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土壌改質剤及びその製造方法 - ソニー株式会社
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発明の名称 土壌改質剤及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−294858(P2001−294858A)
公開日 平成13年10月23日(2001.10.23)
出願番号 特願2000−112955(P2000−112955)
出願日 平成12年4月14日(2000.4.14)
代理人
発明者 渡辺 春夫 / 稲垣 靖史 / 野口 勉
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 アクリロニトリルと、スチレン及び/又は共役ジエンの少なくとも1種類以上とを構成ユニットとして含む共重合体を原料とする土壌改質剤であって、共重合体に置換基として付加された第1の酸の酸基を第1の塩基成分で中和してなる塩と、第1の酸とは異なる酸基を有する第2の酸を第1の塩基成分で中和してなる塩、及び、第1の酸とは異なる酸基を有する第2の酸を第1の塩基成分とは異なる第2の塩基成分で中和してなる塩の少なくとも一方を含有することを特徴とする土壌改質剤。
【請求項2】 共重合体に置換基として付加された第1の酸の酸基を中和してなる塩、及び第2の酸を中和してなる塩が、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムの少なくと一つを主成分としていることを特徴とする請求項1に記載の土壌改質剤。
【請求項3】 共重合体が、5モル%以上80モル%以下のアクリロニトリルユニットを含有していることを特徴とする請求項1に記載の土壌改質剤。
【請求項4】 共重合体が、スチレン及び/又は共役ジエンの少なくとも1種類以上を20モル%以上95モル%以下含有することを特徴とする請求項1に記載の土壌改質剤。
【請求項5】 共重合体が、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、SAN(スチレン−アクリロニトリル)樹脂、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)の少なくともいずれかで構成されていることを特徴とする請求項1記載の土壌改質剤。
【請求項6】 共重合体が、無機顔料を含有していることを特徴とする請求項1に記載の土壌改質剤。
【請求項7】 無機顔料が、カーボンブラック及び酸化チタンの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の土壌改質剤。
【請求項8】 共重合体中の無機顔料含有量が、共重合体の乾燥重量の0.01重量%以上20重量%以下、好ましくは0.05重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の土壌改質剤。
【請求項9】 共重合体が、特定の用途を目的として成形され、かつ使用済みの成形品から回収されたものであることを特徴とする請求項1に記載の土壌改質剤。
【請求項10】 共重合体に置換基として付加された第1の酸の酸基が、スルホン酸、−PO(OH)2 、及び−CH2 PO(OH)2 の少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項1に記載の土壌改質剤。
【請求項11】 第1の酸の酸基が、スルホン酸であることを特徴とする請求項14に記載の土壌改質剤。
【請求項12】 共重合体に置換基として付加された第1の酸の酸基が、共重合体中の全ユニットに対して5モル%以上95モル%以下であることを特徴とする請求項1に記載の土壌改質剤。
【請求項13】 第2の酸は、第1の酸が硫酸であるとき、燐酸又は硝酸であることを特徴とする請求項1に記載の土壌改質剤。
【請求項14】 第2の酸と、第1の塩基成分及び/又は第2の塩基成分との塩の含有量は、共重合体の乾燥重量の0.001重量%以上100倍以下であることを特徴とする請求項1から13のうちのいずれか1項に記載の土壌改質剤。
【請求項15】 アクリロニトリルと、スチレン及び/又は共役ジエンの少なくとも1種類以上とを構成ユニットとして含む共重合体を原料とする土壌改質剤の製造方法であって、共重合体と第1の酸とを反応させて酸処理を施し、共重合体に第1の酸の酸基を置換基として付加させる酸処理工程と、酸処理工程を経た共重合体に第1の酸とは異なる酸基を有する第2の酸を加える酸添加工程と、酸添加工程を経た共重合体に塩基成分を加えて、共重合体に付加した第1の酸の酸基の塩及び第2の酸の塩をそれぞれ生成する中和処理工程とを有することを特徴とする土壌改質剤の製造方法。
【請求項16】 アクリロニトリルと、スチレン及び/又は共役ジエンの少なくとも1種類以上とを構成ユニットとして含む共重合体を原料とする土壌改質剤の製造方法であって、共重合体と第1の酸とを反応させて酸処理を施し、共重合体に第1の酸の酸基を置換基として付加させる酸処理工程と、酸添加工程を経た共重合体に第1の塩基成分を加えて、共重合体に付加した第1の酸の酸基の塩を生成する第1の中和処理工程と第1の中和処理工程を経た共重合体に第1の酸とは異なる酸基を有する第2の酸を加える酸添加工程と、酸添加工程を経た共重合体に、第1の塩基成分及び第1の塩基成分とは異なる第2の塩基成分の少なくとも一方を加えて、共重合体に加えた第2の酸の塩を生成する第2の中和処理工程とを有することを特徴とする土壌改質剤の製造方法。
