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発明の名称 窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法、窒化物系III−V族化合物結晶基板、窒化物系III−V族化合物膜およびデバイスの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−158698(P2001−158698A)
公開日 平成13年6月12日(2001.6.12)
出願番号 特願平11−341637
出願日 平成11年12月1日(1999.12.1)
代理人 【識別番号】100098785
【弁理士】
【氏名又は名称】藤島 洋一郎
【テーマコード(参考)】
4G077
5F041
5F045
5F073
【Fターム(参考)】
4G077 AA03 BB03 BE11 BE14 BE15 DA05 DA11 DB08 ED06 EF04 HA02 
5F041 AA40 CA05 CA33 CA34 CA35 CA40 CA46 CA57 CA65 CA66 CA74 CA85 CA87
5F045 AA04 AB14 AB17 AF03 AF04 AF09 BB12 CA12 DA53 DA67 DB03
5F073 AA13 AA45 AA74 CA07 CB22 DA05 EA29
発明者 森田 悦男
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 基体の表面に、窒化物系III−V族化合物の結晶を所定の厚さに成長させる成長工程を含む窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法であって、前記成長工程において、前記結晶の厚さ方向における互いに異なる箇所に、複数のパターンを形成するようにし、前記複数のパターンを、少なくとも一部では前記厚さ方向に互いに重なり合い、少なくとも一部では前記厚さ方向に互いに重なり合わないようにしたことを特徴とする窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項2】 前記複数のパターンを、いずれも、前記基体の表面とほぼ平行な面内における一方向に配列した構成部分により形成するようにしたことを特徴とする請求項1記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項3】 前記複数のパターンのうち、一つのパターンの構成部分の配列周期と、別のパターンの構成部分の配列周期とが異なるようにしたことを特徴とする請求項2記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項4】 前記一つのパターン構成部分の配列周期をp1 とし、別のパターンの構成部分の配列周期をp2 とすると、0.1μm<p1 ×p2 /|p2 −p1 |<5000μmの関係が成立するようにしたことを特徴とする請求項3記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項5】 前記複数のパターンのうち、少なくとも一つのパターンが、複数の配列周期を有するようにしたことを特徴とする請求項2記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項6】 前記複数のパターンのうち、少なくとも一つのパターンが、隣接する構成部分の間隔を複数有するか、または、構成部分の配列方向の長さを複数有するようにしたことを特徴とする請求項2記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項7】 前記複数のパターンのそれぞれにおける前記構成部分を、ストライプ形状とするようにしたことを特徴とする請求項1記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項8】 前記複数パターンを、いずれも、前記基体の表面とほぼ平行な面内における2方向に配列した構成部分により形成するようにしたことを特徴とする請求項1記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項9】 前記複数のパターンが前記厚さ方向に互いに重なり合う領域と互いに重なり合わない領域とを、前記2方向のうちの一方向に併存させるようにしたことを特徴とする請求項8記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項10】 前記複数のパターンが前記厚さ方向に互いに重なり合う領域と互いに重なり合わない領域とを、前記2方向のいずれにおいても併存させるようにしたことを特徴とする請求項8記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項11】 前記成長工程は、前記基体上に、直接、または所定の下地層を介して、第1のパターンを形成する第1のパターン形成工程と、前記第1のパターンが形成された前記基体または前記下地層の表面に、前記結晶の一部である中間層を形成する第1の成長工程と、前記第1の成長工程により形成された前記中間層の表面に第2のパターンを形成する第2のパターン形成工程と、前記第2のパターンが形成された前記中間層の表面に前記結晶の一部である表面層を形成する第2の成長工程とを含むことを特徴とする請求項1記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項12】 前記第1のパターンおよび第2のパターンの少なくとも一方をマスク材料により形成するようにしたことを特徴とする請求項11記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項13】 前記マスク材料は、酸素(O)と窒素(N)からなる群の少なくとも一つと、シリコン(Si)とを含むことを特徴とする請求項12記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項14】 前記基体を、サファイア(Al2 3 )、シリコン(Si)、炭化珪素(SiC)、砒化ガリウム(GaAs)、マグネシウム・アルミニウム複合酸化物(MgAl2 4 )、リチウム・ガリウム複合酸化物(LiGaO2 )および窒化ガリウム(GaN)のいずれかを含むように構成するようにしたことを特徴とする請求項11記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項15】 前記下地層を、前記結晶基板上に窒化物系III−V族化合物を結晶成長させることにより形成するようにしたことを特徴とする請求項11記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項16】 前記第1のパターン形成工程では、前記下地層の表面にマスク材料を選択的に形成することによって前記第1のパターンを形成するようにし、さらに、前記第1のパターン形成工程と前記第1の成長工程の間に、前記第1のパターンをマスクとして前記下地層をエッチングする工程を含むようにしたことを特徴とする請求項15記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項17】 前記第2のパターン形成工程では、前記第1の成長工程により形成された前記中間層上にマスク材料を選択的に形成することによって前記第2のパターンを形成するようにし、さらに、前記第2のパターン形成工程と前記第2の成長工程の間に、前記第2のパターンをマスクとして前記中間層をエッチングする工程と、前記第2のパターンのマスク材料を除去する工程とを含むようにしたことを特徴とする請求項15記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項18】 前記第1のパターン形成工程では、前記基体の表面または前記下地層の表面に凹部を形成することによって前記第1のパターンを形成するようにしたことを特徴とする請求項11記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項19】 前記第2のパターン形成工程では、前記第1の成長工程により形成された前記中間層の表面に凹部を形成することにより前記第2のパターンを形成するようにしたことを特徴とする請求項11記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項20】 さらに、前記結晶から、少なくとも前記基体を分離する工程を含むことを特徴とする請求項11記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法。
【請求項21】 窒化物系III−V族化合物の結晶基板であって、その厚さ方向における互いに異なる箇所に複数のパターンが形成された結晶基板において、前記複数のパターンが少なくとも一部では前記厚さ方向に互いに重なり合い、少なくとも一部では前記厚さ方向に互いに重なり合わないよう構成されたことを特徴とする窒化物系III−V族化合物の結晶基板。
【請求項22】 窒化物系III−V族化合物の結晶膜であって、その厚さ方向における互いに異なる箇所に複数のパターンが形成された結晶基板において、前記複数のパターンが少なくとも一部では前記厚さ方向に互いに重なり合い、少なくとも一部では前記厚さ方向に互いに重なり合わないよう構成されたことを特徴とする窒化物系III−V族化合物の結晶膜。
【請求項23】 結晶基板または結晶膜の表面に所定の素子膜を形成することによりデバイスを製造する方法であって、基体の表面に、窒化物系III−V族化合物の結晶を所定の厚さに成長させることにより、前記結晶基板または前記結晶膜を形成する成長工程と、前記結晶基板または前記結晶膜の上に前記所定の素子膜を形成する素子膜形成工程とを含み、前記成長工程において、前記結晶の厚さ方向における互いに異なる箇所に、複数のパターンを形成するようにし、前記複数のパターンを、少なくとも一部では前記厚さ方向に互いに重なり合い、少なくとも一部では前記厚さ方向に互いに重なり合わないようにしたことを特徴とするデバイスの製造方法。
【請求項24】 さらに、前記結晶基板または前記結晶膜から前記基体を分離する工程を含むことを特徴とする請求項23記載のデバイスの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体レーザ素子などのデバイスの製造方法、このデバイスの製造方法に用いられる窒化物系III−V族化合物結晶基板および窒化物系III−V族化合物結晶膜、およびこれらを製造するための窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、例えば半導体レーザ素子や発光ダイオード(LED)などのデバイスの製造工程では、例えばGaN(窒化ガリウム)などのいわゆる窒化物系III−V族化合物からなる結晶基板または結晶膜の表面に半導体膜などを積層形成している。このような製造工程で用いられる結晶基板または結晶膜を得るためには窒化物系III−V族化合物のバルク結晶を形成することが望ましいが、窒化物系III−V族化合物のバルク結晶は製造が困難であるため、実際には、例えばAl2 3 (サファイア)製の基体の上に窒化物系III−V族化合物の結晶をエピタキシャル成長させるという方法が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、基体とその上に形成される結晶の結晶構造の違いや、それらの相互作用の弱さのため、界面から転位が発生し易い。このような転位は結晶の成長方向に延び、結晶を貫通してその表面にまで達する。その結果、得られる結晶基板または結晶膜には欠陥が多いという問題があった。
【0004】この問題を解決するため、特開平10−312971号公報では、Al2 3からなる基体の表面にGaNからなる下地層を形成し、その下地層の表面にSiO2 (二酸化珪素)からなるマスクパターンを形成し、このマスクパターンを介して下地層の表面にGaNの結晶を成長させる方法が提案されている。この方法によれば、転位の成長がマスクパターンによって阻まれるため、結晶を貫通してその表面にまで達する転位(いわゆる、貫通転位)の数が減少する。しかしながら、この方法では、マスクパターンの開口部分を通過して成長した転位がそのまま結晶を貫通してしまうことから、結晶基板または結晶膜の欠陥の数を十分低減することができない。
