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発明の名称 真空成膜装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−3168(P2001−3168A)
公開日 平成13年1月9日(2001.1.9)
出願番号 特願平11−173350
出願日 平成11年6月18日(1999.6.18)
代理人 【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃 (外2名)
【テーマコード(参考)】
4K029
4K030
【Fターム(参考)】
4K029 AA11 BA34 BC06 BD11 CA01 CA05 DA01 DB11 DB23 DC28 KA00 
4K030 BA27 CA01 CA12 GA07 HA04 JA02 KA02 LA05 LA20
発明者 阿部 淳博
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 テープ状の被成膜体を走行させる走行機構と、外周部に上記被成膜体を走行させることによって成膜部を構成するメインロールとが備えられるとともに、真空ポンプが付設された真空槽と、成膜源を有する成膜ユニットと、この成膜ユニットを支持するユニット支持機構とが備えられ、上記真空槽を閉塞する第1の位置と開放する第2の位置とに移動される真空槽蓋とによって構成され、上記成膜ユニットは、上記真空槽蓋が上記真空槽を閉塞する第1の位置に移動されると、上記真空槽蓋から上記真空槽内へと移送されるとともに上記真空槽に設けた位置決めガイド機構により上記メインロールに対向する所定位置へと移動されて位置決めされることを特徴とする真空成膜装置。
【請求項2】 上記成膜ユニットには、上記成膜源を支持する3次元テーブルが備えられることを特徴とする請求項1に記載の真空成膜装置。
【請求項3】 上記真空槽蓋は、上記真空槽の相異なる位置に設けられた開口部を開閉する複数個からなり、これら真空槽蓋にそれぞれ上記成膜ユニットが搭載されたことを特徴とする請求項1に記載の真空成膜装置。
【請求項4】 上記真空槽には、上記走行機構と位置決めガイド機構を支持する一対のサイドフレームが対向間隔を保持されて配設され、上記サイドフレームには、その内面に、上記真空槽蓋から移送される上記成膜ユニットに設けられたガイドコロが転動して上記メインロールに対する所定位置へと移動させる上記位置決めガイド機構を構成するガイドレールが設けられたことを特徴とする請求項1に記載の真空成膜装置。
【請求項5】 上記真空槽には、上記成膜ユニットが上記メインロールに対して所定位置へと移動された状態において、上記ガイドコロを係止するロック機構が設けられたことを特徴とする請求項4に記載の真空成膜装置。
【請求項6】 上記真空槽には、上記走行機構と位置決めガイド機構を支持する一対のサイドフレームが対向間隔を保持されて配設され、上記サイドフレームには、その内面に、上記真空槽蓋から移送される上記成膜ユニットに設けられたガイドコロを保持するとともに、上記メインロールに対する所定位置へと回動させる上記位置決めガイド機構を構成するカム機構が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の真空成膜装置。
【請求項7】 上記成膜ユニットは、上記真空槽蓋が上記真空槽を開放した第2の位置に移動された状態において、取外し機構によって上記真空槽蓋から取り外されて交換されることを特徴とする請求項1に記載の真空成膜装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空槽内にテープ状の被成膜体を走行させてその表面上に蒸着法、スパッタ法或いはCVD法(Chemical Vapor Deposition)等によって薄膜を成膜形成する真空成膜装置に関し、例えばテープ状原反に磁気層を成膜形成して磁気テープ原反を製造する場合等に用いて好適な真空成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、磁気テープ原反は、真空成膜装置内において走行機構によって連続走行されるテープ状原反の表面上に磁気層が蒸着法或いはスバッタ法等によって成膜形成される。