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発明の名称 成膜方法及び成膜装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−32070(P2001−32070A)
公開日 平成13年2月6日(2001.2.6)
出願番号 特願平11−205257
出願日 平成11年7月19日(1999.7.19)
代理人 【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃 (外2名)
【テーマコード(参考)】
4K030
5D112
【Fターム(参考)】
4K030 AA09 AA16 BA27 CA07 CA11 CA12 DA02 DA08 FA03 GA14 HA04 KA49 LA20 
5D112 AA07 AA22 BC05 FA09 GA19 KK05
発明者 平塚 亮一 / 川上 喜久治 / 海老根 義人 / 金 康憲 / 小鹿 行広
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 磁気記録媒体の磁性層上にCVD法によりカーボン保護膜を成膜するに際し、成膜前後に上記磁気記録媒体に対して電子を照射することを特徴とする成膜方法。
【請求項2】 上記電子の照射量は、上記カーボン保護膜を成膜する際に反応管に供給される総電流の90〜110%とすることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
【請求項3】 CVD法によりカーボン保護膜を成膜する反応管と、磁性層が形成された磁気記録媒体が表面に沿って走行される円筒状の対向電極とを備え、上記反応管の前後に上記走行する磁気記録媒体に対向して電子供給装置が設けられていることを特徴とする成膜装置。
【請求項4】 上記対向電極の前後に上記磁気記録媒体の走行をガイドするガイドローラが設置され、当該ガイドローラは絶縁構造とされていることを特徴とする請求項3記載の成膜装置。
【請求項5】 上記電子供給装置が電子銃であることを特徴とする請求項3記載の成膜装置。
【請求項6】 上記電子供給装置から照射される電子の照射量が、上記反応管に供給される総電流の90〜110%とされていることを特徴とする請求項3記載の成膜装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜の成膜方法及び成膜装置に関するものであり、具体的には、カーボン保護膜をCVD法(化学的気相成長法)により成膜する成膜方法及び成膜装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体は、例えばオーディオ機器、ビデオ機器、コンピュータ等に用いられ、その需要は著しく伸びてきている。
【0003】従来、磁気記録媒体としては、非磁性支持体上に酸化物磁性粉末又は合金磁性粉末等の粉末磁性材料を、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機バインダー中に分散せしめた磁性塗料を塗布、乾燥することにより作成された、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が広く使用されている。
【0004】これに対して、高密度磁気記録への要求の高まりと共に、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co−O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段〔真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法等のいわゆるPVD技術(物理的蒸着法:Physical Vapor Deposition )〕によってポリエステルフィルムやポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着した、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が提案され、注目を集めている。
【0005】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、保磁力や角型比に優れ、磁性層の厚みを極めて薄くできるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さく、また、短波長での電磁変換特性に優れるばかりでなく、磁性層中に非磁性材料であるバインダーを混入する必要がないために磁性材料の充填密度を高めることができる等、数々の利点を有している。
【0006】さらに、この種の磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させ、より大きな出力を得ることができるようにするために、磁気記録媒体の磁性層を形成するに際し、磁性層を斜めに蒸着する、いわゆる斜方蒸着も提案され、実用化されている。