【0005】そこで、同公報には、マスクパターンを結晶の厚さ方向に二重に形成し、一方のマスクパターンの開口部を通過した転位をもう一方のマスクパターンで遮るようにした方法が開示されている。しかしながら、この方法では、一方のマスクパターンの開口部と他方のマスクパターンとが結晶の厚さ方向に重なり合うように正確に位置合わせする必要があり、作業が困難になるという問題がある。
【0006】また、第46回応用物理学関係連合講演会1999年春講演予稿集の第416頁には、Al2 3 製の基体上に形成されたGaNなどの下地層の表面に凹部を加工し、その下地層の表面にGaN結晶を再成長させる方法が開示されている。この方法によれば、下地層の凹部において転位の成長の方向が変化するため、結晶を貫通する転位の数はある程度減少する。しかしながら、この方法では、下地層の凹部以外の部分を通過して成長した転位は結晶を貫通してしまうため、貫通転位の数を十分減少させることができないという問題がある。
【0007】また、MRS Internet J.Nitride Semicond. Res. 4S1, G3.38 (1999) およびMRS Internet J.Nitride Semicond. Res. 4S1, G4.9 (1999) では、「Pendeo−Epitaxy」という横方向成長を利用した貫通転位防止方法が提案されている。前者では、種結晶となるGaN結晶にエッチングにより溝を形成し、その溝の側面から横方向に結晶を再成長させるようにしている。後者では、種結晶となるGaN結晶の表面にマスクパターンを形成してエッチングを行い、溝の側面から横方向に結晶を再成長させると共に、種結晶表面からの結晶成長をマスクパターンにより抑えるようにしている。しかしながら、前者では種結晶の表面から転位が伸びる可能性があり、後者ではマスクパターンの上に新たな転位が発生する可能性があるため、貫通転位を十分に防止することができないという問題点がある。
【0008】本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、製造が簡単でかつ貫通転位の少ない窒化物系III−V族化合物結晶基板および窒化物系III−V族化合物結晶膜膜、それらを製造するための窒化物系III−V族化合物の結晶成長方法、およびそれらを用いたデバイスの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法は、基体の表面に窒化物系III−V族化合物の結晶を所定の厚さに成長させる成長工程を含み、成長工程において、結晶の厚さ方向における互いに異なる箇所に複数のパターンを形成するようにし、複数のパターンを少なくとも一部では厚さ方向に互いに重なり合い、少なくとも一部では厚さ方向に互いに重なり合わないようにしたものである。
【0010】また、本発明による窒化物系III−V族化合物結晶基板は、その厚さ方向における互いに異なる箇所に複数のパターンが形成された結晶基板であって、複数のパターンが少なくとも一部では厚さ方向に互いに重なり合い、少なくとも一部では厚さ方向に互いに重なり合わないよう構成されたものである。
【0011】また、本発明による窒化物系III−V族化合物結晶膜は、その厚さ方向における互いに異なる箇所に複数のパターンが形成された結晶膜であって、複数のパターンが少なくとも一部では厚さ方向に互いに重なり合い、少なくとも一部では厚さ方向に互いに重なり合わないよう構成されたものである。
【0012】また、本発明によるデバイスの製造方法は、基体の表面に窒化物系III−V族化合物の結晶を所定の厚さに成長させることにより結晶基板または結晶膜を形成する成長工程と、結晶基板または結晶膜の上に所定の素子膜を形成する素子膜形成工程とを含み、成長工程において、結晶の厚さ方向における互いに異なる箇所に複数のパターンを形成するようにし、複数のパターンを、少なくとも一部では厚さ方向に互いに重なり合い、少なくとも一部では厚さ方向に互いに重なり合わないようにしたものである。
【0013】本発明による窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法、窒化物系III−V族化合物基結晶板、窒化物系III−V族化合物結晶膜およびデバイス製造方法では、複数のパターンが厚さ方向に互いに重なり合わない領域において、転位の成長が確実に阻止される。また、パターンが重なり合う領域と重なり合わない領域とが混在しているため、パターン同士を正確に位置決めしなくても、複数のパターンが厚さ方向に互いに重なり合わない領域(すなわち、転位の成長が確実に阻止される領域)が生じる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】[第1の実施の形態]図1は、本発明の第1の実施の形態に係る窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法を表す工程毎の断面図である。この結晶製造方法は、例えば半導体レーザ素子や発光ダイオード(LED)を形成するための窒化物系III−V族化合物の結晶基板を製造するものである。ここでは、窒化物系III−V族化合物としてGaN(窒化ガリウム)の結晶を形成するものとする。
【0016】図1(A)に示したように、窒化物系III−V族化合物であるGaNと格子定数および熱膨張係数が近い例えばAl2 3 (サファイア)からなる基体11を用いる。なお、基体11の材料としては、Al2 3 の他に、Si(珪素)、SiC(炭化珪素)、GaAs(砒化ガリウム)、MgAl2 4 (マグネシウム・アルミニウム複合酸化物)、LiGaO2 (リチウム・ガリウム複合酸化物)およびGaNを用いることができる。
【0017】次に、図1(B)に示したように、基体11上に、例えばMOCVD(MetalOrganic Chemical Vapor Deposition :有機金属化学気相蒸着)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシ)法、あるいはその他の気相成長法などを用いてGaNを結晶成長させ、例えば厚さ2μmの下地結晶層12を形成する。
