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発明の名称 スパッタリング用ターゲットおよびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−89849(P2001−89849A)
公開日 平成13年4月3日(2001.4.3)
出願番号 特願平11−267136
出願日 平成11年9月21日(1999.9.21)
代理人 【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
【テーマコード(参考)】
4K029
5D075
【Fターム(参考)】
4K029 BC06 BD11 DC04 DC09 
5D075 GG03 GG16
発明者 永田 尊礼 / 佐々木 学 / 木村 均 / 横山 紀夫
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 少なくとも1種類の希土類元素とFe、Co、Ni、CrおよびSiからなる群より選ばれた少なくとも2種類の元素とからなる、少なくとも1種類以上の希土類合金粉末を65重量パーセント以上含有し、かつ、少なくとも一度スパッタリングに用いられたターゲットを用いて作製されたリサイクル合金粉末を少なくとも1種類以上含有する合金粉末から製造されることを特徴とするスパッタリング用ターゲット。
【請求項2】 上記合金粉末が上記希土類合金粉末を70重量パーセント以上含有することを特徴とする請求項1記載のスパッタリング用ターゲット。
【請求項3】 上記合金粉末が、透磁率が2以下の上記希土類合金粉末を50重量パーセント以上含有することを特徴とする請求項1記載のスパッタリング用ターゲット。
【請求項4】 上記透磁率が2以下の上記希土類合金粉末が、希土類金属を35重量パーセント以上含有することを特徴とする請求項3記載のスパッタリング用ターゲット。
【請求項5】 上記合金粉末の透磁率が2以下であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリング用ターゲット。
【請求項6】 金属不純物含有率が、0.1重量パーセント以下であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリング用ターゲット。
【請求項7】 上記リサイクル合金粉末が、上記スパッタリングに少なくとも一度用いられたターゲットからなる上記希土類合金粉末を30重量パーセント以上含有することを特徴とする請求項1記載のスパッタリング用ターゲット。
【請求項8】 透磁率が2以下であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリング用ターゲット。
【請求項9】 理論密度比が97パーセント以上であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリング用ターゲット。
【請求項10】 少なくとも1種類の希土類元素とFe、Co、Ni、CrおよびSiからなる群より選ばれた少なくとも2種類の元素とからなる、少なくとも1種類の希土類合金粉末を65重量パーセント以上含有し、かつ、少なくとも一度スパッタリングに用いられたターゲットを用いて作製されたリサイクル合金粉末を少なくとも1種類含有する合金粉末からターゲットを製造するようにしたことを特徴とするスパッタリング用ターゲットの製造方法。
【請求項11】 上記合金粉末が上記希土類合金粉末を70重量パーセント以上含有することを特徴とする請求項10記載のスパッタリング用ターゲットの製造方法。
【請求項12】 上記合金粉末が、透磁率が2以下の上記希土類合金粉末を50重量パーセント以上含有していることを特徴とする請求項10記載のスパッタリング用ターゲットの製造方法。
【請求項13】 上記透磁率が2以下の上記希土類合金粉末が、希土類金属を35重量パーセント以上含有することを特徴とする請求項12記載のスパッタリング用ターゲットの製造方法。
【請求項14】 上記合金粉末の透磁率が2以下であることを特徴とする請求項10記載のスパッタリング用ターゲットの製造方法。
【請求項15】 上記リサイクル合金粉末が、上記スパッタリングに少なくとも一度用いられたターゲットから作製された上記希土類合金粉末を30重量パーセント以上含有することを特徴とする請求項10記載のスパッタリング用ターゲットの製造方法。
【請求項16】 スパッタリングに少なくとも一度用いられたターゲットとターゲットの作製に1度も用いられていない材料とから作製されたインゴットを、噴霧法により粉末化することによって上記リサイクル合金粉末を作製するようにしたことを特徴とする請求項10記載のスパッタリング用ターゲットの製造方法。
