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発明の名称 安定化された難燃性樹脂組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−2945(P2001−2945A)
公開日 平成13年1月9日(2001.1.9)
出願番号 特願平11−176719
出願日 平成11年6月23日(1999.6.23)
代理人
発明者 宮本 朗 / 渋谷 和宏
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 (α)熱可塑性樹脂100重量部、(β)有機リン化合物1〜30重量部、及び(γ)脂環式エポキシ系安定剤0.01〜5重量部が含まれる難燃性樹脂組成物。
【請求項2】 (α)熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート系樹脂、または、ポリフェニレンエーテル系樹脂である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項3】 (α)熱可塑性樹脂が、(A)ポリカーボネート系樹脂50〜98重量部、(B)スチレン系重合体49〜0重量部、(C)グラフト共重合体1〜30重量部からなる樹脂組成物である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項4】 (B)スチレン系重合体が、(b1)芳香族ビニル単量体成分、及び(b2)シアン化ビニル単量体成分を含む共重合体であり、(C)グラフト共重合体が、(c1)芳香族ビニル単量体成分、(c2)シアン化ビニル単量体成分、及び(c3)アルキル(メタ)アクリレート単量体成分のうちの少なくとも1種あるいは2種以上が(c4)ゴム質重合体にグラフト重合された共重合体である請求項3記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項5】 (C)成分が、(c1)芳香族ビニル単量体成分および(c2)シアン化ビニル単量体成分が(c4)ゴム質重合体にグラフト重合された共重合体と、(c3)アルキル(メタ)アクリレート単量体成分が(c4)ゴム質重合体にグラフト重合された共重合体の組み合わせからなることを特徴とする請求項4記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項6】 (α)熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂10〜99重量部とポリスチレン系樹脂90〜1重量部からなる樹脂組成物である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項7】 (β)有機リン化合物が、式(1)で表される1種または2種以上のオリゴマー系有機リン化合物である請求項1〜6記載の難燃性樹脂組成物。
【化1】

【請求項8】 (β)有機リン化合物が、式(2)で表される1種または2種以上のオリゴマー系有機リン化合物である請求項1〜6記載の難燃性樹脂組成物。
【化2】

【請求項9】 (β)有機リン化合物が、式(1)で表される1種または2種以上のオリゴマー系有機リン化合物であり、その平均縮合度Nが1以上1.2未満である請求項1〜6記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項10】 (β)有機リン化合物が、式(2)で表される1種または2種以上のオリゴマー系有機リン化合物であり、その平均縮合度Nが1以上1.2未満である請求項1〜6記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項11】 (β)有機リン化合物の酸価が3mgKOH/g以下である請求項1〜10記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項12】 さらにポリテトラフルオロエチレンを含む請求項1〜11記載の難燃性樹脂組成物。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性能および機械的物性の安定性に優れた、有機リン化合物を難燃剤とする難燃性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、高温高湿環境下においても難燃性能や機械的物性の低下が少なく、高温で成形を行っても物性の劣化が少なく、さらに色調に優れた難燃性の樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】有機リン化合物を難燃剤として使用する難燃性樹脂材料は、臭素や塩素を含まない難燃材料であり、欧州におけるエコラベルの認証を背景に、特にOA機器のハウジング材料として多く利用されている。中でも、ポリカーボネート(PC)にABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)系樹脂と有機リン系難燃剤をブレンドした樹脂組成物(難燃PC/ABS系アロイ)は機械的特性や耐熱性や耐光性に優れるので、電気製品、コンピュータ、プリンタ、ワープロ、コピー機等のOA機器のハウジング材料としてその使用量が拡大している。
【0003】有機リン化合物を難燃剤として使用する難燃性樹脂に関する技術は、特公平6−45747号公報、特公平2−18336号公報、特開平2−32154号公報、特開平2−115262号公報等があり、また、流動性と耐衝撃性と難燃性が高度にバランスされた難燃PC/ABS系組成物に関する技術は、特開平6−240127号公報、特開平7−82466号公報、特開平8−127686号公報、特開平8−25366号公報等に開示されている。
【0004】しかしながら、これらの有機リン化合物を難燃剤として使用する難燃性樹脂においては、しばしば有機リン化合物の加水分解や熱分解に起因すると考えられる樹脂組成物の機械的性質や難燃性の低下が起こることがある。特に、最近の難燃PC/ABS系アロイ材料では、高い難燃性能と高流動性を同時に兼ね備えた材料に対する要望が高く、これに応えるため、組成物中に配合する有機リン化合物の配合量を多くし、かつ高流動性を獲得するために主材料であるPCの分子量を低くした組成物構成が主流になりつつあるが、このような高有機リン配合量でかつ低PC分子量の組成物構成では、高温高湿環境下に長時間暴露された場合、あるいは、高温で成形が行われた場合において、耐衝撃性や破断伸び特性の低下が起こりやすい。このような難燃性樹脂の物性低下は材料の長期信頼性を損ない、また加工温度範囲を制約するため、その改良が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、高温での成形、あるいは長期間の使用においても耐衝撃性や破断伸び等の機械的物性の低下が少なく、さらに、安定した難燃性能が発現する有機リン化合物を難燃剤とした難燃性樹脂を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、熱可塑性樹脂/有機リン化合物からなる難燃性樹脂に脂環式エポキシ系安定剤を少量配合することにより、難燃性樹脂組成物の機械的物性や難燃性が著しく安定化され、さらに色調に優れた難燃性樹脂組成物が得られることを見い出し、本発明に至った。
【0007】すなわち本発明は、[1](α)熱可塑性樹脂100重量部、(β)有機リン化合物1〜30重量部、及び(γ)脂環式エポキシ系安定剤0.01〜5重量部が含まれる難燃性樹脂組成物、[2](α)熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート系樹脂、または、ポリフェニレンエーテル系樹脂である[1]記載の難燃性樹脂組成物、[3](α)熱可塑性樹脂が、(A)ポリカーボネート系樹脂50〜98重量部、(B)スチレン系重合体49〜0重量部、(C)グラフト共重合体1〜30重量部からなる樹脂組成物である[1]記載の難燃性樹脂組成物、[4](B)スチレン系重合体が、(b1)芳香族ビニル単量体成分、及び(b2)シアン化ビニル単量体成分を含む共重合体であり、(C)グラフト共重合体が、(c1)芳香族ビニル単量体成分、(c2)シアン化ビニル単量体成分、及び(c3)アルキル(メタ)アクリレート単量体成分のうちの少なくとも1種あるいは2種以上が(c4)ゴム質重合体にグラフト重合された共重合体である[3]記載の難燃性樹脂組成物、[5](C)成分が、(c1)芳香族ビニル単量体成分および(c2)シアン化ビニル単量体成分が(c4)ゴム質重合体にグラフト重合された共重合体と、(c3)アルキル(メタ)アクリレート単量体成分が(c4)ゴム質重合体にグラフト重合された共重合体の組み合わせからなることを特徴とする[4]記載の難燃性樹脂組成物、[6](α)熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂10〜99重量部とポリスチレン系樹脂90〜1重量部からなる樹脂組成物である[1]記載の難燃性樹脂組成物、[7](β)有機リン化合物が、式(1)で表される1種または2種以上のオリゴマー系有機リン化合物である[1]〜[6]記載の難燃性樹脂組成物、【0008】
【化3】

