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発明の名称 土壌改質剤及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−240860(P2001−240860A)
公開日 平成13年9月4日(2001.9.4)
出願番号 特願2000−54439(P2000−54439)
出願日 平成12年2月25日(2000.2.25)
代理人 【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃 (外2名)
【テーマコード(参考)】
4H026
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4H026 AA01 AA11 AB01 
4J002 AC071 BC061 BN101 BN151 BN161 DA037 DD006 DE016 DE137 DF036 DG036 DG046 DH046 FD097 GA02
4J100 AB02Q AM02P AS02P AS02Q BA56H BA64H CA01 CA04 CA05 GC03 HA55 HB24 HB33 HB44 HB50 HB52 HB58 HG08 HG12 JA64 JA67
発明者 渡辺 春夫 / 稲垣 靖史 / 野口 勉
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 アクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンとを構成ユニットとして含有する高分子材料が酸で処理されたことにより当該高分子材料中に酸基が形成されるとともに、当該酸基が塩とされてなる高分子体と、上記酸の残留遊離酸の塩とを含有することを特徴とする土壌改質剤。
【請求項2】 上記残留遊離酸の塩は、上記高分子体に対して0.01重量%以上の割合で含有されていることを特徴とする請求項1記載の土壌改質剤。
【請求項3】 上記高分子材料が、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの少なくとも1種類以上を含有することを特徴とする請求項1記載の土壌改質剤。
【請求項4】 上記高分子材料が、使用済み樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の土壌改質剤。
【請求項5】 上記高分子材料が、無機顔料を含有していることを特徴とする請求項1記載の土壌改質剤。
【請求項6】 上記無機顔料が、カーボンブラック又は酸化チタンであることを特徴とする請求項5記載の土壌改質剤。
【請求項7】 上記酸は、スルホン酸、−PO(OH)2、−CH2PO(OH)2 の少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項1記載の土壌改質剤。
【請求項8】 上記酸は、スルホン酸であることを特徴とする請求項1記載の土壌改質剤。
【請求項9】 上記塩は、カリウム塩又はアンモニウム塩であることを特徴とする請求項1記載の土壌改質剤。
【請求項10】 アクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンとを構成ユニットとして含有する高分子材料を酸で処理して酸基を形成する酸処理工程と、上記酸処理工程で上記高分子材料に形成された上記酸基及び当該酸の残留遊離酸を塩にする塩化処理工程とを有することを特徴とする土壌改質剤の製造方法。
【請求項11】 上記酸処理工程において、上記高分子材料が、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエンゴムの少なくとも1種類以上を含有することを特徴とする請求項10記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項12】 上記酸処理工程において、上記高分子材料が、使用済み樹脂からなることを特徴とする請求項10記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項13】 上記酸処理工程において、上記高分子材料が、無機顔料を含有していることを特徴とする請求項10記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項14】 上記無機顔料が、カーボンブラック又は酸化チタンであることを特徴とする請求項13記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項15】 上記酸処理工程において、上記酸は、スルホン酸、−PO(OH)2、−CH2PO(OH)2 の少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項10記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項16】 上記酸処理工程において、上記酸は、スルホン酸基であることを特徴とする請求項10記載の土壌改質剤の製造方法。