【請求項17】 上記噴霧法がガスアトマイズ法であることを特徴とする請求項16記載のスパッタリング用ターゲットの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スパッタリング用ターゲットおよびその製造方法に関し、特に、光磁気記録媒体の製造の際のスパッタリングに用いられる合金ターゲットに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ミニディスク(Mini Disc 、MD)のような一般カスタマーを対象としたAV用の記録媒体(メディア)においては価格戦略が重要であり、メディアにおける価格低下が求められている。そして、この価格低下の要請にともなって、メディアの製造コストの低減が求められている。メディアの製造コストの低減に関しては、メディアにおける記録材料の形成に用いられるターゲットの厚みが重要な要素を占めている。
【0003】すなわち、メディアの製造においては、記録材料の成膜にマグネトロンスパッタリング法などが採用される。そして、マグネトロンスパッタリング法による記録材料の成膜時に、記録材料を含有するターゲットが用いられる。このターゲットは、希少元素で、かつ高価な希土類元素を主成分として構成されている。ところが、ターゲットのうちでスパッタされて成膜に寄与する部分は、ターゲット全体の30〜50%程度であり、ターゲットのその他の部分は破棄されてしまう。そのため、ターゲットの厚みを大きくすることにより、ターゲットのうちのスパッタされて成膜に寄与する部分を多くすることが望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在使用されているメディア製造用のターゲットの透磁率は5前後である。これにより、プラズマを安定して放電させつつ、スパッタリングを行うことが可能なターゲットの厚みは、最大で8mm程度である。
【0005】そこで、8mm以上の厚みを有するターゲットの製造に関して、研究開発が行われており、様々な提案がなされている。
【0006】例えば、機械粉砕して得られた合金粉末をホットプレスにより成形した、透磁率が3以下のターゲットの製造についての技術が提案されている(特開平10−251847号公報、文献1)。文献1には、機械粉砕することにより得られた合金粉末をホットプレスによって成形した、透磁率が3以下の光磁気記録用合金ターゲットの製造方法と、使用済みのターゲットを機械粉砕して合金粉末として再生し、未使用の合金粉末と混合して作製した透磁率が3以下の光磁気記録用合金ターゲットの製造方法とが記載されている。
【0007】そして、文献1においては、原料および使用済みのターゲットを溶解して急冷合金を作製し、この急冷合金を機械粉砕して合金粉末を得、低透磁率、低酸素含有量、希土類金属−遷移金属の単一焼結組織を有する厚さが8mm以上のターゲットを作製することが可能であると記載されている。
【0008】しかしながら、本発明者が、上述の文献1に記載されたような合金粉末に関して、種々実験を行ったところ、文献1に記載された合金粉末においては、金属不純物含有量が実用に適さないほど高い値であるとの知見を得るに至った。
【0009】そこで、本発明者は、この原因について鋭意検討を行い、次のような問題点を知見するに至った。すなわち、文献1に記載された合金粉末は、機械粉砕により作製されている。希土類合金は非常に硬いため、粉砕装置側の粉砕部分が摩耗しやすい。そのため、機械粉砕により作製された合金粉末において金属不純物含有量が高くなり、さらには、この合金粉末を用いて作製されたターゲットにおいても金属不純物含有量が高くなってしまう。
【0010】また、文献1に記載された透磁率が3以下の光磁気記録用合金ターゲットにおいては、全てのマグネトロンスパッタリング装置において、十分な漏洩磁束を得ることができず、このターゲットをスパッタすることができないという問題も生じていた。
【0011】すなわち、本発明者は、文献1に記載されたような合金粉末から透磁率が2.1、厚さが10mmのターゲットを作製し、このターゲットをスパッタリング装置の所定位置に装着して、スパッタリングを行ってみたが、このターゲットをスパッタすることはできなかった。
【0012】また、文献1には、透磁率が2.3以下の光磁気記録用合金ターゲットについての記載はないが、上述したように、本発明者の知見によれば、文献1に記載されたような、透磁率が2.3程度で厚さが10mmのターゲットでは、ターゲットをスパッタすることはできないという問題があった。