【0018】続いて、図1(C)に示したように、下地結晶層12の表面に例えばスパッタ法によりSiO2 (酸化珪素)またはSi3 4 (窒化珪素)からなる膜を形成したのち、例えばフォトリソグラフィー法およびドライエッチング法によりパターニングし、第1のマスクパターン13を形成する。第1のマスクパターン13は、4μmの間隔を開けて配列された幅5μmの多数の平行なストライプ130を有している。ストライプ130の配列周期(ストライプの幅と間隔を合わせた値)は9μmである。なお、第1のマスクパターン13のストライプ130の厚さは、例えば0.2μmである。
【0019】次に、図1(D)に示したように、例えばMOCVD法などを用いて、下地結晶層12の表面にGaNの結晶層を成長させることにより、中間結晶層14を形成する。すなわち、下地結晶層12の表面において第1のマスクパターン13のストライプ130によって覆われていない面からGaNの結晶を成長させ、第1のマスクパターン13を完全に覆う厚さにまで成長させる。中間結晶層14の厚さは例えば8μmである。
【0020】続いて、図1(E)に示したように、中間結晶層14の表面に、例えばスパッタ法によりSiO2 またはSi3 4 からなる膜を形成したのち、例えばフォトリソグラフィー法およびドライエッチング法によりパターニングすることにより、第2のマスクパターン15を形成する。第2のマスクパターン15は、第1のマスクパターンと同一の方向に4μm間隔で配列された幅4μmの多数のストライプ150を含むものである。ストライプ150の配列周期は8μmである。
【0021】次に、図1(F)に示したように、例えばMOCVD法などを用いて、結晶層14の表面にさらにGaNの結晶層を成長させることにより、表面結晶層16を形成する。すなわち、中間結晶層14の表面において第2のマスクパターン15のストライプ150によって覆われていない面からGaNの結晶を成長させ、第2のマスクパターン15を完全に覆う厚さにまで成長させる。表面結晶層16の厚さは例えば8μmである。このようにして、図1(F)に示したような結晶基板10が形成される。
【0022】ここで、結晶基板10は、本発明における「結晶基板」の一具体例または「結晶膜」の一具体例に対応する。また、下地結晶層12、中間結晶層14および表面結晶層16を合わせたものが、本発明における「結晶」の一具体例に対応する。また、第1のマスクパターン13および第2のマスクパターン15は、本発明の「複数のパターン」の一具体例に対応する。加えて、ストライプ130およびストライプ150は、本発明における「構成部分」の一具体例に対応する。さらに、下地結晶層12、中間結晶層14および表面結晶層16は、本発明における「下地層」、「中間層」および「表面層」の一具体例にそれぞれ対応する。
【0023】図2は、結晶基板10における第1のマスクパターン13と第2のマスクパターン15の形状を説明するための断面図である。前述のとおり、第1のマスクパターン13では、ストライプ130の幅d1 が5μm、その間隔d2 が4μmであり、両者を合わせた配列周期p1 は9μmとなる。また、第2のマスクパターン15では、ストライプ150の幅d3 が4μm、その間隔d4 が4μmであり、両者を合わせた配列周期p2 は8μmとなる。第1のマスクパターン13と第2のマスクパターン15の配列周期が互いに異なっているため、図2に符号Rで示したように、一方のマスクパターンの開口部と他方のマスクパターンのストライプとが重なり合う領域が生じる。この領域R上に、以下に説明するように半導体レーザ素子を形成する。
【0024】図3は、結晶基板10を用いて形成した半導体レーザ素子100の断面図である。半導体レーザ素子100は、次のようにして形成する。まず、結晶基板10の表面に、例えばMOCVD法などを用いてSiを所定量ドープしたGaN膜を成長させることにより、n型GaNからなるn型コンタクト層101を形成する。次に、n型コンタクト層101の上にSiを所定量ドープしたAlGaN膜を成長させることにより、n型AlGaNからなるクラッド層102を形成する。続いて、クラッド層102の上にSiを所定量ドープしたGaN膜を成長させることにより、n型GaNからなるガイド層103を形成する。次に、ガイド層103の上にGaInN膜を形成し、多重量子井戸構造の活性層104を形成する。
【0025】続いて、活性層104の上にMgを所定量ドープしたAlGaN膜を形成することにより、p型AlGaNからなるキャップ層105を形成する。次に、キャップ層105の上にMgを所定量ドープしたGaN膜を成長させることにより、p型GaNからなるガイド層106を形成する。続いて、ガイド層106の上にMgを所定量ドープしたAlGaN膜を形成することにより、p型AlGaNからなるクラッド層107を形成する。クラッド層107の上にMgを所定量ドープしたGaN膜を形成することにより、p型GaNからなるp型コンタクト層108を形成する。続いて、p型コンタクト層108およびクラッド層107を例えばドライエッチング法によりストライプ状にパターンニングし、いわゆるレーザーストライプを形成する。
【0026】続いて、n−電極111を形成する位置に対応して、クラッド層102、ガイド層103、活性層104、キャップ層105、ガイド層106、クラッド層107およびp型コンタクト層108をフォトリソグラフィ法などにより除去し、n型コンタクト層101を露出させる。続いて、表面全体を絶縁膜112で覆うと共に、n−電極110とp−電極111を形成する。なお、n−電極110は、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)、Pt(白金)およびAu(金)を積層して加熱処理により合金化した構造を有している。また、p−電極111は、Ni(ニッケル)、PtおよびAuを積層して加熱処理により合金化した構造を有している。
