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発明の名称 抗菌剤及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−253912(P2001−253912A)
公開日 平成13年9月18日(2001.9.18)
出願番号 特願2000−72514(P2000−72514)
出願日 平成12年3月10日(2000.3.10)
代理人 【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃 (外2名)
【テーマコード(参考)】
4H011
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4H011 AA02 BA01 BB07 BB18 BB19 BC18 DA01 DC11 DH19 
4J002 BC061 BG101 BN151 DA036 DE13 FD016 FD096 FD181 GC00 GE00
4J100 AB02Q AL02R AM02P AM15P AS02Q BA35H BA56H BA56Q CA04 CA05 DA71 HA31 HA55 HB37 HB39 HB44 HB52 HB57 HB58 HC27 HC71 HC75 JA15
発明者 渡辺 春夫 / 稲垣 靖史 / 野口 勉
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 アクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンとを構成ユニットとして含有する共重合体が酸で処理されたことにより当該共重合体中に酸基が形成されるとともに、当該酸基の少なくとも一部を、Ag、Cu、Znから選ばれる少なくとも一種以上の金属塩としてなる金属塩含有共重合体を含有することを特徴とする抗菌剤。
【請求項2】 上記金属塩含有共重合体は、アクリロニトリルを5〜80モル%の割合で含有することを特徴とする請求項1記載の抗菌剤。
【請求項3】 上記金属塩含有共重合体は、スチレン及び/又は共役ジエンを20〜95モル%の割合で含有することを特徴等する請求項1記載の抗菌剤。
【請求項4】 上記共重合体がアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂及びアクリロニトリル−ブタジエンゴムから選ばれる少なくとも1種類以上を含有することを特徴とする請求項1記載の抗菌剤。
【請求項5】 上記共重合体が無機顔料を含有してなることを特徴とする請求項1記載の抗菌剤。
【請求項6】 上記無機顔料がカーボンブラック及び/又は酸化チタンであることを特徴とする請求項5記載の抗菌剤。
【請求項7】 上記無機顔料が上記共重合体に対して0.01〜20重量%の割合で含有してなることを特徴とする請求項5記載の抗菌剤。
【請求項8】 上記共重合体が使用済み樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の抗菌剤。
【請求項9】 上記酸基はスルホン酸基であることを特徴とする請求項1記載の抗菌剤。
【請求項10】 上記酸基が上記共重合体の全構成ユニットに対して5〜95重量%の割合で導入されたことを特徴とする請求項1記載の抗菌剤。
【請求項11】 アクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンとを構成ユニットとして含有する共重合体を酸で処理して当該共重合体中に酸基を導入する酸処理工程と、上記酸基の少なくとも一部を、Ag、Cu、Znから選ばれる少なくとも一種以上の金属塩とする金属塩化工程とを備えることを特徴とする抗菌剤の製造方法。
【請求項12】 使用済み樹脂を用いて上記共重合体を形成することを特徴とする請求項11記載の抗菌剤の製造方法。
【請求項13】 上記酸処理工程では、濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、燐酸、塩化燐及び酸化燐から選ばれる少なくとも1以上の無機酸を使用することを特徴とする請求項11記載の抗菌剤の製造方法。
【請求項14】 上記共重合体を3.5メッシュ以下のサイズとした後に上記酸処理を行うことを特徴とする請求項11記載の抗菌剤の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、使用済みの樹脂から得られる共重合体を用いて作製される全く新規な抗菌剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、細菌やカビ類の繁殖を抑制する抗菌剤としては、無機系抗菌剤、有機系天然物抽出系抗菌剤、有機系脂肪族化合物抗菌剤及び有機系芳香族化合物抗菌剤が知られている。
【0003】無機系抗菌剤としては、次亜塩素ナトリウムで代表される塩素化合物、過酸化水素で代表される過酸化物、硼酸、硼酸ナトリウムで代表される硼酸化合物、硫酸銅で代表される銅化合物、硫酸亜鉛、塩化亜鉛で代表される亜鉛化合物、硫黄、多硫酸石灰、水和硫黄で代表される硫黄系物、酸化カルシウムで代表されるカルシウム化合物、チオスルファイト銀錯塩、硝酸銀で代表される銀化合物、その他、沃素、シリコフルオリドナトリウムなどが挙げられる。
【0004】有機系天然物抽出系抗菌剤としては、ヒノキチオール、孟宗竹エキス、クレオソート油などが挙げられる。
