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発明の名称 液晶組成物及び該組成物を用いた液晶光変調素子
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−172634(P2001−172634A)
公開日 平成13年6月26日(2001.6.26)
出願番号 特願平11−358419
出願日 平成11年12月17日(1999.12.17)
代理人 【識別番号】100091432
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 武一
【テーマコード(参考)】
2H090
4H027
5G435
【Fターム(参考)】
2H090 HA03 HB07X HD06 JA03 JA19 JC07 JC14 KA06 KA18 LA15 LA20 
4H027 BA02 BD03 BD04 BD08 BD20 BE05 CB04 CC08 CD07 CD08 CD10 CN04 CT08 CU01 DM07
5G435 AA00 AA02 AA04 AA17 BB12 BB16 CC12 DD01 EE33 FF14 GG12 GG16 HH02 HH12 HH14 LL07 LL12
発明者 岩松 雅子 / 小林 信幸 / 植田 秀昭
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 液晶性ジフルオロスチルベン化合物を含むネマティック液晶とカイラル材とを含み、室温でコレステリック相を示すことを特徴とする液晶組成物。
【請求項2】 前記ネマティック液晶は、一般式(A)で表わされる液晶性ジフルオロスチルベン化合物を含有していること、【化1】

を特徴とする請求項1記載の液晶組成物。
【請求項3】 前記液晶性ジフルオロスチルベン化合物の含有量が5〜60重量%であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の液晶組成物。
【請求項4】 前記カイラル材の含有量が、液晶組成物の全量に対して10〜45重量%であることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の液晶組成物。
【請求項5】 さらに、色素を含有していることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の液晶組成物。
【請求項6】 少なくとも一方が光透過性である一対の基板間に、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5記載の液晶組成物を含む液晶層を挟持したことを特徴とする液晶光変調素子。
【請求項7】 前記液晶層がメモリ性を有することを特徴とする請求項6記載の液晶光変調素子。
【請求項8】 前記一対の基板にはそれぞれ電極が形成されており、少なくとも一方の基板の電極上に有機膜が設けられていることを特徴とする請求項6又は請求項7記載の液晶光変調素子。
【請求項9】 前記有機膜は配向制御膜及び/又はカラーフィルタとしての機能を有することを特徴とする請求項8記載の液晶光変調素子。
【請求項10】 前記一対の基板間に、高分子物質からなる構造物が設けられていることを特徴とする請求項6、請求項7、請求項8又は請求項9記載の液晶光変調素子。
【請求項11】 光入射側の基板の表面に紫外線吸収層が設けられていることを特徴とする請求項6、請求項7、請求項8、請求項9又は請求項10記載の液晶光変調素子。
【請求項12】 光入射側とは反対側の基板が、光吸収性を有するものであるか、または光吸収層を有することを特徴とする請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10又は請求項11記載の液晶光変調素子。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶組成物及び該組成物を用いた液晶表示素子などの液晶光変調素子に関する。
【0002】
【従来の技術と課題】近年、ネマティック液晶にカイラル材を添加することにより、室温においてコレステリック相を示すようにしたカイラルネマティック液晶を用いた反射型の液晶表示素子が種々研究されている。この素子では所定電圧のパルス信号を印加することによって液晶をプレーナ状態(着色)とフォーカルコニック状態(透明)に切り換えて表示を行う。そして、電圧の印加を停止した後も着色/透明状態を維持できるように構成することも可能である。
【0003】この種の液晶は、動画を表示するモニタ用の液晶とは異なった領域での使用が期待される。代表的な用途は画像を印字する紙の代替品としてであり、例えば、電子黒板や広告板、電子ブック、装飾パネル等が考えられる。
【0004】その性能に関しては、低電圧駆動、高精細表示、高コントラスト、広動作温度範囲、低温応答特性等が望まれている。特に、低電圧駆動を可能とし、応答性を速くし、かつ、コントラストを高くすることが要求されている。しかし、ネマティック液晶にカイラル材を添加すると、駆動電圧が高くなり、応答性も劣化することが知られている。また、要求されている諸特性は、いずれかを向上させると、いずれかが犠牲になるという傾向がある。
【0005】そこで、本発明の目的は、要求される諸特性をバランスよく実現でき、特に、低電圧駆動が可能で、応答速度が速く、かつ、コントラストが高い液晶組成物及び液晶光変調素子を提供することにある。
【0006】
【発明の構成、作用及び効果】以上の目的を達成するため、本発明に係る液晶組成物は、液晶性ジフルオロスチルベン化合物を含むネマティック液晶とカイラル材とを含み、室温でコレステリック相を示すことを特徴とする。
【0007】室温でコレステリック相を示す液晶組成物は、液晶組成物に対してエネルギーの大きさが異なる複数の電圧を印加することにより、液晶が特定の波長をピークとする光を選択的に反射する状態と、入射光を透過する透明状態とが切り換えられる。
【0008】液晶性ジフルオロスチルベン化合物は概して低粘度で高い屈折率異方性を有しており、液晶組成物の粘度を低下させて応答性を向上させると共に駆動電圧を低下させる。また、反射状態と透明状態との比で表される液晶組成物のコントラストを高める作用を有する。
【0009】液晶性ジフルオロスチルベン化合物として、下記一般式(A)で表わされるものを使用することができる。この液晶性ジフルオロスチルベン化合物の含有量は、液晶組成物の全量に対して5〜60重量%とすることが好ましい。
【0010】
【化2】

