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発明の名称 磁気シールド用鋼板およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−316777(P2001−316777A)
公開日 平成13年11月16日(2001.11.16)
出願番号 特願2001−45547(P2001−45547)
出願日 平成13年2月21日(2001.2.21)
代理人 【識別番号】100099944
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 宏志
発明者 杉原 玲子 / 平谷 多津彦 / 松岡 秀樹 / 田中 靖 / 田原 健司 / 高田 康幸 / 三塚 賢一
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 重量%で、C:0.005%以上0.025%未満、Si:0.3%未満、Mn:1.5%以下、P:0.05%以下、S:0.04%以下、Sol.Al:0.1%以下、N:0.01%以下、B:0.0003%以上0.01%以下を含み、残部実質的にFeからなり、板厚が0.05mm以上0.5mm以下の鋼板であって、保磁力が3.0Oe未満、非履歴透磁率が8500以上であることを特徴とする磁気シールド用鋼板。
【請求項2】 鋼板の表面にCrめっき層および/またはNiめっき層を有することを特徴とする請求項1に記載の磁気シールド用鋼板。
【請求項3】 請求項1に記載の成分を含む鋼スラブを、直接、または再加熱した後、仕上温度がAr変態点以上の熱間圧延を行い、700℃以下の温度で巻取り、酸洗し、70%以上94%以下の圧延率で冷間圧延し、600℃以上780℃以下の温度で焼鈍することを特徴とする磁気シールド用鋼板の製造方法。
【請求項4】 請求項1に記載の成分を含む鋼スラブを、直接、または再加熱した後、仕上温度がAr変態点以上の熱間圧延を行い、700℃以下の温度で巻取り、酸洗し、70%以上94%以下の圧延率で冷間圧延し、600℃以上780℃以下の温度で焼鈍し、Crめっきおよび/またはNiめっきを行うことを特徴とする磁気シールド用鋼板の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー陰極線管の内部または外部にあって電子線の通過方向に対して側面から覆うように設置される磁気シールド部品の素材となる鋼板、すなわちカラー陰極線管の磁気シールド用鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー陰極線管の基本構成は、電子線を射出する電子銃と電子線照射により発光して映像を構成する蛍光面からなる。電子線は地磁気の影響によって偏向し、その結果映像に色ずれを発生させるため、偏向を防止するための手段として、一般的に内部磁気シールド(インナーシールド、インナーマグネティックシールドとも称する)が設置されている。また、外部磁気シールド(アウターシールド、アウターマグネティックシールドとも称する)が、カラー陰極線管外部に設置される場合もある。本発明では、これらの内部磁気シールドおよび外部磁気シールドを総称して、磁気シールドと称する。
【0003】近年、民生用TVは大型化、ワイド化が進められ、電子線の飛行距離および走査距離が大きくなり、地磁気による影響を受けやすくなっている。すなわち、地磁気により偏向した電子線の蛍光面到達地点の、本来到達すべき地点からのずれ(地磁気ドリフトと称される)が従来より大きくなっている。また、パーソナルコンピュータ用の陰極線管では、より高精細の静止画像が求められるため、地磁気ドリフトによる色ずれは極力抑制しなければならない状況である。
【0004】このような中で、従来は、上記磁気シールド用として使用される鋼板の特性については、ほぼ地磁気に相当する低磁場での透磁率や、保磁力、残留磁束密度を指標として評価される場合が多かった。
【0005】磁気シールド用鋼板の特性を改善する方法として、特開平10−168551号公報では、特定の組成の鋼を用いてフェライト結晶粒番号を3〜20μmとすることにより磁気特性を改善する技術が開示されており、シールド用冷間圧延鋼板として求められる磁気特性として、保磁力が3Oe以上、残留磁束密度が9kG以上の磁気シールド材およびその製造方法が開示されている。