【0005】有機系脂肪族化合物抗菌剤としては、トリブチルスズオキシドで代表される有機錫化合物、ナフテン酸銅で代表されるシクロペンタン誘導体、臭化メチルで代表されるハロゲン化合物、エチルアルコール、イソプピルアルコールで代表される一価アルコール化合物、2‐ブロム‐2‐ニトロ-1,3‐プロパンジオールで代表される二価アルコール化合物、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドで代表される飽和アルデヒド、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムで代表されるカルボン酸化合物、エチレンオキシド、プロピオンオキシドで代表されるエーテル化合物、べータオキシプロピオラクトンで代表されるラクトン化合物、3トリメトキシシリルプロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドで代表される第4級アンモニウム塩化合物、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン塩酸塩で代表されるアミノ酸誘導体、ラウリル硫酸ナトリウムで代表されるスルホン酸化合物、酢酸ビスデカリニウムで代表されるヒドロキサム酸化合物、塩素化イソシアヌール酸で代表されるシアヌール酸化合物、イソシアン酸メチルで代表されるシアン酸化合物、ビス(トリクロルメチル)スルホンで代表されるスルホン化合物、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩で代表されるグアニジン化合物、1,3‐ジクロロ‐5,5‐ジメチルヒダントインで代表されるヒダントイン化合物、5‐オキシ‐3,4‐ジクロロ‐1,2‐ジチオールで代表されるジチオール化合物、メチルアルシン酸鉄で代表されるアフシン化合物、アルミニウムトリス(エチルホスフェート)で代表される燐酸エステル化合物、チオカルバミド化合物などが挙げられる。
【0006】有機系芳香族化合物抗菌剤としては、ビス(4‐ニトロフェニル)カーボネートで代表されるカーボネート化合物、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムで代表される第4級アンモニウム塩化合物、2,6‐ジクロロ‐4‐ニトロアニリンで代表されるモノアミン化合物、ニトロエチルベンジルエチレンジアミンカリウムで代表されるジアミン化合物、N‐ニトロソ‐N‐シクロヘキシルヒドロキシルアミンアルミニウムで代表されるヒドロキシルアミン化合物、ジヒドロメチルオキサチンカルボキサニリドジオキシドで代表されるアニリド化合物、2‐(4‐チアゾリル)ベンズイミダゾールで代表されるイミダゾール化合物、5‐メチル‐1,2,4‐トリアゾロ‐3,4‐ベンゾチアゾールで代表されるベンゾチアゾール化合物、2,4‐ジクロロ‐6‐クロルアニリノ‐1,3,5‐トリアジンで代表されるトリアジン化合物、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジンで代表されるグアニジン化合物、セチルピリジニウムクロライドで代表されるピリジン化合物、ジメチルピラゾリルヒドロギシフェニルピリミジンで代表されるピリミジン化合物、2,2’‐メチレンビス‐3,4,6‐トリクロルフェノールで代表されるハロゲノベンゼン化合物、ヒドロキシノニルベンゼンスルホン酸銅で代表されるベンゼンスルホン酸化合物、安息香酸で代表されるベンゼンカルボン酸化合物、チメロサールで代表されるメルカプトカルボン酸化合物、オキシ安息香酸エチルで代表されるヒドロキシカルボン酸化合物、フェノール、クレゾールで代表される一価フェノール化合物、レゾルシノールで代表される二価フェノール化合物、フェノキシエタノールで代表されるフェノキシエーテル化合物、ペンタクロルフェニルラウレートで代表されるフェノールエステル化合物、トリフェニルスズオキサイドで代表されるフェニル化合物、ジフェニールで代表されるビフェニル化合物、べータナフトールで代表される一価ナフトール、モノクロルナフタリンで代表されるナフタリン化合物、ドデシルイソキノリニウムブロマイドで代表されるイソキノリン化合物、その他、ニトリル化合物、イソチアゾール化合物、チアジアゾールイ合物、ハロゲノフェノール化合物、ピロール化合物、キノン化合物、キノリン化合物、有機燐酸エステル化合物などが挙げられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来、抗菌剤としては、上述したような種類のものが代表的であり、ABS樹脂等の樹脂を使用したものはなかった。ところで、アクリロニトリルとスチレンまたは共役ジエンを含有する樹脂としては、ABS樹脂、SAN樹脂、AAS樹脂等に代表されるポリスチレン系樹脂と、NBRゴムに代表される合成ゴムとが挙げられる。これらの樹脂は、比較的安価であり、特に、前者のポリスチレン系樹脂は、剛性、寸法安定性、加工性等の特性に優れるため、各種用途のカバーやケース、電気機器や自動車の筐体及び各種部品材料等の樹脂材料として多用されている。また、後者の合成ゴムは、チューブやホース、各種緩衝材として多用されている。
【0008】このような状況中で、これらの材料は、さらなる用途拡大が期待されており、より付加価値の高いものへの改質に関する検討が望まれている。言い換えると、これらの材料は、上述したような用途に使用されるのみであり、抗菌剤として使用するようなことはなかった。
