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発明の名称 成膜装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−335929(P2001−335929A)
公開日 平成13年12月7日(2001.12.7)
出願番号 特願2000−160339(P2000−160339)
出願日 平成12年5月30日(2000.5.30)
代理人 【識別番号】100082740
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵基
【テーマコード(参考)】
4K029
5D112
【Fターム(参考)】
4K029 AA11 AA25 BA34 BD11 DA09 DC27 EA00 EA06 
5D112 AA07 FA02 FB21 FB24 FB29
発明者 北川 浩司
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】所定の反応ガスが供給された処理室内の所定間隔離れた位置に互いに対向するように配置された成膜対象及びターゲット間にプラズマを発生させることにより、上記成膜対象に上記ターゲットの表面から弾き飛ばされた所望の大きさの荷電粒子を蒸着させて所望の膜を成膜する成膜装置において、上記成膜対象と上記ターゲットとの間に設けられ、上記プラズマによって上記ターゲットの表面から弾き飛ばされた上記荷電粒子よりも大きな不要粒子をシート部材に付着させて取り除くフィルタ手段を具えることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】上記フィルタ手段は、複数の上記シート部材を有し、当該シート部材を磁界発生手段による磁界によって所定の曲率で湾曲させ、上記不要粒子を上記シート部材の表面に付着させると共に、上記荷電粒子のみを上記磁界の影響によって複数の上記シート部材の隙間から上記成膜対象へ通過させることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】上記成膜装置は、上記プラズマの発光状態を撮像する撮像手段と、上記撮像手段による撮像された撮像結果に基づいて上記不要粒子を検出し、当該不要粒子が上記フィルタ手段に到達するまでの到達時間及び進行方向を予測し、その予測結果に応じて上記磁界発生手段による磁界の強さを制御することにより複数の上記シート部材に対する曲率を微調整する制御手段とを具えることを特徴とする請求項2に記載の成膜装置。
【請求項4】上記成膜装置は、上記フィルタ手段と上記ターゲットとの間に設けられ、上記プラズマによって上記ターゲットの表面からはじき飛ばされた上記不要粒子を除去するシャッター状の開閉手段とを具えることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は成膜装置に関し、例えば蒸着によってビデオテープの表面に保護層として薄膜を成膜する真空蒸着装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来、真空蒸着装置においては通常10-2〜10-4[Torr]程度の真空状態にした真空チャンバ内に例えばカーボンの金属塊でなるターゲットと、成膜対象であるビデオテープとを所定の距離を離して互いに平行になるように配置し、その真空チャンバ内にArの反応ガスを所定の比率で供給し、ターゲットを陰極として当該ターゲット及び陽極間に所定の電位差を生じさせることによりプラズマを発生させる。
【0003】そして真空蒸着装置は、プラズマによってターゲット表面を溶融すると共に、プラズマによってイオン化したAr+ イオンをターゲットに衝突させることによりターゲット表面から炭素の荷電粒子を飛び出させてビデオテープの表面に蒸着することにより、所望のカーボン膜を保護層として成膜するようになされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところでかかる構成の真空蒸着装置においては、ターゲット及び陽極間に生じさせる電位差に応じてプラズマの状態が変化し、アーキングが発生したときにはターゲット表面から飛び出す炭素の粒子がクラスタ状や液滴状になり、それがビデオテープの表面に蒸着したときには保護層の厚さが不均一になるという問題があった。
【0005】また真空蒸着装置においては、アーキングによるクラスタ状や液滴状の粒子がビデオテープの表面に蒸着すると、当該ビデオテープはその表面に大きなダメージを受けるという問題があった。