[8](β)有機リン化合物が、式(2)で表される1種または2種以上のオリゴマー系有機リン化合物である[1]〜[6]記載の難燃性樹脂組成物、【0009】
【化4】

【0010】[9](β)有機リン化合物が、式(1)で表される1種または2種以上のオリゴマー系有機リン化合物であり、その平均縮合度Nが1以上1.2未満である[1]〜[6]記載の難燃性樹脂組成物、[10](β)有機リン化合物が、式(2)で表される1種または2種以上のオリゴマー系有機リン化合物であり、その平均縮合度Nが1以上1.2未満である[1]〜[6]記載の難燃性樹脂組成物、[11](β)有機リン化合物の酸価が3mgKOH/g以下である[1]〜[10]記載の難燃性樹脂組成物、[12]さらにポリテトラフルオロエチレンを含む[1]〜[11]記載の難燃性樹脂組成である。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で用いられる熱可塑性樹脂(α)は、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等を挙げることができる。これらの中にはエラストマーで補強されたゴム強化樹脂、2成分以上の単量体からなる共重合体、2種類以上の熱可塑性樹脂成分からなるいわゆるポリマーアロイも含む。上記の中で、熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート系樹脂、(A)ポリカーボネート系樹脂と(B)スチレン系重合体と(C)グラフト共重合体からなる樹脂組成物、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂とスチレン系樹脂からなる樹脂組成物である場合が特に好ましい。本発明で好ましく用いられるポリカーボネート系樹脂は、式(3)で表される繰り返し単位からなる主鎖を有する。
【0012】
【化5】

(式中、Arは、二価の芳香族残基であり、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリジレンや、式(4)で表されるものが挙げられる。)
【0013】
【化6】

(式中、Ar1及びAr2は、それぞれアリーレン基である。例えばフェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリジレン等の基を表し、Yは式(5)で表されるアルキレン基または置換アルキレン基である。)
【0014】
【化7】

(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基であって、場合によりハロゲン原子、アルコキシ基で置換されていてもよく、kは3〜11の整数であり、R5及びR6は、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に水素原子、または低級アルキル基、アリール基であって、場合によりハロゲン原子、アルコキシ基で置換されていてもよく、Xは炭素原子を表す。)
また、式(6)で示される二価の芳香族残基を共重合体成分として含有していても良い。
【0015】
【化8】

(式中、Ar1、Ar2は式(3)と同じ。Zは単なる結合、または、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−CO2−、−CON(R1)−(R1は式(5)と同じ)等の二価の基である。)
これら二価の芳香族残基の例としては、式(7)及び式(8)で表されるもの等が挙げられる。
【0016】
【化9】

【0017】
【化10】

(式中、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1〜C10アルキル基、C1〜C10アルコキシ基、C1〜C10シクロアルキル基またはフェニル基である。m及びnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7はそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合は各R8はそれぞれ同一でも異なるものであっても良い。)
なかでも、式(9)で表されるものが好ましい一例である。特に、式(9)で表されるものをArとする繰り返しユニットを85モル%以上含むものが好ましい。
【0018】
【化11】

