アミンを用いることが好ましい。
【0048】本発明のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の(c)成分であるリン酸エステルは、難燃特性を付与するばかりでなく、加熱するとともに、単独重合及び/又は(a)成分と共重合することから、ポリフェニレンエーテル樹脂が本来有する誘電特性に悪影響を与えることなく、硬化後のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の耐熱性や熱膨張性能を向上させる。
【0049】以上説明した(a)〜(c)の3つの成分のうち(a)成分と(b)成分の配合割合は、両者の和100重量部を基準として(a)成分が98〜20重量部、(b)成分が2〜80重量部であり、好ましくは(a)成分が98〜40重量部、(b)成分が2〜60重量部であり、より好ましくは(a)成分が95〜50重量部、(b)成分が5〜50重量部の範囲である。(b)成分が2重量部未満では、耐薬品性の改善が不十分であり好ましくない。逆に80重量部を越えると誘電特性が低下するので好ましくない。
【0050】本発明のポリフェニレンエーテル樹脂組成物に用いられる(c)成分の配合割合は、(a)成分と(b)成分の和100重量部を基準として(c)成分が1〜50重量部であり、好ましくは、3〜30重量部であり、さらに好ましくは、5〜20重量部である。(c)成分が1重量部未満のときは、硬化後の樹脂組成物の難燃性の改善が不十分であり好ましくない。また50重量部を越えると、誘電特性や耐熱性が低下するので好ましくない。
【0051】上記の(a)〜(c)成分を混合する方法としては、3成分を溶媒中に均一に溶解または分散させる溶液混合法、あるいは押出し機等により加熱して行う溶融ブレンド法等が利用できる。溶液混合に用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの溶媒が挙げられ、これらが、単独であるいは、二種以上を組み合わせて用いられる。
【0052】本発明の硬化性樹脂組成物は、あらかじめその用途に応じて所望の形に成形してもよい。成形方法は特に限定されない。通常は樹脂組成物を上述した溶媒に溶解させ好みの形に成形するキャスト法、または樹脂組成物を加熱溶融し好みの形に成形する加熱溶融法が用いられる。上述したキャスト法と加熱溶融法は単独で行ってもよい。またそれぞれを組み合わせて行ってもよい。例えばキャスト法で作成された硬化性樹脂組成物のフィルムを数〜数十枚積層し、加熱溶融法、例えばプレス成形機で加熱溶融し、本発明の樹脂組成物のシートを得ることができる。
【0053】本発明の硬化性樹脂組成物は、その用途に応じて所望の性能を付与する目的で本来の性質を損なわない範囲の量の充填剤や添加剤を配合して用いることができる。充填剤は繊維状であっても粉末状であってもよく、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、タルク、雲母、ガラスビーズ、ガラス中空球、珪酸カルシウムなどの珪酸塩をあげることができる。添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤、ゴム等があげられる。また、難燃性の効果をよりあげるために塩素系や臭素系の難燃剤、上記(c)成分以外のリン系の難燃剤、金属水酸化物や有機金属化合物などの難燃剤、Sb2 3 、Sb2 5 、NaSbO3 ・1/4H2 O等の難燃助剤を、本発明の硬化性樹脂組成物の物性を損なわない範囲で併用することもできる。
【0054】さらには、本発明の硬化性樹脂組成物の物性を損なわない範囲でアリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等の架橋性のモノマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン・ポリプロピレン共重合体、ナイロン4,ナイロン6,ナイロン6,6、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルフォン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどの熱可塑性樹脂、あるいは、エポキシ樹脂、ノボラック型フェノール樹脂やメラミン樹脂などの熱硬化性樹脂、およびトリアリルイソシアヌレートやトリアリルシアヌレートなどの架橋剤を一種又は二種以上配合することも可能である。
