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発明の名称 熱転写記録液
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−342384(P2001−342384A)
公開日 平成13年12月14日(2001.12.14)
出願番号 特願2000−166732(P2000−166732)
出願日 平成12年6月2日(2000.6.2)
代理人 【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃 (外2名)
【テーマコード(参考)】
2C056
2H086
4J039
【Fターム(参考)】
2C056 EA25 FA03 FA13 FC02 
2H086 BA03 BA54 BA55 BA59
4J039 AC01 AE11 BC05 BC11 BC15 BC20 BC56 BC67 BE05 BE08 BE12 BE22 BE23 CA04 DA01 EA42 GA06
発明者 松本 達彦
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 溶媒と、色素と、下記化1に示すドデカクロロペンタシクロオクタデカジエン、又は下記化2に示すリン酸トリクレジルとを含有していることを特徴とする熱転写記録液。
【化1】

【化2】

【請求項2】 凹凸構造を有するインク転写部に毛管現象によって保持され、記録する情報に応じて加熱手段により加熱され、被転写体に対して飛翔することで、上記被転写体に情報を記録するプリンタに用いられることを特徴とする請求項1記載の熱転写記録液。
【請求項3】 上記色素がアントラキノン系の物質であることを特徴とする請求項1記載の熱転写記録液。
【請求項4】 上記溶媒に、下記化3に示すジエチレングリコールジブチルエーテルが含まれていることを特徴とする請求項1記載の熱転写記録液。
【化3】

発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印画紙などの被転写体に文字や画像などの情報を記録するためのプリンタに用いられる熱転写記録液に関する。特に、熱転写記録液をインク転写部に保持し加熱手段により加熱することによって熱転写記録液を飛翔し、記録を行うプリンタに用いられる熱転写記録液に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、個人あるいはスモールオフィス・ホームオフィスと呼ばれる小規模なオフィス向けプリンタに対するカラー化のニーズが急激な高まりを見せている。これに対応して、昇華型熱転写方式、溶融熱転写方式、オンデマンド型インクジェット方式、電子写真方式などのカラーハードコピー方式が提案されている。
【0003】上記用途向けプリンタに要求される項目としては、銀塩写真並の画像品位を満足すること、A6サイズの画像を10秒以内に出力すること(6ppm以上)、ランニングコストが銀塩写真以下であること、装置コストが10万円以内であることなどが挙げられる。しかしながら、上記の要求を全て満たすプリンタは未だ実現されていない。
【0004】そこで、上記のような要求を満たすプリンタの実現のために、種々の新しい方式の熱転写方式が提案されている。その一つに、例えば、特開平9−183239号公報や特開平9−183246号公報に記載されるような熱転写記録方式が提案されている。
【0005】この方式では、プリンタヘッドの転写部において熱転写記録液、すなわちインクを加熱することによって、インクを気体状や直径が20μm以下である微小液滴として飛翔させ、それを、例えば、10〜300μm程度のギャップを介して対向配置されたプリンタ用紙などの被転写体表面に付着させて転写を行う。
【0006】転写部には、例えば、幅又は径が2μm程度、高さ6μm程度の多数の柱状体を互いに2μm程度の微小間隔で立設配置した凹凸構造によるインク保持構造が設けられ、このインク保持構造の下にヒータが設けられて、転写部が構成されている。
【0007】このようなインク保持構造を転写部に設けることにより、以下に示す効果が得られる。
【0008】(1)毛管現象によりインクが自発的に転写部に供給される。
【0009】(2)大きな表面積により、インクを効率的に加熱することができる。
【0010】(3)柱状体の高さを適宜に設定することにより、常に所定量のインクを転写部に保持させることができる。
【0011】(4)液体の表面張力は一般に負の温度係数をもつので、局所的に加熱されたインクは、温度の低い外周部へ向かう力を受けるが、インク保持構造によりその移動が最小限に抑制されて、転写感度の低下が防止される。
【0012】したがって、このようなインク保持構造を設けることにより、転写部での加熱に応じた量のインクを飛翔させて、プリンタ用紙などに転写することができ、インク転写量の連続的な制御、すなわち、画素内での濃度階調が可能となる。この結果、例えば、銀塩カラー写真に匹敵する高品位の画像を得ることができる。
【0013】また、インクリボンなどを使用する必要がないためにランニングコストが低くなる。さらに、普通紙に対し吸収性の良いインクを用いることや、普通紙にインク受容層をコーティングすることなどによって、普通紙もしくは普通紙と同等である非常に安価な記録紙へ転写することも可能となるので、このことによってもランニングコストが低くなる。
【0014】また、この方式は、インクへの熱的作用による飛翔を利用したものであるため、インクを加熱するプリンタヘッドの転写部をプリンタ用紙などの被転写体に高い圧力で押し付けることはもちろん、接触させる必要もない。したがって、他の熱転写方式では往々にして起こり得た、インクリボンなどのインク加熱部とプリンタ用紙などとの熱融着の問題も発生しない。
【0015】すなわち、この熱転写記録方式によれば、既述した染料拡散熱転写方式と同様、プリンタの小型化、軽量化などが可能となると同時にインクリボンなどの不使用による廃棄物の低減及びランニングコストの低下を達減できる。また、この熱転写方式によれば、印画するときの保守容易性、即時性、並びに印画された画像の高品位性などが保証されると同時に、消費電力を下げることや普通紙を使用することによる低コスト化も可能とある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したような熱転写記録方式においては、プリンタ及び熱転写方式などと共に、それに使用されるインク及び印画紙の開発も進められている。
【0017】そして、熱転写記録方式に用いられるインクの色素は、特開平9−183239号公報及び特開平9−183246号公報においては、所定の沸点をもっていること、必要十分な濃度がとりやすいことを利点として有することから、油溶性染料、特に分散染料が好ましいと記されている。
【0018】しかし、上述した公報に記載されたインクを用いた場合には、必要十分な印画濃度を得るために、印画時に多くのエネルギー、すなわち電力を必要としていた。また、十分な印画濃度を得ることが困難であると同時に、印画寿命も不十分であった。
【0019】本発明は、このような従来の実情に鑑みて創案されたものであり、熱転写記録方式において低電力で且つ優れた濃度で印画することが可能であると共に、印画寿命が長い熱転写記録液を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】熱転写記録液は、色素と溶媒とを混合して作製され、ここに必要に応じて添加物が添加されている。発明者らは、鋭意研究を行った結果、ドデカクロロペンタシクロオクタデカジエンなどを添加することにより、熱転写記録方式において優れた印画が可能となることを見いだすに至った。
【0021】本発明に係る熱転写記録液は、溶媒と、色素と、下記化4に示すドデカクロロペンタシクロオクタデカジエン、又は下記化5に示すリン酸トリクレジルとを含有していることを特徴とする。
【0022】
【化4】