また、本発明に用いることができるポリカーボネートは、三価以上の芳香族残基を共重合成分として含有していても良い。ポリマー末端の分子構造は特に限定されないが、フェノール性水酸基、アリールカーボネート基、アルキルカーボネート基から選ばれた1種以上の末端基を結合することができる。アリールカーボネート末端基は、式(10)で表され、具体例としては、例えば、式(11)が挙げられる。
【0019】
【化12】

(式中、Ar3は一価の芳香族残基であり、芳香環は置換されていても良い。)
【0020】
【化13】

アルキルカーボネート末端基は式(12)で表され、具体例としては、例えば式(13)等が挙げられる。
【0021】
【化14】

(式中、R9は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐アルキル基を表す。)
【0022】
【化15】

これらの中で、フェノール性水酸基、フェニルカーボネート基、p−t−ブチルフェニルカーボネート基、p−クミルフェニルカーボネート等が好ましく用いられる。本願において、フェノール性水酸基末端と他の末端との比率は、特に限定されないが、全末端にしめるフェノール性水酸基末端比率が20〜80モル%の範囲にあることが好ましい。フェノール性水酸基末端量の測定方法は、一般にNMRを用いて測定する方法や、チタン法や、UVもしくはIR法で求めることができる。本発明に用いられるポリカーボネート系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常、13,000〜50,000の範囲であるが、好ましくは15,000〜30,000であり、さらに好ましくは17,000〜25,000であり、特に好ましくは18,500〜23,000である。13,000未満では耐衝撃性が不十分であり、また、50,000を越えると、流動性が悪く成形加工が困難である。
【0023】本発明における重量平均分子量(Mw)の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて行われ、測定条件としては、テトラヒドロフランを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から下式による換算分子量較正曲線を用いて求められる。
PC=0.3591MPS1.0388(MPCはポリカーボネートの分子量、MPSはポリスチレンの分子量)これらポリカーボネートは、公知の方法で製造することができる。具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体と反応せしめる公知の方法、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンを水酸化ナトリウム水溶液及び塩化メチレン溶媒の存在下に反応させる界面重合法(ホスゲン法)、芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートと反応させるエステル交換法(溶融法)、結晶化カーボネートプレポリマーを固相重合する方法(特開平1−158033、1−271426、3−68627等)等の方法により製造することができる。好ましいポリカーボネート樹脂としては、2価フェノール(芳香族ジヒドロキシ化合物)と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造された実質的に塩素原子を含まないポリカーボネート樹脂があげられる。本発明では異なる構造や分子量の2種以上のポリカーボネート系樹脂を組み合わせて使用することも可能である。
【0024】熱可塑性樹脂(α)が、(A)ポリカーボネート系樹脂と(B)スチレン系重合体と(C)グラフト共重合体からなる樹脂組成物である場合は、流動性と耐衝撃性と難燃性が高いレベルでバランスされた樹脂組成を得るために、(A)の割合は、(A)と(B)と(C)の合計100重量部に対し、50重量部〜98重量部であり、好ましくは65〜95重量部、さらに好ましくは75〜90重量部である。成分(A)が50重量部未満であると耐熱性と難燃性が不十分であり、一方、98重量部を超えると流動性が不足する。また、スチレン系重合体(B)とは、(b1)芳香族ビニル単量体成分のみからなる重合体、及び/または、(b1)芳香族ビニル単量体成分及び(b2)シアン化ビニル単量体成分を含む共重合体である。成分(B)により、樹脂組成物の流動性を改善することができる。
【0025】ここで、(b1)芳香族ビニル単量体成分としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ビニルキシレン、p−ターシャリーブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等を挙げることができ、これらを1種または2種以上使用する。好ましくはスチレン、α−メチルスチレンである。また、(b2)シアン化ビニル単量体成分としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができ、これらを1種または2種以上使用する。
【0026】スチレン系重合体が共重合体である場合は該共重合体中の(b1)/(b2)の組成比は特に限定されないが、好ましくは(b1)が95〜50重量%、(b2)が5〜50重量%であり、更に好ましくは、(b1)が92〜65重量%、(b2)が8〜35重量%である。また、成分(B)では本発明の趣旨を妨げない範囲で、上記の成分(b1)成分及び(b2)成分の他にこれらの成分と共重合可能な単量体を使用することができる。そのような共重合可能な単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート単量体成分好ましくはブチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸類、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体が挙げられる、これらの単量体は1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。(B)成分の好ましい例として、スチレン・アクリロニトリル共重合体樹脂(SAN)やブチルアクリレート・スチレン・アクリロニトリル共重合体樹脂(BAAS)等を挙げることができ、中でもBAAS(好ましくはブチルアクリレート単量体成分が2〜20重量%)は樹脂組成物の流動性を改良する上で特に好適である。
