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精密ガラス光学素子の製造方法およびその方法を用いた精密ガラス光学素子の製造装置 - ミノルタ株式会社
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発明の名称 精密ガラス光学素子の製造方法およびその方法を用いた精密ガラス光学素子の製造装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−180947(P2001−180947A)
公開日 平成13年7月3日(2001.7.3)
出願番号 特願平11−373744
出願日 平成11年12月28日(1999.12.28)
代理人 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外2名)
発明者 杉山 肇
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 非酸化性ガス雰囲気下でガラスプリフォームを上下の金型間で加熱し、上下金型によって加圧成形した後、上下金型内に保持した状態で冷却する精密ガラス光学素子の製造方法であって、加熱時、加圧成形時および冷却時、各金型の非成形面側に非酸化性ガスを供給し、各金型の非成形面側での非酸化性ガス流の向きを制御することを特徴とする精密ガラス光学素子の製造方法。
【請求項2】 加熱時および加圧成形時に、各金型の非成形面側において非酸化性ガスを非成形面と接触させながら金型軸に向かって流し、冷却時に、各金型の非成形面側において非酸化性ガスを非成形面と接触させながら、金型軸から放射状に流すことを特徴とする請求項1に記載の精密ガラス光学素子の製造方法。
【請求項3】 少なくとも1対の金型および胴型の温度を検出しながら、非酸化性ガスの温度および/または流量を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の精密ガラス光学素子の製造方法。
【請求項4】 加熱時、加圧成形時および冷却時、非成形面側に開口する各金型のくりぬき部にヒーターを抜き差しすることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の精密ガラス光学素子の製造方法。
【請求項5】 加熱時および加圧成形時に、各金型のくりぬき部にヒーターを挿入し、冷却時に、各金型のくりぬき部からヒーターを引き出すことを特徴とする請求項4に記載の精密ガラス光学素子の製造方法。
【請求項6】 少なくとも、ガラスプリフォームを加圧成形するための上下金型、上金型の熱を上方向に逃がさないための上断熱層、下金型の熱を下方向に逃がさないための下断熱層、および系を外気と遮断するためのチャンバーを含んでなり、各金型の非成形面側に非酸化性ガスのための水平路が形成され、該水平路に連結する垂直路が金型軸方向に断熱層を貫通して形成されていることを特徴とする精密ガラス光学素子の製造装置。
【請求項7】 少なくとも1の垂直路が金型軸上に形成され、水平路が非成形面に隣接しながら金型軸に向かって形成されていることを特徴とする請求項6に記載の精密ガラス光学素子の製造装置。
【請求項8】 水平路が一端で垂直路と連結され、他端でチャンバー内の空間と連結されている請求項6または7に記載の精密ガラス光学素子の製造装置。
【請求項9】 垂直路および/または水平路が非酸化性ガス流の向きを変化させるための弁を有している請求項6〜8いずれかに記載の精密ガラス光学素子の製造装置。
【請求項10】 各金型の外周に胴型を有し、少なくとも1対の金型および胴型の温度を検出しながら、非酸化性ガスの温度および/または流量を制御する手段を設けた請求項6〜9いずれかに記載の精密ガラス光学素子の製造装置。
【請求項11】 各金型が非成形面側に開口するくりぬき部を有し、該くりぬき部に抜き差しするためのヒーターをさらに含んでなる請求項6〜10いずれかに記載の精密ガラス光学素子の製造装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金型によりガラスプリフォームを成形することにより精密ガラス光学素子を製造する方法とその方法を用いた精密ガラス光学素子の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】精密ガラス光学素子(モールド光学素子)を製造する方法としては、ガラスプリフォームを上下の金型間で加熱し、加圧成形した後、ガラスプリフォームを金型内に保持した状態で冷却する方法がよく知られている。このような方法における加熱は、加熱ヒーター等を用いて金型の周辺から行ったり、金型の外周に胴型を配置し、当該胴型の周りにコイルを巻き、当該コイルに電流を流して高周波を発生させることにより胴型を加熱する誘導加熱を行うことが一般的である。そのような加熱手段を用いると、熱は金型外周面から金型に伝導するため、金型成形面を均一に加熱することはできなかった。このため、金型成形面の中心部の温度が周辺部より低い温度分布で成形していた。また、成形後、冷却する際にはガラスプリフォームを金型内に保持した状態で冷却することが一般的であるが、金型はその外周面から放熱されるため、金型成形面の中心部の温度が周辺部より高い温度分布で冷却していた。
