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発明の名称 液晶表示素子
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−316667(P2001−316667A)
公開日 平成13年11月16日(2001.11.16)
出願番号 特願2000−132626(P2000−132626)
出願日 平成12年5月1日(2000.5.1)
代理人
発明者 朴 炳柱 / 磯崎 忠昭 / 仁藤 敬一
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 それぞれ一軸配向処理が施され、その配向処理方向が互いに略平行となるように対向配置される一対の基板と、前記基板間に介挿され、カイラルスメクチックC相を有する液晶層と、前記液晶層に電界を印加する手段とを備えた液晶表示素子であって、前記液晶層が、化学式1【化1】

(ただし、式中、R1 、R2 はそれぞれ炭素数1から20のアルキル基、nは1または2の整数を示す。)で表される成分を含むカイラルスメクチックC相を有する液晶組成物と、化学式2【化2】

(ただし、式中、R3 は炭素数1から18のアルキル基またはアルコキシ基、R4 は炭素数2から10のアルキル基、kは1または2の整数、mは1から10の整数を示す。)で表される成分を含むカイラルスメクチックC相を有する液晶組成物とを混合した混合液晶材料によって形成され、電界無印加の状態で液晶分子が前記基板の配向処理方向およびスメクチック層の法線方向に沿って配向した単安定状態を示すことを特徴とする液晶表示素子。
【請求項2】 請求項1記載の液晶表示素子において、前記液晶層が60°以上のコーン角を有し、液晶分子がこのコーンに沿って回転することによって基板表面に現れる見掛けのチルト角が印加電界の強度に応じて連続的に変化することを特徴とする液晶表示素子。
【請求項3】 請求項1記載の液晶表示素子において、前記化学式1の成分を含む液晶組成物が、液相(Iso)−カイラルネマチック相(N*)−スメクチックA相(SmA)−カイラルスメクチックC相(SmC*)の相転移を示し、カイラルスメクチックC相において単安定であることを特徴とする液晶表示素子。
【請求項4】 請求項1記載の液晶表示素子において、前記化学式2の成分を含む液晶組成物が、液相(Iso)−カイラルネマチック相(N*)−カイラルスメクチックC相(SmC*)の相転移を示し、カイラルスメクチックC相において双安定であることを特徴とする液晶表示素子。
【請求項5】 請求項1記載の液晶表示素子において、前記混合液晶材料が液相(Iso)−カイラルネマチック相(N*)−カイラルスメクチックC相(SmC*)の相転移を示すことを特徴とする液晶表示素子。
【請求項6】 請求項4記載の液晶表示素子において、前記化学式2の成分を含む液晶組成物が、60°以上のコーン角を有することを特徴とする液晶表示素子。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コーン角の大きい単安定強誘電性液晶を有する液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ネマチック液晶を用いた液晶表示素子としては、ツイストテッドネマチック(TN)型液晶表示素子とスーパーツイステッド複屈折効果(SBE)型液晶表示素子がある。しかしながら、TN型液晶表示素子は、駆動方法が複雑で駆動許容が狭いため、十分なコントラストを得ることができない。また、TN型液晶表示素子の改良型で、大きなねじれ角を持つSBE型液晶表示素子は、ディスプレイの大画面化に伴い、コントラストが低下したり、応答速度が遅くなるという問題がある。