【0027】成分(B)の製造方法としては、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合など通常公知の製造方法を挙げることができる。成分(B)の重量平均分子量(Mw)は、通常、20,000〜200,000の範囲である。好ましくは60,000〜180,000であり、さらに好ましくは70,000〜150,000であり、特に好ましくは80,000〜140,000である。20,000未満では耐衝撃性が不十分であり、また、200,000を越えると、高流動の組成物を得ることが困難である。成分(B)の割合は、(A)と(B)と(C)の合計100重量部に対し、49重量部〜0重量部であり、好ましくは30〜1重量部、さらに好ましくは20〜3重量部である。成分(B)が配合されることにより流動性が向上するが、49重量部を超えると耐熱性や難燃性が不足する。成分(B)は異なる構造や分子量の2種以上の成分(B)を組み合わせて使用することも可能である。
【0028】グラフト共重合体(C)は(c1)芳香族ビニル単量体成分、(c2)シアン化ビニル単量体成分、および(c3)アルキル(メタ)アクリレート単量体成分のうちの少なくとも1種あるいは2種以上が(c4)ゴム質重合体にグラフト重合されたグラフト共重合体である。(c1)芳香族ビニル単量体成分および(c2)シアン化ビニル単量体成分は、前記の成分(B)で示した(b1)および(b2)を挙げることができる。また、(c3)アルキル(メタ)アクリレート単量体成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート単量体を挙げることができ、これらを1種または2種以上使用する。好ましくはメチルメタクリレートである。
【0029】(c4)のゴム質重合体としては、ガラス転移温度が0℃以下のものであれば用いることができる。具体的には、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム等のジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合ゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合ゴム等のブロック共重合体およびそれらの水素添加物、ポリオルガノシロキサン成分とポリアルキル(メタ)アクリレート成分を含む複合ゴム(シリコン・アクリル複合ゴム)等を使用することができる。これらの重合体の中で、好ましくは、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、ポリアクリル酸ブチル、シリコン・アクリル複合ゴムが挙げられる。
【0030】成分(C)は、上記(c4)ゴム質重合体に、(c1)芳香族ビニル単量体成分、(c2)シアン化ビニル単量体成分、および(c3)アルキル(メタ)アクリレート単量体成分のうちの少なくとも1種あるいは2種以上が、さらに必要に応じて、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸類、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体成分の1種以上を、塊状重合、懸濁重合、塊状・懸濁重合、溶液重合あるいは乳化重合等の方法、特に乳化重合でグラフト重合させてなるものである。
【0031】ここに、(c4)ゴム質重合体の使用量は通常、10〜90重量%、好ましくは30〜85重量%、更に好ましくは40〜82重量%であり、ゴム質重合体としてブタジエン系重合体を用いる場合にはブタジエン系重合体のブタジエン成分の割合は50重量%以上が好ましい。成分(C)におけるゴム質重合体の使用量が10重量%未満では耐衝撃性の改良効果が低く、90重量%を超えると組成物中での(C)成分の分散が不十分となり好ましくない。
【0032】また本発明では、成分(C)として、乳化重合により得られた粒子状のグラフト共重合体を好適に使用することができるが、この場合にグラフト共重合体の平均粒径は0.1〜1.5μmが好ましく、さらに好ましくは0.15〜0.8μmであり、特に好ましくは0.2〜0.6μmである。0.1μm未満になると樹脂組成物の耐衝撃性の改良効果が不足し、1.5μmを超えると流動性や成形品の外観が悪くなる。本発明にかかわる成分(C)の好ましい例として、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・アクリル系弾性重合体・スチレン共重合体を挙げることができる。
【0033】さらに、本発明では(C)成分として、(c4)ゴム質重合体に(c3)アルキル(メタ)アクリレート単量体成分のみがグラフトされた共重合体を用いることが、高流動性と耐衝撃性を高レベルでバランスさせる上でさらに好ましく、特に(c3)成分としてメチルメタクリレートがグラフトされた共重合体が好ましい。このような例として、スチレン・ブタジエン・メチルメタクリレート共重合体やシリコン・アクリルゴムにメチルメタクリレートがグラフトされた共重合体を好適に使用することができ、例えば三菱レーヨン(株)から製造されている、「メタブレン C−233A」、「メタブレン C−323A」、「メタブレンS−2001」(いずれも商品名)は特に好適に使用される。成分(C)は1種、または2種以上の組み合わせで使用することができるが、その配合量は(A)と(B)と(C)の合計100重量部に対し、1重量部〜30重量部である。好ましくは2〜20重量部、さらに好ましくは3〜15重量部である。成分(C)が1重量部未満であると耐衝撃性の改良効果がほとんどなく、一方、30重量部を超えると流動性や剛性が不足する。
【0034】特に、(C)成分として、ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体成分及びシアン化ビニル単量体成分がグラフト重合された共重合体、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(以下C(a)成分と称す)と、ゴム質重合体にメチルメタクリレートがグラフト重合された共重合体、例えばスチレン・ブタジエン・メチルメタクリレート共重合体やシリコン・アクリルゴムにメチルメタクリレートがグラフトされた共重合体(以下C(b)成分と称す)を組み合わせて使用することにより、流動性と耐衝撃性が高レベルでバランスされた樹脂組成物を得るのに好適である。この場合、C(a)とC(b)の組成比は特に限定されないが、C(a)とC(b)の全量に対してC(b)成分は90〜10wt%が好ましく、さらに好ましくは70〜20wt%、より好ましくは60〜30wt%である。本発明にかかわるポリフェニレンエーテル系樹脂とは、式(14)及び/又は式(15)で表される繰り返し単位を有する単独重合体、あるいは共重合体である。
【0035】
【化16】