【0011】本発明に係る液晶組成物は、他の液晶性化合物を含んでいてもよい。例えば、液晶性フェニルシクロヘキサン化合物、液晶性トラン化合物、液晶性エステル化合物、液晶性ピリミジン化合物、液晶性多環化合物、非極性液晶性化合物などの、一般的にネマティック液晶に用いられる各種の液晶性化合物を含んでいてもよい。
【0012】なお、このような液晶性ジフルオロスチルベン化合物は、公知の製造方法で製造することができ、例えば、特開平11−49707号公報に記載の方法により製造することができる。
【0013】液晶組成物に含まれるカイラル材の含有量は、液晶組成物の全量に対して10〜45重量%とすることが好ましい。カイラル材の含有量をこの範囲とすることで、結晶の析出等を招くことなく、選択反射波長を所望の波長域に設定できる。
【0014】液晶組成物に色素を添加してもよい。色素を添加することにより、液晶組成物の色純度等の調整を行うことができる。
【0015】一方、本発明に係る液晶光変調素子は、前述の液晶組成物を含む液晶層を、少なくとも一方が光透過性である一対の基板間に挟持したものである。このような液晶光変調素子においては、低電圧駆動が可能で、応答速度が速く、かつ、コントラストを高くすることができる。
【0016】液晶層はメモリ性を有するものとしてもよい。メモリ性を持たせることにより、電圧の印加を停止しても表示状態を維持することができ、例えば、省エネルギーの表示素子とすることができる。
【0017】基板上に電極を形成し、さらにその上に配向制御膜やカラーフィルタなどとしての機能を有する有機膜を設けてもよい。このような有機膜を設けることにより、液晶素子の動作の安定性と光変調特性を高めることが可能となる。
【0018】一対の基板間に高分子物質からなる構造物を設けてもよい。このような構造物を設けることにより、基板と基板との間隔をより正確に保つことができ、目的とする光変調特性を得やすくなる。
【0019】光が入射する側の基板が紫外線吸収性を有するか、または紫外線吸収層を持つものを使用してもよい。また、光が入射するのとは反対側の基板が光吸収性を有するか、または光吸収層を持つものを使用してもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る液晶組成物及び液晶光変調素子の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0021】(第1実施形態、図1参照)図1に本発明の第1実施形態である液晶表示素子の断面構造を示す。11,12はセルを構成する透明基板で、それぞれの表面には互いに平行な複数の帯状に形成された透明電極13、14が設けられている。透明電極13と透明電極14とは互いに交差するように向かい合わされている。電極13上には絶縁性薄膜15がコーティングされている。20はスペース保持部材としての高分子構造物、21は室温でコレステリック相を示す液晶組成物であり、これらの材料やその組合わせについては以下の実験例によって具体的に説明する。22は液晶組成物21をセル内部に封じ込めるためのシール材である。また、基板12の裏面には可視光吸収層19が、基板11の表面には紫外線吸収層25が、それぞれ表示の必要性に応じて設けられる。なお、光吸収層19を設ける代わりに、基板自身が可視光吸収性を有するものを用いてもよい。
【0022】(第2実施形態の構成)図2に本発明の第2実施形態である液晶表示素子の断面構造を示す。この液晶表示素子は、図1に示した前記第1実施形態と基本的に同じ構造からなり、表示領域内に高分子構造物を設けないようにしたものである。図2において、図1と同じ部材には同じ符号が付されている。このような構成をもつ液晶表示素子では、開口率の向上、製造工程の簡素化などの点で有利である。
【0023】(第3実施形態、図3参照)図3に本発明の第3実施形態である液晶表示素子の断面構造を示す。この液晶表示素子は、高分子構造物を有しない前記第2実施形態と基本的に同じ構造からなり、基板12の電極14上に配向制御膜17を形成したものである。図3において、図2と同じ部材には同じ符号が付されている。このような構成を持つ液晶表示素子では、図2のものに比べて、配向制御膜17の存在により、液晶分子に対してある程度のアンカリング効果を持たせることができ、液晶表示素子の特性が経時的に変化するのを防止することができる点で有利である。
【0024】(第4実施形態、図4参照)図4に本発明の第4実施形態である液晶表示素子の断面構造を示す。この液晶表示素子は、前記第3実施形態と基本的に同じ構造からなり、配向制御膜17に加えて、さらに基板11にも絶縁膜15上に配向制御膜16を形成したものである。図4において図3と同じ部材には同じ符号が付されている。このような構成を持つ液晶表示素子では、図2のものに比べて、液晶表示素子の特性が経時的に変化するのをより効果的に防止できるという点で有利である。
【0025】(第5実施形態、図5参照)図5に本発明の第5実施形態である液晶表示素子の断面構造を示す。この液晶表示素子は、前記第2実施形態と基本的に同じ構造からなり、基板11の電極13上にカラーフィルタ18を形成したものである。図5において、図2と同じ部材には同じ符号が付されている。このような構成を持つ液晶表示素子では、図2のものに比べて、選択反射光以外の散乱成分を除いたり、選択反射によって行われる表示の色純度を向上させることができ、液晶表示素子の表示品位を向上させることができるという点で有利である。
