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発明の名称 水性インク
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−81374(P2001−81374A)
公開日 平成13年3月27日(2001.3.27)
出願番号 特願平11−264036
出願日 平成11年9月17日(1999.9.17)
代理人 【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃 (外2名)
【テーマコード(参考)】
2C056
2H086
4J039
【Fターム(参考)】
2C056 EA04 FC01 
2H086 BA53 BA55 BA57 BA59 BA62
4J039 BA16 BC56 BE01 CA06 EA38 EA41 EA47 GA24
発明者 中新田 弘幸 / 伊東 謙吾
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 層間に交換性イオンを有するハイドロタルサイト群鉱物又はハイドロタルサイト群鉱物の焼成体からなり、当該ハイドロタルサイト群鉱物又は当該焼成体の交換性イオンの少なくとも一部が、アニオン染料又は酸性染料で置換されてなる顔料と、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸とを含有することを特徴とする水性インク。
【請求項2】 上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸は、化学式(1)で表される構造のジポリオキシエチレン(4)アルキルエーテルリン酸であることを特徴とする請求項1記載の水性インク。
【化1】

【請求項3】 上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸は、化学式(2)で表される構造のトリポリオキシエチレン(2)アルキルエーテルリン酸であることを特徴とする請求項1記載の水性インク。
【化2】

【請求項4】 上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸は、上記ジポリオキシエチレン(4)アルキルエーテルリン酸と、上記トリポリオキシエチレン(2)アルキルエーテルリン酸との混合物であることを特徴とする請求項1記載の水性インク。
【請求項5】 上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸の含有量は、水性インク全重量のうち0.1重量%以上、20重量%以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載の水性インク。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆるインクジェット記録方式による画像形成に使用可能な水性インクに関する。
【0002】
【従来の技術】パーソナルコンピュータ等で作成した画像情報等を記録紙に出力する方法の一つとして、インクジェット記録方式がある。インクジェット記録方式は、電界、熱、圧力等を駆動源として、インクジェットプリンタのノズルより溶液状のインクを被記録媒体上に吐出させ、被記録媒体上に画像を形成するものである。このようなインクジェット記録方式は、低騒音、ランニングコストの安さ、普通紙に画像形成することが可能である等の長所を有することから、オフィス用又は個人用の情報出力装置として、印刷及び写真用途に用いられている。近年、高精細な画像の要求が高まるにつれ、インクジェットプリンタにおけるノズル先端部の開口径が狭まりつつある。
【0003】インクジェット記録方式に用いられるインクとしては、インクジェットプリンタのノズルにおける目詰まりがしにくく装置の保守が容易であることや、形成される画像が高品位であることから、色剤として染料を用いた水溶性インクが一般的に用いられている。
【0004】しかし、染料を用いた水溶性インクを用いて、コピー紙、レポート紙、リサイクル紙等の一般紙へ出力する際、吐出されたインクが紙の繊維に沿って広がり、ドット形状が不定形となったり、著しいにじみが発生して、形成した画像が不鮮明となるといった不都合が発生する。また、染料を用いた水溶性インクでは、形成された画像の耐水性に劣るといった問題もあった。
【0005】このような問題は、色剤として顔料を用いたインクを用いることで解決することが可能である。顔料を用いることで、吐出後のにじみの少ない、鮮明な画像を形成することができる。また、顔料は水に不溶なため、紙へ吐出されたインクが乾燥すると、耐水性に優れた画像を形成することができる。
【0006】しかし、顔料を色剤として用いたインクにおいては、顔料の種類、粒子サイズ等に依存するが、顔料を構成する分子の集合体の屈折率が大きい場合、光散乱が大きくなり、多重内部反射の影響を受けやすくなる。すなわち、形成された画像の彩度が低下し、画像の鮮明さが損なわれるといった問題があった。
【0007】これらの問題を解決する手段として、特開平10−46049号公報に開示される、層間化合物の層間に、層間イオンと逆の極性を示す染料イオンにて置換した顔料を用いる方法がある。この層間化合物の層間に、層間イオンと逆の極性を示す染料イオンにて置換した顔料を用いることで、染料を用いたインクに匹敵するような色調が得られ、簡易な製造プロセスでインクを得ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述のような顔料を用いたインクをインクジェットプリンタにて吐出する際、ノズル先端部分でインクが目詰まりし易いといった問題があった。これは、顔料をインク中に分散させる際、顔料は平均粒子径0.1μmまで微粒子化されるが、この微粒子化された状態の顔料は不安定であり、高温下でインクを長期保存すると顔料同士が凝集してしまうためである。
【0009】そこで本発明はこのような従来の実状に鑑みて提案されたものであり、鮮明な画像を形成することができ、且つ高温下での保存安定性に優れた水性インクを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、本発明にかかる水性インクは、層間に交換性イオンを有するハイドロタルサイト群鉱物又はハイドロタルサイト群鉱物の焼成体からなり、ハイドロタルサイト群鉱物又は焼成体の交換性イオンの少なくとも一部が、アニオン染料又は酸性染料で置換されてなる顔料と、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸とを含有することを特徴とする。
【0011】以上のように構成される水性インクは、インクジェット記録方式において形成される画像の彩度が優れたものになるとともに、微粒子化され、水性インク中に分散された顔料が高温下における保存によって凝集することを抑制する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる水性インクの具体的な実施の形態について、詳細に説明する。
【0013】本発明にかかる水性インクは、少なくとも顔料とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸とを含有している。
【0014】先ず、顔料について説明する。水性インクに含有される顔料は、層間に交換性イオンを有するハイドロタルサイト群鉱物又はハイドロタルサイト群鉱物の焼成体であり、当該ハイドロタルサイト群鉱物又は当該焼成体の交換性イオンの少なくとも一部が、アニオン染料又は酸性染料で置換されている。すなわち、本発明においては、イオン交換作用に基づくインターカレーション反応により、染料を定着保持させることが可能なハイドロタルサイト群鉱物又はハイドロタルサイト群鉱物の焼成体が顔料として用いられている。ハイドロタルサイト群鉱物は、層状構造を有し、その親水性の層間に水溶性染料とイオン交換しうる交換性イオンを有する層状無機化合物である。
【0015】具体的なハイドロタルサイト群鉱物としては、化学式(3)で表される構造の、天然鉱物を挙げることができる。
【0016】
【化3】

