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発明の名称 高比重熱可塑性樹脂組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−64474(P2001−64474A)
公開日 平成13年3月13日(2001.3.13)
出願番号 特願平11−243144
出願日 平成11年8月30日(1999.8.30)
代理人 【識別番号】100075155
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 弘勝 (外2名)
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002 BP01W BP01X DA116 FB146 FD140 GN00 
発明者 榊 俊明 / 溝口 哲朗
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】熱可塑性エラストマーとしての、(1) ポリスチレン−ポリイソブチレンブロック共重合体、または(2) ポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体の水素添加物、ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の水素添加物およびポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体のイソプレンユニットにブタジエンユニットを含むものの水素添加物からなる群より選ばれる少なくとも1種の水素添加物と前記ポリスチレン−ポリイソブチレンブロック共重合体との混合物と、高比重材料としてのタングステン粉末とを含有し、前記熱可塑性エラストマーの含有割合が全体の2.5〜7.5重量%であり、かつ前記タングステン粉末の含有割合が全体の92.5〜97.5重量%である高比重熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】前記熱可塑性エラストマーのスチレン含量が13〜30重量%である請求項1記載の高比重熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】表面のデュロメータ硬さHDDが80以下である請求項1または2記載の高比重熱可塑性樹脂組成物。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉛代替物質としての用途に適した樹脂組成物に関し、より詳しくは、例えばバランスウェイト等の、高い比重と柔軟性とが要求される用途に好適な樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等のホイールバランスを調整するためにホイールに装着されるバランスウェイトは、ホイールの外観を損なわないように極力小さいものであることが望まれており、さらにホイールのリム形状等に合わせて容易に変形することも望まれている。そこで、従来、バランスウェイトの形成材料には、高比重であり、かつ柔軟性をも兼ね備えた金属材料である鉛が使用されてきた。
【0003】しかしながら、鉛には毒性があり、しかも皮膚から人間の体内に浸入した鉛は骨に沈着して排出されにくくなって、体内に蓄積されるため、鉛中毒を起こす可能性も皆無ではない。従って、バランスウェイト等の、高い比重と柔軟性とが要求される用途においては、鉛に代わる、高比重でかつ柔軟性を兼ね備えた材料が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、鉛代替物質として、高比重の金属であるタングステンを熱可塑性樹脂に分散した熱可塑性樹脂組成物が提案されている。かかる鉛代替物質としては、所定の滑剤で前処理されたタングステン粉末をナイロン−6等のポリアミド樹脂に含有させたもの(特開昭60−244888号公報)、タングステン粉末を、ポリテトラメチレンテレフタレートを主体とする重合体のパウダーと、特定のアクリル系ゴム含有グラフト共重合体との混合物に含有させたもの(特開平2−38448号公報)、またはタングステン粉末をナイロン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ABS樹脂、硬質塩化ビニル等の熱可塑性樹脂に含有させたもの(特開平2−191476号公報)等が提案されている。