【0026】(第6実施形態、図6参照)図6に本発明の第6実施形態である液晶表示素子の断面構造を示す。この液晶表示素子は三つの層がそれぞれ異なる選択反射波長を有する液晶組成物21を挟持したフルカラーの反射型液晶表示素子である。各層の間は透明接着剤23で接着されている。各層の液晶組成物21の選択反射波長は、観察者側から順に第1層目が490nm付近(青)、第2層目が560nm付近(緑)、第3層目が680nm付近(赤)に調整されている。
【0027】この液晶表示素子は、画像データをRGBに分解したそれぞれの色画像データに基づいて、各層の液晶表示素子をプレーナ状態、フォーカルコニック状態、さらにフォーカルコニック状態とプレーナ状態との中間状態に切り替えることにより、良好なフルカラー表示素子を行うことができる。
【0028】(表示方法)以上の構成からなる各液晶表示素子においては、電極13,14にパルス電圧を印加することで表示が行われる。即ち、液晶組成物21がコレステリック相を示すものを用いている場合、比較的高いエネルギーのパルス電圧を印加することで、液晶がプレーナ状態となり、液晶分子の螺旋のピッチと屈折率に基づいて決まる波長の光を選択的に反射する。比較的低いエネルギーのパルス電圧を印加することで、液晶がフォーカルコニック状態となり、透明状態となる。各状態が電圧無印加時にも保たれるように構成することも可能である。
【0029】フォーカルコニック状態とプレーナ状態との中間状態も存在することが判明しており、中間的なエネルギーのパルス電圧を印加することにより、中間調の表現も可能である。中間状態では、フォーカルコニック状態とプレーナ状態とが混在するものと考えられ、この状態も電圧無印加時に維持されるように構成することができる。なお、可視光吸収層19を設けると、フォーカルコニック状態では黒色を表示することになる。
【0030】本液晶表示素子では帯状の電極13,14が交差する領域が表示画素となる。本明細書では、液晶によって光変調が行われる領域を光変調領域と称し、その周辺は光変調が行われない光変調領域外となる。本液晶表示素子では光変調領域が表示領域となる。
【0031】(基板)基板11,12は少なくとも一方が光透過性を有することが必要である。透明な基板としては、ガラス以外に、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート等のフレキシブル基板等が使用可能である。
【0032】(電極)電極13,14としては、ITO(Indium Tin Oxide)に代表される透明導電性膜、アルミニウム、シリコン等の金属電極、あるいはアモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等の光導電性膜が使用可能である。電極13,14を帯状に形成するには、例えば、基板11,12上にITO膜をスパッタリング法等で形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。
【0033】(絶縁膜、配向制御膜、カラーフィルタ)絶縁性薄膜15は酸化シリコン等の無機膜あるいはポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の有機膜であり、電極13,14間の短絡を防止したり、ガスバリア層として液晶の信頼性を向上させる機能を有する。また、配向制御膜として機能するポリイミド樹脂やシリコン樹脂を用いてもよい。さらに、色素を添加すればカラーフィルタとしても機能する。さらに、高分子構造物20に用いる高分子体と同じ材料を絶縁性薄膜15として使用してもよい。
【0034】(スペーサ)図1には示されていないが、基板11,12間にスペーサを介在させてもよい。スペーサとしては、例えば、樹脂製又は無機酸化物製の球体が使用でき、基板11,12間のギャップを均一に保持する。高分子構造物20を設けることなく、球状スペーサのみをスペース保持部材として使用してもよい。
【0035】(液晶組成物)液晶組成物としては、液晶性ジフルオロスチルベン化合物を含むネマティック液晶にカイラル材を添加し、室温でコレステリック相を示すカイラルネマティック液晶組成物を用いる。カイラル材の添加量の大小で選択反射波長が調整可能であり、選択反射波長を可視光域に設定したり、可視光域外に設定することができる。液晶組成物に色素や紫外線吸収剤などの添加剤を添加してもよい。
【0036】液晶組成物には、液晶性ジフルオロスチルベン化合物以外の液晶性化合物が含まれていてもよい。例えば、ネマティック液晶として安定なものであればどのような液晶成分を含んでいてもよく、液晶性フェニルシクロヘキサン化合物、液晶性トラン化合物、液晶性エステル化合物、液晶性ピリミジン化合物、液晶性多環化合物、非極性液晶性化合物などを含んでいてもよい。
【0037】液晶性ジフルオロスチルベン化合物の含有量は、ネマティック液晶の全量に対して10〜70重量%、より好ましくは20〜70重量%、さらに好ましくは30〜60重量%とすることが好ましい。カイラル材を含んだ液晶組成物に対しては、5〜60重量%、より好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは15〜50重量%含有することが望ましい。
【0038】液晶性ジフルオロスチルベン化合物は低粘度で高い屈折率異方性を有する。それ故、液晶組成物の粘度を低下させ、駆動電圧の低下、応答性の向上をもたらす。さらに、着色/透明状態でのコントラストを高める作用をも有する。
【0039】ここで、好ましい液晶性ジフルオロスチルベン化合物の一般式(A)と、具体的化学構造式(A1)〜(A64)を示す。なお、具体的な化合物はこれらに限定されるものではない。
【0040】
【化3】