【請求項17】 上記塩化処理工程において、上記高分子材料に形成された上記酸基及び当該酸の残留遊離酸をカリウム塩又はアンモニウム塩とすることを特徴とする請求項10記載の土壌改質剤の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土壌改質剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンとを含有する樹脂としては、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、SAN(スチレン−アクリロニトリル)樹脂、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリレート)樹脂等に代表されるポリスチレン系樹脂と、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)の合成ゴムとが挙げられる。これらの樹脂は、比較的安価であり、特に、前者のポリスチレン系樹脂は、剛性、寸法安定性、加工性等の特性に優れるため、各種用途のカバーやケース、電気機器や自動車の筐体及び各種部品材料等の樹脂材料として多用されている。
【0003】このような状況中で、これらの材料は、更なる用途拡大が期待されており、より付加価値の高いものへの改質に関する検討が望まれている。
【0004】また、上述のような材料が用いられた製品は、生産量の増加に伴い、廃材として多大量に発生してしまう。近年では、これらの材料からなる廃材の発生量も増加する傾向があり、地球環境保全の関心の高まりから、廃材の有効利用についてのニーズも高まってきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、高分子系の廃材は、大きくわけて、埋め立て、焼却、再溶融の3種類の手法にて処理されている。この中でも、国内では、埋め立てと焼却が全体の約9割を占め、ほとんどがリサイクルされていないのが現状である。
【0006】また、この高分子廃材のリサイクル方法としては、加熱溶融し再成型する(但し、熱可塑性樹脂のみ)のが一般的に行われているが、この際、熱による品質の劣化(分子量低下、樹脂の酸化等)や、ゴミ等の異物の混入、又は、種々の着色剤を含有した樹脂が混入することにより色合わせが必要になる等の多くの問題があった。このように、高分子廃棄物を加熱溶融によりリサイクルする場合、処理技術やコストが大きな障害となっていた。
【0007】本発明は、上述したような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、これらアクリロニトリルとスチレン又は共役ジエンを含有する高分子材料もしくは同使用済み廃材が、より付加価値の高い材料として有効に用いられる土壌改質剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の土壌改質剤は、アクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンとを構成ユニットとして含有する高分子材料が酸で処理されたことにより当該高分子材料中に酸基が形成されるとともに、当該酸基が塩とされてなる高分子体と、上記酸の残留遊離酸の塩とを含有することを特徴とする。
【0009】上述したような本発明の土壌改質剤では、上記高分子材料が酸で処理されたことにより当該高分子材料中に酸基が形成されるとともに当該酸基が塩とされてなる高分子体と、上記酸の残留遊離酸の塩とを含有しているので、良好な吸水性及び土壌改良性を示すものとなる。
【0010】また、本発明の土壌改質剤の製造方法は、アクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンとを構成ユニットとして含有する高分子材料を酸で処理して酸基を形成する酸処理工程と、上記酸処理工程で上記高分子材料に形成された上記酸基及び当該酸の残留遊離酸を塩にする塩化処理工程とを有することを特徴とする。
【0011】上述したような本発明の土壌改質剤の製造方法では、上記高分子材料を酸で処理して酸基を形成し、さらに当該酸基を塩とすることで土壌改質剤を得ているので、当該高分子材料の有効利用が図られる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】本発明者は、上述したような目的を達成せんものと鋭意検討を重ねた結果、所定量のアクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンとを含有する高分子材料を酸処理し、当該酸処理によって形成された酸基及び当該酸の残留遊離酸を塩にすることによって、上記高分子材料を土壌改質剤に改変できることを見出した。
