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接着方法及び該接着方法を用いたテニスラケット - 住友ゴム工業株式会社
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発明の名称 接着方法及び該接着方法を用いたテニスラケット
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−279194(P2001−279194A)
公開日 平成13年10月10日(2001.10.10)
出願番号 特願2000−96551(P2000−96551)
出願日 平成12年3月31日(2000.3.31)
代理人 【識別番号】100072660
【弁理士】
【氏名又は名称】大和田 和美
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
4J040
【Fターム(参考)】
4F071 AA14 AA22 AA42 AA42B AA78 AA78A AD01 AD01B AH19 CB01 CC06 CD02 CD07 
4F100 AD11 AK03A AK12A AK53B AK70G AL09A BA02 CB00 DG01B DH01 DH02B EC18 EC182 EH012 EJ082 EJ422 GB87 JB16A JH02 JK06 JL03 JL11
4J040 DA071 DA171 GA07 JB01 LA06 LA08 MA10 MA12 NA05
発明者 金光 由実
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 ポリオレフィン系またはポリスチレン系の熱可塑性エラストマーと、マトリクス樹脂がエポキシ樹脂からなる繊維強化プラスチックを、溶融したアイオノマー樹脂によって接着している接着方法。
【請求項2】 上記繊維強化プラスチックにおけるマトリクス樹脂の硬化反応と、上記アイオノマー樹脂を介して上記熱可塑性エラストマーと繊維強化プラスチックを接着させる工程を同時に行っている請求項1に記載の接着方法。
【請求項3】 上記アイオノマー樹脂のカルボン酸基を繊維強化プラスチックのエポキシ樹脂と反応させて結合させている請求項2に記載の接着方法。
【請求項4】 ポリオレフィン系またはポリスチレン系の熱可塑性エラストマーと、マトリクス樹脂がエポキシ樹脂からなる繊維強化プラスチックを、アイオノマー樹脂によって接着している接着構造。
【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法により、繊維強化プラスチックよりなるラケットフレームに、熱可塑性エラストマーを接着しているこをと特徴とするテニスラケット。
【請求項6】 上記熱可塑性エラストマーからなる粘弾性材に質量付加材を固着し、これら粘弾性材と質量付加材とで、ボール衝突時の振動と共振する振動抑止材を設けている請求項5に記載のテニスラケット。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は接着構造、接着方法および該接着方法を用いたテニスラケットに関し、特に、テニスラケットフレームに振動抑止材として取り付ける弾性材の接着性を改良するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、テニスラケットにおいて、打撃時にプレーヤーの手に加わる衝撃と振動の抑制を目的に、ゴムや樹脂からなる弾性材を取り付ける場合がある。例えば、ラケットフレームのグリップ部に樹脂製の筒部を外嵌してプレーヤーに伝わる振動を和らげるもの、あるいは、グリップエンドやガット張架部に衝撃や振動を軽減するダンパーをゴムを介して取り付けるもの等が提案されている。
【0003】また、本出願人も特願平10−340836号において、図6(A)に示すように、ラケットフレーム21に振動抑止材22を取り付けたテニスラケット20を提案している。上記振動抑止材22は、図6(B)に示すように質量付加材23と粘弾性材24(24a〜24d)とからなる。質量付加材23は断面コ字状または折り曲げた形状をしており、ラケットフレーム21のガット張架部21aの外面側に粘弾性材24(24a〜24d)を介して取り付けている。該粘弾性材24(24a〜24d)はエポキシ樹脂繊維強化プラスチックからなるラケットフレーム21と接着剤を用いて固着している。
