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発明の名称 無機多孔質マイクロカプセルを含むゴム組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−64446(P2001−64446A)
公開日 平成13年3月13日(2001.3.13)
出願番号 特願平11−246973
出願日 平成11年9月1日(1999.9.1)
代理人 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎 (外2名)
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002 AC011 AC031 AC061 AC071 AC081 AC091 BB151 EN027 EV026 EV036 EV066 FA096 FA097 FB076 FB077 FB286 FB287 FD010 FD156 FD157 GM00 GM01 GN01 
発明者 西岡 和幸 / 八木 則子 / 村岡 清繁
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 無機多孔質粒子に次の一般式(1)〜(5)で表わされるメルカプト化合物を芯物質として充填された無機多孔質マイクロカプセルを含有することを特徴とするゴム組成物。
【化1】

1は炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基R2〜R5は炭素数1〜6のアルキル基である。
【請求項2】 請求項1記載の無機多孔質マイクロカプセルと無機多孔質粒子に次の一般式(6)で表わされるアミン化合物を芯物質として充填された無機多孔質マイクロカプセルを含有することを特徴とするゴム組成物。
【化2】

1、R2、R3は水素または炭素数1〜22のアルキル基で一分子中でR1、R2、R3は同一でも異なってもよい。
【請求項3】 前記無機多孔質粒子がケイ酸塩からなる請求項1または2記載のゴム組成物。
【請求項4】 前記無機多孔質粒子の粒子径が0.5〜100μmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2記載のゴム組成物。
【請求項5】 前記一般式(1)〜(5)で表わされるメルカプト化合物の沸点が150℃以下であることを特徴とする請求項1または2記載のゴム組成物。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はタイヤ、ベルト、ローラ等のゴム製品に用いられるゴム組成物に関し、加工性を低下させることなく、加硫時間を短縮するために用いられる無機多孔質マイクロカプセルを含むゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的にゴム製品は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム等のゴム成分にカーボンブラック等の補強剤、軟化剤、老化防止剤および加硫反応させるための加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤等をバンバリーで混練りしてゴム組成物となし、それを熱プレスで圧力を加えて加熱して作る。これらのゴム製品の製造工程においては、加硫工程のサイクルタイムがその前後の工程に比べて長く、ゴム製品の生産性の向上には加硫工程のサイクルタイムを短くすること、すなわち加硫時間を短縮することが不可欠となっている。
【0003】従来よりこの加硫時間を短縮するために、種々の検討が行なわれてきた。たとえばゴム組成物の配合処方においては、加硫促進剤に加硫速度の速いものを選択すること、またチウラム系の加硫促進剤を併用することにより加硫時間を短くすることが試みられている。一方、加工方法の面からは、ゴム組成物をできるだけ高温でモールド内で注入する加工方法であるインジェクションによる加硫を採用することで、加硫時間を短くすることが行なわれており、従来の加硫工程では最も加硫時間を短くできる加工方法であるとされている。
【0004】しかしながら、上記のように加硫促進剤の選択によりゴム組成物の加硫速度を速くして加硫時間の短縮を行なった場合、加硫時間を短くすることができるが、同時に加硫温度以下の比較的低温領域でも加硫反応は進行して、スコーチしやすい不安定なゴム組成物となり、加工性、作業性が悪化するという問題があった。
【0005】なお、従来無機多孔質粒子を担体として各種化合物を配合する技術として次のものがある。特開平11−157303、特開平11−71480、特開平10−292066、特開平9−302153、特開平5−17705。しかしながら、これらの先行技術はいずれも加硫速度の促進に関する技術ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、ゴム組成物を加硫する際に、ゴム組成物に付与される温度に応じて加硫を促進し得る内包物が拡散することにより、加工性、作業性を低下させることなく加硫速度を短縮してゴム製品を得ることのできる無機多孔質マイクロカプセルを用いたゴム組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、無機多孔質粒子にメルカプト化合物またはアミン化合物を充填ないし含浸吸着させることにより、加硫する際にゴム組成物に付与される温度に応じて充填されたメルカプト化合物またはアミン化合物がマイクロカプセルの内孔から壁材を移行してゴム組成物に拡散し加硫反応を促進させることを発見し、本発明を完成した。すなわち、本発明は無機多孔質粒子に下記の一般式(1)〜(5)で示されるメルカプト化合物を芯物質として充填ないし含浸させてなる無機多孔質マイクロカプセルを含有することを特徴とするゴム組成物である。
【0008】
【化3】