【0014】このようにして得られる土壌改質剤は、後述するようにアクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンとを含有する高分子材料中に、酸処理によって酸基が形成され、さらにこの酸基及び当該酸の残留遊離酸が例えばカリウム又はアンモニウムを主体にした塩とされた高分子体を含有しているため、電解質水溶液においても良好な吸水性を示し、且つ、ニトリル基の一部が残留することにより水溶性を示すことなく、ゲル強度が高く、かつ土壌改良成分を含有した土壌改質剤を得ることができる。
【0015】本発明の土壌改質剤の材料となる、アクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンとを含有する高分子材料としては、当該高分子中にアクリロニトリル単位を5〜80モル%、好ましくは10〜60モル%、さらに好ましくは20〜50モル%の割合で含有しているものが望ましい。アクリロニトリル単位の含有量がこれより少ないと酸処理をした際に水溶性を示し、土壌改質剤として不適となる。また、アクリロニトリル単位の含有量が多すぎると、当該高分子材料が硬くなり、小片に粉砕するのが困難になったり、また、当該高分子材料中のスチレン及び/又は共役ジエン部の含有量が少なくなり塩基の導入率も低下することから土壌改質効果も低下してしまう。
【0016】さらに、この高分子材料は、アクリロニトリル以外の構成単位としてスチレン又は共役ジエン(ブタジエン、イソプレン)の少なくとも1種類以上を、20〜95モル%、好ましくは40〜85モル%、さらに好ましくは50〜80モル%の割合で含有していることが望ましい。
【0017】これらのスチレン及び/又は共役ジエンの構成単位は、本発明の酸処理と、それに引き続く塩形成、例えばカリウムならびにアンモニウムを主体にした塩の形成を行うことにより親水性基が当該材料中に導入されるところとなり、生成する土壌改質剤の親水性吸水性を向上させる上で必要となる。
【0018】また、この高分子材料は、上記アクリロニトリルやスチレン、共役ジエンが所定量導入されていれば、更に別の構成単位が分子中に含有されていてもよい。
【0019】このような他の構成単位としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、α−メチルスチレン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリル酸又はアクリル酸エステル(炭素数:1〜10の飽和又は不飽和炭化水素)、メタアクリル酸又はメタアクリル酸エステル(炭素数:1〜10の飽和又は不飽和炭化水素)、酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン、プロピレン、ブチレン、ビニルピロリドン、ビニルピリジン等を挙げることができる。
【0020】上記高分子材料の分子量(Mw)としては、重量平均分子量(Mw)が1,000〜20,000,000であることが好ましく、さらには、10,000〜1,000,000であることが好ましい。分子量がこれより低いと、酸処理とそれに引き続く塩形成、例えばカリウム並びにアンモニウムを主体にした塩の形成をした際に水溶性を示すところとなり、求める土壌改質剤を得ることができなくなる。また、分子量がこれより高いと、酸処理とそれに引き続くカリウム並びにアンモニウムを主体にした塩の形成の際の反応速度が遅くなり実用的ではない。
【0021】このような、アクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンとを含有する高分子材料としては、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、SAN(スチレン−アクリロニトリル)樹脂、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)樹脂、ASA(アクリレート−スチレン−アクリロニトリル)樹脂、ACS樹脂(アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン樹脂)等が好適である。
【0022】これらの高分子材料は、新たに製造されたバージン材であってもよいし、樹脂原料や成型品の生産過程での排出品(半端品)や、電気製品や自動車等に使用された筐体や各種部品材料、又はチューブやホース、各種緩衝材から特定の用途を目的として成型された使用済み廃材であってもよい。排出場所としては、工場や販売店、家庭等からのいずれであってもよいが、家庭等からの一般廃棄物よりは、工場や販売店等から回収されたものの方が比較的組成がそろったものが多いためより望ましい。