【0013】したがって、この発明の目的は、高価な希土類金属を有効的に利用することができ、これによって環境に悪影響を与えず、かつ低コスト化を図ることができるとともに、低透磁率化されスパッタ可能なターゲットを得ることができるスパッタリング用ターゲットおよびその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来技術が有する上述の課題を解決すべく、鋭意検討を行った。以下にその概要を説明する。
【0015】すなわち、本発明者の知見によれば、厚さが10mm以上のターゲットを作製するにあたり、高価な希土類金属を有効に利用するためには、使用済みのターゲットを用いてリサイクル合金粉末を作製し、このリサイクル合金粉末を用いて新しいターゲットを作製するのが望ましく、本発明者は、リサイクル合金粉末を含む希土類合金粉末に関して種々実験を行った。
【0016】本発明者は、まず、作製するターゲットの理論密度比についての検討を行った。すなわち、本発明者の知見によれば、希土類合金粉末は非常に酸化しやすく、ほとんど希土類合金粉末で構成されるターゲットの理論密度比が低いとターゲット自体の酸化が進んでしまう。そのため、このターゲットを使用して作製したメディアは、十分な特性が得られなくなってしまう。ここで、スパッタリング法における成膜レートとターゲットのライフとの関係を、ターゲットの理論密度比が95%の場合と97%の場合との2通りの場合について、図3に示す。
【0017】図3より、理論密度比が97%と高い場合、スパッタにおける成膜レートの変動量が小さくなることがわかる。すなわち、ターゲットの厚さを一定とした場合、理論密度比の高いほうがターゲットライフを延ばすことが可能であり、メディアの製造コストの低減を図ることが可能である。
【0018】これにより、ターゲットの理論密度比を95%以上、好適には97%以上とすることが好ましい。以下の検討においては、理論密度比が97%以上の場合について述べる。
【0019】まず、本発明者は、希土類合金粉末の組成を決定するために、希土類合金粉末の透磁率の、希土類合金粉末中の希土類金属の含有率依存性について実験を行った。その結果を図4に示す。
【0020】図4より、希土類合金粉末の透磁率は、希土類合金粉末中の希土類金属の含有率が20重量%前後では5以上となり、35重量%以上で2以下になることが分かる。これにより、希土類合金粉末において透磁率を2以下に制御するには、希土類合金粉末中の希土類金属の含有率を35重量%以上、好適には、40重量%以上とすることが好ましい。
【0021】さらに、本発明者は、希土類合金粉末を用いて作製されたターゲットに関し、ターゲットの透磁率および理論密度比の、合金粉末中における希土類合金粉末の含有量依存性について実験を行った。その結果を図5に示す。なお、図5において、ターゲットの透磁率を■で示し、理論密度比を○で示す。
【0022】図5より、ターゲットの透磁率は、ターゲットの作製に用いられる合金粉末中の希土類合金粉末の含有率が65重量%未満のときに、2より大きくなり、合金粉末中の希土類合金粉末の含有率が誤差などを考慮して65重量%以上、好適には70重量%以上のときに、2以下になることが分かる。
【0023】これにより、ターゲットの原料となる合金粉末中における希土類合金粉末の含有量を65重量%以上、好適には70重量%以上とすることが好ましい。
【0024】また、本発明者は、ターゲットの透磁率および理論密度比について、さらに、実験検討を行った。図6は、ターゲットの透磁率および理論密度比の、合金粉末中における透磁率が2以下(具体的には1.5程度)に制御された希土類合金粉末の含有率依存性を示す。なお、図6において、ターゲットの透磁率を■で示し、理論密度比を○で示す。
【0025】図6より、ターゲットの原料となる合金粉末中において、透磁率が2以下の希土類合金粉末の含有率が、50重量%未満のときにターゲットの透磁率が2より大きくなり、50重量%以上のときにターゲットの透磁率が2以下になることが分かる。
【0026】これにより、ターゲットの原料となる合金粉末中において、透磁率が2以下の希土類合金粉末の含有率を50重量%以上とすることが好ましい。
【0027】本発明者は、上述の種々の実験および鋭意検討を総合して、リサイクル合金粉末を用いつつターゲットの透磁率を2以下に制御するには、少なくとも、ターゲットの原料となる合金粉末において、リサイクル合金粉末を含む希土類合金粉末の含有率を65重量%以上とすることが必要であることを知見するに至った。