【0041】
【化4】

【0042】
【化5】

【0043】
【化6】

【0044】
【化7】

【0045】
【化8】

【0046】
【化9】

【0047】
【化10】

【0048】カイラルネマティック液晶組成物は、カイラル材の添加量を変えることにより、螺旋構造のピッチを変化させることができ、これにより液晶の選択反射波長を制御することができるという利点がある。なお、一般的には、液晶分子の螺旋構造のピッチを表す用語として、液晶分子の螺旋構造に沿って液晶分子が360度回転したときの分子間の距離で定義される「ヘリカルピッチ」を用いる。
【0049】カイラル材は、ネマティック液晶に添加された場合に液晶の分子を捩る作用を有する添加剤である。カイラル材をネマティック液晶に添加することにより、所定の捩れ間隔を有する液晶分子の螺旋構造が生じ、これによりコレステリック相を示す。複数種のカイラル材の使用は、液晶の相転移温度を変化させたり、温度変化に応じた選択反射波長の変化を軽減したりする他、誘電率異方性、屈折率異方性や粘度等の液晶の諸物性値を変化させることができ、表示素子としての特性を向上させる働きがある。
【0050】2種類以上のカイラル材を含有するようにしてもよい。複数種類のカイラル材を添加することにより、周囲温度によって選択反射波長がシフトするのを防止することができる。複数種類のカイラル材を含ませる場合は、液晶に与える捩れの方向が同方向の2種類のカイラル材を含んでいても、あるいは捩れの方向が互いに逆方向の2種類のカイラル材を含んでいてもよい。添加量は全液晶組成物に対して合計で10〜45重量%(特に、15〜35重量%)であることが好ましい。45重量%を超えると駆動電圧が上昇したり、結晶が析出する等の不具合が発生する。カイラル材の添加量が10重量%未満であると、液晶組成物の選択反射波長が可視域に達しなくなるおそれがある。
【0051】カイラル材としては、例えば、末端に光学活性基を有するビフェニル化合物、ターフェニル化合物、エステル化合物などであって、ネマティック液晶に層状のヘリカル構造(液晶分子の螺旋構造に沿って液晶分子が360°回転した分子構造)を誘起するものが使用できる。また、コレステリックノナノエートに代表されるコレステロール環を有するコレステリック液晶も使用することができる。
【0052】ここで、使用可能なカイラル材の具体例を以下に示す。
【0053】
【化11】