【0023】また、上記高分子材料は、他の樹脂とのアロイ物であってもよく、顔染料や安定剤、難燃剤、可塑剤、充填剤、その他補助剤等の添加剤を含んだ廃材であってもよい。又は、使用済み廃材とバージン材料との混合物であってもよい。
【0024】上記高分子材料と混合可能な他の樹脂としては、本発明の酸処理と、それに引き続く塩形成、例えばカリウム並びにアンモニウムを主体にした塩の形成を阻害しない樹脂であることが望ましく、例えばポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエステル等が挙げられる。なお、これらの樹脂は当該高分子材料に対して60重量%以下に混合されることが望ましい。これらの樹脂の含有量が多くなると、酸処理と、それに引き続く塩形成、例えばカリウム並びにアンモニウムを主体にした塩の形成反応が阻害されることになる。
【0025】そして、上記アクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンの少なくとも1種類以上を構成ユニットとして含有する高分子材料に対して酸処理を行い、それに引き続いて塩形成を行い、例えばカリウム又はアンモニウムを主体にした塩とすることで本発明の土壌改質剤が得られる。
【0026】なお、高分子材料に対して第一段階の酸処理をする前に、予め当該高分子材料を小片にしておくことが望ましい。高分子材料を小片にする方法としては、以下のものを挙げることができる。
【0027】(1)粉砕器による粉砕→ふるい分け当該高分子材料がゴム成分を含んでいる場合、凍結処理後に粉砕すると好適である。
【0028】(2)加熱溶融して微小なビーズ状にペレタイズする。
【0029】なお、上記高分子材料の小片のサイズとしては、3.5メッシュ以下にすることが好ましい。上記径より大きいサイズとなると、被反応物の表面積が小さくなり酸処理されにくくなるため、反応時間がかかり実用的でないと共に、土壌改質剤としての必要な性能の吸水性が大幅に低下することになる。
【0030】ここで、土壌改質剤の原料となる高分子材料中に、無機顔料(カーボンブラック、酸化チタン等)が含有されていると、反応時に無機顔料が当該高分子材料からはずれて酸が同材料表面に浸透しやすくなり、無機顔料周辺が酸処理されやすくなり酸処理が促進される。このため、土壌改質剤の吸水効果が向上されるところとなる。
【0031】これらのカーボンブラックや酸化チタンは、元々当該高分子材料中に含まれているものであっても良いし、又は、土壌改質剤に個別に添加、混合させたものでもよいが、前者の方が生成する土壌改質剤の性能向上に於いて望ましい。これらのカーボンブラックや酸化チタンは、プラスチックの着色剤や補強剤、電気伝導性付与材として一般に用いられているもので良い。
【0032】カーボンブラックは、チャンネル法、ファーネス法、サーマル法のいずれの方法によって製造されたものでもよく、それぞれの単独及び/又は複数の併用で用いてもよい。なお平均粒子径としては5〜500mμで、好ましくは10〜50mμである。
【0033】酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型、超微粒子チタンのいずれのタイプでもよく、それぞれの単独及び/又は複数の併用で用いてもよい。なお平均粒子径としては0.01〜50mμで、好ましくは0.05〜10mμである。
【0034】当該土壌改質剤中に含まれる上記カーボンブラックや酸化チタンの含有量は、乾燥重量に対して0.01〜20重量%の割合であり、好ましくは、0.05〜10重量%の割合である。
【0035】そして、上記アクリロニトリルとスチレン及び/又は共役ジエンの少なくとも1種類以上を構成ユニットとして含有する高分子材料に対する酸処理に使用する酸としては、無機酸が好適である。無機酸の仕込量としては、当該高分子材料の重量に対して1倍〜500倍であり、好ましくは10倍〜200倍である。無機酸の添加量がこれよりも少ないと、スチレンや共役ジエンへの酸基の導入率やアクリロニトリル基の加水分解率が低下するところとなり、土壌改質剤として必要とされる吸水性が低下することになる。また、無機酸の添加量がこれよりも多いと、過剰分の酸の処理が必要となり、経済的にも、作業的にも不利となる。
【0036】上記無機酸としては、濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸等のスルホン化剤や、硝酸、発煙硝酸、リン酸、塩化リン、酸化リン等が挙げられる。これらのなかでも、濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸が好ましく、特に、70重量%以上の濃硫酸が好ましい。