【0028】この発明は、本発明者による以上の検討およびこれに伴う実験に基づいて案出されたものである。
【0029】すなわち、上記目的を達成するために、この発明の第1の発明は、少なくとも1種類の希土類元素とFe、Co、Ni、CrおよびSiからなる群より選ばれた少なくとも2種類の元素とからなる、少なくとも1種類以上の希土類合金粉末を65重量パーセント以上含有し、かつ、少なくとも一度スパッタリングに用いられたターゲットを用いて作製されたリサイクル合金粉末を少なくとも1種類以上含有する合金粉末から製造されることを特徴とするスパッタリング用のターゲットである。
【0030】この第1の発明において、典型的には、ターゲットの透磁率は2以下である。
【0031】この第1の発明において、十分な漏洩磁束強度を得ることができ、スパッタ可能なターゲットの厚さは、典型的には、8mm以上20mm以下であり、好適には10mm以上15mm以下である。
【0032】この発明の第2の発明は、少なくとも1種類の希土類元素とFe、Co、Ni、CrおよびSiからなる群より選ばれた少なくとも2種類の元素とからなる、少なくとも1種類の希土類合金粉末を65重量パーセント以上含有し、かつ、少なくとも一度スパッタリングに用いられたターゲットを用いて作製されたリサイクル合金粉末を少なくとも1種類含有する合金粉末からターゲットを製造するようにしたことを特徴とするスパッタリング用ターゲットの製造方法である。
【0033】この第2の発明において、ターゲットの製造に用いられる合金粉末の金属不純物含有量を実用に供するレベルとするために、典型的には、スパッタリングに少なくとも一度用いられたターゲットとターゲットの作製に1度も用いられていない材料とから作製されたインゴットを、噴霧法により粉末化することによってリサイクル合金粉末を作製する。また、この噴霧法としては、微細で組成偏析の少ない粉末を製造する観点から、典型的には、ガスアトマイズ法が用いられるが、単ロール法や遠心ディスク法などを用いることも可能である。
【0034】この発明において、リサイクル合金粉末とは、スパッタリングに少なくとも一度用いられたターゲットと、ターゲットの作製に一度も用いられていない新しい材料粉末および/または金属粉末とから作製されたインゴットを粉末化したものである。また、この発明において、典型的には、リサイクル合金粉末は、スパッタリングに少なくとも一度用いられたターゲットから作製された希土類合金粉末を30重量パーセント以上、好適には、50重量パーセント以上含有する。
【0035】この発明において、希土類元素とは、ランタノイド元素にSc(スカンジウム)とY(イットリウム)とを加えた元素の総称であり、具体的には、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジウム)、Nd(ネオジウム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)、YおよびScの総称である。
【0036】この発明において、透磁率が2以下に制御された希土類合金粉末を得るために、希土類合金粉末中に希土類金属を35重量パーセント以上含有している。
【0037】この発明において、典型的には、合金粉末は、透磁率が2以下の希土類合金粉末を50重量パーセント以上含有している。また、この希土類合金粉末における透磁率を2以下に制御するために、希土類合金粉末中における希土類金属の含有率は、典型的には30重量パーセント以上であり、好適には35重量パーセント以上である。
【0038】この発明において、透磁率が2以下のターゲットを作製するために、合金粉末の透磁率は2以下に制御される。
【0039】この発明において、典型的には、ターゲットの金属不純物含有率は、0.1重量パーセント以下である。また、合金粉末における金属不純物含有率は、0.1重量パーセント以下である。
【0040】この発明において、典型的には、ターゲットの理論密度比は、典型的には、97パーセント以上、好適には98パーセント以上である。
【0041】この発明において、ターゲットが用いられるスパッタリング装置は、典型的にはマグネトロンスパッタリング装置であるが、このターゲットをその他のスパッタリング装置を用いることも可能であり、具体的には、対向電極スパッタリング装置、電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタリング装置、高周波スパッタリング装置、リアクティブスパッタリング装置、バイアススパッタリング装置、コリメートスパッタリング装置、または長距離(LD)スパッタリング装置に用いることが可能である。