【0054】
【化12】

【0055】添加される色素としては、液晶組成物の選択反射によって行われる表示の色純度を向上させたり、透明状態時の透明度の低下につながる光成分を吸収する特性を持つものを使用することが好ましい。具体的な材料としては、アゾ化合物、キノン化合物、アントラキノン化合物等あるいは2色性色素等、従来知られている各種の色素が使用可能であり、これらを複数種用いてもよい。添加量は、液晶成分とカイラル材の合計量に対して合計3重量%以下が好ましい。
【0056】色素添加の代わりにカラーフィルタを採用する場合、追加するフィルタ層材料としては、無色透明物質に色素を添加したものであってもよい。色素を添加せずとも本来的に着色状態にある材料や、前記色素と同様の働きをする特定の物質の薄膜等であってもよい。フィルタ層を配する代わりに、透明基板自体を以上のようなフィルタ層材料と置き換えても同様の効果が得られることは明らかである。
【0057】(高分子構造物)高分子構造物20は、円柱状体、楕円柱状体、四角柱状体など、形状はどのようなものでもよく、また、その配置はランダムであってもよいし、格子状など規則性を有するものであってもよい。このような高分子構造物を設けることにより、基板間ギャップを一定に保つことが容易になり、また、液晶表示素子自身の自己保持性を高めることができる。特に、ドット形状の高分子構造物を一定間隔で配置すると、表示性能を均一化しやすい。
【0058】高分子構造物を形成するには、紫外線硬化型モノマーからなるフォトレジスト材料などの光硬化性樹脂材料を用いて、所望の厚さで基板に塗布し、これにマスクを通して紫外線を照射するなどしてパターン露光を行い、未硬化部分を除去するいわゆるフォトリソ法を用いることができる。
【0059】また、熱可塑性樹脂を適当な溶剤に溶かした樹脂材料などを用いて、熱可塑性樹脂からなる高分子構造物を形成してもよい。この場合、スクリーン版やメタルマスク等を用いて熱可塑性樹脂材料をスキージで押し出すことにより基板上に印刷を行う印刷法や、ディスペンサ法やインクジェット法などの、樹脂材料をノズルの先から基板上に吐出して形成する方法、あるいは、樹脂材料を平板あるいはローラ上に供給した後、これを基板表面に転写する転写法などにより高分子構造物を配置することができる。こうして配置された高分子構造物上に対向基板を載せた後、加熱・加圧することにより基板間に高分子構造物が挟持された液晶セルを作製することができる。
【0060】液晶表示素子とするには、高分子構造物を挟持した基板間に液晶組成物を真空注入法等によって注入すればよい。基板を貼り合わせる際に液晶組成物を滴下しておき、基板の貼り合わせと同時に液晶組成物を封入するようにしてもよい。
【0061】さらに、基板間ギャップ制御の精度向上のため、構造物を形成するときに、樹脂の膜厚より小さいサイズのスペーサ材料、例えば、グラスファイバー、ボール状のガラスやセラミックス粉、あるいは有機材料からなる球状粒子を配置し、加熱や加圧でギャップが変化し難いようにすると、よりギャップ精度が向上し、電圧むら、発色むら等が軽減できる。
【0062】(シール材等)シール材22は、液晶組成物21が基板11,12外に漏れないように封入するためのものであり、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいは光硬化性接着剤等を使用することができる。
【0063】一般に液晶材料は380nm以下の短波長光により特性劣化することが知られている。特性の劣化は表示むらやコントラストの低下や駆動電圧の上昇などの形で発生する。これを防ぐための紫外線吸収層として、紫外線カットフィルタや紫外線カット樹脂膜を設けるようにしてもよい。