【0004】上記振動抑止材の粘弾性材は振動吸収性の良い熱可塑性のナイロン樹脂やウレタン樹脂により作られている。これらの樹脂はアミド基やケトン基、アミノ基をもつ高分子であるために、シアノ系、ウレタン系やエポキシ系の接着剤により容易にエポキシ樹脂との接着が可能である。
【0005】テニスラケットにおいて、ラケット重量はプレーヤーがラケット使用時に簡単に確認できる特性であり、近年、女性、高齢者等の比較的非力なプレーヤーが軽量ラケットを好む傾向にある。それ故、振動抑止材をラケットに取り付ける場合、軽量化や使用時に邪魔にならないことを考慮して、出来るだけ小さい形にする事が好ましい。そのためには、粘弾性材の部分を薄くして質量付加材の比重を大きくする必要がある。
【0006】更に、粘弾性材はできるだけ軟らかい素材にする方が、少量の質量付加材により振動抑止材が振動しやすく、つまりは共振させるラケットの振動数に合わせやすいため振動抑止効果が高い。従来、粘弾性材として用いられている前記ナイロン樹脂やウレタン樹脂は比較的軟らかいものの、十分な軟らかさを有しておらず、より軟らかい材料が求められている。
【0007】上記した観点より、ナイロン樹脂やウレタン樹脂に替わる粘弾性材として、高弾性、高強度を示す熱可塑性エラストマーが注目されている。熱可塑性であるためプレスやインジェクションで成形が可能であり、ゴムに比べて薬品の計量、練り、加硫といった工程が少なくて済むため成形が容易である。また、ショアJISA、Dレベルの低い硬度であり、耐候性にも優れ、かつ、透明であるため、スポーツ用品として見栄えがよく、カラーリングの自由度も高いといった特性がある。
【0008】この熱可塑性エラストマーの中でもポリスチレン系(TPS)もしくはポリオレフィン系(TPO)の非極性である熱可塑性エラストマーは、ポリエステル系等、他の熱可塑性エラストマーに比べて特に軟らかく、振動抑止材としての効果が高い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記した非極性である熱可塑性エラストマーは、極性基や塗れ性の良い置換基を有しないため、接着剤と化学結合しにくく、接着力が非常に弱く、接着剤による接着では強固に接合することが困難であった。また、熱可塑性エラストマーに接着性を付与する化学薬品(例えば、クロマンインデン樹脂、ロジン等)を混合した場合、熱可塑性エラストマーとの相溶性が悪く、うまく混合できなかったり熱可塑性エラストマー自身の分子構造を壊してしまう恐れがある。そのため、前記テニスラケットにおいて、粘弾性材として非極性である熱可塑性エラストマーを使用した場合、繊維強化エポキシ樹脂からなるラケットフレームと強固に接合できない問題がある。
【0010】このように、振動抑止材に用いる粘弾性材として高弾性の熱可塑性エラストマーを使用すると、十分な振動抑止効果をあげることが出来ると共にラケットの軽量化を図ることができるが、ラケットフレームとの接着が強固に出来ない欠点がある。
【0011】本発明は上記した問題に鑑みてなされたもので、振動抑止材の粘弾性材として好適な熱可塑性エラストマーと、ラケットフレームを構成する繊維強化プラスチックとを強固に接着できるようにすることを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、第1に、ポリオレフィン系またはポリスチレン系の熱可塑性エラストマーと、マトリクス樹脂がエポキシ樹脂からなる繊維強化プラスチックを、溶融したアイオノマー樹脂によって接着している接着方法を提供している。
【0013】上記本発明の接着方法では、従来用いているエポキシ系接着剤は使用せず、接着剤としてアイオノマー樹脂を用いている。アイオノマー樹脂はポリエチレンが主鎖のポリマーであり、オレフィン系やスチレン系の熱可塑性エラストマーと相溶性・密着性がよい。また、常温における挙動は熱硬化性樹脂に近いが、加温下に応力を与えると流動が可能となり、熱可塑性樹脂のような挙動を示す。そのため、熱可塑性エラストマーと熱融着させたり、ホットメルト接着させることができる。
