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発明の名称 ゲーサイトウィスカー及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−240500(P2001−240500A)
公開日 平成13年9月4日(2001.9.4)
出願番号 特願2000−55048(P2000−55048)
出願日 平成12年2月29日(2000.2.29)
代理人 【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃 (外2名)
【テーマコード(参考)】
4G002
4G077
【Fターム(参考)】
4G002 AA05 AA06 AA10 AA11 AB02 AD01 AE03 AE05 
4G077 AA04 BC05 CB02
発明者 岩崎 和春
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 長軸の累積平均径が1〜10μmであり、短軸の累積平均径が10〜30nmであり、長軸の累積平均径と短軸の累積平均径とから算出される軸比(長軸の累積平均径/短軸の累積平均径)が33以上であるゲーサイトウィスカー。
【請求項2】 Co、Ni、Cr並びにTiから選ばれる少なくとも一種の金属を有する金属塩及び第二鉄塩を有する溶液と強アルカリ溶液とを混合して生成される金属含有水酸化第二鉄及び内部に水分を含む金属含有FeOOHのうち、少なくとも一方からなるゲル状アモルファス物質を含有する懸濁液を熟成することにより、Co、Ni、Cr並びにTiから選ばれる少なくとも一種の金属含有量xが15at%<x≦30at%の割合で含有されてなる請求項1記載のゲーサイトウィスカー。
【請求項3】 Co、Ni、Cr並びにTiから選ばれる少なくとも一種の金属を有する金属塩及び第二鉄塩を有する溶液と強アルカリ溶液とを混合して生成される金属含有水酸化第二鉄及び内部に水分を含む金属含有FeOOHのうち、少なくとも一方からなるゲル状アモルファス物質を含有する懸濁液を熟成することにより、Co、Ni、Cr並びにTiから選ばれる少なくとも一種の金属含有量xが15at%<x≦30at%の割合で含有されてなるゲーサイトウィスカー。
【請求項4】 長軸の累積平均径が1〜10μmであり、短軸の累積平均径が10〜30nmであり、長軸の累積平均径と短軸の累積平均径とから算出される軸比(長軸の累積平均径/短軸の累積平均径)が33以上であることを特徴とする請求項3記載のゲーサイトウィスカー。
【請求項5】 ゲーサイトウィスカー中のCo、Ni、Cr並びにTiから選ばれる少なくとも一種の金属含有量xが15at%<x≦30at%の割合となるように、Co、Ni、Cr並びにTiから選ばれる少なくとも一種の金属を有する金属塩及び第二鉄塩を有する溶液と強アルカリ溶液とを混合して金属含有水酸化第二鉄及び内部に水分を含む金属含有FeOOHを生成し、その後、上記金属含有水酸化第二鉄及び内部に水分を含む金属含有FeOOHのうち、少なくとも一方からなるゲル状アモルファス物質を含有する懸濁液を熟成する、ゲーサイトウィスカーの製造方法。
【請求項6】 上記懸濁液中の第二鉄塩の濃度を0.01〜0.10mol/lの範囲として熟成を行うことを特徴とする請求項5記載のゲーサイトウィスカーの製造方法。
【請求項7】 上記懸濁液のpHを11.0〜13.5とすることを特徴とする請求項5記載のゲーサイトウィスカーの製造方法。