【0027】このようにして、図3に示したような半導体レーザ素子100を得ることができる。発光領域であるレーザストライプ(すなわち、パターンニングされたp型コンタクト層108とクラッド層107)は、結晶基板10において第1のパターン13の開口と第2のパターン15のストライプとが重なり合う領域の上部に形成されている。なお、活性層104の上下に位置するガイド層103,106は、活性層104よりも屈折率が高く、両ガイド層103,106の間で光を閉じこめる構造になっている。
【0028】なお、半導体レーザ素子100は、本発明における「デバイス」の一具体例に対応し、n型コンタクト層101からp型コンタクト層108までの積層体、n−電極110およびp−電極111は、本発明における「素子膜」の一具体例に対応する。
【0029】次に、第1の実施の形態による効果について説明する。図2に符号Tで示した転位は、基体11と下地結晶層12との界面で発生し、下地結晶層12などの成長に伴って基体11の表面にほぼ直交する方向に延びる。このとき、第1のパターン13と第2のパターン15が結晶基板10の厚さ方向に互いに重なり合わない領域(すなわち、一方のパターンの開口部と他方のパターンのストライプとが重なり合う領域)Rでは、転位の一部は第1のマスクパターン13のストライプ130によって成長を阻まれ、残りの転位は第2のマスクパターン15のストライプ150によって成長を阻まれる。すなわち、この領域Rにおいては、転位が結晶基板10の表面に達することが確実に防止される。
【0030】さらに、第1のマスクパターン13の配列周期p1 と第2のマスクパターン15の配列周期p2 が異なっているため、そのストライプ130およびストライプ150が互いに平行になるようにしさえすれば、第1のマスクパターン13と第2のマスクパターン15とが重なり合わない領域Rを生じさせることができる。従って、第1のマスクパターン13と第2のマスクパターン15を正確に位置決めする必要がなくなり、それだけ製造が簡単になる。つまり、製造工程を複雑にすることなく、貫通転位の無い高品質の結晶基板を得ることができる。
【0031】なお、第1のマスクパターン13のストライプ130の配列周期p1 と第2のマスクパターン15ストライプ150の配列周期p2 は、必要に応じて適宜設定することができる。例えば、半導体レーザ素子100を製造する場合、結晶基板10上に形成するレーザストライプ(クラッド層107およびp型コンタクト層108)同士の間隔は1μm以上5mm以下であるが、この1μm以上5mm以下の範囲に貫通転位のない領域Rを1箇所ないし10箇所設けるには、第1のマスクパターン13のストライプ130の配列周期p1 と第2のマスクパターン15のストライプ150の配列周期p2 が以下の(1)式を満たすようにする。
0.1μm<p1 ×p2 /|p2 −p1 |<5000μm・・・(1)
【0032】[第1の変形例]次に、本実施形態の第1の変形例について説明する。この変形例では、第2のマスクパターンの形状が異なる以外は、第1の実施の形態と同様である。以下、第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0033】図4は、第1の変形例に係る結晶基板10Aの断面形状を表す図である。この結晶基板10Aでは、第1のマスクパターン13は第1の実施の形態と全く同様に形成されているが、第2のマスクパターン15Aは、配列周期の異なる2種類のストライプを有するよう構成されている。例えば、第2のマスクパターン15Aは、間隔5μmで配列された幅4μmのストライプ152と、間隔5μmで配列された幅7μmのストライプ154とを有している。この場合、ストライプ152の配列周期p3 は9μmとなり、ストライプ154の配列周期p4 は12μmとなる。これら2種類のストライプは規則的に組みあわせても良いしランダムに組みあわせても良い。
【0034】このように、第2のマスクパターン15Aが複数の配列周期の異なる2種類のストライプを有するようにしたため、第1のマスクパターン13と第2のマスクパターン15Aを互いのストライプが平行になるようにしさえすれば、第1のマスクパターン13と第2のマスクパターン15Aとが重なり合わない領域Rを生じさせることができる。この領域Rでは、第1の実施の形態と同様、貫通転位の発生を確実に防止することができる。従って、製造工程を複雑にすることなく、貫通転位の無い高品質の結晶基板または結晶膜を得ることができる。
【0035】なお、この変形例では、第2のマスクパターン15Aが複数の配列周期の異なる2種類のストライプを有するようにしたが、配列周期の異なる3種類以上のストライプを有するようにしても良い。さらに、第1のマスクパターン13が配列周期の異なる複数種類のストライプを有するようにしても良い。
【0036】[第2の変形例]次に、本実施形態の第2の変形例について説明する。この変形例では、第2のマスクパターン15の形状が異なる以外は、第1の実施の形態と同様である。以下、第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0037】図5は、第2の変形例に係る結晶基板10Bの断面形状を表す図である。第1のマスクパターン13は、第1の実施の形態と全く同様に構成されている。一方、第2のマスクパターン15Bは、隣接するストライプの間隔を2種類有している。すなわち、第2のマスクパターン15Bは、例えば4μm間隔で配列された幅5μmのストライプ156を有しているが、図中Sで示したように、ストライプ156の間隔が異なる(例えば7μmとなっている)部分が設けられている。このようにストライプ156の間隔が異なる部分は規則的に設けても良いしランダムに設けても良い。
【0038】このように、第2のマスクパターン15Bにおいて、ストライプ156の間隔が他と異なる部分を設けたので、第1のマスクパターン13と第2のマスクパターン15Bを互いのストライプが平行になるようにしさえすれば、第1のマスクパターン13と第2のマスクパターン15Bとが重なり合わない領域Rを生じさせることができる。すなわち、製造工程を複雑にすることなく、貫通転位の無い高品質の結晶基板または結晶膜を得ることができる。
【0039】なお、第2のマスクパターン15Aには、ストライプ156の間隔が他と異なる部分を設ける代わりに、ストライプ156の幅が他と異なる部分を設けても良い。また、第1のマスクパターン13に、ストライプ130の間隔または幅が他と異なる部分を設けても良い。
