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発明の名称 アラミドフィルム及び磁気記録媒体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−2803(P2001−2803A)
公開日 平成13年1月9日(2001.1.9)
出願番号 特願平11−170583
出願日 平成11年6月17日(1999.6.17)
代理人
発明者 藤原 隆 / 柳田 好徳
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 フィルムの表面の少なくとも一方に、高さ(H)が0.03〜0.4μm、主ピッチ(L)が100〜2000μmであり、その勾配が500≦L/H≦15000であるうねりをランダムに有し、かつ、フィルム中に微細粒子を0.01〜5重量%含有し、さらに、i)25℃におけるtan−δに対する100℃におけるtan−δの比が0.3〜2.0、ii)重金属含有率が0.001〜10ppm、および、iii)微細粒子の単分散率が20〜100%であることを特徴とするアラミドフィルム。
【請求項2】 フィルムの表面の少なくとも一方に、(a)0.27μm以上0.54μm未満の高さの突起を0〜5個/cm2、(b)0.54μm以上0.81μm未満の高さの突起を0〜2個/10cm2、及び(c)0.81μm以上の高さの突起を0〜0.5個/100cm2、有していることを特徴とする請求項1記載のアラミドフィルム。
【請求項3】 請求項1または2記載のアラミドフィルムの上に磁性体層を形成した磁気記録媒体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体及びそのベースフィルム用に有用な耐熱性フィルムに関するものであり、さらに詳しくは、優れた電磁変換特性と耐久性を兼備している磁気記録媒体及びそのベースフィルムとして有用なアラミドフィルムに関するものである。
【0002】
【従来技術】アラミドフィルムやポリイミドフィルムは、耐熱性に優れたフィルムとして、特開昭49−131247号公報、特開昭51−81854号公報、特開昭51−81880号公報、特開昭52−82953号公報、特開昭52−84245号公報、特開昭52−85251号公報、特開昭58−42649号公報、特開昭59−45124号公報、特開昭61−246918号公報、特開昭62−70421号公報、特開昭60−15436号公報、特開昭60−15437号公報、特開昭62−48726号公報などにより知られている。
【0003】特に、磁気記録媒体用ベースフィルムとして、特開昭61−246919号公報、特開昭63−297038号公報、特開平2−1741号公報、特開平2−133434号公報、特開平3−119512号公報、特開平3−114830号公報、特開平4−34716号公報、特開平4−149245号公報、特開平6−195679号公報、特開平8−235568号公報、特公平5−36849号公報、特公平5−64594号公報等には、これらのフィルムの表面平滑性と表面の荒れを調整する技術が開示されている。
【0004】一方、磁気記録システムの進歩及び社会的要請により、磁気記録媒体の高密度化、高性能化が急速に進んできている。このため、磁気記録媒体用ベースフィルムに対して、i)良好な電磁変換特性を確保するための表面平滑性とii)高張力下に長期間断続的に使用されても優れた特性が維持されるという耐久性の両方を具備したフィルムに対する要求が益々高まってきた。
【0005】この要求に対して、例えば、特開平9−169859号公報には、磁気記録媒体やベースフィルムの腐食や着色を減らすために、ベースフィルム中の特定の種類の金属含有率を小さくすることが開示されている。しかし、この技術だけでは、フィルムの耐久性の抜本的な改善にはならないことが分かった。
【0006】特開平8−227518号公報には、磁気記録媒体の寸法安定性を改良するためにベースフィルム中の特定の金属イオン含有率を小さくすることが開示されている。しかし、この技術だけでは、磁気記録媒体の高密度記録と耐久性を抜本的に改善することに限界がある。