【0017】また、本発明においては、上記ハイドロタルサイト群鉱物のかわりに、化学式(4)で表される構造の、ハイドロタルサイト群鉱物の焼成体を用いることも可能である。
【0018】
【化4】

【0019】ハイドロタルサイト群鉱物又はハイドロタルサイト群鉱物の焼成体の有する交換性イオンの少なくとも一部を置換するアニオン染料としては、アゾ基、アントラキノン骨格、トリフェニルメタン骨格等を有し、さらに分子中に1〜3個のスルホン酸基又はカルボキシル基等の陰イオン性の水溶性基を有するものが挙げられる。具体的なアニオン染料として、イエロー系直接染料、マゼンタ系直接染料、シアン系直接染料、ブラック系直接染料、イエロー系酸性染料、マゼンタ系酸性染料、シアン系酸性染料、ブラック系酸性染料等が挙げられる。
【0020】具体的なイエロー系直接染料として、C.I.ダイレクトイエロー1、同8、同11、同12、同24、同26、同27、同28、同33、同39、同44、同50、同58、同85、同86、同87、同88、同89、同98、同100、同110等が挙げられる。
【0021】具体的なマゼンタ系直接染料として、C.I.ダイレクトレッド1、同2、同4、同9、同11、同13、同17、同20、同23、同24、同28、同31、同33、同37、同39、同44、同46、同62、同63、同75、同79、同80、同81、同83、同84、同89、同95、同99、同113、同197、同201、同218、同220、同224、同225、同226、同227、同228、同229、同230、同321等が挙げられる。
【0022】具体的なシアン系直接染料として、C.I.ダイレクトブルー1、同2、同6、同8、同15、同22、同25、同41、同71、同76、同77、同78、同80、同86、同90、同98、同106、同108、同120、同158、同160、同163、同165、同168、同192、同193、同194、同195、同196、同199、同200、同201、同202、同203、同207、同225、同226、同236、同237、同246、同248、同249等が挙げられる。
【0023】具体的なブラック系直接染料として、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同56、同62、同71、同74、同75、同77、同94、同105、同106、同107、同108、同112、同113、同117、同118、同132、同133、同146等が挙げられる。
【0024】具体的なイエロー系酸性染料として、C.I.アシッドイエロー1、同3、同7、同11、同17、同19、同23、同25、同29、同36、同38、同40、同42、同44、同49、同59、同61、同70、同72、同75、同76、同78、同79、同98、同99、同110、同111、同112、同114、同116、同118、同119、同127、同128、同131、同135、同141、同142、同161、同162、同163、同164、同165等が挙げられる。
【0025】具体的なマゼンタ系酸性染料として、C.I.アシッドレッド1、同6、同8、同9、同13、同14、同18、同26、同27、同32、同35、同37、同42、同51、同52、同57、同75、同77、同80、同82、同83、同85、同87、同88、同89、同92、同94、同97、同106、同111、同114、同115、同117、同118、同119、同129、同130、同131、同133、同134、同138、同143、同145、同154、同155、同158、同168、同180、同183、同184、同186、同194、同198、同199、同209、同211、同215、同216、同217、同219、同249、同252、同254、同256、同257、同262、同265、同266、同274、同276、同282、同283、同303、同317、同318、同320、同321、同322等が挙げられる。
【0026】具体的なシアン系酸性染料として、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同27、同29、同40、同41、同43、同45、同54、同59、同60、同62、同72、同74、同78、同80、同82、同83、同90、同92、同93、同100、同102、同103、同104、同112、同113、同117、同120、同126、同127、同129、同130、同131、同138、同140、同142、同143、同151、同154、同158、同161、同166、同167、同168、同170、同171、同175、同182、同183、同184、同187、同192、同199、同203、同204、同205、同229、同234、同236等が挙げられる。
【0027】具体的なブラック系酸性染料として、C.I.アシッドブラック1、同2、同7、同24、同26、同29、同31、同44、同48、同50、同51、同52、同58、同60、同62、同63、同64、同67、同72、同76、同77、同94、同107、同108、同109、同110、同112、同115、同118、同119、同121、同122、同131、同132、同139、同140、同155、同156、同157、同158、同159、同191等が挙げられる。
【0028】次に、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸について説明する。ここで、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸としては、化学式(1)で表される構造のジポリオキシエチレン(4)アルキルエーテルリン酸を挙げることができる。
【0029】
【化5】

【0030】また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸としては、化学式(2)で表される構造のトリポリオキシエチレン(2)アルキルエーテルリン酸であっても良い。
【0031】
【化6】