【0040】[第3の変形例]次に、本実施形態の第3の変形例について説明する。図6は、第3の変形例に係る結晶基板10Cの構成を表す図である。この変形例は、第1のマスクパターン13Cと第2のマスクパターン15Cの形状が異なる以外は第1の実施の形態と同様である。以下、第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。なお、図6において、表面結晶層16は図示を省略する。
【0041】図6に示したように、第1のマスクパターン13Cは、菱形のマスク部137と、そのマスク部137周囲の開口部138からなっている。マスク部137は、小さい方の内角θ1 が60°で大きい方の内角θ2 が120°の菱形形状を有しており、その2組の辺に平行な2方向(以下、a方向およびb方向とする。)においてそれぞれ等間隔に配列されている。第2のマスクパターン15Cは、菱形の開口部157と、その開口部157の周囲のマスク部158とからなっている。開口部157は、小さい方の内角θ1 が60°で大きい方の内角θ2 が120°の菱形形状を有しており、その2組の辺が上記a方向およびb方向にそれぞれ一致するように形成されている。また、開口部157は上記a方向およびb方向にそれぞれ等間隔に配列されている。
【0042】第1のマスクパターン13Cのマスク部137は、a方向およびb方向において共通の配列周期p1 を有している。また、第2のマスクパターン15Cの開口部157は、a方向およびb方向において共通の配列周期p2 を有している。各パターンのa方向における配列周期とb方向における配列周期が同じであるため、第1のマスクパターン13Cのマスク部137と第2のマスクパターン15Cの開口部157とが重なり合う領域が、a方向とb方向のいずれにおいても同じ間隔で生じる。例えば、配列周期p1 を8μmとし、配列周期p2 を9μmとすると、第1のマスクパターン13Cのマスク部137と第2のマスクパターン15Cの開口部157とが重なり合う領域は、a方向とb方向のいずれにおいても72μm毎に生じる。
【0043】図7は、図6に示した結晶基板10Cのa方向に沿った断面図(A−A断面図)であり、これはb方向に沿った断面図(B−B断面図)と同じである。図7に示したように、一方のマスクパターンのマスク部と他方のマスクパターンの開口部とが重なり合う領域Rは、転位が結晶基板10Cの表面まで達しない領域、すなわち貫通転位のない領域となる。
【0044】このように、この変形例によると、第1のマスクパターン13Cと第2のマスクパターン15Cを、回転方向に位置合わせして(すなわち、マスク部137および開口部157の配列方向が互いに平行になるようにして)重ね合わせるだけで、マスク部137と開口部157が重なり合う領域がa方向およびb方向において例えば72μm間隔で現れるようになる。従って、第1のマスクパターン13Cと第2のマスクパターン15Cの位置合わせが簡単になる。
【0045】なお、マスク部137および開口部157の形状は、菱形以外では、三角形(特に正三角形)、六角形(特に正六角形)、あるいは平行四辺形(特に、60°または90°の内角を持つ平行四辺形)であることが望ましい。さらに、一方のマスクパターンのマスク部と他方のマスクパターンの開口部とが重なり合う領域が、2つの方向において同じ間隔で(あるいは、一方向における間隔が、他の方向における間隔の整数倍になるように)現れるようにすることが望ましい。
【0046】[第4の変形例]次に、本実施の形態の第4の変形例について説明する。第1の実施の形態およびその第1ないし第3の変形例では、図1(F)に示したように基体11および結晶層12,14,16を一体としたものを結晶基板10とした。しかしながら、基体11と幾つかの結晶層を除去して、表面結晶層16のみからなる結晶基板、(あるいは、表面結晶層16と他の結晶層からなる結晶基板)を得ることができる。なお、基体11などを除去する方法としては、例えばレーザ光を照射する方法、超音波により振動を与える方法などがある。このようにして製造された結晶基板を用いて半導体レーザ素子を形成することも可能である。図8は、表面結晶層16のみからなる結晶基板10Dを用いて形成した半導体レーザ素子100Aの一例を表す断面図である。結晶基板10D上に形成されている各素子層は、図3に示した第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0047】[第2の実施の形態]次に、本発明の第2の実施の形態に係る窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法について説明する。図9および図10は、本実施の形態に係る窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法を説明するための工程毎の断面図である。
【0048】図9(A)に示したように、第1の実施の形態と同様、例えばAl2 3 からなる基体21を用いる。なお、基体21の材料としては、Al2 3 の他に、Si、SiC、GaAs、MgAl2 4 、LiGaO2 およびGaNを用いることができる。
【0049】次に、図9(B)に示したように、基体21の上に、例えばMOCVD法、MBE法あるいはその他の気相成長法を用いてGaNを結晶成長させることにより、下地結晶層22を形成する。
【0050】続いて、図9(C)に示したように、下地結晶層22の表面に例えばスパッタ法によりSiO2 およびSi3 4 の2層からなる膜をこの順に積層形成し、フォトリソグラフィー法およびドライエッチング法によりパターニングすることにより、第1のマスクパターン23を形成する。第1のマスクパターン23は、4μmの間隔を開けて配置された幅5μmの多数の平行なストライプ230を有しており、各ストライプ230はSi3 4 からなる下層23aとSiO2 からなる上層23bを含んでいる。このストライプ230の配列周期は9μmとなる。
