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発明の名称 ゴルフボール印刷用インク及びこれを用いたゴルフボール
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−172539(P2001−172539A)
公開日 平成13年6月26日(2001.6.26)
出願番号 特願平11−361793
出願日 平成11年12月20日(1999.12.20)
代理人 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司 (外2名)
【テーマコード(参考)】
4J039
【Fターム(参考)】
4J039 AD01 AD03 AD05 AD08 AD10 AD11 AD15 AE04 AE11 BC57 BE01 BE02 BE22 CA06 EA43 EA47 FA02 
発明者 寺川 克美 / 菊池 正明 / 田中 聡明 / 丸岡 清人 / 佐々木 隆 / 五十川 一彦
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 ゴルフボール表面にマーク等を印刷するためのインクであって、水系バインダー及び着色剤を含むことを特徴とするゴルフボール印刷用インク。
【請求項2】 さらにシラン化合物を含む請求項1に記載のゴルフボール印刷用インク。
【請求項3】 さらに濡れ性改良剤を含む請求項1又は2に記載のゴルフボール印刷用インク。
【請求項4】 ゴルフボール表面にマーク等を印刷するためのインクであって、前記インク100質量部に対して、水系バインダーを10〜90質量部、着色剤を1〜90質量部、シラン化合物を0.1〜50質量部、濡れ性改良剤を0.1〜30質量部含有していることを特徴とするゴルフボール印刷用インク。
【請求項5】 前記水系バインダーは、ポリウレタンディスパージョンまたはポリウレタンエマルジョンである請求項1〜4のいずれかに記載のゴルフボール印刷用インク。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のインクで印刷されたマークを、表面に有しているゴルフボール。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴルフボールの製造工程におけるマーク印刷に関する不良の発生を少なく出来るゴルフボール印刷用インク及びそれを用いてマークを印刷したゴルフボールに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ゴルフボール表面に、商標やその他の識別表示や模様等のマークを印刷することが一般に行われている。
【0003】多数のボールを連続的に生産する工程では、マーク印刷後のボールが近隣のボールと接触する場合がある。マークのインクが乾燥しない内に近隣のボールと接触した場合、印刷したマークのインクが接触したボール表面に転写されてしまい、印刷マークの一部が欠けた状態になる。
【0004】ボール表面とマークとの密着性を向上させ、インクが他へ転写することを防止した印刷用インクとして、特開平5−112746号公報に、ニトロセルロースをキャリアとしたインクが提案されている。
【0005】しかしながら、インクのボール表面に対する密着性を向上させることにより、印刷されたマークが他のボールへ転写することを防止できても、ボールの生産工程で印刷マークに関する不良が発生し得る工程がまだある。すなわち、マークの保護、外観向上のために、マーク印刷後、ボール表面にクリアー塗料を塗布し、乾燥後、ボールを把持装置で把持して次工程に移される。ここで、ボール把持装置がマーク部分を掴んだ場合、マークが欠損したり、にじんだりするという問題である。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、印刷したマークに関する製造工程中の不良発生を防止でき、しかもゴルフボールプレイにおける打撃の繰り返しによっても剥離しにくい密着性に優れたインクを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のゴルフボール印刷用インクは、ゴルフボール表面にマーク等を印刷するためのインクであって、水系バインダー及び着色剤を含むことを特徴とする。
【0008】本発明のゴルフボール印刷用インクには、さらにシラン化合物、濡れ性改良剤を含むことが好ましい。
【0009】より好ましい本発明のゴルフボール印刷用インクは、前記インク100質量部に対して、水系バインダーを10〜90質量部、着色剤を1〜90質量部、シラン化合物を0.1〜50質量部、濡れ性改良剤を0.1〜30質量部含有していることを特徴とする。
