米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 化学;冶金 -> 東洋インキ製造株式会社

発明の名称 アルミニウムフタロシアニン類の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−270885(P2001−270885A)
公開日 平成13年10月2日(2001.10.2)
出願番号 特願2000−85501(P2000−85501)
出願日 平成12年3月27日(2000.3.27)
代理人
発明者 安藤 宗徳 / 木村 秀一
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】溶剤中でハロゲン化アルミニウムとアンモニアとを反応させて錯形成体を形成する第1段階と、前記錯形成体と下記式(1)で表されるフタロニトリル類とを反応させる第2段階とを含むことを特徴とする、下記式(2)で表されるアルミニウムフタロシアニン類の製造方法。
式(1)
【化1】

[式中、XおよびYは、それぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい脂環残基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、置換基を有してもよいスルホンアミド基のいずれかを表す。]
式(2)
【化2】

[式中、X1〜4および、Y1〜4は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい脂環残基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、置換基を有してもよいスルホンアミド基のいずれかを表す。Zは、ハロゲン原子またはOH基を表す。]
【請求項2】溶剤が、キノリンであることを特徴とする請求項1記載のアルミニウムフタロシアニン類の製造方法。
【請求項3】第1段階において、アンモニアが、ハロゲン化アルミニウムとほぼ同じ反応当量だけ溶剤中に導入されることを特徴とする請求項1記載のアルミニウムフタロシアニン類の製造方法。
【請求項4】式(1)で表されるフタロニトリル類が下記式(3)であり、式(2)で表されるアルミニウムフタロシアニン類が下記式(4)で表されるアルミニウムフタロシアニン類であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウムフタロシアニン類の製造方法。
式(3)
【化3】

[式中、Xは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい脂環残基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、置換基を有してもよいスルホンアミド基のいずれかを表す。式中、Rは、置換基を有してもよいアルキル基、またはアリール基を表す。]
式(4)
【化4】

[式中、X1〜4は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい脂環残基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、置換基を有してもよいスルホンアミド基のいずれかを表す。式中、R1〜4は、置換基を有してもよいアルキル基、またはアリール基を表す。Zは、ハロゲン原子またはOH基を表す。]
【請求項5】溶剤中でハロゲン化アルミニウムとアンモニアとを反応させて錯形成体を形成する第1段階と、前記錯形成体とフタロニトリル類とを反応させてアルミニウムフタロシアニン類を製造する第2段階と、第2段階で得られたフタロシアニン類またはそれに軸置換基を導入したフタロシアニン類を塗布用溶剤に溶解して塗布液とする第3段階と、前記塗布液を案内溝を有する樹脂基板にスピンコーティング法によって塗布する第4段階とを含む光記録媒体の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルミニウムフタロシアニン類の製造方法およびこの製造方法で製造したフタロシアニン類を含む光記録媒体(CD−R、DVD−R、反射金属膜層を有しない光ディスク、光カード等)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フタロシアニン類は顔料や染料など着色材料としての応用のみならす、電子材料としての応用が盛んに行われている。可溶性基を導入したアルミニウムフタロシアニンはCD−R(追記型コンパクトディスク)をはじめとする光記録媒体へ応用されている。特願平9−521167号では可溶性置換基を有するアルミニウムフタロシアニンの軸置換基にジアルキルホスフィン酸基やスルホン酸基を結合させることで良好な記録特性をもつ記録材料を提供している。CD−Rをはじめとする光記録媒体の製造においては、記録層となる記録材料を有機溶剤に溶かし、ポリカーボネート等の樹脂基板上にスピンコーティング等の方法でコーティングする方法が一般的である。このため記録材料は可溶性かつ記録特性のバランスにすぐれたものにするために、多くの置換基による修飾を行う必要がある。その製造には多くの工程を必要とするため、トータルの収量は大幅に低下し記録材料の製造コストの増大につながっている。たとえば、可溶性基を有するアルミニウムフタロシアニン類を製造する場合、可溶性基を有するフタロニトリル類と塩化アルミニウムを溶剤中直接反応させてもフタロシアニン骨格の環化に至らず、いったん相当する置換基を有するジイミノイソインドリン類の製造を経由する2工程で目的物を得ることになる。光記録媒体を安価に提供するためには、可溶性基を有したフタロニトリル類から1工程でアルミニウムフタロシアニン類を提供できるような、工程の短縮および収量を向上できる技術が求められていた。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】本発明はこれまでのアルミニウムフタロシアニンの製造方法が、ニトリル類からジイミノイソインドリン類を経由してアルミニウムフタロシアニン類に至る2工程で行われてきたことに対して、ニトリル類から1工程でアルミニウムフタロシアニン類に至らしめることにより、収率と製造時間の面で大幅に改善する製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶剤中でハロゲン化アルミニウムとアンモニアとを反応させて錯形成体を形成する第1段階と、前記錯形成体と下記式(1)で表されるフタロニトリル類とを反応させる第2段階とを含むことを特徴とする、下記式(2)で表されるアルミニウムフタロシアニン類の製造方法に関する。
式(1)
【0005】
【化5】

