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発明の名称 制振性熱可塑性樹脂組成物および成形品
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−234083(P2001−234083A)
公開日 平成13年8月28日(2001.8.28)
出願番号 特願2000−374031(P2000−374031)
出願日 平成12年12月8日(2000.12.8)
代理人 【識別番号】100080609
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 正孝
発明者 小笠原 聡 / 荒川 宣之
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 (a)JIS K7198により40℃、18Hzにおいて測定した損失正接(tanδ)の値が0.01〜0.04であり、かつASTMD648により1.82MPa荷重下で測定した荷重たわみ温度が120℃以上である非晶性熱可塑性樹脂(A成分)50〜90重量%および(b)メチルメタアクリレート樹脂(B成分)50〜10重量%からなる熱可塑性樹脂組成物であって、この樹脂組成物から形成された成形品は、下記(1)〜(4)の物性を与える制振性熱可塑性樹脂組成物。
(1)損失係数(η)が0.04〜0.08であり、(2)ASTM D570により23℃かつ24時間水中浸漬の条件で測定した吸水率が0.30重量%以下であり、(3)JIS K7112により測定した比重が1.05〜1.3であり、かつ(4)ASTM D648により1.82MPa荷重下で測定した荷重たわみ温度が110〜170℃である。
【請求項2】 さらに板状充填材(C成分)が、A成分およびB成分の合計100重量部当り、5〜20重量部含有されている請求項1記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】 C成分がグラファイト充填材である請求項2記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】 さらにカーボンブラック(D成分)が、A成分およびB成分の合計100重量部当り、1〜15重量部含有されている請求項1または2記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】 A成分およびB成分の割合は、両者の合計を100重量%としたとき、A成分60〜85重量%およびB成分40〜15重量%である請求項1記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】 A成分は損失正接(tanδ)の値が0.012〜0.035である請求項1記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】 A成分は荷重たわみ温度が122℃以上である請求項1記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】 A成分が芳香族ポリカーボネート樹脂または環状ポリオレフィン樹脂である請求項1記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】 A成分が芳香族ポリカーボネート樹脂である請求項1記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】 A成分が(a)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(成分a)、および(b)4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールおよび2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンから選択される少なくとも1種の芳香族ジヒドロキシ成分(成分b)を芳香族ジヒドロキシ成分の全量100モル%のうち少なくとも80モル%とし、かつ成分aと成分bの割合がモル比で20:80〜80:20の芳香族ポリカーボネート樹脂である請求項1記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】 成分bが4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールである請求項10記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項12】 B成分は荷重たわみ温度が80℃以上である請求項1記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項13】 B成分はメチルメタアクリレート単位成分の含有割合が80重量%以上である請求項1記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項14】 C成分は平均粒径が10〜700μmの板状充填材である請求項2記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項15】 成形品として、損失係数(η)が0.05〜0.07の物性を与える請求項1記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項16】 成形品として、吸水率が0.20重量%以下の物性を与える請求項1記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項17】 成形品として、比重が1.05〜1.25の物性を与える請求項1記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項18】 成形品として、荷重たわみ温度が120〜160℃の物性を与える請求項1記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項19】 請求項1記載の樹脂組成物より形成された制振性成形品。