【0006】本発明は以上の点を考慮してなされたもので、成膜処理中に所望サイズ以外の不要粒子を確実に取り除き、所望の膜質の膜を成膜対象に成膜し得る成膜装置を提案しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するため本発明においては、所定の反応ガスが供給された処理室内の所定間隔離れた位置に互いに対向するように配置された成膜対象及びターゲット間にプラズマを発生させることにより、成膜対象にターゲットの表面から弾き飛ばされた所望の大きさの荷電粒子を蒸着させて所望の膜を成膜する成膜装置において、成膜対象とターゲットとの間に設けられ、プラズマによってターゲットの表面から弾き飛ばされた荷電粒子よりも大きな不要粒子をシート部材に付着させて取り除くフィルタ手段を設けるようにする。
【0008】これにより成膜装置は、荷電粒子よりも大きな不要粒子が成膜対象に蒸着することを防止し得ると共に、荷電粒子だけを成膜対象の表面に蒸着させることができるので、プラズマの状態によって所望の大きさの荷電粒子よりも大きな不要粒子が一部に発生した場合でも所望の膜質の膜を成膜対象の表面に成膜することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0010】図1において、1は全体として本発明の成膜装置としての真空蒸着装置を示し、所定サイズの真空チャンバ2上に、成膜対象であるビデオテープ3を供給及び巻取可能に収納した収納ケース4が固定され、真空チャンバ2の上面に形成された開口部5と収納ケース4の下面に形成された開口部6とが対向するようになされている。
【0011】ここで、真空チャンバ2の上面に形成された開口部5と収納ケース4の下面に形成された開口部6とは、互いに同一形状及び同一サイズで形成されており、収納ケース4内で供給リール7から中間リール8を介して巻取リール9に巻き取られる過程においてビデオテープ3の表面が開口部5及び6を介して露出するようになされている。
【0012】この真空チャンバ2は、その底面近くの側壁に設けられた排気管10を介してターボ分子ポンプ11、スロットルバルブ12及びメカニカルポンプ13が取り付けられており、これにより真空チャンバ2内を排気して例えば10-2〜10-4[Torr]程度の真空状態を保持するようになされている。
【0013】また真空チャンバ2は、その底面に絶縁リング14を介してカソード15が配置されると共に、当該カソード15にはCuでなるバッキングプレート16を介してカーボン等の金属塊でなるターゲット17が取り付けられている。
【0014】ここでカソード15は、その内部に磁界発生用マグネット(図示せず)が内蔵されており、ターゲット17の表面に磁界を発生することにより、プラズマ中の原子をターゲット17に引き付けて衝突し易くしている。
【0015】なお、カソード15とバッキングプレート16との間には絶縁シート18が設けられ、当該絶縁シート18によって真空チャンバ2の底面とバッキングプレート16とを絶縁するようになされている。
【0016】バッキングプレート16及びターゲット17の周囲には、その外周部分を覆うようにシールド板19が設けられており、これによりターゲット17から弾き飛ばされた荷電粒子によってバッキングプレート16が蒸着されることを防止している。なおシールド板19は、グランドに接地されている。
【0017】また真空チャンバ2は、シールド板19とバッキングプレート16との間にガス供給管20の排出口20A及び20Bが2箇所設けられており、CPU(Central Processing Unit )構成のコンピュータ22により各スロットルバルブ23〜27及び混合槽28を制御することにより、プラズマを発生させるために必要な例えばArの反応ガスを所定の比率で供給するようになされている。
【0018】またターゲット17の上方には、真空チャンバ2の側壁に固定されたコイル支持板30に円筒形状の陽極リング31が配置されると共に、当該陽極リング31の周囲に僅かな間隙を介して中空円筒形状の第1コイル32及び第2コイル33が配置されている。
【0019】陽極リング31の背面には冷却プレート34が一体に取り付けられており、当該冷却プレート34に排水管35を介して冷却水を循環させることにより、陽極リング31を冷却するようになされている。
【0020】第1コイル32及び第2コイル33には、その背面に絶縁プレート36が一体に取り付けられると共に、その中空円筒形状の内部に排水管37及び38を介して冷却水を循環させることにより、第1コイル32及び第2コイル33を冷却するようになされている。