【0003】しかしながら、このように成形時および/または冷却時において、金型成形面に温度分布が生じていると、得られる光学素子の面精度が安定しないという問題があった。ガラスプリフォームは通常、ガラス転移点以上に加熱され、そのような温度での温度の変化に対するガラスの線膨張の変化は顕著であるため、成形工程および冷却工程(特にガラス転移点までの冷却工程)における金型成形面での温度分布の大きさがそのまま面精度の安定性に影響することが原因と考えられる。本明細書中、面精度が安定しないとは、光学素子転写面の部位によって面精度が著しく異なることをいう。
【0004】そこで、特開平7−10564号公報では、胴型自体に熱流をコントロールする断熱層を設けて金型の温度分布を低減する試みがなされているが、温度分布を効率的に低減することは困難であり、成形サイクルが著しく長くなるという新たな問題が生じていた。
【0005】一方、金型を用いたガラス素子の成形では、金型の劣化や金型とガラスの融着を防止するために、加熱時および成形時、系中を非酸化性ガスで置換することがよく行われている。置換手段を図8を用いて説明する。図8(A)は従来の光学素子の成形装置の概略構成図を示し、当該装置は上下金型(2、5)および上下胴型(3、6)から構成され、通常、さらに上下断熱層(18、19)、上型ベース11および下型ベース12を含んでなり、系はチャンバー9によって外気と遮断されている。このような装置においては、上記ガスを系内に供給するために、垂直路20が上型ベース11および上断熱層18、ならびに下型ベース12および下断熱層19を貫通してそれらの軸上に形成され、金型における成形面と反対側(以下、非成形面側という)には水平路21が上記垂直路20と連結して半径方向に形成されており、水平路21の他方はチャンバー9内の空間と連結している(図8(B)参照)。図8(B)は図8(A)における水平面Xの概略断面図を示す。非酸化性ガスの供給に際しては、加熱前、一旦、図8中、上から下に向かってガスを流して系中にガスを充填し、加熱時および成形時にはガスを継続して垂直路20に導入し、図中の矢印方向のガス流が形成されていた。
【0006】しかしながら、上記のようなガスの流れでは、導入されたガスはまず、金型の非成形面(25、26)に衝突し、その後チャンバー内の空間に達するため、金型の非成形面の中心部が冷却され、前記した加熱時および成形時の金型成形面における温度分布が顕著であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、面精度が安定した精密ガラス光学素子を効率よく得ることができる精密ガラス光学素子の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、非酸化性ガス雰囲気下でガラスプリフォームを上下の金型間で加熱し、上下金型によって加圧成形した後、上下金型内に保持した状態で冷却する精密ガラス光学素子の製造方法であって、加熱時、加圧成形時および冷却時、各金型の非成形面側に非酸化性ガスを供給し、各金型の非成形面側での非酸化性ガス流の向きを制御することを特徴とする精密ガラス光学素子の製造方法に関する。
【0009】本発明はまた、少なくとも、ガラスプリフォームを加圧成形するための上下金型、上金型の熱を上方向に逃がさないための上断熱層、下金型の熱を下方向に逃がさないための下断熱層、および系を外気と遮断するためのチャンバーを含んでなり、各金型の非成形面側に非酸化性ガスのための水平路が形成され、該水平路に連結する垂直路が金型軸方向に断熱層を貫通して形成されていることを特徴とする精密ガラス光学素子の製造装置に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の方法を添付の図面を用いて説明する。なお、図面の中で同一符号は同一部分または相当する部分を示す。
【0011】図1は本発明の方法を実施するのに適した第1の態様の精密ガラス光学素子の製造装置の概略構成図を示す。当該装置は詳しくは、ガラスプリフォームを加圧成形するための上下金型(2、5)、上金型の熱を上方向に逃がさないための上断熱層18、下金型の熱を下方向に逃がさないための下断熱層19、および系を外気と遮断するための石英等からなるチャンバー9で構成され、通常、さらに上金型2の外周を覆う上胴型3、下金型5の外周を覆う下胴型6、ならびに上下金型および上下胴型を上下断熱層を介して固定するための上型ベース11および下型ベース12を含んでなる。また、成形室(チャンバー内の空間)には、図示しない非酸化性ガス供給システムおよび排気システムが結合されている。ガス供給システムの経路内には、図示しないガス温度制御器、ガス流量制御器およびガス圧制御器が所望により設置されている。本明細書中、上金型2、上胴型3、上断熱層18および上型ベース11からなるユニットを上型ユニット1、下金型5、下胴型6、下断熱層19および下型ベース12からなるユニットを下型ユニット4と呼ぶものとする。
【0012】当該装置においては、各金型の非成形面(25、26)側に非酸化性ガスのための水平路21が形成され、該水平路に連結する垂直路20が金型軸方向に、上断熱層18および上型ベース11、ならびに下断熱層19および下型ベース12を貫通して形成されている。本発明において、垂直路20は金型軸上に形成され、水平路21は非成形面(25、26)に隣接しながら、図1(B)に示すように金型軸に向かって、すなわち垂直路20に向かって形成されていることが好ましい。このような構成とすることにより金型成形面の温度分布をより有効に低減できるためである。図1(B)は図1(A)における水平面Xの概略断面図を示す。