【0036】
【化17】

(ここで、R10、R11、R12、R13、R14、R15は独立に炭素1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素を表す。但し、R14、R15は同時に水素ではない。) ポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテルポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。この中で、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが特に好ましい。
【0037】ポリフェニレンエーテル共重合体とは、フェニレンエーテル構造を主単量単位とする共重合体である。その例としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体あるいは2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等がある。
【0038】また、本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂中には、本発明の主旨に反しない限り、従来ポリフェニレンエーテル樹脂中に存在させてもよいことが提案されている他の種々のフェニレンエーテルユニットを部分構造として含んでいても構わない。少量共存させることが提案されているものの例としては、特願昭63−12698号及び特開昭63−301222号公報に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等が挙げられる。また、ポリフェニレンエーテル樹脂の主鎖中にジフェノキノン等が少量結合したものも含まれる。さらに、例えば特開平2−276823号公報、特開昭63−108059号公報、特開昭59−59724号公報等に記載されている、炭素−炭素二重結合を持つ化合物により変性されたポリフェニレンエーテルも含む。
【0039】ポリフェニレンエーテル系樹脂の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、米国特許4,788,277号明細書(特願昭62−77570号)に記載されている方法に従って、ジブチルアミンの存在下に、2,6−キシレノールを酸化カップリング重合して製造することができる。また、分子量および分子量分布は特に限定されるものではない。ポリフェニレンエーテル系樹脂にはポリスチレン系樹脂を任意の割合でブレンドして用いることができる。好ましくは、ポリフェニレンエーテル系樹脂10〜99重量%に対しポリスチレン系樹脂90〜1の割合である。
【0040】ここでポリスチレン系樹脂とは、ビニル芳香族重合体、ゴム変性ビニル芳香族重合体である。ビニル芳香族重合体としては、スチレンのほか、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレンなどの核アルキル置換スチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどのα−アルキル置換スチレン等の重合体、及びこれら1種以上と他のビニル化合物の少なくとも1種以上との共重合体、これら2種以上の共重合体が挙げられる。ビニル芳香族化合物と共重合可能な化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル化合物類、無水マレイン酸等の酸無水物などが挙げられる。これらの重合体の中で特に好ましい重合体は、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体である。また、ゴム変性ビニル芳香族重合体に用いるゴムとしては、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン・イソプレン共重合体、天然ゴム、エチレン・プロピレン共重合体などを挙げることができる。特に、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合体が好ましく、ゴム変性芳香族重合体としては、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、ゴム変性スチレン−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)が好ましい。
【0041】本発明に用いられる有機リン化合物(β)は、式(1)で表される1種または2種以上のオリゴマー系有機リン化合物、及び/または式(16)で表される1種または2種以上のモノ系有機リン化合物である。
【0042】
【化18】

【0043】
【化19】

【0044】オリゴマー系有機リン化合物は式(1)で表され、式(1)における置換基Ra、Rb、Rc、Rdは、アリール基でありその一つ以上の水素が置換されていてもいなくてもよい。置換基Ra、Rb、Rc、Rdがアルキル基やシクロアルキル基である化合物は射出成形を行う際の成形機内の溶融樹脂の滞留安定性が不十分であり、樹脂の物性の低下を招きやすい。置換基Ra、Rb、Rc、Rdの一つ以上の水素が置換されている場合、置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ハロゲン化アリール基等が挙げられ、またこれらの置換基を組み合わせた基(例えばアリールアルコキシアルキル基等)またはこれらの置換基を酸素原子、硫黄原子、窒素原子等により結合して組み合わせた基(例えば、アリールスルホニルアリール基等)を置換基として用いてもよい。好ましいアリール基は、フェニル基、クレジル基、キシリル基、プロピルフェニル基、およびブチルフェニル基であり、特に流動性と難燃性が共に優れるのはフェニル基である。また、置換基Ra、Rb、Rc、Rdは同じであっても、それぞれが異なっていても良い。
【0045】また、式(1)におけるXは、2価のフェノール類より誘導される芳香族基であり、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノール、4−t−ブチルカテコール、2−t−ブチルヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールSスルフィド、ビスフェノールF、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン等から誘導される芳香族基を挙げることができるが、本発明では特に式(2)
【0046】
【化20】