【0021】陽極リング31は、可変電源40及び交流電源41に接続されると共に、電圧計42及び電流計43に接続されている。従って真空チャンバ2の外部に設けられたコンピュータ22は、電圧計42及び電流計43によって検出した電圧値及び電流量を基に可変電源40及び交流電源41を制御することにより陽極リング31に対する印加電圧を調整するようになされている。
【0022】ところでカソード15も、可変電源45及び交流電源46に接続されると共に、電圧計47及び電流計48に接続されており、コンピュータ22が電圧計47及び電流計48によって検出した電圧値及び電流量を基に可変電源45及び交流電源46を制御することによりカソード15に対する印加電圧を調整するようになされている。
【0023】従ってコンピュータ22は、陽極リング31及びカソード15に対する印加電圧を調整して所定の電位差を与えることにより、真空チャンバ2内でプラズマを発生させるようになされている。
【0024】これにより真空蒸着装置1は、プラズマによってターゲット17の表面を溶融すると共に、プラズマによってイオン化した反応ガスのAr+ イオンをターゲット17に衝突させることによりターゲット17の表面から炭素の荷電粒子を飛び出させてビデオテープ3の表面に蒸着し、所望膜質のカーボン膜を保護層として成膜するようになされている。
【0025】なおカソード15にも、排水管49が取り付けられており、当該排水管49を介して循環される冷却水によって冷却されるようになされている。
【0026】同様に第1コイル32及び第2コイル33にも、可変電源51及び交流電源52に接続されると共に、電圧計53及び電流計54に接続されており、コンピュータ22が電圧計53及び電流計54によって検出した電圧値及び電流量を基に可変電源51及び交流電源52を制御することにより第1コイル32及び第2コイル33に対する印加電圧を調整し、磁界の強さを制御するようになされている。
【0027】このようにコンピュータ22が第1コイル32及び第2コイル33に対する印加電圧を調整して磁界の強さを制御することにより、プラズマによってターゲット17の表面から弾き飛ばされて励起された炭素の荷電粒子をさらに電離してイオン化率を向上させるようになされている。
【0028】その結果、真空蒸着装置1は高エネルギー蒸着粒子をビデオテープ3の表面に蒸着することができるので、保護層としてのカーボン膜の付着力を一段と向上させるようになされている。
【0029】また陽極リング31、第1コイル32及び第2コイル33の上方には、真空チャンバ2の側壁にアイリス可動板60が取り付けられ、当該アイリス可動板60上でターゲット17と対向する位置にシャッター構造のアイリス61が設けられている。
【0030】従って真空蒸着装置1は、アイリス61の開閉量をコンピュータ22によって制御することにより、ターゲット17の表面から弾き飛ばされてイオン化された荷電粒子がビデオテープ3の表面に蒸着する際の蒸着面積をコントロールし得ると共に、クラスタ状や液滴状の不要粒子をアイリス61によって取り除き、ビデオテープ3の表面に蒸着することを防止し得るようになされている。
【0031】なお真空蒸着装置1は、コンピュータ22の制御によってアイリス可動板60をターゲット17と対向した状態を保持したまま、水平面内に沿って移動し得るようになされており、ビデオテープ3の表面に荷電粒子を蒸着する際の蒸着位置についても調整し得るようになされている。
【0032】さらに真空蒸着装置1は、収納ケース3内の中間リール8の下部で真空チャンバ2の開口部5と収納ケース4の開口部6とが対向した位置に、3枚の除去シート71〜73がそれぞれ所定間隔離れて配置されると共に、図2に示すように当該除去シート71〜73の両側から挟み込むように除去シート制御用コイル75及び76が設けられている。
【0033】除去シート制御用コイル75及び76は、可変電源77及び交流電源78に接続されると共に、電圧計79及び電流計80に接続されており、コンピュータ22が電圧計79及び電流計80によって検出した電圧値及び電流量を基に可変電源77及び交流電源78を制御することにより除去シート制御用コイル75及び76に対する印加電圧を調整し、矢印で示す方向に発生する磁界JAの強さを調整し得るようになされている。
【0034】ここで除去シート71は、上端及び下端の支持軸71A及び71Bが収納ケース3の内壁に軸支されており、除去シート制御用コイル75及び76によって発生した磁界JAの強さに応じてシート部材の曲率が制御されるようになされている。なお除去シート72及び73についても、除去シート71と同一構成であるので以下説明を省略する。