【0032】さらにまた、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸としては、上記化学式(1)で表される構造のジポリオキシエチレン(4)アルキルエーテルリン酸と、上記化学式(2)で表される構造のトリポリオキシエチレン(2)アルキルエーテルリン酸との混合物であっても良い。
【0033】上述のようなポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸を含有する水性インクは、高温下での顔料の凝集が抑制される。特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸として、ジポリオキシエチレン(4)アルキルエーテルリン酸とトリポリオキシエチレン(2)アルキルエーテルリン酸との混合物を用いることで、顔料の凝集はさらに抑制されることとなる。
【0034】さらにまた、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸としては、上述したような化合物の他に、ジポリオキシエチレン(2)アルキルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレン(6)アルキルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレン(8)アルキルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレン(10)アルキルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレン(4)ノニルフェニルエーテルリン酸、トリポリオキシエチレン(2)アルキルエーテルリン酸、トリポリオキシエチレン(6)アルキルエーテルリン酸、トリポリオキシエチレン(8)アルキルエーテルリン酸、トリポリオキシエチレン(10)アルキルエーテルリン酸等が挙げられる。これらの化合物は、1種類を単独で用いても良いし、複数種を混合して用いても良い。
【0035】上述したようなポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸の含有量は、水性インク全重量のうち、0.1重量%以上、20重量%以下の範囲であることが好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸の含有量が0.1重量%未満であると、粒子の凝集を防ぐ効果が十分現れない虞がある。一方、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸の含有量が20重量%を上回ると、水性インクの粘度が高くなり、吐出特性が劣化する虞がある。
【0036】上記の顔料、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸の他に、水性インク中には、水溶性有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、pH調整剤等が含有されていても良い。
【0037】具体的な水溶性有機溶剤としては、脂肪族一価アルコール、多価アルコール、環状ケトン等が挙げられ、これらのうち少なくとも一種を用いることができる。脂肪族一価アルコールとしては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等を用いることが好ましい。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコールや、その誘導体を用いることが好ましい。上記のグリコールやその誘導体を用いることで、ヘッドの目詰まりやインクの目詰まりを防止することができる。環状ケトンとしては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、炭酸プロピレン等を用いることができる。
【0038】これら水溶性有機溶剤の含有量は、水性インク全重量のうち、1重量%以上、40重量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が1重量%未満であると、インクジェットプリンタのノズルにおける目詰まりが起こりやすくなる虞がある。一方、水溶性有機溶剤の含有量が40重量%を上回ると、高粘度の水性インクとなり、水性インクの飛翔速度が低下してしまう虞がある。特に、水溶性有機溶剤の含有量は、5重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。
