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発明の名称 熱転写記録液
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−207094(P2001−207094A)
公開日 平成13年7月31日(2001.7.31)
出願番号 特願2000−21837(P2000−21837)
出願日 平成12年1月26日(2000.1.26)
代理人 【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃 (外2名)
【テーマコード(参考)】
2C056
2H086
2H111
4J039
【Fターム(参考)】
2C056 EA06 FC01 
2H086 BA03 BA59
2H111 AA25 AA32 BA55
4J039 BE02 BE04 BE07 BE08 BE12 CA04 CA07 EA42 FA01 FA02 GA06
発明者 伊東 謙吾 / 中村 吉徳 / 田中 康大
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 凹凸構造を有するインク転写部に毛管現象によって保持されたインクを、記録する情報に応じて加熱手段により加熱することによって、上記インクを被転写体に向けて飛翔させて、上記被転写体に情報を記録するプリンタに用いられ、N−メチル−2−ピロリドンを含有することを特徴とする熱転写記録液。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印画紙等の被転写体に文字や画像等の情報を記録するための記録装置に用いられる熱転写記録液に関し、特に、インク飛翔部に保持されたインクを加熱手段により加熱することによりインクを飛翔させ記録を行う記録装置に用いられる熱転写記録液に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、個人あるいはスモールオフィス・ホームオフィスと呼ばれる小規模なオフィス向けプリンタに対するカラー化のニーズが急激な高まりを見せている。これに対応して、昇華型熱転写方式、溶融熱転写方式、オンデマンド型インクジェット方式、電子写真方式、などのカラーハードコピー方式が提案されている。
【0003】しかし、上記用途向けプリンタに要求される項目、すなわち銀塩写真並の画像品位を満足し、かつ、例えばA6サイズの画像を10秒以内に出力し(6ppm以上)、かつ、ランニングコストが銀塩写真以下で、かつ、装置コストが10万円以内、など、上記の要求を全て満たすプリンタは未だ実現されていない。
【0004】そこで、上記のような要求を満たすプリンタの実現のために、種々の新しい方式のカラーハードコピーが提案されている。その一つに、例えば、特開平9−183239号公報や特開平9−183246号公報に記載されるような熱転写記録方式が提案されている。
【0005】この方式では、プリンタヘッドの転写部においてインクを加熱して、インクを気体状及び/又は直径が20μm以下の微小液滴として飛翔させ、それを、例えば、10〜300μm程度のギャップを介して対向配置されたプリンタ用紙等の被転写体表面に付着させて転写を行う。
【0006】転写部には、例えば、幅又は径が2μm程度、高さ6μm程度の多数の柱状体を互いに2μm程度の微小間隔で立設配置した凹凸構造によるインク保持構造が設けられ、このインク保持構造の下にヒータが設けられて、転写部が構成されている。
【0007】このようなインク保持構造を転写部に設けることにより、次のような効果が得られる。すなわち、(1)毛管現象によりインクが自発的に転写部に供給される。
【0008】(2)大きな表面積により、インクを効率的に加熱することができる。
【0009】(3)柱状体の高さを適宜に設定することにより、常に所定量のインクを転写部に保持させることができる。
【0010】(4)液体の表面張力は一般に負の温度係数をもつので、局所的に加熱されたインクは、温度の低い外周部へ向かう力を受けるが、インク保持構造によりその移動が最小限に抑制されて、転写感度の低下が防止される。
【0011】したがって、このようなインク保持構造を設けることにより、転写部での加熱に応じた量のインクを飛翔させて、プリンタ用紙等に転写することができ、インク転写量の連続的な制御、すなわち、画素内での濃度階調が可能となる。この結果、例えば、銀塩カラー写真に匹敵する高品位の画像を得ることができる。
【0012】また、インクリボン等を使用する必要がないので、ランニングコストが低く、さらに、普通紙に対し吸収性の良いインクを用いること、又は、普通紙にインク受容層をコーティングすることで普通紙と同等の非常に安価な記録紙への転写も可能となるので、ランニングコストも低くてすむ。