【0007】特開平10−72531号公報には、磁気記録媒体ベースフィルムに含有させる微細粒子の単分散率を向上させることによって、磁気記録媒体の高密度記録と耐久性の両立を図ることが開示されている。しかし、この技術だけでも、耐久性は十分とは言えない。
【0008】特開平8−225664号公報には、特定の軽金属イオンを一定量以上含有させたフィルムを開示し、それによって帯電を防止し耐久性を向上させる技術思想を示している。しかし、寸法安定性の低下、微細粒子の分散度低下等の問題があり、磁気記録媒体としての高密度記録という観点から改良されるべき課題が残されている。また、特開平10−279797号公報には、微細粒子の脱落防止のためにフィルム中に金属イオンを一定量以上含有させることを開示している。しかし、この技術にも上記技術と同様の課題が残されている。
【0009】以上述べたように、これらの先行技術に開示されたフィルムは、益々高度化する磁気記録媒体の要求に十分に応えられるものではなかった。つまり、高密度・高性能の磁気記録媒体に必要とされる単分散性の高い微細粒子を含有するフィルムをベースフィルムとして使用した場合、磁気記録媒体の使用中にテープの端部が厚化するか、または伸びるという変形を起こしてその磁気記録媒体が使えなくなったり、観察される変形はないものの電磁変換特性が使用中に低下したり、使用中にテープの走行性が悪くなったりする問題、即ち、耐久性の不足の問題が生じている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、耐久性に優れた高密度記録の磁気記録媒体及びそれに用いられるベースフィルムとして好適なアラミドフィルムを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来克服できなかった技術課題、つまり良好な電磁変換特性を長期に亘って維持できる耐久性に優れた磁気記録媒体を提供できる耐熱性ベースフィルムの取得について、多角度から検討した。その結果、フィルム表面に特定の大きさと勾配をもったランダムなうねりを導入すること、かつ、特定の動的粘弾性を有するアラミドフィルムを用いること、更にフィルムの重金属含有率と微細粒子単分散率を特定範囲とすることで解決できることを発見し、その後更に検討して本発明に到達した。
【0012】即ち、本発明は、フィルムの表面の少なくとも一方に、高さ(H)が0.03〜0.4μm、主ピッチ(L)が100〜2000μmであり、その勾配が500≦L/H≦15000であるうねりをランダムに有し、かつ、フィルム中に微細粒子を0.01〜5重量%含有し、さらに、i)25℃におけるtan−δに対する100℃におけるtan−δの比が0.3〜2.0、ii)重金属含有率が0.001〜10ppm、および、iii)微細粒子の単分散率が20〜100%であることを特徴とするアラミドフィルム、及びそのアラミドフィルムの上に磁性体層を形成した磁気記録媒体である。本発明のアラミドフィルムに用いられるアラミドとしては、次の構成単位からなる群より選択された単位より実質的に構成される。
−NH−Ar1−NH− (1)
−CO−Ar2−CO− (2)
−NH−Ar3−CO− (3)
ここでAr1、Ar2、Ar3は少なくとも1個の芳香環を含む2価の基であり、同一でも異なっていてもよい。これらの2価の芳香族基の代表例としては、下記の例が挙げられる。
【0013】
【化1】

【0014】また、これらの芳香環の環上の水素の一部が、ハロゲン基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基などで置換されているものも含む。また、Xは−O−、−CH2−、−SO2−、−S−、−CO−などである。本発明においては、特に、全ての芳香環の80モル%以上がパラ位にて結合されているアラミドを用いることが好ましい。また、本発明のアラミドフィルムには、フィルムの物性を損ねたり、本発明の目的に反しない限り、酸化防止剤、除光沢剤、紫外線安定化剤、その他の添加剤などや、他のポリマーが含まれていてもよい。