【0005】さらに、特開平7−33905号公報には、平均粒径が1〜30μmのタングステン粉末をポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、PBT系樹脂等の熱可塑性樹脂に含有させたバランスウェイト用組成物が開示されている。上記公報に開示の熱可塑性樹脂は、金属材料に比べて加工が容易であること、耐蝕性に優れること、比較的安価であること、絶縁性が良好であること等の理由から、近年、電気・電子部品、機械部品、精密部品、一般工業部品等の幅広い分野に用いられているものであって、さらに熱可塑性樹脂は、切削加工や焼結工程等を必要とする金属材料に比べて加工性に優れており、特に射出成形法を採用した場合には、複雑な形状の成形品が一工程で成形できるという利点がある。
【0006】しかしながら、上記公報に開示の熱可塑性樹脂組成物は、いずれも鉛に匹敵する高い比重が実現され、かつ優れた機械的強度や耐衝撃性等を有するものであるものの、一般に常温で硬く、柔軟性に乏しいという問題があった。特に、特開平2−38448号公報に開示の熱可塑性樹脂組成物においては、優れた剛性を具備するという、柔軟性とは相反する性質が発明の効果として開示されている。従って、現状では、鉛のように高比重で適度な柔軟性を備えた材料は存在せず、高い比重と優れた柔軟性とを必要とする用途には、唯一鉛のみが使用可能な材料であった。
【0007】そこで、本発明の目的は、鉛に匹敵する高い比重を有し、しかも柔軟性や加工性に極めて優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、タングステン粉末を分散させる樹脂として、従来用いられていた前述の熱可塑性樹脂に代えて、特定の熱可塑性エラストマーを用いたときは、タングステン粉末の含有量が多くても優れた柔軟性を発揮し、しかも鉛に匹敵する高い比重と、優れた加工性とを有するとともに、加えて、耐熱性、耐老化性および耐候性にも優れ、屋外での使用に好適な熱可塑性樹脂組成物を得ることができるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明に係る高比重熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーとしての、(1) ポリスチレン−ポリイソブチレンブロック共重合体、または(2) ポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体の水素添加物、ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の水素添加物およびポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体のイソプレンユニットにブタジエンユニットを含むものの水素添加物からなる群より選ばれる少なくとも1種の水素添加物と前記ポリスチレン−ポリイソブチレンブロック共重合体との混合物と、高比重材料としてのタングステン粉末とを含有し、前記熱可塑性エラストマーの含有割合が全体の2.5〜7.5重量%であり、かつ前記タングステン粉末の含有割合が全体の92.5〜97.5重量%であることを特徴とするものである。
【0010】上記本発明に係る高比重熱可塑性樹脂組成物に用いられる熱可塑性エラストマーは、分子中に、弾性を示すゴム成分(ソフトセグメント)と、常温付近での塑性変形を防止するための分子拘束成分(ハードセグメント)との両成分を有する高分子材料であって、ソフトセグメントの分子運動が局所的にハードセグメントによって拘束されており、常温ではゴム弾性体としての挙動をとるものの、温度の上昇に伴って塑性変形を示す。すなわち、かかる熱可塑性エラストマーは、常温下ではその形状が保たれる一方で、容易に変形する優れた柔軟性を有しており、高温では可塑化するために成形が可能となる。
【0011】従って、上記熱可塑性エラストマーを用いた本発明に係る高比重熱可塑性樹脂組成物によれば、鉛に匹敵する高い比重を得るためにタングステン粉末の含有量を多くした場合であっても優れた柔軟性を発揮する。また、高温で可塑化することから、射出成形等への応用が可能であり、加工性が優れたものとなる。さらに、上記熱可塑性エラストマーのうち、ポリスチレン−ポリイソブチレンブロック共重合体は分子中に二重結合を全く有しないものであり、他の熱可塑性エラストマーについても、そのいずれもが水素添加されたものであって、分子中の二重結合の含有量が極めて低いものであることから、耐熱性、耐老化性および耐候性にも優れ、主に屋外で使用されるバランスウェイトの材料等として好適なものとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る高比重熱可塑性樹脂組成物について詳細に説明する。〔熱可塑性エラストマー〕本発明の高比重熱可塑性樹脂組成物において、熱可塑性エラストマーには、前述のように、(1) ポリスチレン−ポリイソブチレンブロック共重合体を単独で、あるいは(2) ポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体の水素添加物、ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の水素添加物およびポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体のイソプレンユニットにブタジエンユニットを含むものの水素添加物からなる群より選ばれる少なくとも1種の水素添加物と、前記ポリスチレン−ポリイソブチレンブロック共重合体との混合物が用いられる。