真空成膜装置は、テープ状原反を供給ロールから繰り出して巻取ロールに巻き取る走行系を構成する原反走行機構と、テープ状原反に対する磁気層の成膜部を構成するメインロールとが設けられ、付設された真空ポンプが作動されることにより槽内の真空引きが行われて所定の真空度に保持される。真空成膜装置には、成膜源とこの成膜源から放出される成膜物質の放出方向を制御する防着板とを有する成膜ユニットが設けられる。
【0003】真空成膜装置は、テープ状原反がメインロールの外周部に掛け合わされて原反走行機構によって連続走行されるとともに、メインロールに対して成膜ユニットが位置決めされる。真空成膜装置は、成膜ユニットの成膜物質放出部から放出される成膜物質が連続走行されるテープ状原反の表面に付着することによって、磁気層を成膜形成する。真空成膜装置は、真空成膜操作が適宜の回数行われると、成膜物質に汚損された成膜源や防着板の清掃等のメンテナンスが行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、真空成膜装置においては、成膜方法が例えば蒸着法やスバッタ法によって行われる場合、テープ状原反やメインロールの両端部への成膜を防止するためにメインロールに対して防着板が3mm以下の間隙を以って対向するように成膜ユニットを位置決めする必要がある。また、真空成膜装置においては、成膜方法が例えばCVD法によって行われる場合、メインロールと反応管とのギャップが1mm±0.01mm程度と高精度に設定される必要がある。
【0005】一方、真空成膜装置においては、真空槽の真空引き動作が行われると、内圧と大気圧との差によって槽壁にわずかながらの歪みが発生する。真空成膜装置は、メインロールや原反走行機構の構成各部材を真空槽の槽壁に直接支持するように構成した場合に、テープ状原反の走行が不安定となってメインロールの外周部等において皺が発生するといった問題が生じる。したがって、真空成膜装置においては、真空槽内に高精度に位置決めした状態でサイドフレームを配置し、このサイドフレームにメインロールや原反走行機構を付設することによってテープ状原反を高精度に走行させるような対応が図られる。
【0006】一方、真空成膜装置においては、上述した成膜ユニットのメンテナンス性を向上させるために、この成膜ユニットを真空槽蓋に付設する対応が図られる。しかしながら、かかる真空成膜装置においては、真空槽と真空槽蓋との組立精度、真空槽蓋に対する成膜ユニットの組立精度或いは真空引き動作に伴って生じる真空槽蓋の歪み等によって、メインロールに対する成膜ユニットの位置決めを高精度に保持することが困難であるといった問題があった。
【0007】真空成膜装置は、このために成膜ユニットがメインロールに接近して防着板が接触し、このメインロールやテープ状原反を傷付けてしまうといった問題を生じさせることがあった。真空成膜装置は、かかる問題の発生を防止するために、成膜ユニットとメインロールとの間に例えば5mm以上と余裕を持った間隙が構成されるようにする。しかしながら、真空成膜装置は、かかる対応を施した場合、メインロールの両端部に成膜物質が付着して汚損が激しくなりその清掃等のメンテナンスを頻繁に行う必要が生じる。真空成膜装置は、停止状態でメンテナンスが行われ、起動時には成膜ユニットやメインロール等の調整或いは成膜状態の確認等が行われることから生産性が大幅に悪くなるといった問題があった。
【0008】また、真空成膜装置は、CVD法を適用した成膜処理を施す場合には、上述した条件のようにメインロールに対して成膜ユニットを高精度に位置決めすることが困難である。真空成膜装置は、このために成膜ユニットによるテープ状原反に対する成膜動作が不能となったり不安定となり、高品質の磁気テープ原反の製作が困難であるといった問題があった。