【0015】本発明のアラミドフィルムの特徴の一つは、フィルム表面の少なくとも一方に、高さが0.03〜0.4μm、主ピッチ(L)が100〜2000μmであり、その勾配が500≦L/H≦15000であるうねりを有することである。0.03μm未満の高さ、2000μmを超える主ピッチ、又は15000を超える勾配(L/H)のうねりを持つフィルムは,滑り性が乏しく、フィルムの加工が難しくなる。これに対し、微細粒子の大量添加によって滑り性を確保するという考え方もあるが、その場合には、フィルムの表面平滑性が不足して好ましくない。
【0016】一方、0.4μmを超える高さ、100μm未満の主ピッチ、又は500未満の勾配を持つうねりをフィルム表面に導入した場合、このフィルムを磁気記録媒体のベースフィルムとして使用したとき、電磁変換特性が劣るようになる。また、本発明におけるうねりは、0.05〜0.3μmの高さと、200〜1500μmの主ピッチをもつことが好ましく、1000〜10000の勾配(L/H)をもつうねりが一層好ましい。このように,100μm以上の長周期でかつ特定の緩やかな勾配のうねりをフィルム表面に導入することにより、電磁変換特性に全く悪影響を与えることなくフィルムの走行性を飛躍的に改善できる。
【0017】本発明は、好ましくは平均厚みが約2〜10μmの薄いフィルムに適用できるが、厚みバラツキのパターンにも特徴を持たせるのがより好ましい。即ち、平均厚みに対する厚みバラツキの比及び幅方向の厚みバラツキと長さ方向のそれの比を特定の範囲に設定することが好ましい。
【0018】平均厚みに対する厚みバラツキの比が1〜8%であることが好ましく、より好ましくは、この比は1〜5%である。この比が8%を超えると、ロール状に捲上げたフィルムの捲姿が悪くなり、ロールからの解除そのものや解除後のフィルムの加工性が悪くなるばかりでなく、フィルムの見かけの摩擦係数が大きくなって走行性が悪くなることがわかった。換言すれば、この比を8%以下、好ましくは5%以下にすることによりフィルムの走行性を改善できる。また、この比が1%未満になると、ロール状フィルムを解除するとき静電気の発生しやすいことが見出された。
【0019】フィルムの厚みばらつきについては、一般に、フィルムが塑性変形を起こす条件を含む製膜段階の工程、例えば、ダイからの吐出、ダイから金属ロール・エンドレスベルトへの受け渡し、ドラフト付与、ロール間またはベルトからロールへの受け渡し、延伸、熱処理などの工程において、幅方向のクリアランス、温度、応力、濃度などのバラツキが幅方向の厚みバラツキを生成し、時間的変動が長さ方向の厚みバラツキを生成する。従って、これらの製膜要因及びそのバラツキの制御によって前記の厚みバラツキ比を得ることが出来る。
【0020】本発明フィルムの動的弾性率は、10〜25GPaであることが好ましい。動的弾性率が10GPa未満のフィルムは、もはや高剛性フィルムという範疇のフィルムでなくなり、薄膜の高密度磁気記録媒体を作ることが出来なくなる。一方、動的弾性率が25GPaを超えるアラミドフィルムは、裂け易く且つ脆くなりフィルムとしての有用性が少なくなってしまう。高い動的弾性率のフィルムは、分子構造的にパラ配向成分を多くすること、製造時に相対的に高い延伸倍率を適用して、分子鎖を高配向化することで実現できる。
【0021】本発明のフィルムは、25℃におけるtan−δに対する100℃におけるtan−δの比(以下、tan−δ比という)が0.3〜2.0の範囲にあることが肝要であり、好ましくは0.5〜1.5の範囲である。このtan−δ比が0.3未満になったり、2.0を超えると、そのフィルムをベースにした磁気テープの耐久性が、特に高負荷のかかる磁気記録システムに使用した場合に、顕著に低下することがわかった。その理由は必ずしも明確ではないが、高負荷のためベースフィルムに磁気ヘッドやガイドとの摩擦熱が局部的に発生し、ベースフィルムの変形、それに誘起されるテープやフィルム表面特性の変化が発生するためと推定される。