【0006】[式中、XおよびYは、それぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい脂環残基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、置換基を有してもよいスルホンアミド基のいずれかを表す。]
式(2)
【0007】
【化6】

【0008】[式中、X1〜4および、Y1〜4は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい脂環残基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、置換基を有してもよいスルホンアミド基のいずれかを表す。Zは、ハロゲン原子またはOH基を表す。]
また、本発明は、溶剤が、キノリンであることを特徴とする前記アルミニウムフタロシアニン類の製造方法に関する。
【0009】また、本発明は、第1段階において、アンモニアが、ハロゲン化アルミニウムとほぼ同じ反応当量だけ溶剤中に導入されることを特徴とする前記アルミニウムフタロシアニン類の製造方法に関する。
【0010】また、本発明は、式(1)で表されるフタロニトリル類が下記式(3)であり、式(2)で表されるアルミニウムフタロシアニン類が下記式(4)で表されるアルミニウムフタロシアニン類であることを特徴とする前記アルミニウムフタロシアニン類の製造方法に関する。
式(3)
【0011】
【化7】

【0012】[式中、Xは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい脂環残基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、置換基を有してもよいスルホンアミド基のいずれかを表す。式中、Rは、置換基を有してもよいアルキル基、またはアリール基を表す。]
式(4)
【0013】
【化8】

【0014】[式中、X1〜4は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい脂環残基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、置換基を有してもよいスルホンアミド基のいずれかを表す。式中、R1〜4は、置換基を有してもよいアルキル基、またはアリール基を表す。Zは、ハロゲン原子またはOH基を表す。]
また、本発明は、溶剤中でハロゲン化アルミニウムとアンモニアとを反応させて錯形成体を形成する第1段階と、前記錯形成体とフタロニトリル類とを反応させてアルミニウムフタロシアニン類を製造する第2段階と、第2段階で得られたフタロシアニン類またはそれに軸置換基を導入したフタロシアニン類を塗布用溶剤に溶解して塗布液とする第3段階と、前記塗布液を案内溝を有する樹脂基板にスピンコーティング法によって塗布する第4段階とを含む光記録媒体の製造方法に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるフタロニトリル類は、下記式(1)で表される。すなわち、式(1)
【0016】
【化9】

【0017】[式中、XおよびYは、それぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい脂環残基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、置換基を有してもよいスルホンアミド基のいずれかを表す。]
本発明で用いられるフタロニトリル類は式(1)に該当するものであれば、2種以上の該当するフタロニトリル類を混合して用いても良い。
【0018】得られる化合物は下記式(2)で表されるアルミニウムフタロシアニン類である。
式(2)
【0019】
【化10】

【0020】[式中、X1〜4および、Y1〜4は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい脂環残基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、置換基を有してもよいスルホンアミド基のいずれかを表す。Zは、ハロゲン原子またはOH基を表す。]
本発明で得られるアルミニウムフタロシアニン類は軸置換基のZがハロゲン原子またはOH基の単体または混合体であってもかまわない。
【0021】さらに、下記式(3)に該当するフタロニトリル類を用いれば原料の仕込み時からアルミニウムフタロシアニンの環化反応の終了に至るまで置換基であるアルコキシ基が可溶基として働くので有機物は均質系で反応容器の中に析出することなく環化反応が完結するので後の処理の容易さ、収率の向上などの面で有利に進行する。
式(3)
【0022】
【化11】