【0023】
【化5】

【0024】したがって、本発明に係る熱転写記録液は、熱転写記録方式のプリンタに用いて印画を行ったときに印画濃度が良好になると共に、印画寿命が十分に長いものとなる。また、印画のときにプリンタによって消費されるエネルギーが少なくなる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した熱転写記録液について図1乃至図9を参照して詳細に説明する。
【0026】まず、本発明を適用した熱転写記録液、すなわちインクについて説明する。
【0027】本発明に係るインクは、ベースプレート上に配設されたヒータチップと、ヒータチップに形成された加熱手段と、ヒータチップ上にヒータチップの長手方向にわたって1列以上のライン状に配設された凹凸構造を有する転写部とを備え、転写部に毛管現象によって保持されたインクを、記録する情報に応じて加熱手段により加熱することによって、インクを気体状及び/又は液体状で被転写体に向けて飛翔させて被転写体に情報を転写する、いわゆる熱転写記録方式のプリンタに使用されるものである。すなわち、上述したインクは、いわゆる熱転写記録方式のプリンタヘッドに収容されて使用される。
【0028】ここで、上記「飛翔」とは、例えばヒータなどの加熱手段による加熱のために起こる気化、蒸発、及びインクの対流によって、インクを飛翔させることを意味する。なお、上述したインクの対流の原因としては、インク液面の表面張力が不均一であること、インクを構成する成分の沸騰によってインクの体積が膨張すること、インク内の溶存空気が膨張すること、インクが熱膨張すること、及びヒータ又は毛管構造が熱膨張することなどが挙げられる。
【0029】本発明を適用したインクは、色素(染料又は顔料)と、溶媒と、添加剤とから構成される。色素、溶媒、及び添加剤は、プリンタ1によって印刷する画像の転写温度、熱安定性、画像品質、及び保存安定性が最適なものとされるように、材料や成分組成比などが決定される。
【0030】本発明においては、インクに対する添加剤として、下記化6及び化7に示すようなドデカクロロペンタシクロオクタデカジエン又はリン酸トリクレジルを添加する。
【0031】
【化6】