【0003】上記液晶表示素子の欠点を改善するものとして、カイラルスメクチックC(以下、SmC*と称する。)相の液晶を用いた液晶表示素子、いわゆる表面安定型強誘電性液晶表示素子(SSFLC)が1980年にN.A.ClarkとLagerwallによって提案されている(特開昭56−107216号公報、米国特許第4367924号)。この液晶表示素子は、双安定性、メモリ性および高速応答性を有する。セル内の強誘電性液晶での複屈折光はスイッチイング動作によって変化するため、セルを直交配置された偏光子でサンドイッチすることにより、透過する光を制御することができる。さらに、印加電圧がなくなっても、液晶分子の配向は電圧が印加されていたときと同じ状態に保持されるため、メモリ性も得られる。また、スイッチング動作は、液晶分子の自発分極と電界が直接作用するため、応答速度がTN型液晶表示素子の1/1000以下という高速応答性を有し、高速表示を可能にする。しかしながら、このClarkとLagerwallによって提案された液晶表示素子にも多くの問題点がある。最も大きな問題は明と暗の2つの状態間でのスイッチに限られるため、メモリ性は有するものの階調表示ができないことである。
【0004】この問題を解消するものとして、特開平1−152430号公報にて、SmC*相のピッチpとセルギャップdとの関係がd/p>5、すなわちd=2μmでp<0.4μmのピッチを有するSmC*液晶を使用し、SmC*相のらせん軸が基板の配向処理方向に向き、かつ安定状態において液晶分子のダイレクタ(分子軸)がらせんを形成するようにした液晶表示セルが提案されている。この液晶表示セルでは、強誘電性液晶のヘリックス歪効果を用いた単安定状態において、低電圧駆動でテレビレートのアナログ階調が実現可能とされている。しかしながら、この場合には、高速応答性を得るためにはその動作原理上、ヘリカルピッチが極端に短い液晶系が必要となり、均一配向が難しいという新たな問題が発生する。
【0005】また、別種の液晶表示セルとして、米国特許第5172257号(1992年)にて、ツイステッド強誘電性液晶が液晶セルの対向する面に垂直な方向に向いたツイステッド強誘電性液晶光学素子が提案されている。これは、セルに電圧が印加されていないときは、ツイステッド液晶によって光を透過し、電圧印加のもとでは、液晶のねじれが解けて、基板表面近傍を除いた大部分が配向方向に揃い、光を伝搬するツイスト機構が壊れるため、直交配置された偏光子のもとで光がブロックされるというものである。ここでは、印加電圧を小さくすると、解ける液晶のねじれが部分的となり、部分的に光を伝搬して直線偏光を楕円偏光にするため、印加電圧によって透過する光量を連続的に制御することにより、階調制御できるとされている。しかしながら、この場合には、印加電圧がゼロのとき、セルの光透過率を0(暗状態)にできないということと、ねじれの均一配向が難しいため大型で均質なツイステッド強誘電性液晶装置を製造することが困難であるという新たな問題がある。このように、従来の強誘電性液晶素子では、連続階調表示(いわゆるアナログ階調表示)の実現が難しく、実用化に際してその用途が大きく制約されている。
【0006】この欠点を解消するものとしては、特許番号第2982330号公報および米国特許第5214523号にて、応答が速くアナログ階調が可能な単安定強誘電性液晶表示素子が提案されている。この単安定強誘電性液晶表示素子は一対のアンチパラレルな基板にSmC*相を有するフェニルピリミジン液晶組成物がサンドイッチされて形成されている。この液晶表示素子においては、スメクチックコーンの軸方向の基板への投影成分および液晶分子自身の軸方向の基板への投影成分がそれぞれ基板の一軸配向処理方向と同一とされ、この状態が初期状態として単安定化されている。電界が印加されると、液晶分子はコーンに沿って回転し、基板表面に見える見掛けのチルト角が印加電界の強度に応じて連続的に変化する。偏光子下の透過光の強度はチルト角の増大とともに連続的に増大するため、連続階調すなわちアナログ階調が可能となる。ある電界強度における光透過率Trは、次の式1のように見掛けのチルト角θapp の関数として表すことができる。
【0007】
【数1】Tr=sin2 (2θapp ) ……(1)