【0039】具体的な界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類等のノニオン界面活性剤等が挙げられ、これらを少なくとも一種使用すればよい。界面活性剤の含有量は、種類によるものの、水性インク全重量のうち0.01重量%〜5重量%であることが好ましい。
【0040】それとともに、界面活性剤は、水性インクの表面張力が25dyne/cm以上、70dyne/cm以下となるように含有量を適宜調節することが好ましい。水性インクの表面張力が25dyne/cm未満であると、水性インク液滴の形状が悪くなり、形成されるドット形状が歪む虞がある。一方、水性インクの表面張力が70dyne/cmを上回ると、水性インク液滴がインクジェットプリンタのノズルから飛翔し難くなる虞がある。特に、水性インクの表面張力は、30dyne/cm以上、50dyne/cm以下となるように界面活性剤の含有量を適宜調節することが好ましい。
【0041】具体的な消泡剤としては、水性インク中の気泡の発生を抑え、水性インクの吐出安定性を高める効果のある一般的な消泡剤を用いることが可能であり、例えば脂肪族一価アルコール等が挙げられる。消泡剤の含有量は、水性インク全重量のうち、0.5重量%以上、20重量%以下であることが好ましく、特に1重量%以上、10重量%以下であることが好ましい。
【0042】防腐剤としては、水性インクの腐敗を防止し、水性インクの保存安定性を高める効果のある化合物を用いることができる。具体的な防腐剤として、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が挙げられる。防腐剤の含有量は、水性インク全重量のうち0.01重量%以上、5重量%以下であることが好ましく、特に0.1重量%以上、2重量%以下であることが好ましい。
【0043】具体的なpH調整剤としては、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の各種有機アミンや、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物等の無機アルカリ剤、有機酸、鉱酸等が挙げられる。pH調整剤は、水性インクのpHを7〜10の範囲とするように適宜水性インク中に含有させることが好ましい。これらpH調整剤を用いることで、水性インクのpHが接する材料に及ぼす影響を無くし、使用される記録装置を保護する効果や水性インクの保存性を高めることができる。
【0044】以上のような組成の水性インクは、形成される画像の彩度が優れたものになるとともに、高温下で保存した際の顔料の凝集が起こりにくくなる。すなわち、この水性インクは、高温下で保存した後の水性インクをインクジェットプリンタにて吐出される際、ノズル先端部にて目詰まりを起こしにくく、且つ鮮明な画像を形成することができる。
【0045】
【実施例】以下、本発明を適用して実際に作製した水性インク(サンプル)について、実験結果に基づいて説明する。
【0046】サンプル1先ず、ハイドロタルサイト群鉱物(以下、ハイドロタルサイトと称する。)を以下の工程で微粉砕処理して、分散液を調製した。
【0047】<ハイドロタルサイト微粉砕処理>ハイドロタルサイトの焼成物(協和化学社製 KW−2200):100重量部純水:450重量部2−ピロリドン:450重量部以上の組成からなる水分散液を、ディゾルバー型撹拌機が設置された撹拌層で60分間処理して、ハイドロタルサイトの予備分散液を得た。
【0048】次に、この予備分散液を、分散機として流通管型ミル(ネッチェ社製 LMZ−10型)を用い、これに粉砕メディアとしてチタニアビーズ(比重3.9、平均径1.0mm)を充填率80%に充填し、ディスク外周の周速度を10m/秒として湿式粉砕装置で循環流量300l/hrの条件で、平均滞留時間が40分になるまで微粉砕処理を施した。以上の処理によって、平均粒子径65nmのハイドロタルサイトの分散液を得た。
【0049】次に、得られた分散液を用いて、以下の工程で水性インクを作製した。