【0010】本発明のゴルフボール用印刷インクにおいて、前記水系バインダーは、ポリウレタンディスパージョンまたはポリウレタンエマルジョンであることが好ましい。
【0011】本発明のゴルフボールは、上記本発明のインクで印刷されたマークを、表面に有しているものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のインクは、必須成分として、水系バインダー及び着色剤を含んでいる。
【0013】ここで、水系バインダーとは、バインダーとなるポリマーを、水性媒体中に溶解分散させたものである。具体的には、ポリマー自体が水溶性または親水性であって、水溶液の状態となったもの;水中にポリマー粒子が分散した、いわゆるコロイド状態のもの(ラテックス);乳化剤の併用によりポリマーと水とがエマルジョンの状態となっているものに分別できる。これらのうち、コロイド状態(ラテックス)が好ましい。
【0014】このような水系バインダー、特にラテックスの場合、まず溶剤たる水の蒸発(乾燥)に伴ってポリマー粒子の濃度が高くなり、濃度の増加に従ってポリマー粒子同士が融合、造膜し、さらに造膜後、徐々に硬化が進んで、膜強度が徐々に増大していく。つまり、乾燥終了状態(溶剤蒸発終了時)でポリマーの膜が形成されているので、このときに他のボールと接触しても、ポリマーからなるマークが接触したボールに転写することはない。従って、乾燥終了状態で次工程のクリアー塗料塗布工程を行なうことができる。また、乾燥終了時に形成されているポリマー粒子の融合膜は、ポリマー化が不十分な膜(未硬化膜)と比べて強度的にも優れている。従って、印刷マークの乾燥後やクリアー塗料の塗布乾燥からそれ程時間が経っていないボール、すなわちマークの融合膜が完全に硬化していない状態にあるボールを、把持装置等で把持した場合であっても、マークは傷つきにくく、マーク欠損等の不良は発生しにくい。さらに水系バインダーは、蒸発する溶剤が水であるから、安全で作業環境的にもよいという長所がある。
【0015】この点、従来の有機溶剤系バインダーの場合、これに含まれているバインダー成分はオリゴマーからプレポリマー状態にあり、その分子量は、ラテックスに含まれるポリマー粒子の分子量よりもかなり小さい。従って、溶剤揮発後、さらに続いておこる架橋反応の進行により、はじめて強度的に満足できるポリマー膜が形成される。つまり、溶剤の揮発が終了した時点であっても、形成される膜は硬化反応が十分進行していない未硬化状態の膜であるため、この状態にあるマークが他のボールと接触すると、上記問題点で述べたように、接触したボールにマークが転写され得る。また硬化が十分に終了していない未硬化〜半硬化状態の膜は強度的に劣っているため、この状態にあるマークを把持装置が掴むと、マーク欠損の原因となる。硬化が終了するのを待って次工程に移るという方法も考えられるが、完全硬化には時間がかかる。触媒等を用いることにより硬化を速くすることはできるが、同時にポットライフも短くすることになるため、かかる方法は作業性の点から好ましくない。このような事情から、有機溶剤系バインダーを用いたインクでは、硬化が完全に終了しないうちに次工程へ移行せざるを得ず、クリアー塗料の塗布後にボールを把持した場合に生じるマーク欠損やマークの滲みを解消するのが困難である。さらに、有機溶剤系バインダーは、揮発する有機溶剤が水と比べて人体に有害なものが多いため、作業環境の点からも水系バインダーの方が優れている。
【0016】水系バインダーに用いられるポリマーとしては、ポリウレタン、アクリルエステル系、酢酸ビニル系、エチレン・酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系、塩化ビニル系、ポリスチレン系、シリコーン系、ポリブテン系、メチル(メタ)アクリレートブタジエン系、スチレン・ブタジエン系、ブタジエン・スチレン・ビニルピリジン系、NBR系、CR系、IR系、SBR系、BR系、NR系の樹脂、若しくはゴムの1種または2種以上の混合物が挙げられる。これらのポリマー粒子を水性媒体中に分散させてなるポリウレタンエマルジョン若しくはポリウレタンディスパージョンが好適に用いられる。水系バインダーがポリマー水溶液の場合には、1分子中に多くの親水基を結合してなる水性ポリウレタンが好ましく用いられる。
【0017】水系バインダーにおけるポリマー成分:水の比率は、5:100〜300:100、好ましくは10:100〜100:100である。すなわち、ポリマー/水が0.05〜3.0であり、好ましくは0.1〜1.0である。ポリマー/水が0.05未満では、水の量が多すぎてインクの粘度が低下し、印刷性が低下する。ポリマー/水が3を越えると、ポリマーの含有割合が高いために、ディスパージョンやエマルジョンの場合には安定性が低下して、ポリマーが分離したり、ポリマー粒子が沈殿したりするからである。