で表される、Xがジフェニロールジメチルメタン基(ビスフェノールAより誘導される芳香族基)であるオリゴマー系有機リン化合物を使用することにより、滞留安定性を向上させ、さらに成形の際に金型表面に付着するモールドデポジット(MD)の発生を低減化することができる。
【0047】式(1)及び式(2)で表されるオリゴマー系有機リン化合物は、通常、式(1)及び式(2)において異なるnの値(nは自然数)を有する化合物の混合物として使用される場合が多い。平均縮合度Nはnの平均値である。Nはゲルパーミエーションクロマトグラフィーあるいは液体クロマトグラフィーにより異なるnを有するそれぞれの成分の重量分率を求め、nの重量平均により算出される。検出器はUV検出器、あるいはRI検出器が使用される。ただし、本発明ではnが0の成分、すなわち分子中のリン原子が1つのみである化合物はNの計算から除外する。
【0048】オリゴマー系有機リン化合物のnの平均値N(平均縮合度)は、通常1以上5以下であり、1以上2以下が好ましく、1以上1.5以下が更に好ましく、1以上1.2未満が特に好ましい。Nが小さいほど樹脂との相溶性に優れ、流動性に優れ、かつ難燃性が高い。特に、N=1の化合物は樹脂組成物における難燃性と流動性のバランスが特に優れる。Nが5以上である場合は粘度が大きくなり、高流動の組成物、特に高せん断速度領域での流動性に優れた組成物を得るのが困難となり、また、難燃性が低下する。
【0049】Nが1以上1.2未満であるオリゴマー系有機リン化合物を得る方法としては、例えば、[ア]オキシハロゲン化リンにフェノールや2,6−キシレノール等の芳香族モノヒドロキシ化合物をルイス酸触媒の下で反応させ、予めジアリールホスホロハリデードを得て、引き続いてこれに、ビスフェノールA、ヒドロキノン、レゾルシノール等の芳香族ジヒドロキシ化合物(2価フェノール化合物)をルイス酸触媒の下で反応させて得る方法。
[イ]芳香族ジヒドロキシ化合物とそれに対して大過剰(約4倍モル当量以上)のオキシハロゲン化リンをルイス酸触媒の下で反応させ、引き続いて過剰のオキシハロゲン化リンを加熱減圧下で完全に除去した後に、上記反応生成物に芳香族モノヒドロキシ化合物をルイス酸触媒の下で反応させて得る方法。等が挙げられる。
【0050】モノ系有機リン化合物は式(16)で表され、式(16)で表されるモノ系有機リン化合物における、置換基Re、Rf、Rgはそれぞれ独立して、式(1)における置換基Ra、Rb、Rc、Rdで示したもの他、2価フェノール類から誘導される芳香族基が含まれる。具体的な好ましいモノ系有機リン化合物の例としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、キシレニルフェニルホスフェート等が挙げられる。
【0051】さらに本発明で用いられる有機リン化合物は、その酸価が3mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が3mgKOH/gを超える場合は、組成物が高温高湿環境下に曝された場合の機械的物性や難燃性能の低下が激しくなる。本発明での有機リン化合物の酸価は2mgKOH/g以下が更に好ましく、特に好ましくは1mgKOH/g以下である。有機リン化合物(β)の配合量は熱可塑性樹脂(α)100重量部に対して、1〜30重量部である。1重量部未満では難燃効果が不十分である。また、30重量部を超えると樹脂組成物の耐衝撃性や耐熱性を低下させる。好ましくは5〜20重量部の範囲であり、特に好ましい範囲は、8〜15重量部の範囲である。
【0052】本発明で使用される脂環式エポキシ化合物(γ)とは、脂環式エポキシ構造単位が、例えば、ジオキサン構造単位やカルボキシル基構造単位等の結合単位で結合した化合物であり、2−(3,4−エポキシシクロアルキル)−5−5’−スピロ−(3,4−エポキシ)シクロアルキル−m−ジオキサン、好ましくは、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5−5’−スピロ−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン(商品名 ERL−4234 ユニオンカーバイド社製)、あるいは、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3−4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名 ERL−4221 ユニオンカーバイド社製)を例示することができる。
【0053】これらの他に、ユニオンカーバイド社から商品名ERL−4299、あるいはERL−4206として工業的に入手することができる脂環式エポキシ化合物も使用できるが、本発明で使用される脂環式エポキシ化合物は取り扱い性に優れ、かつ溶融混練に耐え得るように、低粘度、低揮発性であって、かつ、高反応のエポキシ基を多量に含むものが好ましく、ERL−4221は特に好ましく使用される。上記の成分(γ)を配合することにより、本発明の難燃性樹脂組成物は高温での成形、あるいは、高温高湿下の環境においても耐衝撃性や破断伸び等の機械的物性の低下が少なく、さらに、安定した難燃性能を発現させることができる。
【0054】本発明において使用される脂環式エポキシ化合物(γ)の使用量は熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲であり、好ましくは0.05〜7重量部、より好ましくは0.1〜4重量部、特に好ましくは0.3〜3重量部である。0.01重量部未満では効果がほとんど見られず、一方、5重量部を超えると難燃性や耐衝撃性が低下するので好ましくない。また、本発明の樹脂組成物には滴下防止剤を用いることは効果的であり、好ましい。滴下防止剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のパーフルオロアルカンポリマー、シリコンゴム、ポリカーボネート・ジオルガノシロキサン共重合体、シロキサンポリエーテルイミド、液晶ポリマー、シリコン・アクリル複合ゴムなどがある。特に好ましくはポリテトラフルオロエチレンであり、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01〜3重量部の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.05〜2部である。0.01重量部未満の場合は、燃焼時の滴下防止効果が不十分であり、高い難燃性が得られない。また、3重量部を超える場合は成形加工性および剛性が低下する。