【0007】以上のような特徴を有する金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、電磁変換特性及び磁気特性的な優位性のゆえに、今後の高密度記録用磁気記録媒体の主流になるものと考えられている。
【0008】ところで、この種の磁気記録媒体では、一層の高密度記録化を目的として、スペーシング損失を少なくするために媒体表面が平滑化される傾向にある。しかしながら、磁性層表面が平滑であると、磁気ヘッドやガイドローラー等の摺動部材に対する実質的な接触面積が大きくなり、このため媒体に生ずる剪断応力は大きくなることから、不具合やトラブルが多くなる。例えば、媒体と磁気ヘッドとの間の摩擦力が大きくなって、凝着現象(いわゆる貼り付き)が起こり易くなったり、走行性や耐久性が十分確保されない等である。
【0009】このトラブルについて、いわゆる8ミリVTRシステムを例に挙げて説明する。例えば、8ミリビデオデッキに挿入された8ミリテープは、10個以上のガイドピンを通って、ドラムに巻き付けられる。その際、ピンチローラーとキャプスタンによつてテープテンションとテープ走行達度は一定に保たれていて、テンションは約20g、走行達度は約0.5cm/秒である。
【0010】この走行系において、テープの磁性層はステンレス製の固定されたガイドピンまたはアルミ合金製の固定されたヘッドドラムと摺接する構造になっている。そのために、テープ表面の摩擦が大きくなると、テープがスティックスリップを起こして、いわゆるテープ鳴きという現象が起き、再生画面がひきつれたような異常トラブルを引き起こす。
【0011】また、VTRシステムでは、テープとヘッドとの相対速度は非常に大きく、特にポーズ状態では同じ場所での高速摺動となるので、磁性層の摩耗や破壊といった問題が生じ易く、摩耗粉のヘッドヘの付着による再生出力の低下等につながる。特に、磁性層を蒸着法により形成した蒸着テープの場合、この磁性層は非常に薄く、且つ金属であるため、この摺動問題はさらに助長される。
【0012】さらに、ハードデイスク装置では、CSS(コンタクト・スタート・ストップ)と呼ばれる方式が採用されており、回転前には磁気ヘッドは磁気ディスクに接触し、ディスクが高速で回転を始めると発生する空気流によって浮上するタイプの装置が使用されている。したがって、起動停止又は起動時には媒体がディスク表面を擦って走行するので、そのときの摩擦の増加が大きな問題となっている。
【0013】商品レベルの信頼性を保つには、CSS操作を2万回行った後の摩擦係数が特に0.5以下であることが望まれる。また、高速で回転しているので、ヘッドと媒体によるヘッドクラッシュ等の発生も課題の一つである。
【0014】このように、摺動耐久性が厳しくなる状況の中で、特に、耐久性を向上させる目的で、磁性層の表面に保護膜を形成する技術の検討がなされている。
【0015】このような保護膜としては、カーボン膜(炭素膜)、石英(SiO2 )膜、ジルコニア(ZrO2 )膜等が検討され、ハードディスクにおいては実用化されているものもある。
【0016】特に、最近は、カーボン膜の一種で前述のカーボン膜よりも硬度が大きいダイヤモンドライクカーボン(DLC:ダイヤモンド構造を主とするカーボン)膜等の膜形成の検討も行われている。このDLC膜は今後主流になるものと思われる保護膜である。
【0017】ここで、このような保護膜(DLC膜)の形成手段としては、スパッタリング法、CVD法等が用いられている。
【0018】スパッタリング法とは、電場や磁場を利用してアルゴンガス等の不活性ガスの電離(プラズマ化)を行い、さらに、電離したイオンを加速することにより得られる運動エネルギーによって、ターゲットの原子を叩き出す。そして、叩き出された原子が対向する基板上に堆積し、目的とする膜を形成する物理的プロセスである。
【0019】一方、CVD法(化学的気相成長法:Chemical Vapor Deposition )とは、気相の成長を利用した薄膜形成技術の一つであり、成膜物質を含有するガスの高温空間等における化学反応を利用して原料ガスを分解し、成膜物質を生成させ、この成膜物質を基体上に堆積させる方法である。CVD法を用いた装置の代表的なものとして、プラズマCVD装置が挙げられる。
【0020】プラズマCVD装置を用いたプラズマCVD法は、電場や磁場を用いて発生させたプラズマのエネルギーを利用して、原料となる気体の分解、合成等の化学反応を起こさせて、薄膜を形成する化学的プロセスであり、このプラズマCVD法による成膜は、上記のスパッタリング法に比べて膜の形成速度が大きく、また、様々な原料ガスを選択することができる等、磁気記録媒体の保護膜(特にDLC膜)の形成法として期待されているものである。