【請求項17】 中和処理工程では、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムの少なくとも一つを主成分にする塩を生成することを特徴とする請求項15又は16に記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項18】 土壌改質剤の原料として、5モル%以上80モル%以下のアクリロニトリルユニットを含有する共重合体を使用することを特徴とする請求項15又は16に記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項19】 土壌改質剤の原料として、スチレン及び/又は共役ジエンの少なくとも1種類以上をを20モル%以上95モル%以下含有する共重合体を使用することを特徴とする請求項15又は16記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項20】 共重合体が、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、SAN(スチレン−アクリロニトリル)樹脂、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)の少なくともいずれかで構成されていることを特徴とする請求項15又は16に記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項21】 共重合体が、無機顔料を含有していることを特徴とする請求項15又は16に記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項22】 無機顔料が、カーボンブラック及び酸化チタンの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項21記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項23】 共重合体中の無機顔料の含有量が、共重合体の乾燥重量の0.01重量%以上20重量%以下、好ましくは0.05重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項21に記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項24】 共重合体が、特定の用途を目的として成形され、かつ使用済みの成形品から回収された樹脂からなることを特徴とする請求項15又は16に記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項25】 酸処理工程及び酸添加工程では、第1の酸及び第2の酸として、濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、燐酸、塩化燐、酸化燐の少なくとも1種類以上の無機酸を用いることを特徴とする請求項15又は16に記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項26】 酸処理工程及び酸添加工程では、第1の酸及び第2の酸のいずれか一方として、濃度70重量%以上の濃硫酸を用いることを特徴とする請求項15又は16に記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項27】 酸処理工程では、濃硫酸及び/又はクロルスルホン酸に、無水硫酸及び/又は発煙硫酸を逐次添加することを特徴とする請求項15又は16に記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項28】 第1の酸が硫酸であるとき、第2の酸が燐酸又は硝酸であることを特徴とする請求項15又は16に記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項29】 共重合体を3.5メッシュ以下のサイズの小片に破砕加工した後、酸処理工程を施すことを特徴とする請求項15又は16に記載の土壌改質剤の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリロニトリルと、スチレン及び/又は共役ジエンとの少なくとも1種類以上とを構成ユニットとする共重合体を含む樹脂系原料を改質してなる土壌改質剤、及びその製造方法に関し、更に詳細には、農産物及び花卉の生育を助長する土壌改質剤及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アクリロニトリルと、スチレン及び/又は共役ジエンの少なくとも1種類以上とを含有する樹脂は、種々の用途で広く使われている樹脂であって、その例として、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、SAN(スチレン−アクリロニトリル)樹脂、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリレート)樹脂等に代表されるポリスチレン系樹脂と、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)の合成ゴム等が挙げられる。これらの樹脂は、比較的安価であり、特に、前者のポリスチレン系樹脂は、剛性、寸法安定性、加工容易性等の特性が優れているので、様々な用途のカバーやケース、電気機器の筐体、自動車のダッシュボード、或いは各種成形部品等の樹脂材料として多用されている。また、後者の合成ゴムは、チューブやホース等の柔軟な管体、及び各種緩衝材として多用されている。