【0013】また、この方式は、インク、すなわち、熱転写記録液への熱的作用による飛翔を利用したものであるため、インクを加熱するプリンタヘッドの転写部をプリンタ用紙等の被転写体に高い圧力で押し付けることは勿論、接触させる必要もなく、したがって、他の熱転写方式では往々にして起こり得た、インクリボン等のインク加熱部とプリンタ用紙等との熱融着の問題も発生しない。
【0014】すなわち、この熱転写記録方式は、既述した染料拡散熱転写方式と同様、プリンタの小型化、軽量化及び保守容易性、即時性、並びに、画像の高品位性等の特徴を備えた上に、インクリボン等の不使用による廃棄物の低減及びランニングコストの低下を達減でき、さらには、低消費電力及び普通紙使用による低コスト化も可能である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したような熱転写記録方式においては、ハードとともにそれに使用されるインク及び印画紙の開発も進められている。
【0016】そして、熱転写記録方式に用いられる熱転写記録液、すなわちインクの染料は、特開平9−183239号公報や特開平9−183246号公報においては、(1)所定の沸点をもっている(2)必要十分な濃度がとりやすいという利点を有することから、油溶性染料、特に分散染料が好ましいと記されている。
【0017】しかし、上述した公報に記載されたインクを用いた場合には、必要十分な印画濃度を得るために、印画時に多くのエネルギー、すなわち電力を必要としていた。
【0018】したがって、本発明は、従来の実情に鑑みて創案されたものであり、凹凸構造を有するインク転写部に毛管現象によって保持されたインクを、記録する情報に応じて加熱手段により加熱することによって、インクを被転写体に向けて飛翔させて、被転写体に情報を記録する記録方法において、低電力で優れた印画濃度を有する印画を実現するのが目的である。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明に係る熱転写記録液は、凹凸構造を有するインク転写部に毛管現象によって保持されたインクを、記録する情報に応じて加熱手段により加熱することによって、インクを被転写体に向けて飛翔させて、被転写体に情報を記録する熱転写記録方式のプリンタに用いられ、N−メチル−2−ピロリドンを含有することを特徴とするものである。
【0020】本発明に係る熱転写記録液は、N−メチル−2−ピロリドンを含有しているため、熱転写記録方式の記録装置に用いて印画を行った際、印画濃度が濃いものとなる。
【0021】また、本発明に係る熱転写記録液は、N−メチル−2−ピロリドンを含有しているため、印画時のプリンタヘッドへの印加のエネルギーが低減される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る熱転写記録液について説明する。
【0023】本発明に係る熱転写記録液は、ベースプレート上に配設されたヒータチップと、ヒータチップに形成された加熱手段と、ヒータチップ上にヒータチップの長手方向にわたって1列以上のライン状に配設された凹凸構造を有する転写部とを備え、転写部に毛管現象によって保持されたインクを、記録する情報に応じて加熱手段により加熱することによってインクを気体状及び/又は液体状で被転写体に向けて飛翔させて被転写体に情報を転写する、いわゆる熱転写記録方式のプリンタに用いられるものである。すなわち、本発明に係る熱転写記録液は、熱転写記録方式のプリンタヘッドに収容されて用いられる。ここで、前記「飛翔」とは、加熱手段(例えばヒータ等)の加熱によって、気化、蒸発、インクの対流(インク液面の表面張力の不均一に起因するもの、インクを構成する成分の沸騰によるインクの体積膨張に起因するもの、インク内の溶存空気の加熱による膨張又は膨張とはれるに起因するもの、インクの熱膨張によるもの、ヒータ又は毛管構造の熱膨張に起因するもの)によって、インクを飛翔させることを含む意味である。
【0024】まず、熱転写記録方式に用いられるプリンタヘッドについて説明する。
【0025】図1に、熱転写記録方式に用いられるプリンタヘッドの断面図を、図2に斜視図を、図3に平面図を、図4に後述するカバーを外した状態の平面図を示す。
【0026】プリンタヘッド1は、図1〜図4に示すように、ヒートシンクを兼ねたアルミ製のベースプレート2、画像情報に応じてヒー夕により加熱される転写部とその転写部へ毛細管作用により熱転写記録液を導く熱転写記録液導入路とが一体的に形成されたヒータチップ3、ポッティングレジン4で覆われたドライバIC5を実装し、転写する画像データに合わせて各ヒータに電流を供給するように配線が形成されたプリント基板6、及びドライバIC5の保護と熱転写記録液の供給路を兼ねたカバー7により構成されている。