【0009】したがって、本発明は、被成膜体が走行するメインロールに対して成膜ユニットが高精度に位置決めされて成膜動作が行われることで高品質の成膜体を製作するとともに、メンテナンス性に優れ生産性の向上を図った真空成膜装置を提供することを目的に提案されたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する本発明にかかる真空成膜装置は、テープ状の被成膜体を走行させる走行機構と外周部に被成膜体を走行させることによって成膜部を構成するメインロールとが備えられるとともに真空ポンプが付設された真空槽と、この真空槽の開口部を開閉する真空槽蓋とを備える。真空槽蓋には、成膜源を有する成膜ユニットと、この成膜ユニットを支持するユニット支持機構とが備えられ、ガイド機構により真空槽を閉塞する第1の位置と開放する第2の位置とに移動される。成膜ユニットは、真空槽蓋が真空槽を閉塞する第1の位置に移動されると、真空槽蓋から真空槽内へと移送されるとともに真空槽に設けた位置決めガイド機構に沿ってメインロールに対向する所定位置へと移動されて位置決めされる。
【0011】以上のように構成された本発明にかかる真空成膜装置によれば、真空槽蓋が真空槽を閉塞した状態において、この真空槽蓋から真空槽側へと移送された成膜ユニットが位置決めガイド機構によりメインロールに対して位置決めされることから、成膜ユニットとメインロールとの相対的な位置決めが極めて高精度に行われるようになる。したがって、真空成膜装置は、メインロールの外周部を走行するテープ状被成膜体に対して成膜物質を安定した状態で被着させて高精度の薄膜を成膜形成する。また、真空成膜装置は、メインロールに対して成膜ユニットが精密に位置合わせされることで、成膜物質によるメインロールの汚損も抑制されかつ成膜ユニットを真空槽蓋から取り外して清掃する操作も簡易に行われることでメンテナンス性の向上が図られ、以って生産性の向上が図られる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施の形態として図面に示した真空成膜装置1は、例えば前工程において表面に磁性層が蒸着形成されたポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン等からなるテープ状樹脂フィルム原反2の表面に対して、カーボン膜をCVD法により成膜形成して磁気テープ原反3を製造する。勿論、真空成膜装置1は、かかる適用例に限定されるものでは無く、例えばテープ状樹脂フィルム原反2の表面に対して、磁性層を蒸着形成して磁気テープ原反3を製造する。また、真空成膜装置1は、紙や金属等の種々の被成膜体に対して、CVD法ばかりでなく蒸着法やスパッタ法等の適宜方法によって所定の薄膜を形成する場合に用いられる。
【0013】真空成膜装置1は、図1に示すように、真空槽4と、真空槽蓋5とを備えてなる。真空槽4は、図1及び図3に示すように、その内部空間が、隔壁6によって成膜処理を施す成膜室7と、樹脂フィルム原反2を繰り出すとともに成膜室7において成膜処理が施された磁気テープ原反3の巻き取りを行う供給巻取室8とに区割りされてなる。真空槽4は、成膜室7の一方側面が開放され、この開口部9が後述するように真空槽蓋5によって開閉される。
【0014】真空槽4には、成膜室7の真空引きを行う第1の真空ポンプ10が付設されるとともに、供給巻取室8の真空引きを行う第2の真空ポンプ11が付設されている。なお、真空槽4は、例えば1台の真空ポンプによって真空引きを行うようにしてもよいが、第1の真空ポンプ10と第2の真空ポンプ11とによって成膜室7と供給巻取室8とを独立に制御することで高精度の制御と生産効率の向上が図られる。