【0013】上記(1) または(2) に記載のポリスチレン−ポリイソブチレンブロック共重合体はハードセグメントがポリスチレン、ソフトセグメントがポリイソブチレンの、分子中に二重結合を有しないスチレン系熱可塑性エラストマーであって、その具体例としては、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレントリブロック共重合体(SIBS)等が挙げられる。上記(2) に記載のポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体の水素添加物は、ハードセグメントがポリスチレン、ソフトセグメントが水素添加(水添)されたポリイソプレンのスチレン系熱可塑性エラストマーであって、その具体例としては、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体(SIS)の水素添加物であるポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロック共重合体(SEPS)等が挙げられる。
【0014】上記(2) に記載のポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の水素添加物は、ハードセグメントがポリスチレン、ソフトセグメントが水添されたポリブタジエンのスチレン系熱可塑性エラストマーであって、その具体例としては、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体(SBS)の水素添加物であるポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体(SEBS)等が挙げられる。
【0015】上記(2) に記載のポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体のイソプレンユニットにブタジエンユニットを含むものの水素添加物は、上記ポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体のイソプレンユニットを変性したものであって、当該イソプレンユニットがイソプレンとブタジエンとからなるものや、イソプレンユニットの一部がブタジエンユニットに置換したものとが挙げられる。なお、上記(2) に例示の、ブロック共重合体の水素添加物(3種)は、いずれも、分子中の二重結合の大部分、好ましくは95%以上が水素添加(水添)されたものであるのが好ましい。このように、大部分の二重結合が水添されることにより、後述するように、耐熱性、耐老化性および耐候性に優れた高比重熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
【0016】上記例示の熱可塑性エラストマーは、SIBS等のポリスチレン−ポリイソブチレンブロック共重合体が分子中に二重結合を有しないものであり、上記(2) に例示の、他の熱可塑性エラストマーも、分子中の二重結合の大部分が水添されたものであって、さらにいずれも加水分解反応等を起こさないものであることから、優れた耐熱性、耐老化性および耐候性を示す。従って、本発明に係る高比重熱可塑性樹脂組成物は、例えばバランスウェイトのように、主に屋外に曝された状態で使用されたり、あるいは自動車等のホイールのように、温度が100℃程度にまで上昇するような環境で使用されたりする場合においても好適に用いることができる。
【0017】上記例示の熱可塑性エラストマーは、一般に、スチレンの含量、あるいはソフトセグメントを構成するイソブチレン、イソプレンおよびブタジエンの分子量や分子量分布等によって物性が変化する。例えば、スチレン含量が増えるほど硬くなって柔軟性を失い、スチレン含量が低いほど粘着性が増して、熱可塑性樹脂組成物の製造が困難となる。また、ソフトセグメントを構成するイソブチレン、イソプレンおよびブタジエンの分子量が大きくなるほど強度が大きくなり、分子量分布がシャープになるほど成形性が低下する。特に、ソフトセグメントを構成するイソブチレン、イソプレン等の分子量が大きく、その分子量分布がシャープであると、成形が極めて困難となる。