【0023】[式中、Xは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい脂環残基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、置換基を有してもよいスルホンアミド基のいずれかを表す。式中、Rは、置換基を有してもよいアルキル基、またはアリール基を表す。]
本発明で用いられるフタロニトリル類は式(1)に該当するものであれば、2種以上の該当するフタロニトリル類を混合して用いても良い。
【0024】式(3)のフタロニトリル類を用いた場合に得られる化合物は下記式(4)で表されるアルミニウムフタロシアニン類である。
式(4)
【0025】
【化12】

【0026】[式中、X1〜4は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい脂環残基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、置換基を有してもよいスルホンアミド基のいずれかを表す。式中、R1〜4は、置換基を有してもよいアルキル基、またはアリール基を表す。Zはハロゲン原子またはOH基を表す。]
本発明で得られるアルミニウムフタロシアニン類は軸置換基のZがハロゲン原子またはOH基の単体または混合体であってもかまわない。
【0027】得られたフタロシアニン類は幅広い溶剤に対する溶解度が高いので色素溶液をスピンコーティングして得られる光記録媒体用の記録材料又はその原料として最適である。
【0028】本発明に用いられるハロゲン化アルミニウムとしては、AlF3、AlCl3、AlBr3、AlI3などが用いられる。
【0029】本発明に用いられるアンモニアはボンベからアンモニアガスとして反応容内に導入して用いる方法が容易であるがこれに限らない。
【0030】本発明で用いられる溶剤は、反応容器昇温後、アルミニウムフタロシアニンに至る環化反応が認められる溶剤であれば何でも良いが、原料に対する溶解力や高沸点などの点からキノリンを用いることが好ましい。
【0031】本発明は上記原料のほかに触媒を用いないが、必要に応じてフタロシアニン類の環化に汎用の触媒を併用してもかまわない。すなわち1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、モリブデン酸アンモニウム、尿素、ジエチルエタノールアミンなどを併用してもかまわない。
【0032】本発明の製造方法において、反応の第一段階ではアンモニアはハロゲン化アルミニウムと錯形成体を形成することで、金属源を活性化させるものとして必要であるハロゲン化アルミニウムを溶解あるいは分散させた反応溶剤中にアンモニアガスを導入すると昇温を伴ってハロゲン化アルミニウムと錯形成体を形成する。アンモニア量が過剰になると昇温は停止する。反応容器内に導入されたアンモニアガスは、錯形成体の形成中はその反応当量が反応容器内のハロゲン化アルミニウムと反応するため容器外に排出がほとんど認められず、反応容器に設けたガス排出口にpH試験紙を配置しても変化がほとんど認められない(pH7前後)。錯形成終了後は過剰分として導入分相当のアンモニアガスが容器外に排出されるため、ガス排出口に配置したpH試験紙が塩基性側(pH12前後)に変化してゆく様子が認められる。錯形成反応は反応溶剤温度が室温でも、反応を迅速に進めるためにたとえば80℃程度に加温された状態でも進行する。錯形成体生成反応終了後、反応溶剤が室温付近まで放冷されると、反応溶剤にキノリンを用いた場合には錯形成物の一部はけんだく物として反応容器内に認められる。アルムミニウムフタロシアニンの金属源としてのハロゲン化アルミニウムがアンモニアと錯形成を伴わなかった場合、フタロニトリル類との環化反応はほとんど進行しない。たとえばキノリン中に塩化アルミニウムとアルコキシフタロニトリル類を加え180℃に昇温してもフタロシアニン類は痕跡量でしか得られない。アンモニアガス量の供給がハロゲン化アルミニウムと同じ反応当量に達したことは、アンモニアガスが反応容器内に取り込まれなくなったことで知ることができ、この段階でアンモニアガスの導入を停止する。ハロゲン化アルミニウムとアンモニアガスとの反応で、(1)昇温を伴うこと、(2)一定量のアンモニアガスだけが取り込まれること、(3)低温時にけんだくが認められること、(4)ハロゲン化アルミニウムのフタロニトリル類に対する反応性が大きく変わること、により錯形成体の形成を認めることができる。