【0013】第1の態様においては、図1(A)および(B)に示すように、水平路21は一端で垂直路20と連結され、他端でチャンバー9内の空間30と連結されている。
【0014】図1(B)中、4本の水平路21が垂直路20から放射状に形成されているが、金型成形面の温度分布を低減できれば、水平路の数は特に制限されるものではなく、例えば、図2に示すように8本の水平路21が垂直路20から放射状に形成されていてもよい。水平路の開口面積にもよるが、通常、4本以上、好ましくは4〜12本が好適である。以下、4本の水平路が形成される場合について説明する。
【0015】本発明においてはまず、チャンバー9内に非酸化性ガスを満たし、非酸化性ガス雰囲気下でガラスプリフォーム7を上下の金型(2、5)間で加熱する。このときのチャンバー内への非酸化性ガス導入のためのガス流路は特に制限されず、金型劣化および金型とガラスとの融着を防止できるように、上下金型間にガスを充填できればよい。例えば、チャンバーと金型ブロック(上型ユニット1および下型ユニット4からなる)との間隙に、ガスを、図示しないガス供給システムによって上型ユニット1側から導入してもよいし、または下型ユニット4側から導入してもよいし、もしくは上下金型によって形成される空間の横からチャンバーに穴をあけてガスを導入してもよい。
【0016】加熱手段(図示しない)は特に制限されないが、上下の胴型の周りにチャンバーの外側からコイルを巻き当該コイルに電気を流して高周波を発生させることにより胴型(3、6)を加熱する誘導加熱を行うことが、迅速に所望温度まで加熱できる点で好ましい。このため、胴型の材料としては、誘導加熱可能な材料が使用され、例えば、超硬合金、カーボン等の硬度が高く、電気伝導性の良好なものが挙げられる。本発明においては加熱手段として、加熱ヒーター、赤外線ランプ等を用いて金型を加熱してもよい。このときは熱の伝導効率の観点から胴型(3、6)を極力小さくし、できることなら設置しないことが好ましい。
【0017】本発明においては加熱時において、各金型(2、5)の非成形面(25、26)側に非酸化性ガスを供給し、各金型の非成形面側での非酸化性ガス流の向きを制御する。詳しくは、各金型(2、5)の非成形面(25、26)側において非酸化性ガスを非成形面と接触させながら金型軸に向かって流す。すなわち、図1(A)中、水平路21および垂直路20に、図示する矢印方向のガス流が生じるようにガスを導入する。このときのガスの導入経路は水平路21および垂直路20内で図示する矢印方向のガス流が生じれば特に制限されず、例えば、チャンバーと金型ブロック(上型ユニット1および下型ユニット4からなる)との間隙に、ガスを、上型ユニット1側から導入してもよいし、下型ユニット4側から導入してもよいし、または上型ユニット1側および下型ユニット4側の両側から導入してもよい。
【0018】加熱時において、金型はその周辺(側面)から熱が伝達されるため、金型成形面において中心部と周辺部で温度差(中心部の温度が周辺部の温度より低い温度分布)が生じるが、本発明においては加熱時、上記のように非酸化性ガスを金型非成形面と接触させながら金型軸に向かって流すため、金型成形面の温度分布を低減できる。すなわち、金型を加熱しながら、非酸化性ガスを金型非成形面と接触させつつ金型軸に向かって流すことによって、金型自体が加熱されることによる固体を介した金型周辺部から金型中心部への熱伝導とガス流を介した金型周辺部から金型中心部への熱伝導が行われ、金型周辺部から金型中心部へ熱が効率よく伝わり、金型の温度分布が低減され、結果として金型成形面の温度分布が低減される。
【0019】加熱時において上記の方向でガスを流し始める時期は特に制限されず、遅くとも後述の加圧成形直前において金型成形面の温度分布の低減が達成できるような時期とする。また、加圧成形直前において金型成形面の温度分布の低減が達成できれば、ガス流は継続して流されても、または間欠的に流されてもよい。
【0020】非酸化性ガスの圧力、温度および/または流量、ならびに加熱手段の出力を適宜選択することによって金型成形面の温度分布を低減するのに必要とされる時間、金型温度および昇温速度を調整することができる。特に、ガスの温度はあまりに低すぎると金型の温度および昇温速度が低下し、加熱効率が悪化し、一方であまりに高く設定してもガスを加熱するためのコストが大きくなるため、これらの事情を勘案して適宜設定する必要がある。また、ガス温度は使用されるガラス種によっても異なるが、通常、20〜400℃、好ましくは300〜600℃の範囲内で選択される。ガスの圧力は、通常、1.0〜7.0kgf/cm2、好ましくは3.0〜7.0kgf/cm2の範囲内で選択される。ガスの流量は0.5〜400リットル/分、好ましくは0.5〜1000リットル/分の範囲内で選択される。
【0021】昇温速度は、加圧成形直前において金型成形面での温度分布の低減が達成されれば、レンズ製造プロセスの短時間化の観点から大きいほど好ましく、通常、300〜1000℃/分、好ましくは300〜600℃/分、より好ましくは500〜600℃/分に設定される。加熱時において昇温速度は途中で変化しても良い。また、各金型はその中心部の温度でプリフォームのガラス軟化点を超える温度に加熱されることが好ましい。通常、ガラス軟化点〜ガラス軟化点+100(℃)まで加熱される。上金型と下金型が異なる温度に加熱されてもよい。