【請求項20】 請求項1記載の樹脂組成物より形成された制振性を有する高速回転体成形部材またはその支持部材。
【請求項21】 請求項1記載の樹脂組成物の、制振性を有する高速回転体成形部材またはその支持部材への使用。
【請求項22】 請求項1記載の樹脂組成物を、溶融成形し、制振性を有する高速回転体成形部材またはその支持部材を製造する方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制振性熱可塑性樹脂組成物および成形品に関する。さらに詳しくは熱可塑性樹脂が特定の非晶性熱可塑性樹脂、およびメチルメタクリレート樹脂からなり、寸法精度、剛性、耐熱性に優れ、かつ軽量であると共に、制振性に優れた熱可塑性樹脂組成物および成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年OA機器の情報の入力および読み取りの高速化に伴い、各種機構部品の剛性あるいは耐熱性向上のみならず、駆動系より生ずる振動源に対しての制振性をもたせるという要求も高くなっており、熱可塑性樹脂組成物およびそれからの成形品においても制振性の付与が要求されている。例えばCD−ROMの如き光学ディスクにおいては、いわゆる30倍速以上の高速回転が主流となりつつあり、この場合直接ディスクの回転に作用するターンテーブルおよびそれらを支持するシャーシ等に良好な制振性が要求されている。また光学式プリンターにおいても高速回転するポリゴンミラー、およびそれらを支持する光学ボックス等においても同様に良好な制振性の要求があり、プリント速度の高速化に伴いかかる要求も増加している。
【0003】しかしながら、通常、単独の熱可塑性樹脂では制振性が極めて乏しいためこれらのOA機器の高速化に対して制振性に不足するという問題がある。制振性の高い材料としてはゴム類を挙げることができるが、このような材料は剛性に欠けるため無機フィラー等を高充填する必要があり、結果として高比重となるため要求を満足しえない。高速回転のためには軽量であることも必要であり、また固有振動数がより高くなるなどの効果もある。また使用環境や内部機構部品の発熱による高温環境下に対応すべく、耐熱性も重要な要素である。このような高度の要求特性は、熱可塑性樹脂としてゴム類を使用した場合到底達成することはできない。
【0004】一方、ゴム類以外の制振性の高い樹脂としては全芳香族ポリエステル等の液晶ポリマーが知られているが、かかる樹脂は結晶性樹脂であると共に極めて強い異方性を示すため、成形品に反りが生じ易く高い寸法精度の要求される分野には十分に対応できない欠点がある。さらに寸法精度に関しては経時的な要素も重要であり、吸水率も低いことが望まれている。特開平9−40840号公報には、熱可塑性樹脂に制振性エラストマー、および特定のウイスカーを配合した高剛性かつ制振性に優れる樹脂組成物が提案されているが、かかる樹脂組成物は、上記に挙げた現在要求される制振性、低比重、成形品の低反り性等の全てを高いレベルで満足するものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、良好な制振性を有し、その上、寸法精度、剛性、耐熱性に優れ、かつ軽量である熱可塑性樹脂組成物および成形品を提供することにある。本発明者はこれら目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、特定の損失正接(tanδ)の値を有し、一定以上の荷重たわみ温度を有する非晶性の熱可塑性樹脂および、メチルメタクリレート樹脂を特定割合で混合した熱可塑性樹脂組成物が、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれば、(a)JIS K7198により40℃、18Hzにおいて測定した損失正接(tanδ)の値が0.01〜0.04であり、かつASTM D648により1.82MPa荷重下で測定した荷重たわみ温度が120℃以上である非晶性熱可塑性樹脂(A成分)50〜90重量%および(b)メチルメタアクリレート樹脂(B成分)50〜10重量%からなる熱可塑性樹脂組成物であって、この樹脂組成物から形成された成形品は、下記(1)〜(4)の物性を与える制振性熱可塑性樹脂組成物が提供される。
(1)損失係数が0.04〜0.08であり、(2)ASTM D570により23℃かつ24時間水中浸漬の条件で測定した吸水率が0.30重量%以下であり、(3)JIS K7112により測定した比重が1.05〜1.3であり、かつ(4)ASTM D648により1.82MPa荷重下で測定した荷重たわみ温度が110〜170℃である。