【0032】
【化7】

【0033】このことにより、熱転写記録方式のプリンタに用いて印画を行った際、必要十分な印画濃度を得ると同時に、印画寿命が増加する。なお、印画寿命とは、必要十分な印画濃度で印画できる回数を意味する。
【0034】また、その他の添加剤も、インクの物性値を調整するために必要に応じて添加しても良い。このような添加剤としては、界面活性剤、粘度調整剤、防腐剤などが挙げられる。これらの添加剤は、溶媒及び色素と同程度の沸点を有する。具体的には界面活性剤として、フッ素化した脂肪酸エステル、シリル化した脂肪酸エステル、シリコンオイルなどを使用することができる。また、粘度調整剤として、グリセリン、テトラエチレングリコールなどを使用することができる。
【0035】色素は、十分な耐熱性を有すること、後述する溶媒に対して十分に溶解すること、印画紙上における保存性が十分であること、人体に対する毒性が低いことという条件を満たすものであれば、いずれの化合物でも使用することができる。
【0036】具体的には、色素として分散染料、油溶性染料、塩基性染料などを使用することが好ましい。また、特開平8−244366号広報に記載されているアントラキノン系マゼンダ染料、及びアントラキノン系シアン染料などアントラキノン系染料を使用することがより好ましい。アントラキノン系染料を使用したときに、ドデカクロロペンタシクロオクタデカジエン又はトリクレジルリン酸を添加することによって、印画濃度が上昇し、印画寿命が長くなる。
【0037】なお、これらの染料は、気化残滓の低減と、熱分解物の記録部への付着とを防止するため、昇華精製法、再結晶法、ゾーンメルティング法、及びカラム精製法などの方法によって精製してから使用することが望ましい。また、これらの染料は、後述する溶媒に対する溶解度を向上させるために、2種類以上混合して使用しても良い。
【0038】これらの染料は、後述する溶媒に対して5重量%以上含有させることが好ましい。また、後述する溶媒に対して10重量%以上含有させることが更に好ましく、20重量%以上含有させることが最も好ましい。
【0039】溶媒は、融点が50℃未満であり、熱分解温度が高く、色素との相溶性が高く、無色であり、且つ人体に対する毒性が低いものであれば、いずれの化合物でも使用することができる。
【0040】具体的にはフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソデシルなどのフタル酸エステル類や、セバシン酸ジブチチル、セバシン酸ジオクチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジオクチルなどの脂肪酸2塩基酸エステル類や、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチルなどのリン酸エステル類や、アセチルクエン酸トリブチル、ブチルフタリルブチルグリコレートなど、一般にプラステチック用可塑剤と称される有機化合物類などを使用することができる。また、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールジブチルエーテル、及びジエチルエーテルなども使用することができる。
【0041】また、上述した化合物を2種類以上混合して溶媒としても良い。溶媒には、下記化8に示すような、ジエチレングリコールジブチルエーテルを含有させることが好ましい。ジエチレングリコールを含有させることにより、印画濃度が高く且つ安定したものとなる。
【0042】
【化8】