【0022】このtan−δ比を本発明の規定範囲内にする方法としては、フィルム製造工程において、約250℃以上の温度で緊張熱処理して一旦実質的に水分を含まない状態にした後、約0.4〜3.0%に吸湿させた状態で200℃以上の温度にて弛緩熱処理する方法が挙げられる。本発明のフィルムは、0.01〜5重量%、好ましくは、0.03〜3重量%の微細粒子を含有する。この微細粒子は、フィルム同志の滑り性を良くしたり、ブロッキング現象を防ぐために含有させるものであるが、この含有量が5重量%を超えると、フィルムの滑り性が良いもののフィルムの表面突起が多くなって平滑性が損なわれる。本発明は微細粒子の添加量が少ない場合にその特徴が顕著に発揮される。
【0023】この微細粒子は、通常、単粒子の大きさが1〜500nmの範囲のものから選んで用いられる。また、この微細粒子は、フィルムの厚さ方向に均一に含有されているか、または、不均一であっても、少なくとも一方の面とその近傍に含有されていればよい。
【0024】本発明のフィルムにおいて、微細粒子が20〜100%の単分散率で存在することは、高密度記録の磁気記録媒体のベースフィルムとして用いる場合に非常に重要な要件となる。何故なら、このように単分散率を大きくすると、フィルム表面の微細突起を多く、かつ粗大突起を少なくでき、高密度記録に好適でしかも滑り性が良好になるからである。また、本発明のフィルムは、した特異的な粘弾性と相まって、単分散率が大きいにも拘わらず、微細粒子とポリマーとの密着性が良好で、磁気記録媒体として高負荷で使用しても微細粒子の脱落が非常に少なく、耐久性に優れていることが判明した。
【0025】本発明のフィルムにおいて、微細粒子の単分散率は、好ましくは、30%以上である。このような高い単分散率を実現する方法としては、例えば、表面電位(ゼータ電位)の絶対値が実質的にゼロでない微細粒子と溶剤の組み合わせにする方法、微細粒子の表面を化学的に修飾する方法、超音波等の有効な撹拌を微細粒子に付与する方法、微細粒子の凝集促進効果を有する多価イオンを溶剤や原液系から徹底排除する方法、微細粒子の凝集物を濾過する方法等またはこれらを適宜組み合わせる方法が挙げられる。
【0026】本発明のフィルムの重金属含有率は極めて少ないレベル、即ち、0.001〜10ppmであることが必要である。この重金属含有率は、好ましくは、0.001〜1ppmである。本発明に言う重金属とは、原子量45以上の金属原子を指すが、この重金属含有率が多いと、磁気記録媒体が腐食し易く耐久性に欠けるほか、微細粒子の単分散率を低下させる傾向があり、好ましくない。重金属含有率を本発明の低いレベルにする方法としては、溶剤や原料を高純度にすること、十分な耐食性を有する装置材料を使用すること、製膜後の洗浄を高純度の水で徹底して行うこと等が挙げられる。
【0027】本発明のフィルムは、前述の微細粒子の含有率や単分散率と関連して、その少なくとも一方の面に、(a)0.27μm以上0.54μm未満の高さの突起を0〜5個/cm2、(b)0.54μm以上0.81μm未満の高さの突起を0〜2個/10cm2、及び(c)0.81μm以上の高さの突起を0〜0.5個/100cm2、有していることが好ましい。さらに好ましくは、フィルム中に0.54μm以上の高さの突起が0個である。上記の高さの突起が上記の個数を超えて存在すると、磁気テープとした場合、出力の低下、ドロップアウトの増加、ノイズの増加などの電磁変換特性の低下という好ましくない現象を引き起こす。
【0028】本発明のフィルムは、望ましくは、表面に微細な適度の凹凸を有している。この凹凸を中心面平均粗さ(SRa)で表すと、0.0002〜0.01μmである。本発明の技術は、好ましくは,吸湿膨張係数が100ppm/%RH以下のフィルムに適用される。この吸湿膨張係数が100ppm/%RHを超えるフィルムは、湿度寸法安定性が実用に耐えがたいレベルになるからであり、より好ましくは、50ppm/%RH以下のフィルムに適用される。