【0007】以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物およびその成形品についてさらに詳細に説明する。本発明のA成分として使用される熱可塑性樹脂は、非晶性の樹脂であり、かつJIS K7198により40℃、18Hzで測定した損失正接(tanδ)の値が0.01〜0.04のものである。tanδは好ましくは0.012〜0.035である。0.01未満では本発明の制振性熱可塑性樹脂組成物の制振性が十分ではなく、0.04を超えると寸法精度の面で好ましくない。また、A成分として使用される熱可塑性樹脂はASTM D648により1.82MPa荷重下で測定された荷重たわみ温度が120℃以上、好ましくは122℃以上である。これらの条件を満たす代表的な樹脂としては、かかる条件を満足する芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂または環状ポリオレフィン樹脂(例えばポリノルボルネン樹脂)から選択される。なかでも芳香族ポリカーボネート樹脂または環状ポリオレフィン樹脂が好ましく、芳香族ポリカーボネート樹脂が特に好ましい。これらは単独でも2種以上の混合物であってもよく、また同種の樹脂の場合であっても単独でも2種以上の混合物であってもよい。
【0008】本発明者の研究によれば、A成分として下記の特定の構造を有するビスフェノールを使用して得られた芳香族ポリカーボネート樹脂は、前記損失正接(tanδ)の値および荷重たわみ温度がいずれも好適範囲に満足するばかりではなく、さらに寸法精度、耐熱性および剛性が優れた樹脂組成物を得ることができ、特に好適な樹脂であることが見出された。すなわち、A成分として好適な芳香族ポリカーボネート樹脂は、下記式[1]で表される1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下ビスフェノールTMCと略称することがある)が芳香族ジヒドロキシ成分全量100モル%当たり、少なくとも20モル%の割合で構成されたポリカーボネート樹脂を挙げることができる。
【0009】
【化1】

【0010】すなわち、A成分として好ましい芳香族ポリカーボネート樹脂は、前記ビスフェノールTMCを芳香族ジヒドロキシ成分全量100モル%当たり少なくとも20モル%、好ましくは30〜80モル%使用するものである。このビスフェノールTMCの割合が20モル%以上の場合には、損失正接(tanδ)の値が高く制振性に優れると共に、吸水率も低くより高い寸法安定性の達成が可能となる。尚、ビスフェノールTMCが80モル%を超えた場合は吸水率が高くなる傾向があるので、ビスフェノールTMCの割合がこのように高い場合には、後述するように特定の末端基改質剤で末端を変性することが望ましい。
【0011】前記芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ成分として前記ビスフェノールTMCを一定割合使用することが好ましいものであるが、所望の特性、殊に吸水率を0.2重量%以下、好ましくは0.15重量%以下とするために、大別して2つの手段が採用される。その1つは、前記ビスフェノールTMCに対して特定のジヒドロキシ成分を組合わせて共重合ポリカーボネート樹脂とすることであり、他の手段は末端基に特定構造の末端改質剤を導入することである。これら2つの手段はそれぞれ単独でもよく、また組合わせてもよい。
【0012】本発明者の研究によれば、前記ビスフェノールTMCに対して、特定のジヒドロキシ成分を組合わせて得られた共重合ポリカーボネート樹脂は、制振性熱可塑性樹脂組成物のA成分として特に適していることが見出された。すなわち、共重合ポリカーボネート樹脂は、(a)ビスフェノールTMC(成分a)および下記式[2]に示される(b)4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下ビスフェノールMと略称することがある)および下記式[3]に示される2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールCと略称することがある)から選択される少なくとも1種の芳香族ジヒドロキシ成分)(成分b)を芳香族ジヒドロキシ成分の全量100モル%のうち少なくとも80モル%とし、かつ成分aと成分bとの割合がモル比で、20:80〜80:20である共重合ポリカーボネート樹脂が本発明のA成分として特に好ましい。
【0013】
【化2】

【0014】前記共重合ポリカーボネート樹脂の好ましい態様の1つは、成分aがビスフェノールTMCであり、かつ成分bがビスフェノールMである組合せであり、その場合ビスフェノールTMC:ビスフェノールMの割合がモル比で、30:70〜80:20の範囲のものであり、特に40:60〜70:30の範囲であるものが一層好ましい。また好ましい他の態様は、成分aがビスフェノールTMCであり、かつ成分bがビスフェノールCの組合せであり、その場合ビスフェノールTMC:ビスフェノールCの割合がモル比で、30:70〜80:20の範囲のものであり、特に40:60〜70:30の範囲であるものがより好ましい。
【0015】これら好ましい態様において、成分aと成分bの合計は、芳香族ジヒドロキシ成分の全量100モル%中、少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モル%であるのが有利であり、典型的には、成分aおよび成分bによって実質的に形成された共重合ポリカーボネート樹脂であるのが望ましい。一方、本発明においてA成分として好ましく使用される芳香族ポリカーボネート樹脂においては、上記成分aおよび成分bが芳香族ジヒドロキシ成分の全量100モル%中少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モル%を占めることが望ましいが、他のジヒドロキシ成分(成分c)を芳香族ジヒドロキシ成分の全量100モル%中20モル%以下、好ましくは10モル%以下含有していてもよい。