【0009】また、上述のような樹脂が用いられた製品は、生産量の増加に伴い、廃材として多大量に使用済みの樹脂を発生してしまう。近年では、これらの材料からなる廃材の発生量も増加する傾向があり、地球環境保全の関心の高まりから、廃材の有効利用についてのニーズも高まってきている。
【0010】そこで、本発明は、上述したような従来の実情に鑑みて案出されたものであり、アクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンとを構成ユニットとして有する樹脂を使用した全く新規な抗菌剤及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成した本発明に係る抗菌剤は、アクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンとを構成ユニットとして含有する共重合体が酸で処理されたことにより当該共重合体中に酸基が形成されるとともに、当該酸基の少なくとも一部を、Ag、Cu、Znから選ばれる少なくとも一種以上の金属塩としてなる金属塩含有共重合体を含有するものである。
【0012】以上のように構成された本発明に係る抗菌剤は、共重合体中に導入された酸基の一部を、Ag、Cu、Znから選ばれる少なくとも一種以上の金属を用いた金属塩としているため、抗菌性が付与されたものとなる。言い換えると、本願発明によれば、上記共重合体に金属塩を導入することにより抗菌性を付与することができ、全く新規な抗菌剤を提供することができる。
【0013】また、本発明に係る抗菌剤は、上記共重合体が使用済み樹脂からなるものであってもよい。この場合、本発明によれば、使用済み樹脂の再利用して、資源の有効利用を図ることができる。
【0014】一方、本発明に係る抗菌剤の製造方法は、アクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンとを構成ユニットとして含有する共重合体を酸で処理して当該共重合体中に酸基を導入する酸処理工程と、上記酸基の少なくとも一部を、Ag、Cu、Znから選ばれる少なくとも一種以上の金属塩とする金属塩化工程とを備えるものである。
【0015】以上のように構成された本発明に係る抗菌剤の製造方法は、上記共重合体に対して酸処理工程を施した後、金属塩化工程を施すことによって、当該共重合体に対して抗菌性を付与することができる。
【0016】また、本発明に係る抗菌剤の製造方法は、使用済み樹脂を用いて上記共重合体を形成するものであってもよい。この場合、本発明によれば、使用済み樹脂の再利用して、資源の有効利用を図ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る抗菌剤及びその製造方法の具体的な実施の形態を詳細に説明する。
【0018】本発明を適用した抗菌剤は、アクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエン(例えば、ブタジエンやイソプレン)とを構成ユニットとして含有する共重合体を使用する。すなわち、抗菌剤に含有される共重合体は、アクリロニトリルとスチレンとを構成ユニットとして含有する、アクリロニトリルと共役ジエンとを構成ユニットとして含有する又はアクリロニトリルとスチレンと共役ジエンとを構成ユニットとして含有するものである。
【0019】また、抗菌剤を製造する際には、先ず、上述した共重合体を酸で処理する酸処理工程を施して共重合体中に酸基を導入する。このとき、酸基は、共重合体中のスチレン及び/又は共役ジエン部分に導入される。また、この酸処理工程では、共重合体中のアクリロニトリル部分を加水分解する。アクリロニトリル部分は、加水分解されるとアミド化されることとなり、その結果、共重合体に親水性を付与する。
【0020】次に、酸処理工程の後、酸基が導入されるとともに加水分解された共重合体に対して金属塩化処理工程を施し、当該酸基の一部或いは全部をAg、Cu及びZnから選ばれる少なくとも一種以上の金属を含有する金属塩とする。共重合体は、この金属塩化処理工程を施こし金属塩を導入することによって、金属塩含有共重合体となり抗菌性が付与されることとなる。ここで、金属塩化処理工程が施された後においては、金属塩含有共重合体は、ゲル状であり、天日乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、遠心乾燥或いはプレス乾燥等の乾燥工程を施すことにより抗菌剤を得ることができる。
【0021】このような抗菌剤において、これらアクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンとは、抗菌効果や取り扱いの困難性等の観点から所定の割合で含有されていることが好ましい。具体的には、共重合体中には、アクリロニトリル単位が5〜80モル%の範囲で含有されていることが好ましい。また、共重合体中には、アクリロニトリル単位が10〜60モル%の範囲で含有されていることがより好ましい。さらに、共重合値中には、アクリロニトリル単位が20〜50モル%の範囲で含有されていることが最も好ましい。
【0022】アクリロニトリルの含有量が5モル%未満である場合には、酸処理工程を施した際に水溶性を示してしまい、その後の工程における取り扱いが困難となる虞がある。また、アクリロニトリルの含有量が80モル%を超える場合には、共重合体が堅くなり小片に粉砕し難いといった取り扱い上の困難を生じる虞があり、また、スチレン及び/又は共役ジエンの含有量が相対的に少なくなるため、酸基を導入する箇所が少なくなり抗菌効果も低下してしまう虞がある。
