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発明の名称 有機化合物の分解方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−199905(P2001−199905A)
公開日 平成13年7月24日(2001.7.24)
出願番号 特願2000−6340(P2000−6340)
出願日 平成12年1月12日(2000.1.12)
代理人 【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃 (外2名)
【テーマコード(参考)】
2E191
4D002
4D004
4D050
4H006
【Fターム(参考)】
2E191 BA12 BC01 BC05 BD11 BD17 
4D002 AA17 AC04 BA05 DA01 DA07 DA19 DA51
4D004 AA03 AA41 AB07 CA36 CC01 CC02 CC12
4D050 AA12 AB15 AB19 BB01 BB02 BB09 CA01 CA07
4H006 AA02 AC13 BA47 BA50 BA60 BE01 BE14 BE30 BE31 BE62
発明者 稲垣 靖史
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 有機化合物に対して、アスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸塩を、酸素と共に作用させ、これを分解することを特徴とする有機化合物の分解方法。
【請求項2】 上記アスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸塩を水溶液とすることを特徴とする請求項1記載の有機化合物の分解方法。
【請求項3】 上記有機化合物は、芳香環を有することを特徴とする請求項1記載の有機化合物の分解方法。
【請求項4】 過酸化水素水、オゾン、アンモニア、無機アルカリ、無機アルカリ塩、無機酸、無機酸塩、ポルフィリン、金属ポルフィリンのいずれかのうちの少なくとも一種類を併用することを特徴とする請求項1記載の有機化合物の分解方法。
【請求項5】 光照射しながら分解を行うことを特徴とする請求項1記載の有機化合物の分解方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境に対する負荷が少なく、且つ分解率及び分解量が良好である有機化合物の分解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチックの原料であるビスフェノールA、可塑剤としてプラスチックに含まれるフタル酸エステル、廃棄物などの焼却により発生するダイオキシン類、工場及び家庭などから排出される界面活性剤であるノニフェノールなどの有機化合物が、環境ホルモンとなる可能性が高いことが指摘されており、新たな環境問題となっている。
【0003】上述した有機化合物は、すでに周辺の大気、水、土壌などにかなりの量が混入されているが、これらの化学物質は、生態系においては非常に分解されにくい。このため、今後も長い期間にわたる水の循環及び食物連鎖などを通じて、世界的に広く拡散されていくことが予想される。このことにより、世界的に大気、水、土壌などの汚染が広まり、人体にも悪影響を及ぼすことが予想される。そこで、上述した有機化合物を浄化するための技術が要求されている。
【0004】上述した有機化合物を浄化する方法としては、微生物によって土壌中の有機物を分解するいわゆるバイオリメディエーションと呼ばれる方法、及び超臨界水により水中の有機化合物を分解する方法などが提案され、検討されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、バイオリメディエーションは、有機化合物の分解速度が遅いこと、有機化合物の分解が完了するまで微生物や微生物の栄養源などを補給し続ける必要性があること、及び有機化合物の分解が完了した後に微生物の死骸が残留することなどが問題となる。また、超臨界水により水中の有機化合物を分解する方法は、大規模な設備と大量のエネルギーが必要とされ、且つ分解能力が低いために、実用化が困難である。
【0006】本発明はこのような従来の実状に鑑みて提案されたものであり、環境に対する負荷が少なく、且つ分解率及び分解量が良好である有機化合物の分解方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る有機化合物物の分解方法は、有機化合物に対して、アスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸塩を酸素と共に作用させ、これを分解することを特徴とする。