【0003】これら、アクリロニトリルと、スチレン又は共役ジエンの少なくとも一種類以上とを含有する樹脂は、上述のように、優れた特性を有するので、一層の用途の拡大が期待されており、また、更に特性を改善して付加価値が一段と高い樹脂に改質する努力が望まれている。一方で、このような樹脂材料を用いた製品の生産量の増加に伴い、多量の樹脂廃材が発生するので、地球環境保全の見地から、リサイクルして樹脂廃材の有効利用を図る研究が注目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、高分子系の樹脂廃材は、大きく分けて、埋め立て処理、焼却処理、及び溶融による再生処理の三つの処理法によって処理されている。しかし、国内では、埋め立て処理と焼却処理とによって処理される樹脂廃材が、樹脂廃材全体の約9割を占め、殆どリサイクルされていないのが、現状である。
【0005】また、この高分子系の樹脂廃材のリサイクル方法として、従来から、熱可塑性樹脂の廃材については、加熱、溶融し、再成形する再生法が行われている。しかし、この再生法では、熱による樹脂の品質劣化、例えば分子量低下、樹脂の酸化等に起因する品質劣化、ゴミ等の異物の混入による品質劣化が問題となっており、更には、種々の着色剤を含有した樹脂が混入することにより、色合わせが必要になる等の多くの問題があった。更には、このような問題を解決して、熱可塑性樹脂の廃材を加熱、溶融により再生するためには、再生技術の開発や、再生処理のコストが大きな障害となって、リサイクルの実用化が阻害されているという問題があった。
【0006】そこで、本発明の目的は、加熱、溶融による再生法に代えて、これらアクリロニトリルと、スチレン又は共役ジエンの1種類以上とを構成ユニットとして含む共重合体、又はそのような共重合体の使用済み樹脂廃材を用いて、付加価値の高い土壌改質剤を提供すること、更に、そのような土壌改質剤を製造する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、所定量のアクリロニトリルと、スチレン及び/又は共役ジエンの一種類以上とを構成ユニットとして含む共重合体を第1の酸で酸処理し、更に、第1の酸とは異なる酸基を有する第2の酸を添加した後、塩基成分を加えて中和することにより、優れた土壌改質性能を有する土壌改質剤を製造できることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】即ち、上記目的を達成するために、上述の知見に基づいて、本発明に係る土壌改質剤は、アクリロニトリルと、スチレン及び/又は共役ジエンの少なくとも1種類以上とを構成ユニットとして含む共重合体を原料とする土壌改質剤であって、共重合体に置換基として付加された第1の酸の酸基を第1の塩基成分で中和してなる塩と、第1の酸とは異なる酸基を有する第2の酸を第1の塩基成分で中和してなる塩、及び、第1の酸とは異なる酸基を有する第2の酸を第1の塩基成分とは異なる第2の塩基成分で中和してなる塩の少なくとも一方を含有することを特徴としている。
【0009】本発明に係わる土壌改質剤は、所定量のアクリロニトリルと、スチレン及び/又は共役ジエンの一種類以上とを構成ユニットとして含む共重合体に酸処理を施して、共重合体中のニトリル部を加水反応させて加水反応生成基を生成させ、且つ、スチレン部及び/又は共役ジエン部に第1の酸の酸基を導入し、第1の酸とは異なる酸基を有する第2の酸酸を添加し、次いで中和して塩にすることにより、製造されることを特徴とするものである。
【0010】また、本発明に係わる土壌改質剤は、別法として、共重合体に酸処理を施して、共重合体中のニトリル部を加水反応させて加水反応生成基を生成させ、且つ、スチレン部及び/又は共役ジエン部に第1の酸の酸基を導入し、次いで、第1の中和処理を行って第1の酸の酸基の塩を生成させ、更に、第1の酸とは異なる酸基を有する第2の酸酸を添加し、次いで第2の中和処理を行って塩にすることにより、製造されることを特徴とするものである。
【0011】本発明に係る土壌改質剤は、未反応のニトリル基を有することにより、非水溶性とゲル強度が向上し、また、ニトリル基の加水反応生成基及び塩を形成する第1の酸の酸基により吸水性が高められ、水を吸水して容易にゲル化する。更に、第2の酸の塩成分が土壌に作用することにより、土壌改質効果が得られる。
【0012】また、本発明に係わる土壌改質剤の製造方法(以下、第1の発明方法と言う)は、アクリロニトリルと、スチレン及び/又は共役ジエンの少なくとも1種類以上とを構成ユニットとして含む共重合体を原料とする土壌改質剤の製造方法であって、共重合体と第1の酸とを反応させて酸処理を施し、共重合体に第1の酸の酸基を置換基として付加させる酸処理工程と、酸処理工程を経た共重合体に第1の酸とは異なる酸基を有する第2の酸を加える酸添加工程と、酸添加工程を経た共重合体に塩基成分を加えて、共重合体に付加した第1の酸の酸基の塩及び第2の酸の塩をそれぞれ生成する中和処理工程とを有することを特徴としている。
【0013】更に、本発明に係わる土壌改質剤の別の製造方法(以下、第2の発明方法と言う)は、アクリロニトリルと、スチレン及び/又は共役ジエンの少なくとも1種類以上とを構成ユニットとして含む共重合体を原料とする土壌改質剤の製造方法であって、共重合体と第1の酸とを反応させて酸処理を施し、共重合体に第1の酸の酸基を置換基として付加させる酸処理工程と、酸添加工程を経た共重合体に第1の塩基成分を加えて、共重合体に付加した第1の酸の酸基の塩を生成する第1の中和処理工程と第1の中和処理工程を経た共重合体に第1の酸とは異なる酸基を有する第2の酸を加える酸添加工程と、酸添加工程を経た共重合体に、第1の塩基成分及び第1の塩基成分とは異なる第2の塩基成分の少なくとも一方を加えて、共重合体に加えた第2の酸の塩を生成する第2の中和処理工程とを有することを特徴としている。