【0018】インク100質量部あたり、水系バインダーは10質量部以上、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上含まれる。水系バインダーの含有量の上限は、インク100質量部あたり90質量部、好ましくは80質量部、より好ましくは70質量部である。10質量部未満では、マークの耐久性が劣る。90質量部超では、粘度が高くなりすぎて印刷性が劣り、着色顔料が少なくなるため隠蔽力に劣る。
【0019】着色剤としては、通常着色に利用される顔料、染料として知られている化合物が好ましく用いられる。例えば、黒色顔料として、アセチレンブラック、ランブラック、アニリンブラック等のカーボンブラック;黄色顔料として、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマンネントイエローNCG、タートラジンレーキ;橙色顔料として、赤口黄鉛、モリブテンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK;赤色顔料として、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B;紫色顔料として、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ;青色顔料として、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC;緑色顔料として、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG;白色顔料として、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛;白色顔料として、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を使用できる。尚、これらの顔料、染料は、このまま用いてももよいし、これらの顔料、染料化合物を含み、更に樹脂、各種添加剤を混合してなるトナーとしても用いてもよい。
【0020】着色剤は、インク100質量部あたり、1質量部以上、好ましくは2質量部以上、より好ましくは10質量部以上含まれる。含有量の上限は、インク100質量部あたり、90質量部、好ましくは80質量部、より好ましくは60質量部である。1質量部未満では隠蔽力が小さく、90質量部を越えると、相対的にバインダーとなるポリマー成分が少なくなるため、塗膜の乾燥性、耐久性が低下する。
【0021】本発明のゴルフボール印刷用インクには、上記必須成分の他、濡れ性改良剤、シラン化合物が含まれていることが好ましい。
【0022】濡れ性改良剤は、インクのボール表面に対する濡れ性を向上させることを目的として添加されるもので、印刷に際してのインクのボール表面への転写のされ易さ(以下、「印刷時のインクの転写性」という)を確保するために配合される。つまり、一般に、ボール表面は、ゴムやアイオノマーをはじめとする有機系材料で構成されているため、水系バインダーを主体とするインクとのなじみは、従来の有機溶剤系インクと比べて劣っている。このため、濡れ性改良剤を添加しないと、ゴルフボール表面でインキがはじかれたようになるなど印刷不良を生じやすいからである。
【0023】濡れ性改良剤としては、各種界面活性剤が好ましく用いられる。界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤などが挙げられ、ボール本体の構成材料、水系バインダーの種類に応じて適宜選択すればよい。
【0024】陰イオン界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、燐酸塩、燐酸エステル等が挙げられ、これらのうちカルボン酸塩、スルホン酸塩が好ましく用いられる。非イオン性界面活性剤としてはエーテル型、エステル型いずれも用いることができるが、好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、より好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンフェニルエーテルが好ましく用いられる。陽イオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4アンモニウム塩などを用いることができる。両性イオン界面活性剤としては、カルボン酸型、アミノ酸型、ベタイン型を用いることができる。