【0064】光入射側(観察側)の透明基板上に直接紫外線吸収層を形成してもよいし、予め紫外線吸収層を形成した透光性部材を光入射側の基板上に配置してもよい。紫外線吸収層の形成方法については、特に限定されるものではなく任意の方法を用いればよい。代表的な方法として、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等に紫外線吸収剤を混ぜて基板等に塗布して硬化する方法や、トリアセテート等の材料に紫外線吸収剤を添加したフィルタを挟みこむなどの方法が挙げられる。
【0065】代表的な紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン化合物やベンゾトリアゾール化合物等が挙げられるが、それ以外の化合物を用いてもよい。
【0066】(実験例1)液晶性トラン化合物及び液晶性フェニルシクロヘキサン化合物を主成分とするネマティック液晶(Δn:0.2024、Δε:7.2、TNI:95℃)と、前記構造式(A3),(A5),(A51)で示される液晶性ジフルオロスチルベン化合物とを重量比7:3で混合して、液晶性ジフルオロスチルベン化合物を30重量%含むネマティック液晶を調製した。このネマティック液晶に、前記構造式(B5),(B2)で示されるカイラル材を重量比62:38で混合したものを、液晶組成物の全量に対して21重量%となるように添加し、680nm付近の波長の光を選択反射するカイラルネマティック液晶組成物を調製した。
【0067】次に、パターニングされた透明電極が形成されたPESフィルムの透明電極形成面に、ポリイミド系配向制御膜AL4552(JSR社製)を800オングストロームの厚さで形成して第1基板とした。そしてこの第1基板の配向制御膜形成面に、直径7μmのギャップ制御用スペーサを所定量散布した後、周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)を切れ目のない枡目状にスクリーン印刷した。同時に、パターニングされた透明電極が形成されたいま一つのPESフィルム(第2基板)上に、絶縁膜HIM3000(日立化成社製)を厚さ2000オングストロームに形成し、さらにその上に配向制御膜AL4552(JSR社製)を厚さ800オングストロームに形成した。なお、両基板とも配向制御膜にはラビング処理を行わなかった。
【0068】続いて、第2基板上に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を、直径約100μmの多数の孔が約500μmの間隔で形成されたメタルマスク上に載置し、スキージを用いてスクリーン印刷を行い、高さ約7μmの円柱上の高分子構造物を形成した。そして、第1基板上に前記液晶組成物を塗布し、貼り合わせ装置を用いて第1及び第2基板を貼り合わせ、150℃で1時間加熱した。さらに、第2基板の裏面に黒色の光吸収層を設け、第1基板の表面に赤色カラーフィルタを設けた。
【0069】このような液晶表示素子にあっては、電極間に50Vのパルス電圧を5msec印加すると、透明状態になり(フォーカルコニック状態)、Y値は1.1を示した。さらに、80Vのパルス電圧を5msec印加すると、赤色反射状態になり(プレーナ状態)、Y値は5.25を示し、コントラストは4.77であった。色純度は83%、反射率は32%であった。また、パルス幅1msecのパルス電圧を用いたときの駆動電圧に対するY値の変化を示す特性は図7に示すとおりである。
【0070】また、こうして作製した液晶表示素子を70℃の高温槽内に放置し、300時間経過後、前記の測定を再度行ったところ、ほとんど変化しなかった。
【0071】(比較例1)前記実験例1で使用した液晶性トラン化合物及び液晶性フェニルシクロヘキサン化合物を主成分とするネマティック液晶に、液晶性ジフルオロスチルベン化合物を加えることなく、実験例1で使用したものと同じカイラル材混合物を液晶組成物の全量に対して22.4重量%となるように添加し、680nm付近の波長の光を選択反射する、液晶性ジフルオロスチルベン化合物を含まないカイラルネマティック液晶組成物を調製した。