【0014】第1及び第2の発明方法は、電解質水溶液においても良好な吸水性を示し、ゲル強度が高く、且つ、土壌改良成分、及び植物の生育を助長する塩基成分を含有した、土壌改質性能の優れた土壌改質剤を実現している。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、実施形態例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
土壌改質剤の実施形態例(1)土壌改質剤の原料となる共重合体の構成ユニット本発明に係る土壌改質剤の原料となる共重合体は、アクリロニトリルと、スチレン及び/又は共役ジエンとを構成ユニットとして含有し、共重合体中にアクリロニトリル単位を5モル%以上80モル%以下、好ましくは10モル%以上60モル%以下、更に好ましくは20〜50モル%含有しているものである。アクリロニトリル単位の含有量が5モル%未満であると、酸処理をした際に水溶性を示し、土壌改質剤として不適である。逆に、アクリロニトリル単位の含有量が80モル%を超える場合は、該高分子材料が硬くなり、小片に粉砕するのが困難になったり、共重合体中のスチレン及び/又は共役ジエン部の含有量が相対的に少なくなり、塩基成分の導入率も低下するので、土壌改質効果が低下する。
【0016】共重合体は、アクリロニトリル以外の構成単位として、スチレン及び/又は共役ジエン(ブタジエン、イソプレン)の少なくとも1種類以上を、20〜95モル%、好ましくは40〜85モル%、更に好ましくは50〜80モル%含有しているものが望ましい。これらのスチレン及び/又は共役ジエンの構成単位は、本発明方法の酸処理と、それに引き続く塩形成、例えばカリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムの少なくとも一つを塩基成分とする塩を形成することにより、親水性基が共重合体中に導入されるところとなり、親水性及び吸水性が高い良好な土壌改質剤を実現することができる。
【0017】アクリロニトリル、スチレン及び/又は共役ジエンが、所定量含有されていれば、更に、別の構成単位が樹脂系原料中に含有されていても良い。これら別の構成単位としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、α−メチルスチレン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、炭素数が1〜10の飽和及び不飽和炭化水素のアクリル酸及びアクリル酸エステル、炭素数が1〜10の飽和及び不飽和炭化水素のメタアクリル酸及びメタアクリル酸エステル、酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン、プロピレン、ブチレン、ビニルピロリドン、ビニルピリジン等を挙げる事が出来る。
【0018】原料となる共重合体の分子量(Mw)は、重量平均分子量(Mw)が1,000以上20,000,000以下、更には、10,000以上1,000,000以下であることが好ましい。重量平均分子量が1,000未満であると、酸処理、及びそれに引き続く塩生成処理を施した際、例えば、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムの少なくともいずれかを塩基とする塩を形成した際に、塩が水溶性を示すところとなり、目的とする土壌改質剤を形成することが出来なくなる。逆に、重量平均分子量が20,000,000を超えると、酸処理、及びそれに引き続く塩生成処理を施した際、例えばカリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムの少なくともいずれかを塩基成分とする塩を形成した際、反応速度が遅くなり、経済性に欠け、実用的ではない。
【0019】なお、アクリロニトリルと、スチレン及び/又は共役ジエンの少なくとも一種類以上とを構成ユニットとして含有し、土壌改質剤の原料として好適な共重合体として、ABS樹脂、SAN樹脂、ASA樹脂、ACS(アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン)樹脂、NBRゴム等の高分子材料である。
【0020】(2)原料となる共重合体に含まれる他の樹脂また、原料となる共重合体は、他の樹脂とのアロイ物であっても良く、また、顔染料、樹脂安定剤、難燃剤、可塑剤、充填剤、その他補助剤等の添加剤を含んでいる樹脂廃材であっても良い。更には、共重合体は、使用済み廃材とバージン材料との混合物であっても良い。
【0021】原料する共重合体の上述の構成ユニットと混合可能な他の樹脂としては、酸処理、及びそれに引き続く塩生成処理によって、例えばカリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムを塩基成分とする塩を生成した際に、塩生成を阻害しない樹脂であることが望ましく、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエステル等が挙げられる。なお、これらの樹脂は、上述の構成ユニットに対して60重量%以下の含有量で混合されることが望ましい。これらの樹脂の含有量が60重量%を超えて多くなると、酸処理、及びそれに引き続く塩生成処理によって、例えばカリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムを塩基成分とした塩を生成する際、塩生成反応が阻害されることになるからである。