【0042】この発明において、好適には、スパッタリング用のターゲットは、FeTbCo、FeTbCr、FeTbCoCr、FeGdCo、FeDyCoおよびFeGdCoSiからなる群より選ばれた少なくとも1種類以上の希土類合金粉末を65重量パーセント以上含有し、かつ、少なくとも一度スパッタリングに用いられた、FeTbCo、FeTbCr、FeTbCoCr、FeGdCo、FeDyCoおよびFeGdCoSiからなる群より選ばれた少なくとも1種類以上の希土類合金からなるターゲットを用いて作製されたリサイクル合金粉末を少なくとも1種類以上含有する合金粉末から製造されたものである。
【0043】上述のように構成されたこの発明によるスパッタリング用ターゲットおよびその製造方法によれば、少なくとも1種類の希土類元素とFe、Co、Ni、CrおよびSiからなる群より選ばれた少なくとも2種類の元素とからなる、少なくとも1種類以上の希土類合金粉末を65重量パーセント以上含有し、かつ、少なくとも一度スパッタリングに用いられたターゲットを用いて作製されたリサイクル合金粉末を少なくとも1種類以上含有する合金粉末からスパッタリング用のターゲットを製造するようにしていることにより、スパッタリング用のターゲットを低透磁率化することができ、ターゲットの厚さを大きくすることができる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
【0045】まず、この発明の第1の実施形態によるスパッタリング用ターゲットの製造方法について説明する。
【0046】この第1の実施形態によるスパッタリング用のターゲットの製造方法においては、まず、マグネトロンスパッタリング法において少なくとも一度用いられたFeTbCoCrからなる4元系の使用済みターゲットと、同成分の新しい金属(Fe、Tb、Co、Cr)とを、使用済みターゲットの割合が30重量%以上、この第1の実施形態においては例えば50重量%になるように調合し、真空溶解炉(図示せず)においてインゴットを作製する。なお、後述するように、このインゴットは粉末化され希土類合金粉末から構成されるリサイクル合金粉末となるが、このリサイクル合金粉末を構成する希土類合金粉末中の希土類金属の含有率が35重量%以上、この第1の実施形態においては例えば42重量%となるようにする。
【0047】次に、ガスアトマイズ法によりアルゴン(Ar)ガスなどの不活性ガス雰囲気中において、このインゴットを粉末化することによって、FeTbCoCr合金から構成されるリサイクル合金粉末を作製する。このリサイクル合金粉末の透磁率を測定したところ、透磁率は1.5であることが確認された。ここで、ガスアトマイズ法に用いられるガスアトマイズ装置について、以下に具体的に説明する。
【0048】すなわち、図1に示すように、この第1の実施形態によるガスアトマイズ装置は、真空溶融炉1、造粒室2、サイクロン3およびコンテナ4が順に連結されて構成されている。
【0049】真空溶融炉1は、高周波誘導加熱法などにより材料を溶融するための炉である。また、真空溶融炉1の直下にはノズル5が設けられており、このノズル5の近傍にガスを噴射するためのガス導入口6が設けられている。
【0050】また、造粒室2は、真空溶融炉1において溶融された材料を、細かい霧状に噴射させることによって粉末化させ、粉末材料を作製するための処理室である。また、サイクロン3およびコンテナ4は、粉末材料を貯留しておくためのものである。
【0051】以上のように構成されたガスアトマイズ装置を用いて、FeTbCoCr合金からなるリサイクル合金粉末の作製が行われる。
【0052】すなわち、まず、上述した使用済みターゲットと同成分の新しい金属とから作製されたインゴットを、真空溶融炉1内において溶融する。次に、使用済みターゲットの溶融材料を真空溶融炉1からノズル5を通じて、連続的に造粒室2内に噴射するとともに、ガス導入口6を通じて造粒室2内に例えばArガスなどの不活性ガスを噴射する。これによって、溶融材料は細かい霧状になる。
【0053】次に、細かい霧状の溶融材料は、落下していく過程で急冷されて粉末化し、リサイクル合金粉末7となる。その後、リサイクル合金粉末7はさらにサイクロン3に導かれる。そして、リサイクル合金粉末7は、サイクロン3からコンテナ4に落下して貯留される。ここで、この球状粒子7の粒径および粒径分布は、溶融材料の温度、溶融材料のノズル5からの流量、ノズル径、噴射される不活性ガスの流量などにより制御される。その後、作製されたリサイクル合金粉末7は、最適な粒度分布になるように分級される。