【0055】本発明の硬化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は、以上に述べた硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を硬化することにより得られるものである。硬化の方法は任意であり、熱、光等による方法を採用することができる。加熱により硬化を行う場合、その温度は、(b)成分で用いられる3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物の種類によっても異なるが、80〜300℃、より好ましくは150〜250℃の範囲で選ばれる。また時間は、1分〜10時間、より好ましくは1分〜5時間である。
【0056】得られた硬化樹脂組成物は、赤外吸収スペクトル法、高分解能固体核磁気共鳴スペクトル法、熱分解ガスクロマトグラフィー等の方法を用いて樹脂組成を解析することができる。また、この硬化樹脂組成物は、後述する硬化複合材料と同様、金属箔と張り合わせて用いることができる。
【0057】本発明の硬化性樹脂組成物及び硬化樹脂組成物は基材と合わせて硬化性複合材料及びその硬化体として使用することができる。以下、硬化性複合材料とその硬化体について説明する。本発明の硬化性複合材料は、本発明の硬化性樹脂組成物にさらに基材が含まれるものである。(d)成分に用いられる基材としては、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェンシングマットなどの各種ガラス布又はガラス不織布;セラミック繊維布、金属繊維布及びその他合成もしくは天然の無機繊維布;ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、全芳香族ポリアミド繊維などの合成繊維から得られる織布又は不織布;綿布、麻布、フェルトなどの天然繊維布;カーボン繊維布;クラフト紙、コットン紙、紙−ガラス混織紙などの天然セルロース系布などが、それぞれ単独で、あるいは2種以上併せて用いられる。
【0058】本発明の硬化性複合材料において基材の占める割合は、硬化性複合材料100重量部を基準として5〜90重量部、好ましくは10〜80重量部、より好ましくは20〜70重量部の範囲である。基材が5重量部未満であると複合材料の硬化後の寸法安定性や強度が不十分であり、また基材が90重量部より多くなると複合材料の誘電特性が劣り好ましくない。本発明の硬化性複合材料には、必要に応じて樹脂と基材の界面における接着性を改善する目的でカップリング剤を用いることができる。カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等一般のものが使用できる。
【0059】本発明の硬化性複合材料を製造する方法としては、前記の(a)成分、(b)成分及び(c)成分と、必要に応じて充填剤や添加剤等の他の成分とを前述のハロゲン系溶媒、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの溶媒もしくは、その混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、基材に含浸させた後乾燥する方法が挙げられる。含浸は浸漬(デイッピング)、塗布等によって行われる。含浸は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望する樹脂組成および樹脂量に調整することも可能である。
【0060】本発明の硬化複合材料は、上記の硬化性複合材料を加熱等の方法により硬化することによって得られるものである。その製造方法はとくに限定されるものではなく、例えば該硬化性複合材料を複数枚重ね合わせ、加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化を行い、所望の厚みの硬化複合材料を得ることができる。また一度接着硬化させた硬化複合材料と硬化性複合材料を組み合わせて新たな層構成の硬化複合材料を得ることも可能である。
【0061】積層成形と硬化は、通常熱プレス等を用い同時に行われるが、両者をそれぞれ単独で行ってもよい。すなわち、あらかじめ積層成形して得た未硬化あるいは、半硬化の複合材料を、熱処理、又は別の方法で処理することによって硬化させることができる。成形および硬化は、温度80〜300℃、圧力0.1〜500kg/cm2 、時間1分〜10時間の範囲、より好ましくは、温度150〜250℃、圧力1〜100kg/cm2 、時間1分〜5時間の範囲で行うことができる。
【0062】次に本発明の積層体について説明する。本発明の積層体は、上記硬化複合材料と金属箔とより構成されるものである。ここで用いられる金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特に限定されるものではないが、5〜200μm、より好ましくは5〜100μmの範囲である。