【0022】非酸化性ガスを、上型ユニット1側および下型ユニット4側の両側から導入し、特に、上金型と下金型の設定温度が異なる場合、各ガスの圧力、温度および/または流量は独立して選択されてよい。
【0023】本発明においては金型成形面における中心部と周辺部との温度差を、面精度の安定な光学素子が得られる程度に低減することができる。すなわち、金型および胴型の各中心部の温度差を50℃以下、好ましくは5℃以下に低減することができる。
【0024】例えば、直径約15mm、厚み15mmの金型を用い、金型中心部の温度が705℃に達したとき、400℃のガスを圧力4kgf/cm2、流量5リットル/分で、チャンバーと金型ブロック(上型ユニット1および下型ユニット4からなる)との間隙に、上型ユニット1側から導入すると、各金型において約30秒後には金型中心部の温度が720℃で金型および胴型の各中心部の温度差が5℃の温度分布を実現できる。
【0025】非酸化性ガスは比較的高温であっても金型およびガラス表面を酸化しないガスであれば特に制限されず、例えば、窒素、Ar等が挙げられる。
【0026】上下の金型における成形面は所望の形状に鏡面加工され、本発明においては面精度0.05μm程度まで安定にプリフォームに転写することができる。上金型および下金型それぞれの形状は特に制限されず、例えば、曲面形状(球面形状を含む)または平面形状を有していてよく、また凹形状または凸形状いずれであってもよい。上下の金型の材料は特に制限されないが、成形容易性および型加工容易性の観点からSiC、Si34、WC、Cr23が好ましく用いられ、より好ましくはWCが用いられる。
【0027】上記のように各金型において成形面の温度分布が低減された後は、プリフォームを当該上下金型によって加圧成形する。本発明においては加熱時と同様に、各金型(2,5)の非成形面(25,26)側において非酸化性ガスを非成形面と接触させながら金型軸に向かって流し続けながら加圧成形することが好ましい。
【0028】加圧を終了させるタイミングは、硝種によって異なるが、(Tg-100)℃に冷却するまで、好ましくは(Tg-50)℃に冷却するまでとする。加圧時間および圧力は、上金型2および下金型5の各成形面のプリフォーム7への転写が十分に達成されれば、特に制限されない。
【0029】加圧成形後は、プリフォームを上下金型内に保持した状態で冷却する。本発明においては冷却時、特にプリフォームの表面温度、すなわち金型成形面の温度がガラス転移点以下になるまでの間、各金型(2,5)の非成形面(25,26)側に非酸化性ガスを供給し、各金型の非成形面側での非酸化性ガス流の向きを制御する。詳しくは、各金型(2,5)の非成形面(25,26)側において非酸化性ガスを非成形面と接触させながら、金型軸から放射状に流す。すなわち、図1(A)中、垂直路20および水平路21に、図示する矢印と逆方向のガス流が生じるようにガスを導入する。このときのガスの導入経路は垂直路20および水平路21内で図示する矢印と逆方向のガス流が生じれば特に制限されず、例えば、上型ユニット1においては垂直路20の上端から、下型ユニット4においては垂直路20の下端から、ガスを導入する。
【0030】冷却時において、金型はその周辺(側面)から放熱されるため、金型成形面において中心部と周辺部で温度差(中心部の温度が周辺部の温度より高い温度分布)が生じるが、本発明においては冷却時、上記のように非酸化性ガスを金型非成形面と接触させながら金型軸から放射状に流すため、金型成形面の温度分布が低減された状態での冷却が可能となる。すなわち、金型から放熱させながら、非酸化性ガスを金型非成形面と接触させつつ金型軸から放射状に流すことによって、金型自体が放熱することによる固体を介した金型中心部から金型周辺部への熱伝導とガス流を介した金型中心部から金型周辺部への熱伝導が行われ、金型中心部から金型周辺部へ熱が効率よく伝わり、金型の温度分布が低減され、結果として金型成形面の温度分布が低減された状態での冷却が可能となる。また、冷却効率も向上する。
【0031】冷却時のガス流は、冷却時の金型成形面の温度分布の低減が達成できれば、継続して流されても、または間欠的に流されてもよい。
【0032】冷却時に導入される非酸化性ガスの圧力、温度および/または流量は金型成形面の温度分布が低減された状態を維持できれば特に制限されないが、それらを適宜選択することによって冷却速度を調整することができる。冷却速度は、ガラスに歪が発生し、カンと呼ばれる割れが起こるため制限され、通常、50〜200℃/分、好ましくは80〜120℃/分に制御される。冷却時において冷却速度が途中で変化しても良い。ガスの圧力は、通常、1.0〜7.0kgf/cm2、好ましくは3.0〜7.0kgf/cm2の範囲内で選択される。ガスの温度は、通常、20〜100℃、好ましくは20〜50℃の範囲内で選択される。ガスの流量は0.5〜1000リットル/分、好ましくは0.5〜400リットル/分の範囲内で選択される。例えば、導入ガスの流量を100リットル/分、温度を室温とすれば、冷却速度は約100℃/分となる。