【0055】また、本発明の樹脂組成物には、樹脂組成物の加工安定性を高め、熱劣化を抑制する目的で各種の酸化防止剤や安定剤を使用することができる。酸化防止剤としては、分子量500以上のフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、及び、ホスファイト系酸化防止剤等があり、特にフェノール系酸化防止剤が好ましい。
【0056】フェノール系酸化防止剤としてはフェノール系化合物の−OH基の性質を遮蔽した分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物が好ましく、特にn−オクタデシル−3−(3’,5’−ジターシャリーブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−ターシャリーブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトルテトラキス[3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。チオエーテル系酸化防止剤としては、ジアルキル−3,3’−チオジプロピネート、テトラキス[メチレン−3−(アルキルチオ)プロピオネート]メタン、ビス[2−メチル−4−(3−アルキル−チオプロピオニルオキシ)−5−ターシャリーブチルフェニル]スルフィドが好ましい。
【0057】ホスファイト系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)ホスファイト、分子内にペンタエリスリトール骨格を有するものが好ましく、特にジ(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。これらの成分は、通常、熱可塑性樹脂(α)成分100重量部に対して0.01〜0.8重量部、好ましくは0.05〜0.7重量部、更に好ましくは0.1〜0.6重量部で使用される。
【0058】また、本発明の樹脂組成物には、樹脂組成物の改質を行う目的で、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、タルク、雲母、などの無機フィラーや炭素繊維、木炭等の強化剤を添加することができる。好ましい添加量は、(A)〜(C)の合計100重量部に対して、0.01〜60重量部、より好ましくは5〜55重量部である。さらに必要に応じて他の添加剤、すなわち、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、酸化チタン、表面改質剤、分散剤、可塑剤などを添加することができる。
【0059】本発明における樹脂組成物の製造方法については、特に限定されず、通常の方法、例えば、押出混練によるメルトブレンド等により製造することができる。さらに、これらの熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の成形方法は、押し出し成形、圧縮成形、射出成形、ガスアシスト成形等があり、特に限定されない。
【0060】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する。用いた材料を以下に示す。
1.熱可塑性樹脂(α)成分(ポリカーボネート:PC)ビスフェノールAとジフェニルカーボネートから溶融エステル交換法により製造されたMwが20,500であり、ヒドロキシ基末端量が30%のビスフェノールA系ポリカーボネート(ポリフェニレンエーテル:PPE)米国特許4,788,277号明細書(特願昭62−77570号)に記載されている方法に従ってジブチルアミンの存在下に、2,6−キシレノールを酸価カップリング重合して製造されたもので、ηSP/C=0.42であり、溶融粘度は280℃で140sec-1のせん断速度で測定し、49,000poiseである。
(アクリロニトリル・スチレン共重合体:SAN)アクリロニトリル単位25.0wt%、スチレン単位75.0wt%からなるMwが140,000のアクリロニトリル・スチレン共重合体(ポリスチレン:GPPS)旭化成工業(株)製 スタイロン685(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体ゴム:ABS)10メッシュ残分が、90%未満であるパウダー状ABS樹脂(三菱レーヨン(株)社製、商品名 RC)
(ハイインパクトポリスチレン:HIPS)旭化成工業(株)製 スタイロンH9405(メチルメタクリレート・スチレン・ブタジエン共重合体ゴム:MBS)最外層がメチルメタクリレートで被覆されたメチルメタクリレートグラフトスチレン・ブタジエンゴム(三菱レーヨン(株)社製、商品名 メタブレンC−233A)
(メチルメタクリレートグラフトシリコンアクリル複合ゴム:シリコンアクリル複合ゴム)最外層がメチルメタクリレートで被覆されたポリオルガノシロキサン成分およびポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分が相互進入網目構造を有している複合ゴム(三菱レーヨン(株)社製、商品名 メタブレンS−2001)
2.有機リン化合物(β)成分(有機リン化合物(β1))下記参考例1の方法により得られた有機リン化合物【0061】(参考例1)攪拌機、コンデンサ、加熱用ジャケットを装備したオートクレーブ(30リットル容器)にビスフェノールA(1モル当量)に対し、オキシ塩化リン(4モル当量)と塩化マグネシウム(0.025モル当量)を加え、徐々に加熱攪拌し、120℃まで昇温し、さらに7時間反応させた。反応で副生する塩酸は塩酸吸収塔に導かれる。得られた反応混合物からオキシ塩化リンを160℃、10mmHgの条件で2時間減圧除去した。その後フェノール(4.5モル等量)を攪拌しながら徐々に加え、150℃で8時間反応させ、反応を完結させた。反応終了後に反応混合物から残存するフェノールを170℃、20mmHgの条件で3時間減圧除去し、得られた生成物を洗浄、乾燥させた後、更に薄膜蒸留法により残存するフェノールを完全に除去し、式(17)で表されるオリゴマー系有機リン化合物を得た。平均縮合度Nを求めたところ、それぞれ1.13であった。また、酸価は0.52mgKOH/gであった。
【0062】
【化21】