【0035】また除去シート71は、図3に示すようにその表面に曲率調整用大コイル81及び82が内蔵されていると共に、当該曲率調整用大コイル81及び82の上端部及び下端部に曲率調整用小コイル85及び86が横一列に複数個内蔵されている。
【0036】従って真空蒸着装置1は、コンピュータ22の制御に基づいて曲率調整用大コイル81及び82に対して電流を流すことにより除去シート71〜73の表面で矢印で示す方向の磁界JBを発生させると共に、当該磁界JBが除去シート制御用コイル75及び76の発生する磁界JAの影響を受けることにより、除去シート71〜73の曲率をさらに増大し得るようになされている。
【0037】実際上、図4に示すように真空蒸着装置1は、所定間隔毎に配置された除去シート71〜73の曲率を制御することにより、ターゲット17から弾き飛ばされたクラスタ状や液滴状の不要粒子が除去シート71〜73の隙間を通過する際に、所定の曲率で曲げられた除去シート71〜73の表面にクラスタ状や液滴状の不要粒子を付着させて除去すると共に、イオン化された原子サイズの荷電粒子のみを除去シート71〜73の隙間を通過させるようになされている。
【0038】ここでイオン化された原子サイズの荷電粒子は、イオン化率が高いので磁界の影響を受けることにより除去シート71〜73に接触することなく、当該除去シート71〜73の隙間を通過することになるが、クラスタ状や液滴状の不要粒子はイオン化率が低いので磁界の影響を殆ど受けることなく除去シート71〜73に付着してしまう。
【0039】因みに真空蒸着装置1は、ターゲット17に用いる材質に応じて予め除去シート71〜73の曲率を決定するようになされており、材質に応じて確実にクラスタ状や液滴状の不要粒子を除去シート71〜73の表面に付着させて除去し得るようになされている。
【0040】さらに真空蒸着装置1は、陽極リング31及びターゲット17間に発生するプラズマの発光状態を撮影する撮像手段としてCCDカメラ95が真空チャンバ2内に取り付けられており、当該CCDカメラ95によって撮像されたプラズマの発光状態を信号増幅器86及び画像フリーズ回路87を介して静止画として取り込み、コンピュータ22に供給する。
【0041】ここでCCDカメラ95は、プラズマ中に存在するクラスタ状や液滴状の不要粒子が持つスペクトル線強度の発光を撮像するために、当該スペクトル線強度の波長に対応した波長選択透過膜が各画素毎のオンチップレンズ上に取り付けられている。
【0042】コンピュータ22は、CCDカメラ95によって取り込まれた静止画に基づいてプラズマ中に存在するクラスタ状や液滴状の不要粒子が持つスペクトル線強度のピークを検出し、クラスタ状や液滴状の不要粒子がプラズマ中に存在することを認識した場合には、クラスタ状や液滴状の不要粒子が除去シート71〜73に到達するまでの到達時間及び進行方向を考慮した上で、除去シート71〜73の曲率調整用小コイル85及び86に対して電流を流すことにより除去シート71〜73の表面で矢印で示すような磁界JCを発生させる。
【0043】これにより真空蒸着装置1は、除去シート71〜73が曲率調整用小コイル85及び86の発生する磁界JCの影響を受けて、当該除去シート71〜73の曲率を再度微調整することにより、ターゲット17から弾き飛ばされたクラスタ状や液滴状の不要粒子が除去シート71〜73の隙間を通過する際に、除去シート71〜73の表面にクラスタ状や液滴状の不要粒子を確実に付着させて除去すると共に、イオン化された原子サイズの荷電粒子のみを除去シート71〜73の隙間を通過させるようになされている。
【0044】実際上、真空蒸着装置1は、曲率調整用小コイル86の磁界JCの影響によって除去シート71〜73における下端部の曲率をさらに曲げることにより、クラスタ状や液滴状の不要粒子を下端部により一段と付着し易くしている。
【0045】すなわち真空蒸着装置1は、ターゲット17に用いる材質に応じて予め除去シート71〜73の曲率を調整しておいた上に、さらに実際のプラズマ中に存在するクラスタ状や液滴状の不要粒子の進行方向に応じて除去シート71〜73の曲率をさらに微調整することにより、クラスタ状や液滴状の不要粒子を確実に除去すると共に、イオン化された原子サイズの荷電粒子のみを除去シート71〜73の隙間を通過させ、所望の膜質のカーボン膜をビデオテープ3の表面に成膜し得るようになされている。
【0046】このような真空蒸着装置1の成膜処理手順においては、図4のルーチンRT1の開始ステップから入ってステップSP1に移る。