【0021】このような状況から、例えば、磁気記録媒体の表面保護膜の形成には、原料となる気体を分解して磁気記録媒体上に誘導する反応管を使用して、キャンロール上で案内されながら連続走行する長尺状の磁気記録媒体原反(実際には上記の金属磁性薄膜付きのもの)上に連続的に成膜する方法が提案されている。
【0022】かかる反応管を用いると、原料となる物質(例えば、エチレン等の炭化水素系のガス)を十分に分解し、媒体上に効率よく誘導することができる。
【0023】ここで、従来より使用されているプラズマCVD装置の一例を、図4を参照しながら説明する。
【0024】この装置は、金属磁性薄膜からなる磁性層を有する磁気記録媒体の前記磁性層上に表面保護膜としてカーボン膜を成膜する装置である。
【0025】この装置内では、磁気記録媒体(原反)である被処理体101は、巻き出しロール103から回転支持体(案内ガイドロール)102、反応管105に対向配置される対向電極(キャンロール)109、回転支持体(案内ガイドロール)102、巻き取りロール104の順に搬送される。
【0026】反応管105の内部にはメッシュ電極106が組み込まれており、この電極106には直流電源107により+500〜+2000V程度の電圧が加えられる。また、炭化水素を主成分とするガス(例えばエチレンガス)112は、ガス導入口108から導入される。また、ここでは反応管105に対向して円筒状の回転可能な対向電極(キャンロール)109が微小な隙間(例えば1mm程度)を置いて設置されている。また、この装置の内部(真空槽111)は、真空排気系110により真空状態になされている。
【0027】この装置においては、ガス導入口108から導入される炭化水素を主成分とするガス(エチレンガス等の成膜物質)が、反応管105内の成膜物質分解領域115に生じる直流電界によつて分解(励起、プラズマ化)され、キャンロール109上において順次搬送される被処理体101上に堆積してカーボン膜を形成する。
【0028】このような方法及び装置により作製されたカーボン膜によって、磁気記録媒体の耐久性は著しく向上する。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の成膜装置では、装置構成(図4参照)から判断されるように、高電圧印加でプラズマ分解された成膜物質を被処理体101上に成膜する場合に、同時に被処理体101にもかなりの高電流が流れる構造となつている。
【0030】この発生した高電流を、例えばアース接地のように、どこかにリークしなければ、被処理体の正常な走行が不可能になったり、又はカミナリ放電による被処理体自体の切断といった不具合が生ずることに繋がる。
【0031】したがって、連続して長尺状の磁気記録媒体である被処理体に成膜を行う際には、装置自体を電気回路と見なして、発生した高電流を安定して流す構造にすることが重要となる。
【0032】ところが、反応時に発生する高電流を例えばキャンロールに対してアース接地を行うことで外部に流す構造とする方法では、安定した成膜自体は可能になるものの、アース接地に至る途中で被処理体と隣接する金属ガイドロールとの摺接に際し微小なカミナリ放電現象であるアークが発生し、被処理体自身へのダメージ(この場合、多くはピンホール型の熱負けと称する磁性層及び非磁性支持体の微小変形)が起きるという技術課題を抱えている。さらに、前述の課題は高電圧印加(成膜速度に比例)になるほど顕著になるという問題も有している。
【0033】そこで本発明は、上述した従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、主として薄膜(例えばカーボン膜)の成膜速度を向上させることができ、且つ被処理体に対してダメージを与えることのない成膜方法を提供すること、及びその実施に使用できる成膜装置を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、本発明の成膜方法は、磁気記録媒体の磁性層上にCVD法によりカーボン保護膜を成膜するに際し、成膜前後に上記磁気記録媒体に対して電子を照射することを特徴とするものである。
【0035】また、本発明の成膜装置は、CVD法によりカーボン保護膜を成膜する反応管と、磁性層が形成された磁気記録媒体が表面に沿って走行される円筒状の対向電極とを備え、上記反応管の前後に上記走行する磁気記録媒体に対向して電子供給装置が設けられていることを特徴とするものである。
【0036】CVDカーボン膜成膜方法、成膜装置において、CVD反応管の前後に電子供給装置を設置する構造とし、磁気記録媒体に対して電子を照射するようにすることにより、例えば案内ガイドロールと被処理体との摺接部分でのアーク発生によるダメージ(ピンホール型の熱負けと称する磁性層及び非磁性支持体の微小変形)が抑制され、生産性が向上されるばかりでなく、安定した成膜を行うことが可能となる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した成膜方法、成膜装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0038】図1は、本発明の成膜方法を実施するための成膜装置の一構成例を示すものである。