【0008】アスコルビン酸及びアスコルビン酸塩は、ビタミンCとして良く知られており、自然界に存在する物質であって有害物ではない。したがって、これらを用いることにより、環境に対して無用な負荷を与えることなく有害な有機化合物を分解することが可能となる。
【0009】また、酸素との併用により有機化合物の分解が著しく促進されるため、分解効率の点でも優れた方法と言え、大量の有機化合物の分解にも適する。しかも、分解操作は極めて簡単であり、大規模な設備、大量のエネルギー、及び煩雑な管理などが不要である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下では、分解される有機化合物について例示するが、本発明は、例示する有機化合物の分解に限定されるものではない。
【0011】本発明を適用した有機化合物の分解方法は、目的とする有機化合物に対して、アスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸塩を酸素と共に作用させる。
【0012】このとき、アスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸塩と、有機化合物とに対して直接酸素ガスを吹き付けてもよい。しかしながら、有機化合物の分解率及び分解量を上げるには、アスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸塩と、有機化合物と共に酸素を溶液中に溶解させる方法や、アスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸塩と、有機化合物とが溶解した溶液に対して酸素や空気などが吹き込まれる方法などが好ましい。
【0013】また、取り扱いの簡便さを考慮すると、ナトリウム塩などのアスコルビン酸塩を添加することが好ましい。アスコルビン酸及びアスコルビン酸塩は、天然物から抽出されたものであっても合成されたものであってもよい。なお、天然物から抽出されたアスコルビン酸には他の成分が含まれていることがあるが、このことによる問題は特に生じない。
【0014】有機化合物に対するアスコルビン酸及びアスコルビン酸塩の添加量は、有機化合物の量及び要求される分解率などにより異なるが、有機化合物の約1/1000倍から1000倍であることが好ましく、有機化合物の約1/100倍から100倍であることが更に好ましい。
【0015】また、ここで用いられる酸素は、酸素ボンベなどからの酸素ガスであっても良く、空気中の酸素であっても良く、溶液中の溶存酸素であっても良い。なお、用いられる酸素の量が多いほど有機化合物の分解率及び分解量が向上する。また、溶液中に酸素を溶存させる場合には、例えば飽和濃度など、酸素の濃度が高いほど有機化合物の分解率及び分解量が向上する。
【0016】また、分解のときの温度は、約−20℃から約120℃であることが好ましく、約0℃から60℃であることが更に好ましく、約20℃から40℃であることが最も好ましい。120℃より高温となると、有機化合物を分解するためのエネルギーが大量に必要となる。また、−20℃より低温となると、分解速度が極端に遅くなる。なお、分解のときには、およそpH4からpH11であることが好ましい。
【0017】ここで分解される対称となる有機化合物は特に限定されないが、特に芳香環を有する化合物が分解されやすい。例としては、ノニルフェノール類、ビスフェノールA、ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニル類、ポリ臭化ビフェニル類、アルキルベンゼン類、アルキルベンゼン類誘導体、アルキルフェノール類、アルキルフェノール類誘導体、フタル酸エステル、ベンゾフェノン類、ベンゾフェノン類誘導体、安息香酸類、ハロゲン化ベンゼン誘導体、クレゾール、クレゾール誘導体、芳香族アミノ酸(フェニルアラニンなど)、芳香環含有農薬、芳香環含有樹脂(ポリスチレン、ABS樹脂、PET、PC、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンオキシド低分子量体、ポリフェニレンオキシド誘導体など)、芳香環含有染料、芳香剤などが挙げられる。