【0043】また、溶媒としては、上述したような親油性の化合物を使用することが望ましいが、水、グリコールを使用することも可能である。
【0044】つぎに、上述したインクを備えたプリンタによる印画に適した印画紙について説明する。
【0045】この記録方式に適した印画紙としては、PPC用紙などの普通紙、アート紙などの上質紙などを用いることができる。そして、特に階調性と濃度が高い高品質の画像を得るためには、分散染料又は油溶性染料を発色させる樹脂として、ポリエステル、ポリカーボネート、アセテート、セルロースアセテートブチレート(CAB)、ポリ塩化ビニルなどを基材上に塗布して作製した専用紙も用いることができる。
【0046】インクの吸収速度を向上させるためには、シリカ、アルミナのような多孔質顔料を添加する。特に高品位の記録、例えば、平滑性、発色性、光沢性、インク吸収速度という観点からいえば、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムなど、フィルムベースに光沢性をもたせるために0.1μm以下のサイズの多孔質顔料を添加した受像層を有する印画紙が優れている。
【0047】転写された画像の保存安定性を向上させるためには、受像層中に紫外線吸収剤やラジカルクエンチャーなどの添加物を添加することにより効果が得られる。また、転写後の印画紙に樹脂フィルムをラミネートすることも有効である。
【0048】以上の説明からも明らかなように、本発明を適用したインクは、添加剤としてドデカクロロペンタシクロオクタデカジエン又はリン酸トリクレジルが添加されることにより、熱転写記録方式のプリンタに用いて印画を行ったときに、必要十分な印画濃度を得ることができる。また、本発明を適用したインクは、熱転写記録方式のプリンタに用いて印画を行ったときに、印画寿命が増加すると同時に、プリンタが消費する電力を減らすことが可能となる。
【0049】つぎに、上述したインクを使用するプリンタ1について説明する。プリンタ1は、熱転写記録方式を採用している。
【0050】プリンタ1は、図1に示すように、紙送り機構2と、画像記録デバイス3とを備える。
【0051】紙送り機構2は、印画紙4を収納する用紙トレー10と、用紙トレー10に収納された印画紙4を挟むように支持し、後述するプリンタヘッドへ供給する給紙ローラ11と、1つのプリンタヘッドへ供給された印画紙4を送り、次のプリンタヘッドへ供給するプラテンローラ12と、プリンタヘッドによって印画された印画紙4を排出する排紙ローラ13とを備える。なお、本実施の形態におけるプラテンローラ12は、表面がシリコンゴムによって形成され、16mmの直径を有するものとする。
【0052】画像記録デバイス3は、プラテンローラ12に対向して配置され、印画紙4へ印画するプリンタヘッド20Y,20M,20C(以下、プリンタヘッド20と総称する。)と、プリンタヘッド20を冷却する冷却フィン21と、インクを貯蔵するインクタンク22と、後述するように、プリンタヘッド20に備えられているヒータチップを加熱するための駆動パルスなどの信号を供給するフレキシブルハーネス23とを備える。
【0053】上述したプリンタ1においては、先ず、給紙ローラ11によって用紙トレー10から印画紙4が取り出され、プリンタヘッド20Yへ供給される。そして、プリンタヘッド20Yから印画紙4へインクが飛翔する。なお、本実施の形態では、プリンタヘッド20Yから飛翔するインクの色は、イエローとする。次に、印画紙4は、プラテンローラ12によってプリンタヘッド20Yからプリンタヘッド20Mへ供給される。そして、プリンタヘッド20Mから印画紙4へインクが飛翔する。なお、本実施の形態では、プリンタヘッドMから飛翔するインクの色は、マゼンダとする。次に、印画紙4は、プラテンローラ12によってプリンタヘッド20Mからプリンタヘッド20Cへ供給される。そして、プリンタヘッド20Cから印画紙4へインクが飛翔する。なお、本実施の形態では、プリンタヘッドCから飛翔するインクの色は、シアンとする。このようにして印画された印画紙4は、排紙ローラ13によって、プリンタ1の外部へ排出される。なお、プリンタヘッド20は、冷却フィン21と後述するヒータとによって一定の温度に保たれている。
【0054】以下では、上述したプリンタヘッド20について詳細に説明する。プリンタヘッド20は、図2に示すように、ベースプレート30と、ヒータチップ31と、記録部32と、エッジ33と、ドライバIC34と、インク通路35と、カバー36とを備える。また、プリンタヘッド20は、フレキシブルハーネス23を介してヘッド駆動用回路(図示せず。)に接続されている。
【0055】ベースプレート30は、インクをプリンタヘッド20内に導入するための記録部32と、ヒータチップ31とをベースプレート30に貼着するときにはみ出す余分な接着剤の逃げ場となる溝が形成されている。ベースプレート30は、例えばアルミなどによって形成されている。また、ベースプレート30は、ヒートシンクを兼ねている。