【0014】さらに、アイオノマー樹脂は、極性の高い高分子鎖を金属イオンで結合しているため、極性の高い被着体によく接着する。また、カルボン酸基の側鎖があり、エポキシ樹脂との接着性もよいため、マトリクス樹脂がエポキシ樹脂からなる繊維強化プラスチックとも接着可能である。
【0015】熱可塑性エラストマーが変形したり、流動したりする温度は110℃以上であり、アイオノマー樹脂の融点は50〜100℃である。また、エポキシ樹脂の硬化温度は通常150〜200℃であるため、硬化後のエポキシ樹脂及びその繊維強化プラスチックが100℃以下で変形することはない。よって、硬化後のエポキシ樹脂と熱可塑性エラストマーを100℃で溶融したアイオノマー樹脂とホットメルト接着することができる。
【0016】また、金型内にアイオノマー樹脂を挟んで熱可塑性エラストマーとエポキシ樹脂の繊維強化プラスチックを充填し、100℃に昇温してもアイオノマー樹脂のみが溶融し、繊維強化プラスチックと熱可塑性エラストマーが溶融したり流動することなく両者に接着することができる。
【0017】さらに、上記繊維強化プラスチックにおけるマトリクス樹脂の硬化反応と、上記アイオノマー樹脂を介して上記熱可塑性エラストマーと該繊維強化プラスチックを接着させる工程を同時に行ってもよい。
【0018】上記接着方法では、未硬化のエポキシ樹脂の繊維強化プラスチックと熱可塑性エラストマー及びアイオノマー樹脂を一緒に金型内に充填した後、昇温し、エポキシ樹脂を硬化させる工程とアイオノマー樹脂の溶融を同時に行うことで、工程を削減できる。
【0019】上記熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂の繊維強化プラスチック、アイオノマー樹脂を一緒に金型に充填して、エポキシ樹脂の硬化とアイオノマー樹脂による接着をする場合に、加圧力を0.1MPa以上1MPa以下とすることが好ましい。これは、熱可塑性エラストマーは非常に軟らかいため、加圧力が1MPaを超えると、熱可塑性エラストマーや未硬化のエポキシ樹脂の繊維強化プラスチックが変形して硬化してしまう恐れがあり、逆に0.1MPa未満では、繊維強化プラスチックとアイオノマー樹脂との間に隙間ができて接着力が弱くなることに因る。
【0020】さらに、上記接着工程において、未硬化の繊維強化プラスチックとアイオノマー樹脂を接触させて加熱すると、アイオノマー樹脂中のカルボン酸基とエポキシ樹脂が反応して化学的に結合するため、より強固に接着することができる。
【0021】上記粘弾性材として用いる熱可塑性エラストマーとしては、クラレ株式会社製のセプトン、日本ゼオン株式会社製のクインタック(TPO)、住友化学工業株式会社製の住友TPE(TPO)、旭化成工業株式会社製のタフテック(TPO)、三菱化学株式会社製のサーモラン(TPO)ラバロン(TPS)、住友ベークライト株式会社製のスミフレックス、モルデックス、スパイダックス、スミコンRM(TPO)、アロン化成株式会社製のエラストマーAR、クレイトンD、クレイトン(TPS)等が挙げられる。
【0022】上記接着剤として用いるアイオノマー樹脂としては、三井デュポンケミカル(株)製のハイミラン1555(Na)、ハイミラン1557(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM7318(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミランAM7315(Zn)、ハイミランAM7317(Zn)、ハイミラン7311(Mg)、ハイミランMK7320(K)、ハイミラン1856(Na)、ハイミラン1855(Zn)、ハイミランAM7316(Zn)などがある。さらにデュポン社製のサーリン8945(Na)、サーリン8940(Na)、サーリン9910(Zn)、サーリン9945(Zn)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)、サーリンAD8265(Na)、サーリンAD8269(Na)等が挙げられる。