【0016】かかる成分cとしては、通常芳香族ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されている、上記成分aおよび成分b以外の成分であればよく、例えばハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサンが挙げられる。
【0017】また芳香族ポリカーボネート樹脂は、さらに三官能以上の多官能性芳香族化合物を含むことにより、または重合時の異性化反応の結果として、分岐成分を重合体中に含有するものであってもよい。三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0018】本発明のA成分として用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲンや炭酸ジエステル等のカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
【0019】溶液法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0020】また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類としては、一般にはフェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式[4]で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0021】
【化3】

【0022】(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。)
上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
【0023】また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類も示すことができる。これらのなかでは、下記一般式[5]および[6]で表される長鎖のアルキル基を置換基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0024】
【化4】

【0025】(式中、Xは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。)
かかる一般式[5]の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。
【0026】また、一般式[6]の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。
【0027】末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好ましくは少くとも10モル%末端に導入されることが望ましい。より好ましくは全末端に対して末端停止剤が80モル%以上導入されること、すなわち2価フェノールに由来する末端の水酸基(OH基)が20モル%以下であることがより好ましく、特に好ましくは全末端に対して末端停止剤が90モル%以上導入されること、すなわちOH基が10モル%以下の場合である。また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0028】溶融法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を1333〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0029】カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0030】また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4当量の範囲で選ばれる。
【0031】また、かかる重合反応において、フェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニルフェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネート、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることが好ましい。なかでも2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく使用される。
【0032】ポリカーボネート樹脂の分子量は、本発明の制振性熱可塑性樹脂組成物中におけるメチルメタクリレート樹脂(B成分)の相分離構造または層構造の観点から、粘度平均分子量(M)で10,000〜50,000であり、13,000〜30,000が好ましく、特に好ましくは13,500〜25,000である。ここでいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηSP)を次式に挿入して求めたものである。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83c=0.7粘度平均分子量が10,000未満の場合には強度が不十分となり、50,000を超える場合には、メチルメタクリレート樹脂(B成分)の分散が不十分となり、制振性に有効な層構造が十分に形成されない。