【0023】また、共重合体中には、スチレン及び/又は共役ジエン単位が20〜95モル%の範囲で含有されていることが好ましい。また、共重合体中には、スチレン及び/又は共役ジエン単位が45〜85モル%の範囲で含有されていることがより好ましい。さらに、共重合体中には、スチレン及び/又は共役ジエン単位が50〜80モル%の範囲で含有されていることが好ましい。
【0024】スチレン及び/又は共役ジエン単位が20モル%未満である場合には、酸基を導入する箇所が少なくなり抗菌効果も低下してしまう虞があり、また、共重合体が堅くなり小片に粉砕し難いといった取り扱い上の困難を生じる虞がある。逆に、スチレン及び/又は共役ジエン単位が95モル%を超える場合には、酸処理工程を施した際に水溶性を示してしまい、その後の工程における取り扱いが困難となる虞がある。
【0025】なお、使用する共重合体には、アクリロニトリル単位、スチレン単位及び共役ジエン単位以外にその他の構成単位が含有されていても良い。これら他の構成単位としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、α−メチルスチレン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリル酸及びアクリル酸エステル(炭素数:1〜10の飽和又は不飽和炭化水素)、メタアクリル酸及びメタアクリル酸エステル(炭素数:1〜10の飽和又は不飽和炭化水素)、酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン、プロピレン、ブチレン、ビニルピロリドン、ビニルピリジン等を挙げることができる。
【0026】また、共重合体としては、重量平均分子量(Mw)が1,000〜20,000,000、さらには、10,000〜1,000,000であるものが好ましく用いられる。Mwが1,000未満である場合には、酸処理工程及びその後の金属塩化処理工程の際に水溶性を示すこととなり、求める抗菌性を得ることができなくなる虞がある。逆に、Mwが20,000,000を超える場合には、酸処理及びその後の金属塩化処理工程の際に、反応速度が遅くなり実用上好ましくない。
【0027】さらに、上述した共重合体としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下、ABS樹脂を称する。)、スチレン−アクリロニトリル樹脂(以下、SAN樹脂と称する。)、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル樹脂(以下、ASA樹脂と称する。)、塩化ポリエチレン−アクリロニトリル−スチレン樹脂(以下、ACS樹脂と称する。)及びアクリロニトリル−ブタジエンゴム(以下、NBRゴムと称する。)等の樹脂材料を使用することができる。これらの樹脂材料は、新たに製造されたいわゆるバージンペレットであっても良いし、樹脂原料や成形品の生産過程での排出品(半端品)や、電気製品や自動車等に使用された筐体や各種部品材料又はチューブやホース、各種緩衝材からの特定の用途を目的として成形された使用済み樹脂材料であっても良い。
【0028】特に、共重合体としては、上述したような使用済みの樹脂材料を使用することが好ましい。なお、使用済みの樹脂材料は、工場や販売店、家庭等といった排出場所から得ることができる。特に、家庭等から一般廃棄物として排出された使用済み樹脂材料と比較して、工場や販売店等から回収された使用済み樹脂材料は、組成が均一であるものが多いため、共重合体として使用することがより望ましい。
【0029】さらに、使用する共重合体は、他の樹脂材料とともにアロイ物を構成しているものであってもよく、また、顔染料や安定剤、難燃剤、可塑剤、充填剤及びその他補助剤等の添加剤を含んだものであっても良い。或いは、使用する共重合体は、使用済み樹脂材料とバージンペレットとの混合物であっても良い。
【0030】ここで、使用する共重合体と混合可能な他の樹脂としては、酸処理工程及び金属塩化処理工程における各反応を阻害しない樹脂であることが望ましい。例示すれば、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエステル等が挙げられる。なお、その他の樹脂は、共重合体に対して60重量%以下に混合されることが望ましい。その他の樹脂の含有量が60重量%を超える場合には、酸処理工程及び金属塩化処理工程における各反応を阻害してしまう虞がある。
【0031】さらにまた、共重合体は、酸処理工程の前処理として小片状に加工することが好ましい。小片にする方法としては、以下のものを挙げることができる。
【0032】(1)粉砕器による粉砕→ふるい分け共重合体がゴム成分を含んでいる場合、凍結処理後に粉砕すると好適である。
【0033】(2)加熱溶融して微小なビーズ状にペレタイズする。
【0034】なお、上記共重合体の小片のサイズとしては、3.5メッシュ以下にすることが好ましい。共重合体のサイズが3.5メッシュを超える場合には、共重合体の表面積が小さくなり酸処理されにくくなるため、反応時間がかかり実用上好ましくない。このため、共重合体のサイズが3.5メッシュを超える場合には、導入される酸基量が低下し金属塩の担持能力が大幅に低下する虞がある。
【0035】さらにまた、共重合体には、無機顔料(カーボンブラック、酸化チタン等)が含有されていることが好ましい。共重合体に無機顔料が含有されていると、酸処理工程の最中に無機顔料が共重合体から外れるため、酸が共重合体表面に浸透しやすくなり、無機顔料が外れた部分周辺が酸処理されやすくなる。これにより、共重合体は、酸処理が促進される。