【0025】濡れ性改良剤としては、上記界面活性剤の他に、レベリング剤、クレタリング防止剤、基材湿潤剤、湿潤分散剤、チキソトロピック剤、沈降防止剤、消泡剤として知られている従来公知の添加剤を用いることもできる。増粘剤、チキソトロピック剤、沈降防止剤としては、ポリカルボン酸、ポリアミド、乾式シリカ等が一般に用いられる。消泡剤としては、シリコン、ポリグリコール、疎水性シリカ、鉱物油などが一般に用いられる。クレタリング剤、レベリング剤としては、アクリル系共重合物等が一般に用いられる。湿潤剤としては、シリコン、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン誘導体、アセチレングリコール等が一般に用いられる。
【0026】このような濡れ性改良剤は、インク100質量部あたり、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上含有する。濡れ性改良剤の含有量の上限は、30質量部、好ましくは20質量部、より好ましくは10質量部である。0.1質量部未満では、濡れ性改良効果が少なく、印刷性に劣る。30質量部を越えると、乾燥性が低下し、乾燥終了時の、塗膜耐久性が低下する。尚、水系バインダーがエマルジョンの場合や着色剤としてトナーを用いた場合で、エマルジョンやトナー中に既に濡れ性改良剤が含まれ、これによりボール本体表面との濡れ性が確保される場合、インクに改めて濡れ性改良剤を配合しなくてもよい。
【0027】シラン化合物は、ボール表面とインクの密着性を高めるために配合することが好ましい。つまり、ボール表面とインクのそれぞれに親和性を示す官能基を有しているシラン化合物が用いられる。このようなシラン化合物としては、一般にシランカップリング剤として知られているものを好ましく使用することができる。ここで、シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン等のビニルシラン;β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン;γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシラン;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピルシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン;ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のポリスルフィドシラン;γ−イソシアン酸プロピルトリメトキシシラン等のイソシアネート基を持つシラン等が挙げられる。これらのうち、エポキシシラン化合物が好ましく用いられる。
【0028】本発明で用いることができるシラン化合物としては、上記シランカップリング剤の他、上記シランカップリング剤の縮合体、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤(N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン等)等のシラン化合物を用いることもできる。これらのシラン化合物は、1種類だけ用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0029】シラン化合物の含有量は、インク100質量部あたり、0.1質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。シラン化合物の含有量の上限は、インク100質量部あたり50質量部、好ましくは35質量部、より好ましくは20質量部である。0.1質量部未満では密着性の改良効果が不十分であり、50質量部を越えるとコストが高くなるとともに、塗膜が硬くなりすぎて、ボールの変形に追随できず、ゴルフプレイ時のインクとボール表面の密着性が低下するからである。
【0030】本発明のインクは、水系バインダー、着色剤、濡れ性改良剤、シラン化合物の他、インクに含まれ得る各種添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、色分かれ防止剤、ワキ防止剤、スリップ剤、耐傷剤、皮張り防止剤、ツヤ消し剤などが挙げられる。
【0031】以上のような組成を有する本発明のインクは、ボール表面に下塗りすることなく、直接印刷することができる。すなわち、アイオノマーを主成分とする熱可塑性樹脂材料からなるカバーを有するマルチピースゴルフボールに対しても、ワンピースゴルフボールのように、表面がゴム材料であるボールに対しても、直接マークを印刷することができ、しかもボールの連続生産工程中でマーク欠損等の不良が発生しにくく、さらにはゴルフプレイ中にもマーク欠損等が起こりにくい密着性の優れたマークを形成できる。勿論、本発明のインクを用いる印刷方法としては、ボールに下塗りを行なった後、本発明のインクでマークを印刷する従来の方法に適用することもできる。