【0033】原料ポリカーボネート樹脂は、従来公知の常法(溶液重合法、溶融重合法など)により製造した後、溶液状態において精密濾過処理をしたり、造粒(脱溶媒)後の粒状原料を例えば加熱条件下でアセトンなどの貧溶媒で洗浄したりして低分子量成分や未反応成分等の不純物や異物を除去することが好ましい。ペレット状ポリカーボネート樹脂を得る押出工程(ペレット化工程)では溶融状態の時に濾過精度10μmの焼結金属フィルターを通すなどして異物を除去したりすることが好ましい。必要により、例えばリン系等の酸化防止剤などの添加剤を加えることも好ましい。いずれにしても耐湿熱性を良好にするために原料樹脂は、異物、不純物、溶媒などの含有量を極力低くしておくことが必要である。
【0034】本発明の樹脂組成物においてB成分として使用されるメチルメタクリレート樹脂とは、メチルメタクリレートを主成分とするモノマーから得られたものであり、メチルメタクリレート単独の重合体、もしくはその共重合体である。かかる共重合体の共重合成分としてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル、またはエチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステルおよびそれらの共重合体が挙げられ、1種または2種以上用いてもよい。
【0035】かかるメチルメタクリレート樹脂(B成分)におけるメチルメタクリレート成分の割合としては、メチルメタクリレート樹脂100重量%中、80重量%以上の割合が好ましく、より好ましくは90重量%以上の割合含有するものである。さらに共重合成分としてはメチルアクリレート成分がより好ましく使用できる。さらにかかるメチルメタクリレート樹脂は、好ましくはASTM D648により1.82MPa荷重下で測定した荷重たわみ温度が80℃以上であることが好ましい。かかる荷重たわみ温度を満足する場合には、制振性と耐熱性のバランスがより良好な制振性熱可塑性樹脂組成物の達成が可能となる。
【0036】本発明のB成分としては、さらにアクリル弾性体を含有したメチルメタクリレート系樹脂組成物を使用することもできる。この場合、組成物中のアクリル弾性体の含有率は、50重量%以下、好ましくは40重量%以下であることが望ましい。ここでアクリル弾性体とは、アクリレートゴム成分を必須成分とし、かかるゴム成分と共に、メチルメタクリレート、アルキル基の炭素数が1〜8であるアルキルアクリレート、スチレンおよびさらに必要に応じてそれらと共重合可能なビニル単量体を共重合成分として含有するものである。かかるアクリル弾性体におけるメチルメタクリレートの量は、該弾性体100重量%中15〜65重量%である。スチレンにおいては、メチルメタクリレート系樹脂の制振性をより高める点で構成成分に含まれることが好ましい。
【0037】本発明でいうアクリレートゴムとは炭素数が2〜10のアルキルアクリレートを含有するものであり、さらに必要に応じてその他の共重合可能な成分として、スチレン、メチルメタクリレート、ブタジエンを含有するものである。炭素数が2〜10のアルキルアクリレートとして好ましくは2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートが挙げられ、かかるアルキルアクリレートはアクリレートゴム100重量%中50重量%以上含まれるものが好ましい。さらにかかるアクリレートゴムは少なくとも部分的に架橋されており、かかる架橋剤としては、エチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート等を挙げることができ、かかる架橋剤はアクリレートゴムに対して0.01〜3重量%使用されることが好ましい。
【0038】アクリル弾性体は通常好ましい形態として、アクリレートゴム成分、メチルメタクリレート、アルキル基の炭素数が1〜8であるアルキルアクリレート、スチレンおよびさらに必要に応じてそれらと共重合可能なビニル単量体を多段重合したコア・シェル構造体および多層構造体であるものが挙げられる。さらにかかるアクリル弾性体は塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、溶液重合または乳化重合のような任意の既知の方法によって作成することができ、また多段重合に際してグラフトベース上にグラフトされない生成物を含んでいてもよい。かかるアクリル弾性体としては、メチルメタクリレート樹脂にかかるアクリル弾性体を10重量%配合した樹脂組成物から形成された厚み2mmの板状成形品における23℃、相対湿度50%雰囲気中での全光線透過率が85%以上となるアクリル弾性体を好ましく使用することができる、さらに好ましくは全光線透過率が85%以上かつ同条件下で測定されるヘーズ値が7%以下であるアクリル弾性体である。
【0039】かかるアクリル弾性体を含有するメチルメタクリレート樹脂として好ましいものとしては、旭化成工業(株)よりのデルペットSRシリーズ、三菱レイヨン(株)よりのアクリペットIRシリーズ、住友化学工業(株)よりのスミペックスB−HTシリーズ等の市販品が具体例として挙げられる。本発明の制振性熱可塑性樹脂組成物において前記A成分とB成分の割合は、次のとおりである。該樹脂組成物中、A成分とB成分の合計を100重量%としたとき、A成分が50〜90重量%かつB成分が50〜10重量%であり、好ましくはA成分が60〜85重量%かつB成分が40〜15重量%である。より好ましくは65〜80重量%かつB成分が35〜20重量%である。B成分の割合が10重量%より少なくなると、制振性が不十分となり、一方50重量%を超えると、耐熱性が低下するようになる。