【0036】無機顔料は、共重合体の乾燥重量に対して0.01〜20重量%の割合で含有されることが好ましく、また、0.05〜10重量%の割合で含有されることがより好ましい。無機顔料の含有量が0.01重量%未満である場合には、上述したような酸処理を促進する効果を奏することができない虞がある。逆に、無機顔料の含有量が20重量%を超えるような場合には、抗菌効果を有する共重合体成分が相対的に低下し、所望の抗菌効果を奏することができない虞がある。
【0037】これらのカーボンブラックや酸化チタン等の無機顔料は、元々共重合体中に含まれていても良いし、又は、個別に添加、混合されてもよい。特に、無機顔料は、元々共重合体中に含まれている方が抗菌剤の性能向上の観点から望ましい。これらのカーボンブラックや酸化チタン等の無機顔料は、プラスチックの着色剤や補強剤、電気伝導性付与材として一般に用いられているもので良い。
【0038】例えば、カーボンブラックとしては、チャンネル法、ファーネス法、サーマル法のいずれの方法によって製造されたものでもよく、それぞれの単独又は併用して用いてもよい。なお、カーボンブラックの平均粒子径としては、5〜500mμであることが好ましく、また、10〜50mμであることがより好ましい。
【0039】酸化チタンとしては、ルチル型、アナターゼ型、超微粒子チタンのいずれのタイプでもよく、それぞれの単独又は併用して用いてもよい。なお、酸化チタンの平均粒子径としては、0.01〜50mμであることが好ましく、また、0.05〜10mμであることがより好ましい。
【0040】一方、酸処理工程に使用される酸としては、無機酸が好適である。無機酸は、酸処理対象である共重合体の重量に対して1倍〜500倍の仕込量であることが好ましく、また、10倍〜200倍の仕込量であることがより好ましい。無機酸の仕込量が1倍量未満の場合には、スチレンや共役ジエンへの酸基の導入率やアクリロニトリル基の加水分解率が低下することとなり、共重合体中に含有させる金属塩の量が抗菌性の観点から不十分となる虞がある。逆に、無機酸の仕込量が500倍を超えるような場合には、過剰分の無機酸を使用することとなり、コストが増大するとともに実用上好ましくない。
【0041】無機酸としては、濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸等のスルホン化剤や、硝酸、発煙硝酸、リン酸、塩化リン、酸化リン等が挙げられる。これらのなかでも、濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸が好ましく、特に、70重量%以上の濃硫酸が好ましい。
【0042】また、これらの無機酸はそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を使用しても良い。2種類以上を使用する場合には、複数の無機酸を予め混合しても良いし、複数の無機酸を順次添加してもよい。例えば、先ず、共重合体を濃硫酸で処理した後、続いて無水硫酸を添加することにより、水系で形状安定な抗菌剤を得ることができる。これは、濃硫酸の処理により、先ず、共重合体中のニトリル部分が主に加水分解され、次に、無水硫酸で処理することによりスチレンや共役ジエン部が強制的にスルホン架橋されることにより架橋度の高いゲル状とすることができるからである。
【0043】なお、上記酸処理工程では、無機酸中で行うものに限定されず、有機溶媒を用いた系で行っても良い。使用可能な有機溶媒としては、先ず、炭素数が1〜2の脂肪族ハロゲン化炭化水素(好ましくは例えば1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン等が挙げられる。)、脂肪族環状炭化水素(好ましくは例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン等が挙げられる。)、ニトロメタン、ニトロベンゼン、二酸化イオウ、パラフィン系炭化水素(炭素数1〜7)、アセトニトリル、二硫化炭素、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、アセトン、メチルエチルケトン、チオフェン等が挙げられる。このなかでも好ましくは、炭素数が1〜2の脂肪族ハロゲン化炭化水素、脂肪族環状炭化水素、ニトロメタン、ニトロベンゼン、二酸化硫黄を使用する。これら溶媒は、単体で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。有機溶媒の混合に際して、その混合比率は特に制限はない。
【0044】これら有機溶媒は、共重合体の重量に対して200倍未満が好適である。有機溶媒の添加量がこれより多いと、酸処理の反応率が低くなるとともに、経済的にも不利となる虞がある。
【0045】なお、共重合体に対する酸処理の際には、必要に応じてルイス酸基を用いても良い。ルイス酸基としては、アルキルフォスフェート(トリエチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート)、ジオキサン、無水酢酸、酢酸エチル、パルチミン酸エチル、ジエチルエーテル、チオキサン等が挙げられる。なお、上記酸処理工程において、一度使用した無機酸や有機溶媒は、反応終了後回収してそのまま、又は抜き取りや蒸留等の方法により回収して再度反応に使用してもよい。