【0032】本発明のゴルフボールは、上記本発明のインクを用いて、マーク等を印刷したものである。
【0033】印刷の対象となるゴルフボールは、アイオノマーを主成分とする熱可塑性樹脂材料からなるカバーを有するマルチピースゴルフボール、表面がゴム材料であるワンピースゴルフボールなどである。
【0034】具体的なカバー材料としては、アイオノマー樹脂;ポリウレタン系やポリアミド系、ポリエステル系の熱可塑性エラストマー、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。具体的なゴム材料としては、基材ゴムとしてのジエン系ゴム、架橋開始剤としての有機過酸化物、共架橋剤としての不飽和カルボン酸又はその金属塩、その他必要に応じて、比重調整剤や老化防止剤、可塑剤、分散剤、紫外線吸収剤、着色剤、しゃっ解剤、などの添加剤を必要に応じて適宜配合したゴム組成物が用いられる。
【0035】前記ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、合成ゴムのいずれを用いてもよい。合成ゴムとしては、例えば、エチレンプロピレンジエン3元共重合体(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等の1種または2種以上の混合物が好ましく用いられる。
【0036】これらのボールは、インクや後述する仕上げ用クリアー塗料との接着性を高めるために、例えば研磨剤を用いたサンドブラスティングやバレル磨き等、従来より塗装前に一般に行われている前処理を、印刷前に行なってもよい。
【0037】マーク等の印刷は、前記前処理されたボール表面に、下塗りすることなく、直接本発明のインクを用いて行われる。印刷方法としては、ディンプルのような凹凸表面にも良好に印刷することができるパッド印刷が好ましい。
【0038】印刷後、ボール表面に直接印字されたインクを乾燥させる。ここでいう乾燥工程は、溶剤を揮発させる工程である。水系バインダーを用いた本発明のインクの場合、乾燥終了時には、ボール生産中の不良発生が問題とならない程度の強度、密着性を有するポリマーの膜が形成されるからである。印刷マークの乾燥は、放置しておくことによって行なってもよいし、30〜90℃の熱風に当てることにより水分の蒸発を促進してもよい。
【0039】乾燥後、ボール外観を向上させるとともに、マーク保護の点からも、ボール表面全体にクリアー塗料を塗布することが好ましい。クリアー塗膜は1層であってもよいし、プライマーコート、トップコートという2回塗りで形成されてもよい。
【0040】クリアー塗料としては、従来より用いられているクリアー塗料、具体的には複数のOH基を有するポリオールを含む主剤と、複数のNCO基を有するイソシアネートを含む硬化剤で構成される2液硬化型ポリウレタン塗料が挙げられる。複数のOH基を有するポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオールなどを挙げることができ、複数のNCO基を有するイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどを挙げることができる。
【0041】
【実施例】〔測定評価方法〕
■印刷時の転写性マーク印刷直後に、印刷されたマークの状態(マークエッジ部でのインクの欠け、マークの透けなど)を目視で観察し、マークに欠けや透け等が認められない場合を「○」、欠けや透け等が認められた場合を「×」として、評価した。
【0042】■インクの初期乾燥性マークを印刷して30秒後に印刷されたマーク部分を指触し、指にインクが付くか否かで評価した。指にインクが付かない場合は、乾燥性が良好であるとして「○」とする。
【0043】■塗膜の耐擦傷性マーク印刷して30分後に、有機溶剤型のクリアー塗料を塗装し、塗装直後にマーク部分をクリアー塗膜の上からピンセットの先で引っかいた。マークの欠損、滲みの程度を目視で観察し、マーク欠損が認められない場合を「○」とした。
【0044】■マークの密着性クリアー塗膜を乾燥させた後、ボールの打撃耐久性試験(ドライバーで50回実打)を実施し、試験後に、マークの剥がれの程度を目視で観察した。
【0045】マークの一部が剥がれた場合を「×」、マークのクリアー塗料が剥がれた場合を「○」、剥がれが全くない場合を「◎」とした。
【0046】〔水系バインダーの調製〕下記方法により、水系バインダーとなるポリウレタンエマルジョン(固形分29.4%)を調製した。