【0029】本発明は、フィルムの物性がフィルム面内の全方向に一定のいわゆるバランスタイプには勿論のこと、長さ方向または幅方向に強化されたテンシライズドタイプにも適用することができる。
【0030】また、本発明のフィルムは、5〜100%の伸度を有することが好ましい。伸度が5%未満のフィルムは脆いことがおうおうにして見られるからである。一方、伸度は一般に大きい方が望ましいが、実際的には100%程度が上限になる。また、ポリマーの種類、重合度や延伸配向度、結晶化度等の調整によって上記伸度を達成できる。
【0031】本発明のフィルムとしては、金属鏡面との動摩擦係数が0.02〜0.4の範囲にあることが好ましく、これが0.02〜0.3であればさらに好ましい。この摩擦係数が小さすぎると加工工程での取扱が不安定になり、逆に大きすぎると加工工程でのしわ・歪の発生や傷つきが多くなるからである。本発明において、前記した特定のうねりの存在が摩擦係数の低減化に役立っていることが判明した。摩擦係数の調整は、フィルムに特定の厚みバラツキを導入すること、または微細粒子の添加量、種類、粒度、分散率等の選択によっても達成できる。本発明のフィルムは、特に、微細粒子の添加量を少なくして、例えば、0.1重量%以下にして、フィルムの表面平滑性を向上させた場合にも、加工しやすい摩擦係数をもっているという特徴がある。
【0032】本発明のフィルムを製造する方法としては、基本的には用いるポリマーに適した製造法が採用できるが、本発明の特徴である、独特の表面うねり、特定の動的粘弾性特性、低い重金属含有率、及び微細粒子の高い単分散率を実現させるためには、それに対応する工夫が必要である。以下、本発明のフィルムの製造方法について説明する。
【0033】本発明に用いるアラミドについて、有機溶剤可溶のものでは、直接溶剤中で重合するか、一旦ポリマーを単離した後再溶解するなどして溶液とし、ついで乾式法または湿式法にて製膜する。また、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)等の有機溶剤に難溶のものについては、濃硫酸などに溶解して溶液とし、ついで乾式法または湿式法にて製膜する。
【0034】乾式法では、溶液はダイから押し出し、金属ドラムやエンドレスベルトなどの支持体上にキャストし、キャストされた溶液が自己支持性あるフィルムを形成するまで乾燥を進める。湿式法では、溶液をダイから直接凝固液中に押し出すか、乾式と同様に金属ドラムまたはエンドレスベルト上にキャストした後、必要ならば溶剤の除去を一部行った後、凝固液中に導き、凝固させる。
【0035】本発明のフィルム製造に用いられる製膜設備は、耐食性の金属材料、高分子材料等で作られる。次いで、これらのフィルムはフィルム中の溶剤や無機塩などを洗浄し、延伸、乾燥、熱処理などの処理をする。
【0036】上記の何れの製膜方法においても、製膜後のフィルムが、本発明の特徴の一つである独特のうねりを有するようにする。このような独特のうねりをもったフィルムは、従来知られていない特殊な製膜条件の組合せのもとで初めて実現されるものである。そのような特殊な製膜方法の一つとして、比較的広い分子量分布(数平均分子量に対する重量平均分子量の比で表して2.0以上)をもったポリマーを用いて、約1000秒-1以上の高せん断速度でダイから吐出し、1.5以上のドラフト(ダイからの押出速度に対するフィルムの引取速度の比)で製膜する方法を挙げることができる。ここで、ドラフトとは、ダイからの押出速度に対するフィルムの引取り速度即ち金属ドラムやエンドレスベルトの走行速度の比のことである。
【0037】また、フィルムのtan−δ比を本発明の規定範囲内にするためには、フィルム製造工程、特に熱処理工程において特別の方法を採ることが必要なことがわかった。このような特別な方法の一つとして、約250℃以上の温度で緊張熱処理して一旦実質的に水分を含まない状態にした後、約0.5〜3%に吸湿させた状態で200℃以上の温度にて弛緩熱処理する方法を挙げることができる。