【0009】ここでR1は炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基、またR2〜R5は炭素数1〜6のアルキル基である。
【0010】さらに本発明は無機多孔質粒子に前記式(1)〜(5)で表わされるメルカプト基を含む化合物を芯物質として充填された無機多孔質マイクロカプセルと次の一般式(6)で示されるアミン化合物を芯物質として充填された無機多孔質マイクロカプセルを有することを特徴とするゴム組成物である。
【0011】
【化4】

【0012】なお一般式(6)中のR1、R2、R3は水素または炭素数1〜22のアルキル基である。また一分子中におけるR1、R2、R3は相互に同じであっても異なってもよい。
【0013】さらに本発明は前記無機多孔質粒子が好ましくはケイ酸塩であり、粒子径範囲が0.5〜100μmである。さらに前記メルカプト化合物およびアミン化合物は沸点が150℃以下の1級または2級アミンが好適に用いられる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる無機多孔質粒子を構成する無機材料としてはケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のアルカリ土類金属のケイ酸塩、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩などが挙げられる。
【0015】無機多孔質粒子の粒径は加硫ゴムの物性への影響を抑えるために、粒子径範囲が0.5〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは0.5〜30μmである。そして無機多孔質粒子は好ましくは内部が中空の球形微粒子である。
【0016】次に本発明で芯物質に用いられる前記一般式(1)〜(5)で表わされるメルカプト化合物の具体例としては、エタンチオール、n−プロパンチオール、i−プロパンチオール、n−ブタンチオール、i−ブタンチオール、s−ブタンチオール、t−ブタンチオール、n−ペンタンチオール、i−ペンタンチオール、1,2−エタンジチオール、チオ酢酸、メルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、チオフェノール、2−メルカプトエタノール、チオグリセロールである。
【0017】また前記一般式(6)で表わされるアミン化合物の具体例はプロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン等が挙げられ、加硫促進効果およびカプセル化効果の点から、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン等が好ましい。
【0018】なお前記メルカプト化合物およびアミン化合物の沸点は150℃以下であることが好ましい。沸点が150℃を超えると加硫時の温度においてもアミン化合物およびメルカプト化合物が前記マイクロカプセルから拡散するのが十分でなく加硫促進効果が低下する。またアミン化合物は第一級アミンまたは第二級アミンが同様な理由で好ましい。
【0019】次に本発明の無機多孔質マイクロカプセルの製法は前記無機多孔質粒子を密封容器内で真空排気した後前記メルカプト化合物またはアミン化合物を単独もしくはメルカプト化合物またはアミン化合物の水溶液あるいは有機溶媒で希釈して前記容器に注入する。メルカプト化合物またはアミン化合物は孔を通して中空の粒子の内部に浸透する。その後必要により水洗し、乾燥させて本発明の無機多孔質マイクロカプセルが得られる。なおメルカプト化合物またはアミン化合物は無機多孔質粒子の中空内部あるいは粒子の表面に物理吸着された状態となっている。したがって、本発明はマイクロカプセルの意味は芯物質としてのメルカプト化合物またはアミン化合物が無機多孔質粒子の中空部分にのみ充填ないし含浸されているもののほか、中空部分と粒子表面にもメルカプト化合物またはアミン化合物が吸着されていてもよい。
【0020】なお、本発明においてメルカプト化合物とアミン化合物を同時に無機多孔質粒子に充填したマイクロカプセルを用いることもできる。
【0021】本発明の無機多孔質マイクロカプセルをゴム組成物に配合して加硫すると、所定温度で徐々にメルカプト化合物またはアミン化合物が放出拡散され加硫を促進されるため、従来の加硫促進の速い加硫促進剤を用いた場合におけるスコーチの問題もなく加硫条件の調整が可能となる。
【0022】次に本発明に使用されるゴム成分は、天然ゴム(NR)および/またはジエン系合成ゴムである。本発明において用いるジエン系合成ゴムとしては、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等が挙げられ、本発明に使用されるゴム成分中に1種類または2種類以上含まれていてもよい。