【0046】このように、共重合体に対して上述したような酸処理をすることで、当該共重合体中のスチレン及び/又は共役ジエンには、酸基が導入され、一方、アクリロニトリルは、加水分解によりアミド化して親水性の樹脂に改質される。この酸処理工程において、スチレン及び/又は共役ジエンに導入される酸基としては、スルホン酸、−PO(OH)2、−CH2PO(OH)2等を挙げることができる。
【0047】具体的に、酸基としてスルホン酸基を導入する場合には、共重合体と前述の濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸等のスルホン化剤とを、直接、又は溶媒中で反応させる。また、−PO(OH)2基を導入する場合には、溶媒中に三酸化リンを添加し、さらに加水分解させる。なお、これらの酸基の中では、スルホン基が好ましい。これら酸基は単独でもよいし、2種類以上が共重合体中に導入されていてもよい。
【0048】また、共重合体中に含有される酸基の量は、全ユニットに対して5〜95モル%であることが好ましく、また、10〜70モル%であることがより好ましい。酸基の量が全ユニットに対して95モル%を超える場合には、共重合体の酸処理物が水溶性を示してしまい抗菌剤の形状安定性を低下させる虞がある。逆に、酸基の量が全ユニットに対して5モル%未満の場合には、透水性、吸水性(特に電解質水溶液に対して)が低下し、金属塩化処理工程における金属塩化処理が進行しづらくなり、抗菌効果を低下させる虞がある。
【0049】さらに、酸処理工程は、有機溶媒の使用の有無で大きく異なるが、反応温度を0〜200℃で行うことが好ましく、30〜120℃で行うことがより好ましい。反応温度が0℃未満の場合には、反応速度が遅くなり実用的でなく、良好な性能を有する抗菌剤を得られなくなる虞がある。また、反応温度が200℃を超える場合には、熱分解により共重合体の分子鎖が切断されやすくなり、水に対して溶解してしまう虞がある。
【0050】さらにまた、酸処理工程は、反応温度によって大きく異なるが、反応時間を1分間〜40時間で行うことが好ましく、また、5分〜2時間で行うことがより好ましい。反応時間が1分間未満の場合には、反応が十分に進行しない虞がある。また、反応時間が40時間を超える場合には、生産効率が悪くなる虞がある。
【0051】一方、金属塩化処理工程は、上述した酸処理工程で酸基が導入された共重合体における当該酸基の部分を、Ag、Cu、Znから選ばれる少なくとも一種の金属を有する金属塩とする工程である。酸基に金属塩を形成をする方法としては、上述した酸処理工程の反応物を、先ず、フィルター等でろ過し、多量の水で洗浄してから、金属塩を添加する方法や、金属塩の水溶液に酸処理工程の反応物を直接加える方法等で行うことができる。これらの手法により、酸処理工程で導入された酸基の一部或いは全部を、金属塩とすることができる。
【0052】また、金属塩化処理工程において、これら金属塩以外に、有機塩或いは無機塩又は有機水酸化物或いは無機水酸化物を併用することができる。これら有機塩或いは無機塩又は有機水酸化物或いは無機水酸化物としては、アンモニウム、アルカリ金属(ナトリウム、リチウム、カリウム等)やアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)やその他金属(アルミニウム、チタニウム、ゲルマニウム、スズ、鉄等)の水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、有機酸塩等の化合物が挙げられる。
【0053】以上のような抗菌剤は、共重合体中に導入された酸基の一部或いは全部を、所定の金属塩としているため、細菌やカビといった微生物の生育及び繁殖を効果的に抑制することができる。また、この抗菌剤は、上述したように、使用済みの樹脂材料を用いて製造することもできる。したがって、本発明によれば、従前においては廃棄処分されていた廃材に対して付加価値をつけ、当該廃材を有効に利用し、資源の有効活用を達成することができる。
【0054】なお、この抗菌剤は、従来より公知の抗菌剤を適宜併用することができる。これら従来公知の抗菌剤としては、無機系抗菌剤、有機系天然物抽出系抗菌剤、有機系脂肪族化合物抗菌剤及び有機系芳香族化合物抗菌剤が知られている。
【0055】無機系抗菌剤としては、次亜塩素ナトリウムで代表される塩素化合物、過酸化水素で代表される過酸化物、硼酸、硼酸ナトリウムで代表される硼酸化合物、硫酸銅で代表される銅化合物、硫酸亜鉛、塩化亜鉛で代表される亜鉛化合物、硫黄、多硫酸石灰、水和硫黄で代表される硫黄系物、酸化カルシウムで代表されるカルシウム化合物、チオスルファイト銀錯塩、硝酸銀で代表される銀化合物、その他、沃素、シリコフルオリドナトリウムなどが挙げられる。
【0056】有機系天然物抽出系抗菌剤としては、ヒノキチオール、孟宗竹エキス、クレオソート油などが挙げられる。