【0039】なお、この成膜装置は、図4に示す成膜装置と同様、真空排気される真空チャンバー内で成膜するものであるが、ここでは真空チャンバー(真空槽)及び真空排気系については図示を省略してある。
【0040】本例の成膜装置は、磁気記録媒体に対してカーボン保護膜をCVD法により成膜するものである。
【0041】したがって、磁気記録媒体1を供給する供給ロール2、成膜後の磁気記録媒体1を巻き取る巻き取りロール3を備えており、被処理体である長尺状の磁気記録媒体1を連続的に供給するような構成とされている。
【0042】中央部には、大径のキャンロール4が配置されており、上記磁気記録媒体1は、このキャンロール4の周面に沿って走行することになる。すなわち、上記磁気記録媒体1は、供給ロール2、キャンロール4、巻き取りロール3の順に搬送される。
【0043】上記キャンロール4は、CVD反応管の対向電極としても機能するもので、形状としては円筒状、回転可能であり、電気的には接地されている。
【0044】また、上記キャンロール4と対向してCVD反応管5が配置されており、ここで磁気記録媒体1表面にカーボン保護膜が成膜されるようになっている。ここで、キャンロール4とCVD反応管5の間の隙間は微小なものとされ、例えば1mm程度に設定されている。
【0045】このCVD反応管5の内部には、メッシュ電極6が組み込まれており、このメッシュ電極6には直流電源7により+500〜+2000V程度の直流電圧が印加される。
【0046】CVD反応管5には、エチレンガス等の炭化水素を主成分とするガスが原料ガスとして供給され、これが上記直流電界によって分解(励起、プラズマ化)され、キャンロール4により順次搬送される磁気記録媒体1上に堆積してカーボン保護膜を形成する。
【0047】以上がCVD法による成膜方法、成膜装置の基本的な構成であるが、本発明では、CVD法による成膜の前後に、すなわちキャンロール4の両側位置に電子供給装置8が設けられ、磁気記録媒体1に対して電子を照射するように構成されている。
【0048】上記電子供給装置8は、図2に示すようにプラズマ発生電源9(ヒーター加熱、RF放電)と、電子引き出し用のバイアス電源10とから構成されるもので、Ar等の放電ガスをプラズマ発生電源9に供給し、発生したプラズマから電子を引き出して照射するというものである。具体的には、市販の電子銃を使用することができる。
【0049】この電子供給装置8によりCVD成膜前後に磁気記録媒体1に対して電子を照射することにより、磁気記録媒体1に流れる高電流をアークを発生することなく速やかに解消することが可能となる。
【0050】なお、本例の成膜装置では、上記電子供給装置8による電子照射位置にそれぞれ一対のガイドロール11が設けられており、磁気記録媒体1の走行がガイドされると同時に、磁気記録媒体1の走行状態が安定化されている。
【0051】ここで、これらガイドロール11を金属ガイドロールとし、接地するような構成とすることも考えられるが、この場合にはアースのための経路が2系統に分かれることになって金属ガイドロール側でアークが発生し易い。したがって、ガイドロール11はアース接地から絶縁することが好ましい。特に、ガイドロール11の表面をセラミックでコーティングし、アース接地なしとすれば、アークによる熱負けがほとんど発生しない。
【0052】一方、本発明が適用される成膜方法、成膜装置において、成膜対象となる被処理体である磁気記録媒体は、非磁性支持体の一方の面に金属磁性薄膜が形成され、当該非磁性支持体の他方の面にバックコート層が形成されてなる、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体である。
【0053】金属薄膜型の磁気記録媒体において、磁性層として形成される金属磁性薄膜は、通常の構成でよい。
【0054】すなわち、金属磁性薄膜の材料としては、Fe、Co、Ni等の強磁性金属、Fe−Co、Co‐Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Cu、Co−Cu、Co−Au、Co−Pt、Mn−Bi、Mn‐Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−Cr等の強磁性合金等が挙げられる。金属磁性薄膜は、これらの単層膜であってもよいし、多層膜であってもよい。また、金属磁性薄膜には、耐蝕性改善等のために表面近傍を酸化物層としたり、非磁性支持体との間に下地層を設けてもよい。さらに、多層膜である場合には、金属磁性薄膜同士の間に中間層を設けることで付着力の向上、並びに保磁力の制御等を図るようにしてもよい。
【0055】金属磁性薄膜の形成手段としては、真空下で強磁性金属材料を加熱蒸発させ非磁性支持体上に沈着させる真空蒸着法や、強磁性金属材料の蒸発を放電中で行うイオンプレーティング法、アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー放電を起こし、生じたアルゴンイオンでターゲット表面の原子を叩き出すスパッタ法等、いわゆるPVD技術が挙げられる。