【0023】本発明は、第2に、ポリオレフィン系またはポリスチレン系の熱可塑性エラストマーと、マトリクス樹脂がエポキシ樹脂からなる繊維強化プラスチックを、アイオノマー樹脂によって接着している接着構造を提供している。該接着構造は前記した接着方法等により接着されたものであり、ポリオレフィン系またはポリスチレン系の熱可塑性エラストマーと、マトリクス樹脂がエポキシ樹脂からなる繊維強化プラスチックが強固に接着されている。
【0024】本発明は、第3に、上記接着方法により、繊維強化プラスチックよりなるラケットフレームに、熱可塑性エラストマーを接着しているこをと特徴とするテニスラケットを提供している。より具体的には、上記熱可塑性エラストマーからなる粘弾性材に質量付加材を固着し、これら粘弾性材と質量付加材とで、ボール衝突時の振動と共振する振動抑止材を設け、該振動抑止材の粘弾性材となる熱可塑性エラストマーをエポキシ樹脂の繊維強化プラスチックからなるラケットフレームにアイオノマー樹脂を介して接着している。
【0025】このように、上記アイオノマー樹脂からなる接着剤を用いることで、振動抑止材の粘弾性材として、軟らかいポリスチレン系もしくはポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーを用いることができ、よって、質量付加材を小さくできるため、振動抑止材を小型化できる。その結果、軽量化を阻害することなく振動抑止材をラケットフレームに取り付けて、打撃時の振動抑制を図ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態を示し、繊維強化プラスチックからなる板1と熱可塑性エラストマーからなるシート3をアイオノマー樹脂2で接着させたものである。板1はマトリクス樹脂がエポキシ樹脂からなる繊維強化プラスチックであり、シート3はポリオレフィン系またはポリスチレン系の熱可塑性エラストマーからなる。
【0027】上記板1とシート3との接着方法は、第1の方法では、板1の上面に、溶融したアイオノマー樹脂2を塗布し、その上からシート3を重ね合わせて接着している。なお、板1は接着面を粗面化させておくことが好ましい。
【0028】上記板1とシート3との第2の接着方法では、金型内にフィルム状のアイオノマー樹脂を挟んで熱可塑性エラストマーのシートとエポキシ樹脂の繊維強化プラスチックからなる板を充填し、100℃に昇温して、アイオノマー樹脂のフィルムのみを溶融させ、繊維強化プラスチックの板と熱可塑性エラストマーのシートとを接着している。
【0029】さらに、上記板1とシート3との第3の接着方法では、未硬化のエポキシ樹脂の繊維強化プラスチックであるプリプレグを板状に積層したものと熱可塑性エラストマーのシート及びアイオノマー樹脂のフィルムを一緒に金型内に充填した後、昇温し、エポキシ樹脂を硬化させて板1を成形すると同時にアイオノマー樹脂を溶融させて、板とシートとを接着させている。この場合、加圧力を0.1MPa以上1MPa以下としている。この接着方法によると、アイオノマー樹脂中のカルボン酸基とエポキシ樹脂が反応して化学的に結合する。
【0030】以下の工程によって、接着強度を評価するための剥離試験用サンプルとして実施例1、2および比較例1を作製した。
【0031】(実施例1)上記第1の接着方法により板1とシート3とを接着した。即ち、東レ(株)製のエポキシ樹脂含浸カーボンファイバープリプレグ(T800:P2053−122)を用い、長さ60mm×幅25mmにしたエポキシ樹脂含浸カーボンファイバープリプレグシート20枚を重ね合わせた。繊維方向は長さ方向で0度と90度が交互になるようにした。これを150℃で1時間プレスしてエポキシ樹脂を硬化させた。こうして約2mmのエポキシ樹脂をマトリクス樹脂とする繊維強化プラスチック製の板を作成した。この板には、熱可塑性エラストマーと接着させる面をサンドブラストした。
【0032】熱可塑性エラストマーとしてクラレ(株)製セプトン2063(ポリスチレン系熱可塑性エラストマー)を用い、200℃の金型でプレスし、長さ120mm×幅25mm×厚み2mmからなる熱可塑性エラストマー製のシートを作成した。