【0057】有機系脂肪族化合物抗菌剤としては、トリブチルスズオキシドで代表される有機錫化合物、ナフテン酸銅で代表されるシクロペンタン誘導体、臭化メチルで代表されるハロゲン化合物、エチルアルコール、イソプピルアルコールで代表される一価アルコール化合物、2‐ブロム‐2‐ニトロ-1,3‐プロパンジオールで代表される二価アルコール化合物、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドで代表される飽和アルデヒド、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムで代表されるカルボン酸化合物、エチレンオキシド、プロピオンオキシドで代表されるエーテル化合物、べータオキシプロピオラクトンで代表されるラクトン化合物、3トリメトキシシリルプロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドで代表される第4級アンモニウム塩化合物、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン塩酸塩で代表されるアミノ酸誘導体、ラウリル硫酸ナトリウムで代表されるスルホン酸化合物、酢酸ビスデカリニウムで代表されるヒドロキサム酸化合物、塩素化イソシアヌール酸で代表されるシアヌール酸化合物、イソシアン酸メチルで代表されるシアン酸化合物、ビス(トリクロルメチル)スルホンで代表されるスルホン化合物、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩で代表されるグアニジン化合物、1,3‐ジクロロ‐5,5‐ジメチルヒダントインで代表されるヒダントイン化合物、5‐オキシ‐3,4‐ジクロロ‐1,2‐ジチオールで代表されるジチオール化合物、メチルアルシン酸鉄で代表されるアフシン化合物、アルミニウムトリス(エチルホスフェート)で代表される燐酸エステル化合物、チオカルバミド化合物などが挙げられる。
【0058】有機系芳香族化合物抗菌剤としては、ビス(4‐ニトロフェニル)カーボネートで代表されるカーボネート化合物、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムで代表される第4級アンモニウム塩化合物、2,6‐ジクロロ‐4‐ニトロアニリンで代表されるモノアミン化合物、ニトロエチルベンジルエチレンジアミンカリウムで代表されるジアミン化合物、N‐ニトロソ‐N‐シクロヘキシルヒドロキシルアミンアルミニウムで代表されるヒドロキシルアミン化合物、ジヒドロメチルオキサチンカルボキサニリドジオキシドで代表されるアニリド化合物、2‐(4‐チアゾリル)ベンズイミダゾールで代表されるイミダゾール化合物、5‐メチル‐1,2,4‐トリアゾロ‐3,4‐ベンゾチアゾールで代表されるベンゾチアゾール化合物、2,4‐ジクロロ‐6‐クロルアニリノ‐1,3,5‐トリアジンで代表されるトリアジン化合物、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジンで代表されるグアニジン化合物、セチルピリジニウムクロライドで代表されるピリジン化合物、ジメチルピラゾリルヒドロギシフェニルピリミジンで代表されるピリミジン化合物、2,2’‐メチレンビス‐3,4,6‐トリクロルフェノールで代表されるハロゲノベンゼン化合物、ヒドロキシノニルベンゼンスルホン酸銅で代表されるベンゼンスルホン酸化合物、安息香酸で代表されるベンゼンカルボン酸化合物、チメロサールで代表されるメルカプトカルボン酸化合物、オキシ安息香酸エチルで代表されるヒドロキシカルボン酸化合物、フェノール、クレゾールで代表される一価フェノール化合物、レゾルシノールで代表される二価フェノール化合物、フェノキシエタノールで代表されるフェノキシエーテル化合物、ペンタクロルフェニルラウレートで代表されるフェノールエステル化合物、トリフェニルスズオキサイドで代表されるフェニル化合物、ジフェニールで代表されるビフェニル化合物、べータナフトールで代表される一価ナフトール、モノクロルナフタリンで代表されるナフタリン化合物、ドデシルイソキノリニウムブロマイドで代表されるイソキノリン化合物、その他、ニトリル化合物、イソチアゾール化合物、チアジアゾールイ合物、ハロゲノフェノール化合物、ピロール化合物、キノン化合物、キノリン化合物、有機燐酸エステル化合物などが挙げられる。
【0059】
【実施例】ここで、実際に本発明に係る抗菌剤として実施例1〜実施例4を作製しその評価を行った。なお、本発明は、これら実施例1〜実施例4こに限定されるものではない。
【0060】〈実施例1〉先ず、96重量%の濃硫酸30重量部中に、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂廃材を冷凍シュレッダーにより16〜32メッシュに粉砕・分級したもの1重量部を加え、80℃で20分間反応させた。なお、このABS樹脂廃材は、8mmカセットテープガードパネルの黒色部分であり、52モル%のスチレンと、28モル%のアクリロニトリルと、20モル%のブタジエンとにて構成され、さらに、カーボンブラックを2重量%含有するものである。
【0061】反応終了後、反応系中の固形物をグラスフィルターでろ過し、水洗の後、50重量部の1規定(N)水酸化ナトリウム溶液で中和し、さらに十分な水で水洗し、最終的に濾過して濾液と濾過ケーキとに分離した。このとき、最終的に得られた濾液に硝酸銀を添加して白濁しないことを確認し、中和及び水洗により濃硫酸成分を完全に除去したことを確認した。
【0062】次に、得られた濾過ケーキを純水1000重量部に分散し、この分散溶液に対して1.0Mの硝酸銀溶液10重量部を加え、十分に攪拌し、水洗後に濾過した。その後、得られた固形物に対して循風乾燥器にて105℃で2時間乾燥を行った。その結果、黒色の固形物からなる抗菌剤が得られた。
【0063】なお、抗菌剤中の硫黄の元素分析結果より、この抗菌剤中のスルホン酸基は、全モノマーユニット中の33モル%であることが確認された。また、銀の含有量は、スルホン酸基に対するモル比で0.82であった。
