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発明の名称 温水洗浄装置用熱交換タンク
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−278996(P2001−278996A)
公開日 平成13年10月10日(2001.10.10)
出願番号 特願2000−95960(P2000−95960)
出願日 平成12年3月30日(2000.3.30)
代理人
発明者 古小路 実 / 小豆澤 浩司 / 川崎 哲
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 開口部を有する上部タンクと、開口部全周が前記上部タンクと接合する開口部を有する下部タンクとを備え、前記上部タンク開口部と前記下部タンク開口部とを溶着して形成する温水洗浄装置用熱交換タンクにおいて、上部タンク及び下部タンクを(A)(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂20〜100(100を含まない)重量%および(b)ナイロン樹脂80〜0(0を含まない)重量%からなるマトリクス樹脂100重量部ならびに(B)ガラス繊維10〜150重量部を含有する射出溶着用樹脂組成物にて構成したことを特徴とする温水洗浄装置用熱交換タンク。
【請求項2】 前記(B)ガラス繊維の平均繊維径が5〜15μmである請求項1記載の温水洗浄装置用熱交換タンク。
【請求項3】 (a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂が灰分量0.4重量%以下のものである請求項1、2のいずれかに記載の温水洗浄装置用熱交換タンク。
【請求項4】 (a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂が350℃、1時間の空気中熱処理時の加熱減量が0.4重量%以下のものである請求項1〜3のいずれかに記載の温水洗浄装置用熱交換タンク。
【請求項5】 前記樹脂マトリクス中に占めるポリフェニレンスルフィドの割合が40〜100重量%の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載の温水洗浄装置用熱交換タンク。
【請求項6】 前記ナイロン樹脂が融点200℃以上のナイロン樹脂の中から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の温水洗浄装置用熱交換タンク。
【請求項7】 前記ナイロン樹脂がナイロン66、ナイロン6およびそれらを主成分とする共重合ナイロンの中から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載の温水洗浄装置用熱交換タンク。
【請求項8】 ナイロン樹脂がヘキサメチレンテレフタラミド単位を含む共重合ナイロン樹脂の中から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載の温水洗浄装置用熱交換タンク。
【請求項9】 前記マトリクス樹脂100重量部に対して、前記ガラス繊維10〜150重量部を溶融混練してなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の温水洗浄装置用熱交換タンク。
【請求項10】 開口部を有する上部タンクと、開口部全周が前記上部タンクと接合する開口部を有する下部タンクとを備え、前記上部タンク開口部と前記下部タンク開口部とを溶着して形成する温水洗浄装置用熱交換タンクにおいて、上部タンク及び下部タンクを(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部ならびに(B)ガラス繊維10〜150重量部を含有する射出溶着用樹脂組成物にて構成したことを特徴とする温水洗浄装置用熱交換タンク。
【請求項11】 前記(B)ガラス繊維の平均繊維径が5〜15μmである請求項10記載の温水洗浄装置用熱交換タンク。
【請求項12】 (a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂が灰分量0.4重量%以下のものである請求項10、11のいずれかに記載の温水洗浄装置用熱交換タンク。
【請求項13】 (a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂が350℃、1時間の空気中熱処理時の加熱減量が0.4重量%以下のものである請求項10〜12のいずれかに記載の温水洗浄装置用熱交換タンク。
【請求項14】 (a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、(B)ガラス繊維10〜150重量部を溶融混練してなることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の温水洗浄装置用熱交換タンク。
【請求項15】 請求項1〜14のいずれかの温水洗浄装置用熱交換タンクに対して、前記上部タンク及び下部タンクを射出溶着することを特徴とする温水洗浄装置用熱交換タンクの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、成形性品表面外観、寸法安定性、溶着性が均衡して優れた温水洗浄装置用熱交換タンクに関し、上部タンク及び下部タンクを溶着して得られる温水洗浄装置用熱交換タンクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ナイロン樹脂は、その優れた射出成形性、耐熱性、強靱性、クリープ特性などを利して、温水洗浄装置用熱交換タンクに利用されている。