【0023】次に本発明のゴム組成物はその製品の用途に応じて充填剤として、カーボンブラックを含むことができる。カーボンブラックの配合量は上記ゴム成分100重量部に対して10〜100重量部であることが好ましい。そして使用するカーボンブラックの例としては、HAF、ISAF、SAF等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0024】また本発明のゴム組成物はシリカ等の白色充填剤を含んでもよい。白色充填剤としては具体的には、シリカ、クレー、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられ、これらは単独あるいは2種以上混合して用いることができる。特に好ましい白色充填剤としては、シリカ、クレー、水酸化アルミニウム、アルミナである。そしてゴム組成物中に含まれる白色充填剤の配合量は、その製品の用途に応じてゴム成分100重量部に対して0〜100重量部、好ましくは0〜85重量部の範囲で決定される。また白色充填剤を使用する場合、充填剤とゴム成分の結合を強め耐摩耗性を向上させるためにカップリング剤を、特にシランカップリング剤を用いることが好ましい。そして分散効果、カップリング効果を高めるためシランカップリング剤の配合量は、白色充填剤100部に対して通常2〜15重量%である。
【0025】なお、本発明のゴム組成物には、上記ゴム成分、カーボンブラック、白色充填剤、カップリング剤、無機多孔質マイクロカプセル以外に、必要に応じて軟化剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤等の通常のゴム工業で使用される配合剤を適宜配合することができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0027】粒子径範囲が0.5〜6μmの中空多孔質シリカ球形粒子(鈴木油脂工業(株)製のゴッドボールB−6C)50gを三角フラスコにとり、ガラス真空容器中にセットして1時間真空排気した後、1mol/Lのメルカプト化合物またはアミン化合物の水溶液20gを浸透させる。常圧にして24時間放置した後、ろ別、水洗、乾燥させてアミン化合物を内包した無機多孔質シリカのマイクロカプセルを得た。なお本発明のサンプルとして次の2種類のメルカプト化合物および2種類のアミン化合物を用いた。
【0028】
サンプル1:ブチルアミンサンプル2:ジイソプロピルアミンサンプル3:n−ペンタンチオールサンプル4:メルカプトエタノール配合処方を表1に示す。上記のようにして得られたサンプル1〜4および加硫剤以外をバンバリーミキサーで混練りしてマスターバッチを作製した後、8インチロールにてマスターバッチと加硫剤およびサンプル1〜4をそれぞれ混練りして調製した。これらの配合物を170℃で20分間プレス加硫して加硫物を得、物性を評価した。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】得られたゴム組成物の評価は次の方法によって行なった。
(1) ゴム焼け試験ムーニー試験機を用いてJIS K6300に基づき、ゴム焼けの指標としてT10を測定した。
【0032】T10は■未加硫ゴム初期状態、■未加硫ゴムを100℃で1時間オーブンに入れた後、■未加硫ゴムを100℃に設定したロールに1時間巻き付けた後、それぞれ測定した。また上記■の表面肌のゴム焼け状態を外観で次のように評価した。
【0033】
○:表面肌が良好(ゴム焼けなし)
△:表面肌が少しざらざら(ゴム焼け少し発生)
×:表面肌がざらざら(ゴム焼け発生)
(2) 加硫速度キュラストメーターを用いて評価した。すなわちキュラストメーターによるねじりトルクの最大値と最小値との差の10%+最小値に達するまでの時間をT10、90%+最小値に達するまでの時間をT90とした。測定温度130℃、150℃、170℃の各温度で測定を行なった。加硫速度はT10およびT90の値が短いほど加硫が速いことを示す。
【0034】(3) 引張強度JIS 6301に準拠して測定を行なった。
【0035】表2からメルカプト化合物のマイクロカプセルを用いた実施例3および4、特にメルカプト化合物のマイクロカプセルとアミン化合物のマイクロカプセルを併用した実施例1および2は、いずれもT10、T90の時間が従来技術の比較例1より短く加硫時間が短縮されていることがわかる。一方、比較例4は、T10、T90の値が小さいが、シートの表面肌が悪くゴム焼けが発生している。なお比較例2および3は本願出願人の別途特許出願中の発明である。
【0036】今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0037】
【発明の効果】本発明は無機多孔質粒子の中空部分にメルカプト化合物またはこれに加えてアミン化合物を充填ないし含浸しており、ゴム組成物に配合し加硫する際、アミン化合物が所定温度で徐々に放出、拡散され、安定した加硫条件の選定が可能となる。さらに得られた加硫ゴムの強度、伸び等の基本物性を損なうことはない。




 

 


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