【0008】このフェニルピリミジン液晶組成物を使用した単安定強誘電性液晶セルにおいては、液晶は配向膜のラビング方向に沿って非常に規則性の高い縞状組織を呈し、この縞状組織がコントラスト比を50以下に低下させる。このため、高コントラスト比を得るために、この非常に規則性の高い縞状組織を除去する処理として、カイラルネマチック(N*)相からSmC*相に転移する間700Hzで20〜50Vの電界を印加することが行われ、これによって、単安定強誘電性液晶セルの非常に規則性の高い縞状組織は傾斜ブックシェルフ状モノドメイン組織となり、低電圧でリニアの階調性と80以上の高コントラスト比が得られるとしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような単安定強誘電性液晶セルにおいても、使用する単安定液晶組成物のコーン角が小さいため、画面の明るさすなわち75%以上の光透過率Trを得ることは困難である。画面の明るい単安定強誘電性液晶素子を実現するために重要なことは、最大コーン角が60°以上の単安定液晶組成物を得ることである。コーン角が60°で最大光透過率は75%となる。なお、単安定強誘電性液晶素子にとって、最大光透過率が100%となる理想的なコーン角は90°である。
【0010】本発明は、かかる点に対処してなされたもので、60°以上の大きいコーン角を持つ単安定液晶組成物を用いて、アナログ階調性、高速応答性および高コントラスト比とともに、光透過率75%以上の明るい表示が可能な液晶表示素子を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1の発明は、それぞれ一軸配向処理が施され、その配向処理方向が互いに略平行となるように対向配置される一対の基板と、前記基板間に介挿され、カイラルスメクチックC相を有する液晶層と、前記液晶層に電界を印加する手段とを備えた液晶表示素子であって、化学式1【化3】

(ただし、式中、R1 、R2 はそれぞれ炭素数1から20のアルキル基、nは1または2の整数を示す。)で表される成分を含むカイラルスメクチックC相を有する液晶組成物と、化学式2【化4】

(ただし、式中、R3 は炭素数1から18のアルキル基またはアルコキシ基、R4 は炭素数2から10のアルキル基、kは1または2の整数、mは1から10の整数を示す。)で表される成分を含むカイラルスメクチックC相を有する液晶組成物とを混合した混合液晶材料によって形成され、電界無印加の状態で液晶分子が前記基板の配向処理方向およびスメクチック層の法線方向に沿って配向した単安定状態を示すことを特徴とする。
【0012】請求項2の発明は、請求項1の液晶表示素子において、前記液晶層が60°以上のコーン角を有し、液晶分子がこのコーンに沿って回転することによって基板表面に現れる見掛けのチルト角が印加電界の強度に応じて連続的に変化することを特徴とする。
【0013】請求項3の発明は、請求項1の液晶表示素子において、前記化学式1の成分を含む液晶組成物が、液相(Iso)−カイラルネマチック相(N*)−スメクチックA相(SmA)−カイラルスメクチックC相(SmC*)の相転移を示し、カイラルスメクチックC相において単安定であることを特徴とする。
【0014】請求項4の発明は、請求項1の液晶表示素子において、前記化学式2の成分を含む液晶組成物が、液相(Iso)−カイラルネマチック相(N*)−カイラルスメクチックC相(SmC*)の相転移を示し、カイラルスメクチックC相において双安定であることを特徴とする。
【0015】請求項5の発明は、請求項1の液晶表示素子において、前記混合液晶材料が液相(Iso)−カイラルネマチック相(N*)−カイラルスメクチックC相(SmC*)の相転移を示すことを特徴とする。
【0016】請求項6の発明は、請求項4の液晶表示素子において、前記化学式2の成分を含む液晶組成物が、60°以上のコーン角を有することを特徴とする。
【0017】本発明においては、カイラルスメクチックC相で単安定であるがコーン角の小さい強誘電性液晶組成物と、カイラルスメクチックC相で単安定ではないがコーン角の大きい強誘電性液晶組成物とを混合し、この混合液晶材料を、配向処理方向が互いに略平行となるように対向配置された一対の基板間に液相状態にて充填してそのまま室温まで冷却すると、混合液晶材料は基板に設けられた一軸配向方向によって単安定化され、基板間に60°以上の大きなコーン角のカイラルスメクチックC相を有する単安定強誘電性液晶層が形成される。このため、印加電界のない状態でスメクチック層の法線と液晶分子軸が一軸配向処理方向に平行となり、電界が印加されると液晶分子はコーン角の大きなスメクチックコーンに沿って回転し、基板表面に見える見掛けのチルト角は印加電界の強度に応じて連続的に変化する。