従来のナイロン樹脂材料の設計はかかる後加工への適用性まで考慮したものとは言えず、上部タンク及び下部タンクからなるガラス繊維強化ナイロン樹脂製熱交換タンクを超音波溶着法、振動溶着法、熱板溶着法、射出溶着法などによって溶着して用いる場合には、吸水による寸法変化に起因する溶着部分の強度低下などのために厳密な溶着代の管理及び溶着条件の管理を行っているのが現状であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した従来のナイロン樹脂製熱交換タンクにおける問題点であった寸法精度、吸水性、溶着性の改良を課題とし、更に成形性、耐熱性、強靱性、クリープ特性などの特性にも均衡して優れた溶着に適した温水洗浄装置用熱交換タンクを得ることを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく検討した結果、マトリクス樹脂成分としてポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)とナイロン樹脂からなるアロイ組成物を用いることにより目的が達成されることを見出した。また、PPSを樹脂成分の主体とすることにより、ナイロン樹脂製の熱交換タンクにつきまとう課題を解決できることを見出した。即ち本発明は、1.「(A)(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂20〜100(100を含まない)重量%および(b)ナイロン樹脂80〜0(0を含まない)重量%からなるマトリクス樹脂100重量部ならびに(B)ガラス繊維10〜150重量部を含有する温水洗浄装置用熱交換タンク。」
2.「ガラス繊維の平均繊維径が5〜15μmである前記の温水洗浄装置用熱交換タンク。」
3.「(a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂が灰分量0.4重量%以下のものである前記いずれかの温水洗浄装置用熱交換タンク。」
4.「(a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂が350℃、1時間の空気中熱処理時の加熱減量が0.4重量%以下のものである前記いずれかの温水洗浄装置用熱交換タンク。」
5.「樹脂マトリクス中に占めるポリフェニレンスルフィドの割合が40〜100重量%の範囲である前記いずれかの射出溶着用樹脂組成物。」
6.「ナイロン樹脂が融点200℃以上のナイロン樹脂の中から選ばれた少なくとも1種である前記いずれかの温水洗浄装置用熱交換タンク。」
7.「ナイロン樹脂がナイロン66、ナイロン6およびそれらを主成分とする共重合ナイロンの中から選ばれた少なくとも1種である前記いずれかの温水洗浄装置用熱交換タンク。」
8.「ナイロン樹脂がヘキサメチレンテレフタラミド単位を含む共重合ナイロン樹脂の中から選ばれた少なくとも1種である前記1項から6項のいずれかの温水洗浄装置用熱交換タンク。」
9.「前記マトリクス樹脂100重量部に対して、前記ガラス繊維10〜150重量部を溶融混練してなる前記いずれかに記載の温水洗浄装置用熱交換タンク。」
【0005】10.「開口部を有する上部タンクと、開口部全周が前記上部タンクと接合する開口部を有する下部タンクとを備え、前記上部タンク開口部と前記下部タンク開口部とを溶着して形成する温水洗浄装置用熱交換タンクにおいて、上部タンク及び下部タンクを(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部ならびに(B)ガラス繊維10〜150重量部を含有する射出溶着用樹脂組成物にて構成した温水洗浄装置用熱交換タンク。」
11.「ガラス繊維の平均繊維径が5〜15μmである前記の温水洗浄装置用熱交換タンク。」
12.「前記(a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂が灰分量0.4重量%以下のものである前記10、11項のいずれかの温水洗浄装置用熱交換タンク。」
13.「前記(a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂が350℃、1時間の空気中熱処理時の加熱減量が0.4重量%以下のものである前記10〜12項のいずれかの温水洗浄装置用熱交換タンク。」
14.「前記(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、(B)ガラス繊維10〜150重量部を溶融混練してなることを特徴とする前記10〜13項のいずれかの温水洗浄装置用熱交換タンク。」
【0006】15.「(A)(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂20〜100重量%および(b)ナイロン樹脂80〜0重量%からなるマトリクス樹脂100重量部に対して、(B)ガラス繊維10〜150重量部を溶融混練してなることを特徴とする前記各項のいずれかの温水洗浄装置用熱交換タンクの製造方法。」を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。本発明で使用するポリフェニレンスルフィド樹脂とは、下記構造式で示される繰り返し単位を70モル%以上、【化1】

より好ましくは90モル%以上を含む重合体であり、上記繰り返し単位が70モル%未満では、耐熱性が損なわれるので好ましくない。またPPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満を、下記の構造式を有する繰り返し単位等で構成することが可能である。
【0008】
【化2】

【0009】本発明で用いられるPPS樹脂の溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に制限はないが、通常5〜2,000Pa・s(320℃、剪断速度1,000sec-1)のものが使用され、10〜200Pa・sの範囲がより好ましい。
【0010】かかるPPS樹脂は通常公知の方法即ち特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法或は特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造できる。本発明において上記の様に得られたPPS樹脂を空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化など種々の処理を施した上で使用することももちろん可能である。