【請求項8】 上記熟成を40〜90℃の範囲で行うことを特徴とする請求項5記載のゲーサイトウィスカーの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆるひげ結晶構造を有する全く新規なゲーサイトウィスカーに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ウィスカー(whisker)と呼ばれる微小繊維状単結晶としては、金属ウィスカー及び非金属ウィスカー(金属酸化物、炭化物、窒化物等を含む。)が挙げられる。ウィスカーは、いずれの場合でも結晶構造が完全結晶に近く、強度も理論値に近い値を示すことが知られている。言い換えれば、ウィスカーは、内部に転位が存在しないために降伏点が極めて高く、高強度材料としての理想的な機械的性質を有している。このため、従来からウィスカーを利用した種々の材料・製品が開発されており、また現在も研究が盛んに行われている。
【0003】ところで、ゲーサイト(Geothite:α−FeOOH)粒子は、例えば、塗布型の磁気記録媒体に使用される針状γ−Fe23、Fe34及びこれらにCoを被着した酸化鉄系磁性粉末或いは針状FeやFe−Co合金等の金属系磁性粉末の原料として広く用いられている。磁気記録媒体に使用する酸化鉄系磁性粉末及び金属系磁性粉末は、磁気記録媒体としての磁気特性を向上させるため、その長軸と短軸との比、ずなわち軸比が大きくても30程度となっている。このような酸化鉄系磁性粉末及び金属系磁性粉末を作製する際には、軸比が30程度までであるゲーサイト、すなわち、針状ゲーサイト粒子を原料として使用する。
【0004】この針状ゲーサイト粒子の製造方法としては、(1)第一鉄塩溶液にアルカリ溶液を加えて得られる水酸化第一鉄のコロイドを酸性、中性或いはアルカリ性懸濁液中で酸化する方法、(2)第二鉄塩溶液にアルカリ溶液を加えて得られる水酸化第二鉄のコロイドを強アルカリ懸濁液中で高温高圧処理する水熱合成方法、(3)第二鉄塩溶液にアルカリ溶液を加えて得られる水酸化第二鉄のコロイドを強アルカリ懸濁液中で比較的低温で熟成する方法等が知られている。また、これらの方法では、製造される針状ゲーサイト粒子の形状が不揃いとなってしまうため、本発明者は、特開平11−329815号公報及び特開平11−329816号公報において、針状性に優れるとともに双晶がない針状ゲーサイト粒子の製造方法を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような従来公知の手法では、良好な針状性を有する針状ゲーサイト粒子を製造することはできるが、ゲーサイトウィスカーを製造することはできない。すなわち、上述した手法によれば、磁気記録媒体に使用される酸化鉄系磁性粉末及び金属系磁性粉末を製造するのに適した針状ゲーサイト粒子しか製造することができない。
【0006】言い換えると、従来、高精密・高精細な機械工業や電子工業に利用できるゲーサイトの単分散ウィスカーを作製することがでなかった。特に、近年のマイクロマシンや将来のナノマシンなどの開発に必要な微細な構成要素部品として使用可能なゲーサイトウィスカーは存在していない。
【0007】そこで、本発明は、上述した従来の実情に鑑み、例えば、マイクロマシンやナノマシン等の構成要素部品としてもしよう可能な、全く新規なゲーサイトウィスカー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成した本発明に係るゲーサイトウィスカーは、長軸の累積平均径が1〜10μmであり、短軸の累積平均径が10〜30nmであり、長軸の累積平均径と短軸の累積平均径とから算出される軸比(長軸の累積平均径/短軸の累積平均径)が33以上である。
【0009】以上のように構成されたゲーサイトウィスカーは、従来にない全く新規な形状を備える。
【0010】また、本発明に係るゲーサイトウィスカーは、Co、Ni、Cr並びにTiから選ばれる少なくとも一種の金属を有する金属塩及び第二鉄塩を有する溶液と強アルカリ溶液とを混合して生成される金属含有水酸化第二鉄及び内部に水分を含む金属含有FeOOHのうち、少なくとも一方からなるゲル状アモルファス物質を含有する懸濁液を熟成することにより、Co、Ni、Cr並びにTiから選ばれる少なくとも一種の金属含有量xが15at%<x≦30at%の割合で含有されてなる。