【0022】(3)原料となる共重合体に含まれる添加物共重合体に、カーボンブラック、酸化チタン等の無機物が含有されていると、共重合体の酸処理が促進されるため、土壌改質剤の吸水効果が向上する。尚、共重合体の酸処理が促進されるのは、無機顔料周辺が酸処理され易くなるために、反応時に同無機顔料が共重合体から逸脱し、酸が共重合体表面から内部に浸透し易くなるからである。土壌改質剤中に含まれるカーボンブラック及び酸化チタンの含有量は、共重合体の乾燥重量に対して0.01重量%以上20重量%以下で、好ましくは、0.05重量%以上10重量%以下である。カーボンブラックや酸化チタンは、元々、共重合体に含まれているものであっても良いし、又は共重合体に、別途、添加、混合されたものでも良いが、前者の方が生成する土壌改質剤の性能を向上させる観点から望ましい。これらのカーボンブラックや酸化チタンは、プラスチックの着色剤、補強剤、或いは電気伝導性付与剤として一般に用いられているもので良い。
【0023】カーボンブラックは、チャンネル法、ファーネス法、サーマル法のいずれの方法によって製造されたものでも良く、各方法によりそれぞれ製造されたカーボンブラック単独及び/又は複数の方法により製造されたカーボンブラックを混合したものでも良い。なお、カーボンブラックの平均粒子径は、0.005μm以上100μm以下で、好ましくは0.01μm以上10μm以下である。
【0024】酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型、及び超微粒子チタンのいずれのタイプでも良く、それぞれ単独及び/又は複数の種類を混合したものを用いても良い。なお、酸化チタンの平均粒子径は、0.01μm以上50μm以下で、好ましくは、0.05μm以上10μm以下である。
【0025】原料となる共重合体は、新たに製造されたバージンペレットであっても良いし、樹脂や成形品の生産過程で生じた排出品(半端品)や、電気製品や自動車等で使用された筐体や各種部品材料、又はチューブやホース、各種緩衝材の使用済み廃材であっても良い。廃材の排出源は、工場や販売店、家庭等からのいずれであっても良いが、家庭等からの一般廃棄物よりは、工場や販売店等から回収されたものの方が比較的組成の揃ったものが多いので、より望ましい。
【0026】土壌改質剤の製造方法の実施形態例1本実施形態例は、第1の発明方法に係る実施形態の一例である。
(1)原料の調製原料の共重合体に第一段の酸処理を施す前に、先ず、共重合体を破砕して小片にしておくことが望ましい。小片にする方法は、例えば以下のものを挙げることが出来る。
1)粉砕機による粉砕→振るい分け。
共重合体がゴム成分を含んでいる場合には、共重合体を凍結させた後に、粉砕すると、容易に小片に粉砕することができる。
2)加熱溶融し、次いで溶融液を微少なビーズ状にペレタイズする。
なお、共重合体の小片のサイズとしては、3.5メッシュ以下にすることが望ましい。3.5メッシュを超えて大きなサイズになると、共重合体小片の単位体積当たりの表面積が小さくなり、酸処理され難くなるために、反応時間が長くなり、経済的でなくなると共に、土壌改質剤に必要な吸水性が大幅に低下することになるからである。
【0027】(2)処理工程第1の発明方法では、アクリロニトリルと、スチレン及び/又は共役ジエンの少なくとも1種類以上とを構成ユニットとして含む共重合体に第1の酸を加えて酸処理し、更に第1の酸と異なる酸基を有する第2の酸を添加し、それに引き続いて、中和による塩生成処理を施すことにより、例えばカリウム及びアンモニウムを塩基成分とする塩を生成することにより、土壌改質剤への転換を行う。すなわち、共重合体に第1の酸を加えて酸処理を施すことにより、共重合体中のアクリロニトリルの一部は、加水反応によって加水反応生成基を生成し、一方、スチレンや共役ジエンには第1の酸の酸基が置換基として導入される。次いで、第1の酸とは異なる酸基を有する第2の酸を添加し、更に中和処理によって第1の酸の酸基の塩及び第2の酸の塩を生成する。例えば、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムの少なくとも一つを塩基成分にして、第1の酸の酸基の塩及び第2の酸の塩を生成する。
【0028】1)酸処理工程本発明の酸処理に使用する第1の酸としては、無機酸が好適である。また、無機酸として、濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸等のスルホン化剤や硝酸、発煙硝酸、燐酸、塩化燐、酸化燐等が挙げられる。これらの中では、濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸が好ましく、特に、濃度70重量%以上の濃硫酸が好ましい。
【0029】また、これらの無機酸は、それぞれ、単独で使用しても良いし、2種類以上で併用しても良い。更には、併用する場合、一括して混合しても良いし、逐次、添加しても良い。例えば、最初、共重合体を濃硫酸で処理した後、次に、無水硫酸を添加することにより、水系で高い形状安定性を維持しつつ良好な吸水性の土壌改質剤を得ることが出来る。これは、最初の濃硫酸の処理により、先ず、共重合体中のニトリル部が、主に加水反応によって加水反応生成基を生成し、次に、無水硫酸で処理することにより、スチレンや共役ジエン部が強制的にスルホン架橋されることにより、架橋度の高い土壌改質剤が得られるためである。