【0054】次に、このリサイクル合金粉末7と例えばFe、Tb、CoおよびCrから構成される粉末との調合を行い、Arガス雰囲気中において乾式混合を行うことによって、ターゲットを作製するための合金粉末を作製する。この合金粉末においては、希土類合金粉末を65重量%以上、好適には70重量%以上含有し、かつ、透磁率が2以下の希土類合金粉末を50重量%以上含有するように調合する。この第1の実施形態においては、合金粉末を、透磁率が1.5のリサイクル合金粉末を例えば80重量%含有し、残りの部分は、所定のターゲット組成になるように調整された他の材料から構成するようにし、Feが66原子%、Tbが24原子%、Coが7原子%およびCrが3原子%のターゲットを作製可能な組成となるように調合する。これによって、上述の条件を満たす混合粉末が作製される。
【0055】次に、この混合粉末を用いて、スパッタリング用のターゲットを製造する。
【0056】すなわち、まず、図2Aに示すように、混合粉末10が貯留されたコンテナ11を用いて、カーボン型12の上方から、その内部に混合粉末10を投入する。次に、図2Bに示すように、カーボン型12および内部に投入された混合粉末10の上方から、カーボン型12の内部に加圧用パンチ棒13を挿入する。次に、図2Cに示すように、カーボン型12を所定の加圧焼成装置(図示せず)に装填し、加圧用パンチ棒13を通じて、混合粉末10に圧力を加えながら加熱することにより、焼成を行う。焼成が終了した後、図2Dに示すように、加圧を除くとともに冷却した後、カーボン型12から、混合粉末10が焼成されて作製された焼成体15を取り出す。
【0057】その後、上述のようにして作製された焼成体15の外周面および表裏面を例えば1mm程度研削する。これにより、目的とする、例えば、Feが66原子%、Tbが24原子%、Coが7原子%およびCrが3原子%となる組成で、寸法が直径127mm、厚さ10mmの円柱状のスパッタリング用ターゲットが作製される。
【0058】以上のようにして作製されたスパッタリング用ターゲットに関して、その透磁率を測定した。
【0059】この透磁率の測定においては、まず、ターゲットのエロード部分より寸法が8×6×0.5mmのサンプルを切り出した後、消磁器(図示せず)により帯磁を取り除く。次に、このサンプルを振動試料型磁力計(VSM装置)の所定位置に載置した後、磁界を加え、磁化曲線を描かせる。次に、描かれた磁化曲線の初期部分に沿って接線を引き、所定の保磁力に対するY軸の値を読み取り、透磁率の値を算出する。
【0060】このようなVSM装置を用いた透磁率の測定の結果、この第1の実施形態の製造方法により作製されたターゲットの透磁率が1.2であることが確認された。
【0061】また、理論密度比、酸素含有率および金属不純物含有量について測定したところ、理論密度比は97%、酸素含有量は640ppm、金属不純物含有量は660ppmであることが確認された。
【0062】また、この第1の実施形態によるターゲットを用いたマグネトロンスパッタリング法により光磁気記録メディアを製造したところ、従来技術による厚さ8mmのターゲットを用いた場合に比して、生産量が約1.8倍に増加したことが確認された。
【0063】以上説明したように、この第1の実施形態によれば、ガスアトマイズ法により、少なくとも一度スパッタリング法に用いられたFeTbCoCr合金からなる使用済みターゲットと同成分の新しい金属とから、透磁率が2以下のリサイクル合金粉末を作製した後、このFeTbCoCr合金からなるリサイクル合金粉末を80重量%含有し、残りの部分が希土類元素を含まない合金粉末を作製し、この合金粉末からターゲットを作製するようにしていることにより、金属含有量を低減しつつ、高価な希土類元素を有効に利用することができるとともに、透磁率が2以下に制御されたスパッタ可能な厚さの大きいターゲットを作製することができる。したがって、光磁気記録メディアの製造コストの低減を図ることができ、このターゲットを用いたスパッタリング法により製造される光磁気記録メディアの価格の低下を図ることができる。
【0064】次に、この発明の第2の実施形態によるスパッタリング用のターゲットの製造方法について説明する。なお、この第2の実施形態において用いられる使用済みターゲットは3元系のFeTbCo合金からなるターゲットである。
【0065】この第2の実施形態によるスパッタリング用のターゲットの製造方法においては、まず、マグネトロンスパッタリング法において少なくとも一度用いられたFeTbCo合金からなる使用済みターゲットと、同成分の新しい金属(Fe、Tb、Co)とを、使用済みターゲットの割合が30重量%以上、この第2の実施形態においては例えば50重量%になるように調合し、真空溶解炉(図示せず)においてインゴットを作製する。なお、このインゴットは第1の実施形態におけると同様に粉末化されリサイクル合金粉末となるが、このリサイクル合金粉末を構成する希土類合金粉末においては、透磁率を2以下に制御するために、希土類金属の含有率を35重量%以上とし、この第2の実施形態においては例えば43重量%とする。