【0056】上記バックコート層は、非磁性顔料粉末と結合剤を主体として構成されるものであり、その厚みはあまり薄いと塗りむらが発生し、逆に厚すぎると記録容量が少なくなるため、0.3〜1.0μmが適当である。
【0057】非磁性顔料粉末としては、ヘマタイト、雲母、シリカゲル、酸化マグネシウム、硫化亜鉛、炭化タングステン、窒化ホウ素、デンプン、酸化亜鉛、カオリン、タルク、粘土、硫酸鉛、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ベーム石(γ−Al23・H2O )、アルミナ、硫化タングステン、酸化チタン、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ポリエチレン粉末、ポリ塩化ビニル粉末、金属粉末等が挙げられる。
【0058】また、樹脂結合剤としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−酢酸ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリカーボネート樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂の単独またはこれらの混合物等が挙げられる。なかでも柔軟性を付与するとされているポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリカーボネート樹脂等が好ましい。
【0059】なお、これら結合剤には、適当な極性基を導入することで非磁性顔料粉末の分散性を向上させたり、架橋剤となるイソシアネート化合物を用いて架橋構造を形成し、耐久性を向上させるようにしてもよい。
【0060】架橋剤としては、トリメチロールプロパンに2,4−トリレンジイソシアネート(TDI、例えば商品名コロネートL−50)を付加したものが一般的であるが、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)やヘキサンジイソシアネート(HDI)等を付加させたものを使用してもよい。
【0061】塗料化するための溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエステル等のエステル系溶剤、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロロベンゼン等の有機塩素化合物系溶剤が挙げられる。
【0062】また、上記非磁性支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート、セルロースブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド等のプラスティックが挙げられる。
【0063】これら非磁性支持体には、金属磁性薄膜が形成される側の面に層状作用による媒体の表面性制御を目的として、複数の徴細な表面突起を形成するようにしてもよい。これら表面突起は、上記非磁性支持体の原材料(チップ)内に所定の大きさのフィラーを分散させ、所定の密度で凝集させて上記非磁性支持体の表面に浮き出させることによって上記非磁性支持体の表面を凹凸状とする方法や、上記非磁性支持体上に所定の粒径を有する微粒子を所定の密度で分散させ、これをバインダー樹脂等により定着させる方法等によって形成される。フィラーとしては、SiO2 粒子や水溶性ラテックス等が挙げられる。
【0064】以上が磁気記録媒体の基本的な構成であるが、この場合にも通常の磁気記録媒体と同様、潤滑剤、防錆剤等よりなるトップコート層を設けることでさらなる特性の改善を図るようにしてもよい。
【0065】潤滑剤としては、主骨格がフルオロカーボン系、アルキルアミン、アルキルエステル等のものが適当である。
【0066】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
【0067】<磁気記録媒体の作製>厚さ6μm、幅127mmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムからなる非磁性支持体の片面に、アクリル酸エステルを主成分とする水溶性ラテックスを分散させたエマルジョン溶液を塗布し、粒子密度1000個/mm2 の表面突起を形成した。このPETフィルムの表面突起を形成した側の表面に、リールツーリール方式の連続巻取り蒸着装置を用いて、磁気記録層を形成した。蒸着条件を下記に示す。
【0068】
磁性層組成 :Co100%、単層磁性層厚 :200nm磁性膜蒸着幅 :100mm入射角 :35°〜60°導入ガス :酸素ガス蒸着時真空度 :2×10-2Pa次に、図1に示す装置を用い、後述の条件にしたがって磁気記録層上にCVD法によりカーボン保護膜(DLC膜)を成膜した。