【0037】また、これらの無機酸はそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上で使用しても良い。2種類以上を使用する場合は、混合しても良いし、逐次添加してもよい。例えば、当該高分子材料を最初濃硫酸で処理した後、無水硫酸を添加することにより、水系で形状安定な吸水性を得ることができる。これは、濃硫酸の処理によりまず当該高分子材料中のニトリル部分が主に加水分解され、次に、無水硫酸で処理することによりスチレンや共役ジエン部が強制的にスルホン化されることによりスルホン化度の高い土壌改質剤が得られるためである。
【0038】なお、上記酸処理は無機酸中で行ってもよいが、有機溶媒を用いた系で行っても良い。使用可能な有機溶媒としては、炭素数が1〜2の脂肪族ハロゲン化炭化水素(好ましくは例えば1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン等が挙げられる。)、脂肪族環状炭化水素(好ましくは例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン等が挙げられる。)、ニトロメタン、ニトロベンゼン、二酸化イオウ、パラフィン系炭化水素(炭素数1〜7)、アセトニトリル、二硫化炭素、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、アセトン、メチルエチルケトン、チオフェン等が挙げられる。好ましくは、炭素数が1〜2の脂肪族ハロゲン化炭化水素、脂肪族環状炭化水素、ニトロメタン、ニトロベンゼン、二酸化硫黄である。これら溶媒はそのもの単体で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。上記溶媒内での混合においては、その混合比率は特に制限はない。
【0039】これら有機溶媒は、当該高分子材料の重量に対して200倍未満が好適である。有機溶媒の添加量がこれより多いと、酸処理の反応率が低くなるとともに、経済的にも不利となる。
【0040】なお、上記高分子材料に対する酸処理の際には必要に応じてルイス酸基を用いても良い。ルイス酸基としては、アルキルフォスフェート(トリエチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート)、ジオキサン、無水酢酸、酢酸エチル、パルチミン酸エチル、ジエチルエーテル、チオキサン等が挙げられる。
【0041】なお、上記酸処理に一度使用した無機酸や有機溶媒は、反応終了後回収してそのまま、又は抜き取りや蒸留等の方法により回収して再度反応に使用してもよい。
【0042】このように、高分子材料に対して上述したような酸処理をすることで、当該高分子材料中のスチレン及び/又は共役ジエンユニットには酸基が導入され、一方、アクリロニトリルユニットは加水分解によりアミド化して親水性の樹脂に改質される。上記酸処理によりスチレン又は共役ジエンユニットに導入される酸基としては、スルホン酸、−PO(OH)2、−CH2PO(OH)2等を挙げることができる。
【0043】上記酸基としてスルホン酸基を導入する場合は、当該高分子材料と前述の濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸等のスルホン化剤と、そのまま、又は溶媒中で反応させることでできる。また、−PO(OH)2基を導入するには、溶媒中に三酸化リンを添加し、さらに加水分解することにより可能となる。なお、これらの酸基の中では、スルホン酸基が好ましい。これら酸基は単独でもよいし、2種類以上が当該高分子材料に導入されていてもよい。
【0044】ただし、土壌改質剤としての性質を満足するには、当該高分子材料中に含有される同酸基の量は、全ユニットに対して5〜95モル%、好ましくは10〜70モル%である。これより酸基の量が多くなると、当該高分子材料の酸処理物が水溶性を示してしまい土壌改質剤として使用できなくなってしまう。一方、酸基の量がこれより低いと透水性、吸水性(特に電解質水溶液に対して)が低下し、これに続く塩形成、例えばカリウム又はアンモニウムのイオン交換処理が進まず、有効な土壌改質剤とならない。
【0045】上記酸処理は、以下の条件で行うことにより、当該高分子材料に所定量のイオン基を導入することが可能となる。
【0046】酸処理の反応温度は、有機溶媒の使用の有無で大きく異なるが、概ね0〜200℃であり、好ましい反応温度は30〜120℃である。反応温度が低すぎると反応速度が遅くなり実用的でないと共に、良好な性能を有するが土壌改質剤得られなくなる。また、反応温度が高すぎると、熱分解により当該高分子材料の分子鎖が切断されやすくなり、水に対して溶解してしまう。