【0038】フィルム同志の滑り性を良くしたり、ブロッキング現象を防ぐために、フィルムに微細粒子(易滑剤とも称する)を混在させる方法を用いる。このような微細粒子としては、有機化合物、無機化合物があるが、通常は、例えば、SiO2、TiO2、ZnO、Al23、CaSO4、BaSO4、CaCO3、カーボンブラック、ゼオライトなどの無機化合物が用いられる。この微細粒子の大きさは1〜500nm、添加量は0.01〜5重量%の範囲で選ばれる。即ち、アラミドの溶液中に、上記微細粒子を混入し、この溶液を製膜することにより製造する。この際、微細粒子の分散を良くするために、超音波方式や撹拌方式のホモジナイザーが好ましく用いられ、溶液中に多価イオンが可及的に少なく存在するするようにして微細粒子の凝集傾向を抑制するとともに、分散しきれなかった(凝集した)微細粒子は濾過にて除去するのが好ましい。
【0039】次に、本発明のアラミドフィルムを用いた磁気記録媒体の代表例である磁気テープの製造方法について説明する。磁気テープ用のベースフィルムとして用いる場合には、フィルムの片面に磁性層が形成される。
【0040】磁気テープの磁性層形成法としては、酸化鉄、酸化クロム、バリウムフェライト、金属鉄、鉄−コバルト合金ほかの強磁性粉を各種バインダーに分散した磁性材料塗料を、フィルム上にグラビアコータ、マイクログラビアコータ、ダイコータ等によりフィルムに塗工する方法、上記強磁性金属を、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の気相析出法により金属薄膜として積層する方法等がある。塗工法においては、チクソ粘性を持った非磁性層塗料の上に磁性層塗料を同時に重ねて塗工する重層塗工法も、磁性層の厚みを薄くできるため高周波出力を高められ、好ましく行われてよい。
【0041】磁性層を形成した後、磁性層を形成した裏面に走行性を向上させる等の理由で、公知の組成のバックコート層を公知の方法で形成することも好ましい。このようにして磁性層が形成されたフィルムを所定の幅にスリットし、必要であればカセットに収納し、磁気テープとして使用する。また、本発明のフィルムは、昇華型ビデオプリンターのインクリボンのベースフィルム、電気絶縁基板などにも採用可能である。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明の実施形態の具体例を示す。本発明の特性値の測定法は次の通りである。
(1)フィルムの厚み、厚みバラツキの測定法フィルムの厚みは、デジタル電子マイクロメータ(アンリツ株式会社製K351C型)により直径2mmの測定子を用いてフィルムの全幅及びそれと同じ長さのサンプルにつきそれぞれ5等分した線分に沿ってそれぞれの方向に厚みを測定し、フィルムの平均厚みは全測定値の平均値で、厚みバラツキは全測定値中の最大値と最小値の差で表す。
(2)フィルムの強度、伸度の測定法強度、伸度は、定速伸長型強伸度測定機を用い、測定長100mm、引っ張り速度50mm/分で測定したものである。
(3)表面うねりの測定法ZYGO社のNewView100型表面粗さ測定装置を用い、対物レンズ倍率2.5倍、カメラ分解能8.8μm、カットオフ5mmにてフィルムの任意の3点につき測定したP−V値で高さ(H)を、中心線のうねりのフーリエ変換解析による主波長で主ピッチ(L)を表す。
【0043】(4)中心面平均粗さ(SRa)の測定法SRaの定義は、例えば奈良治郎著「表面粗さの測定、評価法」(総合技術センター、1983)に示されているもので、干渉位相差顕微鏡の干渉像を計算処理して得る方法を用いた。即ち、ZYGO社のNew View 100型表面粗さ測定装置を用い、対物レンズ倍率40倍、カメラ分解能550μm、カットオフ25μmにて、フィルムの任意の3点につきSRaを測定しその平均で表した。
(5)動的粘弾性の測定法フィルムから幅4mm、長さ4cmの試料片を切り出し、ORIENTEC社の動的粘弾性測定装置「レオバイブロン DDV−01FP」に、静荷重10gfでセットし、25℃から400℃まで2℃/分で昇温させつつ16μmの振幅、110Hzの周波数の条件下に、動的弾性率及びtan−δを測定した。tan−δ比は25℃のtan−δと100℃のtan−δとから算出した。