【0033】本発明の製造方法において、反応の第2段階ではハロゲン化アルミニウムと錯形成終了後の過剰分のアンモニアはフタロニトリル類の環化反応を妨げるものとしてはたらく。ハロゲン化アルミニウムとの錯形成体形成終了後もアンモニアを導入し続けると、加熱昇温してもフタロニトリル類との環化反応はほとんど進行しない。たとえばキノリン中に塩化アルミニウムとアンモニアガスとの錯形成体存在下、アンモニアガスを導入し続けながらアルコキシフタロニトリル類を加え180℃に昇温してもフタロシアニン類は痕跡量でしか得られない。
【0034】フタロシアニン類への環化反応において、アンモニアが有効的に働く段階と抑制的に働く段階があるという特徴をとらえて制御することにより本発明の製造方法を提供することが可能となった。
【0035】本発明の製造方法において、フタロニトリル類の反応溶剤への仕込み時期は、反応溶剤中ハロゲン化アルミニウムとアンモニアとの錯形成体形成反応を行う以前でもよいし、錯形成体形成反応が完了しアンモニアガスに導入を停止した後でもよい。
【0036】本発明の製造方法において、ハロゲン化アルミニウムとアンモニアとの錯形成体形成後にアンモニアの導入を停止させて後に昇温して環化反応に進むが、アンモニアの停止時期は室温時でもよいし、昇温後でもよい。
【0037】本発明の製造方法によって得られたフタロシアニン類は、フタロシアニン骨格に可溶性基を有する場合、溶剤への溶解度が向上して光記録媒体製造時のスピンコーティングに有利である。さらに中心金属のアルミニウムに軸置換基を有する構造は溶解度をさらに向上させる。軸置換基としては特願平9−521167号記載の軸置換基類が、スピンコーティング用溶剤への溶解性や光記録媒体を構成した時の記録特性の点で最適である。
【0038】本発明の製造法によって製造されたフタロシアニン類またはそれに軸置換基を導入したフタロシアニン類を、塗布用溶剤に溶解して塗布液とする第3段階と、さらに前記塗布液を案内溝を有する樹脂基板にスピンコーティング法によって塗布する第4段階をへて光記録媒体を製造することができる。塗布用溶剤はアルコール系溶剤であれば樹脂基板を溶解させにくいのでこれが好ましい。
【0039】本発明の製造方法によって得られた光記録媒体は用途に応じて反射膜および保護層をさらにもうけることができる。反射膜をもうけることで光記録媒体からの読みとり反射光量を十分に得ることができるのでCD-Rの規格に適合した光記録媒体を得ることが可能となる。
【0040】
【実施例】以下実施例を用いて発明を詳細に説明するが本発明はそれらの具体例に限定されるものではない。
(実施例1)300mlフラスコ中、156gのキノリンに、塩化アルミニウムを5g分散し50℃に昇温後、アンモニアガスを45ml/minでキノリン溶剤中に2時間導入した。この間、数度の温度上昇が一旦認められ、その後もとの温度への温度低下が認められた。アンモニア導入を停止し、下記式(5)のフタロニトリル類を36g加えた後、窒素気流下180℃で2時間加熱撹拌を行い環化反応を完了させ。反応容器内にフタロシアニン類の程色が濃く認められた。放冷後2%塩酸水1.5Lにこれをあけて析出させ、ろ過後に温水洗浄した。これをメタノール1.5Lに再溶解させ不溶不純物を濾別後水1.2Lを滴下し目的物を析出させた。析出物を濾過後乾燥することにより、目的物を得た(下記式(6))。収量33g(収率87%)。
式(5)
【0041】
【化13】