【0040】さらに本発明の熱可塑性樹脂組成物は上記A成分およびB成分からなるものを主体とするものであるが、この樹脂組成物から形成された成形品はさらに以下の各種特性を満足するものである。本発明の制振性熱可塑性樹脂組成物はそれからの成形品が、JIS K7198によって測定した40℃、18Hz測定時の損失正接(tanδ)の値が0.04〜0.08であり、好ましくは0.05〜0.07であることが必要である。0.04未満では制振性が不十分であり0.08を超えるものは寸法精度が不十分となりやすい。
【0041】本発明の制振性熱可塑性樹脂組成物はそれからの成形品が、ASTM D570により23℃、24時間水中浸漬の条件で測定した吸水率が0.30重量%以下、好ましくは0.20重量%以下であることが必要である。吸水率が0.30重量%を超える場合には良好な寸法精度が達成されない。尚、本発明のA成分が芳香族ポリカーボネート樹脂の場合、かかる下限値の目安として0.08重量%の値を挙げることができる。本発明の制振性熱可塑性樹脂組成物はそれからの成形品が、JIS K7112によって測定した比重が1.05〜1.3、好ましくは1.05〜1.25、より好ましくは1.10〜1.20であることが必要である。比重が1.25を超える場合には要求される軽量性を満足しない。
【0042】さらに本発明の制振性熱可塑性樹脂組成物はそれからの成形品が、ASTMD648により1.82MPa荷重下で測定された荷重たわみ温度が110〜170℃、好ましくは120〜160℃であることが必要とされる。110℃未満の場合には耐熱性が十分でなく、170℃を超える場合には成形加工時に高温が必要となり本発明のB成分の熱劣化を生じ易くなるため好ましくない。本発明においては、剛性および制振性向上を目的としてさらに板状充填材(C成分)を添加することが可能である。C成分としての板状充填材としては、ガラスフレーク、マイカ、タルク、金属フレーク、グラファイト系充填材などを挙げることができる。かかる板状充填材の平均粒子径は10〜700μmが好ましく、より好ましくは10〜600μm、さらに10〜400μmのものがより好ましい。かかる平均粒子径は、標準ふるい法により、標準網ふるいを使用して求められる粒度の重量分布のメジアン径として算出されるものである。平均粒子径がかかる範囲の場合には、より良好な制振性、剛性、成形品表面外観を得ることが可能となる。
【0043】かかる本発明のC成分の中でも、低比重性および制振性の観点からグラファィト充填材をより好ましく使用することができる。グラファイト充填材は、天然に産する土状黒鉛や鱗片状黒鉛が使用されるほか、石炭、石油、コークス等から得られる非結晶質炭素を加熱により結晶化した人造黒鉛も使用される。本グラファイトの平均粒径に関しては10〜600μmが好ましく、10〜400μmがより好ましい。C成分の添加量はA成分およびB成分の合計100重量部に対し5〜20重量部が適当である。かかる範囲においては、より良好な制振性、剛性、および低比重をより高いレベルで達成することが可能なる。本発明の制振性熱可塑性樹脂組成物には、帯電防止性能を付与するためにカーボンブラックをさらに配合することができる。好ましいカーボンブラックは導電性のカーボンブラックである。カーボンブラックは、A成分およびB成分の合計100重量部当り1〜15重量部、好ましくは2〜13重量部配合することができる。
【0044】本発明の制振性熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じてリン含有熱安定剤を加えることができる。。リン含有熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等の亜リン酸エステル化合物、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート等のリン酸エステル化合物、さらにその他のリン含有熱安定剤として、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−ビフェニレンホスホナイト等の亜ホスホン酸エステル化合物等を挙げることができる。これらのうち、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェート、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−ビフェニレンホスホナイトが好ましい。これらの熱安定剤は、単独でもしくは2種以上混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の配合量は、A成分およびB成分の合計100重量部に対して0.0001〜0.5重量部が好ましく、0.0005〜0.2重量部がより好ましく、0.002〜0.2重量部がさらに好ましい。
【0045】本発明の制振性熱可塑性樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添加することができる。その例としてはフェノール系酸化防止剤を示すことができ、具体的には例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の配合量は、A成分およびB成分の合計100重量部に対して0.0001〜0.5重量部が好ましい。