【0011】PPS樹脂の加熱による架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法が例示できる。加熱処理温度は通常、170〜280℃が選択され、好ましくは200〜270℃であり、時間は通常の0.5〜100時間が選択され、好ましくは2〜50時間であるが、この両者をコントロールすることにより目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0012】PPS樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間加熱処理する方法が例示できる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0013】PPS樹脂を有機溶媒で洗浄する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、洗浄に用いる有機溶媒としては、PPS樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はないが、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などがあげられる。これらの有機溶媒のなかでN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミド、クロロホルムなどの使用が好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。
【0014】また有機溶媒洗浄を施されたPPS樹脂は残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
【0015】PPS樹脂を熱水で処理する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち熱水洗浄によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、常圧で或いは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。PPS樹脂と水との割合は、水が多いほうが好ましいが、通常、水1リットルに対し、PPS樹脂200g以下の浴比が選択される。
【0016】PPS樹脂を酸処理する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、酸または酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸はPPSを分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などがあげられる。中でも酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施されたPPS樹脂は残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また洗浄に用いる水は、酸処理によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で蒸留水、脱イオン水であることが好ましい。
【0017】上記例示の後処理のいくつかを用いて製造されるPPSの内、特に灰分量0.4重量%以下のPPS、あるいは350℃、1時間の空気中熱処理時の加熱減量が0.4重量%以下のPPSが本発明においてはナイロン樹脂とのアロイ化の際に良好な混和性を示すので好ましい。また、酸無水物による後処理なども本発明においては好ましい態様の一つである。なお、全灰分量は150℃で1時間乾燥した樹脂5gをるつぼに入れ、540℃、6時間燃焼させた残渣重量を測定し、乾燥後の樹脂(5g)に対する残渣重量の割合を算出したものである。
【0018】本発明で用いられる(b)成分のナイロン樹脂は必須成分ではない。ナイロン樹脂とはアミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするポリアミドである。その主要構成成分の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−アミノカプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4ー/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチルー4ーアミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるナイロンホモポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
【0019】本発明において、とくに有用なナイロン樹脂は、200℃以上の融点を有する耐熱性や強度に優れたナイロン樹脂であり、具体的な例としてはポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ナイロン6T/6)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ(2−メチルペンタメチレン)テレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。
【0020】とりわけ好ましいものとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66コポリマー、またナイロン6T/66コポリマー、ナイロン6T/6Iコポリマー、ナイロン6T/6コポリマーなどのヘキサメチレテレフタラミド単位を有する共重合体を挙げることができ、更にこれらのナイロン樹脂を成形性、耐熱性、振動溶着性などの必要特性に応じて混合物として用いることも実用上好適である。これらナイロン樹脂の重合度にはとくに制限がなく、1%の濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が、1.5〜5.0の範囲、特に2.0〜4.0の範囲のものが好ましい。マトリクス樹脂において、(a) 成分と(b) 成分の重量比率(a)/(b) は、20/80〜100/0 の範囲であり、さらに40/60 〜100/0 の範囲が好ましい。