【0042】式(6)
【0043】
【化14】

【0044】(実施例2)実施例(1)の式(5)のフタロニトリル類のかわりに下記式(7)のフタロニトリル類を29g、塩化アルミニウムのかわりに臭化アルミニウムを10g使用する他は実施例(1)と同様の操作を行い下記式(8)の目的物を得た。収量28g(収率88%)。
式(7)
【0045】
【化15】

【0046】式(8)
【0047】
【化16】

【0048】(実施例3)実施例(1)の式(5)のフタロニトリル類のかわりに下記式(9)のフタロニトリル類を27g使用する他は実施例(1)と同様の操作を行い下記式(10)の目的物を得た。収量24.5g(収率85%)。
式(9)
【0049】
【化17】

【0050】式(10)
【0051】
【化18】

【0052】(実施例4)実施例(1)の式(5)のフタロニトリル類のかわりに下記式(11)のフタロニトリル類を19g使用し、加熱による環化反応と放冷までは実施例(1)と同様の操作を行い、析出物をろ別後メタノール洗浄することで下記式(12)の目的物を得た。収量10g(収率47%)。
式(11)
【0053】
【化19】

【0054】式(12)
【0055】
【化20】

【0056】(比較例1)300mlフラスコ中、156gのキノリンに、塩化アルミニウムを5g分散し、下記式(13)のジミノイソインドリン類を38g加えた後、窒素気流下180℃で4時間加熱撹拌を行い環化反応を完了させた。反応容器内にフタロシアニン類の呈色が濃く認められた。放冷後2%塩酸水1.5Lにこれをあけて析出させ、ろ過後に温水洗浄した。これをメタノール1.5Lに再溶解させ不溶不純物を濾別後水1.2Lを滴下し目的物を析出させた。析出物を濾過後乾燥することにより、目的物を得た。収量29g(収率77%)。式(13)のジイミノイソインドリンを式(5)のフタロニトリル類から得るために、既知の方法(Inorg.Chem.1965年Vol4.No.1p.128 M.E.Kenney,et al.)で収率65%であったためフタロニトリル類からのトータル収率は50%であった。また工程が1工程増した分、実施例1に比べて余分に操作時間(乾燥も含めて3日)を要した。
式(13)
【0057】
【化21】

【0058】(比較例2)比較例(1)の式(13)のジイミノイソインドリン類のかわりに下記式(14)のジイミノイソインドリン類を31g、塩化アルミニウムのかわりに臭化アルミニウムを10g使用する他は比較例(1)と同様の操作を行った。収量24g(収率79%)。式(7)のフタロニトリル類からのトータル収率は53%。また工程が1工程増した分、実施例2の比べて余分に操作時間(乾燥も含めて3日)を要した。
式(14)
【0059】
【化22】

【0060】(比較例3)比較例(1)の式(13)のジイミノイソインドリン類のかわりに下記式(15)のジイミノイソインドリン類を29g使用する他は比較例(1)と同様の操作を行った。収量21.5g(収率75%)。式(9)のフタロニトリル類からのトータル収率は55%。また工程が1工程増した分、実施例3の比べて余分に操作時間(乾燥も含めて3日)を要した。
式(15)
【0061】
【化23】

【0062】(比較例4)比較例(1)の式(13)のジイミノイソインドリン類のかわりに下記式(16)のジイミノイソインドリン類を 21.5g使用し、加熱による環化反応と放冷までは実施例(1)と同様の操作を行い、析出物をろ別後メタノール洗浄することで目的物を得た。収量9g(収率42%)。式(11)のフタロニトリル類からのトータル収率は18%。また工程が1工程増した分、実施例4の比べて余分に操作時間(乾燥も含めて3日)を要した。
式(16)
【0063】
【化24】