【0046】さらに本発明の樹脂組成物には紫外線吸収剤を添加することができる。その紫外線吸収剤としては、例えば2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンに代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤、および例えば2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールおよび2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールに代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が例示される。さらにビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等に代表されるヒンダードアミン系の光安定剤も使用することが可能である。かかる紫外線吸収剤および光安定剤の配合量は、それぞれA成分およびB成分の合計100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。
【0047】さらに本発明の制振性熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて多価アルコールの高級脂肪酸エステルを加えることもできる。この高級脂肪酸エステルを加えることによって、熱可塑性樹脂の熱安定性が向上し、成形時の樹脂の流動性が良くなり、さらに成形後の金型からの基板の離型性が改良される。かかる高級脂肪酸エステルとしては、炭素数2〜5の多価アルコールと炭素数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステル、または全エステルであるのが好ましい。この多価アルコールとしては、グリコール類、グリセロールまたはペンタエリスリトールが挙げられる。前記高級脂肪族酸エステルは、本発明のA成分およびB成分の合計100重量部に対して、0.005〜2重量部の範囲、好ましくは0.02〜0.1重量部の範囲で添加されるのが適当である。0.005〜2重量部の範囲とすることにより金型汚れを生ずることなく上記に挙げた効果を得ることが可能となる。
【0048】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、さらにガラス繊維、炭素繊維、ミルドファイバー、ワラストナイト、ウイスカー、カーボンブラック、シリカ粒子、酸化チタン粒子およびアルミナ粒子等の無機充填材;アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリベンズチアゾール繊維およびアラミドパウダー等の耐熱有機系充填剤;ハロゲン含有難燃剤;リン酸エステル化合物、リン酸エステルオリゴマーおよび赤リン等のリン含有難燃剤;シリコーン含有難燃剤;フィブリル化フッ素樹脂等のドリップ防止剤;シリコーン化合物、フッ素化合物およびポリオレフィンワックス等の摺動剤;さらに着色剤、帯電防止剤、流動改質剤等の他の添加剤を本発明の特性を損なわない範囲で加えることができる。また、他の熱可塑性樹脂を本発明の目的を損なわない範囲で少割合添加することもできる。
【0049】本発明の制振性熱可塑性樹脂組成物は、上記A成分、B成分および任意に各成分をタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混練機により混合して製造することができ、より好ましくは押出機、特に2軸押出機により溶融混練して組成物を製造する場合である。かくして得られた制振性熱可塑性樹脂組成物は、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形等に適用して、寸法精度、剛性、耐熱性に優れ、かつ軽量であると共に、制振性に優れたOA機器等の部材を得ることが可能である。
【0050】この場合特に射出成形による製造が好ましく、かかる場合通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ランナーレスを可能とするホットランナーによって製造することも可能である。また射出成形においても、通常の成形方法だけでなくガスアシスト射出成形、射出圧縮成形、超高速射出成形、二色成形、インサート成形、インモールドコーティング成形、サンドイッチ成形等の各種成形法を使用することができる。また各種複合成形法により積層構造を有する成形体の内層また外層として使用することにより、かかる制振性をより効果的に発揮することも可能である。
【0051】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明をさらに説明する。なお実施例中の部は重量部であり、%は重量%である。
【0052】実施例1〜15および比較例1〜8表1、表2および表3に記載の各成分をV型ブレンダーにて均一に混合後、30mmφベント式二軸押出機[(株)神戸製鋼所製HYPER KTX−30XST]にて真空ポンプを使用し1333Paの真空下において、シリンダー温度260℃で溶融押出してペレット化した。得られたペレットを110℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[住友重機械工業(株)製SG150U型]によりシリンダー温度270℃、金型温度80℃で下記評価用の試験片を成形し、以下の評価方法で評価を行った。
【0053】(I)制振性熱可塑性樹脂組成物からの成形品の物理的特性■ 吸水率:ASTM D570に従い、23℃、24時間水中浸漬の条件下で測定した。
■ 比重:JIS K7112に従って測定した。
■ 曲げ弾性率:ASTM D790に従って23℃において測定した。
■ 荷重たわみ温度:ASTM D648に従って、荷重1.82MPaにて測定した。