【0069】保護膜を形成した後、PETフィルムの他方の面(裏面)に塗布バックコート層を形成した。塗布バックコート層用の塗料の組成は下記の通りである。
【0070】
カーボン粒子 :100重量部(旭カーボン社製、カーボンブラック#60)
有機バインダー:100重量部(ポリカーボネートを主成分とする。)
溶剤 :250重量部(メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン=2/2/1)
この組成物をボールミルで混合し、塗布直前に硬化剤(コロネートL)を5重量部添加した。この塗料をグラビアコータにより、乾燥塗布厚が0.5μmとなるように塗布した。
【0071】次に、フルオロカーボンを主骨格とし、これがジメチルデシルアミン構造となるように変成したもののトルエン溶液を塗布することにより、潤滑剤層をカーボン保護膜上に形成した。
【0072】この後、6.35mm幅に裁断してカセットに収納し、サンプルテープとした。
【0073】<CVD法によるカーボン保護膜の成膜実験:その1>本実験では、主に電子供給装置からの電子の照射の有無による相違を調べた。
【0074】磁気記録媒体の作製は上記に準じて行い、カーボン保護膜の成膜条件は下記の通りとした。
【0075】
導入ガス :エチレン+アルゴンガス比 :C24/Ar=4/1トータル流量 :150(sccm)
反応圧力 :30(Pa)
印加電圧 :DC1.2(kV)
導入電流 :1.0(A)
反応管数 :1カーボン保護膜膜厚 :9nmこの条件のもとで、磁気記録媒体に対する電子の照射の有無、さらには磁気記録層と摺接する反応管案内ガイドロールの材質や絶縁状態を変化させて、サンプルテープ1〜4を作製した。
【0076】効果の確認は、ドロップアウト(以下DO)測定で評価した。この評価法は、常温常湿環境下でサンプルテープをVTRに実装してDOを求める試験方法であり、DOサイズは−6dB,10μsのゲートで評価を行った。
【0077】ドロップアウト測定系は、図3に示すように、VTR21、制御用パソコン22、オシロスコープ23、モニター24、DOカウンター25、プリンター26により構成される。
【0078】DO評価に用いたVTRデッキはソニー社製,商品名DCR−VX1000であり、DOカウンターにはシバソク社製,商品名VH06AZを使用した。なお、DO測定の測定手順は、サンプルテープに単一周波数(波長1μm)の信号を記録し、再生出力をオシロスコープ及びDOカウンターに入力し、DO数を計測した。
【0079】各サンプルテープにおける成膜条件及び評価結果を表1に示す。DO(−6dB,10μs)の数は50個/分以下であれば画質的、音質的に問題無い。
【0080】
【表1】

【0081】サンプルテープ1(比較例に相当)より明らかなように、電子供給装置から電子を供給しないと電気回路的に不安定でアークが多発し、DO数も非常に多い結果となっている。
【0082】またサンプルテープ2では、電子供給装置から電子を供給しても、手前にアース接地した金属製案内ガイドロールが存在すると、電流が案内ガイドロールからアースという経路と電子供給装置との2系統に分かれることになり、金属製案内ガイドロールと被処理体(磁気記録媒体)の摺接でアークが発生し、DO数も少なくない結果となっている。
【0083】サンプルテープ3からは、案内ガイドロールが導体であってもアース接地から絶縁されていれば熱負けが発生せず、DO値が低くく良好な値になっていることがわかる。
【0084】さらに、サンプルテープ4の結果から、案内ガイドロールの表面を絶縁体(電気抵抗10000Ω)とし磁気記録媒体に電子を供給してやれば、アークによる熱負けが発生せず、DO数も少なく良好な結果となっていることがわかる。
【0085】<CVD法によるカーボン保護膜の成膜実験:その2>本実験では、電子照射条件について検討した。
【0086】案内ガイドロールの表面を絶縁体(セラミック)とし、接地しない条件下で、電子の照射量のみを変えてサンプルテープ5〜9を作製した。
【0087】そして、これらサンプルテープについても同様にドロップアウト(以下DO)測定で評価した。結果を表2に示す。
【0088】
【表2】

【0089】この表2から明らかなように、電子照射量をCVD反応総電流の90〜110%とすることで、アークによる熱負けが発生せず、DO数が著しく少なくなっている。
【0090】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、アークによる熱負けの発生を大幅に抑制することができ、安定した成膜と生産性の向上を図ることが可能である。
【0091】したがって、本発明によりCVD装置自体の潜在能力を十分に発揮させることが可能となるため、その効果は大きい。




 

 


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