【0050】<水性インクの作製>得られた分散液100重量部に、置換染料としてC.I.ダイレクトイエロー86(ダイワ化成(株)社製 商品名Daiwa IJ Yellow 214H)を2重量部と、純水を97.8重量部とを撹拌しながら添加し、出力1KWの超音波を10分間照射した後、ジポリオキシエチレン(4)アルキルエーテルリン酸(日光ケミカルズ(株)社製 商品名DDP−4)0.2重量部を添加し、さらに出力1KWの超音波を30分間照射した。その後、これをメンブランフィルタ(ポア径0.8μm)で濾過することによって、水性インクを作製した。
【0051】サンプル2サンプル1と同様にして、ハイドロタルサイトの分散液を得、この分散液を用いて以下の工程で水性インクを作製した。
【0052】<水性インクの作製>得られた分散液100重量部に、置換染料としてC.I.ダイレクトイエロー86(ダイワ化成(株)社製 商品名Daiwa IJ Yellow 214H)を2重量部と、純水97.8重量部とを撹拌しながら添加し、出力1KWの超音波を10分間照射した後、トリポリオキシエチレン(2)アルキルエーテルリン酸(日光ケミカルズ(株)社製 商品名TDP−2)0.2重量部を添加し、さらに出力1KWの超音波を30分間照射した。その後、これをメンブランフィルタ(ポア径0.8μm)で濾過することによって、水性インクを作製した。
【0053】サンプル3サンプル1と同様にして、ハイドロタルサイトの分散液を得、この分散液を用いて以下の工程で水性インクを作製した。
【0054】<水性インクの作製>得られた分散液100重量部に、置換染料としてC.I.ダイレクトイエロー86(ダイワ化成(株)社製 商品名Daiwa IJ Yellow 214H)を2重量部と、純水を58重量部とを撹拌しながら添加し、出力1KWの超音波を10分間照射した後、ジポリオキシエチレン(4)アルキルエーテルリン酸(日光ケミカルズ(株)社製 商品名DDP−4)40重量部を添加し、さらに出力1KWの超音波を30分間照射した。その後、これをメンブランフィルタ(ポア径0.8μm)で濾過することによって、水性インクを作製した。
【0055】サンプル4サンプル1と同様にして、ハイドロタルサイトの分散液を得、この分散液を用いて以下の工程で水性インクを作製した。
【0056】<水性インクの作製>得られた分散液100重量部に、置換染料としてC.I.ダイレクトイエロー86(ダイワ化成(株)社製 商品名Daiwa IJ Yellow 214H)を2重量部と、純水を97.6重量部とを撹拌しながら添加し、出力1KWの超音波を10分間照射した後、ジポリオキシエチレン(4)アルキルエーテルリン酸(日光ケミカルズ(株)社製 商品名DDP−4)0.2重量部を添加し、さらに、トリポリオキシエチレン(2)アルキルエーテルリン酸(日光ケミカルズ(株)社製 商品名TDP−2)0.2重量部を添加し、さらに出力1KWの超音波を30分間照射した。その後、これをメンブランフィルタ(ポア径0.8μm)で濾過することによって、水性インクを作製した。
【0057】サンプル5サンプル1と同様にして、ハイドロタルサイトの分散液を得、この分散液を用いて以下の工程で水性インクを作製した。
【0058】<水性インクの作製>得られた分散液100重量部に、置換染料としてC.I.ダイレクトイエロー86(ダイワ化成(株)社製 商品名Daiwa IJ Yellow 214H)を2重量部と、純水を98重量部とを撹拌しながら添加し、出力1KWの超音波を40分間照射した。その後、これをメンブランフィルタ(ポア径0.8μm)で濾過することによって、水性インクを作製した。
【0059】サンプル6サンプル1と同様にして、ハイドロタルサイトの分散液を得、この分散液を用いて以下の工程で水性インクを作製した。
【0060】<水性インクの作製>得られた分散液100重量部に、置換染料としてC.I.ダイレクトイエロー86(ダイワ化成(株)社製 商品名Daiwa IJ Yellow 214H)を2重量部と、純水を48重量部とを撹拌しながら添加し、出力1KWの超音波を10分間照射した後、ジポリオキシエチレン(4)アルキルエーテルリン酸(日光ケミカルズ(株)社製 商品名DDP−4)50重量部を添加し、さらに出力1KWの超音波を30分間照射した。その後、これをメンブランフィルタ(ポア径0.8μm)で濾過することによって、水性インクを作製した。
【0061】以上のように作製したサンプル1〜サンプル6について、各水性インクの組成を重量百分率で表したものを、表1に示す。なお、表1において、ジPOEとはジポリオキシエチレン(4)アルキルエーテルリン酸を表し、トリPOEとはトリポリオキシエチレン(2)アルキルエーテルリン酸を表す。
【0062】
【表1】