【0011】以上のように構成された本発明に係るゲーサイトウィスカーは、従来にない全く新規なウィスカー形状となる。
【0012】さらに、本発明に係るゲーサイトウィスカーの製造方法は、ゲーサイトウィスカー中のCo、Ni、Cr並びにTiから選ばれる少なくとも一種の金属含有量xが15at%<x≦30at%の割合となるように、Co、Ni、Cr並びにTiから選ばれる少なくとも一種の金属を有する金属塩及び第二鉄塩を有する溶液と強アルカリ溶液とを混合して金属含有水酸化第二鉄及び内部に水分を含む金属含有FeOOHを生成し、その後、上記金属含有水酸化第二鉄及び内部に水分を含む金属含有FeOOHのうち、少なくとも一方からなるゲル状アモルファス物質を含有する懸濁液を熟成する。
【0013】以上のように構成された本発明に係るゲーサイトウィスカーの製造方法は、ゲーサイトウィスカー中のCo、Ni、Cr並びにTiから選ばれる少なくとも一種の金属含有量xが15at%<x≦30at%の割合となるように、Co、Ni、Cr並びにTiから選ばれる少なくとも一種の金属を有する金属塩及び第二鉄塩を有する溶液と強アルカリ溶液とを混合しているため、従来にない全く新規なゲーサイトウィスカーを製造することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るゲーサイトウィスカー及びその製造方法の具体的な実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ここでは、本発明を適用したゲーサイトウィスカーの一例としてコバルトを含有するゲーサイトウィスカーについて説明する。
【0015】このゲーサイトウィスカーは、図1に示すプロセスフロチャートに従って作製される。すなわち、ゲーサイトウィスカーは、ST1で調製された第二鉄塩溶液及びコバルト塩溶液を混合した混合溶液とST2で調製された強アルカリ溶液とをST3で混合攪拌し、その後、ST3で混合攪拌して得られる懸濁液をST4で熟成させることにより製造される。以下、この製造プロセスについて詳述する。
【0016】先ず、ST1では、第二鉄塩溶液及びコバルト塩溶液を混合した混合溶液を調製する。
【0017】第二鉄塩溶液は、第二鉄塩を水等の溶媒に溶解させることにより得られる。第二鉄塩としては、通常、針状ゲーサイト粒子を製造する際に使用されるものであれば如何なるものを使用しても良く、例えば、塩化第二鉄、硫酸第二鉄及び硝酸第二鉄を挙げることができる。
【0018】コバルト塩溶液は、コバルト塩を水等の溶媒に溶解させることにより得られる。コバルト塩としては、特に限定されず何れも使用することができるが、例えば、硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト及び臭化コバルト等を挙げることができる。
【0019】特に、このST1では、最終的に得られるゲーサイトウィスカー中におけるコバルトの含有率(Co/Fe)が15at%<(Co/Fe)≦30at%となるように、第二鉄塩溶液及びコバルト塩溶液を混合する。
【0020】次に、ST2では、強アルカリ溶液を調製する。強アルカリ溶液としては、特に限定されず何れも使用することができるが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等を水等の溶媒に溶解させたものを挙げることができる。