【0018】上記例示の熱可塑性エラストマーにおけるスチレン含量については、10〜65%程度のものが一般的に知られているが、高比重熱可塑性樹脂組成物に十分な柔軟性を付与するには、スチレン含量が13〜30%、好ましくは13〜20%程度であるのが望ましい。なお、本発明においては、耐熱性、柔軟性および耐候性が不十分になることのない範囲で、その他、本発明の主旨を変更しない範囲内で、上記例示の熱可塑性エラストマーのほかに、従来公知の種々の熱可塑性エラストマーを併用することができる。
【0019】かかる熱可塑性エラストマーとしては、例えばハードセグメントがポリエチレンやポリプロピレン、ソフトセグメントがエチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)やブチルゴムであるオレフィン系熱可塑性エラストマー;ハードセグメントがポリエステル、ソフトセグメントがポリエーテルや脂肪族ポリエステルであるポリエステル系熱可塑性エラストマー;ハードセグメントがウレタン構造、ソフトセグメントがポリエーテルやポリエステルであるウレタン系熱可塑性エラストマー;ハードセグメントがポリアミド、ソフトセグメントがポリエーテルやポリエステルであるポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0020】また、ハードセグメントがシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、ソフトセグメントが非結晶ポリブタジエンである1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー;ハードセグメントがトランス1,4−ポリイソプレン、ソフトセグメントが非結晶ポリイソプレンであるトランス1,4−ポリイソプレン系熱可塑性エラストマー;ハードセグメントが金属カルボキシレートイオンクラスター、ソフトセグメントが非結晶ポリエチレンであるアイオノマー;ハードセグメントが結晶ポリエチレン、ソフトセグメントがエチレン−エチルアクリレート共重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体であるPE/EEA,EVA系熱可塑性エラストマー;ハードセグメントがフッ素系樹脂、ソフトセグメントがフッ素系ゴムであるフッ素系熱可塑性エラストマー等を併用することも可能である。
【0021】熱可塑性エラストマーの成形性については、230℃、2.16kgの条件でのMFRが0.05g/10分以上、好ましくは0.5g/10分以上、より好ましくは1g/10分以上のものであるのがよい。これは、タングステン粉末をブレンドすることにより、熱可塑性エラストマー単独の場合に比べて成形性が低下するからである。また、本発明で使用する熱可塑性エラストマーはペレット状であってもパウダー状であってもよい。
【0022】なお、上記スチレン系熱可塑性エラストマーは、アルキルリチウム等の一官能性開始剤を用いて、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレンの順序でリビング重合し、ブロック共重合体を製造(一官能性開始剤による三段階重合)してから水素添加する方法や、同様の開始剤を用いて同様にリビング重合した後、ジハロゲン化アルキルでカップリングして、ブロック共重合体を製造(二段階重合カップリング法)し、水素添加する方法等によって製造することができる。
【0023】〔タングステン粉末〕本発明に使用するタングステンは、熱可塑性エラストマーと均一にブレンドする必要があることから、粉末状であるのが好ましく、その粒径は好ましくは300μm以下、より好ましくは2〜100μm、さらに好ましくは3〜30μm、なかんづく3〜27μmである。タングステン粉末の粒径が大きくなると、射出成形法を採用して成形する場合に、熱可塑性樹脂組成物が金属のゲートを通過しにくくなり、成形性が低下する。逆に、粒径が極端に小さくなると、タングステン粉末の表面積が大きくなり、所定の熱可塑性エラストマーによってタングステン粉末の表面を完全に覆うことができなくなる。
【0024】なお、粒子径が小さいものと大きいものとを併用すると、樹脂組成物の流動性が向上し、成形性が良好となるため好ましい。従って、粒径が異なる2以上のタングステン粉末を混合して用いるのが好ましく、例えば5μm以下のものと、27μm以上のものを混合して用いるのが好ましい。また、本発明で使用するタングステン粉末には、樹脂との親和性を高めるためにカップリング処理を施すのが好ましい。カップリング剤としては、例えばチタネート系、アルミニウム系、シラン系等が挙げられるが、本発明においては、シラン系カップリング剤を用いるのが樹脂との親和性を高める効果の観点から最適である。