直交偏光子下の光透過率は見掛けのチルト角の増大とともに連続的に増大するため、連続階調すなわちアナログ階調が得られるとともに、60°以上の大きなコーン角に対応して最大光透過率75%以上の高度に明るい表示が達成される。印加電界がなくなると界面の安定化効果によって液晶分子は直ちに初期状態に戻る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1および図2は、本発明の実施の形態の液晶表示素子を示すもので、図1に断面図を、図2に模式的な平面図を示す。セルの上部基板1および下部基板2として2枚のガラス基板が対向配置されている。これらの基板の片面に例えばITO(インジュウム−スズの酸化物)の透明電極3、4が成膜されている。透明電極3、4の上には均質な配向層5、6が形成され、配向層5、6には、最終的なセルとして見たとき、それぞれ機械的ラビング処理(矢印7、8でラビング方向を示す。)により、破線9で示す方向に配向処理が施されている。これにより、SmC*相の液晶分子はセルの上記配向処理方向9に配向する。基板1、2の他方の面には直線偏光する偏光子10、11が配置されている。偏光子10の偏光方向は配向処理方向9に平行に、偏光子11の偏光方向は配向処理方向9に垂直になるよう配置されるが、これらの偏光方向の配置は光学効果によって交替可能である。
【0019】このように構成されたセル内に、化学式1の成分を含む単安定強誘電性液晶組成物Aと、化学式2の成分を含む双安定強誘電性液晶組成物Bを混合した混合液晶材料Cが等方性相(液相)またはネマチック相の状態で充填され、周囲温度まで冷却される。この混合液晶材料Cも液晶組成物A、Bと同様にカイラルスメクチックC相を示す。さらに、この混合液晶材料Cにおいては、液晶組成物Bによる双安定性は、単安定成分である液晶組成物Aと配向処理面との相互作用により容易に抑制され、単安定性が双安定性よりも優勢となることができる。一方、混合液晶材料Cのコーン角は液晶組成物A、Bの各々のコーン角の中間となる。したがって、混合液晶材料Cは、液晶組成物A、Bの最適な混合比をとることによって、60°以上の大きいコーン角の単安定状態を形成することができる。
【0020】このような液晶表示素子においては、基板1、2に施された一軸配向処理は、スメクチック層12の形成にあたって層の法線が配向処理方向9に平行となるよう働く。これにより、層の法線は配向処理方向9に平行となり、強誘電性液晶13は電界のない状態で一定の単安定状態を示す。このとき、液晶分子13が描くスメクチックコーン14の軸方向の基板への投影成分と、液晶分子自身の軸方向の基板への投影成分は、配向層5、6の配向処理方向9と同一とされ、この状態が初期状態として単安定化される。
【0021】セルの電極3、4には信号電源15が接続されており、印加電圧がないときは、液晶は配向層5、6の配向処理方向9に沿って均一な単安定状態に配向しているが、電圧が印加されると、液晶分子がスメクチックコーン14に沿って回転し、基板上の配向処理方向9に対する液晶分子の傾きを示す見掛けのチルト角θapp が印加電界の強度に応じて連続的に変化する。液晶表示素子を透過する光の強度は見掛けのチルト角の増大とともに連続的に増大し、連続階調いわゆるアナログ階調が得られる。また、見掛けのチルト角の最大はコーン角の1/2のため、大きいコーン角ほど最大光透過率が大きくなり、コーン角60°以上で最大光透過率75%以上の高度の明るさが達成される。
【0022】
【実施例】以下、本発明を具体的な実験結果に基づいて説明する。まず、液晶セルを次のようにして作成した。透明電極を形成したガラス基板にポリイミド膜を被着し、一軸配向用にラビング処理した。被着したポリイミド膜は1°〜2°のプレチルト角を示した。この基板と同様にして作成したもう1枚の基板をラビング方向が互いに平行となるように配置し、セルギャップを1.4μmとした。その際、ラビング方向も互いに同じにしたパラレルセルとラビング方向を互いに反対にしたアンチパラレルセルの2通りを作成した。
【0023】化学式1で表される成分を含む液晶組成物Aとして、化学式3で示される単安定強誘電性液晶材料を使用した。この液晶組成物Aのコーン角と自発分極Psは25℃の室温でそれぞれ40°と8.9nC/cm2 であった。