【0051】次に、図9(D)に示したように、第1のマスクパターン23を窓として例えばドライエッチングを行い、下地結晶層22の第1のマスクパターン23に覆われていない部分を選択的に除去する。エッチング深さは、下地結晶層22を基体21に達するまで除去するに十分な深さとする。なお、ドライエッチングは、例えばRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)法を用いて行うのが望ましい。
【0052】次に、図9(E)に示したように、下地結晶層22上に、例えばMOCVD法などを用いてGaNの結晶を成長させることにより、中間結晶層24を形成する。このとき、中間結晶層24は、下地結晶層22に形成されたエッチング溝の側面から主に成長する。中間結晶層24は、第1のマスクパターン23を完全に覆う厚さまで成長させる。
【0053】続いて、図9(F)に示したように、中間結晶層24の表面に、例えばスパッタ法によりSiO2 からなる膜を形成し、フォトリソグラフィー法およびドライエッチング法によりパターニングして第2のマスクパターン25を形成する。第2のマスクパターン25は、4μmの間隔で配列された幅4μmの多数のストライプ250を有しており、このストライプ250の配列周期は8μmとなる。
【0054】次に、図9(G)に示したように、第2のマスクパターン25を窓として例えばRIE法によるドライエッチングを行い、中間結晶層24の第2のマスクパターン25に覆われていない部分を選択的に除去する。エッチング深さは、中間結晶層24を第1のマスクパターン23に達するまで除去するに十分な深さとする。このとき、上述の第1のマスクパターン23がエッチングストッパーとなるため、中間結晶層24の第1のマスクパターン23より下の部分は除去されない。
【0055】次に、図10(A)に示したように、例えばフッ化水素水を用いて、SiO2からなる第2のマスクパターン25(図9(G))を完全に除去する。このとき、第1のマスクパターン23のうちSiO2 からなる上層23bが除去され、Si3 4 からなる下層23aは除去されずに残る。
【0056】続いて、図10(B)に示したように、例えばMOCVD法などを用いて、中間結晶層24の表面および周囲にさらにGaNの結晶層を成長させ、表面結晶層26とする。この表面結晶層26は、中間結晶層24に形成されたエッチング溝の側面から主に成長する。このようにして、図10(B)に示したような結晶基板20が形成され、この結晶基板20の表面に半導体レーザ素子を構成する多層膜を成長させる。半導体レーザ素子を構成する多層膜の形成工程は、図3に示した第1の実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。なお、この結晶基板20は結晶膜であっても良い。
【0057】なお、本実施の形態では、基体21および結晶層22,24,26が一体となったものを結晶基板20としたが、基体21と下地結晶層22および中間結晶層24を(あるいは、さらに表面結晶層26の一部を)除去することによって、結晶性の良好な表面結晶層26のみからなる結晶基板を形成することもできる。また、このようにして形成された結晶基板を用いて半導体レーザ素子などを形成することも可能である。
【0058】ここで、結晶基板20は、本発明における「結晶基板」の一具体例、または「結晶膜」の一具体例に対応する。また、下地結晶層22、中間結晶層24および表面結晶層26を合わせたものが、本発明における「結晶」の一具体例に対応する。また、第1のマスクパターン23およびエッチングされた中間結晶層24は、本発明における「複数のパターン」の一具体例にそれぞれ対応する。加えて、ストライプ230およびストライプ250は、本発明における「構成部分」の一具体例にそれぞれ対応する。さらに、下地結晶層22、中間結晶層24および表面結晶層26は、本発明における「下地層」、「中間層」および「表面層」の一具体例にそれぞれ対応する。
【0059】次に、本実施の形態の効果について説明する。図9(E)において、基体21と下地結晶層22との界面で発生した転位(図示せず)は、下地結晶層22などの成長に伴って基体21の表面にほぼ直交する方向に延びる。しかしながら、中間結晶層24は下地結晶層22のエッチング溝の側面から成長するため、下地結晶層22中に存在する転位が中間結晶層24に伝播しにくい。
【0060】また、第1のマスクパターン23のストライプ230の上から新しい転位が延びたとしても、図9(G)に符号Rで示した領域(すなわち、第1のマスクパターン23のストライプ230と第2のマスクパターン25の開口部とが重なり合う領域)では、中間結晶層24のストライプ230の上部に位置する部分が除去される。従って、表面結晶層26に転位が伝播する可能性が極めて少なくなる。従って、第1の実施の形態と同様、結晶基板20には貫通転位が殆ど無い領域Rが形成される。
【0061】また、第1のマスクパターン23のストライプ230の配列周期と第2のマスクパターン25のストライプ250の配列周期が異なっているため、両マスクパターンのストライプ230およびストライプ250が互いに平行になるようにしさえすれば、第1のマスクパターン23および第2のマスクパターン25が重なり合う領域Rを生じさせることができる。すなわち、製造工程を複雑にすることなく、貫通転位のない結晶基板または結晶膜を形成することができる。
【0062】第1の実施の形態と同様、第1のマスクパターン23のストライプ230の配列周期p1 と第2のマスクパターン25の第2のマスクパターン250の配列周期p2 は、例えば上述の(1)式を満足するように適宜設定することができる。また、第1の実施の形態の第1の変形例ないし第4の変形例については、いずれも第2の実施の形態に適用することができる。
【0063】[第3の実施の形態]次に、本発明の第3の実施の形態に係る窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法について説明する。図11は、本実施の形態に係る窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法を説明するための工程毎の断面図である。