■ 成形収縮率:縦100mm×横50mm×厚さ4mmの角板成形用の金型を用い、かかる成形後の角板成形品を、荷重を掛けない自然状態において23℃、50%RHで24時間放置した後、かかる角板成形品の流れ方向とそれと直角方向の寸法を3次元測定器(ミツトヨ製)で測定し、さらに対応する箇所の金型寸法の測定結果から成形収縮率を求めた。
【0054】(II)制振性熱可塑性樹脂組成物成形品の損失正接(tanδ)および損失係数■損失正接(tanδ):JIS K7198に従って、40℃、18Hzの条件下におけるtanδを測定した。測定はレオメトリック社製RSA−II粘弾性測定機を使用し、厚み0.8mm、幅2mm、試験片約35mm(チャック間距離)の試験片条件で行った。A成分の損失正接(tanδ)の測定も同様の条件で行った。
■損失係数(η):長さ80mm、幅13mm、厚み1.2mmの短冊状試験片を上記機械特性用試験片と同条件にて射出成形したものを、複素弾性係数測定装置(ブリュエル&ケア社製3560型マルチアナライザーシステム使用、松下インターテクノ社製)にて40℃での損失係数を片持ち梁法にて測定した。尚、本発明の実施例における各共振周波数のおよその周波数は、2次共振周波数が約200〜400Hzの範囲であり、3次が700〜1000Hz、および4次が1400〜2200Hzの範囲である。
【0055】表1、表2および表3における樹脂成分および無機充填材の記号は下記のものを意味する。
PC1:全芳香族ジヒドロキシ成分のうち、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン[ビスフェノールTMC]が45モル%、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール[ビスフェノールM]が55モル%であり、p−tert−ブチルフェノールを末端停止剤として使用し、ホスゲン法により得られた粘度平均分子量15,000の芳香族ポリカーボネート共重合体PC2:芳香族ジヒドロキシ成分がすべて2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]であり、末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノールを末端停止剤として使用し、ホスゲン法により得られた粘度平均分子量15,200の芳香族ポリカーボネート樹脂PO:環状ポリオレフィン樹脂[日本ゼオン(株)製「ゼオネックス E48R」]
PAR:非晶性ポリアリレート樹脂[ユニチカ(株)製 「Uポリマー U−8000」]
ACRY1:メタクリル酸メチル・アクリル酸メチル共重合体(メタクリル酸メチル成分を90重量%以上含有する)
[旭化成工業(株)製デルペット80N、JIS K7210(条件:280℃、21.18N)により測定されるMFR値=22.3g/10分]
ACRY2:メタクリル酸メチル・アクリル酸メチル共重合体とメタクリル酸メチル・アクリル酸ブチル・スチレン共重合体の混合物[旭化成工業(株)製デルペットSR−8500]
(C成分)
グラファイト1:天然黒鉛(日本板硝子(株)製「鱗状黒鉛(5098)」、平均粒径350μm)
グラファイト2:天然黒鉛(日本板硝子(株)製「鱗状黒鉛(20085)」、平均粒径35μm)(D成分)
カーボンブラック:アセチレンブラック[電気化学工業(株)製「デンカブラック」]
(その他の成分)
安定剤:トリメチルホスフェート[大八化学(株)製TMP]
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】これらの表1〜3から芳香族ポリカーボネート樹脂単独での比較(比較例1、2)をみると、実施例として使用されている本発明のA成分であるビスフェノールTMCおよびビスフェノールMの共重合体からなる芳香族ポリカーボネート樹脂がビスフェノールA単独からなる芳香族ポリカーボネート樹脂と比較して制振性が高い上に、低比重、低吸水率、高い曲げ弾性率を示す。このことからも分かるように、実施例1および比較例7の比較をみると、ビスフェノールTMCおよびビスフェノールMの共重合体からなる芳香族ポリカーボネートを用い、メチルメタクリレート系樹脂(B成分)、さらに板状充填材(C成分)を添加することにより損失正接(tanδ)や損失係数が高くなっていることが分かる。また、これらの添加量が多くなるにつれ、より制振性が高くなることが分かる。また、実施例7、8のようにA成分として芳香族ポリカーボネート樹脂に環状ポリオレフィンまたはポリアリレートを組合せて使用しても高い制振性をもつことがわかる。
【0060】さらに実施例13〜15から、A成分として環状ポリオレフィン樹脂を使用した場合にも制振性の優れた成形品が得られることがわかる。
【0061】
【発明の効果】本発明の制振性熱可塑性樹脂組成物から形成された成形品は、寸法精度、剛性、耐熱性に優れ、かつ軽量であると共に、制振性に優れており、電子・電機・情報機器分野、自動車分野、機械部品分野等の各種分野において有用であり、特にこれらの特性が高いレベルで要求される高速回転物(例えば各種光ディスクのターンテーブル、光学プリンターにおけるポリゴンミラーおよびその支持ボックスなど)の他に、光ディスクのターンテーブルおよびそれを含んだ精密機械部品として使用される。またOA機器等の電子・電機・情報機器分野において有用であり、その奏する工業的効果は極めて大である。




 

 


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