【0021】次に、ST3では、ST1で調製した混合溶液とST2で調製した強アルカリ溶液とを混合して攪拌することにより懸濁液を調製する。ST3において、混合溶液と強アルカリ溶液とを混合攪拌することによって、コバルト含有水酸化第二鉄及び内部に水分を含むコバルト含有FeOOHのうち、少なくとも一方を有するゲル状アモルファス物質が形成される。すなわち、ST3において調製される懸濁液中には、コバルト含有水酸化第二鉄及び内部に水分を含むコバルト含有FeOOHのうち、少なくとも一方からなるゲル状アモルファス物質が含有されている。懸濁液中に含有されるこれらコバルト含有水酸化第二鉄及び内部に水分を含むコバルト含有FeOOHは、詳細を後述するST4で結晶化する際の核となるものである。
【0022】ST3では、特に、懸濁液のpHを11.0〜13.5の範囲とすることが好ましい。懸濁液のpHが11.0未満の場合には、ウィスカーの結晶性が低下し、製造されるゲーサイトウィスカーの強度が低下する虞がある。また、懸濁液のpHが13.5を超える場合には、製造されるゲーサイトウィスカー間の凝集が発生してしまう虞がある。したがって、懸濁液のpHを11.0〜13.5の範囲とすることによって、所望の長軸長を有するゲーサイトウィスカーを単分散させた状態で得ることができる。
【0023】また、ST3では、懸濁液中の第二鉄濃度が0.01〜0.10mol/lとなるように、混合溶液と強アルカリ溶液とを混合することが好ましい。第二鉄濃度が0.10mo1/1を超える場合には、製造されるゲーサイトウィスカー同士が凝集し易くなり単分散の状態で得られ難くなる虞がある。また、第二鉄濃度が0.01mo1/1未満の場合には、製造されるゲーサイトウィスカーの収量が低下する虞がある。したがって、懸濁液中の第二鉄濃度を0.01〜0.10mol/lとすることによって、単分散の状態のゲーサイトウィスカーを優れた生産性で製造することができる。
【0024】なお、ST3において、第二鉄塩溶液と強アルカリ溶液とを如何なる順序で混合してもよい。すなわち、ST1で調製した混合溶液をST2で調製した強アルカリ溶液に滴下して混合してもその逆でもよい。また、混合に際しては、ラインミキサー等の混合手段により、両溶液を一定量ずつ連続的に混合してもよい。いづれの混合方法によっても形態に差のないゲーサイトウイスカーを得ることができる。さらに、混合溶液と強アルカリ溶液との混合は室温で行い、熟成の前処理として、室温を保持したまま懸濁液の混合を継続して分散し、均一化しておくことが望ましい。かかる前処理を施すことにより均一に結晶化し易くなる。
【0025】次に、ST4では、ST3で調製された懸濁液を熟成させ、ゲーサイトの結晶成長を促進し、ゲーサイトウィスカーを形成させる。懸濁液を熟成させる際には、40〜90℃の温度条件で行うことが好ましい。温度が90℃を超える場合には、粒状α−Fe23が生成し、ゲーサイトウィスカーの生成量が少なく虞がある。また、温度が40℃未満の場合には、ウィスカーの結晶化が充分でなく、ゲル状アモルファス物質からなる未反応粒子が残留しやすくなる虞がある。
【0026】この熟成によれば、ST3で形成された核に対して所定の方向にゲーサイトの結晶化が進行し、ゲーサイトウィスカーを製造することができる。具体的には、ゲーサイトの結晶構造におけるc軸方向に結晶化が進行し、当該c軸と平行な側面上に結晶化が進行しない。すなわち、上述した熟成を行うことによって、主としてc軸方向に結晶化することとなり、c軸方向に長く伸びたゲーサイトウィスカーを形成することができる。
【0027】これは、懸濁液中において、コバルト含有水酸化第二鉄及び内部に水分を含むコバルト含有FeOOH内にコバルトを含有しているため、c軸と平行な側面にOH-基が吸着して当該c軸と平行な側面における結晶化が抑制されることによって、主としてc軸方向の結晶化が進行するためであると考えられる。このことを検証するため、電気泳動法を用いて、コバルト含有FeOOH(コバルト含有量6at%)と無添加FeOOHとの表面のゼータ電位を測定した。その結果を図2に示す。なお、この電気泳動法において、電解質濃度は1×10-3kmol・m-3NaCl一定とし、液温は20℃一定とした。