【0066】次に、ガスアトマイズ法により、不活性ガス雰囲気中においてインゴットを粉末化することによって、FeTbCoから構成されるリサイクル合金粉末を作製する。このリサイクル合金粉末の透磁率を測定したところ、透磁率が0.9であることが確認された。ここで、この第2の実施形態におけるガスアトマイズ法に用いられるガスアトマイズ装置は、第1の実施形態におけると同様であるので、説明を省略する。
【0067】次に、このFeTbCoからなるリサイクル合金粉末と、ターゲットの作製に一度も用いられていないFeTbCo合金から構成される希土類合金粉末と、所定のターゲット組成になるように他の粉末とを調合し、Arガス雰囲気中において乾式混合を行うことによって、ターゲットを作製するための混合粉末を作製する。この混合粉末においては、透磁率が2以下の希土類合金粉末を50重量%以上含有し、かつ、希土類合金粉末を65重量%以上、好適には70重量%以上含有するように調合する。この第2の実施形態においては、希土類合金粉末は、希土類金属を43重量%含有した透磁率が0.9のリサイクル合金粉末を例えば50重量%含有し、残りの部分が新しい希土類合金粉末と所定のターゲット組成になるように調整された他の材料粉末とから構成され、かつ、希土類合金粉末を70重量%以上含有するように調合される。これによって、上述の条件を満たす混合粉末が作製される。また、この混合粉末は、この混合粉末を用いて作製されるターゲットの組成がFeが70原子%、Tbが23原子%およびCoが7原子%となるように調合される。
【0068】次に、この調合された混合粉末を用いて、第1の実施形態におけると同様の方法により焼成を行うことによって、焼成体を作製する。その後、この焼成体の表裏面および外周面を例えば1mm程度研削する。これによって、例えば、Feが70原子%、Tbが23原子%およびCoが7原子%となる組成で寸法が直径127mm、厚さ12mmのスパッタリング用ターゲットが作製される。
【0069】そして、このスパッタリング用ターゲットにおいて、第1の実施形態におけると同様の方法により透磁率を測定したところ、透磁率が1.8であることが確認された。また、理論密度比、酸素含有率および金属不純物含有量についても測定を行ったところ、理論密度比は97%、酸素含有率は630ppm、金属不純物含有量は660ppmであることが確認された。
【0070】以上説明したように、この第2の実施形態によれば、透磁率が2以下のスパッタリング用ターゲットを作製することができることにより、第1の実施形態におけると同様の効果を得ることができる。
【0071】以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0072】例えば、上述の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
【0073】また、例えば上述の第1の実施形態においては、4元系の希土類合金として、FeTbCoCrを用いているがFeGdCoSiなどの希土類合金を用いることも可能である。
【0074】また、例えば上述の第2の実施形態においては、3元系の希土類合金としてFeTbCoを用いているが、FeTbCr、FeGdCo、またはFeDyCoを用いることも可能である。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、スパッタリング用のターゲットを、少なくとも1種類の希土類元素とFe、Co、Ni、CrおよびSiからなる群より選ばれた少なくとも2種類の元素とからなる少なくとも1種類以上の希土類合金粉末を65重量パーセント以上含有し、かつ、少なくとも一度スパッタリングに用いられたターゲットを用いて作製されたリサイクル合金粉末を少なくとも1種類以上含有する合金粉末から製造するようにしていることにより、高価な希土類元素を有効利用することができ、環境への悪影響を低減しつつ、製造プロセスにおける低コスト化を図ることができる。また、より低透磁率化された厚さの大きいのスパッタリング用のターゲットを得ることができるので、光磁気記録メディアの価格の低減を図ることができる。




 

 


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