【0063】本発明の積層体を製造する方法としては、例えば、本発明の硬化性複合材料、又は硬化複合材料と金属箔を目的に応じた層構成で積層し乾燥させる方法、また必要ならば、それらを加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化させる方法を挙げることができる。本発明の積層体においては、硬化性複合材料、又は硬化複合材料と金属箔とが任意の層構成で積層される。金属箔は表層としても中間層としても用いることができる。上記の他、積層と硬化を複数回繰り返して多層化することも可能である。
【0064】本発明の硬化性複合材料、又は硬化複合材料と金属箔の接着には接着剤を用いることもできる。接着剤としては、エポキシ系、アクリル系、フェノール系、シアノアクリレート系等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。接着剤を用いた場合の積層成形と硬化は、金属箔表面に接着剤を塗布した後、該金属箔と本発明の硬化性複合材料、又は硬化複合材料とを目的に応じた層構成で積層し乾燥させる方法、また必要ならば、それらを加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化させる方法を挙げることができる。
【0065】
【発明の実施の形態】以下、実施例に基づき、本発明の具体的な実施形態の例を説明する。実施例には各成分として次のようなものを用いた。
<ポリフェニレンエーテル樹脂:(a)成分>(ポリマーC)
・ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)
ηsp/C=0.56(30℃、0.5g/dl、クロロホルム溶液)。
(ポリマーD)ポリマーC100重量部、無水マレイン酸1.5重量部、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ−オキシ)ヘキサン(日本油脂(株)製 パ−ヘキサ25B)1.0重量部を室温でドライブレンドした後、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数230rpmの条件で二軸押出機により押出した。このポリマーをポリマーDとする。
【0066】<ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン化合物:(b)成分>・6,6’−(1−メチルエチリデン)ビス(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−2H−1,3−ベンゾオキサジン)
数平均分子量(ポリスチレン換算)=1000ジオキサンにて希釈したアニリン溶液中に37%ホルムアルデヒド水溶液を10℃以下にて滴下した。30分間室温にて撹拌した後、ジオキサンに溶解させたビスフェノールAを室温にて滴下した。これらの混合物を約6時間加熱環流を行った後、ジオキサン溶媒を留去し薄黄色の残留物が得られた。これらをジエチルエーテル中に溶解し水で洗浄しエーテル溶液を留去することにより数平均分子量1000の化合物が得られた。なお、アニリンおよびホルムアルデヒド、ビスフェノールAのモル比は2:4:1となる仕込み比にて行った。
【0067】<リン酸エステル:(c)成分>(3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステル)
ジオキサンにて希釈したアニリン溶液中に37%ホルムアルデヒド水溶液を10℃以下にて滴下した。30分間室温にて撹拌した後、ジオキサンに溶解させたレゾルシルジフェニルホスフェート(味の素(株)製 RDP)を室温にて滴下した。これらの混合物を約6時間加熱環流を行った後、ジオキサン溶媒を留去し薄黄色の残留物が得られた。これらをジエチルエーテル中に溶解し3規定水酸化ナトリウム溶液で数回洗浄した後、水で洗浄しエーテル溶液を留去することにより得られた。なお、アニリン:ホルムアルデヒド:レゾルシルジフェニルホスフェートのモル比は1:2:1となる仕込み比にて行った。下記化19に示すリン酸エステルが得られた。
【0068】
【化19】

【0069】<ガラスクロス>Eガラス製、目付48g/m2(旭シュエーベル(株)製)
[積層体の物性評価]
1.耐トリクロロエチレン性FeCl3のHCl溶液(塩化第2鉄液、鶴見曹達(株)製:FeCl3含有率37〜39重量%)(60℃)で銅箔を除去した積層体を25mm角に切り出し、トリクロロエチレン中で5分間煮沸し、外観の変化を目視により観察した。
2.誘電率、誘電正接LFインピーダンスアナライザーHP−4192(横河・ヒューレット・パッカード(株)製)を用いて、1MHzで測定を行った。
3.ハンダ耐熱性耐トリクロロエチレン性の評価の際に行ったと同様にして銅箔を除去した積層体を25mm角に切り出し、260℃のハンダ浴中に120秒間浮かべ、外観の変化を目視により観察した。