【0033】アイオノマー樹脂として、三井・デュポンポリケミカル(株)製のハイミラン1702を用いた。100℃で溶融したアイオノマー樹脂を、上記方法により作成した繊維強化プラスチック製の板1の端からの長さが15mm〜45mmの部分に、厚さ約0.1mmになるように塗りつける。すぐに熱可塑性エラストマーのシートを繊維強化プラスチック板と端部を合わせて載せ、プレス圧0.5MPaで密着させ、接着した。接着部分は長さ30mm、幅25mmである。このとき、繊維強化プラスチック製の板1と熱可塑性エラストマーのシート3は100℃に保温した。100℃で3分間保持後、50℃以下まで冷却し、サンプル取り出した。
【0034】(実施例2)上記第3の方法で板1とシート3とを接着した。即ち、実施例1と同様の方法で、長さ60mm×幅25mmにしたエポキシ樹脂含浸カーボンファイバープリプレグシート20枚を重ね合わせ、繊維方向は長さ方向で0度と90度が交互になるようにした。また、実施例1と同じくアイオノマー樹脂として、三井・デュポンポリケミカル(株)製のハイミラン1702を用い、100℃でプレスして、約0.1mmの厚みのシートを作成した。このアイオノマーシートを長さ30mm×幅25mmの大きさにカットし、未硬化のエポキシ樹脂繊維強化プラスチック層の端からの長さが15mm〜45mmの部分に載せた。さらに、実施例1と同様の方法で作成した熱可塑性エラストマーからなるシートを未硬化のエポキシ樹脂繊維強化プラスチック層と端を合わせて、アイオノマーシートの上に重ねた。
【0035】この重ね合わせたシートを、エポキシ樹脂繊維強化プラスチック層の厚みが1.8mmになるように設計した金型のキャビティの中に充填し、プレス圧が1MPaになるように調整し、150℃で1時間プレスし、エポキシ樹脂繊維強化プラスチックの硬化反応とアイオノマー樹脂の溶融を同時に行い接着した。その後、50℃以下まで冷却し、金型からサンプルを取り出した。
【0036】(比較例1)実施例1と同様の方法で、繊維強化プラスチックの板と熱可塑性エラストマーからなるシートを作成する。住友3M(株)製のエポキシ系接着剤DP100Plusクリアーを繊維強化プラスチックの板の端からの長さが15mm〜45mmの部分に、厚みが約0.1mmになるように塗りつけて、その上に、熱可塑性エラストマーのシートを繊維強化プラスチックの板と端を合わせて載せ、プレス圧0.5MPaで密着させ、接着した。
【0037】[接着強度評価試験1]上記実施例1、2及び比較例1のサンプルについて、剥離試験をして接着強度の差を評価した。図2(A)に示すように、熱可塑性エラストマーからなるシート3と繊維強化プラスチックの板1の両端がそろっていない側から、シート3を端部3aから75mm離れた位置で垂直に折り曲げた。折り曲げ加工を行ったサンプルの板1の両端部1a、1bを、図2(B)に示す、長さ14mm×幅25mm×厚さ3mmよりなるスリット部41a、41bを両側に有する治具42に差し込んだ。サンプルを治具42にセットした後、シート3の端部3aをチャックして引っ張り、剥離試験を行った、試験速度は50mm/minとし、剥離が始まった時の荷重値を測定した。サンプル数はn=5とし、それらの平均値を求めた試験結果を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】表1の結果より、実施例1、2の方が比較例1よりも剥離時の荷重値が大きな値となり、接着強度が高いことがわかった。特に、アイオノマー樹脂と熱可塑性エラストマーを共に金型に充填し、エポキシ樹脂の硬化反応とアイオノマー樹脂の溶融を同時に行い接着した第3の方法による接着方法(実施例2)は、アイオノマー樹脂とエポキシ樹脂が化学的に強く結合しているために最も強度が高いことが確認できた。