【0027】ここで、ベースプレート2には、熱転写記録液をプリンタヘッド1内に導入するための熱転写記録液導入孔8と、ヒータチップ3をベースプレート2に貼着する際にはみ出す余分な接着剤の逃げ場となる溝9が形成されている。また、カバー7の内部は、ヒータチップ3の熱転写記録液導入路に熱転写記録液を供給するための熱転写記録液供給路10となっている。また、プリント基板6には、コネクタ用端子11が設けられている。
【0028】ヒータチップ3の表面は、保護のためにNiシート13で覆われており、その内側には熱転写記録液導入路を形成するためのシートレジスト14がライン状に形成されている。
【0029】また、ヒータチップ3には、熱転写記録液を加熱するための複数のヒータと各ヒータにそれぞれ画像信号に基づいた信号電圧を印加し通電するための配線及び各ヒータに熱転写記録液を供給するための熱転写記録液導入路がリソグラフィープロセスにより形成されている。
【0030】すなわち、図5に示すように、例えば、ピッチLp=84.7μmでヒータ15が合計で256個の形成される。このとき1個のヒータ15が1ドットを転写するので300DPIの解像度を実現できる。個々のヒータ15は20μm×20μmの大きさのポリシリコンによって形成される。そして、ヒータ15には画像信号に基づいた信号電圧を印加し通電するためのアルミニウム製の個別電極16と共通電極17とが接続されている。ここで、転写部18は、隔壁19により互いに隔てられており、熱転写記録液収容部20である隔壁19に囲まれた凹部に熱転写記録液が収容される。また、ヒータ15上及びその周囲には保護膜であるSiO2(図示せず)を介して直径2μm、間隔2μm、高さ6μmの微細な円柱状の小柱体21が13×13本の群をなして転写部18の構成要素の一つとして設けられている。
【0031】この小柱体21の高さは、熱転写記録液収容部20の底面からその上面に至るまでの高さ、すなわち、ヒータ15毎の熱転写記録液収容部20を取り囲む隔壁19の高さと同じ高さとなるように設けられており、しかも各小柱体21は多孔質構造となるように互いに微小間隙をもって設けられている。したがって、多孔質構造が毛細管作用を生じ、毛細管作用により各小柱体21は、熱転写記録液収容部20内で記録液を保持することができる。また、ヒータ15により熱転写記録液を加熱した場合には、熱転写記録液の温度上昇に伴って熱転写記録液の表面張力が低下するが、前述の毛細管作用により熱転写記録液がヒータ15の表面付近から逃げることを防止することができる。これにより、画像転写の際には転写に必要な記録液が連続的に供給されることとなる。
【0032】プリンタヘッド1は、図1に示すように、被転写体である印画紙12に対してベースプレートの一端2aのみで接触する。そして、ベースプレート2と被転写体12とが所定の角度をなすように保持されている。これにより、転写部18と被転写体12との間隔を一定に保つことができる。
【0033】例えば、図1において1点鎖線で示した転写部18のヒータ15のセンター位置が、被転写体12に接触するベースプレート端部2aから1.85mm離れた位置となるように設定する。そして、ヒータチップ3とベースプレート2との間の接着層の厚さを10μmとし、0.4mm厚のヒータチップ3上に形成されたヒータ15と被転写体12との距離を50μmとするようにベースプレート2と被転写体12とのなす角を14°に保持する。
【0034】このように、ベースプレート端部2aからヒータ15のセンター位置までの距離と、被転写体12とベースプレート2とのなす角度とを適宜変化させることにより、ヒータ15と被転写体12との間を任意の距離に設定することができる。
【0035】図6は、シリアル型プリンタのプリンタヘッドの使用状態を概略的に示した斜視図である。シリアル型プリンタには、プリンタヘッド1と、紙送りローラ22と、ヘッド送り軸23とが備えられている。
【0036】プリンタヘッド1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色毎に前述したようなプリンタヘッド1Y、1M及び1Cが構成される。また、各プリンタヘッドは、フレキシブルハーネスを介してヘッド駆動回路基板(図示せず)に接続されている。
【0037】紙送りローラ22は、X方向に回転自在に設けられており、紙送りローラ22の表面で被転写体12に接触し、その回転力により被転写体をX方向に搬送する。ヘッド送り軸23は、モータ(図示せず)により回転自在に設けられている。そして、紙送りローラ22は、画像情報に応じたモータの駆動により回転し、その駆動力によりプリンタヘッド1をスキャンさせる構成とされている。また、転写時には、X方向での紙送りと、Y方向のプリンタヘッドスキャンとを交互に行うように設定されている。