【0024】
【化5】

【0025】化学式2で表される成分を含む液晶組成物Bは、双安定型強誘電性液晶であり、25℃で86°の大きいコーン角と72.7nC/cm2 の高い自発分極Psを示した。本実施例では上記液晶組成物A、Bを混合して用いた。それぞれの相転移挙動を表1に示す。その際、液晶組成物A、Bの混合比を変えて、表2に示すような4種の液晶組成物C1、C2、C3、C4を作成した。これらの相転移挙動を表3に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
【表3】

【0029】上記混合液晶材料を等方性液体相(Iso)の状態で空のセル内に注入し、−0.5℃/分の速度で室温まで徐冷した。作成した液晶セルを偏光顕微鏡で観察して、パラレルセルおよびアンチパラレルセルの両方のセル構造における液晶構造を調べた。直交偏光子のもとで、試料セルの印加電界の強度による光透過率の変化を544nmの緑色光を用いて25℃にて観測した。
【0030】また、試料セルの見掛けのコーン角2θapp を次の方法に従って測定した。まず、直交配置された偏光子に挟まれた強誘電性液晶セルに一方の極性の単パルスを印加して、偏光子に対して液晶セルを水平方向に回転し光の消える第1の消光点を求める。つぎに、この液晶セルに逆の極性の単パルスを印加して、偏光子に対して液晶セルを回転し光の消える第2の消光点を求める。第1と第2の消光点から、この間の回転角度を見掛けのコーン角2θapp として測定する。
【0031】次に、液晶セル構造および液晶材料の物理的性質の単安定化に及ぼす効果を検討した。検討した結果を以下に述べる。
【0032】参考例1液晶組成物A、Bを混合する前に、液晶組成物Aの単安定性を検討した。一対の基板のラビング方向が互いに平行で向きも同じパラレルセルに液晶組成物Aを充填し、そのまま等方性相から室温まで−0.5℃/分の速度で徐冷した。この液晶セルを試料セルAとする。試料セルAの液晶構造を偏光顕微鏡で観察したところ、液晶組成物Aは25℃で電界無印加のとき液晶分子がラビング方向および層の法線に平行に配向し、均一な単安定構造を示すことが確認された。
【0033】試料セルAを直交配置される偏光子で挟み、光透過率を測定した。図3は試料セルの単安定性評価用の駆動波形を示すものである。この駆動波形は液晶材料に対する中性的条件を考慮して印加電圧の極性を交互に変えている。試料セルAにおいては、図3に示す駆動波形に対して図4に示すような光透過率Trの応答波形が得られた。ここでは、便宜上、最大光透過率を100%としている。このTrの応答波形から明らかなように、印加電圧の増大とともに光透過率が増大しており、階調表示が達成された。また、印加電圧を連続的に振幅変調することによってアナログ階調も達成できる。
【0034】この試料セルAのコーン角は40°、コントラスト比は110であった。さらに、試料セルAの応答時間は立ち上がり時間で285マイクロ秒、立ち下がり時間で385マイクロ秒であった。このように、液晶組成物Aはパラレルセルにおいて明らかにアナログ階調性を有する単安定強誘電性液晶状態を示している。
【0035】参考例2次に、液晶組成物Bの双安定性の検討を行った。パラレルセルに液晶組成物Bを充填し、等方性相から−0.5℃/分の速度で室温まで徐冷した。この液晶セルを試料セルBとする。試料セルBの液晶構造を観察した結果、SmC*相に層構造の乱れに伴う双安定構造のマルチドメイン欠陥が多く認められた。このような構造欠陥は、SmC*相への相転移中に、スメクチック層やスメクチックコーンが急激に形成されたためと考えられる。試料セルBは、図3の駆動波形に対して図5のTr応答波形を示した。便宜上、最大光透過率を100%としている。このTr応答波形から明らかなように、光透過率は非対称に変動し、双安定強誘電性スイッチングを示している。このように、液晶組成物Bは明らかに室温で双安定強誘電性液晶状態を示している。