【0064】図11(A)に示したように、第1および第2の実施の形態と同様、窒化物系III−V族化合物であるGaNと格子定数および熱膨張係数が近い例えばAl2 3 からなる結晶基板31を用いる。次に、図11(B)に示したように、結晶基板31の上に、例えばMOCVD法、MBE法あるいはその他の気相成長法を用いてGaNを結晶成長させることにより、下地結晶層32を形成する。
【0065】続いて、図11(C)に示したように、例えばドライエッチングにより下地結晶層32にストライプ状の凹部330を多数形成することにより、第1の凹凸パターン33を形成する。この第1の凹凸パターン33の凹部330は、一方向に4μmの間隔を開けて形成された幅5μmの平行なストライプ状に形成されており、その配列周期p1 は9μmとなる。
【0066】次に、図11(D)に示したように、下地結晶層32の表面に例えばMOCVD法などを用いてGaNの結晶層を成長させ、中間結晶層34を形成する。続いて、図11(E)に示したように、例えばドライエッチングにより中間結晶層34の表面にストライプ状の凹部350を多数形成し、第2の凹凸パターン35とする。この第2の凹凸パターン35の凹部は、第1の凹凸パターン33と平行な方向に4μmの間隔を開けて形成された幅4μmの平行なストライプ状に形成されており、その配列周期p2 は8μmとなる。
【0067】続いて、図11(F)に示したように、例えばMOCVD法などを用いて、中間結晶層34の表面にさらにGaNの結晶層を成長させ、表面結晶層36とする。このようにして、図11(F)に示したような結晶基板30が形成され、この結晶基板30の表面に半導体レーザ素子を構成する多層膜を成長させる。半導体レーザ素子を構成する多層膜の形成工程は、図3に示した第1の実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。なお、結晶基板30は結晶膜であっても良い。
【0068】ここで、結晶基板30は、本発明における「結晶基板」の一具体例、または「結晶膜」の一具体例に対応する。また、下地結晶層32、中間結晶層34および表面結晶層36を3層合わせたものが、本発明における「結晶」の一具体例に対応する。さらに、第1の凹凸パターン33および第2の凹凸パターン35は、本発明における「複数のパターン」の一具体例に対応する。加えて、ストライプ330およびストライプ350は、本発明における「構成部分」の一具体例にそれぞれ対応する。さらに、下地結晶層32、中間結晶層34および表面結晶層36は、本発明における「下地層」、「中間層」および「表面層」の一具体例にそれぞれ対応する。
【0069】次に、本実施の形態の効果について、図11(F)を参照して説明する。第1の凹凸パターン33と第2の凹凸パターン35の配列周期が互いに異なっているため、図11(F)に符号Rで示したように、第1の凹凸パターン33と第2の凹凸パターン35とが重なり合わない領域が生じる。
【0070】基体31と下地結晶層32との界面で発生した転位(図示せず)は、下地結晶層32などの成長に伴って基体31の表面にほぼ直交する方向に延びる。しかしながら、上記の領域Rでは、転位の一部は第1の凹凸パターン33の凹部330によってその成長方向が横方向に曲げられる。また、転位の残りの部分は第1の凹凸パターン33の凹部以外の部分(すなわち凸部)を通過して成長するが、第2の凹凸パターン35の凹部350によって成長方向が横方向に曲げられる。従って、第1および第2の実施の形態と同様、結晶基板30には貫通転位が殆ど無い領域Rが形成される。
【0071】また、第1の凹凸パターン33の配列周期と第2の凹凸パターン35の配列周期が異なっているため、両凹凸パターンの凹部330および凹部350が互いに平行になるようにしさえすれば、第1の凹凸パターン33および第2のマスクパターン35が重なり合う領域Rを生じさせることができる。すなわち、第1および第2の実施の形態と同様、製造工程を複雑にすることなく、貫通転位のない結晶基板または結晶膜を形成することができる。
【0072】第1の実施の形態と同様、第1の凹凸パターン33の凹部330の配列周期p1 と第2の凹凸パターン35の凹部350の配列周期p2 は、例えば上述の(1)式を満足するように適宜設定することができる。また、第1の実施の形態の第1の変形例ないし第4の変形例については、いずれも第3の実施の形態に適用することができる。
【0073】以上、いくつかの実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記の各実施の形態では、結晶基板の表面に半導体レーザ素子を構成する多層膜を形成するようにしたが、半導体レーザ素子の代わりに発光ダイオード、半導体デバイスなどを形成することも可能である。また、上述した実施の形態では、活性層とクラッド層の間にガイド層が配置されたいわゆるSCH(Separate Confinement Heterostructure)型の半導体レーザ素子を構成する場合について説明したが、他の種々のタイプのレーザ構造に適用することができる。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし請求項20に記載の窒化物系III−V族化合物の結晶製造方法、請求項21に記載の窒化物系III−V族化合物結晶基板、請求項22に記載の窒化物系III−V族化合物結晶膜、および請求項23または請求項24に記載のデバイスの製造方法によれば、結晶の厚さ方向における互いに異なる箇所に形成した複数のパターンを、少なくとも一部では厚さ方向に互いに重なり合い、少なくとも一部では厚さ方向に互いに重なり合わないようにしたので、複数のパターンが重なり合わない領域において転位が結晶の表面に達するのを防止することができ、この領域を使用することにより貫通転位の無い良質な結晶(例えば結晶基板または結晶膜)を得ることができるという効果を奏する。また、2つのパターンを面内方向に位置合わせしなくても、複数のパターンが重なり合わない領域(すなわち、貫通転位の無い領域)を形成することができるので、位置決め作業が簡単になるという効果を奏する。




 

 


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