【0047】ステップSP1において真空蒸着装置1のコンピュータ22は、除去シート制御用コイル75及び76によって所定の強さの磁界JAを発生させることにより、ターゲット17に用いる材質(この場合はカーボン)に応じてクラスタ状や液滴状の不要粒子を除去するために最適な曲率に除去シート71〜73を予め曲げておき、次のステップSP2に移る。
【0048】ステップSP2においてコンピュータ22は、真空チャンバ2内にArの反応ガスを供給すると共に、陽極リング31及びターゲット17間に所定の電位差を与えることによりプラズマを発生させ、次のステップSP3に移る。
【0049】ステップSP3においてコンピュータ22は、第1コイル32及び第2コイル33に電圧を印加して磁界を発生させることにより、プラズマによってターゲット17の表面から弾き飛ばされて励起された炭素の荷電粒子をさらに電離してイオン化率を向上させ、次のステップSP4に移る。
【0050】ステップSP4においてコンピュータ22は、CCDカメラ95によって撮像されたプラズマ中に存在するクラスタ状や液滴状の不要粒子の発光状態を示す静止画を取り込み、次のステップSP5に移る。
【0051】ステップSP5においてコンピュータ22は、取り込んだ静止画に基づいてクラスタ状や液滴状の不要粒子の発光強度のピークを検出し、クラスタ状や液滴状の不要粒子の到達時間及び進行方向を予測し、次のステップSP6に移る。
【0052】因みにコンピュータ22は、所定時間間隔毎に取り込んだ複数枚の静止画を基にクラスタ状や液滴状の不要粒子の移動ベクトルを求め、当該移動ベクトルに基づいてクラスタ状や液滴状の不要粒子の進行方向を予測すると共に、複数枚の静止画を基にクラスタ状や液滴状の不要粒子の移動速度を算出することにより到達時間を予測するようになされている。
【0053】ステップSP6においてコンピュータ22は、クラスタ状や液滴状の不要粒子の到達時間及び進行方向の予測結果に基づいてアイリス61の開閉量を制御すると共に、曲率調整用小コイル85及び86に対して電流を流して除去シート71〜73の曲率を微調整し、次のステップSP7に移る。
【0054】ステップSP7においてコンピュータ22は、アイリス61及び除去シート71〜73によって原子サイズ以外のクラスタ状や液滴状の不要粒子を付着させて除去し、原子サイズのイオン化されたカーボンの荷電粒子のみをアイリス61及び除去シート71〜73の隙間を通過させてビデオテープ3の表面に蒸着させた後、次のステップSP8に移って処理を終了する。
【0055】以上の構成において、真空蒸着装置1は真空チャンバ2内でターゲット17及び陽極リング31間に所定の電位差を生じさせてプラズマを発生する際、除去シート71〜73の両側に配置された除去シート制御用コイル75及び76に電流を流して、ターゲット17に用いる材質に応じてクラスタ状や液滴状の不要粒子を除去するのに最適な曲率に除去シート71〜73を予め曲げておくことにより、クラスタ状や液滴状の不要粒子を除去シート71〜73の表面に付着させて除去するように設定する。
【0056】そして真空蒸着装置1は、実際に成膜処理を開始すると、CCDカメラ95によってプラズマ中に存在するクラスタ状や液滴状の不要粒子の発光状態を示す静止画を取り込み、そのスペクトル線強度のピークを検出し、クラスタ状や液滴状の不要粒子がプラズマ中に存在することを認識した場合、クラスタ状や液滴状の不要粒子が除去シート71〜73に到達するまでの到達時間及び進行方向を考慮した上で、曲率調整用小コイル85及び86に対して電流を流すことにより除去シート71〜73の曲率を微調整する。
【0057】これにより真空蒸着装置1は、ターゲット17から弾き飛ばされたクラスタ状や液滴状の不要粒子が除去シート71〜73の隙間を通過する際に、除去シート71〜73の表面にクラスタ状や液滴状の不要粒子を確実に付着させて除去することができると共に、イオン化された原子サイズの荷電粒子のみを除去シート71〜73の隙間を通過させて、所望の膜質のカーボン膜をビデオテープ3の表面に成膜することができる。
【0058】このように真空蒸着装置1は、ターゲット17に用いる材料に応じて予め除去シート71〜73の曲率を調整した上で、実際のプラズマの状態に応じて除去シート71〜73の曲率をさらに微調整することにより、クラスタ状や液滴状の不要粒子を確実に除去することができる。