【0015】真空槽4には、図示しないベースフレーム上に所定の対向間隔に保持された一対のサイドフレーム12(12a、12b)が配設されている。真空槽4は、槽壁と分離されたサイドフレーム12に後述するように各部を支持したことによって真空引きによる槽壁の歪みによる各部の組立状態に影響が生じないように構成されている。真空槽4には、隔壁6に形成された開口部6aに位置してサイドフレーム12に支軸13aが支架され、この支軸13aにメインロール13が回転自在に軸装されている。メインロール13は、図1に示すように外周面の一部がそれぞれ成膜室7と供給巻取室8とに臨ませられている。メインロール13は、図示しないサーボモータによって回転駆動される。
【0016】真空槽4には、樹脂フィルム原反2及び磁気テープ原反3を走行させる原反走行機構14が設けられている。原反走行機構14は、供給巻取室8内に設けられて樹脂フィルム原反2を繰り出す原反供給ロール15と、磁気テープ原反3を巻き取る原反巻取ロール16と、図示しない複数個のガイドロール等によって構成されており、それぞれの支軸がその平行度を例えば0.05mm以下の高精度に保持されてサイドフレーム12に支架されている。原反走行機構14には、メインロール13及び原反供給ロール15、原反巻取ロール16をそれぞれ回転駆動する図示しないサーボモータが備えられている。原反走行機構14には、樹脂フィルム原反2及び磁気テープ原反3の走行テンションを検出する図示しない張力検出機構が付設されている。
【0017】原反走行機構14は、原反供給ロール15から繰り出した樹脂フィルム原反2をガイドロールを介してメインロール13に導き、その外周部に掛け合わせることによって成膜室7内を走行させる。原反走行機構14は、成膜室7内において成膜処理を施された磁気テープ原反3をメインロール13からガイドロールを介して再び供給巻取室8に導き、原反巻取ロール16により巻取を行う。原反走行機構14は、張力検出機構から出力される制御信号によって各サーボモータが制御されることで、樹脂フィルム原反2及び磁気テープ原反3が一定の走行テンションと走行速度を以って走行させるようにする。
【0018】メインロール13は、外周面が鏡面研磨を施され、上述したようにその外周部に樹脂フィルム原反2を掛け合わせて成膜室7内を走行させることによって成膜部を構成する。メインロール13には、その内部に図示しないが冷凍機や水冷によって冷却された冷却媒体が流れる冷却パイプが設けられている。メインロール13は、表面に薄膜が成膜される磁気テープ原反3を冷却しながら走行させることによって、この磁気テープ原反3に成膜処理中に生じる熱変形を抑制する。勿論、メインロール13は、その他の適宜の冷却方法によって冷却されるが、樹脂フィルム原反2や磁気テープ原反3の走行に揺らぎを生じさせる直接空冷方法等は避けることが好ましい。
【0019】真空成膜装置1には、サイドフレーム12の相対する内面に、互いに平行な一対の位置決めガイドレール17(17a、17b)が取り付けられている。各ガイドレール17は、図1に示すように、一端が真空槽4の開口部9に位置されるとともに他端部がメインロール13の下方部に延在されて、サイドフレーム12にそれぞれ水平に取り付けられている。
【0020】各ガイドレール17には、開口部9側の端部に、図2及び図3に示すように内方に向かって次第に高さが大きくなるようにして傾斜ガイド17aが形成されている。各ガイドレール17には、メインロール13に対向する他端部に、ストッパ凸部18が一体にそれぞれ突設されている。ガイドレール17は、真空槽4が開口部9を真空槽蓋5に閉塞された状態において、この真空槽蓋5に搭載された詳細を後述する成膜ユニット22を位置決めガイドする。
【0021】真空成膜装置1には、サイドフレーム12に詳細を後述するように成膜ユニット22を所定の位置に保持する一対のロック機構19が取り付けられている。ロック機構19は、エアシリンダ20と、このエアシリンダ20によって位置決めガイドレール17に近接する第1の位置と、位置決めガイドレール17から離間する第2の位置とに切替移動されるロックレバー21とによって構成される。なお、ロック機構19は、エアシリンダ20に代えて、モータを用いて構成してもよい。