【0030】無機酸の仕込量は、重量ベースで、共重合体の重量に対して1倍以上500倍以下、好ましくは10倍以上200倍以下である。酸の添加量が1倍未満であると、スチレンや共役ジエンへの酸イオン基の導入率や、アクリロニトリル基の加水反応率が低下するために、土壌改質剤として必要な吸水性が低下する。逆に、酸の添加量が500倍を超えて多くなると、過剰分の酸の中和処理が必要となり、経済的にも、作業的にも不利となる。
【0031】なお、酸処理は、無機酸中で行っても良く、また、有機溶媒を用いた系で行っても良い。
【0032】有機溶媒を用いた系で酸処理を行う際に使用可能な有機溶媒としては、C1 又はC2 の脂肪族ハロゲン化炭化水素(好ましくは1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン)、脂肪族環状炭化水素(好ましくは、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン)、ニトロメタン、ニトロベンゼン、二酸化イオウ、パラフィン系炭化水素(炭素数:1〜7)、アセトニトリル、二硫化炭素、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、アセトン、メチルエチルケトン、チオフェン等が挙げられる。好ましくは、C1 又はC2 の脂肪族ハロゲン化炭化水素、脂肪族環状炭化水素、ニトロメタン、ニトロベンゼン、二酸化イオウである。これら溶媒は、そのもの単体を用いても良いし、複数の溶媒を混合して用いても良い。複数溶媒を混合する際に、その混合比率は、特に制限は無い。
【0033】これら有機溶媒の量は、共重合体の重量に対して200倍以下が好適である。有機溶媒の添加量が200倍を超えて多くなると、酸処理の反応率が低くなると共に、経済的にも不利となる。
【0034】酸処理によりスチレン又は共役ジエンユニットに導入される酸基は、例えばスルホン酸、−PO(OH)2 、−CH2 PO(OH)2 である。これら酸基は単独でも良いし、2種類以上該高分子材料に導入されていても良い。
【0035】なお、これらの酸基の中では、スルホン酸基が好ましい。酸基としてスルホン酸基を導入する場合は、共重合体と、濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸等のスルホン化剤とを、そのまま、又は有機溶媒中で反応させることで出来る。また、−PO(OH)2 基を導入するには、有機溶媒中に三酸化燐を添加し、更に加水反応させることにより可能となる。
【0036】本発明に係る土壌改質剤としての性能を満足するには、共重合体中に含有される酸イオン基の量は、全構成ユニットに対して5モル%以上95モル%以下、好ましくは10モル%以上70モル%以下である。酸基の導入率が95モル%を超えて多くなると、共重合体の酸処理物が水溶性を示してしまい、土壌改質剤として使用できなくなってしまう。逆に、酸基の導入率が5モル%未満であると、透水性、吸水性、特に電解質水溶液に対する吸水性が低下し、これに続く塩形成処理、例えばカリウム、マグネシウム、カルシウム、並びに、アンモニウムのイオン交換処理が進まず、有効な土壌改質剤とならない。
【0037】酸処理工程を以下の条件で行うことにより、共重合体に所定量の酸イオン基を導入することが可能となる。酸処理の反応温度は、有機溶媒の使用の有無で大きく異なるが、概ね0℃以上200℃以下、好ましくは30℃以上120℃以下である。反応温度が0℃未満であると、反応速度が遅くなって経済性に欠けるので、実用的でないと共に、良好な性能を有する土壌改質剤が得られなくなる。また、反応温度が200℃を超えて高くなると、共重合体の分子鎖が熱分解によって切断され易くなり、水に対して溶解してしまうからである。反応時間は、反応温度によって大きく異なるが、概ね1分〜40時間、好ましくは5分〜2時間である。反応時間が短過ぎると反応が充分に進行しない。また、長すぎると生産効率が悪くなる。
【0038】なお、酸処理の際には、必要に応じてルイス塩基を用いても良い。ルイス塩基としては、トリエチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート等のアルキルフォスフェート、ジオキサン、無水酢酸、酢酸エチル、パルチミン酸エチル、ジエチルエーテル、チオキサン等が挙げられる。
【0039】なお、酸処理の終了後、酸処理に使用した無機酸や有機溶媒を回収し、そのまま、又は抜き取りや蒸留等の方法により精製して、再度、酸処理に使用しても良い。
【0040】本発明では、共重合体を含む樹脂系原料に酸処理を施すことにより、スチレン及び/又は共役ジエンのユニットには酸基が導入され、一方、アクリロニトリルのユニットは加水反応によって加水反応生成基を生成してアミド化し、親水性の樹脂に改質される。
【0041】2)第2の酸の添加工程第1の酸と異なる酸基を有する第2の酸の添加工程では、酸処理の反応系をフィルタ等で濾過して、固形反応物を分離し、必要に応じて、水で洗浄した後、第2の酸を添加、混合する。本発明で使用する第2の酸は、好適には、例えば、オルト燐酸、メタ燐酸、ポリ燐酸などの燐酸、又は硝酸などである。
【0042】3)中和工程次いで、第2の酸を添加したものに、塩基性物質又はその塩を添加する。別法として、塩基性物質又はその塩の水溶液に、第2の酸を添加した反応生成液系をそのまま加えても良い。中和工程で使用する塩基性物質、又はその塩の例として、ナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、及びアンモニウムのそれぞれの酸化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の化合物が挙げられる。