【0025】〔高比重熱可塑性樹脂組成物の組成〕本発明の高比重熱可塑性樹脂組成物における熱可塑性エラストマーの含有割合は2.5〜7.5重量%に、タングステン粉末の含有割合は92.5〜97.5重量%にそれぞれ設定される。熱可塑性エラストマーの含有割合が上記範囲を下回ると、熱可塑性樹脂組成物の成形が不可能になる。また、たとえ成形できたとしても、成形性が極めて低いために、実用に適さなくなる。
【0026】熱可塑性エラストマーの含有割合の下限は、熱可塑性樹脂組成物の十分な成形性(加工性)や樹脂部の柔軟性を確保するためにも、上記範囲の中でも特に2.6重量%とするのが好ましく、2.8重量%とするのがより好ましい。また、熱可塑性エラストマーの含有割合の上限は、タングステン粉末の含有量をより多くするためにも、上記範囲の中でも特に5.0重量%とするのが好ましく、4.5重量%とするのがより好ましい。
【0027】なお、熱可塑性樹脂組成物に手で容易に曲げることができる程度の柔軟性を付与するには、熱可塑性エラストマーの含有割合が3.0重量%以上、好ましくは4.0重量%以上となるように調整すればよい。一方、タングステン粉末の含有割合が上記範囲を下回ると、熱可塑性樹脂組成物の比重を高くすることができなくなり、ひいてはバランスウェイト自体の比重も低下するため、バランスウェイトが実用に適さなくなるおそれがある。
【0028】タングステン粉末の含有割合の下限は、熱可塑性樹脂組成物の比重を高い値で維持するためにも、上記範囲の中でも特に95.0重量%とするのが好ましく、95.5重量%とするのがより好ましい。また、タングステン粉末の含有割合の上限は、熱可塑性エラストマーの含有割合を必要最小限確保するためにも、上記範囲の中でも特に97.4重量%とするのが好ましく、97.2重量%とするのがより好ましい。
【0029】上記本発明に係る高比重熱可塑性樹脂組成物には、熱可塑性エラストマーおよびタングステン粉末の含有割合が上記範囲を満足する範囲内であれば、必要に応じて、例えばゴム、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、カップリング剤、骨材、添加剤添着液、顔料、染料、軟化剤、老化防止剤、架橋剤等を添加することができる。但し、上記(1) のポリスチレン−ポリイソブチレンブロック共重合体や、上記(2) に記載のブロック共重合体の水素化物は、前述のように、いずれも分子内に二重結合を有しないか、あるいはわずかにしか存在しないことから、耐老化性や耐候性に優れている。従って、基本的に、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、老化防止剤等を配合する必要がない。
【0030】前記架橋剤は、必要に応じて熱可塑性エラストマーを架橋するために使用するものであり、熱可塑性エラストマー間の結びつきを強化し、こすれや破壊に対して未架橋のものよりも抵抗力を高める働きをする。かかる架橋剤としては、例えば2,5−ジメチル−2,5−t−ブチルパーオキシル−ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、ジ(t−ブチルパーオキシ)−m−ジイソプロピルベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシクメン等の有機過酸化物が挙げられる。
【0031】また、本発明の高比重熱可塑性樹脂組成物を射出成形に適用する場合には、射出成形機での離型性を改善するために、ステアリン酸亜鉛等の高級カルボン酸金属塩を滑剤として配合するのが好ましい。前記滑剤の配合量は、高比重熱可塑性樹脂組成物に対して0.1〜5重量部程度に設定するのが好適である。
〔高比重熱可塑性樹脂組成物の物性〕
(表面硬度)本発明の高比重熱可塑性樹脂組成物は、JIS K 7215(試験機タイプD)に規定された方法によって測定された表面のデュロメータ硬さHDDが80以下であることが好ましく、60以下であるのがより好ましい。
【0032】デュロメータ硬さHDDが80を超えると、十分な柔軟性が得られなくなって、高比重熱可塑性樹脂組成物がバランスウェイト等の作製に適さなくなるおそれがある。デュロメータ硬さHDDの上限は、上記範囲の中でも特に50であるのが好ましく、40であるのがより好ましい。熱可塑性樹脂組成物の表面硬度を上記の範囲に調整するには、使用する熱可塑性エラストマーの種類等によって多少異なるが、一般に、熱可塑性エラストマーとタングステン粉末との含有割合を上記範囲内に設定すればよい。