【0038】各プリンタヘッド1Y、1M及び1Cにはそれぞれ256個のヒータ15が設けられているので、このシリアル型プリンタは、1回のスキャンで256ライン分の印画を行う性能を有する。そして、1回のスキャンが終了した時点で、ヘッド支えを兼ねた紙送りローラ22でプラテン24上の被転写体12を256ライン分送り、各色のヘッド1Y、1M及び1Cがである印画紙上の所定の位置から印画を開始するように1色毎に順次タイミングを変えて印画を開始できるので、1回のスキャンでカラー画像を印画することができる。
【0039】なお、プリンタヘッドとしては、図6に示すシリアル型プリンタヘッドに代えて、図7に示すようなライン型に構成されたヘッドを有するライン型プリンタヘッドを用いることもできる。ライン型プリンタヘッドを用いる場合は、図7に示すように、被転写体12の幅に対応する長さの各色のプリンタヘッド25Y、25M及び25CをX方向に縦列に配設する。そして、プリンタヘッド25Y、25M及び25Cとプラテン24との間に挟まれた被転写体12に対してライン型プリンタヘッド25Y、25M及び25Cによって印画が行われ、所定の印画後に被転写体は紙送りローラ22によってX方向へ移動しながら印画が行われる。また、上述したシリアル型プリンタヘッドとライン型プリンタヘッドとは、幅方向の寸法が異なるだけで、構造及び原理は同じである。
【0040】上述した熱転写記録方式のプリンタにおいて使用される熱転写記録液、すなわちインクは溶媒、染料、及び必要に応じて添加される添加剤から構成され、転写感度、熱安定性、画像品位、保存安定性を最適化するように、それらの材料及び配合比が決定される。
【0041】本発明においては、インクの溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いる。インクの溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いることにより、実用レベルに比べて必要十分に濃い印画濃度を得ることができる。すなわち、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いたインクで印画を行うことにより、印画濃度の濃い、高品位な印画が可能となる。
【0042】また、インクの溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いることにより、印画を行うときに、インク液滴が飛翔するためプリンタヘッドへの印加エネルギーを低減することができる。すなわち、インクの溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いることにより、プリンタの低消費電力化を図ることが可能となる。
【0043】そして、N−メチル−2−ピロリドンは、単独で溶媒として用いても良く、また、他の溶媒と混合して用いても良い。N−メチル−2−ピロリドンと混合する溶媒としては、融点が50℃未満であり、かつ沸点が150℃以上500℃未満の範囲にあり、かつ熱分解温度が沸点より高く、かつ後述する染料に対する相溶性が高く、かつ人体に対する毒性が低く、かつ無色であれば何れの化合物でも用いることができる。具体的にはフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸エステル類、セバシン酸ジプチチル、セバシン酸ジオクチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル等の脂肪酸2塩基酸エステル類、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル等のリン酸エステル類、アセチルクエン酸トリプチル、プチルフタリルブチルグリコレート等、一般にプラステチック用可塑剤と称される有機化合物類等を用いることができる。
【0044】また、インクの物性値を調整するために、必要に応じて溶媒及び染料と同程度の沸点を有する添加剤、すなわち界面活性剤、粘度調整剤、防腐剤等を添加しても良い。具体的には界面活性剤としては、フッ素した化脂肪酸エステル、シリル化した脂肪酸エステル、シリコンオイル等を用いることができる。また、粘度調整剤としては、グリセリン、テトラエチレングリコール等を用いることができる。
【0045】インクの染料は特に特定されることはなく、十分な耐熱性を有し、かつN−メチル−2−ピロリドンに対して十分な溶解性を有し、かつ被転写体上での十分な保存安定性を有するものであれば何れの染料でも用いることができる。その中でも、酸性染料と呼ばれる染料を好適に用いることができる。具体的には、Acidシリーズ(住友化学製他)、Roccelineシリーズ(浜本染料製)、Aizene Acidシリーズ(保土ヶ谷化学製)、Alizarineシリーズ(山田化学製)、Chugacidシリーズ(中外化成製)等を好適に用いることができる。また、酸性染料の他に、油溶性染料を好適に用いることができる。具体的には、カヤセット染料シリーズ(日本化薬社製)、ダイアミラ染料シリーズ(三菱化成社製)、ミツイPS染料シリーズ(三井東圧社製)、スミプラスト染料シリーズ(住友化学社製)、アイゼン染料シリーズ(保土ヶ谷化学社製)等を好適に用いることができる。