【0018】なお、上述した有機化合物は、アスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸塩と、酸素とによって直接暴露を受けるよりも、有機化合物と、アスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸塩と、酸素とを水溶液として水を介して暴露を受けた方が、その分解率及び分解量を増やすことが可能となる。
【0019】また、上述した有機化合物が気体中に存在する場合には、気体中の有機化合物を水溶液に溶解させた後に、アスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸塩を、酸素と共に作用させることが好ましい。
【0020】上述したように、有機化合物に対してアスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸塩を酸素と共に作用させることによって、有機化合物が分解される。これにより、分解率及び分解量が良好であり、且つ環境に対する負荷が少ない方法によって、環境に対して有害である有機化合物を分解することが可能となる。また、有機化合物の中でも、特に芳香環をもつものを分解することが可能となる。
【0021】また、上述した有機化合物を分解するときには、過酸化水素水、オゾン、アンモニア、無機アルカリ、無機アルカリ塩、無機酸、無機酸塩、ポルフィリン、金属ポルフィリンのいずれかのうち、一種類以上を添加することが好ましい。
【0022】なお、上述した物質の添加量は、分解を受ける有機化合物の種類及び濃度、又は分解を受けるときの温度などによって変化するが、アスコルビン酸及び又はアスコルビン酸塩に対して、約1/100倍から100倍であることが好ましく、約1/10倍から10倍であることがより好ましい。
【0023】このように、上述した物質を添加することにより、有機化合物の分解率及び分解量などが増加する。
【0024】また、有機化合物を分解するときに、光照射を施すことが好ましい。光照射を施すことにより、有機化合物の分解率及び分解量などが増加する。
【0025】以上の説明からも明らかなように、本発明を適用した有機化合物の分解方法によれば、生活排水、工場排水、これらの排水の処理物、海、河川、土壌、排気ガス、ゴミ、コンポストなどの中に含まれる有害な有機化合物を、分解率及び分解量が良好であると共に低エネルギーであり、且つ環境に対する負荷が少ない方法によって分解することが可能となる。また、特に芳香環を有する有機化合物を分解することが可能となる。
【0026】このため、廃水処理、ゴミのコンポスト化の促進、土壌の浄化、及び大気の浄化などが可能となり、環境浄化が促進され、地球の環境保全に貢献することが可能となる。
【0027】また、分解率及び分解量が良好であるために、大量の有機化合物の分解にも適する。しかも、分解操作が極めて簡単であるために、大規模な設備、大量のエネルギー、煩雑な管理などが不要である。
【0028】
【実施例】つぎに、上述した有機化合物の分解方法を適用したときの、有機化合物の分解率及び分解量について、実施例に基づいて説明する。
【0029】実施例1先ず、10mMの水酸化ナトリウム水溶液に対して、ビスフェノールAを濃度が2mMとなるように添加して溶解した。次に、この溶液に対して、L−アスコルビン酸ナトリウムを濃度が100mMとなるように添加して溶解した。次に、この溶液に対してエアーバブリングを4時間行った。
【0030】次に、上述した溶液と、上述した処理を施さないビスフェノールA溶液との中にそれぞれ含有される化合物を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により検出した。このとき、内部標準液として、水とエタノールとの等量混合液を溶媒とした所定濃度である安息香酸溶液を、それぞれの溶液に対して混合した。
【0031】上述した処理を施さないときのビスフェノールA溶液をHPLCによって分析したところ、図1に示すように、安息香酸のピーク1と、ビスフェノールAのピーク2とが見られた。また、上述した処理を施したときのビスフェノールA溶液をHPLCによって分析したところ、図2に示すように、ビスフェノールAのピーク2が小さくなっており、ビスフェノールAの75%が分解されていることが判明した。
【0032】また、安息香酸のピーク1と、ビスフェノールAのピーク2との他にもピークが見られた。これらのピークは、ビスフェノールAの分解生成物を示すピークであると考えられる。
【0033】実施例2先ず、水に対してノリルフェノールエチレンオキシド付加物を濃度が5mMとなるように添加して溶解した。なお、ノリルフェノールエチレンオキシド付加物は、界面活性剤の一種である。次に、この溶液に対して、L−アスコルビン酸ナトリウムを濃度が20mMとなるように添加して溶解した。次に、この溶液に対してエアーバブリングを6時間行った。このとき、水温を40℃とした。この結果、ノリルフェノールエチレンオキシド付加物の52%が分解されていることが判明した。