【0064】〈実施例2〉実施例2では、ABS樹脂廃材の代わりにSAN(スチレン−アクリロニトリル)樹脂廃材を使用し、1.0Mの硝酸銀溶液10重量部の代わりに1.0Mの硫酸銅五水和物を10重量部を分散溶液に加えた以外は実施例1と同様にして抗菌剤を作製した。その結果、抗菌剤中のスルホン酸基は、全モノマーユニット中の36モル%であることが確認された。また、銅の含有量は、スルホン酸基に対するモル比で0.91であった。
【0065】なお、このSAN樹脂廃材は、8mmカセットテープの透明ガードパネル部分であり、60モル%のスチレンと、40モル%のアクリロニトリルとにて構成されるものである。
【0066】〈実施例3〉実施例3では、96重量%の濃硫酸90重量部中に、ABS樹脂廃材を冷凍シュレッダーにより16〜32メッシュに粉砕・分級したもの3.5重量部を加え、60℃で60分間反応させ、その後、発煙硫酸(SO3:60重量%含有)0.5重量部を追加添加し、さらに30分間反応を行った。その後、実施例1と同様に、中和及び水洗を行った。そして、実施例3では、分散溶液に対して1.0Mの硫酸亜鉛七水和物50重量部を加え、十分に攪拌し、水洗後に濾過した。それ以外は実施例1と同様にして抗菌剤を作製した。その結果、実施例3の抗菌剤中のスルホン酸基は、全モノマーユニット中の42モル%であることが確認された。また、亜鉛の含有量は、スルホン酸基に対するモル比で0.85であった。
【0067】なお、このABS樹脂廃材は、コンピュータ装置の白色筐体部分であり、48モル%のスチレンと、39モル%のアクリロニトリルと、13モル%のブタジエンとにて構成され、さらに、酸化チタンを1重量%含有するものである。また、実施例3では、白色の抗菌剤が得られた。
【0068】〈実施例4〉実施例4では、先ず、シクロヘキサンの70重量部に実施例1で用いたABS樹脂廃材の3重量部を添加したものに、30℃に保った状態で無水硫酸の4.2重量部を滴下した。その後、30±2℃の温度に保ち2時間反応を行った。その後、得られた固形物を濾過した後、水洗した。
【0069】次に、水洗後に濾過して得られた固形物を純水2000重量部中に分散してなる分散溶液に、1.0Mの硫酸亜鉛七水和物50重量部と1.0Mの硫酸銅五水和物30重量部とを加え、十分に攪拌した後に濾過し、水洗した。それ以外は実施例1と同様にして実施例4の抗菌剤を作製した。その結果、実施例4の抗菌剤中のスルホン酸基は、全モノマーユニット中の25モル%であることが確認された。また、亜鉛の含有量は、スルホン酸基に対するモル比で0.42であり、銅の含有量は、スルホン酸基に対するモル比で0.36であった。
【0070】〈特性評価〉以上のようにして得られた実施例1〜実施例4の抗菌剤の抗菌効果を以下のようにして評価した。
【0071】先ず、滅菌したシャーレ上に抗菌剤を散布した後、抗菌剤上に純水を滴下して平衡膨潤状態とした状態で15分間放置し、その後、余分な水を濾紙で吸収して取り除いた。
【0072】次に、このシャーレ内に、大腸菌(Escherichia coli IFO3972)の菌数が1ml中に5×105となるように調製された0.001%の肉エキス2mlを滴下し、蓋をして35℃、相対湿度90%以上の条件下で24時間培養した。
【0073】次に、培養終了後、シャーレ内から培養液を取り出して大腸菌を洗い出した後、これを標準の寒天平板培地上に植菌し、35℃の条件下で2日間培養した。この寒天平板培地上には、シャーレ内で培養された際に生存した大腸菌のみがプラークを形成し、シャーレ内で死滅したか繁殖が抑制された大腸菌はプラークを形成しない。したがって、培養終了後、寒天平板培地上に形成されたプラーク数を測定して換算することにより、シャーレ内に散布された抗菌剤の抗菌効果を評価することができる。
【0074】なお、この抗菌効果を評価するに際して、シャーレ内に抗菌剤を散布せずに培養した大腸菌を使用したものを比較例とする。
【0075】〈評価結果〉上述した特性評価によりシャーレ内で生存した大腸菌の菌数は以下に示すようになった。
【0076】比較例 ・・・・8×105実施例1・・・・150実施例2・・・・ 40実施例3・・・・ 90実施例4・・・・110この評価結果より、実施例1〜実施例4の抗菌剤は、大腸菌の生育及び繁殖を確実に抑制し、シャーレ内で当該大腸菌を殆ど死滅させていることが判る。このことから、共重合体中に導入された酸基の一部或いは全部を、所定の金属塩とすることによって、当該共重合体に抗菌性を付与することができ、優れた抗菌効果を有する抗菌剤となる。
【0077】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係る抗菌剤は、共重合体中に形成された酸基の少なくとも一部を、Ag、Cu、Znから選ばれる少なくとも一種以上の金属塩としているため、優れた抗菌効果を示すことができる。したがって、本発明によれば、所定の共重合体を用いた、全く新規な抗菌剤を提供することができる。また、本発明では、使用済みとなった樹脂材料からも製造することができるため、資源の有効利用につながり、地球の環境保全に貢献することができる。
【0078】また、本発明に係る抗菌剤の製造方法は、共重合体中に酸基を導入した後、酸基の少なくとも一部を、Ag、Cu、Znから選ばれる少なくとも一種以上の金属塩とするものであり、所定の共重合体を用いた全く新規な抗菌剤を製造することができる。また、本発明では、使用済みとなった樹脂材料を使用することもできるため、資源の有効利用につながり、地球の環境保全に貢献することができる。




 

 


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