【0036】実施例1パラレルセルに液晶組成物C1を充填し、等方性相からそのまま−0.5℃/分の速度で室温まで徐冷した。この液晶セルを試料セルCとする。試料セルCの液晶構造を観察したところ、電界無印加のとき液晶分子が25℃でラビング方向および層の法線に平行に配向し、均一な単安定構造を示した。図6に、図3の駆動波形に対する試料セルCのTr応答波形を示す。図6から、試料セルCにおいて電圧変調により階調が達成できることが確認された。このTr応答波形では、印加電界の増大とともに光透過率が増大し階調表示が達成されたことを示している。この試料セルCのコントラスト比は70であった。
【0037】実施例2次に、ポリイミド界面の構造的因子が単安定化に及ぼす効果を明確にするために、一対の基板のラビング方向が互いに平行であるが向きが逆のアンチパラレルセルにおける液晶組成物C1について検討した。液晶セルの構成や液晶材料は先に作成した試料セルCと同様であり、配向膜のラビング方向の組み合わせのみ相違している。試料セルCと同様に作成されたアンチパラレルセルを試料セルDとする。試料セルDの液晶構造を観察したところ、この液晶もまた試料セルCと同様に均一な単安定構造を示した。さらに、試料セルDにおいて、図3の駆動波形に対して図7に示すようなTr応答波形が得られた。この応答波形から、試料セルCと同様に印加電界の増大につれて光透過率が増大することが確認された。また、印加電圧を連続的に振幅変調することによってアナログ階調も達成することができる。試料セルDではコントラスト比60が得られた。
【0038】実施例3パラレルセルに液晶組成物C2を充填し、等方性相からそのまま−0.5℃/分の速度で室温まで徐冷した。この液晶セルを試料セルEとする。試料セルEの液晶構造を観察したところ、電界無印加のとき液晶分子が25℃でラビング方向および層の法線に平行に配向し、均一な単安定構造を示した。図8は、図3の駆動波形に対する試料セルEのTr応答波形を示すものである。図8から、試料セルEにおいて電圧変調により階調が達成できることが確認された。このTr応答波形では、印加電界の増大とともに光透過率が増大し階調表示が達成されたことを示している。試料セルEのコントラスト比は50であった。
【0039】実施例4アンチパラレルセルに液晶組成物C2を充填し、等方性相からそのまま−0.5℃/分の速度で室温まで徐冷した。この液晶セルを試料セルFとする。試料セルFは試料セルEと液晶セルの構成や液晶材料が同じで、配向膜のラビング方向の組み合わせのみ相違している。試料セルFの液晶構造を観察したところ、この液晶もまた試料セルEと同様に均一な単安定構造を示した。図3の駆動波形に対する試料セルFのTr応答波形を図9に示す。このTr応答波形から明らかなように、試料セルFも試料セルEと同様に印加電界の増大につれて光透過率が増大している。また、印加電圧を連続的に振幅変調することによってアナログ階調も達成することができる。試料セルFのコントラスト比は150であった。
【0040】実施例5パラレルセルに液晶組成物C3を充填し、等方性相からそのまま−0.5℃/分の速度で室温まで徐冷した。この液晶セルを試料セルGとする。試料セルGの液晶構造を観察したところ、電界無印加のとき液晶分子が25℃でラビング方向および層の法線に平行に配向し、均一な単安定構造を示した。図10は、図3の駆動波形に対する試料セルGのTr応答波形を示すものである。図10から、試料セルGにおいて電圧変調により階調が達成できることが確認された。このTr応答波形では、印加電界の増大とともに光透過率が増大し階調表示が達成されたことを示している。試料セルGのコントラスト比は80であった。
【0041】実施例6アンチパラレルセルに液晶組成物C3を充填し、等方性相からそのまま−0.5℃/分の速度で室温まで徐冷した。この液晶セルを試料セルHとする。試料セルHは試料セルGと液晶セルの構成や液晶材料が同じで、配向膜のラビング方向の組み合わせのみ相違している。試料セルHの液晶構造を観察したところ、この液晶もまた試料セルGと同様に均一な単安定構造を示した。図3の駆動波形に対する試料セルHのTr応答波形を図11に示す。このTr応答波形から明らかなように、試料セルHも試料セルGと同様に印加電界の増大につれて光透過率が増大している。また、印加電圧を連続的に振幅変調することによってアナログ階調も達成することができる。試料セルHのコントラスト比は150であった。