【0034】実施例3先ず、親水性の有機溶媒に対してドデカブロモジフェニルエーテルを溶解し、これに少量の水を加え、濃度が0.01mMとなるようにした。次に、この溶液に対して、L−アスコルビン酸ナトリウムと過酸化水素水とを、濃度が0.01mMとなるようにそれぞれ添加して溶解した。次に、この溶液に対してエアーバブリングを12時間行った。このとき、水温を室温とした。この結果、ドデカブロモジフェニルエーテルの63%が分解されていることが判明した。
【0035】実施例4先ず、親水性の有機溶媒にフタル酸ジエチル水溶液を溶解し、これに少量の水を加え、濃度が0.05mMとなるようにした。次に、この溶液に対して、L−アスコルビン酸ナトリウムを濃度が0.01mMとなるように添加して溶解した。次に、この溶液に対して、高圧水銀ランプによる照射を行いながら、エアーバブリングを6時間行った。このとき、水温を室温とした。この結果、フタル酸ジエチル水溶液の84%が分解されていることが判明した。
【0036】実施例5先ず、短冊状のポリ乳酸を土壌中に2検体埋め込んだ。一方はそのままとし、他方はL−アスコルビン酸ナトリウム水溶液をスプレーした後に、エアーポンプによる土壌中へのエアーバブリングを3日間行った。この結果、L−アスコルビン酸ナトリウムによる処理を施した短冊状のポリ乳酸は、分解により大きく変形していた。
【0037】実施例6L−アスコルビン酸を添加して濃度が50ppmとなるようにした後に曝気処理を行った汚泥と、無処理の汚泥とに対して、それぞれカチオン凝集剤を添加して脱水処理を行った。なお、この汚泥は、生活排水中の汚泥である。この結果、L−アスコルビン酸ナトリウムによる処理を施した汚泥においては、無処理の汚泥と比較して、脱水速度が1.5倍であった。また、脱水後のケーキの量は2.5%少なかった。
【0038】実施例7先ず、着色している染色排水に対して、L−アスコルビン酸ナトリウムと、ポルフィリンマグネシウムとを添加した。このとき、L−アスコルビン酸ナトリウムは濃度が20ppmとなるように添加し、ポルフィリンマグネシウムは濃度が1ppmとなるように添加した。次に、エアーバブリングを2時間行った。この結果、染色排水における脱色が促進された。
【0039】実施例8先ず、有機体炭素(OC)の濃度が80ppmであり、過酸化水素水の濃度が30ppmである半導体工場排水に対して、L−アスコルビン酸ナトリウムを濃度が5ppmとなるように添加して溶解した。次に、エアーバブリングを1時間行った。この結果、有機性炭素の濃度と過酸化水素水の濃度とが、それぞれ10ppm以下となった。
【0040】実施例9先ず、家庭用ゴミ処理機に対してL−アスコルビン酸ナトリウム水溶液をスプレーにより噴射した。次に、十分にゴミを攪拌し、生ゴミ中に酸素を混入させた。この結果、コンポスト化の速度が従来の2倍となった。
【0041】実施例10有機化合物に対して超臨界水による分解を施した。このとき、有機化合物の濃度に対して1/10の濃度であるL−アスコルビン酸ナトリウムを添加した。なお、超臨界水中には溶存酸素が存在する。この結果、有機化合物の分解速度が2倍となった。
【0042】実施例11有機化合物に対して亜臨界水による分解を施した。このとき、有機化合物の濃度に対して1/10の濃度であるL−アスコルビン酸ナトリウムを添加した。なお、亜臨界水中には溶存酸素が存在する。この結果、有機化合物の分解速度が2倍となった。
【0043】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発明を適用した有機化合物の分解方法によれば、生活排水、工場排水、これらの排水の処理物、海、河川、土壌、排気ガス、ゴミ、コンポストなどの中に含まれる有機化合物を、分解率及び分解量が良好であり、且つ環境に対する負荷が少ない方法によって分解することが可能となる。このため、廃水処理、及びゴミのコンポスト化の促進、土壌の浄化、排気ガスの浄化などが可能となり、環境浄化が促進され、地球の環境保全に貢献することが可能となる。
【0044】また、分解率及び分解量が良好であるために、大量の有機化合物の分解にも適する。しかも、分解操作が極めて簡単であるために、大規模な設備、大量のエネルギー、煩雑な管理などが不要である。




 

 


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