【0021】本発明においては(B)成分として用いられるガラス繊維はナイロン樹脂との溶融混練後の状態、特に1回の溶融混練を受けた状態で重量平均繊維長100〜400μm、且つ繊維長60μm以下のガラス繊維の割合が全ガラス繊維中10〜50重量%の範囲に制御されていることが好ましい。本発明の組成物では(B)成分としてガラス繊維が配合され、その平均繊維径は5〜15μmの範囲が好ましい。また平均繊維長はマトリクス樹脂との溶融混練後の状態、特に1回の溶融混練を受けた状態で重量平均繊維長100〜400μm、且つ繊維長60μm以下のガラス繊維の割合が全ガラス繊維中10〜50重量%の範囲に制御されていることが好ましい。なぜならば繊維長60μm以下のガラス繊維が特定量存在することによりナイロン樹脂組成物の成形品を振動溶着させた場合に高い溶着強度が得られるからである。この理由は必ずしも明確ではないが、摩擦熱で溶融したナイロン樹脂層中のガラス繊維の振動による配向挙動に影響を与えることが一因と考えられる。ガラス繊維の好ましい重量平均繊維長および60μm以下のガラス繊維の割合は各々120〜300μmおよび15〜40重量%の範囲である。ガラス繊維の重量平均繊維長が上記の範囲より短いと樹脂組成物の強度が低下するので好ましくなく、一方上記範囲より長いと成形品外観、振動溶着性が低下するので好ましくない。また、60μm以下のガラス繊維の割合が上記の範囲より少ないと振動溶着性の低下を招くので好ましくなく、逆に上記範囲より多いと機械強度への悪影響が出るので好ましくない。かかる繊維長分布を有するガラス繊維強化ナイロン樹脂組成物を1回の溶融混練工程で得ることが生産効率上好ましく、それを実現するための効率的な方法の一例としてストランド長1mm以上のガラス繊維と繊維長20〜500μmのガラス繊維を適正な割合の混合物として原料に使用する方法を挙げることができる。また、ストランド長の異なるガラス繊維を2種以上併用する際には、用いるガラス繊維の平均径が2μm以上異なる種類のものを使用することも好ましい方法である。
【0022】本発明の樹脂組成物中の全ガラス繊維の含有量はマトリクス樹脂100重量部に対して10〜150重量部の範囲であり、20〜80重量部の範囲が更に好ましい。
【0023】本発明においては、得られる樹脂組成物の安定性や振動溶着後のアニーリング処理時の溶着部強度を向上させる目的で更に第3成分として少量の銅化合物を添加することができる。この目的に用いられる銅化合物の具体的な例としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、サリチル酸第二銅、ステアリン酸第二銅、安息香酸第二銅および前記無機ハロゲン化銅とキシリレンジアミン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールなどとの錯化合物などが挙げられる。なかでも1価の銅化合物とりわけ1価のハロゲン化銅化合物が好ましく、酢酸第1銅、ヨウ化第1銅などを特に好適な銅化合物として例示できる。銅化合物の添加量は通常使用されるマトリクス樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部であり、さらに0.015〜1重量部の範囲であることが好ましい。更に銅化合物と併用する形でハロゲン化アルカリを添加することも可能である。このハロゲン化アルカリ化合物の例としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムを挙げることができ、なかでもヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムが特に好ましい。
【0024】本発明においては上記の特定のガラス繊維以外にも繊維状/非繊維状無機強化材を添加することも可能であり、それら強化剤の具体例としては、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカなどの非繊維状充填剤が挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これら繊維状/非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。
【0025】また本発明の樹脂組成物にエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシランの添加は、機械的強度、靱性などの向上に有効である。かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などなどが挙げられる。
【0026】さらに、本発明の樹脂組成物には、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、などの添加剤を添加することができる。
【0027】本発明の樹脂組成物の調製方法は特定の方法に限定されないが、具体的且つ効率的な例として原料のPPS樹脂、必要に応じて配合されるナイロン樹脂およびガラス繊維の混合物を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなど公知の溶融混練機に供給して、用いるPPS樹脂、ナイロン樹脂の高い方の融点に応じて、例えば270〜360℃の温度で溶融混練する方法などを挙げることができる。この溶融混練において、PPS樹脂、ナイロン樹脂およびガラス繊維の混練の順序については特に制限はなく、3成分の場合には、予めいずれか2成分を溶融混練した後残る1成分を混練してもよく、3成分を一括して混練しても良い。
【0028】このようにして得られた本発明の樹脂組成物で構成した上部タンク及び下部タンクに対して、さらに本発明の樹脂組成物を射出溶着することによって熱交換タンクが得られる。この場合、先の成形品と射出溶着する材料とは、それぞれ本発明の範囲であればよく、同一組成である必要はない。なお、上部タンク及び下部タンクの溶着は超音波溶着法、振動溶着法、熱板溶着法などを用いても良い。