【0072】次に、実験例1と同じ構成、材料からなるセルを同じ方法で作製し、前記液晶組成物を封止した。光吸収層及び赤色カラーフィルタを設けた点も実験例1と同様である。
【0073】このような液晶表示素子にあっては、電極間に60Vのパルス電圧を5msec印加すると、透明状態になり(フォーカルコニック状態)、Y値は1.18を示した。さらに、90Vのパルス電圧を5msec印加すると、赤色反射状態になり(プレーナ状態)、Y値は4.8を示し、コントラストは4.06であった。色純度は78.5%、反射率は32%であった。また、パルス幅1msecのパルス電圧を用いたときの駆動電圧に対するY値の変化を示す特性は図7に示すとおりである。
【0074】(実験例2)液晶性ターフェニル化合物を主成分とするネマティック液晶(Δn:0.286、Δε:17.3、TNI:113℃)と、前記構造式(A3),(A5),(A21),(A51)で示される液晶性ジフルオロスチルベン化合物とを重量比4:6で混合して、液晶性ジフルオロスチルベン化合物を60重量%含むネマティック液晶を調製した。このネマティック液晶に、前記構造式(B3),(B7)で示されるカイラル材を重量比62:38で混合したものを、液晶組成物の全量に対して21.5重量%となるように添加し、さらに赤色色素SI−426(三井化学社製)を液晶組成物の全量に対して0.5重量%となるように添加し、680nm付近の波長の光を選択反射するカイラルネマティック液晶組成物を調製した。
【0075】次に、実験例1と同じ構成、材料からなるセルを同じ方法で作製し、前記液晶組成物を封止した。光吸収層及び赤色カラーフィルタを設けた点も実験例1と同様である。
【0076】このような液晶表示素子にあっては、電極間に50Vのパルス電圧を5msec印加すると、透明状態になり(フォーカルコニック状態)、Y値は1.06を示した。また、75Vのパルス電圧を5msec印加すると、赤色反射状態になり(プレーナ状態)、Y値は5.00を示し、コントラストは4.72であった。色純度は76.0%、反射率は32.4%であった。また、パルス幅1msecのパルス電圧を用いたときの駆動電圧に対するY値の変化を示す特性は図8に示すとおりである。
【0077】(比較例2)前記実験例2で使用した液晶性ターフェニル化合物を主成分とするネマティック液晶に、液晶性ジフルオロスチルベン化合物を加えることなく、実験例2で使用したものと同じカイラル材混合物を液晶組成物の全量に対して22.8重量%となるように添加し、さらに色素SI426(三井化学社製)を液晶組成物の全量に対して0.5重量%となるように添加し、680nm付近の波長の光を選択反射する、液晶性ジフルオロスチルベン化合物を含まないカイラルネマティック液晶組成物を調製した。
【0078】次に、実験例2と同じ構成、材料からなるセルを同じ方法で作製し、前記液晶組成物を封止した。光吸収層及び赤色カラーフィルタを設けた点も実験例2と同様である。
【0079】このような液晶表示素子にあっては、電極間に60Vのパルス電圧を5msec印加すると、透明状態になり(フォーカルコニック状態)、Y値は1.18を示した。さらに、90Vのパルス電圧を5msec印加すると、赤色反射状態になり(プレーナ状態)、Y値は4.8を示し、コントラストは4.06であった。色純度は78.5%、反射率は32%であった。また、パルス幅1msecのパルス電圧を用いたときの駆動電圧に対するY値の変化を示す特性は図8に示すとおりである。