【0056】ヒータチップ31は、画像情報に応じてヒータにより加熱される転写部と、その転写部へ毛管現象によりインクを導くインク導入路とが一体的に形成されている。また、ヒータチップ31には、インクを加熱するための複数のヒータと、各ヒータにそれぞれ画像信号に基づいた信号電圧を印加し通電するための配線と、上述したインク導入路とがリソグラフィープロセスにより形成されている。
【0057】記録部32は、ヒータチップ31の先端に複数形成されており、印画紙4に対してインクを飛翔する。また、記録部32は、1つ1つヒータ(図示せず。)を有する。本実施の形態においては、記録部32は300dpiで1216箇所に等間隔に形成されている。
【0058】エッジ33は、印画紙4が接触する部位である。このことにより、印画紙4とヒータチップ31との角度を適切に固定し、印画紙4とヒータチップ31との空隙を保持する。なお、本実施の形態では、印画紙4とヒータチップ31との空隙を160μmとし、記録部32とエッジ33との距離を200μmとした。
【0059】ドライバIC34は、ヒータの駆動パルスを各ヒータチップ31のヒータへ供給する部位である。なお、ドライバIC34へヒータの駆動パルスを供給するのは、フレキシブルハーネス23である。
【0060】インク通路35は、インクタンク22から供給されたインクを各記録部32へ供給する。インク通路35は、ベースプレート30上へ形成されており、カバー36によって被覆され、保護されている。
【0061】上述したプリンタヘッド20におけるインクの移動は、以下の通りである。先ず、インクタンク22から供給されたインクがインク通路35を通過した後、ヒータチップ31とカバー36との間隙を通過して、ヒータチップ31におけるインク導入路へ供給される。次に、毛管現象によってインク導入路から転写部へインクが導かれる。そして、転写部から記録部32へインクが供給され、記録部32から印画紙4上へインクが排出される。
【0062】また、上述したプリンタヘッド20におけるヒータの駆動パルスの伝達は、以下の通りである。先ず、フレキシブルハーネス23から、図3に示すような駆動パルスがドライバIC34を通してヒータチップ31に備えられているヒータに伝えられる。そして、転写部が加熱されることによってインクが加熱され、加熱されたインクが、記録部32から印画紙4上へ飛翔する。なお、図3に示した駆動パルスは、デューティが80%であり、短矩形であり、50kHzである。このような駆動パルスによってヒータが周期的に加熱され、転写部のインクを過熱する。
【0063】
【実施例】以下、本発明を適用したインクの印画濃度及び印画寿命について、実施例に基づいて実施例に基づいて説明する。
【0064】実施例1最初に、インクを調整した。先ず、ジエチレングリコールジブチルエーテルを99.89重量%と、ドデカクロロペンタシクロオクタデカジエンを0.11重量%とを混合して溶媒を作製した。次に、アントラキノン系シアン染料のアミノ基をブチル基に置換した染料をカラムで精製した。次に、上述した溶媒を90重量部と、精製した染料を10重量部とを混合した。そして、超音波撹拌機で染料が完全に溶解するまで撹拌し、シアンインクを作製した。
【0065】つぎに、作製したインクをプリンタヘッドのカートリッジに導入した。このとき、インクは毛管現象によって記録部の柱構造に達してメニスカスを形成した。ヒータ中心部におけるインク液面の厚さは、6μmであった。
【0066】つぎに、プリンタヘッドのヒータに対して、図3に示すような、デューティー80%で矩形の50kHzの駆動パルスを与えて転写部のインクを周期的に加温した。1つの画素に対して画像データに応じて最大255回この駆動パルスを印加した。駆動パルス印加時間(255×20μsec=5.1msec)とインク液面を回復させるための休み時間0.9msecを加えた1画素を形成する時間(周期)は6msec(167Hz)になる。なお、印加する電力は、1つのヒータあたり130mWとした。
【0067】この連続した駆動パルスをヒータに加えることにより、転写部のインクが最大約0.11plのミストや霧として噴出して、100μmのギャップを飛翔して印画紙に付着する。印画紙に付着したインクは直ちに吸収・発色した。なお、パルス印加時間は大変短いので、1画素を形成する時間(周期)毎にプリンタヘッドの柱構造による毛管現象は生じるため、インク液面は完全に初期の状態に戻り、次の画素を印字できる。
【0068】また、このとき、印画紙は、表面に数μmの多孔質構造を有し、油溶性染料及び溶媒と相性の良いバインダー樹脂が用いられているピーチコート紙(日清紡製)を使用した。
【0069】上記において行った印画結果に対して、マクベス濃度計TR−924(商品名、マクベス社製)を用いて印画濃度の測定を行った。また、印画濃度が最高濃度の50%となるまでの印画回数を数えることによって、印画寿命を測定した。