【0064】(比較例5)300mlフラスコ中、156gのキノリンに、塩化アルミニウムを5g分散し50℃に昇温後、アンモニアガスの導入を行わず式(5)のフタロニトリル類を36g加え、窒素気流下180℃で2時間加熱撹拌を行った。反応容器内にフタロシアニン類の呈色がほとんど認められず、目的物は痕跡量以下であった。
(比較例6)300mlフラスコ中、156gのキノリンに、塩化アルミニウムを5g分散し50℃に昇温後、アンモニアガスを45ml/minでキノリン溶剤中に2時間導入する。この間、数度の温度上昇が一旦認められ、その後もとの温度への温度低下が観測される。アンモニア導入を継続したまま、式(5)のフタロニトリル類を36g加え、180℃で2時間加熱撹拌を行った。反応容器内にフタロシアニン類の程色がほとんど認められず、目的物は痕跡量以下であった。
(比較例7)比較例(5)の式(5)のフタロニトリル類のかわりに式(7)のフタロニトリル類を29g使用する他は比較例(5)と同様の操作を行った。反応容器内にフタロシアニン類の呈色がほとんど認められず、目的物は痕跡量以下であった。
(比較例8)比較例(6)の式(5)のフタロニトリル類のかわりに式(7)のフタロニトリル類を29g使用する他は比較例(6)と同様の操作を行った。反応容器内にフタロシアニン類の呈色がほとんど認められず、目的物は痕跡量以下であった。
(比較例9)比較例(5)の式(5)のフタロニトリル類のかわりに式(9)のフタロニトリル類を29g使用する他は比較例(5)と同様の操作を行った。反応容器内にフタロシアニン類の呈色がほとんど認められず、目的物は痕跡量以下であった。
(比較例10)比較例(6)の式(5)のフタロニトリル類のかわりに式(9)のフタロニトリル類を29g使用する他は比較例(6)と同様の操作を行った。反応容器内にフタロシアニン類の呈色がほとんど認められず、目的物は痕跡量以下であった。
(比較例11)比較例(5)の式(5)のフタロニトリル類のかわりに式(11)フタロニトリル類を29g使用する他は比較例(5)と同様の操作を行った。反応容器内にフタロシアニン類の呈色がほとんど認められず、目的物は痕跡量以下であった。
(比較例12)比較例(6)の式(5)のフタロニトリル類のかわりに式(11)のフタロニトリル類を29g使用する他は比較例(6)と同様の操作を行った。反応容器内にフタロシアニン類の呈色がほとんど認められず、目的物は痕跡量以下であった。
(実施例5)実施例(1)で得られたアルミニウムフタロシアニン類を使って特願平9−521167号の方法により軸置換基を導入し、下記式(17)の記録材料を得た。この記録材料をスピンコーティング法によりCD−R用ポリカーボネート基板に塗布し銀反射膜、ハードコート層を施すことによりCD−Rディスクを得た。記録特性評価では、記録パワー6.0mW、反射率71%、ジッタ値26nsでCD−R用記録材料として良好であった。
式(17)
【0065】
【化25】

【0066】(実施例6)実施例(2)で得られたアルミニウムフタロシアニン類を使って特願平9−521167号の方法により軸置換基を導入し、下記式(18)の記録材料を得た。この記録材料をスピンコーティング法によりCD−R用ポリカーボネート基板に塗布し銀反射膜、ハードコート層を施すことによりCD−Rディスクを得た。記録特性評価では、記録パワー6.2mW、反射率69%、ジッタ値27nsでCD−R用記録材料として良好であった。
式(18)
【0067】
【化26】

【0068】(実施例7)実施例(3)で得られたアルミニウムフタロシアニン類を使って特願平9−521167号の方法により軸置換基を導入し、下記式(19)の記録材料を得た。この記録材料をスピンコーティング法によりCD−R用ポリカーボネート基板に塗布し銀反射膜、ハードコート層を施すことによりCD−Rディスクを得た。記録特性評価では、記録パワー5.8mW、反射率70%、ジッタ値24nsでCD−R用記録材料として良好であった。
式(19)
【0069】
【化27】

【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のアルミニウムフタロシアニン類の製造方法によれば、従来のニトリル類からジイミノイソインドリン類を経由してアルミニウムフタロシアニン類に至る2工程で行われてきたことに対して、ニトリル類から1工程でアルミニウムフタロシアニン類に至らしめることにより、収率と製造時間の面で大幅に改善する製造方法を提供し、ひいてはCD−Rをはじめとする光記録媒体の製造コストを低減させることが可能となった。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013