【0059】また真空蒸着装置1は、高エネルギー蒸着粒子であるイオン化された原子サイズの荷電粒子のみを除去シート71〜73の隙間を通過させてビデオテープ3の表面に高密度に成膜することにより、保護層であるカーボン膜の付着力を増大すると共にカーボン膜を硬化して所望の膜質を得ることができ、かくしてビデオテープ3の表面に対する磨耗特性を一段と向上すると共にビデオヘッドに対するダメージをも低減することができる。
【0060】さらに真空蒸着装置1は、イオン化された原子サイズの荷電粒子のみを除去シート71〜73の隙間を通過させてビデオテープ3の表面に蒸着することにより、保護層であるカーボン膜の膜厚を均一化することができると共に、クラスタ状や液滴状の不要粒子によってビデオテープ3の表面が損傷することを防止することができる。
【0061】さらに真空蒸着装置1は、アイリス61の開閉量についても調整するができるので、イオン化された荷電粒子がビデオテープ3の表面に蒸着する際の蒸着面積を制御することができると共に、クラスタ状や液滴状の不要粒子よりも大きな蒸着物質についてもアイリス61によって除去することができる。
【0062】以上の構成によれば、真空蒸着装置1はクラスタ状や液滴状の不要粒子を確実に除去して、イオン化された原子サイズの荷電粒子のみをビデオテープ3の表面に蒸着することにより、所望膜質のカーボン膜をビデオテープ3の表面に成膜することができる。
【0063】なお上述の実施の形態においては、ターゲット17の材料としてカーボンを用いてカーボン膜の保護層を成膜するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ニッケル、コバルト等のビデオテープ3の磁性層に用いられる材料を用いて保護層を成膜するようにしても良い。この場合にも、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0064】また上述の実施の形態においては、反応ガスとしてArを真空チャンバ2内に供給するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、Ne、He、N2 、O2 の他の種々の反応ガスを供給するようにしても良い。
【0065】さらに上述の実施の形態においては、除去シート71〜73の曲率を除去シート制御用コイル75及び76や、曲率調整用大コイル81及び82、曲率調整用小コイル85及び86によって調整するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、磁石が発生する磁界によって調整したり、物理的に除去シート71〜73を曲げるようにしても良い。
【0066】さらに上述の実施の形態においては、除去シート71〜73を所定の曲率に曲げることによりクラスタ状や液滴状の不要粒子をその表面に付着させて除去するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、除去シート71〜73を所定の曲率に曲げた上、さらにその表面を導電性の例えばCuの薄膜で被覆するようにしても良い。
【0067】この場合、真空蒸着装置1は除去シート71〜73の隙間を通過させたくないクラスタ状や液滴状の不要粒子をCCDカメラ95で検出したときには、コンピュータ22の制御により除去シート71〜73の表面に被覆されたCuの薄膜をアース電位にして除去シート71〜73の表面に液滴状の不要粒子を付着させて取り除き、除去シート71〜73の隙間を通過させたい所望サイズの荷電粒子のときには、コンピュータ22の制御により除去シート71〜73の表面に被覆されたCuの薄膜を+電位にし、除去シート71〜73の隙間を通過するイオン化されたC+ の荷電粒子を除去シート71〜73の表面と反発させて付着させることなく通過させることにより、イオン化された原子サイズの荷電粒子のみをビデオテープ3の表面に蒸着することができる。
【0068】さらに上述の実施の形態においては、成膜対象としてビデオテープ3を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、オーディオテープ等の他の種々の成膜対象を用いるようにしても良い。
【0069】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、荷電粒子よりも大きな不要粒子が成膜対象の表面に蒸着することを防止し得ると共に、荷電粒子だけを成膜対象に蒸着させることができるので、プラズマの状態によって所望の大きさの荷電粒子よりも大きな不要粒子が一部に発生した場合でも所望の膜質の膜を成膜対象の表面に成膜し得る成膜装置を実現できる。




 

 


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