【0022】真空槽蓋5は、図3に示すように、真空槽4の開口部9を閉塞するに足る外形寸法を有しており、図示しないモータ等によってレール23上を真空槽4に対して接離移動される台車24に搭載されている。真空槽蓋5は、台車24が真空槽4に最接近した位置まで移動された状態において、この真空槽4の開口部9を閉塞する。真空槽蓋5は、台車24が真空槽4から離間する方向に移動されることによって開口部9を開放する。真空槽蓋5には、真空槽4との対向側面に一対の支持ブラケット25(25a、25b)が取り付けられている。
【0023】各支持ブラケット25は、サイドフレーム12の対向間隔よりもやや狭い対向間隔を以って、真空槽蓋5の側面に互いに平行な状態で片持ち支持されている。各支持ブラケット25は、図3に示すように、真空槽蓋5が真空槽4を閉塞した状態において、その上面が位置決めガイドレール17の上面よりもやや上方に位置される。真空槽蓋5には、図1及び図2に示すように、支持ブラケット25上に成膜ユニット22が搭載される。
【0024】成膜ユニット22は、図3及び図4に示すように、ベースプレート26と、3次元ステージ27と、CVDイオンソースや蒸着るつぼ等の成膜源28と、防着板29と、図示しない電源部等から構成されている。ベースプレート26は、その幅寸法がサイドフレーム12の対向間隔よりもやや小さくかつ支持ブラケット25の対向間隔よりもやや大きな矩形のプレートからなる。ベースプレート26には、底面の四隅に、幅方向の一対がその対向間隔を位置決めガイドレール17の対向間隔とほぼ等しく配置されて、ガイドコロ30が設けられている。
【0025】ベースプレート26には、図4に示すように幅方向の両端近傍に位置して、その底面に一対のガイドピン31が突設されている。ベースプレート26は、これらガイドピン31が支持ブラケット25の上面に形成した高さ方向のガイド孔32に係合されることによって、支持ブラケット25に搭載された状態を保持される。ガイドピン31は、ベースプレート26が支持ブラケット25に対して水平方向の移動を規制するとともに高さ方向に移動自在とするようにして、ガイド孔32との係合が行われる。
【0026】3次元ステージ27は、成膜源28及び防着板29をX方向、Y方向及びZ方向に移動自在に支持するとともに、X軸、Y軸及びZ軸回りに回転自在に支持して、これら成膜源28及び防着板29をメインロール13に対して精密に位置決めする。成膜源28は、詳細を省略するが、周知のように反応管からカーボン粒子を放出して樹脂フィルム原反2の表面上にカーボン層を成膜形成する。なお、成膜源28は、成膜される薄膜に応じて被成膜体に対して所定の成膜物質を電気化学的な方法等によって放出する装置であればよく、上述したように例えばスバッタ法におけるスバッタカソードや蒸着法における蒸着るつぼ等も用いられる。
【0027】成膜ユニット22は、成膜源28から放出される成膜物質の放出方向や範囲等を防着板29によって制御する。防着板29は、図2及び図4に示すようにメインロール13の外周面と対向する部位がその曲率とほぼ等しい曲率の凹曲面とされて成膜物質放出部29aを構成している。防着板29には、この成膜物質放出部29aに矩形の成膜物質放出口33が形成されており、この成膜物質放出口33の開口範囲で成膜物質が放出されるようにする。成膜物質は、メインロール13の外周部を走行する樹脂フィルム原反2に達してこれに付着し、所定の薄膜を形成する。
【0028】成膜ユニット22は、必要に応じて図2に示すように、吊上げ機構34によって支持ブラケット25から吊り上げられることによって交換自在される。吊上げ機構34は、例えばフック35と、このフック35とベースプレート26の四隅とに架けられた吊りワイヤ36等からなる。成膜ユニット22は、フック35を介して図示しないクレーンやホイスト等によって吊り上げられることにより、ガイドピン31がガイド孔32から抜け出して支持ブラケット25から取り外される。
【0029】真空成膜装置1は、このようにして真空槽蓋5から成膜ユニット22を取り外した状態で成膜源28や防着板29の清掃を行った後に、この成膜ユニット22を再び真空槽蓋5に搭載する。なお、真空成膜装置1においては、成膜源28や防着板29の清掃交換を、別途に準備した交換台車によって対応するようにしてもよい。