【0046】そして、分散染料を用いることもできる。分散染料としては、分散剤が添加されていないものが好ましく、例えば、ESC染料シリーズ(住友化学社製)等を用いることができる。具体的には、アゾ系染料としてCI(カラーインデクス)ディスパースイエロー3、ディスパースイエロー7、ディスパースイエロー8、ソルベントイエロー16、ソルベントイエロー56、ディスパースレッド1、ディスパースレッド17、ディスパースレッド19、ソルベントレッド19、ソルベントレッド23、キノフタロン系染料として、ディスパースイエロー54、アントラキノン系染料として、ディスパースレッド4、ディスパースレッド11、ディスバースレッド60、ディスパースブルー14、ディスパースブルー26、ソルベントブルー35等を用いることができる。また、その他にジシアノスチリル系、トリシアノスチリル系、インドアニリン系構造の染料も用いることができる。これらの染料は、気化残滓の低減と熱分解物の転写部18への付着を防止するため、昇華精製法、再結晶法、ゾーンメルティング法、カラム精製法等の手段で精製してから用いることが望ましい。
【0047】インクは上記の染料を3重量%以上、好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上、上記の溶媒に溶解して作製する。このとき、染料の溶解度を上げるために、2種以上の染料を混合して用いても良い。また、添加剤は必要に応じて添加すれば良い。
【0048】この記録方式に適した印画紙としては、PPC用紙などの普通紙、アート紙などの上質紙などを用いることができる。そして、特に階調性と濃度が高い高品質の画像を得るためには、分散染料又は油溶性染料を発色させる樹脂として、ポリエステル、ポリカーボネート、アセテート、セルロースアセテートブチレート(CAB)、ポリ塩化ビニルなどを基材上に塗布して作製した専用紙も用いることができる。インクの吸収速度を向上させるためには、シリカ、アルミナのような多孔質顔料を添加することにより大きな効果が得られる。特に高品位の記録、例えば、平滑性、発色性、光沢性、インク吸収速度という観点からいえば、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム等、フィルムベースに光沢性をもたせるために0.1μm以下のサイズの多孔質顔料を添加した受像層を有する印画紙が優れている。転写された画像の保存安定性を向上させるためには、受像層中に紫外線吸収剤やラジカルクエンチャー等の添加物を添加することにより効果が得られる。また、転写後の印画紙に樹脂フィルムをラミネートすることも有効である。
【0049】基材としては、紙、合成紙、プラスチックペーパー、金属板、金属箔、アルミニウム等を蒸着したプラスチックフィルム等から任意に選択することができる。また、表面に有機樹脂などによる易接着処理を施した基材も用いることができる。なお、OHP等の用途に用いる場合には、基材は、光透過性を有するものを用いる。
【0050】
【実施例】実施例1既述した実施の形態に従い、図5に示すような構造の転写部を備えたシリアル型プリンタヘッドを作製した。
【0051】次にインクの調製を行った。特開平8−244364号公報に記載されている分散染料であるトリシアノスチリル系マゼンタ染料1のアミノ基をブチル基に置換した染料をカラムで精製した後に、染料1部に対して、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを19部(染料濃度:5重量%)加えて、超音波攪拌機で完全に溶解するまで攪拌しマゼンタインクを作製した。
【0052】上記において作製したインクを対応するプリンタヘッドのカートリッジに導入すると、インクは毛管力により自発的にチューブを通過して、プリンタヘッドの転写部の柱構造に達してメニスカスを形成した。ヒータ中心部におけるインク液面の厚さは6μmであった。
【0053】印画紙は、表面に数μmの多孔質構造を有し、油溶性染料及び溶媒と相性の良いバインダー樹脂が用いられているピーチコート紙(日清紡製)を使用した。
【0054】上記において作製したプリンタヘッドをプリンタに組み込み、マゼンタ色のインクを導入し印画を行った。
【0055】このプリンタヘッドのヒータに対して、図8に示すデューティー80%で矩形の50kHzの駆動パルスを与えて転写部のインクを周期的に加温した。1つの画素に対して画像データに応じて最大255回このパルスを印加した。パルス印加時間(255×20μsec=5.1msec)とインク液面を回復させるための休み時間0.9msecを加えた1画素を形成する時間(周期)は6msec(167Hz)になる。印可する電力は1つのヒータあたり100mWである。