【0063】以上のように作製したサンプル1〜サンプル6に関して、高温下での保存特性及びインクジェットプリンタ吐出特性を評価した。
【0064】高温下での保存特性は、得られた水性インクをガラス製のスクリュー管瓶に5ml入れ密閉したものを60℃で静地保存し、水性インクに変化があるか否かを、1週間後及び2週間後のハイドロタルサイトの平均粒子径の変化にて評価した。平均粒子径の測定は、粒度分析計マイクロトラックUPA(日機装(株)社製)を用いた。平均粒子径の初期と比較した変化が20%以内の場合を○とし、20%〜50%の範囲である場合を△とし、50%を上回る場合を×と表した。結果を表2に示す。なお、1週間後および2週間後の保存特性評価と併せて、それぞれの保存後の平均粒子径をかっこ内に記載した。
【0065】
【表2】

【0066】インクジェットプリンタ吐出特性は、得られた水性インクをインクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)社製 PM−700C)を用いて、インクジェット専用紙(セイコーエプソン(株)社製 スーパーファイン専用紙)に吐出させて、テストパターンを印画した後、水性インクが安定して吐出されているか否かを、形成されたドットを目視することにより評価した。水性インクが安定して吐出され、ドット欠損が認められない場合を○とし、吐出が不安定でドット欠損並びにサテライトが認められる場合を×と表した。結果を表3に示す。
【0067】
【表3】

【0068】この表2からも明らかなように、サンプル1〜サンプル4及びサンプル6では、1週間保存後でも凝集が抑制されている。また、サンプル4では2週間保存後でもなお凝集が抑制されている。一方、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸を全く含有しないサンプル5では、保存によって粒子の著しい凝集が起こった。このことから、水性インクはポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸を含むことで、粒子の凝集を抑制し、良好な保存特性を有することがわかる。特に、ジポリオキシエチレン(4)アルキルエーテルリン酸とトリポリオキシエチレン(2)アルキルエーテルリン酸との混合物を用いることで、保存特性はさらに向上することがわかる。
【0069】また、表3からも明らかなように、サンプル1〜サンプル5では、水性インクは安定して吐出されている。一方、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸の含有量が20重量%を上回るサンプル6では、水性インクの粘度が高くなりすぎて、インクジェット吐出特性が劣化することがわかる。
【0070】以上のことから、水性インクは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸を含有し、その含有量を0.1重量%以上、20重量%以下とすることで、良好な保存特性を有するとともに、良好な吐出特性を有することが可能となる。
【0071】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、層間に交換性イオンを有するハイドロタルサイト群鉱物又はハイドロタルサイト群鉱物の焼成体から成り、ハイドロタルサイト群鉱物又は当該焼成体の交換性イオンの少なくとも一部がアニオン染料又は酸性染料で置換されてなる顔料と、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸とを含有することにより、この水性インクは、鮮明な画像を形成するとともに、高温下における保存安定性を有するものとなる。したがって、本発明によれば、高彩度、高精細な画像を形成し、高温下での保存後に使用してもインクジェットプリンタのノズルにおける目詰まりが起きにくい水性インクを提供することができる。




 

 


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