(6)フィルム面方向の吸湿膨張係数の測定法熱力学特性測定機(TMA、真空理工株式会社製TM7000型)に幅5mmのサンプルを取り付け、荷重0.3g下で、一旦300℃まで昇温してサンプルの残留歪を除去した後、乾燥窒素気流下に冷却し、23℃において、乾燥窒素と空気との間の湿度変化及びフィルムの寸法変化を測定し、計算にて求めた。
(7)動摩擦係数の測定法金属鏡面として、鏡面に研磨されたステンレス製の固定ロール(直径60mm)に、90゜の抱角になるように、幅1cmのフィルムの一端に50gの荷重をかけ、他端を20cm/分の速度で引っ張り、この時のフィルムの引張張力から、オイラーの式を用いて算出した。
【0044】(8)表面の粗大突起の測定法フィルムの表面に20nmの厚みにアルミニウムを均一に蒸着し、波長0.546μmのハロゲン単色光を用いて、光多重干渉顕微鏡にて200倍の倍率で任意の3cm四方のフィルム面を観察し、突起物に対して生じる干渉縞が1個のものを0.27μm以上0.54μm未満の高さの突起、干渉縞が2個のものを0.54μm以上0.81μm未満の高さの突起、干渉縞が3個以上のものを0.81μm以上の高さの突起として数え、10回の平均値で表す。
(9)重金属含有率フィルム0.5gを白金坩堝に精秤し、550℃以上の温度で灰化させ、この灰分を硝酸及びフッ化水素酸で溶解した後希硝酸で定容とし、この定容液中の重金属について、それぞれの原子吸光分析法により定量した。なお、単位ppmはμg/gである。
(10)微細粒子の単分散率フィルム表面を約50nmの深さに電子線を用いて削り、次いで表面走査型電子顕微鏡(SEM)で写真観察して、粒子観察する。この測定において、一視野における二次粒子(単一粒子を含む)の総個数をA、このうち単一粒子の個数をBとしたとき、(B/A)で定義し、10視野の平均値で求める。
(11)磁気テープの電磁変換特性の測定法JIS X 6129−1993に準じて、短波長での特性を把握するために、出力測定は4499.8ftpmmに、ミッシングパルスゾーン測定は記録周波数を9MHz及び12MHzにそれぞれJISの規格を変更して、測定した。
【0045】
【実施例1】ゲル透過クロマトグラフで測定した数平均分子量に対する重量平均分子量の比が3.1であるポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)を、99.8%濃硫酸(金属分含有率3.2ppm)に、ポリマー濃度が12%になるように溶解し、ダイから19000秒-1のせん断速度で吐出して2.4のドラフトがかかるようにタンタル製エンドレスベルト上にキャストした。濃硫酸には、予め40nmのコロイド状シリカ粒子をPPTAに対し0.4重量%となるように超音波撹拌機により分散させておいた。ベルト上で加熱と同時に吸湿処理して、ドープを液晶相から等方相に相転換した後、0℃の15%硫酸(重金属含有率1ppm以下)中にて凝固させ、中和、水洗し、長さ方向に1.05倍の延伸を施した後、クリップテンターにより1.1倍に横延伸し次に定長状態を保ちつつ150℃で熱風乾燥し、次いで400℃で緊張熱処理した後、110℃で未飽和蒸気による急速加湿により約0.7%の水分率にフィルムを加湿し、最後に210℃にて弛緩熱処理をして、ロール状に捲き上げた。
【0046】幅600mmで得られたロール状の平均厚み4.5μmのPPTAフィルムは、長尺方向、幅方向に物性差は殆ど無く、その特性値は表1に示す通りだった。得られたフィルムを用いて、メタルパウダーを磁性層とする磁気テープを試作し、DVC−PRO規格のカートリッジに組込んで磁気特性を測定したところ、市販のDVC−PRO規格テープ対比で出力104%、ミッシングパルスゾーン80%と優れたものであった。また、DVC−PROシステムに組み込んでの走行テストを延べ100時間に亘って行ったが、テープの変形は全くなく、磁気特性の低下も見られなかった。
【0047】