【0042】実施例7パラレルセルに液晶組成物C4を充填し、等方性相からそのまま−0.5℃/分の速度で室温まで徐冷した。この液晶セルを試料セルIとする。試料セルIの液晶構造を観察したところ、電界無印加のとき液晶分子が25℃でラビング方向および層の法線に平行に配向し、均一な単安定構造を示した。図12は、図3の駆動波形に対する試料セルIのTr応答波形を示すものである。図12から、試料セルIにおいて電圧変調により階調が達成できることが確認された。このTr応答波形では、印加電界の増大とともに光透過率が増大し階調表示が達成されたことを示している。試料セルIのコントラスト比は45であった。
【0043】実施例8アンチパラレルセルに液晶組成物C4を充填し、等方性相からそのまま−0.5℃/分の速度で室温まで徐冷した。この液晶セルを試料セルJとする。試料セルJは試料セルIと液晶セルの構成や液晶材料が同じで、配向膜のラビング方向の組み合わせのみ相違している。試料セルJの液晶構造を観察したところ、この液晶もまた試料セルIと同様に均一な単安定構造を示した。図3の駆動波形に対する試料セルJのTr応答波形を図11に示す。このTr応答波形から明らかなように、試料セルJも試料セルIと同様に印加電界の増大につれて光透過率が増大している。また、印加電圧を連続的に振幅変調することによってアナログ階調も達成することができる。試料セルJのコントラスト比は25であった。
【0044】コーン角の検討次に、上記試料セルについて、液晶組成物Bの混合比率によるコーン角の変化を観察した。その結果を図14に示す。この図に示すように、測定した見掛のコーン角は、液晶組成物Bの混合比率が大きくなるにつれて、60°から86°まで連続的に増大している。ここで、前述した光透過率との関係を示す式1によれば、100%の光透過率の明るさを得るための理想的コーン角は90°であり、この理想的コーン角に近い86°のコーン角が得られたことは注目すべきことである。このように、混合比率を変えることによって、単安定強誘電性液晶セルのコーン角とそれによって得られる明るさを調整することができる。液晶組成物Bの含有量が60%を越えると、単安定性は崩れ始めコントラスト比も低下し始める。液晶組成物Bの混合比率とコーン角の関係から、液晶組成物Bの混合比率による最大光透過率の変化を求めた。その結果を図15に示す。この図に示すように、最大光透過率は90%から99%まで上昇する。このように、混合組成物Cはアナログ階調性とともに高度な明るさを提供することが明らかである。各試料セルのコーン角の測定結果および対応する最大光透過率を表4に示した。
【0045】応答性の検討上記試料セルの5Vの印加電圧での応答時間を観測した。その結果を液晶組成物Bの混合比の関数として図16、17に示した。図16には、電界印加による電界ゼロ状態からの立ち上がり応答時間を、図17には、電界印加状態から電界ゼロ状態への立ち下がり応答時間をそれぞれ示している。これらの図において、立ち上がり応答時間はほぼ一定であるが、立ち下がり応答時間は液晶組成物Bの混合比とともに上昇している。各試料セルの応答速度の測定結果をまとめて表4に示した。特に電界ゼロ状態からの立ち上がりの応答が高速であるのは、単安定状態の安定度が非常に高いためであると推定される。
【0046】
【表4】

【0047】また、パラレルセルとアンチパラレルセルについてもそれぞれの測定結果を比較すると、見掛けのコーン角の電界依存性、応答速度およびパルス駆動特性はほとんど変わらないことが確認された。したがって、パラレルセルにおいてもアンチパラレルセルにおいても、上記実施例の液晶組成物を用いることにより、アナログ階調性と高速動作が可能な単安定強誘電性液晶状態を実現することができる。
【0048】
【発明の効果】上記したように、本発明によれば、単安定強誘電性液晶組成物と60°以上の大きいコーン角を有する双安定強誘電性液晶組成物を混合することにより、60°以上の大きいコーン角を有する単安定強誘電性組成物を得ることができ、この液晶組成物を用いることによって、アナログ階調性および高速応答性とともに高度の明るい表示性能を有する単安定強誘電性液晶表示素子を実現することができる。




 

 


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