4.銅箔引き剥がし強さ積層体から幅20mm、長さ100mmの試験片を切り出し、銅箔面に幅10mmの平行な切り込みを長手方向に入れた後、引張り試験機にて、面に対して垂直なる方向に50mm/分の速さで連続的に銅箔を引き剥し、その時の応力を測定し、その応力の最低値を示した。
5.熱膨張特性、ガラス転移温度耐トリクロロエチレン性の評価の際に行ったと同様にして銅箔を除去した積層体を7mm角に切り出し、厚さ方向の熱膨張率を熱膨張測定装置SSC−5200(セイコー電子工業(株)製)を用いて昇温速度20℃/分の速さで測定し、また得られた熱膨張曲線の傾きからガラス転移温度を測定した。
6.難燃性銅箔を除去した積層体から長さ127mm、幅12.7mmの試験片を切り出し、UL−94の試験法に準じて行った。
【0070】
【実施例1〜4】硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物および硬化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物ポリフェニレンエーテル樹脂、3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン化合物、化19に示す3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステルを表1に示した組成でヘンシェルミキサーを用いて混合し、真空プレス中で240℃、1時間にて成形・硬化させ、厚さ約1mmの硬化物を得た。これらの硬化物を7mm角に切り出し、厚さ方向の熱膨張率を昇温速度20℃/分の速さで熱膨張測定装置により測定した。ここでいう熱膨張率は30℃から150℃に試料の温度を上昇させたときの試料厚みの増加率を温度の変化分である120℃(150℃−30℃)で割った数値である。いずれの実施例においても、熱膨張率が小さく強靭な硬化物が得られた。結果を表1に示した。
【0071】
【比較例1〜4】3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステルを、3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有していないリン酸エステルであるレゾルシルジフェニルホスフェート(味の素(株)製RDP)に換えた点を除いては実施例1〜4と同一の組成で、同様な手法で硬化物を作成した。強靭性に劣り、熱膨張率が実施例1〜4に比べて極めて大であった。結果を表1に示す。
【0072】
【実施例5〜8】<硬化性複合材料>表2に示した組成で各成分を、各成分の合計量と同量のトルエン中に溶解または分散させた。この溶液にガラスクロスを浸漬して含浸を行い、エアーオーブン中で乾燥させた。得られた硬化性複合材料はいずれも表面のべたつきが無く、取り扱い性に優れたものであった。
<積層体>次に硬化後の厚みが約0.8mmとなるように上記の硬化性複合材料を複数枚重ね合わせ、その両面に厚さ35μmの銅箔を置いてプレス成形機により成形・硬化させて積層体を得た。各実施例の硬化条件を表3に示した。圧力はすべて40kg/cm2 とした。いずれの実施例もプレス時の樹脂流れは良好であった。評価結果を表3に示す。
【0073】
【比較例5〜8】3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有するリン酸エステルを、3,4−ジヒドロ−3置換−1,3−ベンゾオキサジン環を有していないリン酸エステルであるレゾルシルジフェニルホスフェート(味の素(株)製RDP)に換えた点を除いては実施例5〜8と同一の組成で、同様な手法で硬化物を作成した。熱膨張率が実施例5〜8に比べて極めて大であり、難燃性及びガラス転移温度が低下した。評価結果を表3に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
【発明の効果】本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル組成物を用いて得られるフィルム、積層体は、耐薬品性、耐湿性と優れた誘電特性を有し、良好な難燃性を有しながら、熱膨張率が低く耐熱性に優れた材料である。本発明のフィルム、積層体は、この他耐熱性、金属との接着性、寸法安定性等の諸物性においてバランスのとれた特性を示す。従って本発明の材料は、電気産業、電子産業、宇宙・航空機産業等の分野において誘電材料、絶縁材料、耐熱材料、構造材料等として用いることができる。特に片面、両面、多層プリント基板、セミリジッド基板、金属ベース基板、多層プリント基板用プリプレグとして好適に用いられる。




 

 


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