【0006】また、電子情報通信学会論文誌、Vol.J79-C-II No.6, p311〜319, ’96.6では、磁気シールド性向上のため、非履歴透磁率と磁気シールド性との関係について述べられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平10−168551号公報記載の技術においては、実際のカラー陰極線管に適用された磁気シールド用鋼板は地磁気中で消磁されるのが一般的であり、地磁気中消磁により鋼板の磁気特性が変化するにも関わらず、その特性変化を考慮していないため、磁気シールド性が不十分であるという問題があった。
【0008】電子情報通信学会論文誌、Vol.J79-C-II No.6, p311〜319, ’96.6では、上記の非履歴透磁率と磁気シールド性との関係について検討がなされているが、どのような鋼板が高い非履歴透磁率を有するか等の詳細な検討については、明らかにされていない。
【0009】このようにいずれの技術も、近年の民生用TVの大型化、ワイド化に伴う色ずれによる映像劣化に対して対応しきれていない。また、パーソナルコンピュータ用の陰極線管に対する色ずれも抑制しきれていない。
【0010】このような理由から、より高性能の磁気シールド性を有する磁気シールド用鋼板が強く求められているのが現状である。
【0011】本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、高い非履歴透磁率を有し、地磁気ドリフトによる色ずれを抑制して高精細な画像を得るために有効な磁気シールド用鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、以下の知見を得た。一般に、カラー陰極線管では、使用環境における外部磁気の影響を一定の条件とするため、消磁を行っており、消磁を行う方法としては、電源投入時等に陰極線管外部に巻かれた消磁コイルに交流通電する方法が採用されている。この方法では、地磁気中で消磁されるため、陰極線管内部の磁気シールドには、地磁気に対する磁化よりも高いレベルの磁化が残留することになる。この現象により、磁気シールドは完全消磁された状態よりもさらに高性能な磁気シールド特性を有する。従って、電子情報通信学会論文誌、Vol.J79-C-II No.6, p311〜319, ’96.6に述べられているように、磁気シールド用途に適した鋼板とは地磁気中で消磁後の残留磁化を地磁気で除した「非履歴透磁率」が高い鋼板となる。そこで、本発明者らは、この知見をもとに種々の成分を有する鋼板について、直流バイアス磁界0.35Oeにおける非履歴透磁率を調査し、磁気シールド用として優れた鋼板について検討した。
【0013】その結果、■従来は、評価指標の一つである低磁場(例えば0.35Oe)での透磁率(以下、μ0.35と称する)が比較的高い極低炭素系の鋼板が磁気シールド用鋼板として多く用いられてきたが、μ0.35の高い極低炭素鋼板が必ずしも非履歴透磁率が高いとは限らないこと■従来はほとんど使用されていなかった、比較的C量が大きい鋼板(C量:0.005〜0.025%)であっても、セメンタイト(FeC)が存在する場合に高い非履歴透磁率が得られること■高い非履歴透磁率を得るためには、鋼板にBを添加することが極めて効果的であること■鋼板を磁気シールドとして使用する時には、非履歴透磁率が8500以上であれば色ずれを実用上問題ないレベルにまで低減できること■特に高精細な画像が要求される用途では、非履歴透磁率が12500以上ある鋼板を磁気シールドとして使用することが、色ずれのない精緻な画像を得るために望ましいこと■C量の増大は、保磁力を増大し、消磁方法(消磁電流の大きさ、消磁振幅の大きさ等)によっては完全に消磁が行われず、非履歴透磁率が十分に高い鋼板であっても消磁後の磁化が不十分となり、色ずれを抑制できない場合があること、そして、従来の消磁方法では完全に消磁を行うためには、保磁力3.0Oe未満が必要であることを見出した。
【0014】本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであり、以下の(1)〜(4)を提供する。
(1) 重量%で、C:0.005%以上0.025%未満、Si:0.3%未満、Mn:1.5%以下、P:0.05%以下、S:0.04%以下、Sol.Al:0.1%以下、N:0.01%以下、B:0.0003%以上0.01%以下を含み、残部実質的にFeからなり、板厚が0.05mm以上0.5mm以下の鋼板であって、保磁力が3.0Oe未満、非履歴透磁率が8500以上であることを特徴とする磁気シールド用鋼板。