【0029】得られる熱交換タンクは、耐熱性、成形製品表面外観、寸法安定性、接着性が均衡して優れたものである。特に射出成形や押し出し成形、ブロー成形で得られた成形品から溶着して成形体とする場合に特に有用である。
【0030】
【実施例】図1に本発明の熱交換タンク2を用いた衛生洗浄装置1を示す。衛生洗浄装置1はトイレ空間に配設された便器上部に設置されて使用される。衛生洗浄装置1には水道水の供給を受けて温水を作り出し、これを貯留保持する熱交換タンク2が内蔵され温水は洗浄用ノズル(図示無)を介して人体局部を洗浄することになる。
【0031】図2及び図3には熱交換タンク2の基本構成を示す外観斜視図である。熱交換タンク2は上部タンク3と下部タンク4からなり、熱交換タンク2には、タンク内の水を加熱するヒータ6、タンク内の水の有無を検知するフロートスイッチ7、タンク内に水を供給する為の入水部8、タンク内の水を洗浄用ノズル(図示無)に供給するための出湯部9、タンク内の湯温を検知するサーミスタ10(図2及び図3では位置をずらして表示しており、実際には図4に示す位置に配置)、タンク内の湯温の異常を検知するためのバイメタルスイッチ11、空炊による発火を防止するための温度ヒューズ12が設けられる。
【0032】図4には上部タンク2の6面図(背面図省略)、図5には斜視図を示す。上部タンク3には、フロートスイッチ7取付用開口3a、入水部取付用開口3b、出湯部取付用開口3c、サーミスタ取付用開口3d、バイメタル取付用開口3e、溶着用フランジ3f(接合面)を設け、この溶着フランジ3fには温水洗浄装置への組付けの為の取付部3gを一体に形成する(図4及び図5では省略)。また、外面には補強用のリブを格子状に形成する。
【0033】図6には下部タンク4の6面図(背面図省略)、図7には斜視図を示す。下部タンク4には、ヒータ挿入用開口4a、温度ヒューズ取付部4b、溶着用フランジ4c(接合面)を設け、この溶着フランジ4cには溶着用リブ4dを突出形成する。図8には上部タンク3の溶着用フランジ3fと下部タンクの溶着用フランジ4cとの接合状態での拡大断面図を示す。
【0034】以下に本発明の熱交換タンク2に用いる樹脂の実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。また、実施例及び比較例中に示された配合割合は全て重量%である。
【0035】また、以下の実施例において材料強度、流動性、熱交換タンク表面平滑性、溶着強度の評価は、次の方法により行った。
[材料強度]以下の標準方法に従って測定した。
引張強度 :ASTM D638曲げ弾性率 :ASTM D790[表面平滑性]80mm×80mm×3mmの角板を射出成形し、得られた成形品表面で蛍光灯の反射像の鮮明度を肉眼観察し、平滑性の指標とした。
◎:蛍光灯の反射像が明瞭に観察される。
○:蛍光灯の反射像が不明瞭ながらも観察される。
△:蛍光灯の反射像が観察できない。
[接着強度測定]曲げ疲労測定用試験片を半割りした形であり、図4及び図5に示す表面形状で厚さ4mmの試験片を、以下に説明する方法で得られた樹脂組成物を射出成形法で成形することにより得た。この成形片1つを曲げ疲労試験片用金型にインサートし、残りの部分を同じ樹脂組成物で新たに射出成形し、図6及び図7に示す形状の成形品を得た。この成形品の引っ張り試験を行い、破断強度を接着強度1の値とした。
【0036】別に得られた図6及び図7の形状を有する試験片を、金型にインサートし、図3に示すように、さらに溶着リブ4dを中心線として、新たに厚さ4mm、幅10mmの溶着フランジ4cを、同じ樹脂組成物を用いて射出成形を行い、溶着フランジ4cによって接着された接着試験片を得た。得られた試験片について曲げ強度を測定し、その値を接着強度2とした。
【0037】実施例1:PPS樹脂、必要に応じて配合されるナイロン樹脂およびガラス繊維の溶融混練は日本製鋼所製TEX30型2軸押し出し機を用いて行った。メルトフローレート(315℃、5000g荷重)600g/10分、灰分量0.1%、加熱減量0、2%のPPS樹脂70重量部、相対粘度2.70のナイロン6樹脂30重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5重量部をドライブレンドしてシリンダー温度310℃、スクリュー回転数150rpmの条件で運転中の押し出し機のフィーダーに供給し、ついで押し出し機先端部のサイドフィーダーから繊維径9μm、ストランド長3mmのガラス繊維70重量部を供給して溶融混練を行い、押し出しガットを冷却後ペレタイザーでペレット化した。ここで得られた樹脂組成物を種々の試験片に射出成形して流動性、表面平滑性、材料強度、振動溶着強度などを測定した結果は表1に示すとおりであった。
【0038】
【表1】

【0039】比較例1:樹脂成分として実施例1で用いたナイロン6樹脂のみを用い、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを添加しなかった以外は実施例1に記載した方法と全く同様に混練、ペレット化、射出成形、物性測定を行った。その結果は表1に示すとおりであり、ここで得られた組成物は吸水処理後の溶着強度保持率が実施例1に示す本発明の組成物に比べて不足であった。
【0040】実施例2〜6:表2に示すように用いるPPS樹脂、ナイロン樹脂、ガラス繊維の種類と配合量を変えた以外は実施例1に記載した方法と全く同様の方法で溶融混練、ペレット化、射出成形、物性測定を行い、表1に示す結果を得た。ここで得られた組成物も流動性、表面平滑性、溶着強度の優れた実用価値の高いものであった。
【0041】
【表2】

【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の温水洗浄装置用熱交換タンクは、耐熱性、成形製品表面外観、寸法安定性、溶着性が均衡して優れたものであり、射出成形や押し出し成形、ブロー成形で得られた成形品を各種の溶着法によって溶着して成形体を製造する場合に特に有用である。




 

 


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