【0047】反応時間は、反応温度によって大きく異なるが、概ね1分間〜40時間であり、好ましくは5分〜2時間である。反応時間が短すぎると反応が十分に進行しない。また、反応時間が長すぎると生産効率が悪くなる。
【0048】そして、以上のようにして酸処理によって上記高分子材料中に導入された酸基及び当該酸の残留遊離酸を、例えばカリウム又はアンモニウムを主体にしたカチオンで中和して塩を形成することで、目的とする本発明の土壌改質剤が得られる。なお、ここで残留遊離酸とは、上記高分子材料を酸処理して酸基を当該高分子材料中に酸基を導入する際に用いた酸であって、上記酸処理反応後の残留酸のことである。
【0049】上記酸処理の酸基及び当該酸の残留遊離酸に塩を形成する方法としては、上記酸処理における反応系の反応物を、まずフィルター等でろ過し、多量の水で洗浄してから塩基性物質あるいはその塩を添加する方法や、塩基性物質あるいはその塩の水溶液に上記反応生成液系をそのまま加える方法等で行うことができる。
【0050】なお、上記塩形成反応で使用する塩基性物質あるいはその塩としては、アンモニウム、アルカリ金属(ナトリウム、リチウム、カリウム等)やアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)の酸化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の化合物が挙げられる。
【0051】土壌改質剤に含有される残留遊離酸塩の量は、形成された酸基が塩となされた高分子材料の乾燥重量の0.01重量%以上であり、好ましくは0.1重量%以上である。残留遊離酸塩の含有量が少なすぎると、土壌のイオン濃度に基づく浸透圧が勝り、土壌のイオン濃度を低下させ土壌のイオンバランスを破壊するおそれがあり、また、植物の根の吸水性を阻害するおそれがある。
【0052】以上のように、塩形成反応で得られる反応物はゲル状であり、この後、天日、加熱、減圧、遠心、プレス等の乾燥を行うことにより、目的とする土壌改質剤を得ることができる。
【0053】以上に示した処理方法により、ニトリル基と加水分解物、及び、酸で処理されたことにより高分子材料中に酸基が形成されるとともに当該酸基が塩とされてなる高分子体と、当該酸の残留遊離酸塩とを含有する土壌改質剤を得ることができる。この土壌改質剤は、未反応のニトリル基を有することにより非水溶性とゲル強度の向上が得られる。また、同ニトリル基の加水分解物と塩になった酸基により吸水性が高められ、水に対してゲル化することになり、更に、上記残留遊離酸塩の塩成分が土壌に作用することにより土壌改質効果が得られる。
【0054】
【実施例】ここで、実際に本発明に係る土壌改質剤として実施例1〜実施例4及び比較例1の試料を作製しその評価を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0055】〈実施例1〉濃硫酸(96重量%)の30重量部中に、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂廃材を冷凍シュレッダーにより16〜32メッシュに粉砕・分級したものの1重量部を加え、80℃で20分間反応させた。なお、このABS樹脂廃材は、8mmカセットテープガードパネルの黒色部分であり、スチレンが52モル%と、アクリロニトリルが28モル%と、ブタジエンが20モル%とにて構成され、さらに、カーボンブラックを2重量%含有するものである。
【0056】反応終了後、系中の固形物をグラスフィルターでろ過し、水洗の後、1規定の水酸化ナトリウム溶液の50重量部で中和し、さらに十分な水で水洗し、ろ液のpHが8以下になったところで取り出し、循風乾燥器にて105℃で2時間乾燥を行った。この操作により黒色の固形物が得られた。
【0057】この固形物を、当該固形物1重量部に対し2000重量部の純水に浸漬し、十分に膨潤させ、時々撹拌しながら36時間撹拌し、その上澄みを分析した。硫酸ナトリウムの遊離量は、上記固形物の1.2重量%であった。
【0058】上記固形物硫黄の元素分析結果及び上記溶出量の結果より、この固形物中のスルホン酸基は、全モノマーユニット中の33モル%であることが確認された。また、ナトリウムの含有量は、スルホン酸基でほぼ等モル比であった。
【0059】〈実施例2〉濃硫酸(96重量%)中に、SAN(スチレン−アクリロニトリル)樹脂廃材を冷凍シュレッダーにより16〜32メッシュに粉砕・分級したものの1重量部を加え、80℃で20分間反応させた。なお、このSAN樹脂廃材は、8mmカセットテープガードパネルの透明部分であり、スチレンが60モル%と、アクリロニトリルが40モル%とにて構成されるものである。
【0060】反応終了後、系中の固形物をグラスフィルターでろ過し、水洗の後、濃アンモニア水30重量部で中和し、十分にろ過し、循風乾燥器にて100℃で3時間乾燥を行った。この操作により褐色の固形物が得られた。この固形物について実施例1と同様の方法で分析した硫酸アンモニウムの遊離量は、当該固形物の2.6重量%であった。