【0043】第2の酸と塩基成分との塩の量は、酸処理で使用した第1の酸の酸基の塩に転換された共重合体の乾燥重量の0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上であり、100倍以下、好ましくは、10倍以下である。第2の酸と塩基成分との塩の含有量が、0.001重量%未満の場合は、土壌のイオン濃度に基づく浸透圧が勝り、土壌のイオン濃度を低下させ、土壌のイオンバランスを破壊する恐れがあり、かつ、植物の根の水の吸水性を阻害する恐れがある。逆に、含有量が、100倍を超えて高い場合は、共重合体の塩の担持効果、及び塩成分の溶解放出の時間的な遅延効果が得られない。
【0044】中和処理によって得られた反応物は、ゲル状であり、この後、天日乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、遠心分離乾燥、プレス乾燥等の乾燥処理を行って、乾燥させると、目的の土壌改質剤を得ることが出来る。以上の処理工程を経ることにより、ニトリル基と同加水反応生成基、塩になった第1の酸の酸基及び第2の酸の塩とを有する土壌改質剤を得ることが出来る。
【0045】本実施形態例の方法で製造した土壌改質剤は、未反応のニトリル基を有することにより、非水溶性とゲル強度が向上し、また、ニトリル基の加水反応生成基及び塩を形成する第1の酸の酸基により吸水性が高められ、水を吸水して容易にゲル化する。更に、第2の酸の塩成分が土壌に作用することにより、土壌改質効果が得られる。
【0046】土壌改質剤の製造方法の実施形態例2本実施形態例は、第2の発明方法に係る実施形態の一例である。
(1)原料の調製原料の調製は、実施形態例1と同じである。
(2)処理工程本実施形態例では、アクリロニトリルと、スチレン及び/又は共役ジエンの少なくとも1種類以上とを構成ユニットとして含む共重合体に第1の酸を加えて酸処理し、次いで第1の塩基成分を加えて第1の中和処理を行う。続いて、第1の酸とは異なる酸基を有する第2の酸を添加し、更に、第1の塩基成分及び第1の塩基成分とは異なる第2の塩基成分の少なくとも一方による塩生成処理を施すことにより、例えばカリウム及びアンモニウムを塩基成分とする塩を生成することにより、土壌改質剤への転換を行う。
【0047】すなわち、共重合体に第1の酸を加えて酸処理を施すことにより、共重合体中のアクリロニトリルの一部は、加水反応によって加水反応生成基を生成し、一方、スチレンや共役ジエンには第1の酸の酸基が置換基として導入される。次いで、第1の中和処理によって第1の酸の酸基の塩を生成する。例えば、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムの少なくとも一つを塩基成分にして、第1の酸の酸基の塩を生成する。更に、第1の酸とは異なる酸基を有する第2の酸を添加し、更に第2の中和処理によって第2の酸の塩を生成する。例えば、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムの少なくとも一つを塩基成分にして、第2の酸の塩を生成する。
【0048】1)酸処理工程本実施形態例では、実施形態例1の酸処理工程と同様にして、酸処理工程を行う。
2)第1の中和工程本実施形態例では、反応系に第2の酸が添加されていないことを除いて、実施形態例1の中和工程と同様にして、第1の中和工程を行う。
3)第2の酸の添加工程本実施形態例では、反応系が中和されていることを除いて、第2の酸の添加工程を実施形態例2と同様にして行う。
4)第2の中和工程第2の中和工程では、実施形態例1の中和工程と同様にして行う。
【0049】本実施形態例の方法で製造した土壌改質剤は、実施形態例1の方法で製造した土壌改質剤と同様に、未反応のニトリル基を有することにより、非水溶性とゲル強度が向上し、また、ニトリル基の加水反応生成基及び塩を形成する第1の酸の酸基により吸水性が高められ、水を吸水して容易にゲル化する。更に、第2の酸の塩成分が土壌に作用することにより、土壌改質効果が得られる。
【0050】本発明に係わる土壌改質剤として、次に述べるような実施例1〜4の試料を実際に作製し、その評価を行った。但し、本発明は、これに限定されるものではない。
実施例1実施例1では、原料として、8mmカセットテープ・ガードパネルの黒色部分から回収したABS樹脂廃材を使用した。ABS樹脂廃材は、樹脂組成が、52モル%のスチレン、28モル%のアクリロニトリル、及び20モル%のブタジエンであり、更に、2重量%のカーボンブラックを含有していた。先ず、ABS樹脂廃材を冷凍し、次いで凍結ABS樹脂廃材をシュレッダーにより粉砕し、16メッシュから32メッシュの分級物に加工した。
【0051】次いで、濃度96重量%の濃硫酸の30重量部中にABS樹脂廃材の1重量部を加えて、温度80℃で20分間保持し、反応させた。反応終了後、反応系をグラスフィルタで濾過し、固形物を分離し、水洗した後、0.1規定の硝酸150重量部に浸し、次いで0.1規定の水酸化カリウム水溶液で中和した。中和系のpHが8になったところで、固形物を分離し、脱水して余剰水分を除去し、更に、循風乾燥器によって105℃で2時間乾燥処理を施した。以上の処理により、実施例1の土壌改質剤試料として、黒色ないし灰色の固形物が得られた。実施例1の土壌改質剤試料を分析したところ、スルホン酸基は、全モノマーユニット中の33モル%であることが確認された。また、硝酸カリウムの含有量は、スルホン化され、カリウム塩となったABS樹脂廃材改質物の約0.8倍量であった。