【0028】この図2より、コバルト含有FeOOHでは、無添加FeOOHと比較して大きな負電位を有することが判る。特に、コバルト含有FeOOHは、高アルカリ領域において大きな負電位を有することが判る。これは、コバルト含有FeOOHの表面がOH-基によって覆われ、負に帯電するからである。コバルトは、FeOOH結晶に固溶し、Feと置換することにより結晶中に取り込まれる。これにより、FeOOH表面における電子状態が変化し、OH-基をより吸着し易くなり、その結果、FeOOH側面が負に強く帯電するのである。FeOOH側面が負に強く帯電すると、溶質であるFe(III)錯イオンの析出が阻止され、FeOOH側面における結晶成長が抑制される。その結果、Fe(III)錯イオンは、FeOOHのc面に選択的に析出することとなる。したがって、コバルトを含有したFeOOHは、c軸方向に大きく成長し、ウィスカーとなる。
【0029】また、ST4においては、熟成の所要時間は熟成温度に依存し、一般に熟成温度を高くすれば反応所要時間を短縮することができる。したがって、生成するゲーサイトウィスカー粒子の形状に悪影響を及ぼさない範囲で、熟成温度を選択すればよい。
【0030】そして、最後に熟成が終了した懸濁液中からゲーサイトウィスカーを単離する。具体的には、常法に準じて洗浄、乾燥工程を経ることによって、ゲーサイトウィスカーを単離することができる。
【0031】このように製造されたゲーサイトウィスカーは、内部にコバルトを含有し、コバルト含有量(Co/Fe)が15<(Co/Fe)≦35at%の範囲となっている。コバルト含有量が15at%未満の場合には、上述したように、FeOOHのc面に特異的にFe(III)錯イオンを析出させることができず、ゲーサイトウィスカーを得ることができない。また、コバルト含有量が35at%を超える場合には、副生成物として生成するスピネル構造の粒状CoFe24粒子が多くなり目的のCo含有ゲーサイトウィスカーの生成量が極端に少なくなるか、もしくは粒状CoFe24粒子のみが生成してしまう。
【0032】また、得られたゲーサイトウィスカーは、図3に示すように、長軸の累積平均径が1〜10μmとなり、短軸の累積平均径が10〜30nmとなるため、長軸の累積平均径と短軸の累積平均径とから算出される軸比(長軸の累積平均径/短軸の累積平均径)が33以上となっている。なお、この図3は、透過型電子顕微鏡により撮影された電子顕微鏡写真である。
【0033】また、上述した製造プロセスにおいては、混合溶液と強アルカリ溶液との混合開始、すなわち、ST3の開始から終了、すなわちST3の終了に至るまでの所要時間は、短時間、例えば5分以内が好ましい。当該所要時間が長時間に及ぶと、ST3開始直後に投入された混合溶液及び強アルカリ溶液により形成されたゲル状アモルファス物質が、ゲーサイトウィスカーの核生成から結晶成長の段階に進むことがあり、最終生成物であるCo含有ゲーサイトウィスカーが単分散とならない虞がある。したがって、ST3の開始から終了に至るまでの所要時間を短時間、例えば5分以内とすることによって、単分散のゲーサイトウィスカーを確実に得ることができる。
【0034】ところで、上述の説明においては、本発明を適用したゲーサイトウィスカーの一例としてコバルトを含有するゲーサイトウィスカーを例示したが、本発明は、このような構成に限定されるものではない。すなわち、本発明は、Co、Zn、Ni、Cr及びTiから選ばれる少なくとも一種の金属を含有したゲーサイトウィスカーにも適用することができる。Zn、Ni、Cr及びTiといった金属元素は、コバルト元素と比較してイオン半径も略々同等であるため、Zn、Ni、Cr及びTiといった金属元素を用いても上述したコバルトの場合と同様に、ゲーサイトウィスカーを得ることができる。