【0061】また、上記固形物中のスルホン酸基は、全モノマーユニット中の36モル%であった。アンモニウム化は、ほぼ等モルと考えられる。
【0062】〈実施例3〉濃硫酸(96重量%)の90重量部中に、ABS樹脂廃材を冷凍シュレッダーにより16〜32メッシュに粉砕・分級したものの3.5重量部を加え、60℃で60分間反応させた。その後、発煙硫酸(SO3:60重量%含有)の0.5重量部を追加添加し、さらに30分間反応を行った。なお、このABS樹脂廃材は、パソコン筐体の白色部分であり、スチレンが46モル%と、アクリロニトリルが39モル%と、ブタジエンが13モル%とから構成され、さらに、酸化チタン1重量%を含有するものである。
【0063】反応終了後、系中の固形物をろ過し、水洗の後、濃アンモニア水30重量部で中和し、ろ過し、そこに1規定水酸化カリウム水溶液を10重量部注いでろ過し、水洗いし、ろ過した。これを乾燥器にて2時間乾燥を行った。この操作により固形物が得られた。この固形物について実施例1と同様の方法で分析した硫酸アンモニウムの遊離量は、当該固形物の1.9重量%であり、硫酸カリウムの遊離量は、上記固形物の0.9重量%であった。
【0064】また、上記固形物中のスルホン酸基は、全モノマーユニット中の42モル%であった。カリウムの含有量は、スルホン酸基とモル比0.35であった。残部はアンモニウム化されていると考えられる。
【0065】〈実施例4〉シクロヘキサンの70重量部に実施例1で用いたABS樹脂廃材の3重量部を添加したものに、30℃に保った状態で無水硫酸の4.2重量部を滴下した。その後、30±2℃の温度に保ち2時間反応を行った。
【0066】反応終了後、系中の固形物をろ過し、水洗の後、乾燥を行った。これを濃アンモニア水30重量部で中和し、ろ過し、そこに1規定水酸化カリウム水溶液を10重量部注いでろ過し、水洗いした。これを乾燥器にて2時間乾燥を行い固形物を得た。この固形物について実施例1と同様の方法で分析した硫酸アンモニウムの遊離量は、当該固形物の1.1重量%であり、硫酸カリウムの遊離量は、上記固形物の0.8重量%であった。
【0067】また、上記固形物中のスルホン酸基は、全モノマーユニット中の25モル%であった。カリウムの含有量は、スルホン酸基とモル比0.42であった。残部はアンモニウム化されていると考えられる。
【0068】〈比較例1〉実施例1で得られた黒色の固形物を、この固形物1重量部に対し2000重量部の純水に浸漬し、十分に膨潤させ、時々撹拌しながら36時間放置し、ろ過した。さらに、これに純水を加え、2000重量部とし同様に撹拌放置を2回繰り返し、その上澄みを分析した。硫酸ナトリウムの遊離量は、上記固形物の90ppmであった。これを乾燥器にて2時間乾燥を行った。
【0069】以上のようにして得られた実施例1〜実施例4及び比較例1の固形物の土壌改質剤としての性能を評価した。
【0070】得られた固形物の土壌改質剤としての性能評価は、横浜市内の関東ローム層の土壌に、ナス(Solanum mclongcna L.)の5葉の苗を植えることにより行った。
【0071】実施例1〜実施例4で得られた固形物を上記関東ローム層の土壌100重量部に1重量部混合して混合土壌とした。この混合土壌を苗の根元に2cm程度盛り土し、5月上旬と6月上旬とにおける当該ナスの平均葉数を調べた。
【0072】実施例1〜実施例4及び比較例1で得られた固形物が混合された土壌での、5月上旬と6月上旬とにおける当該ナスの平均葉数を表1に示す。また、固形物の非混合土壌を同様に盛り土したものを比較例2として表1中に示した。
【0073】
【表1】

【0074】表1から明らかなように、実施例1〜実施例4で得られた固形物が混合された土壌での、6月上旬におけるナスの平均葉数は、いずれも、比較例1及び比較例2の場合に比べて多くなっていることがわかる。これは、土壌中に混合された固形物が、水分を保持する機能を有し、ナスの生育を促進したためと考えられる。特に、その効果は、残留遊離酸塩の量が、固形物に対して0.01重量%以上のときに良好である。
【0075】従って、アクリロニトリルとスチレン又は共役ジエンとを構成ユニットとして含有する高分子材料に対して酸処理を行い、それに引き続いて塩形成を行うことにより得られた高分子体と、当該酸の残留遊離酸の塩との混合体は、土壌改質剤として優れた性能を示すことがわかった。
【0076】
【発明の効果】本発明では、植物生育を促進する土壌改質剤を得ることができる。この土壌改質剤は、使用済みとなった廃プラスチック材から製造することができるため、資源の有効利用につながり、地球の環境保全に貢献することができる。




 

 


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