(有機リン化合物(β2))大八化学工業(株)社製 商品名 CR733S平均縮合度Nが1.41の式(18)で表されるオリゴマー系有機リン化合物【0063】
【化22】

(有機リン化合物(β3))大八化学工業(株)製 商品名 PX−200平均縮合度Nが1.00の式(19)で表されるオリゴマー系有機リン化合物【0064】
【化23】

【0065】3.脂環式エポキシ化合物(γ)成分ユニオンカーバイド日本(株)製 ERL−42214.その他の成分(フッ素系樹脂:PTFE)
三井デュポンフロロケミカル社製 商品名 テフロン30Jポリテトラフルオロエチレン水性ディスパージョン実施例及び比較例における各試験は以下に示す方法で行った。
(1)難燃性試験得られたペレットを乾燥し、射出成形機(オートショット50D、ファナック社製)で成形し、燃焼試験用験片形状成形体を作成した。難燃性評価はUL94規格垂直燃焼試験(UL94)に基づいてランク付けを行った。
(2)MFRASTM D1238に準じて、220℃、10kg荷重条件で測定した。(単位:g/10min)
(3)アイゾット衝撃試験ASTM D256に準じて、1/8インチ、ノッチ付きで測定した。(単位:kgf・cm/cm)
(4)色調評価アイゾット衝撃試験に使用した1/8インチ短冊片の色調を目視観察した。黄変が少ない場合を○、やや黄変が見られる場合を△、黄変が顕著である場合を×とする。
(5)耐高温高湿特性1/8短冊片を60℃、85RH%の雰囲気中に100時間保存し、アイゾット衝撃強度を評価した。
【0066】
【実施例1、2、3及び比較例1、2、3】表1に掲げる組成(単位は重量部)の樹脂組成物のペレットを2軸押出機(ZSK−25、W&P社製)で溶融混練し、ペレタイズを行うことにより調製した。実施例1及び比較例1はシリンダー温度を250℃とし、また、実施例2、3及び比較例2、3は280℃とした。また、オリゴマー系リン化合物は押出機の中段より、ギアポンプで圧入して配合した得られたペレットを乾燥し、1/16インチ短冊片を射出成形機により調製し、UL94難燃レベルを評価した。さらに、1/16インチ試験片を70℃、95RH%中で400時間放置し、その後UL94難燃レベルを評価した。
【0067】結果を表1に示す。実施例1、2、3は脂環式エポキシ化合物を配合した場合における結果である。実施例1、2、及び3は高温高湿環境下に曝した場合においても成形直後の難燃性能が維持されていることがわかる。また、実施例1は比較例1と比較することにより、脂環式エポキシ化合物を配合することにより組成物の色調が改善されることを示している。一方、比較例1、2及び3いずれも高温高湿環境下で難燃性能の低下が見られた。
【0068】
【実施例4、5、6、及び、比較例4、5】表2に掲げる組成(単位は重量部)で、実施例1と同じ方法で樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを乾燥し、シリンダー設定温度を240℃、250℃、260℃、270℃、280℃とし、また、金型温度は60℃に設定して、射出成形機で1/8インチ短冊片を成形し、アイゾット衝撃強度を評価した。
【0069】結果を表2に示す。表2の実施例4、5、6に示すように脂環式エポキシ化合物が含まれる場合は高い成形温度で得られた試験片においてもアイゾット衝撃強度が維持されることがわかる。一方、比較例4では高温で成形した場合はアイゾット衝撃値が低下している。比較例5は脂環式エポキシ化合物の配合量が本発明の範囲外であるが、アイゾット衝撃値が逆に低下し、さらに難燃性能も低下した。また、比較例4と比較して、実施例4〜6は色調の改善が見られた。
【0070】
【実施例7、8及び比較例6】表3に掲げる組成(単位は重量部)で、実施例1と同じ方法で樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを乾燥し、シリンダー設定温度を240℃、金型温度は60℃に設定して、射出成形機で1/8インチ短冊片を成形し、アイゾット衝撃強度を評価した。さらに1/8短冊片を60℃、85RH%の雰囲気中に100時間保存したものについてアイゾット衝撃強度を評価した。結果を表3に示す。表3の実施例7、8に示すように脂環式エポキシ化合物が含まれる場合は高温高湿環境下に放置後の場合においてもアイゾット衝撃強度の低下がわずかであったが、一方、比較例6ではアイゾット衝撃強度の低下が観測された。
【0071】
【実施例9、10及び比較例7、8】表4に掲げる組成(単位は重量部)で、実施例1と同じ方法で樹脂組成物のペレットを得た。尚、実施例9、10及び比較例7、8で使用した有機リン化合物は、参考例1で製造した有機リン化合物(β1)を90℃で純水と接触攪拌することにより酸価を1mgKOH/g、及び、5mgKOH/gに調整したものを使用した。
【0072】得られたペレットを乾燥し、シリンダー設定温度を240℃、金型温度60℃に設定して、射出成形機で1/8インチ短冊片を成形し、アイゾット衝撃強度を評価した。さらに1/8短冊片を70℃、95RH%の雰囲気中に100時間保存したものについてアイゾット衝撃強度とGPCによるポリカーボネート分子量測定を行った。尚、組成物中のポリカーボネートは組成物を塩化メチレンに溶解させた後、濾過液をアセトン中で再沈殿させることにより取り出した。
【0073】結果を表4に示す。表4の実施例9、10に示すように脂環式エポキシ化合物が含まれる場合は高温高湿環境下に放置後の場合においてもアイゾット衝撃強度の低下がわずかであり、またポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)の低下が少なかったが、比較例7、8はアイゾット衝撃強度の低下があり、また、Mwの低下が顕著であった。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
【表4】

【0078】
【発明の効果】以上に示すように、本発明により高温高湿環境下においても難燃性能や機械的物性の低下が少なく、高温で成形を行っても物性の劣化が少なく、さらに色調に優れた非臭素、非塩素系の難燃性樹脂組成物を提供することができる。




 

 


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