【0033】各ユニット(上型ユニット1および下型ユニット4)から導入される非酸化性ガスの圧力、温度および/または流量は独立して選択されてよい。
【0034】本発明における上記のような冷却はプリフォームの表面温度、すなわち金型成形面の温度がガラス転移点以下、好ましくはガラス転移点−50℃、より好ましくはガラス転移点−20℃になるまでの間、行われる。プリフォーム表面温度がガラス転移点を超えている状態で金型成形面での中心部と周辺部の温度差が20℃を越えると面精度の安定な光学素子を得ることができない。
【0035】本発明においては冷却時の金型成形面における中心部と周辺部との温度差、すなわち、金型および胴型の各中心部の温度差を20℃以下、好ましくは5℃以下に維持することができる。
【0036】上記のような冷却を行った後は、金型間の圧力を解除し、さらに冷却する。圧力解除後の冷却時における冷却速度は大きく設定することが好ましい。これは、成形サイクルの短縮につながり、レンズコストを低減する効果がある。その方法は特に制限されず、例えば、非酸化性ガスを吹きかけて強制的に冷却してもよいし、または放置冷却してもよい。
【0037】本発明においては、加熱時、加圧成形時および冷却時において各金型の非成形面側に非酸化性ガスを供給し、各金型の非成形面側での非酸化性ガス流の向きを上記のように制御することにより、金型成形面の温度分布が低減された状態での加圧成形および冷却が可能になるため、面精度の安定な精密ガラス光学素子を効率よく得ることができる。
【0038】本発明においては、このような温度分布の低減をより効果的に行うために、金型および胴型の中心部の温度を検出しながら、非酸化性ガスの圧力、温度および/または流量、ならびに加熱手段の出力を適宜調整することが好ましい。そのため、上記の装置においては、少なくとも1対、好ましくは2対の金型および胴型の温度を検出しながら、非酸化性ガスの圧力、温度および/または流量、ならびに加熱手段の出力を制御する手段を設けていることが好ましい。
【0039】図3は本発明の方法を実施するのに適した第2の態様の精密ガラス光学素子の製造装置の概略構成図を示す。図3の装置は、上型ユニット1および下型ユニット4それぞれにおいて、5本の垂直路(20Aおよび20B;金型軸上に形成されている垂直路を「20A」、その周辺に形成されている垂直路を「20B」という)が形成され、水平路21が一端で垂直路20Aと連結され、他端で垂直路20Bと連結されていること以外、図1の装置と同様である。図3(B)は図3(A)における水平面Xの概略断面図を示す。図3(B)中、4本の水平路21が垂直路20Aから放射状に形成されているが、図1の装置においてと同様に、金型成形面の温度分布を低減できれば、水平路の数は特に制限されるものではない。例えば、8本の水平路21が垂直路20Aから放射状に形成される場合、各水平路の他端において垂直路20Bが形成される。
【0040】図3(A)中に示されている矢印は加熱時および加圧成形時の非酸化性ガス流の向きを示す。すなわち、図3の装置においては、加熱時および加圧成形時、垂直路20Bに非酸化性ガスを導入することにより、各金型の非成形面側(水平路21)において非酸化性ガスを非成形面と接触させながら金型軸に向かって流す。このため、前述のように、金型自体が加熱されることによる固体を介した金型周辺部から金型中心部への熱伝導とガス流を介した金型周辺部から金型中心部への熱伝導が行われ、金型周辺部から金型中心部へ熱が効率よく伝わり、金型の温度分布が低減され、結果として金型成形面の温度分布が低減される。
【0041】冷却時においては、垂直路20Aに非酸化性ガスを導入することにより、各金型の非成形面側(水平路21)において非酸化性ガスを非成形面と接触させながら金型軸から放射状に流す。このため、前述のように、金型自体が放熱することによる固体を介した金型中心部から金型周辺部への熱伝導とガス流を介した金型中心部から金型周辺部への熱伝導が行われ、金型中心部から金型周辺部へ熱が効率よく伝わり、金型の温度分布が低減され、結果として金型成形面の温度分布が低減された状態での冷却が可能となる。また、冷却効率も向上する。
【0042】図3の装置においても、図1の装置を用いた場合と同様に、加熱時、加圧成形時および冷却時において各金型の非成形面側に非酸化性ガスを供給し、各金型の非成形面側での非酸化性ガス流の向きを上記のように制御することにより、金型成形面の温度分布が低減された状態での加圧成形および冷却が可能になるため、面精度の安定な精密ガラス光学素子を効率よく得ることができる。
【0043】図4は本発明の方法を実施するのに適した第3の態様の精密ガラス光学素子の製造装置の概略構成図を示す。図4の装置は、上胴型3および下胴型6それぞれにおいて、4本の垂直路(20B)がさらに形成され、水平路21が一端で垂直路20A(垂直路20Aは図1における垂直路20に対応する)と連結され、他端で垂直路20Bと連結されていること以外、図1の装置と同様である。図4(B)は図4(A)における水平面Xの概略断面図を示す。図4(B)中、4本の水平路21が垂直路20Aから放射状に形成されているが、図1の装置においてと同様に、金型成形面の温度分布を低減できれば、水平路の数は特に制限されるものではない。例えば、8本の水平路21が垂直路20Aから放射状に形成される場合、各水平路の他端において垂直路20Bが形成される。