【0052】横浜市内の関東ローム層の土壌に多数本の5葉のナス(Solanum melongena L.)の苗を植えて、これに実施例1の土壌改質剤を与えて評価試験を行った。横浜市内の関東ローム層の土壌100重量部に実施例1の土壌改質剤1重量部を混合して得た混合土壌を苗の根本に2cm程度盛り土して、ナスの成長を観察した。ナスの平均枚数は、5月上旬の4.6が、6月上旬には11.8となった。一方、非混合土壌を同様に盛り土した比較試験では、5月上旬の5.0枚が6月上旬では10.8枚であった。
【0053】実施例2実施例2では、原料として、8mmカセットテープ・ガードパネルの透明部から回収したSAN樹脂廃材を使った。SAN樹脂廃材の樹脂組成は、60モル%のスチレン及び40モル%のアクリロニトリルであった。SAN樹脂廃材をシュレッダーにより粉砕し、16メッシュから32メッシュの分級物の小片に加工し、実施例1と同様の酸処理条件で、SAN樹脂廃材小片に酸処理を施した。反応終了後、反応系をグラスフィルタで濾過して固形物を分離し、水洗した後、0.1規定の硝酸150重量部に浸し、次いで濃アンモニア水で中和した。中和系のpHが8になったところで固形物を分離し、脱水して余剰水分を除去し、循風乾燥器によって100℃で3時間乾燥処理を施した。以上の処理により、実施例2の土壌改質剤試料として褐色の固形物が得られた。
【0054】実施例2の土壌改質剤試料を分析したところ、スルホン酸基は、全モノマーユニット中の36モル%であった。また、硝酸アンモニウムの含有量は、スルホン化され、アンモニウム塩となったSAN樹脂廃材改質物の約0.5倍量であった。実施例2の土壌改質剤試料について、実施例1と同様の評価試験を行ったところ、ナスの平均枚数は、5月上旬の4.8枚が6月上旬には12.0枚となった。
【0055】実施例3実施例3では、原料として、パソコン筐体の白色部分から回収したABS樹脂廃材を使用した。ABS樹脂廃材は、樹脂組成が48モル%のスチレン、39モル%のアクリロニトリル、及び13モル%のブタジエンであり、加えて、1重量%の酸化チタンを含有していた。先ず、ABS樹脂廃材を凍結させ、シュレッダーにより粉砕して、16メッシュから32メッシュの分級物からなるABS樹脂廃材小片に加工した。次いで、濃度96重量%の濃硫酸の90重量部中にABS樹脂廃材小片の3.5重量部を加え、温度60℃で60分間保持し、酸処理の反応を行った。その後、SO3 を60重量%含有する発煙硫酸の0.5重量部を反応系に追加添加し、更に30分間保持して反応を完結させた。反応終了後、反応系を濾過して固形物を分離し、水洗した後、100重量部の1.0規定の燐酸に浸し、次いで1.0Mの硫酸マグネシウム水溶液を30重量部加えて十分に撹拌し、更に濃アンモニア水を滴下し、中和させた。中和系のpHが8になったところで、固形物を分離し、乾燥器によって2時間乾燥を行った。以上の処理によって、実施例3の土壌改質剤試料を得た。
【0056】実施例3の土壌改質剤試料中のスルホン酸基は、全モノマーユニット中の42モル%であった。また、土壌改質剤試料中に含有される燐酸マグネシウムアンモニウム及び硫酸アンモニウムを主体とする非高分子成分は、ABS樹脂廃材改質物の約2.1倍量であった。実施例3の土壌改質剤試料について、実施例1と同様の評価試験を行ったところ、ナスの平均枚数は、5月上旬の4.6枚が6月上旬には12.4枚となった。
【0057】実施例4実施例4では、原料として、実施例1で原料として使った同じABS樹脂廃材を使用した。70重量部のシクロヘキサンにABS樹脂廃材の3重量部を添加し、温度を30℃に保った状態で、無水硫酸の4.2重量部を滴下した。その後、反応系を30±2℃の温度で2時間保持し、反応を完結させた。次いで、反応系を濾過して、固形物を分離し、水洗した後、1000重量部の0.1規定の燐酸中に分散させ、更に1.0Mの塩化カルシウム水溶液を100重量部加えて十分に撹拌し、更に、濃アンモニア水を滴下して中和した。中和系のpHが8になったところで、中和系を洗浄濾過し、固形物を実施例4の土壌改質剤試料として得た。
【0058】実施例4の土壌改質剤試料中のスルホン酸基は、全モノマーユニット中の25モル%であった。また、含有される燐酸カルシウムを主体とする非高分子成分は、ABS樹脂廃材改質物の約2.5倍量であった。実施例4の土壌改質剤試料について、実施例1と同様の評価試験を行ったところ、ナスの平均枚数は、5月上旬の5.0枚が6月上旬には12.2枚となった。
【0059】実施例1から4の評価試験から、ナスの成育が比較試験に比べて良好であることが判り、本発明に係る土壌改質剤の有効性を確認することできた。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、土壌改質剤が、共重合体に置換基として付加された第1の酸の酸基を塩基成分で中和してなる塩と、第2の酸を同じ塩基成分で中和してなる塩と、未反応のニトリル基と、ニトリル基の加水反応生成基とを有することにより、未反応のニトリル基によって、非水溶性とゲル強度が向上し、ニトリル基の加水反応生成基及び塩を形成する第1の酸の酸基によって吸水性が高められて、水を吸水して容易にゲル化し、更に、第2の酸の塩成分が土壌に作用することにより、土壌改質効果が得られる。よって、本発明は、植物の生育を促進する、経済的な土壌改質剤を実現している。また、本発明に係る土壌改質剤は、使用済みとなった廃プラスチックから製造出来るため、資源の有効利用につながり、地球の環境保全に貢献する事が出来る。更に、第1及び第2発明に係る土壌改質剤の製造方法は、土壌改質剤の好適な製造方法を実現している。




 

 


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