【0015】(2) 前記(1)に記載の磁気シールド用鋼板において、鋼板の表面にCrめっき層および/またはNiめっき層を有することを特徴とする。
【0016】(3) 前記(1)に記載の成分を含む鋼スラブを、直接、または再加熱した後、仕上温度がAr変態点以上の熱間圧延を行い、700℃以下の温度で巻取り、酸洗し、70%以上94%以下の圧延率で冷間圧延し、600℃以上780℃以下の温度で焼鈍することを特徴とする磁気シールド用鋼板の製造方法。
【0017】(4) 前記(1)に記載の成分を含む鋼スラブを、直接、または再加熱した後、仕上温度がAr変態点以上の熱間圧延を行い、700℃以下の温度で巻取り、酸洗し、70%以上94%以下の圧延率で冷間圧延し、600℃以上780℃以下の温度で焼鈍し、Crめっきおよび/またはNiめっきを行うことを特徴とする磁気シールド用鋼板の製造方法。
【0018】なお、上記において、「残部実質的にFeからなり、」とは、本発明の作用効果を損なわない限り、不可避不純物およびその他の微量元素の含有を許容することを意味する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説明する。まず、鋼の成分組成について説明する。本発明における磁気シールド用鋼板は、重量%で、C:0.005%以上0.025%未満、Si:0.3%未満、Mn:1.5%以下、P:0.05%以下、S:0.04%以下、Sol.Al:0.1%以下、N:0.01%以下、B:0.0003%以上0.01%以下とする成分組成を有する。以下、各成分をこのように規定した理由について説明する。
【0020】C:その含有量を規定することが本発明でもっとも重要な元素である。一般的にはFeCが析出するとμ0.35を下げるため磁気シールド用鋼板には有害な元素とされている。しかしながら、上述のように、本発明者らが検討した結果、FeCが存在することにより低磁場での透磁率は劣化するが、非履歴透磁率は向上することが明らかになった。したがって、従来のように炭素量を極微量(例えば0.0030%以下)に制御する必要はなく、下限はFeCを析出し始める0.005%とする。一方、C量が多すぎると、保磁力が増大し、高い非履歴透磁率を発揮させるのに十分な消磁条件に制約が生じるので好ましくなく、保磁力を3.0Oe未満とするために、上限は0.025%未満とする。
【0021】Si:焼鈍時に表面に濃化しやすく、めっきの密着性あるいは黒皮処理皮膜の密着性を劣化させるので望ましくなく、0.3%未満とする。さらに好ましくは0.1%以下である。
【0022】Mn:鋼板の強度を高めて鋼板のハンドリング性を改善するのに有効な元素であるが、過度に添加するとコストが増大するので1.5%以下とする。
【0023】P:鋼板の強度を高めるのに有効な元素であるが、添加量が多すぎると偏析によって製造中に割れが生じやすくなるため0.05%以下とする。
【0024】S:少ない方が陰極線管内部の真空性を保つ観点から望ましく、0.04%以下とする。
【0025】Sol.Al:Alは脱酸に必要な元素であるが、過度に添加すると介在物が増加するため望ましくなく、上限を0.1%とする。
【0026】N:多量に添加すると鋼板表面に欠陥が発生しやすくなるため、0.01%以下とする。
【0027】B:Bは非履歴透磁率を増大させることのできる重要な元素である。その効果は0.0003%以上添加することによって得られる。0.0008%以上添加することによりその効果が特に大きくなり、高精細な画像を要求される用途に磁気シールドとして使用する場合に適したものとなる。そして、後述するように調質圧延を行わないことと組み合わせることにより非履歴透磁率を安定して12500以上の極めて大きい値とすることができ、より高精細な画像を要求される用途に適したものとなる。以下、このことを確認した実験結果について説明する。表1にB添加量と非履歴透磁率との関係を調査した結果を示す。この実験では、B含有量が異なる鋼組成の鋼1〜5を溶製後、仕上温度870℃、巻取り温度620℃で熱間圧延し、酸洗し、冷間圧延率85%で冷間圧延を行い、次いで630℃で再結晶焼鈍し、調質圧延を施さずに供試材として、非履歴透磁率、透磁率、残留磁束密度および保磁力を測定した。表1から、Bを0.0003%以上添加した鋼2〜5はBが無添加の鋼1よりも非履歴透磁率が増大しており、特に、Bを0.0008%以上添加することにより極めて高い非履歴透磁率が得られていることが確認される。また、この実験では調質圧延を行っていないことから、Bが0.0008%以上で非履歴透磁率が12500を大きく超えている。一方、Bを0.01%を超えて過剰に添加した場合、非履歴透磁率向上効果が飽和するばかりか、再結晶温度を上昇させたり、鋼板が過度に硬質化する等の問題が生じる。以上より、B量は0.0003%以上0.01%以下とする。より好ましくは0.0008%以上0.01%以下である。