【0040】図3(A)(B)(C)は本発明の第2実施形態を示し、上記第1実施形態の接着構造をテニスラケット10に適用したものである。ラケットフレーム11は、繊維強化プラスチック製の中空形状で、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を用い、強化繊維として炭素繊維を用いている。なお、ラケットフレーム11の組成は上記に限定されない。また、ラケットフレーム11に取り付ける振動抑止材14は、図3(B)に示すように、質量付加材15と粘弾性材16とからなる。質量付加材15は肉厚1mm〜0.3mm(本実施形態では0.5mm)のステンレス等からなる品金属板を断面コ字形状に折り曲げた形状としている。粘弾性材16は熱可塑性エラストマーにより作製し、質量付加材15の内面全体に沿った略立方体形状で、ラケットフレーム11と接着する部分は円弧形状にへこませている。該粘弾性材16と質量付加材15とはアイオノマー樹脂で固着して一体化している。アイオノマー樹脂は金属架橋されているポリマーなので、金属との接着性も良い。
【0041】上記質量付加材15と粘弾性材16とからなる振動抑止材14は、図3(A)(B)に示すように、ラケットフレーム11のガット張架部12の3時と9時(フェース面を時計面と見てヘッド側頂点を12時とした時に位置)の内面側12aにアイオノマー樹脂17を用いて粘弾性材16とラケットフレーム11とを固着して取り付けている。該粘弾性材16と質量付加材15とからなる振動抑止材14には、図3(C)に示すように、ガット孔16a、15aを設けて、ガットを通すようにしている。
【0042】なお、振動抑止材14の取り付け箇所は、ガット張架部12の3時、9時の位置に限定されず、ガット張架部の他の位置、左右スロート部13等でもよく、振動時の振幅の大きい箇所に取り付けられる。また、振動抑止材の取付位置はフレームの内面側に限定されず外面側でもよく、さらに、フレームの外周面に環状に取り付けても良い。また、振動抑止材の構造は、前記図6に開示した構造とし、粘弾性材を分割して質量付加材に固定しておき、これら分解された粘弾性材をラケットフレームにアイオノマー樹脂を介して接着固定してもよい。
【0043】上記第2実施形態では、上記振動抑止材14の熱可塑性エラストマーからなる粘弾性材16と繊維強化プラスチックのラケットフレーム11とは、ラケットフレーム11を作製した後にアイオノマー樹脂を塗布して振動抑止材の粘弾性材を接着する前記第1の接着方法で固着しているが、前記第3の方法を採用してもよい。即ち、マトリクス樹脂がエポキシ樹脂からなる未硬化の繊維強化プラスチックと熱可塑性エラストマー及びアイオノマー樹脂を一緒に金型内に充填して昇温し、エポキシ樹脂を硬化させる工程とアイオノマー樹脂による接着工程とを同時に行っている。この場合、アイオノマー樹脂中のカルボン酸基とエポキシ樹脂を反応させ化学的に結合するため、より強固に接着することができる。
【0044】ラケットフレームに接着する粘弾性材の接着強度を評価するために、下記の実施例3、4と比較例2を作製した。なお、実際のラケットフレームには、粘弾性材を質量付加材と一体化して振動抑止材として接着しているが、この評価試験は熱可塑性エラストマーかなる粘弾性材16のラケットフレーム11に対する接着強度を評価するものであるため、図4(A)(B)に示すように、略立方体形状の粘弾性材16のみをラケットフレーム11の3時の位置に接着固定した。
【0045】(実施例3)ラケットフレームに熱可塑性エラストマーからなる粘弾性材を前記第1の接着方法で固着した。テニスラケットはDUNLOP製ラケットPRO―30 LADYTOURの形状で作製した。まず、エポキシ樹脂繊維強化プラスチックでラケットフレーム11を作成した。該ラケットフレーム11の3時の位置の内側を、26mm×26mmの範囲でサンドブラストした。また、実施例1と同じセプトンからなる熱可塑性エラストマーで26mm×26mm×26mmの立方体を粘弾性材16として作成した。ただし、図4(A)に示すように立方体の一面は、ラケットフレーム11に貼り付けるため、ラケットの形状に合わせてへこませた形状とした。
【0046】100℃に昇温して溶融した実施例1で使用のアイオノマー樹脂を、上記サンドブラスト処理を施したラケットフレーム11の3時の内側に塗りつけて、すぐに、熱可塑性エラストマーからなる粘弾性材16を押しつけて接着した。ラケットフレーム11および粘弾性材16にテープを巻き付けて固定し、この状態で、100℃、5分間保温し、その後冷却してテープを取り外した。