【0047】攪拌機及び冷却器を備えた6リットルのフラスコにポリテトラメチレングリコール(882g)、ジメチロールプロピオン酸(120g)、メチルエチルケトン(1200g)、ジブチルスズラウレート(0.9g)を仕込み、フラスコ内を窒素置換した後80℃に加温した。かかる状態でイソホロンジイソシアネート(798g)を滴下し、その後、2時間反応させた。反応後、常温にまで冷却した後、トリエチルアミン(90.4g)を添加し、攪拌後、さらにイオン交換水(1488g)、エチレンジアミン(26.1g)を添加して、高速攪拌した。得られた反応液をエバポレータで減圧してメチルエチルケトンを留去することにより、ポリウレタンエマルジョンを得た。
【0048】〔インクの調製〕上記で調製したポリウレタンエマルジョン、御国色素株式会社製の水性インク用のカーボンブラック含有のトナー(SA Black DY−6)、濡れ性改良剤、及びシラン化合物を表1に示すような割合で配合して、インクNo.1〜3を調製した。ここで、濡れ性改良剤としては、日信化学工業株式会社の第3級アセチレングリコール(非イオン界面活性剤)であるサーフィノール104E)とソジウム−ジオクチルスルフォサクシネート(陰イオン界面活性剤)であるぺレックスOTPの混合物を用いた。シラン化合物としては、信越化学工業株式会社製からシランカップリング剤として販売されているKBM−403(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を用いた。
【0049】インクNo.4及びNo.5は、水系バインダーに代えて有機溶剤系バインダーを用いたインクである。尚、有機溶剤系バインダーに含まれているポリマーはポリエステルポリウレタンであり、有機溶剤はシクロヘキサノンであり、トナーとしては御国色素株式会社製の有機溶剤系インク用のカーボンブラック含有トナー(ZA BLACK4100)を使用し、濡れ性改質剤及びシラン化合物はインクNo.1,2,3と同じものを使用した。
【0050】〔ゴルフボールの作製〕アイオノマーカバーを有するボール表面をサンドブラスト後洗浄し、上記で調製したインクNo.1〜5を用いて、ボール表面にマークをパッド印刷した。マーク印刷後、30分間乾燥した後(No.4及びNo.5の場合は60分間乾燥した後)、ポリエーテルポリウレタン系塗料でボール表面全体を塗布し、クリアー塗膜を形成した。尚、パッド印刷は、スチール製凹版とシリコンパッドを備えたパッド印刷機を用いて行なった。
【0051】以上のようなゴルフボールの作製過程において、印刷時の転写性、インクの初期乾燥性、塗膜の耐擦傷性を評価し、さらに作製したゴルフボールについてマークの密着性を評価した。評価結果を、インク組成と併せて、表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】〔評価〕有機溶剤系バインダーを用いたNo.4及びNo.5のインクは、指触で乾燥と判断できる状態(初期乾燥性が「○」)でクリアー塗料を塗布したにも拘わらず、耐擦傷性は「×」であった。このことは、溶剤が蒸発した状態ではマークが完全に硬化していないため、半硬化状態のマークがクリアー塗料に含まれている溶剤で膨潤し、引っ掻き試験により、マークがにじんだり、欠損したためと考えられる。一方、水系バインダーを用いたNo.1〜3のインクは、指触で乾燥と判断できる状態で、すでにある程度の強度を有するポリマーの膜が形成されているので、クリアー塗料の塗布によってマークが膨潤することがなく、またマーク自体も傷つきにくい。
【0054】また、シランカップリング剤を含んだインク(No.3,5)は、含んでいないインクと比べて密着性が優れていた。このことは、シランカップリング剤がインクとボール表面、インクとクリアペイントとの間でカップリング効果を発揮して、密着性の向上に寄与したためと考えられる。従って、水系バインダーを用いて、さらにシランカップリング剤を含有したNo.3のインクは、転写性、乾燥性、耐擦傷性に優れ、且つ大変優れた密着性を有するマークを提供できる。
【0055】
【発明の効果】本発明のゴルフボール印刷用インクは、反応硬化が終了しなくても、溶剤蒸発時にポリマーの膜を形成できる水系バインダーを用いているので、乾燥性とポットライフのバランスを満足させつつ、しかも印刷されたマークが欠損しにくく、且つ密着性に優れた印刷マークを提供できる。
【0056】従って、本発明のインクを用いてマーク印刷を行なうゴルフボールは、連続生産工程におけるマーク印刷に関する不良の発生を少なくできる。




 

 


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