【0056】この連続したパルスをヒータに加えることにより、転写部のインクが最大約0.11plのミストや霧として噴出し、100μmのギャップを飛翔して印画紙に付着する。印画紙に付着したインクは直ちに吸収・発色した。パルス印加時間は大変短いので、1画素を形成する時間(周期)毎にプリンタヘッドの柱構造による毛管力によりインク液面は完全に初期の状態に戻り、次の画素を印字できる。
【0057】実施例2インクを調製する際に、染料として分散染料であるトリシアノスチリル系染料2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして印画を行った。
【0058】実施例3インクを調製する際に、染料として酸性染料であるアシドレッドを用い、染料濃度を3重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして印画を行った。
【0059】比較例1インクを調製する際に、溶媒としてジブチルフタル酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にして印画を行った。
【0060】比較例2インクを調製する際に、溶媒としてジブチルセバチン酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にして印画を行った。
【0061】比較例3インクを調製する際に、溶媒としてジオクチルフタル酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にして印画を行った。
【0062】比較例4インクを調製する際に、溶媒としてジエチルフタル酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にして印画を行った。
【0063】比較例5インクを調製する際に、溶媒としてジブチルフタル酸を用いたこと以外は、実施例2と同様にして印画を行った。
【0064】比較例6インクを調製する際に、溶媒としてジブチルセバチン酸を用いたこと以外は、実施例2と同様にして印画を行った。
【0065】比較例7インクを調製する際に、溶媒としてジオクチルフタル酸を用いたこと以外は、実施例2と同様にして印画を行った。
【0066】比較例8インクを調製する際に、溶媒としてジエチルフタル酸を用いたこと以外は、実施例2と同様にして印画を行った。
【0067】比較例9インクを調製する際に、溶媒としてジブチルフタル酸を用いたこと以外は、実施例3と同様にして印画を行った。
【0068】比較例10インクを調製する際に、溶媒としてジブチルセバチン酸を用いたこと以外は、実施例3と同様にして印画を行った。
【0069】上記において行った印画結果に対して、マクベス濃度計TR−924(商品名、マクベス社製)を用いて印画濃度の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0070】また、印画を行う際に、プリンタヘッドに印加された電流、電圧を測定した。そして、そのデータと予め測定しておいたプリンタヘッドの抵抗値とからプリンタヘッドへの印加エネルギーを算出した。その結果を表1に併せて示す。
【0071】
【表1】

【0072】表1において、実施例1及び比較例1乃至比較例4の印画濃度を比較すると、インクの溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いた実施例1においては、印画濃度が2を超えている。実用レベルの印画濃度が1.8程度であることを考慮すると、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いた実施例1においては、印画に必要十分な印画濃度が得られていることがわかる。一方、インクの溶媒として、ジブチルフタル酸、ジブチルセバチン酸、ジオクチルフタル酸及びジエチルフタル酸を用いた比較例1乃至比較例4においては、印画濃度は、全て0.4以下となっている。実用レベルの印画濃度が1.8程度であることを考慮すると、溶媒としてジブチルフタル酸、ジブチルセバチン酸、ジオクチルフタル酸及びジエチルフタル酸を用いた比較例1乃至比較例4においては、十分な印画濃度が得られていないことがわかる。
【0073】また、実施例1及び比較例1乃至比較例4のプリンタヘッドへの印加エネルギーを比較すると、実施例1は、プリンタヘッドへの印加エネルギーが比較例1乃至比較例4に比べて30%程度少ないにもかかわらず、印画濃度は、比較例1乃至比較例4に比べて5倍以上も高い。
【0074】これらの結果より、熱転写記録方式においては、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いることにより、実用に必要十分な優れた印画濃度を得ることができることがわかった。また、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いることにより、少ないエネルギーで優れた印画濃度を得ることができることがわかった。