【0047】(実施例4)ラケットフレームに熱可塑性エラストマーからなる粘弾性材を前記第3の接着方法で固着した。ラケット形状は実施例3と同一とした。ラケットフレーム成形用の金型のキャビテイには、ガット張架部の3時の位置に当たる部分に、26mm×26mm×26mmの立方体が配置可能となるようにへこみを設けた。未硬化のエポキシ樹脂繊維強化プラスチックのレイアップと、約0.1mmのアイオノマー樹脂のフィルム及びセプトンからなる熱可塑性エラストマーで立方体状に成形した粘弾性材16を金型のキャビテイ内に充填し、ラケットフレーム11の3時の部分で粘弾性材16と上記レイアップとをアイオノマー樹脂フィルムを挟んで位置させた。金型を型締め後、1MPaの内圧をかけながら150℃で15分保持し、冷却後、金型より取り出した。
【0048】(比較例2)実施例3と同じ形状のテニスラケットフレームを用い、実施例3と同様、ラケットフレーム11の3時、9時の部分に熱可塑性エラストマーよりなる立方体状の粘弾性材16を、住友3M製のエポキシ系接着剤DP100Plusクリアーにより接着した。
【0049】[接着強度評価試験2]上記実施例3、4及び比較例2により作成したテニスラケットを用い熱可塑性エラストマーからなる粘弾性材16の接着強度を評価した。図5(A)(B)に示すように、エアグリップ31により、0.1MPaの空気圧で、テニスラケット10を保持した。ラケットフレーム11の熱可塑性エラストマーよりなる粘弾性材16を接着している3時の位置のフレームに向かってエアガンで、テニスボール32を70m/secの速度で発射し、衝突させた。ただし、今回の試験ではガットを張っていないため、熱可塑性エラストマーよりなる粘弾性材16にガットを通すための穴はあけていない。
【0050】上記方法によりテニスボール32の衝突を繰り返し、熱可塑性エラストマーよりなる粘弾性材16がラケットフレーム11からの剥離の有無及び剥離したときの衝突回数を評価した。その試験結果を表2に示す。
【0051】

【0052】表2の結果より、実施例3、4は、比較例2に比べ、熱可塑性エラストマーよりなる粘弾性材が剥離にいたるまでのボール衝突回数が、はるかに大きな値となり、実施例3、4の方が接着強度が高いことが確認できた。特に、アイオノマー樹脂と熱可塑性エラストマーを共に金型に充填して、エポキシ樹脂の硬化反応とアイオノマー樹脂の溶融を同時に行い接着した実施例4による接着方法は、アイオノマー樹脂とエポキシ樹脂が化学的に強く結合しているために最も強度が高いことが確認できた。
【0053】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明によれば、ポリオレフィン系またはポリスチレン系の熱可塑性エラストマーと、マトリクス樹脂がエポキシ樹脂からなる繊維強化プラスチックとをアイオノマー樹脂によって接着すると、接着強度が非常に高く、強化な接着を実現することが出来る。
【0054】上記ポリオレフィン系またはポリスチレン系の熱可塑性エラストマーは他のポリエステル系等の熱可塑性樹脂よりも柔らかく、かつ、アイオノマー樹脂を用いるとエポキシ樹脂繊維強化プラスチックと相性よく接着させることができるため、エポキシ樹脂繊維強化プラスチックよりなるラケットフレームに接着固定する振動抑止材の粘弾性材として用いることが可能となる。その結果、振動抑止材の粘弾性材として従来用いられているナイロン樹脂やウレタン樹脂よりも柔らかくすることができるため、質量付加材を少量としても振動させやすくできる。このように、テニスラケットに振動抑止材として熱可塑性エラストマーの取り付けが可能となり、ラケット使用時の振動や衝撃の低減及びラケットの軽量化を図ることができる。
【0055】なお、テニスラケットフレームに振動抑止材を構成する粘弾性材として熱可塑性エラストマーを接着する場合に限らず、他のエポキシ樹脂繊維強化プラスチックと熱可塑性エラストマーとを接着する必要がある製品に対しても本発明が有効であること言うまでもない。




 

 


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