【0070】実施例2染料として、アントラキノン系マゼンダ染料のアミノ基をブチル基に置換したものを使用した。それ以外は実施例1と同様にしてインクを作製し、プリンタヘッドのカートリッジに導入し、印画濃度と印画寿命とを測定した。なお、印加する電力は、1つのヒータあたりで130mWとした。
【0071】実施例3染料として、トリシアノスチリル系マゼンダ染料のアミノ基をブチル基に置換したものを使用した。それ以外は実施例1と同様にしてインクを作製し、プリンタヘッドのカートリッジに導入し、印画濃度と印画寿命とを測定した。なお、印加する電力は、1つのヒータあたり110mWとした。
【0072】実施例4ジエチレングリコールジブチルエーテルを95重量%とリン酸トリクレジルを5重量%とを混合し、溶媒を作製した。それ以外は実施例1と同様にしてインクを作製し、プリンタヘッドのカートリッジに導入し、印画濃度と印画寿命とを測定した。なお、印加する電力は、1つのヒータあたり140mWとした。
【0073】実施例5染料として、アントラキノン系シアン染料のアミノ基をブチル基に置換したものを使用した。それ以外は実施例4と同様にしてインクを作製し、プリンタヘッドのカートリッジに導入し、印画濃度と印画寿命とを測定した。なお、印加する電力は、1つのヒータあたり140mWとした。
【0074】実施例6染料として、トリシアノスチリル系マゼンダ染料のアミノ基をブチル基に置換したものを使用した。それ以外は実施例4と同様にしてインクを作製し、プリンタヘッドのカートリッジに導入し、印画濃度と印画寿命とを測定した。なお、印加する電力は、1つのヒータあたり130mWとした。
【0075】比較例1ジエチレングリコールジブチルエーテルを溶媒とし、ドデカクロロペンタシクロオクタデカジエンは添加しなかった。それ以外は実施例1と同様にしてインクを作製し、プリンタヘッドのカートリッジに導入し、印画濃度と印画寿命とを測定した。なお、印加する電力は、1つのヒータあたり130mWとした。
【0076】比較例2染料として、アントラキノン系シアン染料のアミノ基をブチル基に置換したものを使用した。それ以外は比較例1と同様にしてインクを作製し、プリンタヘッドのカートリッジに導入し、印画濃度と印画寿命とを測定した。なお、印加する電力は、1つのヒータあたり130mWとした。
【0077】比較例3染料として、トリシアノスチリル系マゼンダ染料のアミノ基をブチル基に置換したものを使用した。それ以外は比較例4と同様にしてインクを作製し、プリンタヘッドのカートリッジに導入し、印画濃度と印画寿命とを測定した。なお、印加する電力は、1つのヒータあたり110mWとした。
【0078】上述した実施例1乃至実施例6、及び比較例1から比較例3についての結果を図4乃至図9に示した。
【0079】図4及び図5示すように、アントラキノン系シアンインクを使用したときには、ドデカクロロペンタシクロオクタデカジエンを添加すると、印画濃度は約2.0倍となり、印画寿命は1.2倍となった。また、リン酸トリクレジルを添加すると、印画濃度は約1.2倍となり、印画寿命は約3倍となった。
【0080】また、図6及び図7に示すように、アントラキノン系マゼンダインクを使用したときには、ドデカクロロペンタシクロオクタデカジエンを添加すると、印画濃度は約1.7倍となり、印画寿命は1.7倍となった。また、リン酸トリクレジルを添加すると、印画濃度は約1.6倍となり、印画寿命は約4倍となった。
【0081】また、図8及び図9に示すように、トリシアノスチリル系マゼンダインクを使用したときには、ドデカクロロペンタシクロオクタデカジエンを添加したときには、印画濃度はほとんど変化せず、印画寿命は約1/2倍となった。また、リン酸トリクレジルを添加したときには、印画濃度は約1.1倍となり、印画寿命も約1.1倍となった。
【0082】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発明を適用した熱転写記録液は、添加剤として、下記化9及び化10に示すような、ドデカクロロペンタシクロオクタデカジエン又はリン酸トリクレジルが添加されることにより、熱転写記録方式のプリンタに用いて印画を行ったときに、必要十分な印画濃度を得ることができる。
【0083】
【化9】

【0084】
【化10】

【0085】また、本発明を適用した熱転写記録液は、熱転写記録方式のプリンタに用いて印画を行ったときの印画寿命が増加すると同時に、プリンタが消費する電力を減らすことが可能となる。
【0086】したがって、本発明によれば、熱転写記録方式の記録装置での印画において、低電力で、かつ印画濃度に優れた高品位な印画が可能となる。




 

 


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