例えば、Znを含有するゲーサイトウィスカーは、ST1において硫酸亜鉛等を用い、亜鉛塩溶液及び第二鉄塩溶液からなる混合溶液を作製し、亜鉛含有水酸化第二鉄及び内部に水分を含む亜鉛含有FeOOHからなるゲル状アモルファス物質を含有する懸濁液を熟成することにより得ることができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0036】実験例1塩化第二鉄六水和物(FeCl2・6H2O)を蒸留水に溶解し、0.075mol/lの塩化第二鉄溶液2500mlを用意した(ST1)。これとは別に、塩化コバルト六水和物(CoCl2・6H2O)0.0281molを蒸留水に溶解して80mlとし、塩化コバルト溶液を用意した(ST1)。
【0037】次に、両溶液を混合し、Co塩を含む塩化第二鉄溶液2580mlを調製した(ST1)。この混合溶液中のCo2+/Fe3+比は15.0at%であった。この混合溶液を攪拌しながら、別途用意(ST2)した0.469mol/lの水酸化ナトリウム溶液1910mlを滴下して混合し、更に0.094mol/lの水酸化ナトリウム溶液400mlを滴下して混合し、懸濁液を調製した(ST3)。この懸濁液は、Co含有水酸化第二鉄コロイドや、微量の水分を内部に含むCo含有FeOOHコロイドが反応母液中に懸濁したものである。この懸濁液中の第二鉄濃度は0.038mo1/1、pHは12.5であった。
【0038】得られた懸濁液は、8000rpmの高速回転翼による攪拌を10分間施した後、攪拌を停止し、80℃で164時間熟成を行った(ST4)。この熟成工程によりCo含有ゲーサイトウィスカーが生成した。 Co含有ゲーサイトウイスカー中のCo含有量すなわちCo/Fe比は16.4at%であった。
【0039】実験例2塩化第二鉄六水和物(FeCl2・6H2O)を蒸留水に溶解し、0.075mol/lの塩化第二鉄溶液2500m1を用意した(ST1)。これとは別に、塩化コバルト六水和物(CoCl2・6H2O)0.0375molを蒸留水に溶解して80mlとし、塩化コバルト溶液を用意した(ST1)。
【0040】次に、両溶液を混合し、Co塩を含む塩化第二鉄溶液2580mlを調製した(ST1)。この混合溶液中のCo2+/Fe3+比は20.0at%であった。この混合溶液を攪拌しながら、別途用意(ST2)した0.469mol/lの水酸化ナトリウム溶液1950m1を滴下して混合し、更に0.094mol/lの水酸化ナトリウム溶液400mlを滴下して混合し、懸濁液を調製した(ST3)。この懸濁液は、Co含有水酸化第二鉄コロイドや、微量の水分を内部に含むCo含有FeOOHコロイドが反応母液中に懸濁したものである。この懸濁液中の第二鉄濃度は0.038mol/l、pHは12.5であった。
【0041】得られた懸濁液は、8000rpmの高速回転翼による攪拌を10分間施した後、攪拌を停止し、80℃で164時間熟成を行った(ST4)。この熟成工程によりCo含有ゲーサイトウィスカーが生成した。 Co含有ゲーサイトウィスカー中のCo含有量すなわちCo/Fe比は22.0at%であった。
【0042】実験例3塩化第二鉄六水和物(FeCl2・6H2O)を蒸留水に溶解し、0.075mo1/1の塩化第二鉄溶液2500m1を用意した(ST1)。これとは別に、塩化コバルト六水和物(CoCl2・6H2O)0.0469molを蒸留水に溶解して80mlとし、塩化コバルト溶液を用意した(ST1)。
【0043】次に、両溶液を混合し、Co塩を含む塩化第二鉄溶液2580mlを調製した(ST1)。この混合溶液中のCo2+/Fe3+比は25.0at%であった。この混合溶液を攪拌しながら、別途用意(ST2)した0.469mol/lの水酸化ナトリウム溶液2050mlを滴下して混合し、更に0.094mol/1の水教化ナトリウム溶液400mlを滴下して混合し、懸濁液を調製した(ST3)。この懸濁液は、Co含有水酸化第二鉄コロイドや、微量の水分を内部に含むCo含有FeOOHコロイドが反応母液中に懸濁したものである。この懸濁液中の第二鉄濃度は0.037mol/l、pHは12.5であった。