【0030】以上のように構成された真空成膜装置1においては、原反供給ロール15から繰り出された樹脂フィルム原反2がガイドロールを介してメインロール13の外周部に掛け合わされた後、ガイドロールを介して原反巻取ロール16に固定される。真空成膜装置1においては、この状態で台車24が駆動されて真空槽蓋5によって真空槽4の開口部9が閉塞される。真空成膜装置1においては、台車24の移動によって、真空槽蓋5に支持された支持ブラケット25が位置決めガイドレール17の内面に沿って真空槽4の内部へと進入する。
【0031】成膜ユニット22は、支持ブラケット25が所定の位置まで進入してベースプレート26が位置決めガイドレール17まで達すると、ガイドコロ30が傾斜ガイド17a上に乗り上がる。成膜ユニット22は、ガイドピン31がガイド孔32内を上昇するがその係合状態を保持されることで、ベースプレート26が支持ブラケット25を介して真空槽蓋5と一体的にそのまま内部へと進入する。成膜ユニット22は、ガイドコロ30が位置決めガイドレール17上を転動することで、この位置決めガイドレール17を介して真空槽4内における高さ方向の位置決めが図られる。
【0032】成膜ユニット22は、図3に示すように真空槽蓋5が真空槽4の開口部9を閉塞した状態において、ガイドコロ30が位置決めガイドレール17のストッパ凸部18と衝合して停止されることによって真空槽4内における奥行き方向の位置決めが図られる。成膜ユニット22は、この状態において防着板29の成膜物質放出部29aがメインロール13の外周部に対して高精度に位置決めされる。また、成膜ユニット22は、この状態においてロック機構19のエアシリンダ20が駆動され、ロックレバー21がガイドコロ30をストッパ凸部18との間で挟み込んでロックする。したがって、成膜ユニット22は、上述したメインロール13に対する位置決め状態が確実に保持される。
【0033】真空成膜装置1においては、第1の真空ポンプ10と第2の真空ポンプ11が駆動されることによって、成膜室7及び供給巻取室8の真空引きが行われる。真空成膜装置1は、成膜室7及び供給巻取室8が所定の真空雰囲気に達した状態で第1の真空ポンプ10と第2の真空ポンプ11とが停止される。真空成膜装置1においては、原反走行機構14が駆動されて樹脂フィルム原反2の走行動作が開始されるとともに成膜ユニット22の成膜源28が作動される。真空成膜装置1においては、成膜物質が成膜源28から防着板29の成膜物質放出口33を介してメインロール13に向かって放出され、このメインロール13の外周部を走行する樹脂フィルム原反2の表面に付着されることで磁気テープ原反3を順次製造する。
【0034】真空成膜装置1は、原反供給ロール15から樹脂フィルム原反2が連続的に繰り出されて成膜部において表面に薄膜が成膜されて磁気テープ原反3を製造すると、この磁気テープ原反3を原反巻取ロール16によって順次巻取を行う。真空成膜装置1においては、成膜処理が終了すると第1の真空ポンプ10と第2の真空ポンプ11とが駆動されて真空槽4内に大気が導入され、この状態で台車24が駆動されて真空槽蓋5が真空槽4を開放する。真空成膜装置1においては、真空槽4内から原反供給ロール15及び原反巻取ロール16を取り出して交換を行い、上述した工程にしたがって次ぎの成膜処理を行う。
【0035】真空成膜装置1は、上述したように真空槽蓋5が真空槽4を閉塞した状態において、成膜ユニット22が真空槽蓋5から真空槽4側へと移動される。真空成膜装置1は、成膜ユニット22が真空槽4内において位置決めガイドレール17を介してメインロール13との高精度の相対的な位置決めが図られるようにする。真空成膜装置1は、メインロール13や位置決めガイドレール17及び原反走行機構14の構成各部材をサイドフレーム12に支持することから、各部に真空槽4の真空引きによる槽璧の歪みの影響が及ぶことは無く高精度の相対的な位置決め状態が確実に保持される。