【0044】図4(A)中に示されている矢印は加熱時および加圧成形時の非酸化性ガス流の向きを示す。すなわち、図4の装置においては、加熱時および加圧成形時、水平路21および垂直路(20Aおよび20B)に図示する矢印方向のガス流が生じるように非酸化性ガスを導入することにより、各金型の非成形面側(水平路21)において非酸化性ガスを非成形面と接触させながら金型軸に向かって流す。このため、前述のように、金型自体が加熱されることによる固体を介した金型周辺部から金型中心部への熱伝導とガス流を介した金型周辺部から金型中心部への熱伝導が行われ、金型周辺部から金型中心部へ熱が効率よく伝わり、金型の温度分布が低減され、結果として金型成形面の温度分布が低減される。
【0045】ガスの導入経路は水平路21および垂直路(20Aおよび20B)内で図示する矢印方向のガス流が生じれば特に制限されず、例えば、チャンバーと金型ブロック(上型ユニット1および下型ユニット4からなる)との間隙に、ガスを、上型ユニット1側から導入してもよいし、下型ユニット4側から導入してもよいし、または上型ユニット1側および下型ユニット4側の両側から導入してもよい。
【0046】冷却時においては、垂直路20Aに非酸化性ガスを導入することにより、各金型の非成形面側(水平路21)において非酸化性ガスを非成形面と接触させながら金型軸から放射状に流す。このため、前述のように、金型自体が放熱することによる固体を介した金型中心部から金型周辺部への熱伝導とガス流を介した金型中心部から金型周辺部への熱伝導が行われ、金型中心部から金型周辺部へ熱が効率よく伝わり、金型の温度分布が低減され、結果として金型成形面の温度分布が低減された状態での冷却が可能となる。また、冷却効率も向上する。
【0047】図4の装置においても、図1の装置を用いた場合と同様に、加熱時、加圧成形時および冷却時において各金型の非成形面側に非酸化性ガスを供給し、各金型の非成形面側での非酸化性ガス流の向きを上記のように制御することにより、金型成形面の温度分布が低減された状態での加圧成形および冷却が可能になるため、面精度の安定な精密ガラス光学素子を効率よく得ることができる。
【0048】図5は本発明の方法を実施するのに適した第4の態様の精密ガラス光学素子の製造装置の概略構成図を示す。図5の装置は、図5(A)に示すように、少なくとも1の水平路21Bが一端で垂直路20と連結して、他端でチャンバー9内の空間に連結して形成されていること、少なくとも1の誘導路25が一端で垂直路20と連結して、他端で開放系(図示しない)に連結して形成されていること、および弁28が設けられていること以外、図1の装置と同様である。図5(B)は図5(A)における水平面Xの概略断面図を示す。図5(B)中、4本の水平路21A(水平路21Aは図1(A)における水平路21に対応する)が垂直路20から放射状に形成されているが、図1の装置においてと同様に、金型成形面の温度分布を低減できれば、水平路の数は特に制限されるものではない。
【0049】図5(A)中に示されている矢印は加熱時および加圧成形時の非酸化性ガス流の向きを示す。すなわち、図5の装置においては加熱時および加圧成形時、弁28を図5(A)に示すように開閉し、垂直路20に非酸化性ガスを導入することにより、各金型の非成形面側(水平路21A)において非酸化性ガスを非成形面と接触させながら金型軸に向かって流す。このため、前述のように、金型自体が加熱されることによる固体を介した金型周辺部から金型中心部への熱伝導とガス流を介した金型周辺部から金型中心部への熱伝導が行われ、金型周辺部から金型中心部へ熱が効率よく伝わり、金型の温度分布が低減され、結果として金型成形面の温度分布が低減される。
【0050】冷却時においては、図5(A)における全ての弁28の開閉状況を逆にし、すなわち開いている弁は閉じ、閉じている弁は開け、垂直路20に非酸化性ガスを導入することにより、各金型の非成形面側(水平路21A)において非酸化性ガスを非成形面と接触させながら金型軸から放射状に流す。このため、前述のように、金型自体が放熱することによる固体を介した金型中心部から金型周辺部への熱伝導とガス流を介した金型中心部から金型周辺部への熱伝導が行われ、金型中心部から金型周辺部へ熱が効率よく伝わり、金型の温度分布が低減され、結果として金型成形面の温度分布が低減された状態での冷却が可能となる。また、冷却効率も向上する。
【0051】図5の装置においても、図1の装置を用いた場合と同様に、加熱時、加圧成形時および冷却時において各金型の非成形面側に非酸化性ガスを供給し、各金型の非成形面側での非酸化性ガス流の向きを上記のように制御することにより、金型成形面の温度分布が低減された状態での加圧成形および冷却が可能になるため、面精度の安定な精密ガラス光学素子を効率よく得ることができる。
【0052】図5に示すような弁を用いた構成とすることにより、一連の成形において、すなわち加熱時、加圧成形時および冷却時において、非酸化性ガスの導入は垂直路20のみに行うことで足るため、非酸化性ガスの導入経路を切り替える必要がなくなる。
【0053】本発明の方法を実施する前記した全ての態様の装置においては、金型成形面の温度分布の低減をより効果的に行うために、各金型に、非成形面側に開口するくりぬき部を設け、加熱時、加圧成形時および冷却時、当該くりぬき部にヒーターを抜き差しすることが好ましい。