【0033】(比重)熱可塑性樹脂組成物の比重は、ウェイトバランスの比重を十分なものとするためにも、8以上であるのが好ましい。中でも、9以上であるのがより好ましく、10以上であるのがさらに好ましい。熱可塑性樹脂組成物の比重を上記の範囲に調整するには、例えば比重0.95のSIBS(スチレン含量30%)を単独で熱可塑性エラストマーとして用いた場合には、タングステン粉末の含有割合が92.7重量%以上(比重8)、94.1重量%以上(比重9)または95.2重量%以上(比重10)となるように調整すればよい。
【0034】〔高比重熱可塑性樹脂組成物の調製方法〕本発明に係る高比重熱可塑性樹脂組成物の調製方法については特に限定されるものではなく、例えば単軸または2軸押出機を用いて、上記熱可塑性エラストマーとタングステン粉末とを溶融混練する方法等、従来公知の種々の方法を採用することができる。また、高比重熱可塑性樹脂組成物の成形方法についても特に限定されるものではなく、例えば射出成形法、圧縮成形法等の、公知の種々の方法を採用することができる。
【0035】本発明に係る高比重熱可塑性樹脂組成物は、前述のように、射出成形法、圧縮成形法等の種々の成形法を採用することができ、成形性、加工性に極めて優れている。さらに、本発明の高比重熱可塑性樹脂組成物には、使用済みになった同組成物を溶融、成形することにより、リサイクルできるという利点がある。
〔高比重熱可塑性樹脂組成物の利用分野〕以上のように、本発明の高比重熱可塑性樹脂組成物は、成形しやすく、常温において柔軟性を有する熱可塑性エラストマーと高比重のタングステン粉末とをブレンドする構成を採用したため、鉛と同等もしくはそれ以上の高比重でありながら、しかも適度な柔軟性が確保されることになり、特に、毒性のある鉛製のバランスウェイトの代替物として使用することができるほか、種々のスポーツ用具、電気・電子部品、機械部品等の、様々な用途に使用することができる。
【0036】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。
〔タングステン粉末のシランカップリング処理〕
参考例シラン系カップリング剤として、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン〔SH6020、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製〕を使用した。
【0037】高速撹拌翼付き混合槽(スーパーミキサー)でタングステン粉末を撹拌しつつ、上記シランカップリング剤を0.3重量%滴下して、槽内温度が120℃になるまで撹拌を続けた。その後、冷却し、シラン系カップリング処理済タングステン粉末として、以下の実施例および比較例に使用した。
〔高比重熱可塑性樹脂組成物の作製〕
実施例1ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレントリブロック共重合体(SIBS、スチレン含量17重量%、数平均分子量Mn=106000)と、上記参考例で得られた、あらかじめシラン系カップリング剤による処理を施したタングステン粉末とを、4.5重量%:95.5重量%となるように混合した。次いで、これを高速撹拌翼付き混合槽(スーパーミキサー)で予備混合した後、押出機で溶融混練して、ペレットを得た。さらに、このペレットを加熱乾燥した後、射出成形機で長さ100mm、幅25mm、厚さ2.0mmの成形品を得た。
【0038】射出成形機の温度は240℃、金型温度は60℃とした。こうして得られた成形品の密度は10.3g/cm3 で、室温で人力により容易に曲げ得る程度の柔軟性を有していた。また、JIS K 7215「プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法」の規定に従って、タイプDデュロメータにより測定した表面の硬さHDDは22であった。
実施例2上記のSIBSとタングステン粉末との混合割合を3重量%:97重量%としたほかは、実施例1と同様にして成形品を得た。
【0039】成形品の密度は12.2g/cm3 であって、実施例1の成形品よりは硬いものの、なお十分な柔軟性を有していた。また、タイプDデュロメータにより測定した表面の硬さは30であった。
比較例1上記のSIBSとタングステン粉末との混合割合を2重量%:98重量%としたほかは、実施例1と同様にして成形品を作製しようとしたところ、溶融混練時の押出機の負荷が過大となり、ペレットを得ることができなかった。
【0040】比較例2上記のSIBSに代えて、ナイロン−6を使用し、このナイロン−6とタングステン粉末との混合割合を5.7重量%:94.3重量%とし、射出成形機の温度を260℃としたほかは、実施例1と同様にして成形品を得た。成形品の密度は10.1g/cm3 であって、タイプDデュロメータにより測定した表面の硬さも90と硬く、素手では容易に曲げられなかった。




 

 


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