【0036】したがって、真空成膜装置1は、例えば蒸着法やスバッタ法によって樹脂フィルム原反2に薄膜を成膜して磁気テープ原反3を製造する場合において、防着板29をメインロール13に対して3mm以下の間隙を以って高精度に対向させることが可能であることから、成膜物質の付着によるメインロール13の汚損が抑制される。真空成膜装置1は、これによってメインロール13等の清掃メンテナンスを行う頻度を少なくすることができ、生産性の向上が図られるようになる。また、真空成膜装置1は、かかる構成によっても防着板29がメインロール13に接触してこのメインロール13や樹脂フィルム原反2を傷付けるといった問題の発生が抑制されるようになる。さらに、真空成膜装置1は、メインロール13に対する成膜源28の位置決め精度が極めて高いことから、例えばメインロール13と反応管とのギャップが1mm±0.01mm程度と高精度に設定される必要があるCVD法による薄膜の成膜工程にも適用されて、高品質の磁気テープ原反3を製造する。
【0037】上述した真空成膜装置1は、真空槽4に対して1つの成膜ユニット22を搭載した1つの真空槽蓋5が備えられて構成されているが、本発明はかかる実施の形態に限定されるものでは無い。真空成膜装置1は、真空槽蓋5に対して複数の成膜源を備える成膜ユニット22を搭載して構成してもよい。また、真空成膜装置1は、真空槽蓋5がメインロール13に対してその軸方向と直交する方向から成膜ユニット22が真空槽4内に進入するように構成したが、軸方向と平行な方向から進入するように構成してもよい。
【0038】本発明の第2の実施の形態として図5に示した真空成膜装置40は、真空槽41に対してその両側に配置された2つの真空槽蓋42a、42bが備えられて構成される。真空槽41は、両側面が開放されて真空槽蓋42a、42bによってそれぞれ開閉される。なお、真空成膜装置40は、その他の基本的な構成を上述した真空成膜装置1と同様としており、以下の説明において対応する部位には同一符号を付すことによって詳細な説明を省略する。
【0039】真空成膜装置40は、隔壁6によって成膜室7と供給巻取室8とを上下に区割りしてなる真空槽41を備える。真空成膜装置40は、真空槽蓋42a、42bがそれぞれ台車24a、24bに搭載されており、これら台車24a、24bを駆動することによって真空槽蓋42a、42bが真空槽41を閉塞する第1の位置と、開放する第2の位置とに移動される。真空槽41には、内部に設置された図示しないサイドフレーム12に、その両側から互いに向き合うようにしてそれぞれ第1の位置決めガイドレール43と、第2の位置決めガイドレール44とが設置されている。真空槽41には、図示しないがこれら位置決めガイドレール43、44に対応してロック機構19がそれぞれ設けられている。
【0040】真空成膜装置40は、真空槽41が真空槽蓋42a、42bによって閉塞された状態において、これら真空槽蓋42a、42bから第1の成膜ユニット22aと第2の成膜ユニット22bが真空槽41側へと移送される。真空成膜装置40は、第1の成膜ユニット22aと第2の成膜ユニット22bとを、第1の位置決めガイドレール43と第2の位置決めガイドレール44のストッパ凸部43a、44aにガイドコロ30が突き当たることよって、メインロール13に対してそれぞれ位置決めする。真空成膜装置40は、この第1の成膜ユニット22aと第2の成膜ユニット22bの位置決め状態をロック機構19によって保持する。真空成膜装置40においては、第1の位置決めガイドレール43と第2の位置決めガイドレール44とが、メインロール13の回転方向に対して隣り合って位置される。
【0041】真空成膜装置40は、例えば第1の成膜ユニット22aによって樹脂フィルム原反2に対して蒸着磁性層を成膜形成し、第2の成膜ユニット22bによって蒸着磁性層上にカーボン層を成膜形成する2工程を同時に行う。したがって、真空成膜装置40は、メインロール13に対して、第1の成膜ユニット22aと第2の成膜ユニット22bの相対する位置が第1の位置決めガイドレール43と第2の位置決めガイドレール44とによってそれぞれ異にして設定される。なお、真空成膜装置40は、例えば一方の成膜ユニットを予備機として構成してもよい。