【0054】そのような装置の一例の概略構成図を図6に示す。図6は各金型が非成形面側に開口するくりぬき部29を有すること、および支持棒31によって抜き差し可能なヒーター32を有すること以外、図1の装置と同様である。加熱時および加圧成形時においては、各金型のくりぬき部にヒーターを挿入し、冷却時においては各金型のくりぬき部からヒーターを引き出す。このような上記くりぬき部へのヒーターの抜き差しを、前記の金型非成形面側での非酸化性ガス流方向の制御とともに行うことにより、迅速で有効な金型成形面温度分布の低減が可能となる。また、昇温速度および冷却速度を有効に制御できる。例えば、冷却時、水平路において温度20℃のガスを流量100リットル/分で金型軸から放射状に流す場合、ヒーターをくりぬき部から引き抜くと、冷却速度150〜200℃/分を達成できる。くりぬき部を設けることによって冷却時にガス流が金型と接触する面積が増え、放熱が促進されるためである。
【0055】また、別の態様においては、ヒーターを用いず、上記くりぬき部を設けるだけでも、前記のように金型の非成形面側での非酸化性ガス流の方向を制御することにより、金型成形面の温度分布の低減をより効果的に達成できる。
【0056】本発明の方法を実施するのに適した装置は前記した態様の装置に限定されるものではなく、各金型の非成形面側に非酸化性ガスを供給でき、各金型の非成形面側での非酸化性ガス流の向きを制御できれば特に制限されない。以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
【0057】
【実施例】実施例1次に、実施例1として具体的な成形例について説明する。図1に示す構成を有する装置(水平路:4本)を用いた。金型は凸形状R(曲率半径)15mmで直径15mmの上型2および凹R50mmで直径15mmの下型5からなる。これにより、凹R15mmで凸R50mmのメニスカレンズ8を成形した。プリフォーム硝材7としては、LaK8(Tg:652℃、At(屈伏点):679℃)を用いた。
【0058】まず、上記プリフォーム7を下型5の上部にセットし、図示しない金型駆動機構により金型ブロック(上型ユニット1および下型ユニット4)を移動させ成形室を形成した。ついで、ガス導入システム(図示しない)により窒素ガスを成形室(チャンバー9内の空間)に導いた(非酸化性ガスの充填)。このときのガス温度は室温で、ガス経路は上断熱層18から下断熱層19にまわる経路とした。ガス圧は4Kgf/cm2、流量は5l/minであった。成形室が窒素ガスで満たされたら、図示しない高周波コイルを用いて上下金型を加熱した。上金型の中心部の温度が所定温度の705℃に達した時に、上型ユニット1および下型ユニット4それぞれの水平路21においてガス流が金型軸に向かって流れるように、温度400℃の窒素ガス(20リットル/分)を、チャンバー9と金型ブロックとの間隙に、上型ユニット1側および下型ユニット4側の両側から導入した。その後、ガスの導入を継続しながら、30秒間保持し、金型とプリフォーム各面の均熱化を行った後、下型ユニット4を駆動し、ブレス圧80Kg/cm2で15秒間成形を行った。その後、各水平路21においてガス流が金型軸から放射状に流れるように、室温の窒素ガス(100リットル/分)を、上型ユニットおよび下型ユニットの垂直路20に導入し、当該ガスの導入を継続した(冷却工程)。下金型中心部の温度がTg−20(℃)になった時点で、上下のガス流量を各々400リットル/minとして冷却した。その後、金型ブロックを開いて放置冷却し、成形レンズを取り出した。そこで、これと同一の条件で10回繰り返した。その結果、レーザー干渉計で測定したところ、面精度の安定性が約1/8λ(λ=632.8nm)のレンズが得られた。
【0059】上記成形プロセス中における上金型及び上胴型の各中心部の温度を図示しない熱電対により検出を行い、その温度変化を図7に示した。温度検知手段としては熱電対以外に、放射温度計により非接触測定することも可能である。成形プロセス中の下金型及び下胴型の各中心部の温度も同様に検出したところ、図7と同様の温度変化を示した。それらの検出結果に基づいて上下個別にガスの温度および流量を、また金型の加熱パワーを微調整することで上下双方の金型温度および胴型温度を制御した。本プロセス中の加圧成形時および冷却時において金型と胴型の温度差は5℃以内に維持できた。
【0060】実施例2次に、実施例2について具体的な成形例を説明する。図1に示す構成を有する装置(水平路:4本)を用いた。金型は、凸R15mmで直径15mmの上型2及び凹R50mmで直径15mmの下型5からなる。これにより凹R15mmで凸R50mmのメニスカレンズを成形した。プリフォーム硝材7としてはLaF71(Tg:632℃、At:672℃)を用いた。
【0061】まず、上記プリフォーム7を下型5の上部にセットし、図示しない金型駆動機構により金型ブロック(上型ユニット1および下型ユニット4)を移動させ成形室を形成した。ついで、ガス導入システム(図示しない)により窒素ガスを成形室に導いた(非酸化性ガスの充填)。このときのガス温度は400℃で、ガス経路は上断熱層18から下断熱層19にまわる経路とした。ガス圧は4Kgf/cm2、流量は5l/minであった。成形室が窒素ガスで満たされたら、図示しない高周波コイルを用いて上下金型を加熱した。