【比較例1】重金属含有率22ppmの濃硫酸を用いた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し、PPTAフィルムを捲上げた。得られたフィルムの特性を表1に示すが、重金属含有率が大きく、かつシリカ微細粒子の単分散率が低く、本発明で規定される範囲外のフィルムであった。得られたフィルムを用いて、実施例1と同様にDVC−PRO規格の磁気テープを試作した。ミッシングパルスゾーンが市販テープ比140%と大きく、性能的に劣るものであった。
【0048】
【比較例2】重金属含有率9ppmの濃硫酸と80nmのシリカ微細粒子を用い、超音波撹拌機の使用を中止した以外は、実施例1と同じ方法でフィルムを製造した。得られたフィルムの特性値を表1に示すが、シリカ微細粒子の単分散率が本発明の規定範囲外であった。得られたフィルムを用いて、実施例1と同様にDVC−PRO規格の磁気テープを試作した。この磁気テープについては、その磁気特性は、市販テープ対比で出力102%と問題なかったが、ミッシングパルスゾーンが市販テープ比125%と大きく、性能的に劣るものであった。
【0049】
【実施例2】数平均分子量に対する重量平均分子量の比が3.4のポリパラフェニレン−2−クロロテレフタルアミド(PPClTA)をポリマー濃度が13重量%になるように重金属含有率2.1ppmの99.9%濃硫酸に溶解し、ダイから80000秒-1のせん断速度で吐出して、ドラフト2.1でタンタルエンドレスベルト上にキャストした。濃硫酸には、予め30nmの酸化チタン微細粒子をPPClTAに対し0.2重量%となるように超音波分散機により分散させておいた。次いで、下記に示す熱処理に関する部分を除き、実施例1と同様の操作を加えてフィルムをつくり、ロール状に捲上げた。
(熱処理)320℃で緊張熱処理した後、110℃の未飽和蒸気による急速加湿で約0.5%の吸湿率にフィルムを加湿し、最後に220℃で弛緩熱処理した。
【0050】得られたフィルムは縦横の物性のバランスしたフィルムであり、その特性値は表2に示す通りであった。このフィルムから実施例1と同様にして、DVC−PRO規格を準用した磁気テープを試作した。この磁気テープについては、フィルム及びテープが規格より薄いにもかかわらず、磁気特性に問題がなく、耐久性も実施例1と同じテストでテープの変形や磁気特性の低下が見られず良好であった。
【0051】
【比較例3】緊張熱処理後の加湿処理のみを止めて、実質的に水分が検出されない状態のまま220℃の弛緩熱処理を実施した以外は、実施例2と同じ方法でフィルムを製造した。得られたフィルムは、tan−δ比が本発明の規定範囲外のものであった。このtan−δ比を含む特性値を表2に示す。このフィルムから実施例2と同様にして、テープの試作、テストを行った。この磁気テープについては、初期の磁気特性は全く問題なかったが、走行を繰り返すと磁気特性が徐々に低下して、耐久性に欠けるものであった。
【0052】
【比較例4】ドラフトを3.6にしてそれに関連した条件のみ変更した以外は、実施例2と同じ方法でフィルムを製造した。得られたフィルムの特性を表2に示すが、表面うねりが大きく本発明の規定範囲外であった。このフィルムから実施例2と同様にして、磁気テープを試作した。この磁気テープはミッシングパルスゾーンが大きく、実用的でなかった。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【発明の効果】本発明のフィルムは、従来の耐熱性フィルムでは実現できなかった効果、即ち、本発明のフィルムをベースフィルムとして用いることによって、磁気テープや磁気ディスク等の磁気記録媒体に、優れた電磁変換特性と良好な耐久性とを兼備させることができるという効果を有する。また、本発明のフィルムを用いて磁気記録媒体に加工する際の加工性、取扱性にも優れている。従って、本発明のフィルムは、磁気記録媒体のベースフィルムとして極めて有用である。




 

 


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