【0044】得られた懸濁液は、8000rpmの高速回転翼による攪拌を10分間施した後、攪拌を停止し、80℃で164時間熟成を行った(ST4)。この熟成工程によりCo含有ゲーサイトウィスカーが生成した。 Co含有ゲーサイトウィスカー中のCo含有量すなわちCo/Fe比は27.0at%であった。
【0045】実験例4塩化第二鉄六水和物(FeCl2・6H2O)を蒸留水に溶解し、0.075mol/lの塩化第二鉄溶液2500mlを用意した(ST1)。これとは別に、塩化コバルト六水和物(CoCl2・6H2O)0.0188molを蒸留水に溶解して60mlとし、塩化コバルト溶液を用意した(ST1)。
【0046】次に、両溶液を混合し、Co塩を含む塩化第二鉄溶液2560mlを調製した(ST1)。この混合溶液中のCo2+/Fe3+比は10.0at%であった。この混合溶液を攪拌しながら、別途用意(ST2)した0.469mol/lの水酸化ナトリウム溶液1900mlを滴下して混合し、更に0.075mol/lの水酸化ナトリウム溶液400mlを滴下して混合し、懸濁液を調製した(ST4)。この懸濁液は、Co含有水酸化第二鉄コロイドや、微量の水分を内部に含むCo含有FeOOHコロイドが反応母液中に懸濁したものである。この懸濁液中の第二鉄濃度は0.039mol/l、pHは12.5であった。
【0047】得られた懸濁液は、8000rpmの高速回転翼による攪拌を10分間施した後、攪拌を停止し、80℃で164時間熟成を行った。この熟成工程によりCo含有針状ゲーサイト微粒子が生成した。Co含有針状ゲーサイト微粒子中のCo含有量すなわちCo/Fe比は10.6at%であった。
【0048】以上の実験例1乃至実験例4より得られたCo含有ゲーサイトウィスカー、あるいはCo含有針状ゲーサイト微粒子の製造条件を表1にまとめて示す。
【0049】
【表1】

【0050】また、以上の実験例1乃至実験例4により得られたCo含有ゲーサイトウィスカー、あるいはCo含有針状ゲーサイト微粒子の粉体特性を、表2にまとめて示す。なお、これらのうち粒子の形状、すなわち長軸、短軸ならびに軸比はTEM(透過型電子顕微鏡)写真から寸法測定して求めた。結晶子径は、Scherrer法によりゲーサイトの(110)面から求めた。
【0051】
【表2】

【0052】表2の結果から、実験例1乃至実験例3により得られるCo含有ゲーサイトウィスカーは長軸、短軸の粒子径が適切な範囲にあるとともに、軸比も適切な範囲内であることがわかる。これに対して、実験例4では、最終生成物中に含有されるCo/Fe比は10.6at%であるため、ゲーサイトウィスカーを得ることはできなかった。
【0053】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明に係るゲーサイトウィスカーは、長軸の累積平均径が1〜10μmであり、短軸の累積平均径が10〜30nmであり、長軸の累積平均径と短軸の累積平均径とから算出される軸比(長軸の累積平均径/短軸の累積平均径)が33以上といった全く新規なものである。
【0054】また、本発明に係るゲーサイトウィスカーは、金属含有量xが15<x≦30at%とするため、全く新規な形状となる。
【0055】さらに、本発明に係るゲーサイトウィスカーの製造方法では、ゲーサイトウィスカー中のCo、Ni、Cr並びにTiから選ばれる少なくとも一種の金属含有量xが15<x≦30at%の割合となるように懸濁液を作製し、この懸濁液を熟成させている。このため、本手法によれば、従来にない全く新規なゲーサイトウィスカーを製造することができる。




 

 


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