【0080】(実験例3)液晶性エステル化合物及び液晶性トラン化合物を主成分とするネマティック液晶(Δn:0.1407、Δε:30.8、TNI:102℃)と、前記構造式(A3)で示される液晶性ジフルオロスチルベン化合物とを重量比9:1で混合して、液晶性ジフルオロスチルベン化合物を50重量%含むネマティック液晶を調製した。このネマティック液晶に、前記構造式(B6),(B1)で示されるカイラル材を重量比1:1で混合したものを、液晶組成物の全量に対して20.6重量%となるように添加し、さらに赤色色素SI−426(三井化学社製)を液晶組成物の全量に対して0.5重量%となるように添加し、690nm付近の波長の光を選択反射するカイラルネマティック液晶組成物を調製した。
【0081】次に、直径9μmのギャップ制御用スペーサを用いた点、及び、第1基板に赤色カラーフィルタを設けない点以外は実験例1と同じ構成、材料からなるセルを同じ方法で作製し、前記赤色色素の添加された液晶組成物を封止した。
【0082】このような液晶表示素子にあっては、電極間に35Vのパルス電圧を5msec印加すると、透明状態になり(フォーカルコニック状態)、Y値は0.97を示した。また、65Vのパルス電圧を5msec印加すると、赤色反射状態になり(プレーナ状態)、Y値4.62を示し、コントラストは4.76であった。色純度は57.7%、反射率は31.5%であった。なお、比較のために、液晶性ジフルオロスチルベン化合物を用いない以外は同様の手順で調製した液晶組成物を用いて実験を行ったところ、駆動電圧の上昇と、コントラスト及び応答性の低下が確認された。
【0083】(比較例3)液晶性ターフェニル化合物と液晶性フェニルシクロヘキサン化合物とを主成分とするネマティック液晶(Δn:0.2104、Δε:7.4、TNI:94℃)と、前記構造式(A3),(A5),(A21),(A57)で示される液晶性ジフルオロスチルベン化合物とを重量比4:6で混合し、ネマティック液晶を調製した。このネマティック液晶に、前記構造式(B3),(B2)で示されるカイラル材を重量比72:28で混合したものを、液晶組成物の全量に対して50重量%となるように混合したところ固化してしまった。
【0084】(比較例4)液晶性トラン化合物と液晶性フェニルシクロヘキサン化合物とを主成分とするネマティック液晶混合物(Δn:0.1997、Δε:7.5、TNI:98℃)に、前記構造式(A3),(A5),(A51)で示される液晶性ジフルオロスチルベン化合物を重量比3:7で混合した。この混合物に、前記構造式(B3),(B2)で示されるカイラル材を重量比72:28で混合したものを、液晶組成物の全量に対して13.4重量%となるように混合し、680nm付近の波長の光を選択反射するカイラルネマティック液晶組成物を調製した。
【0085】次に、実験例1と同じ構成、材料からなるセルを同じ方法で作製し、前記液晶組成物を封止した。光吸収層及び赤色カラーフィルタを設けた点も実験例1と同様である。
【0086】このセルを70℃の高温槽に放置し、96時間経過後、選択反射波長が長波長側に25nmシフトしていた。
【0087】(他の実施形態)なお、本発明に係る液晶組成物及び液晶光変調素子は、前記実施形態、実験例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更可能である。
【0088】特に、セルの構造に関しては、液晶組成物と高分子構造物とからなる網目状の複合膜を形成するネットワーク型であってもよい。また、柱状の高分子構造物は基板間の中間部までの背の低いものであってもよい。
【0089】また、前記の実験例においては、赤色の選択反射を行う液晶表示素子について説明したが、これに限らず、青色の選択反射を行う液晶表示素子や、緑色の選択反射を行う液晶表示素子についても本発明を適用することが可能である。




 

 


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