【0062】本実施例においては、上下金型の加熱・成形温度に差を設けて成形を行った。上金型中心部の温度が680℃、下金型中心部の温度が695℃に達した時に、各水平路21においてガス流が金型軸に向かって流れるように、温度400℃の窒素ガスを、チャンバー9と金型ブロックとの間隙に、上型ユニット側および下型ユニット側の両側から導入した。ガス流量は上部は15リットル/min、下部は5リットル/minとした。その後、ガスの導入を継続しながら、40秒間保持して下型ユニット4を駆動し、プレス圧100kg/cm2で30秒間成形を行った。その後、各水平路21においてガス流が金型軸から放射状に流れるように、室温の窒素ガスを、上型ユニットおよび下型ユニットの各垂直路20に導入した(冷却工程)。ガス流量は上部は25リットル/min、下部は15リットル/minとし、当該ガスの導入を継続し、下金型中心部の温度がTg−20(℃)になった時点で、上下のガス流量のみ変えて、各々250リットル/minとして冷却した。その後、金型を開き成形レンズ8を取り出し、これを同一の条件で10回繰り返した。その結果、レーザー干渉計で測定したところ、面精度の安定性が約1/10λのレンズが得られた。上記成形プロセス中において上下金型および上下胴型の温度をモニターしたところ、加圧成形時および冷却時の上金型および上胴型、各中心部の温度差、ならびに下金型および下胴型、各中心部の温度差は3℃以内であった。
【0063】実施例3次に、実施例3について具体的な成形例を説明する。図1に示す構成を有する装置(水平路:8本)を用いた。実施例2と同様、金型は凸R15mmで直径15mmの上型2および凹R50mmで直径15mmの下型5からなる。これにより凹R15mmで凸R50mmのメニスカレンズを成形した。プリフォーム硝材としてはSK5(Tg:658℃、At:704℃)を用いた。
【0064】まず、上記プリフォーム7を下型5の上部にセットし、図示しない金型駆動機構により金型ブロック(上型ユニット1および下型ユニット4)を移動させ成形室を形成した。ついで、ガス導入システム(図示しない)により窒素ガスを成形室に導いた。このときのガス温度は400℃で、ガス経路は上断熱層18から下断熱層19にまわる経路とした。ガス圧は4Kgf/cm2、流量は5リットル/minであった。成形室が窒素ガスで満たされたら、図示しない高周波コイルを用いて上下金型を加熱した。上金型の中心部の温度が所定温度の730℃に達した時に、上型ユニット1および下型ユニット4それぞれの水平路21においてガス流が金型軸に向かって流れるように、温度400℃の窒素ガス(20リットル/分)を、チャンバー9と金型ブロックとの間隙に、上型ユニット1側および下型ユニット4側の両側から導入した。このとき、金型と胴型の温度をモニターしながら、上金型と上胴型、下金型と下胴型、各中心部の温度差がないようにガス流量の調整を行い、かつ加熱コイルのパワーを調整し、温度差がない状態を30秒間保持した。その後、下型ユニット4を駆動し、プレス圧80kg/cm2で25秒間成形を行った。その後、各水平路21においてガス流が金型軸から放射状に流れるように、室温の窒素ガス(50リットル/分)を、上型ユニットおよび下型ユニットの各垂直路20に導入した(冷却工程)。このとき、金型と胴型の温度差をモニターしながら、上金型と上胴型、下金型と下胴型、各中心部の温度差がないようにガス流量の調整を行い、下金型中心部の温度がTg−20(℃)になった時点で、上下のガス流量のみ変えて、各々250リットル/minとして冷却した。その後、金型を開き成形レンズ8を取り出し、これを同一の条件で10回繰り返した。その結果、レーザー干渉計で測定したところ、面精度の安定性が約1/12λのレンズが得られた。
【0065】実施例4次に、実施例4として具体的な成形例について説明する。図6に示す構成を有する装置を用いた。図6の装置は各金型が非成形面側に開口するくりぬき部29(開口部の直径:10mm)を有すること、および支持棒31によって支持されるヒーター32(寸法:10mm×高さ12mm、出力200W)を有すること以外、図1の装置と同様である。
【0066】成形方法については、各水平路21におけるガス流の温度、流量および向きを実施例1においてと同様に制御しながら、加熱時および加圧成形時において、各金型のくりぬき部にヒーターを挿入し、冷却時においては各金型のくりぬき部からヒーターを引き出すこと以外、実施例1の成形方法と同様であった。なお、挿入量は確実に奥まで、また引出については金型中心温度の特性に合わせて金型周辺と中心の温度差がでないように制御しながら行った。成形プロセス中において上下金型および上下胴型の温度をモニターしたところ、加圧成形時および冷却時の上金型および上胴型、各中心部の温度差、ならびに下金型および下胴型、各中心部の温度差は2℃以内であった。10回繰り返してレンズを成形し、レーザー干渉計で測定したところ、面精度の安定性が1/10λのレンズが得られた。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、成形に必要となる非酸化性ガスの経路を切り換え、さらには所望により金型内にヒーターを抜き差しすることで効率的に金型温度分布の低減が図れ、面精度の安定性が高い光学素子が容易に成形できる。




 

 


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