【0075】表1において、実施例2及び比較例5乃至比較例8の印画濃度を比較すると、インクの溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いた実施例2においては、印画濃度が2を超えている。実用レベルの印画濃度が1.8程度であることを考慮すると、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いた実施例2においては、印画に必要十分な印画濃度が得られていることがわかる。一方、インクの溶媒として、ジブチルフタル酸、ジブチルセバチン酸、ジオクチルフタル酸及びジエチルフタル酸を用いた比較例5乃至比較例8においては、印画濃度は、全て0.4以下となっている。実用レベルの印画濃度が1.8程度であることを考慮すると、溶媒としてジブチルフタル酸、ジブチルセバチン酸、ジオクチルフタル酸及びジエチルフタル酸を用いた比較例5乃至比較例8においては、十分な印画濃度が得られていないことがわかる。
【0076】また、実施例2及び比較例5乃至比較例8のプリンタヘッドへの印加エネルギーを比較すると、実施例2では、実施例1と同様にプリンタヘッドへの印加エネルギーが比較例5乃至比較例8に比べて30%程度少ないにもかかわらず、印画濃度は、比較例5乃至比較例8に比べて5倍以上も高くなっている。
【0077】これらの結果より、熱転写記録方式においては、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いることにより、実用に必要十分な優れた印画濃度を得ることができることがわかった。また、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いることにより、少ないエネルギーで優れた印画濃度を得ることができることがわかった。
【0078】表1において、実施例3、比較例9及び比較例10の印画濃度を比較すると、インクの溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いた実施例3においては、染料濃度を3%にしているが、印画濃度が1.3を超えている。実用レベルの印画濃度が1.8程度であることを考慮すると、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いた実施例3においては、印画に必要十分な印画濃度が得られていることがわかる。一方、インクの溶媒として、ジブチルフタル酸及びジブチルセバチン酸を用いた比較例9及び比較例10においては、印画濃度は、全て0.25以下となっている。実用レベルの印画濃度が1.8程度であることを考慮すると、溶媒としてジブチルフタル酸及びジブチルセバチン酸を用いた比較例9及び比較例10においては、十分な印画濃度が得られていないことがわかる。
【0079】また、実施例3、比較例9及び比較例10のプリンタヘッドへの印加エネルギーエネルギーを比較すると、実施例3では、実施例1、実施例2と同様にプリンタヘッドへの印加エネルギーが比較例9及び比較例10に比べて30%程度少ないにもかかわらず、印画濃度は、比較例9及び比較例10に比べて5倍以上も高くなっている。
【0080】これらの結果より、熱転写記録方式においては、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いることにより、実用に必要十分な優れた印画濃度を得ることができることがわかった。また、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いることにより、少ないエネルギーで優れた印画濃度を得ることができることがわかった。
【0081】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に係る熱転写記録液は、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを含有しているため、熱転写記録方式の記録装置に用いて印画を行った際、必要十分な印画濃度を得ることができる。また、本発明に係る熱転写記録液は、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを含有しているため、熱転写記録方式の記録装置に用いて印画を行った際に、プリンタヘッドへの印加エネルギーを低減することができる。
【0082】したがって、本発明によれば、熱転写記録方式の記録装置での印画において、低電力で、かつ印画濃度に優れた高品位な印画が可能となる。




 

 


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