【0042】一方、真空成膜装置1においては、上述したようにベースプレート26のガイドコロ30が位置決めガイドレール17のストッパ凸部18に突き当たるとともにロック機構19によってロックされることにより、成膜ユニット22がメインロール13に対して位置決めされるように構成されている。成膜ユニット22の位置決め機構は、かかる構成に限定されるものでは無く、例えば図6に示した位置決めカム機構50によって構成してもよい。位置決めカム機構50は、図示しないサイドフレーム12の内面に配置され、カム駆動モータ51と、略L字状を呈する一対のカムレバー52(52a、52b)と、リンクレバー53等の部材によって構成されている。なお、位置決めカム機構50は、例えば図示しないエアーシリンダを駆動することによって同図において左右方向に調整移動される。また、真空成膜装置1は、かかる位置決めカム機構50が付設される場合には位置決めガイドレール17が不要となる。
【0043】各カムレバー52は、一端がサイドフレーム12の内面に片持ち状態で回動自在に支持されており、他端側にカム凹部54(54a、54b)がそれぞれ形成されている。各カムレバー52は、リンクレバー53によって互いに連結されており、カム駆動モータ51によって互いに一体に回動動作される。
【0044】各カムレバー52は、カム駆動モータ51の駆動量によって回動角度が適宜調整される。カムレバー52は、真空槽蓋5が真空槽4を開放した状態では、カム凹部54が真空槽4の開口部6側に向かって開口した状態に保持されている。また、カムレバー52は、カム凹部54が、成膜ユニット22のベースプレート26に設けたガイドコロ30と相対する高さ位置をほぼ等しく開口した状態に保持されている。
【0045】真空成膜装置1においては、台車24が駆動されて図6(a)に示すように真空槽蓋5によって真空槽4の開口部9を閉塞した状態において、支持ブラケット25に搭載された成膜ユニット22が真空槽1内に進入する。位置決めカム機構50は、この状態において同図に示すように成膜ユニット22のベースプレート16に設けたガイドコロ30をカムレバー52のカム凹部54内に進入させてその底部に突き当てさせる。位置決めカム機構50は、真空槽蓋5が真空槽4を閉塞した状態においてカム駆動モータ51が駆動されることによって、カムレバー52が同図(b)に示すように反時計方向へと回動動作される。
【0046】位置決めカム機構50は、このカムレバー52の回動動作によって、成膜ユニット22を支持ブラケット25から押し上げながら回動させる。成膜ユニット22は、同図に示すようにベースプレート26の先端部がサイドフレーム12に設けたストッパ55と衝合し、メインロール13に対して位置決めされる。
【0047】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にかかる真空成膜装置によれば、真空槽蓋が真空槽を閉塞した状態において、この真空槽蓋から真空槽側へと移送される成膜ユニットを位置決めガイド機構によってメインロールに対して位置決めするように構成したことから、成膜ユニットとメインロールとの相対的な位置決めが極めて高精度に行われメインロールの外周部を走行するテープ状被成膜体に対して成膜物質を安定した状態で被着させて高精度の薄膜を成膜形成する。また、真空成膜装置においては、メインロールに対して成膜ユニットが精密に位置合わせされて成膜物質の放出方向等の制御が正確に行われることから、メインロールが両端部に成膜物質が付着して汚損されることを抑制しかつ成膜ユニットを真空槽蓋から取り外して清掃する操作も簡易に行われることでメンテナンス性の向上が図られ、以って成膜体の生産性の向上が図られる。




 

 


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