【0028】
【表1】

【0029】次に、板厚について説明する。磁気シールド用鋼板としての板厚下限は、薄肉化しすぎると非履歴透磁率の高い鋼板であっても磁気シールド性が不十分となること、また磁気シールド部品としての剛性が得られなくなることから0.05mmを下限とする。加工時のハンドリング性確保の観点からは0.1mm以上であることが好ましい。磁気シールド性を高めるためには板厚は大きい方が望ましいが、昨今のカラーテレビの大型化、ワイド化に伴い、テレビセットの軽量化が望まれているため上限は0.5mmとする。
【0030】次に、保磁力について説明する。保磁力は、過度に大きくなると十分な磁気シールド性を発揮するために必要な消費電流値や消磁振幅を大きくし、消磁方法が限定される場合があるため小さい方が好ましく、3.0Oe未満とすることが必要である。
【0031】次に、非履歴透磁率について説明する。磁気シールド材の非履歴透磁率はカラー陰極線管の色ずれを評価するのに有効な指標である。その値が8500以上の磁気シールド材を用いれば、大型あるいは高精細のカラー陰極線管であっても、色ずれを実用上問題のない範囲に低減することができる。したがって、非履歴透磁率は8500以上とする。特に高精細が要求される用途の場合には、非履歴透磁率12500以上の鋼板を磁気シールドとして用いることにより、色ずれをごくわずかにまで低減することができ、色ずれ補正のために使用されているコイルを省略できる等の効果も得られるため、12500以上とすることがさらに望ましい。
【0032】次に、めっきについて説明する。Crめっき層および/またはNiめっき層を有することが錆防止の観点等から望ましい。これらめっきは単層で使用しても複層化して使用してもよく、めっき層を形成する面は鋼板の一方の面であっても両方の面であってもよい。めっき層を形成することにより、鋼板の錆発生を抑制するとともに、陰極線管に組み込まれたときに鋼板からのガス発生を抑制する上でも有効である。付着量については、特に限定する必要がなく、鋼板表面を実質的に被覆できる付着量が適宜選択される。また、部分的または全面にNiめっきを施した後にクロメート処理を施して、鋼板表面を被覆してもよい。
【0033】次に、製造方法について説明する。最初に、上記成分組成を有する鋼を溶製して、連続鋳造により鋼スラブとし、これを熱間圧延する。熱間圧延は、連続鋳造したスラブを直接あるいは若干加熱して圧延してもよいし、一旦冷却したスラブを再加熱して圧延することもできる。再加熱する場合の加熱温度は1050℃以上1300℃以下が望ましい。1050℃未満では、熱間圧延時に仕上温度をAr点以上とすることが困難となる。また、1300℃を超えると、スラブ表面に発生する酸化物量が多くなり、望ましくない。熱間圧延の仕上温度は、熱間圧延後の結晶粒径を均一にするため、Ar変態点以上とする。また、巻取り温度は700℃以下とする。巻取り温度が700℃を超えると、熱間圧延後の結晶粒界にFeCがフィルム状に析出し、均一性を損なうため好ましくない。
【0034】次いで、熱間圧延した鋼板を酸洗し、70%以上94%以下の圧延率で冷間圧延する。70%未満では焼鈍後の結晶粒が粗大になり、鋼板が過度に軟質化して望ましくない。また冷間圧延率が高すぎると非履歴透磁率が劣化するため好ましくなく、上限を94%とする。さらに望ましくは90%以下である。
【0035】次いで、600℃以上780℃以下の温度で焼鈍(再結晶焼鈍)する。600℃未満では完全に再結晶が終了せず、冷間圧延歪みが残留するため好ましくない。また、焼鈍温度が過度に高いと非履歴透磁率が劣化するので好ましくなく、上限を780℃とする。焼鈍は連続焼鈍とバッチ焼鈍とのいずれでも構わない。ただし、製造コスト、得られる材質の均一性等の理由から連続焼鈍の方が好ましい。
【0036】次いで焼鈍後、必要に応じて調質圧延を施す。ここで、非履歴透磁率を確保するためには調質圧延歪みはできるだけ小さい方が好ましく、調質圧延は行わないことが望ましい。鋼板形状を矯正する目的などでやむを得ず調質圧延を行う場合には圧延率はできるだけ小さくするべきであり、上限を1.5%とすることが好ましい。鋼板の形状や時効性に対する問題が軽微な場合には0.5%以下とすることがさらに望ましい。特に高精細な画像が要求される陰極線管の磁気シールド用に非履歴透磁率が12500以上の鋼板を得るためには、B添加量が0.0008%以上の成分組成を有する鋼を用いて、調質圧延を行わないことが有効である。
【0037】このようにして焼鈍および調質圧延を行った後、または、焼鈍を行った後調質圧延を行わずに、必要に応じて表面にNiめっきおよび/またはCrめっきを施す。
【0038】
【実施例】表2に記載の鋼A〜鋼Dの成分組成を有する供試鋼を溶製後、鋼A、Bの成分組成を有する供試鋼は仕上温度890℃および巻取温度620℃で、鋼C、Dの成分組成を有する供試鋼は仕上温度870℃および巻取温度620℃で、それぞれ熱間圧延し、酸洗し、冷間圧延率75〜94%で冷間圧延を行い板厚を0.1〜0.5mmとした。次いで、630〜850℃で再結晶焼鈍し、圧延率0.5〜1.5%の調質圧延を施すか、あるいは調質圧延を施さずに、鋼板の両面にCrめっきを施して表3に示すNo.1〜No.12の供試材を得た。Crめっきは下層が付着量95〜120mg/mの金属Cr層、上層が付着量(金属Cr換算)12〜20mg/mの水和酸化物Cr層とした。
【0039】以上のようにして得られたNo.1〜12の供試材について非履歴透磁率、透磁率(μ0.35)、残留磁束密度および保磁力を評価した。これらの磁気特性評価は、リング状試験片に励磁コイル、検出コイルおよび直流バイアス磁界用のコイルを巻いて、非履歴透磁率、0.35Oeにおける透磁率(μ0.35)、最大印加磁界10Oeのときの残留磁束密度、保磁力を測定することにより行った。
【0040】以下、上記の非履歴透磁率の測定方法について以下に詳細に説明する。
1)励磁コイルに減衰する交流電流を流して試験片を完全消磁する。
2)直流バイアス磁界用コイルに直流電界を流して0.35Oeの直流バイアス磁界を発生させた状態で、再度励磁コイルに減衰する交流電流を流して試験片を消磁する。
3)励磁コイルに電流を流して試験片を励磁し、発生した磁束を検出コイルで検出してB−H曲線を測定する。
4)B−H曲線より非履歴透磁率を算出する。
【0041】供試材No.1〜12のそれぞれの鋼種、板厚、冷間圧延率、焼鈍温度、調質圧延率および磁気特性評価結果を表3に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】表3に示すように、本発明例であるNo.2〜9およびNo.11の供試材においては、いずれも非履歴透磁率が8500以上かつ保磁力が3.0Oe未満であり、消磁後の磁気シールド性が十分な磁気シールド用鋼板を得ることができた。また、B量が0.0008%以上であり、かつ調質圧延を行わなかったNo.2〜7、およびNo.11の供試材においては、いずれも非履歴透磁率が12500以上であり、極めて優れた磁気シールド性を得ることができた。これに対して、比較例であるNo.1、No.10、No.12の供試材においてはいずれかの特性が劣っていた。すなわち、C量が本発明範囲未満であったNo.1の供試材は非履歴透磁率が8500未満で磁気シールド性が不十分であり、焼鈍温度が本発明範囲を超えたNo.10の供試材は非履歴透磁率が8500未満で磁気シールド性が不十分であり、また、保磁力が3.0以上で消磁特性が劣化しており、C量が本発明範囲を超えたNo.12の供試材は保磁力が3.0以上で消磁特性が劣化していた。
【0045】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば高い非履歴透磁率を有し、保磁力が優れ、消磁後の磁気シールド性に優れた磁気シールド用鋼板を得ることができる。さらに、本発明の磁気シールド用鋼板をカラー陰極線管の磁気シールドとして用いることによって、消磁後、十分な磁気シールド性が確保され、さらに地磁気ドリフトによる色ずれが抑制され、高精細な画像を得ることが可能となる。




 

 


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